JPH1060739A - 定置網 - Google Patents

定置網

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JPH1060739A
JPH1060739A JP21139396A JP21139396A JPH1060739A JP H1060739 A JPH1060739 A JP H1060739A JP 21139396 A JP21139396 A JP 21139396A JP 21139396 A JP21139396 A JP 21139396A JP H1060739 A JPH1060739 A JP H1060739A
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JP
Japan
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specific gravity
core
sheath
fiber
weight
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JP21139396A
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English (en)
Inventor
Chikara Honda
主税 本田
Hiroshi Takahashi
洋 高橋
Akio Tawara
昭夫 田原
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混繊や後染め等をしなくても十分に高い強
度、高い比重、さらに満足できる黒色を有する定置網を
提供する。 【達成手段】 芯部が高比重無機物質含有重合体から
なり、かつ、強度が4.0g/d以上、比重が1.45
以上、L値が20以下である熱可塑性芯鞘型複合繊維を
用いて編網することにより定置網を製造する。この複合
繊維は、芯部に0.1wt%以上の顔料を含有し、鞘部
に0.1〜6wt%以上の顔料を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度及び高比重
を有しかつ黒色であることが要求される定置網に関する
ものである。更に詳しくは、破網しにくく、フカレにく
く、更には廃棄処分時に公害等の問題を起こさない定置
網に関するものである。
【0002】
【従来の技術】定置網漁業において用いられる定置網
は、海中の一定の場所に長時間設置しておかれるもので
あるので、海流等によってフカレにくいことが必要であ
り、そのために網地の比重を高くすることが必要であ
る。そこで、定置網には、ナイロンを鞘、鉛金属を芯と
する高比重複合繊維が用いられてきた。
【0003】しかし、この鉛含有の高比重複合繊維は強
度が非常に低いので、通常のポリエステル繊維と混繊さ
せることによって強度を補強しなくてはならず、従来の
定置網では、その混繊糸が網地の素材として用いられて
きた。即ち、その混繊糸中において、低強度の鉛入り複
合繊維が高比重化の役割を受け持ち、通常のポリエステ
ル繊維が強度を受け持っている。
【0004】しかしながら、鉛入りの高比重複合繊維
は、鉛を繊維中に配するため、単糸繊度の太いモノイラ
メント状の繊維しか得られない。更には、鉛入りの複合
繊維は、延伸時にその芯部(鉛金属部)が十分に延伸さ
れないために、芯部が切断された断続状態が生じ易く、
その結果、繊維長手方向の繊維径が大きく変動し、太細
が不均一に存在する繊維となり、しかも、低強度のため
に編網時の撚糸によって断糸が発生し易い等の問題があ
った。
【0005】そこで、特開昭62−15327号公報で
は上記問題を改善するために、芯部を微細な鉛合金を含
有した熱可塑性重合体にする複合繊維が提案されてい
る。
【0006】しかし、この場合でも得られた複合繊維の
強度は、高々2.0g/d程度と極めて低く、これらの
複合繊維を単独で実用に供することは困難であり、通常
のポリエステル繊維と混繊・撚糸して編網し、定置網に
するといった繁雑な作業を行う必要があった。
【0007】更に、上記した鉛金属や鉛合金を用いた定
置網の場合、その廃棄時には、環境汚染防止のために、
鉛金属や鉛合金を回収する繁雑な作業が必要である。
【0008】また、高比重繊維としては、例えば特開昭
54−38921号公報、特開昭59−157312号
公報、特開昭61−613号公報および特開昭62−5
7918号公報に記載されているように、各種の熱可塑
性重合体に高比重物質、例えば二酸化チタン、硫酸バリ
ウム等を混練した組成物を紡糸して繊維とし、高比重繊
維とする技術が提言されている。
【0009】しかしながら、これら従来の技術では、目
標とする高比重を得るために多量の高比重物質を混練す
ることが必要であるので強度低下が著しく、ベースとし
て使用された熱可塑性重合体の持つ本来の物性には遠く
及ばない繊維物性しか得られないのが現状である。しか
も、熱可塑性重合体に高比重物質を混練してなる樹脂組
成物を単独で紡糸しているので、繊維表層に一部の高比
重物質が露出し、そのために、紡糸引取り時に給油ガイ
ドや集束ガイドの摩耗が促進され、更には延伸工程にお
いてロール表面を摩耗させたり傷をつけたりするという
弊害が生じ、操業性が極端に悪いという問題も有してい
る。
【0010】また、古来より定置網はその耐久性と漁獲
高を維持するために、網地をタールで処理し黒色化する
ことが行われており、現代でも定置網を形成する素材原
糸は原着や後染め等によって黒色化することが必要とさ
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、前記した高比
重繊維でも、定置網用とするためには顔料添加等の手法
により黒色化することが必要であるが、二酸化チタンや
硫酸バリウム等の白色系の高比重物質を用いる場合に
は、黒色の発色性が悪く、いわゆる白ボケしてL値が十
分に低くできないという問題があり、更に後染め等によ
って黒色化した後に、定置網に用いることが必要であっ
た。
【0012】そこで、本発明は、上記した従来技術にお
ける問題を解消し、混繊や後染め等をしなくても十分に
高い強度、高い比重、さらに満足できる黒色を有する定
置網にすることを主たる目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、定置網を、芯部が高比重無機物質含有
重合体からなり、強度が4.0g/d以上、比重が1.
45以上、L値が20以下である熱可塑性芯鞘型複合繊
維を用いて編網することを特徴とする。
【0014】その芯鞘型複合繊維は、芯部に0.1wt
%以上の顔料を含有し、鞘部には0.1〜6wt%の顔
料を含有することが好ましく、また、繊維内部に空洞も
空隙も実質的に存在しないか、又は、空洞や空隙が、繊
維断面積に対して5%未満とすることが好ましい。ま
た、芯部を12重量%以上、80重量%未満の高比重無
機物質を含有する熱可塑性重合体から構成し、さらに、
複合繊維に占める芯部の割合を9重量%以上、60重量
%未満とすることが好ましい。さらにまた、芯部に含有
させる高比重無機物質の50重量%以上は、比重3.5
以上のバリウム化合物及び/又はチタン化合物、特に、
硫酸バリウム及び/又は酸化チタンであることが好まし
く、さらに、その単糸繊度は8.5d以上であることが
好ましい。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
定置網には、芯部が高比重無機物質含有重合体からな
り、強度が4.0g/d以上、比重が1.45以上、L
値が20以下である熱可塑性芯鞘型複合繊維を用いるこ
とが必要である。
【0016】強度が4.0g/d未満の繊維では、単独
で製網しても、機械的強度が低いため、通常の使用法で
用いても破網、切断が発生する弱い定置網しか得られ
ず、他の繊維との混繊による強度補強が必要となる。従
って、本発明の目的達成のためには、強度4.0g/d
以上が必要である。
【0017】比重は1.45以上が必要であり、更に
1.50以上であることが好ましい。比重が1.45未
満では定置網として海中に投入した際に、海水の流動に
より定置網が動くという所謂フカレ現象が発生し、定置
網の耐久性が低下すると共に漁獲高も減少する。
【0018】さらに、L値が20以下という十分な黒色
を有することが必要であり、更に19以下であることが
特に好ましい。L値が20を越える白ボケした原糸でも
って編網された定置網は、漁獲高が低くなるという理由
で実用化されない。
【0019】前記した、本発明の定置網の特性は以下に
記載する要件を満たすことによって得ることができる。
【0020】定置網を構成する熱可塑性芯鞘型複合繊維
に占める芯部の割合を9重量%以上、60重量%未満と
することが、所望の強度及び比重を得るために好まし
い。その芯部の割合が9重量%未満では比重1.45以
上とすることが困難である。逆に、その芯部の割合が6
0重量%以上では強度4.0g/d以上とすることが困
難である。
【0021】その芯部は高比重を付与するための高比重
無機物質を12重量%以上、80重量%未満含有した熱
可塑性重合体で構成されることが、所望の比重の繊維と
するために好ましい。その高比重無機物質の含有量が1
2重量%未満では比重1.45以上が得られ難い。逆
に、その高比重無機物質の含有量が80重量%以上で
は、比重1.45以上は得られるものの、芯部を構成す
る熱可塑性重合体の曳糸性が低下し紡糸性が不良とな
り、工業的生産が困難となる。
【0022】芯部に含有させる高比重無機物質は、その
無機物質の50wt%以上好ましくは全量が、硫酸バリ
ウムのような比重3.5以上のバリウム化合物及び/又
は酸化チタンのような比重3.5以上のチタン化合物で
あることが好ましい。
【0023】さらに所望の低いL値を得るために、芯部
および鞘部に0.1wt%以上のチタンブラック、鉄
黒、カーボンブラック等の黒色顔料を含有させる。芯部
および鞘部に含有させる黒色顔料の量が0.1wt%未
満では20以下のL値を得ることは困難である。
【0024】また、鞘部が含有する黒色顔料は0.1〜
6wt%が好ましい。鞘部に含有させる黒色顔料の量が
6wt%を越えると、20以下のL値は得られるもの、
強度4.0g/dが得られない場合があり好ましくな
い。
【0025】L値を20以下にするために、芯部や鞘部
用の熱可塑性合成重合体(組成物)中に顔料を含有させ
る方法に限定はないが、その具体例としては、芯部や鞘
部用の熱可塑性重合体の重合段階や溶融紡糸前の段階等
で所定量の顔料を添加、混合する方法、又は、予め多量
の顔料を熱可塑性重合体にブレンドし溶融した後冷却し
たガットをチップ状にカットして黒色顔料マスターチッ
プを作成しておき、これを芯部や鞘部を構成する熱可塑
性重合体と定量ブレンドして所定濃度とする方法等が挙
げられる。
【0026】さらに、熱可塑性芯鞘型複合繊維は、繊維
内部に空洞や空隙ができる限り存在しないことが繊維の
比重を高めるために好ましい。それら空洞や空隙が存在
する場合には、繊維の断面積に対する割合で5%未満の
少量とする。更に4%以下が好ましい。
【0027】熱可塑性重合体に多量の高比重無機物質を
含有させた繊維を、高い延伸倍率で延伸を行なうと無機
物質と熱可塑性重合体との間に亀裂が発生し易く、この
亀裂は無機物質が凝集した部分の周りでは大きな空洞や
空隙となって繊維体積を増大させる。この繊維内部の空
洞や空隙の中には空気が存在しているので、その割合が
5%以上となると、含まれる空気のために複合繊維の比
重を所望水準まで高められ難くなる。即ち、このような
繊維を水中で使用すると、水中で受ける浮力が大きくな
り水中での比重が低下し、高比重性を得るために芯部中
に高比重無機物質を含有させた効果が十分に発揮できな
い。
【0028】繊維内部に発生する空洞や空隙を減少もし
くは皆無にする手法としては、芯部中に含有させる高比
重無機物質と芯部に用いる熱可塑性重合体とを濡れ性の
良い組み合わせにする方法や、高比重無機物質の表面を
改質し濡れ性を向上させる方法等がある。
【0029】また、製糸条件によって、芯部中に発生す
る空洞や空隙を減少もしくは皆無にする手法としては、
製糸時の延伸倍率を低くする方法等が用いられる。延伸
倍率としては5.5倍以下が好ましく、5.0倍以下が
特に好ましい。このような低延伸倍率でも、糸条の粘
度、単糸太さ、ドラフト率、単糸数等を調整することに
よって所望の強度を得ることができる。また延伸の2段
目以降の延伸温度及び熱セット温度を高温化することも
有効であり、前記した手法を適宜組み合わせて用いるこ
とが好ましい。
【0030】本発明の定置網を構成する熱可塑性芯鞘型
複合繊維の芯部として用いる熱可塑性重合体は紡糸温度
で分解せず溶融状態となりうる重合体であれば特に限定
されず、例えば、鞘部の重合体よりも低重合体とするこ
ともできる。
【0031】また、その熱可塑性芯鞘型複合繊維の鞘部
に用いる熱可塑性重合体は、紡糸可能でかつ配向による
高強度化が可能であれば限定されないが、特に高重合度
のポリエステル系重合体(極限粘度0.8以上)やポリ
アミド系重合体(硫酸相対粘度2.9以上)を用いるこ
とが好ましい。
【0032】その芯部用や鞘部用の具体的な熱可塑性重
合体としては、例えばオレフィン系重合体としてポリエ
チレン、ポリプロピレン等;ビニル系重合体としてポリ
ビニルアルコール、ポリスチレン等;ポリエステル系重
合体としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等;ま
た、ポリアミド系重合体としてはポリヘキサメチレンア
ジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリカプラ
ミド等が挙げられるが、特にポリエステル系重合体およ
びポリアミド系重合体が好ましい。
【0033】これらの熱可塑性重合体はそれらの本来の
性質を損ねない範囲であれば他の共重合成分、耐候剤、
酸化防止剤等を必要に応じて10重量%以下含んでいて
も良い。
【0034】芯部および鞘部を構成する熱可塑性重合体
は互いに相溶性の良い組み合わせとすることが好まし
く、共にポリエステルであることが特に好ましい。芯部
と鞘部との熱可塑性重合体が相溶性の悪い組み合わせで
あると、芯鞘界面での剥離が生じ易く、鞘部の脱落や芯
部の露出を誘発しやすいので好ましくない。本発明の定
置網を構成する熱可塑性芯鞘型複合繊維の単糸繊度は
8.5d以上が好ましい。単糸繊度が8.5d未満と細
過ぎる場合は、水中から引上げた時の水切れが悪いの
で、漁網の重量が重くなるという問題があり、好ましく
ない。
【0035】
【発明の実施の形態】上述した本発明の定置網は、次の
方法によって製造することができる。
【0036】芯部として用いる高比重無機物質含有熱可
塑性重合体は、常法で重合して得られた熱可塑性重合体
と、適宜選択された高比重無機物質とを、それぞれ計量
し、溶融混練することによって得られる。これに黒色顔
料を含有させる場合、前記無機物質含有の熱可塑性重合
体を得る時に、顔料も計量し、溶融混練することもでき
るし、また、高比重無機物質含有熱可塑性重合体に、予
め作成しておいた黒色顔料マスターチップを計量ブレン
ドすることも可能である。このようにして得られた、無
機物質さらには顔料を含有する熱可塑性重合体は、一旦
チップ化された後そのまま紡糸に供してもよいし、ま
た、必要に応じて再度高重合化して使用してもよい。
【0037】一方、鞘部として用いる熱可塑性重合体
は、常法によって重合して得られたものに、必要に応じ
て配合される添加剤とともに顔料を計量して添加し溶融
混練することもできるし、また、予め作成しておいた黒
色顔料マスターチップを計量ブレンドすることも可能で
あり、芯部の場合と同様に、再度高重合化して使用して
もよい。
【0038】これら芯部用の重合体組成物、及び、鞘部
用の重合体(組成物)は、それぞれ別々のエクストルー
ダで溶融された後、複合パックに導かれ、複合紡糸口金
内で芯鞘型複合流を形成された後に紡糸口金から吐出さ
れる。その複合の形態は、単純芯鞘型、芯複数型、多重
芯鞘型、芯異形型等、特に限定するものではなく、所望
の特性や用途等に応じて選択すればよい。
【0039】吐出された芯鞘型複合繊維は、紡糸口金直
下に設置された加熱雰囲気域を通して遅延冷却される。
その後に、冷却域に導入されて冷却風を吹き付けられ、
紡糸筒を通過して糸条を形成する。
【0040】前記加熱雰囲気域の温度は120〜350
℃、その長さは5〜300cmであればよく、この加熱
雰囲気域の条件は、紡出される糸条の粘度、単糸太さ、
ドラフト率、単糸数等の設定条件によって選択すればよ
い。
【0041】前記冷却域では、常温空気のような120
℃未満の気体を、15〜50m/分の速度で吹き付けれ
ばよい。この冷却域の条件も、紡出される糸条の粘度、
単糸太さ、ドラフト率、単糸数等の設定条件によって選
択すればよい。
【0042】加熱雰囲気域および冷却域における各条件
を前記の範囲内とすることによって、紡出糸条の冷却配
向パターンを適切なものとすることができる。
【0043】前記加熱雰囲気域および冷却域を通過し、
冷風によって冷却固化された紡出糸は、紡糸油剤を付与
され、2000m/分以下、好ましくは1500m/分
以下で回転するロールに巻回されたのち、引き続き又は
一旦巻き取った後に、延伸される。紡糸速度が2000
m/分を越えると、製糸毛羽、延伸糸切れの発生が頻繁
になり製糸性が悪化するので好ましくない。
【0044】延伸は1段以上の多段延伸が好ましい。2
段以上の多段の延伸を行う場合は、1段目の延伸配分は
全延伸配分の50〜80%範囲が好ましく、この範囲を
外れると毛羽、糸切れの発生頻度が高くなることもあ
る。
【0045】延伸温度は1段目の延伸に供する糸条の温
度を150℃以下とするのが好ましい。一段目の延伸に
供する糸条の温度が150℃を越えると、結晶化が進行
し2段目以降の延伸が困難となる。2段目以降の延伸、
熱セット温度は、鞘部に用いる重合体(組成物)の融点
よりも40℃低い温度以上の高温とすることが好まし
い。
【0046】糸条に延伸に必要な熱を与える方法として
は、ロール加熱、スチーム加熱、熱液加熱等の公知の手
法を用いればよい。
【0047】延伸が完了した糸条は、必要に応じて弛緩
処理を施すか、またはそのまま巻き取られる。
【0048】上記したように、定置網用に好適な、高強
度及び高比重を有しかつL値が低い熱可塑性芯鞘型複合
繊維を、工業的に容易に製造するためには、特に、鞘部
を構成する熱可塑性重合体として高重合度の重合体を用
いて高強度を得、比較的低紡速(2000m/分以下)
で紡糸し、比較的低倍率(5.5倍以下)で延伸し、2
段目以降の延伸、熱セット温度を高温とし、繊維内部に
発生する空洞や空隙等の発生を制御し高い比重を得た熱
可塑性芯鞘型複合繊維とすることが好ましい。
【0049】得られた芯鞘型複合繊維の糸条は、定置網
の編網に用いられる。定置網はその網地構成、網糸の結
節方法および網の施設場所等によって数種類に分類され
るが、本発明の定置網はその種類を特に限定するもので
はない。以下に、定置網の代表的な漁網である無結節漁
網の一般的な編網方法を示すが、定置網には編み方によ
りいくつかの種類があり、以下の製造方法に限定される
ものではない。
【0050】延伸巻取した糸条を数本から数十本引き揃
え、網糸として必要な繊度とする。引き揃えた糸は、下
撚りをかけ下撚糸となし、さらに下撚糸を2本合わせて
撚って上撚りをかけることにより網糸を構成しながら、
網糸を互いに組み合わせて結節部を形成し、同時に網目
を作っていく竪型無結節編網機によって無結節の定置網
とする。
【0051】かくして得られた本発明の定置網は、混繊
や後染色等をしなくても、高強度かつ高密度でしかも十
分に低いL値を有しており、定置網として極めて有用で
ある。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の物性は次の様に測定した。
【0053】A.比重:比重びんを使用して見掛け密度
を測定した。
【0054】B.原糸強度:試料を20℃、65%RT
の温調室に24時間以上放置した後、(株)オリエンテ
ック社製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、
引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強度を算出し
た。
【0055】C.原糸のL値:SMカラーコンピュータ
(積分球式2光路方式:スガ試験機(株)製)を用い、
反射法により試料照射面積12mmΦで測定した。試料
となる原糸を、L値90以上のサンプル台に隙間なく、
1〜3重に巻き付け測定した。
【0056】D.硫酸相対粘度(ηr):試料1gを9
8%硫酸100mlに溶解し、オストワルド粘度計で2
5℃で測定した。
【0057】E.極限粘度(IV):試料8gをオルソ
クロロフェノール100mlに溶解し、溶液粘度(η)
をオストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、次の近
似式により極限粘度(IV)を算出した。 IV=0.0242η+0.2634
【0058】F.網糸直線強力:網の脚部を試料とし、
20℃、65%RTの温調室に24時間以上放置した
後、(株)オリエンテック社製テンシロン引張試験機を
用い、試長3cm、引取速度30cm/分で測定した。
【0059】G.網地のL値:SMカラーコンピュータ
(積分球式2光路方式:スガ試験機(株)製)を用い、
反射法により試料照射面積12mmΦで測定した。この
際、網地を束として隙間を無くして測定した。
【0060】[実施例1〜5及び比較例1〜6]極限粘
度1.2のポリエチレンテレフタレート(PET)に、
無機物質として比重4.3の沈降性硫酸バリウム(Ba
SO4 )を、後述の黒色顔料PETマスターチップとブ
レンドした後に表1に示す含有量となる割合で添加混合
し、溶融混練した後、3.0mmΦの口金から吐出し、
冷却した後カットして、芯部として用いるチップ状の硫
酸バリウム含有ポリエチレンテレフタレートを得た。こ
の硫酸バリウム含有チップに、カーボンブラック(顔
料)を20wt%含有するポリエチレンテレフタレート
チップ(以下、黒色顔料PETマスターチップという)
をブレンドして、表1及び表2に示す顔料含有量及び高
比重無機物質含有量のブレンドチップとし、温度130
℃の回転式真空乾燥機で12時間乾燥し、チップの水分
率を0.002%以下とした。
【0061】鞘部として用いる熱可塑性重合体組成物と
しては、常法によって得た極限粘度1.2、チップ水分
率0.002%以下のポリエチレンテレフタレート(P
ET)に、水分率0.002%以下の黒色顔料PETマ
スターチップを表1及び表2に示す顔料添加量となる割
合でブレンドしたものを準備した。
【0062】前記の芯部用ポリマおよび鞘部用ポリマは
各々別々のエクストルダ型紡糸機で溶融した後、複合紡
糸パック中に導き、芯鞘複合紡糸口金より、芯部が硫酸
バリウム含有ポリエチレンテレフテレート、鞘部がポリ
エチレンテレフタレートで、表1に示す芯鞘複合比率の
芯鞘複合繊維として紡出した。
【0063】その際、芯部ポリマは275℃で、鞘部ポ
リマを290℃で、それぞれ溶融させ、290℃に加熱
した複合紡糸パックによって紡出した。
【0064】紡糸口金の孔径は0.6mmΦ、孔数は6
0ホールであり、口金直下には30cmの加熱筒を取り
付け、筒内雰囲気温度が320℃となるように加熱し
た。筒内雰囲気温度とは口金面より10cm下の位置
で、且つ最外周糸条より1cm離れた位置で測定した雰
囲気温度である。
【0065】加熱筒の下には長さ40cmの環状型チム
ニーを取り付け、糸条の周囲より25℃で40m/分の
冷風を糸条に直角に吹き付け、冷却した。次いで油剤を
付与した後、表1に示す速度で回転する引取ロールによ
り糸条速度を制御した後、一旦巻取ることなく連続して
延伸した。
【0066】延伸は3対のネルソン型ロールによって2
段延伸した後、次のネルソンロ−ル間で3%のリラック
スを与えて巻取った。引取ロ−ル温度を130℃とし、
引取ロ−ルと180℃に加熱した第1延伸ロールとの間
で1段目の延伸を行い、第1延伸ロ−ルと235℃に加
熱された第2延伸ロールとの間で2段目の延伸を行っ
た。次のネルソンロールは非加熱の延伸後の張力調整と
して使用した。1段延伸倍率は全延伸倍率の78%、残
りを2段目で延伸した。延伸の後に巻取った糸条の繊度
は約1000デニールであった。
【0067】かくして得られた延伸糸(原糸)の特性に
ついて評価した結果は表1及び表2のとおりであった。
また、得られた複合繊維は、いずれも、繊維内部の空隙
や空洞の割合は0〜5%であった。
【0068】さらに、前記延伸糸を24本引き揃え下撚
りをかけて下撚糸となし、通常の方法によって、竪型無
結節編網機を用いて目合150mmの無結節の定置網を
製造した。かくして得られた、無結節定置網の特性につ
いて評価し、あわせて表1および表2に示した。
【0069】[実施例6]芯部の含有する高比重無機物
質を硫酸バリウム(BaSO4 )から、比重3.9の酸
化チタンに変更した以外は、実施例3と同様にして製糸
した後、編網して無結節定置網とした。その結果も表2
にあわせて記載した。
【0070】[実施例7]高比重無機物質を含有させる
芯部用熱可塑性重合体を、ポリエチレンテレフタレート
から硫酸相対粘度3.4のポリヘキサメチレンアジパミ
ド(N66)と変更し、鞘部用の熱可塑性重合体を、ポ
リエチレンテレフタレートから硫酸相対粘度3.4のポ
リヘキサメチレンアジパミド(N66)に変更し、芯部
用重合体や鞘部用重合体にブレンドさせる黒色顔料マス
ターチップを、黒色顔料ナイロンマスターチップ(カー
ボンブラックを20wt%含有したポリカプラミド(N
6))に変更し、さらに、芯部/鞘部の複合比率を50
/50に変更した以外は、実施例4と同様にして製糸
し、N66系の高比重芯鞘型複合繊維を製造した。その
際の延伸温度は、2段目の延伸ロール温度を210℃に
変更した。
【0071】得られたN66系複合繊維を用いて、実施
例1と同様の方法で編網して無結節定置網とした。その
結果も表2にあわせて記載した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】表1、2に示すとおり、本発明の定置網
は、十分に高い強度、高い比重、さらに満足できる黒色
を有していた。これに対し、本発明の条件外の複合繊維
からは、強度、比重及び黒色の全てが良好な定置網は得
られなかった。なお、高比重無機物質の含有量が多過ぎ
た比較例4は曳糸性が悪く繊維として巻取ることができ
なかった。
【0075】
【発明の効果】本発明によると、混繊や後染め等をしな
くても十分に高い強度、高い比重、さらに満足できる黒
色を有する定置網とすることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/46

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部が高比重無機物質含有重合体から
    なり、かつ、強度が4.0g/d以上、比重が1.45
    以上、L値が20以下である熱可塑性芯鞘型複合繊維を
    用いて編網されたことを特徴とする定置網。
  2. 【請求項2】 芯部にも鞘部にも0.1wt%以上の
    顔料が含有されることを特徴とする請求項1記載の定置
    網。
  3. 【請求項3】 鞘部に含有される顔料が0.1〜6w
    t%であることを特徴とする請求項2記載の定置網。
  4. 【請求項4】 芯鞘型複合繊維の繊維内部に空洞も空
    隙も実質的に存在しないか、又は、繊維内部に空洞や空
    隙が、繊維断面積に対する割合が5%未満で存在するこ
    とを特徴とする請求項1記載の定置網。
  5. 【請求項5】 芯部中の高比重無機物質の含有量が1
    2重量%以上、80重量%未満であり、かつ、芯部の複
    合割合が9重量%以上、60重量%未満であることを特
    徴とする請求項1記載の定置網。
  6. 【請求項6】 芯部に含有される高比重無機物質の5
    0重量%以上が、比重3.5以上のバリウム化合物及び
    /又はチタン化合物であることを特徴とする請求項1記
    載の定置網。
  7. 【請求項7】 芯部に含有される高比重無機物質の5
    0重量%以上が、硫酸バリウム及び/又は酸化チタンで
    あることを特徴とする請求項1記載の定置網。
  8. 【請求項8】 複合繊維の単糸繊度が8.5d以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の定置網。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100470297B1 (ko) * 2002-08-01 2005-02-05 주식회사 효성 흑색 원착 소광성 폴리에스터 섬유
JP2011234718A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 National Fisheries Research & Development Inst 漁網用生分解性樹脂組成物及びこれを利用した漁網の製造方法

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KR100470297B1 (ko) * 2002-08-01 2005-02-05 주식회사 효성 흑색 원착 소광성 폴리에스터 섬유
JP2011234718A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 National Fisheries Research & Development Inst 漁網用生分解性樹脂組成物及びこれを利用した漁網の製造方法

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