JP3335063B2 - 高比重・高強度複合繊維およびその製造方法 - Google Patents
高比重・高強度複合繊維およびその製造方法Info
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ね備えた産業資材用途に好適な複合繊維に関し、とくに
海洋環境汚染の問題もなく、耐久性に優れた漁網用に好
適な複合繊維に関する。
る水産用資材として耐水性、耐腐食性、強力、耐摩耗
性、耐久性等の点で天然繊維製品に比して優れた性質を
示す合成樹脂繊維製品が利用されてきた。しかしなが
ら、天然繊維製品に比して含水率が低く、とくに比重が
比較的小さいために海水中での沈降性および潮流に対す
る保形性が不満足であり、その利用に多くの制約を受け
る難点があった。
されてきたが、繊維やロ−プ類それ自体の比重を増大さ
せて水中への沈降性を増す技術が最も注目されてきた。
繊維やロ−プ類自体の比重を増大させるための一手段と
して、金属鉛やその化合物を繊維に練り込む技術がある
が、鉛化合物等が繊維製造工程や加工工程においてガイ
ドとの摩擦で繊維から脱落したり、漁網として使用中に
海水に溶出して鉛公害の問題が発生する可能性があっ
た。さらに使用済の漁網を廃棄する場合においても、廃
棄焼却後に鉛を含む有害成分が残るなど同様の公害問題
が発生する可能性があり、安易には廃棄処分できないと
いう問題があった。一方鉛化合物を使用しない手段とし
て、たとえば比較的比重の大きい塩化ビニリデン系繊維
が使用されてきたが、製網技術の発達に伴って高速製網
に安定して供し得るような高強度の繊維が要求されるよ
うになり、塩化ビニリデン系繊維では強度不足という問
題が生じてきた。また、塩化ビニリデン系繊維からなる
漁網も焼却時には塩化水素ガスが発生するために焼却処
理が困難であるという問題を抱えている。このように、
高比重のみならず、高強度、無公害性なども要求される
ようになってきている。
されており、その1つの手段として、延伸処理により高
強度を発現する樹脂と高比重粉末との組み合わせによる
繊維が考えられている。具体的には(1)合成フィラメ
ント中に亜鉛、鉛等の高比重粉末を均一分散させてなる
繊維(たとえば、特公昭51−37378号公報、特開
昭56−61936号公報、特開昭61−613号公
報)、(2)低軟化点樹脂中に高比重粉末を混合分散
し、この混合物をさらに強度付与のための樹脂と混合し
てなる繊維(たとえば、特公昭57−20407号公
報)、(3)低軟化点樹脂と高比重粉末の混合物を芯層
とし、強度付与の樹脂を鞘層とする有芯型繊維(たとえ
ば、特開昭58−4819号公報)等が提案されてい
る。
比重を十分に上げようとすると粉末の添加量が多くな
り、繊維自体の強度が比重の向上に反比例して低下する
欠点を有している。また(2)の提案では、粉末が混合
された低軟化点樹脂が繊維の延伸方向に伸びて部分的に
かつ不規則に埋没偏在する繊維となり、このため該繊維
の製造が繁雑であることのほかに、同一繊維径で上述の
(1)の提案と比較して含有せしめる高比重粉末の量が
当然少なくなる制約があり、比重増大の程度に著しい制
限を受けることになる。さらに(3)の提案では、異種
樹脂界面における非親和性に起因する界面歪みの増大に
伴い、糸質の低下、耐久性の低下等の欠点を有している
ばかりか、低軟化点樹脂中の高比重粉末が均一に分散さ
れていないので繊維繊度の高いものしか得ることができ
ない欠点を有している。
降性と製網加工上問題のない十分な繊維強度を兼ね備
え、かつ長期間漁網として使用しても強度低下のない優
れた耐久性、耐候性を有する繊維を提供することにあ
る。
塑性ポリマ−中に、比重が3以上の非鉛系無機微粒子
(但し、ストロンチウムフェライトを除く)が50〜85
重量%含有されてなる芯成分と、該芯成分を覆う極限粘
度が0.7以上のポリエステルからなる鞘成分とより構
成され、300℃における剪断速度が1.0×101 〜
5×102sec-1の全領域において、芯成分の溶融粘
度aと鞘成分の溶融粘度bとの比(a/b)が5.0〜
0.05であり、該芯成分と該鞘成分の複合重量比率が
芯/鞘=20/80〜70/30、繊維比重が1.5以
上、タフネスが60以上、かつ強度が3.5g/デニ−
ル以上であることを特徴とする複合繊維である。
上、タフネスが60以上、かつ強度が3.5g/デニ−
ル以上を兼ね備えているものである。該複合繊維の比重
が1.5未満の場合、海水中での高沈降性と漁網の保形
性を達成することが困難であり、強度が3.5g/デニ
−ル未満の場合には高速製網時に繊維が損傷するので実
用的でない。またタフネスは強度と伸度の積で示される
が、該値が60未満の場合、すなわち伸度が低い場合に
は潮流・波浪に対する疲労性、耐久性が低く、漁網とし
ての用をなさない。このような観点から、1.55以上
の比重と4.0g/デニ−ル以上の強度、80以上のタ
フネスを有する繊維であることが望まれる。
化するために比重が3以上の非鉛系無機微粒子を含有さ
せることが必須である。比重が3未満の無機微粒子を使
用する場合は、目的の繊維比重を達成するために繊維中
の該無機微粒子の含有量を高め、しかも複合繊維におけ
る芯成分の複合比率を大きくしなければならず、たとえ
目的とする繊維比重の繊維が得られたとしても曳糸性、
延伸性等の工程性が不良で、繊維強力も低いものしか得
られないので漁網としての用途には不適となる。
微粒子またはその化合物の微粒子を挙げることができ
る。「非鉛系金属」とは、鉛や錫等環境問題を極めて起
こしやすい金属以外の金属を意味しており、具体的には
チタン、鉄、銅、亜鉛、銀、バリウム、ジルコニウム、
マンガン、アンチモン、タングステン等の金属やその酸
化物、塩などを挙げることができる。本発明において
は、無機微粒子としてかかる金属やその酸化物、塩など
から所望に応じて適宜選択することができるが、微粒子
の比重、ポリマ−中での微粒子の分散性、ポリマ−の熱
分解を促進させることのない非触媒性等の点で二酸化チ
タン、酸化鉄、硫酸バリウム等を使用することが好まし
い。さらに該無機微粒子は1種類のみならず、2種類以
上を混合して使用することもできる。
0〜85重量%であることが必要である。該含有量が5
0重量%未満の場合は目的とする繊維比重を得るために
は複合繊維における芯成分比率を大きくしなければなら
ず、繊維強力の低いものしか得られなくなる。一方、該
含有量が85重量%を越える場合は紡糸時のポリマ−溶
融流動性が悪くなり、糸切れが頻発する。
粒子径が5μm以下であることが望ましい。粒子径が5
μmを越えると紡糸・延伸時に断糸や毛羽が多発しやす
くなる。該粒子径があまり小さくなると、ポリマ−中に
微粒子を添加させる時に、成形加工時の熱により熱凝集
が発生して逆に粗大粒子化したり、紡糸時にポリマ−溶
融ラインの配管中で微粒子の熱凝集が発生しやすくなり
ラインが詰まるというトラブルが多発しやすくなる。し
たがって、該無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は0.
05μm以上であることが好ましい。
場合について説明する。酸化鉄には色調が黒色のマグネ
タイトすなわち磁鉄鉱(Fe3 O4 )、茶色のγ型ヘマ
タイト、赤褐色のα型ヘマタイト等があるが、定置網等
の漁網用繊維においては色相を黒色系とすると魚に警戒
感を与えないため、漁獲高に好結果を与えることがで
き、黒色を呈する磁鉄鉱を使用することが好ましい。磁
鉄鉱を他の無機微粒子と併用する場合には、使用する無
機微粒子全体の20重量%以上を磁鉄鉱にすると染色処
理等を簡素化または省略することができるが、この場合
においても鞘成分として原着ポリエステルを使用するこ
とは何等差支えない。
体状、六面体状、多面体状等があり、いずれの形状をも
使用することができるが、球状の酸化鉄微粒子を使用す
ると芯成分中での分散性が最も良好となり望ましい。と
くに、無機微粒子を多量にポリマ−中に添加する場合に
は、球状微粒子の使用が顕著な効果を奏し、凝集による
紡糸時のフィルタ−詰まりの発生も少なく、しかも紡糸
・延伸時の糸切れ発生も少ない。
の有機系または無機系化合物により表面コ−ティング処
理が施されていてもよく、表面コ−ティング処理がなさ
れた微粒子を使用するとポリマ−の熱分解が抑制され、
微粒子分散性をさらに向上させることができるので好ま
しい。
として単独で使用されてもよいが、芯成分中でその含有
率が50重量%を越えると粒子形状、粒子径の適切な酸
化鉄を用いても溶融押出時のライン中での熱凝集による
コンタミの発生や、激しい場合には配管の詰まり等のト
ラブルが生じる場合がある。芯成分中に含有される無機
微粒子として酸化鉄を使用し、50重量%を越える含有
率にするためには酸化鉄と他の微粒子とを併用すること
が好ましい。とくに細デニ−ルの糸を製造する場合等で
は、溶融ポリマ−のライン中での滞留時間が長くなり、
ライン詰まりのトラブル発生の原因ともなる。
以上で、かつ一次粒子の平均粒子径が5μm以下、しか
も熱凝集性が余りなく、コスト的にも高価でないものを
選択することが好ましい。好適な例としては二酸化チタ
ン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ、フェライト、
リトポン、酸化銅、酸化マグネシウム等挙げられ、中で
も芯成分中の無機微粒子の分散性等の点で二酸化チタン
がとくに好ましい。酸化鉄と二酸化チタンとを併用する
場合の混合率は、芯成分に対する合計含有量が50〜8
5重量%の範囲内であれば任意に変更しても紡糸性、延
伸性等良好で大きなトラブルの発生もなく、目的とする
繊維を得ることができる。好適な混合率の例を挙げると
酸化鉄/二酸化チタン=20/80〜70/30(重量
比)である。たとえば、芯成分中の微粒子の合計量が7
0重量%の場合、酸化鉄を30重量%、二酸化チタンを
40重量%にしたり、合計量が60重量%の場合、酸化
鉄を30重量%、二酸化チタンを30重量%にすると、
得られた繊維の色相が好ましいものとなる。
50重量%以上の高含有量で、しかもその中に酸化鉄を
高添加するする場合には二酸化チタンを併用して添加す
ることにより、溶融押出時のライン詰まり等のトラブル
がなく、しかも芯成分中の分散性が良好で、工程中の糸
切れも少なく、A格率が高い状態で目的とする繊維が得
られることは、本発明者等が種々検討した中で初めて見
出されたことである。
用する場合について説明する。本発明は優れた機械的物
性と高比重を兼ね備えた漁網用繊維を提供すると同時
に、種々の色相に対応できる漁網用繊維を提供すること
を目的としている。しかしながら、上述のように、無機
微粒子として酸化鉄のような着色微粒子を高含有率で使
用した場合、色相を自由に変更することができにくくな
るが、無機微粒子として二酸化チタンを使用すると、二
酸化チタンが白色であり、このような白色系微粒子を芯
成分中に添加し、鞘成分であるポリエステルに所望の色
の顔料等を配合することで芯成分の色に邪魔されること
なく目的とする色相を発現させることができるのであ
る。
型(Anatase)、ルチル型(Rutile)、ブ
ルカイト型(Brookite)の3つの形態があり、
一般に顔料として使用されているのはアナタ−ゼ型とル
チル型である。とくに、合成繊維には工程上の摩耗性に
及ぼす硬度の関係と溶剤または分散媒に対する分散性の
問題からアナタ−ゼ型が主として使用されているが、比
重が高い点、耐光性に優れている点において本発明にお
いてはルチル型を使用することが好ましい。この場合、
モ−ス硬度がルチル型のほうがアナタ−ゼ型のものより
大きく、工程上の摩耗等のトラブルが発生する懸念があ
るが、本発明の複合繊維においては、無機微粒子を含有
する芯成分を鞘成分で実質的に覆っているので、紡糸時
のノズル口金の摩耗や加工工程中のガイド類やロ−ラ類
の摩耗損傷等の問題はない。
し、ポリマ−中に高含有率で添加しても、ポリマ−の溶
融押出時に熱凝集が起こり難く、溶融ポリマ−ライン中
でのコンタミによる詰まりが発生しにくく、紡糸時のフ
ィルタ−詰まりも少なく、かつ紡糸・延伸時の糸切れの
発生も少ない。かかる二酸化チタンの表面はチタン、ア
ルミナ、シリカ等の無機系または有機系化合物によりコ
−ティング処理が施されていてもよく、表面コ−ティン
グ処理がなされた微粒子を使用すると耐熱性や微粒子分
散性をさらに向上させることができるので好ましい。
比重が3以上でかつ平均粒子径が5μm以下の他の微粒
子と併用してもよい。また併用する微粒子が、上述した
ような熱凝集の問題を生じ易いものであっても、二酸化
チタンを15重量%以上、とくに40重量%以上使用す
ることにより分散性の向上が期待できる。他の微粒子と
しては、たとえば酸化錫(スズ石)等に比して毒性の少
ない酸化亜鉛、アルミナ、硫酸バリウム、リトポン、酸
化マグネシウム等を使用することができる。なお、二酸
化チタンは紫外線によるチタン原子の励起により芯成分
を構成する熱可塑性ポリマ−の劣化を促進しやすいので
酸化防止剤を併用することが好ましい。
ポリマ−は比重が1以上であることが必要である。該熱
可塑性ポリマ−の比重が1未満の場合、繊維の比重を高
めるためには微粒子の含有量を多くせざるを得ず、より
工程調子を乱すことになる。
するポリマ−を溶融紡糸する際、特異な粘性挙動のため
に極めて紡糸調子が悪化することが問題となる。かかる
粘性挙動とは低剪断下では溶融粘度が高く、一方高剪断
下では溶融粘度は低くなるという、いわゆるチクソトロ
ピ−性を示す。紡糸パックに、無機微粒子を高含有率で
含有するポリマ−が供給される導入部においては剪断速
度が100 sec-1オ−ダ−であるが、ノズル孔に分配
される分流板では102 sec-1オ−ダ−、さらには鞘
成分であるポリマ−と合流して押し出されるノズルでは
103 sec-1オ−ダ−にも達するのである。チクソト
ロピ−性の顕著なポリマ−流は、この大きな剪断速度の
変化の下で溶融粘度に大きな斑が生じ、ノズル単孔辺り
の吐出量が変動し、芯鞘のバランスが崩れるために極め
て紡糸が困難となる。本発明ではかかる点をも検討した
結果、無機微粒子を多量に含有する芯成分と鞘成分であ
るポリエステルの溶融粘度が重要であることを見い出し
た。すなわち、300℃における剪断速度が1.0×1
01 〜5×102 sec-1の全領域において、芯成分の
溶融粘度aと鞘成分であるポリエステルの溶融粘度bと
の比(a/b)が5.0〜0.05の範囲にあることが
望ましいのである。かかる範囲に芯成分と鞘成分の溶融
粘度比がある場合にのみ、無機微粒子を多量に含有する
芯成分と鞘成分の合流が円滑に行われ、複合紡糸・延伸
性等の操業性も向上する。しかも無機微粒子が芯成分を
構成する熱可塑性ポリマ−中に均一に分散され、目的と
する複合繊維を操業性よく製造することが可能となった
のである。好ましい溶融粘度比(a/b)は1.5〜
0.8である。
は、まず芯成分のチクソトロピ−性を極力抑制した上
で、鞘成分のポリマ−の極限粘度を設定することが望ま
しい。芯成分のチクソトロピ−性の抑制手段としては、
無機微粒子の表面積を小さくすべく球形のものを選択し
て粒子径を大きくするか、極力比重の高いものを選択し
無機微粒子の添加率を下げること;芯成分のポリマ−の
分子量、融点の適性化;芯成分のポリマ−と無機微粒子
との親和性を向上させるべくカップリング剤を添加する
ことなどを挙げることができる。
溶融粘度を満足する熱可塑性ポリマ−としてはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナ
イロン12等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリヘキサメチレン
テレフタレ−ト等のポリエステルを挙げることができ
る。
場合には、該無機微粒子とポリマ−とのヌレ性およびポ
リマ−中での分散性が良好で、紡糸性、延伸性が最も良
好な熱可塑性ポリマ−を使用することが好ましく、かか
る観点から本発明においてはポリアミド、とくにナイロ
ン6を主成分とするポリアミドを使用することが好まし
い。好適な例として用いるナイロン6の重合度は、数平
均分子量で約22000以下、とくに20000以下6
000以上であることが好ましい。重合度が高すぎる
と、無機微粒子を高添加した芯成分の溶融粘度が高くな
りすぎ、トラブルが発生したり、無機微粒子の分散不良
が生じやすい。また、実際に無機微粒子を高添加したポ
リマ−を溶融押出して繊維化する際、溶融粘度が高すぎ
ると設備上のトラブルが多発しやすくなると同時に断糸
が多発してくるため好ましくない。一方、重合度が低す
ぎると溶融粘度が鞘成分に対して低くなりすぎるため芯
鞘界面の形成が困難となる。
−としてポリアミドを使用する場合、芯成分として水分
を500ppm以下、とくに300ppm以下とするこ
とが好ましい。ポリアミドのような吸水性ポリマ−に多
量に無機微粒子を含有せしめると、水分率が高い場合、
溶融時に極端に流動性が低下し、工程調子を著しく害し
てしまう問題がある。一般に、ポリアミドは、その水分
量が500〜1000ppm程度で使用されているのに
対し、無機微粒子を多量に含有させる本発明においては
とくに配慮しなければならない点である。また、ポリア
ミドは少量の第3成分を共重合していたり、また少量の
添加剤、安定剤等を含んでいてもよい。
途であるが、漁網は屋外で使用されるため経時的な耐候
性が重要な課題であり、長期間使用している間に強力の
低下が発生し、実用上問題となるものは使用することが
できない。上述のような無機微粒子が多量に添加された
ポリアミドを芯成分として使用した場合、漁網として長
期間使用した時に繊維強度低下が生じてくる可能性があ
るが、本発明においては該ポリアミドに対して0.01
重量%以上、とくに0.1重量%以上、2重量%以下の
範囲でヨウ化銅等の銅塩を熱安定剤として添加すること
により、経時的な繊維強度低下は実用上問題とならない
レベルまで改良される。
としては、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレン
テレフタレ−トを主成分とするポリエステルが好まし
い。また、かかるポリエステルには少量の第3成分が共
重合されていてもよく、たとえば、イソフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン
酸、4,4’ージフェニルエーテルジカルボン酸、4,
4’ージフェニルメタンジカルボン酸、4,4’ージフ
ェニルスルホンジカルボン酸、4,4’ージフェニルイ
ソプロピリデンジカルボン酸、1,2ージフェノキシエ
タンー4’,4”ージカルボン酸、アントラセンジカル
ボン酸、2,5ーピリジンジカルボン酸、ジフェノキシ
ケトンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソルタル
酸、ジメチル5ーナトリウムスルホイソフタレート、5
ーテトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デ
カリンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の
脂環族ジカルボン酸;βーヒドロキシエトキシ安息香
酸、p−オキシ安息香酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒ
ドロキシアクリル酸等のヒドロキシカルボン酸;またこ
れらのエステル形成性誘導体から誘導されたカルボン
酸、εーカプロラクトン等の脂肪族ラクトン、トリメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール等の脂肪族ジオール;ヒドロキノンカテコー
ル、ナフタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノール
A、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビ
スフェノールS、ビスフェノールSのエチレンオキサイ
ド付加物等の芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノ
ール等の脂肪族ジオールなどを挙げることができる。こ
れらの第3成分は1種のみまたは2種以上共重合されて
いてもよい。
ステルが実質的に線状である範囲内でトリメリット酸、
トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸等の
多価カルボン酸;グリセリン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多
価アルコールが含まれていてもよい。該ポリエステルに
は蛍光増白剤、安定剤等の添加剤が含有されていてもよ
い。とくに、複合繊維全体の耐候性、すなわち経時間的
な強度保持率をさらに良好なレベルに維持するにはカ−
ボンブラックを鞘成分であるポリエステルに含有させて
もよい。
0.7以上であることが好ましい。なお、極限粘度はフ
ェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、3
0℃で測定した値である。通常の衣料用繊維において、
ポリエチレンテレフタレ−トの極限粘度は0.60〜
0.65程度のものが使用されるのに対し、本発明では
目的とする繊維強度を発現させるために、通常の重合度
よりさらに重合度の大きいポリエステルを使用したもの
である。極限粘度が0.7未満では、繊維比重1.5以
上、繊維強度3.5g/デニ−ル以上およびタフネス6
0以上をいずれをも満足することは難しく、鞘成分と芯
成分との複合比率を変更し、鞘成分リッチにすれば繊維
比重が目標とするレベルまで至ることができず、逆に芯
成分リッチにすれば繊維強度、タフネスが目標とするレ
ベルまで至らないという結果になった。すなわち、鞘成
分として極限粘度が0.7以上のポリエステルを用いる
ことにより、初めて繊維強度、タフネス、比重のいずれ
をも満足するものが得られたわけである。
中の鞘成分であるポリエステルの極限粘度である。すな
わち、紡糸時に熱分解または加水分解等で重合度低下が
生じる場合は、その分を見込んだやや高めの重合度のポ
リエステルを用いて繊維化しなければならないことはい
うまでもないことである。
ポリエステルに着色剤を添加して、前述したような漁網
用途に適した色相にすることができ、該ポリエステルの
溶融紡糸温度に耐え得る耐熱性を有する有機顔料や無機
顔料を適宜使用することができる。具体的には、カ−ボ
ンブラック、アントラキノン系褐色着色剤、アントラキ
ノン系紫色着色剤、ベンゾキノン系赤色着色剤、通常の
原着用着色剤を使用することができ、これらの着色剤は
単独または2種類以上併用して添加率0.1〜5重量%
の範囲内でポエリエステルに配合され得る。該着色剤の
添加量が0.1重量%未満の場合には十分な「色相」や
「ツヤ」を呈する漁網用原着糸を得ることが困難であ
り、また添加量が5重量%を越えると強力の低下が大き
くなるので好ましくない。
色相の大部分が黒色であるが、このような場合、カ−ボ
ンブラックを鞘成分であるポリエステルに1〜3重量%
添加することが好ましい。カ−ボンブラックは紫外線を
吸収しポリエステルの劣化を防ぐ効果があり、繊維の耐
候性、すなわち経時的な繊維強度の低下を防止でき、相
乗的な効果を発現することができる。また、繊維形成後
に所望の色に染色することも可能である。
微粒子を含有した芯成分を鞘成分であるポリエステルで
実質的に覆った断面形状をしている。ここで「実質的に
覆った断面形状」とは繊維表面周長の60%以上、好ま
しくは80%以上が鞘成分で占められていることを示
す。紡糸・延伸工程におけるガイドやロ−ラの摩擦およ
び糸切れをより一層防ぎ、芯成分と鞘成分との界面剥離
の問題を解決するために、本発明においては芯成分が鞘
成分で完全に覆われていることが好ましく、かかる断面
形状としては同芯芯鞘型、偏芯芯鞘型などがあり、芯の
数としては1〜4を挙げることができる。
後者=20/80〜70/30、好ましくは前者/後者
=20/80〜50/50である。鞘成分の複合重量比
率が少なすぎると繊維強度の低下が生じ、一方、鞘成分
の複合重量比率が多すぎると繊維比重を高くする効果が
十分発揮できなくなる。
に限定されるものではないが、鞘成分であるポリエステ
ルと芯成分とを別々の溶融系で加熱溶融しておき、それ
ぞれ通常の押出紡糸装置により紡糸口金まで送り、紡糸
口金直前で両成分を所望の芯鞘型の複合形状に合わせて
合流させ、押し出して得られる糸条を巻取り、さらに延
伸、熱処理することにより得られる。また紡糸口金から
押し出した後、巻き取ることなく直ちに延伸する方法
や、紡糸口金から押し出した後、高速で巻取り、そのま
ま製品とする方法も用いることができる。
速度で引取り、一旦これを巻き取った後に延伸するいわ
ゆるPOYやFOY延伸法、または巻き取ることなく延
伸するスピンドロ−法、さらには4000m/分以上の
高速で引き取るDSY法、あるいはDSY法においてノ
ズルと引取りロ−ラの間にヒ−タ−を設け、延伸しなが
ら引き取る方法などが採用される。中でも好ましいの
は、300〜4000m/分、さら好ましくは600〜
2000m/分で引き取り延伸し(FOYでもスピンド
ロ−でも良い)、ついで熱処理する方法である。該速度
が300m/分未満では、未延伸糸の配向度が低く、所
望の繊維強度を得るためには延伸倍率を上げる必要が生
じ、その結果、繊維中に多数のボイドが発生し、繊維の
高比重化が十分達成できない場合がある。一方該速度が
4000m/分を越える、いわゆるDSYといわれる領
域で引き取る場合は、延伸熱処理操作を実施しなくても
目標物性が得られることもあるが、前述した引取り速度
で引取り延伸熱処理する方法に比較し繊維強度が低下す
ることは避けられない。
た延伸倍率は紡糸速度により様々に変化するので一義的
に特定できないが、破断に至る倍率の75〜85%程度
の倍率を採用することが好ましい。とくに、本発明の繊
維の製造において特徴的な点は延伸後の熱処理である。
すなわち、芯成分を構成する熱可塑性ポリマ−の(融点
−80)℃以上、鞘成分であるポリエステルの(融点−
5)℃以下の温度で熱処理を施すことに特徴があり、か
かる熱処理温度としては毛羽が発生しない範囲で高めに
設定する方が繊維比重が高く、かつ強度、タフネスの大
きい繊維が得られる。芯成分を構成する熱可塑性ポリマ
−の融点に近いか、もしくはそれ以上の温度で加熱され
ることにより、繊維が収縮しつつ延伸時に発生した繊維
中での無機微粒子周辺のボイドがある程度修復されるた
めと推定され、また熱処理温度を高めることにより繊維
の機械的性質を発現させる鞘成分の結晶化が促進される
ためと推定される。
テルの(融点−5)℃を越えると断糸が多発し、芯成分
を構成する熱可塑性ポリマ−の(融点−80)℃未満の
場合は上述の無機微粒子周辺のボイドを充分に修復する
ことが困難である。好ましい熱処理温度は芯成分を構成
する熱可塑性ポリマ−の(融点−60)℃以上、鞘成分
であるポリエステルの(融点−10)℃以下である。具
体例を示すと、芯成分を構成する熱可塑性ポリマ−がナ
イロン6の場合、熱処理温度を160℃以上、255℃
以下にすることが望ましい。
周辺のボイドの発生を抑制するには延伸時の加熱を熱ロ
−ル等の接触加熱方式に加えてスチ−ムジェットや空気
加熱等の非接触加熱方式を併用することが好ましい。こ
れは、芯成分を構成する熱可塑性ポリマ−の融点よりも
十分高い温度で芯成分の流動性を高めた状態で延伸しよ
うというものであり、たとえば芯成分を構成する熱可塑
性ポリマ−がナイロン6であるときには350℃以上、
好ましくは400℃以上、さらに好ましくは430℃以
上の温度スチ−ムジェットを用いて加熱延伸することが
好ましい。なお、かかるスチ−ムジェットの温度は、本
発明における熱処理温度そのものを示すものではなく、
本発明における熱処理温度とは接触加熱温度を意味する
ものである。これらの知見から、芯成分を構成する熱可
塑性ポリマ−の融点は鞘成分であるポリエステルの融点
より20℃以上、とくに30℃以上高いことが必要とな
り、必然的に該熱可塑性ポリマ−の融点は200℃以上
が必要となる。
混用して広汎な用途に使用され得る。他の繊維と混用す
る場合には、混繊、合糸、合撚、交織、交編、その他あ
らゆる手段を用いることができ、さらに得られた布帛は
必要に応じて種々後加工処理を施して各種の用途に供す
ることができる。本発明の複合繊維の好適な用途として
は、従来にない高比重、実用に耐え得る繊維強力、タフ
ネスを有するポリエステル系繊維である特徴を最大限に
生かせる刺網類、曳網類、旋網類、建網類、敷網類等各
種魚網用途に好適である。とくに、サケ、ブリ、マグ
ロ、アジ、サバ、イワシ、スズキ、イカ等の定置網用と
して最適である。
等で使用されるシルトプロテクタ−用を始め、従来にな
い高比重性能を保持したポリエステル系繊維として各種
産業資材用途への応用が可能である。また産業資材用途
以外にもカ−テン、暗幕等非衣料分野への応用も好適で
ある。
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中における各物性値は以下の方法によ
り測定したものである。 (1)ポリエステルの極限粘度〔η〕:フェノ−ルとテ
トラクロロエタンの等重量混合溶媒を用い、30℃で測
定した。 (2)ナイロンの数平均分子量:ウオ−タ−ズ社製HL
C−510によるGPCクロマトグラムにより測定し
た。 (3)無機微粒子の平均粒径:堀場製作所社製の遠心式
自動粒度分布測定装置CAPA−500により測定し
た。 (4)繊維比重:四塩化炭素とノルマルヘキサンを用
い、密度勾配法により20℃で測定した。 (5)繊維強度、伸度およびタフネス:島津製作所社製
の引張試験機(オ−トグラフIM−100)を用い、2
0℃、65RH%で測定した。なお、タフネスは破断点
の強度と伸度との積で示す。 (6)ポリマ−の溶融粘度(ポイズ)(株)東洋精機製
キャピログラフ1C型を用い、300℃で測定した。
(株)社製、P1011F〕を芯成分を構成する熱可塑
性ポリマ−として用い、芯成分の無機微粒子として平均
粒子径0.2μmの球状の磁鉄鉱粉末〔戸田工業(株)
社製、表面フェライトコ−ト品、比重5.0〕30重量
%と、平均粒子径0.35μmの二酸化チタン〔チタン
工業(株)社製、ルチル型、比重4.2〕40重量%と
の混合物を用い、芯成分として二軸混練機で溶融混練し
てストランド状に押出し、ストランドを切断してペレッ
ト化し、90℃で真空乾燥して水分を180ppmにし
た。一方、鞘成分として二酸化チタン0.08重量%含
有する極限粘度〔η〕=0.80のポリエチレンテレフ
タレ−トを使用し、該ポリエステルは常法により溶融重
合しペレット化したものを使用した。
溶融押出しし、紡糸温度295℃、複合重量比率(芯成
分/鞘成分)1/2の同芯芯鞘型となるようにノズル部
で合流し、ノズル口径0.4mmφ、8ホ−ルのノズル
を用いて吐出させ、1000m/分の速度で巻き取っ
た。このとき得られた複合繊維を形成している鞘成分の
ポリエチレンテレフタレ−トの極限粘度〔η〕は0.7
5であった。
℃、ホットプレ−ト温度140℃で延伸倍率4.0倍で
延伸し、つづいて3%のオ−バ−フィ−ドを入れながら
ホットロ−ラ温度180℃で熱処理した後、75デニ−
ル/8フィラメントのマルチフィラメントを巻き取っ
た。このマルチフィラメント糸の断面形状を顕微鏡観察
したところ、芯鞘複合比率がいずれの繊維においてもま
た長さ方向においてもほぼ一定であり、毛羽もなかっ
た。また紡糸・延伸工程におけるトラブルの発生も認め
られなかった。延伸糸の繊維比重は1.58、強度は
4.5g/デニ−ル、タフネスは67.5であった。
投入して観察したところ、沈降性良好であり、海中での
網揺れも少なく、かつ耐久性に優れ、魚網として好適な
繊維であることが確認された。
とにより得られた延伸糸の繊維比重が異なることがわか
った。上述した紡糸条件で得られた紡糸原糸を以下の条
件で延伸した結果、以下の物性を有する延伸糸が得られ
た。
が良好な繊維が得られるが、該処理温度が極端に高くな
ると延伸毛羽が多発してくるため好ましくない。
面コ−ティングされていない磁鉄鉱粉末〔戸田工業
(株)社製、比重5.0〕を用いて同様にして繊維化を
行った。その結果、延伸糸の繊維比重は1.53であ
り、表面コ−ティング品使用の場合よりも若干比重が低
いものであった。
実施例1と同様にして複合繊維(延伸糸)を製造し、得
られた延伸糸の強度保持性について測定した。評価手段
として83℃下でカ−ボンフェ−ド照射400時間照射
後の強度保持率と、83℃下でキセノンウエザ−照射4
00時間照射後の強度保持率について調べた。その結
果、カ−ボンフェ−ド照射400時間後のn=5の平均
強度保持率は約86%、キセノンウエザ−照射400時
間後のn=5の平均強度保持率は約84%であった。こ
れに対して、実施例1で得られた複合繊維(延伸糸)は
カ−ボンフェ−ド照射400時間後のn=5の平均強度
保持率は約42%、キセノンウエザ−照射400時間後
のn=5の平均強度保持率は約36%であった。
0重量%、二酸化チタン20重量%の計70重量%の混
合物を(実施例3)、磁鉄鉱粉末20重量%、二酸化チ
タン50重量%の計70重量%の混合物を(実施例
4)、磁鉄鉱粉末10重量%、二酸化チタン60重量%
の計70重量%の混合物を(実施例5)、磁鉄鉱粉末3
0重量%、二酸化チタン20重量%の計50重量%の混
合物を(実施例6)使用した以外は実施例2と同様にし
て複合繊維を得た。いずれも工程性のトラブルもなく、
しかも良好な繊維物性を有する繊維が得られた。実施例
4で得られた複合繊維の色相は灰色を呈し、黒色とやや
異なるレベルであった。また実施例5で得られた複合繊
維の色相は白っぽい灰色であった。
レ−トの極限粘度〔η〕を0.85にした以外(実施例
7)、芯成分と鞘成分の複合重量比率を(芯成分/鞘成
分)=1/1にした以外(実施例8)は同様にして複合
繊維を得た。いずれも工程性のトラブルもなく、しかも
良好な繊維物性を有する繊維が得られた。各実施例にお
ける複合繊維の諸物性を表1および表2に示す。
1.0μmの酸化亜鉛(比重5.5)を用い(実施例
9)、平均粒径2.0μmのアルミナ(比重3.98)
を用いた(実施例10)以外は同様にして複合繊維を得
た。いずれも紡糸時にやや毛羽が発生したこと以外は工
程性が良好で、しかも繊維物性も良好なものであった
(表1および表2参照)。
を4(実施例12)にした以外は同様にして複合繊維を
得た。いずれも工程性が良好で、しかも繊維物性も良好
なものであった。
6に代えて、数平均分子量22000であるナイロン6
〔宇部興産(株)社製、P1022〕を用いた以外は同
様にして複合繊維を得た。得られた複合繊維の諸物性を
表1および表2に示す。
トを芯成分を構成する熱可塑性ポリマ−として用い、芯
成分の無機微粒子として平均粒子径0.5μmの硫酸バ
リウム(比重4.35)70重量%を用い、芯成分とし
て二軸混練機で溶融混練してストランド状に押出し、ス
トランドを切断してペレット化した。一方、鞘成分とし
て二酸化チタン0.08重量%含有する極限粘度〔η〕
=0.80のポリエチレンテレフタレ−トを使用し、該
ポリエステルは常法により溶融重合しペレット化したも
のを使用した。
溶融押出しし、紡糸温度295℃、複合重量比率(芯成
分/鞘成分)1/2の同芯芯鞘型となるようにノズル部
で合流し、ノズル口径0.4mmφ、8ホ−ルのノズル
を用いて吐出させ、1000m/分の速度で巻き取っ
た。このとき得られた複合繊維を形成している鞘成分の
ポリエチレンテレフタレ−トの極限粘度〔η〕は0.7
5であった。
℃、ホットプレ−ト温度140℃で延伸倍率4.0倍で
延伸し、つづいて3%のオ−バ−フィ−ドを入れながら
ホットロ−ラ温度180℃で熱処理した後、75デニ−
ル/8フィラメントのマルチフィラメントを巻き取っ
た。このマルチフィラメント糸の断面形状を顕微鏡観察
したところ、芯鞘複合比率がいずれの繊維においてもま
た長さ方向においてもほぼ一定であり、毛羽もなかっ
た。また紡糸・延伸工程におけるトラブルの発生も認め
られなかった。延伸糸の繊維比重は1.52、強度は
4.1g/デニ−ル、タフネスは61.5であった。
投入して観察したところ、沈降性良好であり、海中での
網揺れも少なく、かつ耐久性に優れ、魚網として好適な
繊維であることが確認された。
ポリエチレンテレフタレ−トチップを用い、紡糸後の極
限粘度〔η〕が0.60となるように紡糸してこと以外
は実施例2と同様の方法で複合繊維を得た。その結果、
紡糸時、延伸時に毛羽がやや発生し、鞘成分の粘度が低
いため繊維強度が2.5g/デニ−ルと低く、実施例2
で得られた繊維よりも劣るものであった。
5重量%の混合物を使用した以外は実施例2と同様の方
法で複合繊維を得た。紡糸・延伸工程は良好で繊維化可
能であったが、繊維比重が1.45であり、実施例2で
得られた繊維よりも劣るものであった。
0.1μm、比重2.2の二酸化ケイ素粒子を用い(比
較例3)、平均粒子径1.0μm、比重2.5のカオリ
ン粒子を用い(比較例4)た以外は実施例2と同様にし
て複合繊維を得た。いずれも毛羽が多発いし、紡糸せ
い、延伸性はあまり良くなかった。得られた各々の複合
繊維の比重も、実施例2で得られた繊維よりも劣るレベ
ルのものであった。
15/85(比較例5)、15/85(比較例6)にし
た以外は実施例2と同様にして複合紡糸を行った。比較
例5においては繊維化が良好であったが、繊維比重性能
としてはレベルの劣るものであった。比較例6において
は紡糸性、延伸性が不良で毛羽、断糸が多発し、性能評
価できるレベルの繊維を得ることはできなかった。これ
ら各比較例の結果を表1および表2に示す。
(株)社製、P1011F〕を芯成分を構成する熱可塑
性ポリマ−として用い、芯成分の無機微粒子として平均
粒子径0.35μmの二酸化チタン〔チタン工業(株)
社製、比重4.2〕70重量%とを用い、芯成分として
二軸混練機で溶融混練してストランド状に押出し、スト
ランドを切断してペレット化し、100℃の窒素循環に
より水分率を460ppmにした。一方、鞘成分として
平均粒子径0.03μmのカ−ボンブラック(テグサ社
製)を1.5重量%含有する極限粘度〔η〕=0.80
のポリエチレンテレフタレ−トを使用し、該ポリエステ
ルは常法により溶融重合しペレット化したものを使用し
た。
同様にして紡糸、延伸し複合繊維を得た。該複合繊維の
鞘成分であるポリエチレンテレフタレ−トの極限粘度
〔η〕は0.75であった。また繊維比重は1.57、
強度は4.6g/デニ−ル、伸度は18%であり、魚網
用途として優れた性能を有していた。
15と同様にして複合繊維を得た。得られた複合繊維の
比重は1.53、強度は5.2g/デニ−ル、伸度は2
0%であり、紡糸性、延伸性ともに優れていた。
0重量%と平均粒子径1.0μm、比重5.5の酸化亜
鉛20重量%の混合物を使用した以外は同様にして複合
繊維を得た。得られた複合繊維の比重は1.58、強度
は4.5g/デニ−ル、伸度は15%であり、紡糸時に
若干の毛羽が発生したものの、延伸性に優れ、漁網用途
として優れた性能を有していた。
0重量%と平均粒子径2.0μm、比重3.9のアルミ
ナ20重量%の混合物を使用した以外は同様にして複合
繊維を得た。得られた複合繊維の比重は1.56、強度
は4.5g/デニ−ル、伸度は15%であり、紡糸時に
若干の毛羽が発生したものの、延伸性に優れ、漁網用途
として優れた性能を有していた。
0重量%と平均粒子径0.6μm、比重4.3の硫酸バ
リウム20重量%の混合物を使用した以外は同様にして
複合繊維を得た。得られた複合繊維の比重は1.57、
強度は4.5g/デニ−ル、伸度は14%であり、紡糸
時に若干の毛羽が発生したものの、延伸性に優れ、漁網
用途として優れた性能を有していた。実施例15〜19
で得られた複合繊維につき、各成分構成、繊維物性等を
表3および表4に示す。
成する熱可塑性ポリマ−として用い、芯成分の無機微粒
子として平均粒子径0.35μmの二酸化チタン60重
量%を用いて芯成分とし(水分率100ppm)、二酸
化チタン0.08重量%含有する極限粘度〔η〕=0.
95のポリエチレンテレフタレ−トを鞘成分として、別
々の押出機で溶融押出しし、紡糸温度300℃、複合重
量比率(芯成分/鞘成分)1/1の同芯芯鞘型となるよ
うにノズル部で合流し、ノズル口径0.5mmφ、20
0ホ−ルのノズルを用いて吐出させた。吐出糸条は、ノ
ズル直下に設けた20cm長、380℃の加熱帯域を通
過させた後、25℃、毎分7Nm3 の冷却風で冷却し、
オイリングロ−ラで紡糸油剤を付与し、紡糸速度600
m/分で引き取った。
伸、熱処理を以下の要領で実施し巻き取った。 延 伸:110℃の熱ロ−ルで加熱後、400℃の加熱
蒸気を噴射しつつ4.3倍に一段延伸。 熱処理:220℃の熱ロ−ルと弛緩ロ−ルとの間で3%
の熱収縮処理。 その結果、工程安定性は良好で、1004デニ−ル、強
度4.0g/デニ−ル、伸度18%、比重1.62の漁
網用繊維として実用性の高い繊維が得られた。
成する熱可塑性ポリマ−として用い、芯成分の無機微粒
子として平均粒子径0.35μmの二酸化チタン25重
量%と平均粒子径0.2μmのα型ヘマタイト粉末〔戸
田工業(株)社製、比重5.2〕50重量%との混合物
を用いて芯成分とし(水分率200ppm)、カ−ボン
ブラック(テグサ社製)1.0重量%含有する極限粘度
〔η〕=1.0のポリエチレンテレフタレ−トを鞘成分
として、別々の押出機で溶融押出しし、紡糸温度300
℃、複合重量比率(芯成分/鞘成分)1/2の同芯芯鞘
型となるようにノズル部で合流し、ノズル口径0.6m
mφ、100ホ−ルのノズルを用いて吐出させた。吐出
糸条は、ノズル直下に設けた20cm長、380℃の加
熱帯域を通過させた後、25℃、毎分7Nm3 の冷却風
で冷却し、オイリングロ−ラで紡糸油剤を付与し、紡糸
速度600m/分で引き取った。
伸、熱処理を以下の要領で実施し巻き取った。 延 伸:110℃の熱ロ−ルで加熱後、450℃の加熱
蒸気を噴射しつつ4.8倍に一段延伸。 熱処理:210℃の熱ロ−ルと弛緩ロ−ルとの間で4%
の熱収縮処理。 その結果、工程安定性は良好で、1002デニ−ル、強
度5.5g/デニ−ル、伸度19%、比重1.62の漁
網用繊維として実用性の高い繊維が得られた。
様にして複合繊維を製造したが、その結果、強度3.3
g/デニ−ル、伸度20%、比重1.54とわずかでは
あるが、繊維強度が本発明に達しない繊維が得られた。
延伸時に芯成分を構成する熱可塑性ポリマ−の流動性が
不十分であることに起因するものと思われ、延伸時に断
糸が多発した。
℃(実施例23)、256℃(比較例8)とした以外は
実施例20と同様にして複合繊維を製造した。その結
果、実施例22においては強度4.2g/デニ−ル、伸
度21%、比重1.63と高強度、高比重の複合繊維を
得ることができた。また実施例23においては強度3.
7g/デニ−ル、伸度15%、比重1.53の複合繊維
が得られた。比較例8においては繊維が一部融着し、断
糸した。
たところ、ノズル孔からビス落ちが生じ、全く紡糸不可
能であった。
とした以外は実施例5と同様にしてチップを作成し、複
合紡糸を試みた。剪断速度が1×101 sec-1の時、
芯成分の溶融粘度は30×103 ポイズ、鞘成分の溶融
粘度は7.0×103 ポイズであり、剪断速度が5×1
02 sec-1の時、芯成分の溶融粘度は0.08×10
3 ポイズ、鞘成分の溶融粘度は7.0×103 ポイズで
あった。すなわちa/bは剪断速度が1×101 sec
-1の時には4.3であり、剪断速度が5×102 sec
-1の時には0.02であった。この時、ノズル面で単糸
切れが多発し、紡糸が不可能であった。
添加された芯成分とポリエステルからなる鞘成分による
複合繊維を得ることにより、従来にない高強力と高比重
を兼ね備え、しかも定置網用繊維として公害問題がな
く、かつ好適な色相を有した複合繊維を提供することが
できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 比重が1以上の熱可塑性ポリマ−中に、
比重が3以上の非鉛系無機微粒子(但し、ストロンチウ
ムフェライトを除く)が50〜85重量%含有されてな
る芯成分と、該芯成分を覆う極限粘度が0.7以上のポ
リエステルからなる鞘成分とより構成され、300℃に
おける剪断速度が1.0×101 〜5×102sec-1
の全領域において、芯成分の溶融粘度aと鞘成分の溶融
粘度bとの比(a/b)が5.0〜0.05であり、該
芯成分と該鞘成分の複合重量比率が芯/鞘=20/80
〜70/30、繊維比重が1.5以上、タフネスが60
以上、かつ強度が3.5g/デニ−ル以上であることを
特徴とする複合繊維。 - 【請求項2】 非鉛系無機微粒子が、二酸化チタン、酸
化亜鉛、アルミナおよび硫酸バリウムからなる群より選
ばれる少なくとも1種の微粒子Aと酸化鉄微粒子Bとが
A/B=10/0〜3/7の重量比率で混合されてなる
混合微粒子であることを特徴とする請求項1記載の複合
繊維。 - 【請求項3】 酸化鉄微粒子が球状の酸化鉄微粒子であ
る請求項2に記載の複合繊維。 - 【請求項4】 二酸化チタンがルチル型である請求項2
又は3に記載の複合繊維。 - 【請求項5】 漁網用である請求項1〜4のいずれか1
項に記載の複合繊維。
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