JP3336507B2 - 非対称ビアリール誘導体の製造方法 - Google Patents

非対称ビアリール誘導体の製造方法

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JP3336507B2 JP04464693A JP4464693A JP3336507B2 JP 3336507 B2 JP3336507 B2 JP 3336507B2 JP 04464693 A JP04464693 A JP 04464693A JP 4464693 A JP4464693 A JP 4464693A JP 3336507 B2 JP3336507 B2 JP 3336507B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶ポリマ−の原料ま
たは農医薬中間体として有用な非対称ビアリール誘導体
の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化アリール類を、ニッケ
ル化合物を触媒として用い、還元剤の存在下に脱ハロゲ
ノカップリングし、ビアリ−ル誘導体を製造する方法が
開示されている(特開平2−15036号公報、特開平
4−29957号公報)。
【0003】しかし上記の方法においては,非対称ビア
リ−ル誘導体に対する反応の選択性には問題点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、非対
称ビアリール誘導体の高選択的な製造方法の提供にあ
る。
【0005】
【課題を解決しようとする手段】本発明者は、高選択的
な非対称ビアリール誘導体の工業的な製造法について研
究を重ねた結果、原料としてブロモベンゼン誘導体と2
−クロロベンゼン誘導体とを組合せて、溶媒としてピリ
ジンを使用する事によって、意外にも従来にない高い選
択率で非対称ビアリール誘導体が得られることを認め、
これらの知見に基づき本発明を完成した。
【0006】即ち本発明は、ハロゲン化ベンゼン誘導体
を脱ハロゲノカップリングし、非対称ビアリール誘導体
を製造する方法において、
【0007】
【化4】 (式中、Rは3位または4位に置換した低級アルキル
基、または低級アルコキシ基を示す。)で表わされるブ
ロモベンゼン誘導体と、
【0008】
【化5】 (式中、R’はシアノ基、またはアルコキシカルボニル
基を示す。)で表わされる2−クロロベンゼン誘導体と
を、トリフェニルホスフィン、無水ニッケル化合物、及
び還元金属の存在下、ピリジン中で反応させることを特
徴とする、
【0009】
【化6】 (式中R、R’は前記と同じ意味を表し、Rの置換位置
は3位または4位を示す。)で表わされる非対称ビアリ
ール誘導体の製造方法を提供するものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明方法の原料として使用する、(化
4)で表わされるブロモベンゼン誘導体は、その3位ま
たは4位に、炭素数1〜6の分岐しても良いアルキル
基、または炭素数1〜6の分岐しても良いアルコキシ基
が置換したブロモベンゼン誘導体であれば良い。
【0012】このようなブロモベンゼン誘導体として
は、具体的には3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエ
ン、3−ブロモエチルベンゼン、4−ブロモエチルベン
ゼン、3−ブロモプロピルベンゼン、4−ブロモプロピ
ルベンゼン、4−ブロモイソプロピルベンゼン、3−ブ
ロモブチルベンゼン、4−ブロモブチルベンゼン、4−
ブロモイソブチルベンゼン、3−ブロモアニソール、4
−ブロモアニソール、3−ブロモエトキシベンゼン、4
−ブロモエトキシベンゼン、3−ブロモプロポキシベン
ゼン、4−ブロモプロポキシベンゼン、4−ブロモイソ
プロポキシベンゼン等を例示することができる。
【0013】本発明方法において、もう一方の原料とし
て使用する、(化5)で表わされる2−クロロベンゼン
誘導体としては、例えば2−クロロベンゾニトリル、2
−クロロ安息香酸エステル誘導体等を挙げることができ
る。
【0014】2−クロロ安息香酸エステル誘導体を用い
る場合のアルコキシカルボニル構造を構成するアルコキ
シ部位は、炭素数1〜6のアルキルアルコール、アリー
ルアルコール等に由来するものであれば良く、このよう
な2−クロロ安息香酸エステル誘導体としては、具体的
には2−クロロ安息香酸メチル、2−クロロ安息香酸エ
チル、2−クロロ安息香酸プロピル、2−クロロ安息香
酸ブチル、2−クロロ安息香酸ヘキシル、2−クロロ安
息香酸ベンジル、2−クロロ安息香酸イソブチル、2−
クロロ安息香酸イソプロピル等を例示することができ
る。
【0015】なお、本発明方法において使用する、(化
4)で表わされるブロモベンゼン誘導体と(化5)で表
わされる2−クロロベンゼン誘導体とのモル比は、どち
らが過剰になっても反応で目的物の選択率を高めるよう
には作用しないことから、1:1が好ましい。
【0016】本発明方法において、触媒として使用する
無水ニッケル化合物としては、有機または無機の無水ニ
ッケル化合物を挙げることができる。
【0017】より具体的には無機無水ニッケル化合物と
してはハロゲン化ニッケル、炭酸ニッケルを、有機無水
ニッケル化合物としてはニッケルアセテ−ト化合物等を
例示できる。なかでも無水塩化ニッケル、または無水臭
化ニッケル等の無水ハロゲン化ニッケル化合物の使用が
好ましい。
【0018】無水ニッケル化合物の使用量は、原料であ
る(化4)で表わされるブロモベンゼン誘導体と(化
5)で表わされる2−クロロベンゼン誘導体のモル数の
和に対して、モル比で0.001以上、好ましくは0.
005〜0.1の範囲となる量を使用する事ができる。
【0019】本発明方法においては、ニッケル触媒の配
位子としてトリフェニルホスフィンを使用するが、その
使用量は無水ニッケル化合物に対してモル比で1〜5、
好ましくは2となる量が用いられる。その際、ニッケル
ホスフィン錯体は別途調製する必要はない。
【0020】本発明方法において使用する還元金属とし
ては、亜鉛、マンガン、マグネシウムを使用する事がで
きるが、なかでも微粉末状の亜鉛が好ましい。
【0021】還元金属の使用量は、原料である(化4)
で表わされるブロモベンゼン誘導体と(化5)で表わさ
れる2−クロロベンゼン誘導体とのモル数の和に対し
て、モル比で0.5以上、好ましくは1.0以上であ
る。
【0022】本発明方法において溶媒として使用するピ
リジンは、乾燥させたものを使用するのが好ましい。
【0023】ピリジンの使用量は、原料である(化4)
で表わされるブロモベンゼン誘導体と(化5)で表わさ
れる2−クロロベンゼン誘導体とのモル数の和に対し
て、1モルにつき100mlから3000ml、好ましくは
300mlから1000mlとなる量を用いることができ
る。
【0024】本発明方法における反応温度及び反応圧
は、反応温度は反応圧にもよるが通常は0〜250℃、
なかでも室温〜100℃の範囲が好ましく、反応圧は特
に制限はなく、通常は常圧下で行うが、減圧下、または
加圧下で行うこともできる。
【0025】
【発明の効果】本発明方法は、原料として(化4)で表
わされるクロロベンゼン誘導体と(化5)で表わされる
ブロモベンゼン誘導体とを組合せ、溶媒としてピリジン
を用いる事によって、(化6)で表わされる非対称ビア
リール誘導体が、意外にも70%を越える高い選択率、
及び高収率で得られたものである。従って本発明方法
は、非対称ビアリール誘導体の工業的製造法として好適
である。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0027】(実施例1) (2−シアノ−4’−メチル−1,1’−ビフェニルの
合成)1l 四口フスラスコに窒素雰囲気下、乾燥ピリジ
ン500ml、4−ブロモトルエン44.3g(0.25
9モル)、2−クロロベンゾニトリル35.6g(0.
259モル)、無水塩化ニッケル3.24g(0.02
5モル)、トリフェニルホスフィン13.1g(0.0
5モル)、亜鉛末67.6g(1.034モル)を仕込
み室温にて30分間攪拌した。80℃まで昇温して6時
間反応させた。トルエン400mlを加えて固形物を熱時
濾別し、トルエン層をガスクロマトグラフィーにて分析
した。その結果を(表1)に示す。次いで減圧下にてピ
リジンとトルエンとを回収した。この中へトルエン50
0mlを加えて固形物を熱時濾過し、トルエン100mlに
て洗浄した。温かいままトルエン層を5%塩酸300ml
で洗浄し、ついで5%重炭酸ソーダ水溶液300mlで洗
浄し、さらに温水300mlにて2回洗浄した。トルエン
層を濃縮することにより粗生成物54gを得た。このも
のを蒸留し、2−シアノ−4’−メチル−1,1’−ビ
フェニルの白色結晶28.4g(収率57%、純度9
7.4%)を得た。
【0028】更に構造確認のためシクロヘキサンから再
結し、分析標品を得た。
【0029】融点:49〜50℃〔文献値:48.0〜
49.5℃、J.Med.Chem.,第34巻,25
25(1991)〕 NMR(CDCl3 ):δ2.4(3H,s,CH
3 ),7.8−7.2(8H,m,ArH) IR(KBr):3060,3020,2920,22
40,1600,1560,1520,1480cm-1
【0030】
【表1】 なお(表1)中、(I)、(II)、(III)の各欄
の数値はガスクロマトグラフィー分析による全面積%を
表わし、RおよびR’の欄のMeはメチル基を表わし、
溶媒の欄のPyはピリジンを、またDMAcはジメチル
アセトアミドをそれぞれ表す。
【0031】(比較例1)100mlのフラスコに窒素雰
囲気下、乾燥ジメチルアセトアミド50ml、4−ブロモ
トルエン4.28g(0.025モル)2−クロロベン
ゾニトリル3.44g(0.025モル)、無水塩化ニ
ッケル0.32g(0.0025モル)、トリフェニル
ホスフィン2.75g(0.0105モル)、亜鉛末
4.90g(0.075モル)を加え30分間室温で攪
拌した。オイルバスで加温し、85℃で2時間反応さ
せ、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した。そ
の結果を(表1)に示す。
【0032】(比較例2〜3)実施例1における2−ク
ロロベンゾニトリルの代わりに3−クロロベンゾニトリ
ル(比較例2)または4−クロロベンゾニトリル(比較
例3)を実施例1における2−クロロベンゾニトリルの
使用モル数と同じモル数用いた以外は実施例1と同様に
行い、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。そ
の結果を(表1)に示す。
【0033】なお、反応終了後、原料の3−クロロベン
ゾニトリル、4−クロロベンゾニトリルはそれぞれ残っ
ていなかった。
【0034】(比較例4〜5)実施例1における4−ブ
ロモトルエンの代わりに2−ブロモトルエン(比較例
4)、または4−ヨードトルエン(比較例5)を実施例
1における4−ブロモトルエンの使用モル数と同じモル
数用いた以外は実施例1と同様に行い、反応液をガスク
ロマトグラフィーで分析した。その結果を(表1)に示
す。
【0035】なお、反応終了後、原料の2−ブロモトル
エン、4−ヨードトルエンは残っていなかった。
【0036】(比較例6)4−ブロモトルエンの代わり
に4−ブロモアニソールを、2−クロロベンゾニトリル
の代わりに4−クロロベンゾニトリルを、それぞれ実施
例1の対応化合物と同じモル数用いた以外は実施例1と
同様に行い、反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
た。その結果を(表1)に示す。
【0037】なお、反応終了後、原料である4−ブロモ
アニソール、4−クロロベンゾニトリルは残っていなか
った。
【0038】(実施例2) (4’−メチル−1,1’−ビフェニル−2−カルボン
酸メチルの合成)100mlフラスコに窒素雰囲気下、乾
燥ピリジン50ml、4−ブロモトルエン4.28g
(0.025モル)2−クロロ安息香酸メチル4.26
g(0.025モル)、無水塩化ニッケル0.32g
(0.0025モル)、トリフェニルホスフィン1.3
1g(0.005モル)、亜鉛末4.90g(0.07
5モル)を加え30分間室温で攪拌した。オイルバスで
加温し、85℃で3時間反応させ、反応液をガスクロマ
トグラフィーで分析した。その結果を(表1)に示す。
また、構造確認データを下記に示す。
【0039】 GC−MS:226(M+ )、195(M+ −31) NMR(CDCl3 ):δ2.36(3H,s,CH
3 ),3.62(3H,s,OCH3 ),7.8−7.
2(8H,m,ArH) IR(KBr):1730,1600,1520,14
85,1450,1435,1295,1280,12
50,1190,1130,1090,1050,82
0cm-1
【0040】(実施例3) (2−シアノ−3’−メチル−1,1’−ビフェニルの
合成)実施例2と同様の方法で3−ブロモトルエンと2
−クロロベンゾニトリルを用い85℃で3時間反応さ
せ、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その
結果を(表1)に示す。
【0041】(実施例4) (2−シアノ−4’−メトキシ−1,1’−ビフェニル
の合成)実施例2と同様の方法で4−ブロモアニソール
と2−クロロベンゾニトリルを用い85℃で5時間反応
させ反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その
結果を(表1)に示す。
【0042】反応液は後処理し、粗生成物を4.94g
得た。更に蒸留後シクロヘキサンとクロロホルムの混合
溶媒で再結し、2−シアノ−4’−メトキシ−1,1’
−ビフェニルの白色結晶を2.61g得た(純度90
%)。
【0043】融点 :79〜85℃ GC−MS:209(M+
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 255/54 C07C 255/54 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 平4−159236(JP,A) 特開 平4−159235(JP,A) 特開 平2−255634(JP,A) 特開 平2−15036(JP,A) 特開 平4−29957(JP,A) 特開 平3−227959(JP,A) 特開 平3−68539(JP,A) 特開 平2−233622(JP,A) 特開 平5−85986(JP,A) 特開 平4−169542(JP,A) 特表 平6−501951(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/343 C07C 69/76 C07C 253/30 C07C 255/50 C07C 255/54

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化ベンゼン誘導体を脱ハロゲノ
    カップリングし、非対称ビアリール誘導体を製造する方
    法において、 【化1】 (式中、Rは3位または4位に置換した低級アルキル
    基、または低級アルコキシ基を示す。)で表わされるブ
    ロモベンゼン誘導体と、 【化2】 (式中、R’はシアノ基、またはアルコキシカルボニル
    基を示す。)で表わされる2−クロロベンゼン誘導体と
    を、トリフェニルホスフィン、無水ニッケル化合物、及
    び還元金属の存在下、ピリジン中で反応させることを特
    徴とする、 【化3】 (式中R、R’は前記と同じ意味を表し、Rの置換位置
    は3位または4位を示す。)で表わされる非対称ビアリ
    ール誘導体の製造方法。
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