JPH1143823A - 複合繊維およびその製造方法 - Google Patents

複合繊維およびその製造方法

Info

Publication number
JPH1143823A
JPH1143823A JP19765097A JP19765097A JPH1143823A JP H1143823 A JPH1143823 A JP H1143823A JP 19765097 A JP19765097 A JP 19765097A JP 19765097 A JP19765097 A JP 19765097A JP H1143823 A JPH1143823 A JP H1143823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
fiber
specific gravity
sheath
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19765097A
Other languages
English (en)
Inventor
Chikara Honda
主税 本田
Akio Tawara
昭夫 田原
Yuhei Maeda
裕平 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP19765097A priority Critical patent/JPH1143823A/ja
Publication of JPH1143823A publication Critical patent/JPH1143823A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の高比重繊維における問題点を解決
し、高比重、高強度でかつ高発色性を有する複合繊維で
あって、工業的な製造が容易な高比重複合繊維を提供す
る。 【構成】 (1)芯成分および鞘成分がポリエステル
である芯鞘型複合繊維であり、糸中の粒子含有量が15
重量%以上となるように高比重粒子を芯部に含有し、か
つ芯部に不連続で楕円体状のボイドを有することを特徴
とする高発色性高比重複合繊維。 (2)粒子含有量が40重量%以上で共重合比率が鞘成
分より7〜15モル%高いポリエステルからなる芯成分
と、低共重合ポリエステルからなる鞘成分とを芯鞘複合
紡糸し、延伸、熱処理、リラックス処理することを特徴
とする高発色高比重複合繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合繊維およびそ
の製造方法に関するものである。さらに詳細には、芯成
分に高比重粒子を含有するポリエステル系複合繊維であ
って、高比重、高強度であるとともに、黒または有彩色
の発色性が高い複合繊維およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】漁網、ロープ、消波網などの一般産業用
繊維として、また、緞帳、暗幕などの室内装飾用繊維と
して高比重繊維が要望されてきた。これは、海洋用途に
おいては海流、潮流による製品のフカレを抑制すること
により漁獲高、係留、消波等の効果が高くなるためであ
り、室内装飾用途においては製品のオチ感や風による揺
れの防止による落ち着いた雰囲気の創出のためである。
【0003】また、これらの用途の多くは、従来から染
色や原着などにより有彩色や黒色の繊維として用いられ
ることが一般的である。室内装飾はいうに及ばず、漁網
においても特定の色調において漁獲高が確保されるとい
う面があることが業界では知られていることである。
【0004】高比重繊維という点では、一部の漁網で
は、ナイロンを鞘成分、鉛金属を芯成分とする複合繊維
が実用化されている。しかしながら、ナイロンを鞘成
分、鉛金属を芯成分とする複合繊維は、延伸時にその芯
部(鉛金属部)が十分に延伸されないために、芯部が切
断された断続状態が生じ、その結果、繊維長手方向の繊
維径が大きく変動し、太細が不均一化に存在する繊維と
なり低強度の繊維となる。したがって、これらの複合繊
維を単独で実用に供すことは困難であり高強度繊維と合
糸して用いるが、その際にも、製網時の撚糸性が低下す
るなどの問題があった。
【0005】また、特開昭62−15327号公報に
は、上記問題を解決するために、微細な鉛合金粒子を含
有した熱可塑性重合体を芯成分とする高比重複合繊維が
開示されているが、鉛金属や鉛合金を用いた繊維の場
合、焼却時や廃棄後に鉛害が発生するため環境汚染の観
点から安易に使用することができない。
【0006】これらの観点から、特開平8−33792
4号公報などでは、芯成分の熱可塑性重合体に非鉛系金
属またはその化合物からなる粒子を配合した芯鞘型複合
繊維が提案されている。
【0007】しかしながら、これら従来の技術では、延
伸中に芯成分の粒子と熱可塑性重合体との間に発生する
ボイドをコントロールすることができず、低比重でかつ
発色性の低い複合繊維しか得られなかった。また、前記
特開平8−337924号公報による複合繊維は、芯成
分と鞘成分との界面の相溶性が無く、ピンセット等で簡
単に芯成分と鞘成分とを剥離させることができるため、
剥離面での光散乱のために発色性が低下し、漁網、緞
帳、暗幕といった分野には用いることができないという
問題も有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記した従来の技術における問題点を解消し、高強
度、高比重であるとともに高い発色性と耐摩耗性を兼ね
備え、漁網等の一般産業用や室内装飾用等の高比重繊維
として有用な複合繊維を提供することにある。なお、本
発明で目標とする繊維強度は4.5g/d以上、繊維比
重は1.54以上である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の複合繊維は次の構成を有する。すなわち、芯成
分および鞘成分がポリエステル系ポリマである芯鞘型複
合繊維であって、複合繊維中の粒子含有量が15重量%
以上であり、芯部に不連続で楕円体状のボイドを有する
ことを特徴とする複合繊維である。
【0010】また、本発明の複合繊維の製造方法は次の
構成を有する。すなわち、高共重合率の芯成分ポリマと
低共重合率の鞘成分ポリマとの共重合比率の差が7〜1
5モル%であるポリエステル系ポリマを用い、芯成分ポ
リマに高比重粒子を40重量%以上含有させて芯鞘複合
紡糸し、延伸、熱処理、リラックス処理することを特徴
とする複合繊維の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の複合繊維は、芯鞘複合繊維であ
る。芯鞘型とすることにより、芯成分中に高比重粒子を
存在せしめるためこれら粒子が繊維表面に露出すること
が無くなり、撚糸、製織、編網等の高次加工装置の摩耗
を防いでこれらの工程での通過性を良好とし、かつ比重
の高い繊維とすることができる。この観点からは、実質
的に同心円状芯鞘複合であることが好ましく、これによ
り鞘部の厚みを最大限に利用して強度、耐久性を向上さ
せ、芯成分に含有する高比重粒子によって高比重化を達
成することができる。複合形態は3重、4重の多重同心
状複合や多芯複合でも良いが、強度、耐久性の観点から
単純な2重同心状複合が好ましい。
【0013】本発明の複合繊維の芯成分および鞘成分
は、ポリエステル系ポリマ(以下、ポリエステルという
ことがある)である。芯成分および鞘成分をポリエステ
ル系ポリマとすることにより、高強度、高比重で、耐摩
耗性の良好な繊維が得られる。また、両成分をポリエス
テル系ポリマとすることにより、両成分の界面の相溶性
を良好とし、剥離を抑制することができ、漁網、緞帳、
暗幕といった発色性の要求される分野に適するものとす
ることができる。
【0014】本発明でいうポリエステル系ポリマとは、
主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレート、ト
リメチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレ
ート、またはエチレンナフタレートを有するポリエステ
ル系ポリマである。
【0015】本発明の複合繊維においては、高発色を容
易に得るとともに製造条件の変動によっても安定してム
ラなくボイドを形成でき、一方、芯成分の熱分解が激し
くなって製糸性を悪化させてしまうことのないよう、高
共重合率の芯成分ポリマと低共重合率の鞘成分ポリマを
用い、芯成分ポリマと鞘成分ポリマの共重合比率の差は
7〜15モル%とするのが好ましい。
【0016】本発明でいう共重合率とは、共重合ポリエ
ステルの全酸成分に対する共重合酸成分のモル分率Pa
(モル%)と、共重合ポリエステルの全グリコール成分
に対する共重合グリコール成分のモル分率Pb(モル
%)の和、すなわち次式で求められる値である。
【0017】P=Pa+Pb 本発明の複合繊維に用いる共重合ポリエステルの共重合
成分としては、芳香族ジカルボン酸類、脂肪族ジカルボ
ン酸類、脂肪族ジオール類、脂環式ジオール類、芳香族
ジオール類あるいはこれらにエチレンオキサイドなどを
付加したジオール類を用いることができ、具体的にはイ
ソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、1,4−ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、トリメチレングリコール、分子量60
0〜6000程度のポリエチレングリコール、シクロヘ
キサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールス
ルホン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、
ビスフェノールスルホンのエチレンオキシド付加物など
を好ましく用いることができる。
【0018】一方、鞘成分として用いるポリエステル
は、常法の重合法によって得られたポリエステルを固相
重合し、高重合度化したものが好ましい。この際、鞘成
分のポリエステルは、高強度と耐摩耗性が得られやすい
固有粘度0.8以上、さらには1.0以上のポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく、実質的に共重合成分を含
まないことが好ましい。これにより、得られる複合繊維
の鞘成分の固有粘度は0.8いかとすることができる。
この場合、鞘成分のポリエステルの固有粘度は芯成分の
ポリエステルより0.3以上高いことが好ましい。鞘成
分の固有粘度を高くすることにより、延伸時の応力を鞘
成分に集中させ芯成分の流動性を向上させて微細ボイド
を抑制する効果が得られる。
【0019】ここで、実質的に共重合成分を含まないと
は、ポリエステル重合終了以前の段階で主たる繰り返し
単位となるエステル形成性分子以外に、1重量%以上の
エステル形成性分子を積極的に配合しないことをいう。
また高強度と耐摩耗性を得るために、鞘成分のポリエス
テル系ポリマの粒子含有量は2重量%以下であることが
好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。
【0020】本発明においては、高比重化を目的として
高比重粒子を主として芯成分に含有させる。本発明の目
的を達成できる限りにおいて高比重粒子を鞘成分に含有
させることはかまわない。
【0021】ここで高比重粒子とは、比重が2.5以上
である粒子のことをいう。このような高比重粒子として
は、バリウム、チタン、アルミ、鉄、銅、タングステン
等の金属粒子、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、酸化第二鉄等の金属化合物が挙げられる。これら粒
子の中でも、硫酸バリウムを用いることにより、ポリマ
配管、パック内および口金でのポリマ流動異常およびポ
リエステルポリマ中での凝集を抑制させ、操業性の低下
が防げることから、高比重粒子としては硫酸バリウムが
特に好ましい。
【0022】また、含有させる高比重粒子の粒径および
粒径分布については特に限定するものではないが、繊維
化を図る観点で製糸性が良好であることが必要であり、
なるべく小さい粒径で分布の均一な粒子を用いることが
好ましい。このためには、平均粒径は1.0μm以下が
好ましい。
【0023】本発明の複合繊維においては、上記高比重
粒子を複合繊維中の粒子含有量として15重量%以上含
有させる。15重量%未満では、本発明の目的とする繊
維比重である1.54以上が得られない。複合繊維中の
高比重粒子含有量は20重量%以上が好ましいが、含有
量が高すぎる場合には本発明の他の目的である高強度化
が図りにくく、このためにはこの含有量は35重量%以
下が好ましく、30重量%がより好ましい。本発明の複
合繊維においては、容易に高比重化するために芯成分の
ポリエステルの粒子含有量は40重量%以上とすること
が好ましい。
【0024】本発明の複合繊維は、芯部に不連続のボイ
ドを有することが必要である。不連続的にボイドが存在
するとは、繊維軸の長手方向に連続するボイド(空隙)
が存在しないことであり、ボイドが連続的である場合に
は本発明の目的である高比重と高発色性が達成できな
い。
【0025】本発明の複合繊維の芯部には、楕円体状の
非連続的ボイドが存在する。従来の高比重繊維には、粒
子を高濃度に繊維に含有させた場合に生じる特有の微細
ボイドや亀裂状のボイドが多数存在しており、これら微
細ボイドや亀裂状のボイドの界面での光散乱により、有
彩色や黒色が白く濁った発色性の劣った繊維となってし
まう。これに対し、ボイドを楕円体状に形成することに
より、ボイド界面の面積は減少し発色性は向上する。こ
の楕円体状のボイドの大きさは、換算直径(同一容積の
球の半径)で、通常2μm以上、芯部直径以下である。
微細ボイドが1μm以下の小さいものであるのに対して
比較的大きく、このために散乱光が少なくなり発色性が
向上するものと考えられる。さらには、このボイドは芯
部の任意の位置に形成されるため、芯部の鞘部との境界
部に位置しない限り、入射光または散乱光が高比重粒子
によって遮断されるため、本発明の光発色の効果が相乗
的に発揮される。
【0026】また、楕円体状のボイドが形成されること
により、繊維比重が上昇することも本発明の繊維の利点
である。高比重化する機構については不明な点もある
が、楕円体状のボイドが形成される際に、形成された直
後の微細ボイドや亀裂状のボイド中の真空部を集合させ
るために、繊維体積を収縮させる力が働くためと思われ
る。
【0027】楕円体状とは、幾何学的に厳密な形状をい
うものではなく、繊維縦断面を走査型電子顕微鏡で観察
した際に、およそ球状か、ある方向に歪んだ球状が見ら
れる場合をいう。この楕円体の最大径と最小径の比率
は、通常3以下である。前述のように、換算直径で通常
2μm以上と異常に大きな空間があるため、本発明の繊
維であるかを判断することは容易である。
【0028】本発明の複合繊維は、芯成分および/また
は鞘成分に公知の顔料を含有させたり、公知の染料によ
り染色させたりすることができる。これらにより、本発
明の光発色の効果がより明らかなものとなる。公知の顔
料としては、カーボンブラックや酸化鉄などの無機系顔
料や、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系等の
有機系の顔料が挙げられる。染料は、分散染料が用いら
れる。染料と顔料を組み合わせることもできる。
【0029】顔料としてカーボンブラックを用いる原着
繊維の場合、色調を黒とするために、L値は24以下が
好ましく、22以下がより好ましい。本発明の複合繊維
を漁網用途として用いる場合、魚に警戒心を与えず高漁
獲性を得るためには24以下のL値が必要である。ま
た、暗幕として用いる場合も、L値が24を越える場
合、暗幕全体が白ボケ感を与え、遮光性暗幕として適さ
ない。
【0030】L値と強度の両者を満足させるためにより
好ましいカーボンブラック含有量は繊維全体に対し、
0.1〜0.7重量%である。0.1重量%未満ではL
値が得られにくく、0.7重量%を越えると強度が得ら
れにくくなる。
【0031】次に本発明の複合繊維の製造方法について
記載する。
【0032】本発明の製造方法においては、高共重合率
の芯成分ポリマと低共重合率の鞘成分ポリマを用い、芯
成分ポリマと鞘成分ポリマの共重合比率の差は7〜15
モル%、好ましくは9〜13モル%とするものである。
芯成分ポリマと鞘成分ポリマの共重合比率の差が7モル
%に満たなければ、高発色を得るために芯成分に楕円体
状のボイドを形成させることができなかったり、楕円体
状のボイドが形成できるような延伸、熱処理を採用した
場合には、例えば熱処理温度などの条件の変動によりボ
イドの形成にムラが起こり色調変動の大きな繊維しか得
ることができないという問題がある。一方、それらの共
重合比率の差が15モル%を越えると、鞘成分の流動す
る紡糸温度で紡糸した場合、芯成分の熱分解が激しくな
り、製糸性を悪化させてしまう問題がある。
【0033】芯成分として用いるポリエステルの製造法
の一例を示す。常法の重合法によって得られた固有粘度
が0.5から0.8の共重合ポリエステルと高比重粒子
とを、それぞれ計量し、2軸押し出し機等により溶融混
練した後、ノズルから押し出し、ペレット状にカットす
ることによって得る。この際、高比重粒子とともに顔料
を同時または逐次に混合することができる。ペレット状
にカットされた高比重粒子含有ポリエステルは、そのま
ま乾燥して紡糸に供してもよいし、固相重合により高重
合度化し他の値に紡糸に供してもよい。あるいは、紡糸
の際に、別途作成した高濃度に顔料を混合した原着マス
ターバッチと計量混合することもできる。
【0034】一方、鞘成分として用いるポリエステル
は、常法の重合法によって得られたポリエステルを固相
重合し、高重合度化したものが好ましい。この際、鞘成
分のポリエステルは、高強度と耐摩耗性が得られやすい
固有粘度1.0以上、さらには0.8以上のポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく、積極的に共重合成分を配
合させないことが好ましい。この場合、鞘成分のポリエ
ステルの固有粘度は芯成分のポリエステルより0.3以
上高いことが好ましい。鞘成分の固有粘度を高くするこ
とにより、延伸時の応力を鞘成分に集中させ芯成分の流
動性を向上させて微細ボイドを抑制する効果が得られ
る。
【0035】紡糸の際には、別途調製した高濃度に顔料
を混合した原着マスターバッチと計量混合し、着色する
こともできる。
【0036】本発明の製造方法においては、芯成分のポ
リエステルの粒子含有量は40重量%以上とすることが
必要である。40重量%未満であると、本発明の目標と
する比重が得られない。
【0037】本発明の製造方法においては、目的とする
繊維比重である1.54以上を容易に得るために上記高
比重粒子を複合繊維中の粒子含有量として15重量%以
上含有させるのが好ましい。
【0038】前記した芯成分用のポリエステルおよび鞘
成分用のポリエステルは、それぞれ別々のエクストルダ
で溶融した後、複合紡糸パックに導き、複合紡糸口金内
で所望の複合形態となるよう複合流を形成させ、紡糸口
金から吐出する。
【0039】芯成分/鞘成分の複合比率は、本発明にお
いて目標とする強度と比重を満足させるためには、20
/80〜70/30とするのが好ましい。
【0040】吐出した芯鞘型複合糸条は、固化温度以下
に冷却する。この際、紡糸口金直下に設置した加熱雰囲
気域を通して遅延冷却し、冷却域に導入して冷却風を吹
き付け、紡糸筒を通過して糸条を形成することが好まし
い。
【0041】前記加熱雰囲気域の温度は120〜350
℃、その長さは5〜300cmであればよく、この加熱
雰囲気域の条件は、紡出する糸条の粘度、単繊維太さ、
ドラフト率、単繊維数等の設定条件によって選択すれば
よい。
【0042】前記冷却域では、常温空気のような120
℃未満の気体を、15〜50m/分の速度で吹き付けれ
ばよい。この冷却域の条件も、紡出する糸条の粘度、単
繊維太さ、ドラフト率、単糸数等の設定条件によって選
択すればよい。
【0043】前記加熱雰囲気域および冷却域における各
条件を前記の範囲内とすることによって、紡出糸条の冷
却配向パターンを適切なものとすることができる。
【0044】前記加熱雰囲気域および冷却域を通過し、
冷風によって冷却固化した紡出糸条に紡糸油剤を付与
し、回転するローラーに巻回した後、一旦巻き取った後
延伸するか、巻き取らずに引き続き延伸する。製糸毛
羽、延伸糸切れが頻繁に発生して製糸性が悪化するのを
防ぐ観点から、紡糸速度は2000m/分、さらには1
500m/分以下が好ましい。
【0045】紡糸した複合繊維糸条は、延伸、熱処理、
リラックス処理して巻き取られる。
【0046】紡糸したままの繊維では、強度が低く、延
伸が必要である。延伸は、2段以上の多段延伸を行なう
ことが、製糸性、高強度化の点で好ましい。
【0047】延伸温度は、芯成分のポリエステルが十分
に加熱されないためボイドが多くなり高比重化しにくく
なるのを防ぐ一方、芯部の結晶化が進行し、2段目以降
の延伸によっ芯部に亀裂状ボイドが形成され比重が低下
するのを防ぐ観点から、1段目の延伸に供する糸条の温
度を100℃以上、150℃以下とするのが好ましい。
【0048】延伸の終了した複合繊維糸条は次いで熱処
理される。熱処理によって延伸工程で芯部に発生した微
細ボイドや亀裂状のボイドを、不連続で楕円体状のボイ
ドへと集合させる。この際、熱処理温度は芯成分の融点
−20℃以上で、かつ鞘成分の融点より20℃以上低い
温度とすることが、熱処理温度の変動等の紡糸条件の変
動に対してボイド形成状態が安定し、一定の高発色性の
品質を維持できるために好ましい。
【0049】熱処理した複合繊維糸条は、リラックス処
理して巻き取られる。巻き取られる前にリラックス処理
することにより、芯部に加わっている応力を緩和させる
ことができ、不連続で楕円体状のボイドをさらに成長さ
せ、高発色化を十分なものとすることができる。このた
めには、リラックス率は2%以上であることが好まし
い。
【0050】不連続で楕円体状のボイドを形成させるた
めには、1段目の延伸に際し、複合糸条への加熱手段と
してホットローラーを用い、該ホットッローラーから離
れ延伸された糸条を積極的に冷却した後、2段目以降の
延伸を行うことが好ましい。これにより、発色性を向上
させることができる。ホットローラーを用いることによ
り、複合糸条はローラーの把持を受け、緊張することな
く加熱され、十分に加熱された後に延伸されるため、芯
部の流動性が高く、粒子周囲に生じるボイドを小さいも
のとすることができる。また、延伸後に積極的に冷却し
た後、2段目以降の延伸を行うことにより、延伸変形領
域を狭い区間に特定できるため、延伸で生じた微細ボイ
ドや亀裂状のボイドの成長を制限することができ、発色
性を向上させることができる。積極的に冷却する手段と
しては、高圧の空気を吹き付ける方法や、液体を付与す
る方法が採用される。
【0051】延伸、熱処理に必要な熱を糸条に与える方
法としては、ローラー加熱、スチーム、熱板、熱液等公
知の手法が用いればよい。
【0052】本発明の複合繊維の単繊維繊度は、漁網用
途として用いる場合、水中から引上げた時の水切れが悪
くて漁網重量が重くなるのを防ぎ、また、室内装飾用の
暗幕として用いた場合、幕の張りおよび腰が柔らか過ぎ
て美しいシルエットが得られないことを防ぐ観点から
8.5d以上が好ましい。
【0053】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の物性は次の様に測定した。
【0054】A.比重:比重びんを使用して測定した。
【0055】B.強度:試料を20℃、65%RTの温
調室に24時間以上放置した後、(株)オリエンテック
製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、引取速
度30cm/分でS−S曲線を求め強度、伸度を算出し
た。
【0056】C.極限粘度:遠心分離により粒子を除い
た、ポリマー量として8gの試料を、オルソクロロフェ
ノール100mlに溶解し、溶液粘度(η)をオストワ
ルド粘度計を用いて25℃で測定し、次の近似式により
極限粘度(IV)を算出した。
【0057】 IV=0.0242・ηrp+0.2634 ただし、ηrp=(t×d)/(t0 ×d0 ) t :溶液の落下時間(秒) t0 :オルソクロロフェノールの落下時間(秒) d :溶液の密度(g/cc) d0 :オルソクロロフェノールの密度(g/cc) D.芯部のボイド形状の判定:複合繊維を鋭利な刃物
で、繊維軸方向に切断し、切断した繊維断面の走査電子
顕微鏡画像によって次のように判定した。
【0058】 非連続の球状および楕円体状のボイド・・・・○ 亀裂状および連続するボイド・・・・・・・・× E.L値 スガ試験機(株)製SMカラーコンピューターにより巻
取パッケージの色調(L値)を測定した。
【0059】[実施例1〜9および比較例1〜5]極限
粘度0.66でイソフタル酸共重合率を0、7、11、
15、19モル%と変更したポリエチレンテレフタレー
ト(PET)を作製し、その乾燥チップに、カーボンブ
ラックを0.2重量%および高比重粒子として平均粒径
が0.7μm、比重が4.3の沈降性硫酸バリウムを表
1に示すとおりの量を添加混合しつつ、2軸押出機で溶
融混練した後、3.0mmΦの口金から吐出し、冷却し
た後カットして、芯成分として用いるチップを得た。た
だし、実施例8のみ、高比重粒子として、平均粒径が
0.5μm、比重が3.9の酸化チタンを50重量%溶
融混練して芯チップを作製した。さらに芯成分用チップ
を、温度110℃の回転式真空乾燥機で12時間以上乾
燥し、チップの水分率を0.004%以下とした。極限
粘度は0.60〜0.62であった。イソフタル酸共重
合率0、7、11、15、19モル%から得たチップの
融点は、DSCにより測定したところ、粒子含有量にか
かわらず、それぞれ258、240、227、216、
201℃であった。
【0060】鞘成分として用いるポリエステルは、常法
の固相重合によって得られた極限粘度1.30、水分率
0.003%以下のポリエチレンテレフタレート(PE
T)チップと、カーボンブラックを10重量%含有した
原着マスターバッチを39:1となるように連続的に計
量、混合したものを準備した。鞘成分中のカーボンブラ
ック比率は0.25重量%とした。
【0061】芯および鞘成分用ポリマは別々のエクスト
ルダ型紡糸機で溶融した後、複合紡糸パック中に導き、
芯鞘複合紡糸口金より、同心円型複合繊維となるよう紡
糸した。芯/鞘複合比率は、重量比率で40/60とし
た。また、芯成分用は融点+30℃で、鞘成分用は29
0℃でそれぞれ溶融させ、290℃に加熱した複合紡糸
パックによって紡糸した。
【0062】紡糸口金は環状2列配孔で、孔径0.8m
mΦ、孔数は60ホ−ルであり、口金直下には30cm
の加熱筒を取り付け、筒内雰囲気温度を320℃となる
ように加熱した。筒内雰囲気温度は、口金面より10c
m下の位置で、且つ最外周糸条より1cm離れた位置で
測定した。
【0063】加熱筒の下には長さ40cmの環状型チム
ニ−を取り付け、糸条の周囲より25℃で40m/分の
冷風を糸条に直角に吹き付け、冷却した。次いで油剤を
付与した後、570m/分の引取ローラーにより糸条速
度を制御した後、一旦巻取ることなく連続して延伸し
た。
【0064】延伸は3対のネルソン型ローラーによっ
て、1段目延伸倍率3.5倍、2段目倍率1.5倍で2
段延伸した後、次のネルソンローラー間で3%のリラッ
クスを与えて巻取った。引取ローラー温度を130℃と
し、引取ローラーと170℃に加熱した第1延伸ローラ
ー間で1段目の延伸を行い、第1延伸ローラーと表1に
示すとおりの温度に加熱された第2延伸ローラー間で2
段目の延伸を行った。次のネルソンローラーは非加熱と
して使用した。1段延伸倍率は全延伸倍率の70%、残
りを2段目で延伸し、延伸糸の総繊度が1130デニ−
ルとなるようポリマ吐出量を調整した。巻量は5kgと
した。
【0065】なお、実施例9を除いて、引取ローラーと
第1延伸ローラーとの間で、1.5kg/cm2の圧空を複合
繊維糸条へ吹き付けた。
【0066】かくして得られた複合繊維の評価結果を、
表1および表2に示す。
【0067】
【表1】
【表2】 表1、表2において、実施例はいずれも強度4.5g/
d以上、比重1.54以上、L値24以下を満足する
が、芯成分の粒子含有量が低く繊維全体の粒子含有量の
低い比較例1は、比重が低く、比較例2、3は共重合し
ていないPETを芯成分として用いているため、第2延
伸ローラー温度を高温としてもボイドが楕円体状となら
ずL値が高くなった。比較例4は共重合比率が高すぎる
ために紡糸性が不調で糸のサンプリングができず、比較
例5は第2延伸ローラー温度が低すぎて芯に不連続で楕
円体状のボイドが形成できずL値の高い繊維となった。
【0068】なお、実施例8のTiO2を高比重粒子と
して用いた場合には、約5日でポリマー配管が粒子の堆
積により閉塞する傾向があった。
【0069】また、第2延伸ローラーを保温する筐体の
ドアの開閉によりパッケージのL値が変化するかを観察
したところ、比較例2、3、5において明らかに変化す
る現象が観察された。
【0070】
【発明の効果】本発明の複合繊維は、高比重でかつ高強
度を有しており、かつ、高発色性を有する。漁網、ロー
プ等の一般産業用繊維に極めて有用であり、また、緞
帳、カーテン等の室内装飾用繊維としても極めて有用で
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯成分および鞘成分がポリエステル系ポリ
    マである芯鞘型複合繊維であって、複合繊維中の粒子含
    有量が15重量%以上であり、芯部に不連続で楕円体状
    のボイドを有することを特徴とする複合繊維。
  2. 【請求項2】芯成分および/または鞘成分に顔料を含有
    することを特徴とする請求項1記載の複合繊維。
  3. 【請求項3】染色されていることを特徴とする請求項1
    記載の複合繊維。
  4. 【請求項4】高比重粒子が、バリウム、チタン、アル
    ミ、鉄、銅、タングステン、二酸化チタン、酸化亜鉛、
    硫酸バリウム、酸化第二鉄よりなる群から選ばれる1以
    上であることを特徴とする請求項1〜3記載の複合繊
    維。
  5. 【請求項5】高共重合率の芯成分ポリマと低共重合率の
    鞘成分ポリマとの共重合比率の差が7〜15モル%であ
    るポリエステル系ポリマを用い、芯成分ポリマに高比重
    粒子を40重量%以上含有させて芯鞘複合紡糸し、延
    伸、熱処理、リラックス処理することを特徴とする複合
    繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】延伸を多段とし、1段目の延伸をホットロ
    ーラー延伸とし、該延伸後に積極的に冷却した後、2段
    目以降の延伸を行うことを特徴とする請求項5記載の複
    合繊維の製造方法。
JP19765097A 1997-07-24 1997-07-24 複合繊維およびその製造方法 Pending JPH1143823A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19765097A JPH1143823A (ja) 1997-07-24 1997-07-24 複合繊維およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19765097A JPH1143823A (ja) 1997-07-24 1997-07-24 複合繊維およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1143823A true JPH1143823A (ja) 1999-02-16

Family

ID=16378035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19765097A Pending JPH1143823A (ja) 1997-07-24 1997-07-24 複合繊維およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1143823A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010243618A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Mitsubishi Plastics Inc 光学用ポリエステルフィルム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010243618A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Mitsubishi Plastics Inc 光学用ポリエステルフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4172082B2 (ja) 複合繊維およびその製造方法
JP6731760B2 (ja) 芯鞘複合繊維
JP3335063B2 (ja) 高比重・高強度複合繊維およびその製造方法
JP3697882B2 (ja) 複合繊維およびその製造方法
JPH1143823A (ja) 複合繊維およびその製造方法
JP5774820B2 (ja) 異形異繊度混繊糸
JP2010084270A (ja) 異形断面ポリエステル繊維
JP3686126B2 (ja) 漁網
JP3752250B2 (ja) 高比重・高強度複合繊維
JP3563160B2 (ja) 延縄
JP3537546B2 (ja) 原着高比重複合繊維およびその製造方法
JP3712121B2 (ja) 複合繊維の製造方法
JP3574513B2 (ja) 高比重・高強度複合繊維およびその製造方法
JP2004162205A (ja) 芯鞘型モノフィラメントおよびそれを用いた漁網
JPH10273828A (ja) 耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維およびそれからなる漁網
JPH1060739A (ja) 定置網
JPH10325018A (ja) 高比重複合フィラメントとその製造法
JP7048060B2 (ja) 高比重繊維からなるマルチフィラメント糸の製造方法
JP2002069742A (ja) 高比重糸
JP3647493B2 (ja) 漁網
JP2003020525A (ja) 芯鞘型複合繊維および漁網
JPH0959822A (ja) 定置網用高比重複合繊維
JPH11293523A (ja) 高比重ポリオキシメチレンフィラメント
JPH10273827A (ja) 耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維
JP2006161218A (ja) 軽量性に優れた異形断面繊維