JPH10273827A - 耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維 - Google Patents

耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維

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JPH10273827A
JPH10273827A JP7869097A JP7869097A JPH10273827A JP H10273827 A JPH10273827 A JP H10273827A JP 7869097 A JP7869097 A JP 7869097A JP 7869097 A JP7869097 A JP 7869097A JP H10273827 A JPH10273827 A JP H10273827A
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core
high specific
sheath
fiber
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JP7869097A
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Yuhei Maeda
裕平 前田
Akio Tawara
昭夫 田原
Chikara Honda
主税 本田
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高比重、高強度であるとともに、耐摩耗性
も良好な複合繊維であって、工業的な製造が容易である
高比重複合繊維を提供する。 【解決手段】 芯鞘型複合繊維において、芯成分が高
比重無機粒子を40重量%以上、80重量%以下含有す
る熱可塑性重合体からなり、鞘成分がポリアミドからな
り、複合繊維中に占める芯成分の比率が30重量%以
上、70%重量以下であり、かつ、比重が1.45以
上、強度が4.0g/d以上、150℃乾熱収縮率が5
%以上であることを特以下の特性を有する耐摩耗性芯鞘
型高比重複合繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯部が高比重無機
物質を含有する熱可塑性重合体で構成される芯鞘型高比
重複合繊維であって、高比重とともに耐摩耗性にも優れ
た繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】漁網、ロープ、消波網などの一般産業用
繊維として、また、緞帳、カーテンなどの室内装飾用繊
維として高比重繊維の出現が要望されていた。
【0003】そして、一部の漁網では、ナイロンを鞘、
鉛金属を芯とする複合繊維が実用に供されている。しか
しながら、ナイロンを鞘部、鉛金属を芯部とする複合繊
維は、延伸時にその芯部(鉛金属部)が十分に延伸され
ないために、芯部に切断された断続状態が生じ、その結
果、繊維長手方向の繊維径が大きく変動し、太細が不均
一に存在する繊維となり、しかも、製網時の撚糸性が低
下するなどの問題があった。
【0004】また、特開昭62−15327号公報に
は、上記問題を解決するために、芯部を微細な鉛合金を
含有した熱可塑性重合体でもって構成する複合繊維が開
示されている。
【0005】しかし、いずれの場合も得られた複合繊維
の強度は極めて低く、これらの複合繊維を単独で実用に
供すことは困難であった。また、鉛金属や鉛合金を用い
た繊維の場合、その焼却時や廃棄後に鉛害が発生するの
で地球環境汚染の観点から安易に使用する事ができな
い。
【0006】これらの観点から、特開平8−31172
1号公報などでは、芯成分の熱可塑性重合体に酸化鉄、
酸化チタン、硫酸バリウム等の鉛を含まない高比重物質
を配合した芯鞘型複合繊維が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術において、鞘成分として、高比重ではあるも
ののフィブリル化を起こし易いポリエチレンテレフタレ
ートを用いている場合は、高強度化のために鞘成分を極
端に高配向化しているのでさらにフィブリル化し易く、
使用時の耐摩耗性が劣るという問題があった。また、鞘
成分としてポリアミドを用いることも記載されている
が、摩耗を負担する鞘成分として従来の漁網用ポリアミ
ド繊維と同様のポリアミドを用いるものであるので、そ
の乾熱収縮率は3〜4%と低く、耐摩耗性の点で満足で
きるものではなかった。
【0008】これらの原因によって、漁網、ロープ、消
波網にあっては、使用開始時、終了時に高張力下で各種
規制部材との擦過により、また、緞帳、カーテンにおい
ては開閉時や使用時の揺れなどによる擦過のために、製
品寿命が短いものとなっていた。そこで、本発明の目的
は、上記した従来の技術における問題点を解消し、極め
て優れた耐摩耗性と高比重性と高強度とを兼ね備え、一
般産業用や室内装飾用等の高比重繊維として有用な複合
繊維を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は次の手段に
よって達成できる。芯鞘型複合繊維において、芯成分が
高比重無機粒子を40重量%以上、80重量%以下含有
する熱可塑性重合体からなり、鞘成分がポリアミドから
なり、複合繊維中に占める芯成分の比率が30重量%以
上、70%重量以下であり、かつ、比重が1.45以
上、強度が4.0g/d以上、150℃乾熱収縮率が5
%以上である耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高比重繊維は、芯成分に高比重無機粒子を多量
に配合した芯鞘型複合繊維である。芯鞘型複合繊維とす
ることにより、繊維表層に多量の粒子を配置させずに高
比重繊維とすることができるため、撚糸、製織、製編等
の高次加工装置の摩耗を防ぎ、かつ高次通過性の良好な
高比重繊維とすることができる。
【0011】芯鞘型複合の形態は、同心円型など単純に
鞘成分が芯成分を覆っている単純芯鞘型、芯の数が2以
上、70以下の多芯型、3重芯鞘型などの多重芯鞘、芯
が扁平、3葉以上、16葉以下の多葉型等の芯異形型
等、特に限定するものではない。いずれの場合も、高次
加工装置の摩耗を防ぎ、かつ高次通過性を良好とするよ
うに、芯成分は繊維の表層に存在しないことが好ましい
が、繊維表面の30%以下のように少しならば表面の一
部のみに存在していてもよい。高比重化、および、耐摩
耗性向上のためには単純芯鞘複合型が好ましい。
【0012】本発明の芯鞘型複合繊維の芯成分は、高比
重無機粒子を40重量%以上、80重量%以下含有した
熱可塑性重合体から構成される。該粒子の含有量が40
重量%未満では本発明の複合繊維が目的とする比重1.
45以上が得られ難い。また該粒子の含有量が80重量
%を越えると所望の強度が得られ難い。
【0013】ここで高比重粒子とは、芯部を構成する重
合体の比重より高く2以上の比重を有する粒子であり、
好ましくは3以上の比重を有する粒子である。該粒子と
しては、繊維使用後の処分方法としての焼却の観点か
ら、1000℃未満では実質的に溶融も分解も生じない
金属化合物であることが好ましい。具体的には、酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、タングステン、酸化第二鉄、酸
化チタン、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0014】本発明の芯鞘型複合繊維において芯成分が
占める複合割合は30重量%以上、70重量%以下であ
る。芯成分の複合繊維に占める割合が30重量%未満で
は、目的とする比重1.45以上の繊維が得られ難い。
芯成分が70重量%を越えると本発明が目的とする強度
が得られ難い。
【0015】本発明の芯鞘型複合繊維の鞘成分はポリア
ミドである。鞘成分をポリアミドとすることにより、本
発明の目的とする耐摩耗性が達成される。本発明でいう
ポリアミドとは、アミド結合を有する高分子を指し、カ
プラミド、ヘキサメチレンアジパミド、テトラメチレン
アジパミド、ヘキサメチレンセバカミド、ドデカミド、
ヘキサメチレニソフタラミド等のアミド単位から構成さ
れるポリアミドからなり、該ポリアミドが少なくとも鞘
成分中に85重量%以上、好ましくは95重量%以上存
在する組成物である。具体例としては、ポリカプラミ
ド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリテトラメチレ
ンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリド
デカミドなどを挙げることができるが、高比重化を目的
として最終熱処理工程をより高温化できるポリヘキサメ
チレンアジパミドとすることが、好ましく採用される。
また、本発明の鞘成分に用いるポリアミドは、高強度で
高耐摩耗性の繊維を得るためには硫酸相対粘度ηrが
2.8以上の高重合度を有することが好ましく、3.2
以上であることがより好ましい。
【0016】次に、本発明の芯鞘型複合繊維は比重1.
45以上を満足するものであり、1.50以上であるこ
とが好ましく、1.55以上であることがより好まし
い。比重が1.45未満では漁網、ロープ等として海中
に投入した場合、海水の流動により漁網、ロープが動く
所謂フカレ現象が発生し、漁網、ロープの耐久性が低下
すると共に漁獲高も減少する。また、カーテンなどの室
内装飾用に用いた場合、開閉時に発生する皺を消して美
しいシルエットを得ることができない。
【0017】本発明の芯鞘型複合繊維は強度が4.0g
/d以上であり、4.5g/d以上であることが好まし
い。強度が4.0g/d未満の繊維を単独で漁網、ロー
プ等に仕立てると、破網、切断が発生しやすい。また、
カーテンなどの室内装飾用に用いた場合にも、破れが生
じやすくなる。
【0018】本発明の複合繊維の150℃乾熱収縮率は
5%以上である。150℃乾熱収縮率が5%以上である
ことにより、複合繊維中の繊維構造中に占める結晶成分
が肥大化せず、結果としてフィブリル化が起こりにくい
ものとなり、耐摩耗性が向上する。この観点からして1
50℃乾熱収縮率は6%以上が好ましく、さらに7%以
上が好ましい。
【0019】本発明の芯鞘型複合繊維において、繊維内
部に存在する空洞及び亀裂の面積は、繊維の断面積の5
%以下であることが好ましい。熱可塑性重合体に多量の
粒子を含有させた繊維を高い延伸倍率で延伸すると、該
粒子と熱可塑性重合体との間に亀裂が発生し、この亀裂
は特に該粒子が凝集した部分で大きな空洞となって繊維
比重を減少させやすい。
【0020】繊維内部に発生する空洞及び亀裂を少なく
するためには、該粒子と芯成分に用いる熱可塑性重合体
との濡れ性を該粒子の表面改質などにより向上させる方
法、製糸時の延伸倍率の低減、延伸時における高温条件
の採用、あるいは最終熱処理における高温、リラックス
条件の採用等が挙げられる。この際、延伸倍率は5.5
倍以下が、特に5.0倍以下が好ましく、最終熱処理温
度は、鞘成分のポリアミドの融点以下、特に融点より1
5℃低い温度以下が好ましく、その際あるいはその直後
のリラックス率は3%以上20%以下が好ましく、これ
ら条件が、高比重化、高強度化の観点から好ましく採用
される。
【0021】本発明の芯鞘型複合繊維の芯成分に用いる
熱可塑性重合体は、鞘成分の溶融温度付近で分解せず、
融点が鞘成分のポリアミドの融点+100℃以下であれ
ば特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポ
リスチレン、あるいはポリヘキサメチレンアジパミド、
ポリテトラメチレンアジパミド等のポリアミド系重合
体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、脂肪族ポリエステル等のポリエステル系重合
体等を用いることができる。この中でも、芯鞘複合界面
の剥離を抑制して耐摩耗性を高めるためにはポリアミド
系重合体であることが好ましく、高比重を求める場合に
は、鞘成分の重合体より低融点のポリカプラミド、ポリ
ドデカミドなどや、比較的比重の高いポリエチレンテレ
フタレートなどがより好ましく採用される。
【0022】本発明の複合繊維の芯成分、鞘成分の熱可
塑性重合体は、それら本来の性質を損ねない範囲であれ
ば他の共重合成分、耐候剤、酸化防止剤、顔料等を必要
に応じて10重量%以下含んでいてもよい。特に、鞘成
分には、撚糸、製織、製編等の高次加工装置の摩耗を防
ぎ、かつ高次通過性の良好な高比重繊維を得るために
は、無機粒子の含有量が5重量%以下であることが好ま
しく、1.5%以下であることがさらに好ましい。
【0023】本発明の芯鞘型複合繊維の単糸繊度は、耐
摩耗性を向上するためには10d以上であることが好ま
しく15d以上であることがより好ましい。
【0024】上述した本発明の複合繊維の製造方法の一
例を、次に示す。◎ 芯成分として用いる無機粒子含有
熱可塑性重合体は、常法の重合法によって得られた熱可
塑性重合体と適宜選択された無機粒子とを、それぞれ計
量し、溶融混練した後、ノズルから押し出し、ペレット
状にカットすることによって得る。ペレット状にカット
された無機粒子を含有した熱可塑性重合体は、そのまま
紡糸に供してもよいし、必要に応じて固相重合により再
度高重合度化して使用してもよい。
【0025】一方、鞘成分に用いるポリアミドは、常法
によって重合して得られたものを使用すればよいが、前
述した顔料などの添加剤を配合する場合には上記と同
様、あるいはマスターバッチ方式により配合すればよ
い。
【0026】前記した芯、鞘成分重合体組成物は、それ
ぞれ別々のエクストルーダで溶融した後、複合紡糸パッ
クに導き、芯鞘型複合紡糸口金内で芯鞘型複合流を形成
し、吐出する。複合形態は、前述したように単純芯鞘、
芯複数型、多重芯鞘、芯異形等、特に限定するものでは
なく、所望の特性や用途等に応じて選択すればよい。
【0027】吐出した芯鞘型複合繊維は、紡糸口金直下
に設置された加熱雰囲気域を通して遅延冷却され、さら
に冷却域に導入し冷却風を吹き付けられ、紡糸筒を通過
して糸条を形成する。
【0028】前記加熱雰囲気域の温度は120〜350
℃、その長さは5〜300cmであればよく、また、前
記冷却域では常温空気、あるいは120℃未満の気体
を、15〜50m/分の速度で吹き付ければよい。これ
ら加熱域、冷却域の条件は、紡出される糸条の重合体の
分子量、単糸繊度、ドラフト率、単糸数等の設定条件を
加味して、紡出糸条の冷却配向パターンを適切なものと
するよう、適宜選択する。
【0029】前記冷却域を通過し冷却固化した繊維は、
紡糸油剤を付与され、500m/分以上、2000m/
分以下の速度のロールに巻回され、引き続き又は一旦巻
き取った後に、延伸される。紡糸速度を500m/分以
上とすることにより生産性が向上し、また2000m/
分以下とすることにより製糸性が向上するので好ましく
採用される。
【0030】延伸は、延伸倍率5.5倍以下のような比
較的低倍率で行い、繊維内部に発生する空洞及び亀裂を
減少もしくは皆無にすることが好ましい。
【0031】また、2段以上の多段延伸とすることで製
糸性と高強度化が同時に達成できるので好ましい。この
観点から、2段以上の多段の延伸を行う場合は、1段目
の延伸配分は全延伸配分の50〜80%範囲が好まし
い。
【0032】1段目の延伸に供する糸条の温度を100
℃以下とするのが好ましい。1段目の延伸に供する糸条
の温度が100℃を越えると、結晶化が進行し2段目以
降の延伸が困難となる。2段目以降の延伸、熱処理温度
は120℃以上の高温とすることで、繊維内部に発生す
る空洞及び亀裂等の発生を制御し、高比重化が達成でき
るので好ましい。また、鞘成分のポリアミドの融点より
30℃以上低い温度以下で熱処理することが、耐摩耗性
の点で好ましく、鞘成分のポリアミドの融点より40℃
以上低い温度以下で熱処理することがより好ましい。
【0033】糸条に延伸に必要な熱を与える方法として
は、ロール加熱、スチーム加熱、熱液加熱等の手法を用
いればよい。
【0034】かくして得られた本発明の芯鞘型複合繊維
は、高比重、高強度で耐摩耗性を有しているので、漁
網、ロープ等の一般産業用繊維としては勿論、緞帳、カ
ーテン等の室内装飾用繊維として極めて有用である。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の物性は次の様に測定した。
【0036】A.比重(ρ):比重びんを使用して測定
した。
【0037】B.強度(T):糸サンプルを20℃、6
5%RHの温調室に24時間以上放置した後、(株)オ
リエンテック社製テンシロン引張試験機を用い、試長2
5cm、引取速度30cm/分でS−S曲線から、強力
と繊度の比率により強度を算出した。
【0038】C.硫酸相対粘度(ηr):試料1gを9
8%硫酸100mlに溶解し、オストワルド粘度計で2
5℃で測定した。
【0039】D.極限粘度(IV):試料8gをオルソ
クロロフェノール100mlに溶解し、溶液粘度(η)
をオストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、次の近
似式により極限粘度(IV)を算出した。 IV=0.0242η+0.2634
【0040】E.150℃乾熱収縮率:糸サンプルを2
0℃、65%RHの温調室に24時間以上放置した後の
試料長L0 を測定し、これを150℃オーブン中へ無荷
重で15分間投入し、さらに20℃、65%RHの温調
室に24時間以上放置した後の試料長L1 を測定する。
乾熱収縮率Sd (%)は以下の式により計算した。 Sd =[(L0 −L1 )/L0 ]×100
【0041】F.耐摩耗性試験:網地を構成する網糸
(網足部分)を長さ40cm採取して網糸試料とする。
日立製作所(株)製EBKグラインダーに150mmの
直径を有する三共トイシ(株)製A60N7V4Tを設
置し、一方を固定し他方に150gの荷重を加えた網糸
試料と該グラインダーとの摩耗部分が水中にくるように
セットして、グラインダーを網糸試料の固定部分を引っ
張る方向に180rpmの回転数で回転させて、網糸試
料を摩耗させた。耐摩耗性は、摩耗処理前の網糸試料の
強力と4000回転後の摩耗部分の強力を前述の強度測
定法に準じて測定し、これらの比率である強力保持率
(%)を耐摩耗性の尺度として求めた。
【0042】[実施例1〜4および比較例1〜2]鞘成
分として、カーボンブラックを1.5重量%、ヨウ化銅
を0.04重量%、ヨウ化カリウムを0.18重量%添
加した硫酸相対粘度3.6のナイロン66を用いた。芯
成分として、比重4.3、平均粒径0.4μmの沈降性
硫酸バリウム(BaSO4 )の粒子を表1に示す割合で
硫酸相対粘度3.7のナイロン6に添加、溶融混練した
後、3.0mmΦの口金から吐出し、冷却、カットして
得たチップを用いた。芯成分、鞘成分はともに定法によ
り乾燥し、エクストルーダで溶融し、複合紡糸パック中
に導き、単純型芯鞘複合紡糸口金より、表1に示す芯鞘
複合比率の芯鞘型複合繊維として紡出した。
【0043】その際、芯部用ポリマは265℃で、鞘部
用ポリマは290℃で、それぞれ溶融させ、290℃に
加熱した複合紡糸パックによって紡糸した。
【0044】紡糸口金は孔径0.6mmΦ、孔数は60
ホ−ルであり、口金直下には30cm長の加熱筒を取り
付け、筒内雰囲気温度を300℃となるように加熱し
た。筒内雰囲気温度とは口金面より10cm下の位置
で、且つ最外周糸条より1cm離れた位置で測定した雰
囲気温度である。
【0045】加熱筒の下には長さ40cmのユニフロー
型チムニ−を取り付け、25℃で40m/分の冷風を糸
条に直角に吹き付け、冷却し、また上部冷却風は対抗面
側で吸引しモノマーを除去した。次いで油剤を付与した
後、500m/分の速度で回転する引取ロ−ルにより糸
条速度を制御した後、一旦巻取ることなく連続して4.
9倍で延伸した。
【0046】延伸は3対のネルソン型ロ−ルによって2
段延伸した後、次のネルソンロ−ル間で3%のリラック
スを与えて巻取った。引取ロ−ル温度を50℃とし、引
取ロ−ルと120℃に加熱した第1延伸ロ−ル間で1段
目の延伸を行い、第1延伸ロ−ルと210℃の温度に加
熱された第2延伸ロ−ル間で2段目の延伸を行った。次
の非加熱のネルソンロールは延伸後の張力調整として使
用した。1段目の延伸倍率は全延伸倍率の78%、残り
を2段目で延伸し、延伸糸の繊度が約500デニ−ルと
なるようポリマ吐出量を調整した。
【0047】かくして得られた複合繊維の評価結果を表
1に示す。
【0048】実施例1で得られた本発明の芯鞘型高比重
糸(500d)を5本集束して合撚機でS方向に47回
/30cmの下撚りを与え、この下撚り糸を6本集束し
て丸形無結節編網機のスピンドルに巻き付け編網機でZ
方向に57回/30cmの中撚りを与えながらS方向に
48回/30cmの上撚りを与えて目合92mmの網地
を作成した。この網地の網糸の強力は75kg、摩耗後
の強力は64kgで耐摩耗性(強力保持率)は85%で
あった。
【0049】同様に、実施例2〜4および比較例1〜3
についても網地を作製し、網糸の耐摩耗性を評価した結
果を、表1に示す。
【0050】実施例1〜4の高比重複合繊維は、比重、
強度、乾熱収縮率ともに高く、耐摩耗性にも優れてい
た。
【0051】これに対し、芯成分比率の高過ぎた比較例
1の場合は、所望の強度が得られず、耐摩耗性も劣って
いた。また、高比重粒子の添加量の少な過ぎた比較例2
の場合は、所望の比重が得られなかった。さらにまた、
高比重粒子の添加量の少な過ぎた比較例3の場合は、所
望の強度が得られなかった。
【0052】
【表1】 No. 粒子添加量 芯成分比率 比重 強度 乾熱収縮率 耐摩耗性 (重量%) (重量%) (g/d) (%) (%) 実施例1 75 50 1.55 4.5 7.0 85 実施例2 75 40 1.45 4.6 6.6 84 実施例3 75 60 1.65 4.1 7.0 78 比較例1 75 75 1.87 3.4 8.1 59 比較例2 30 60 1.30 4.7 6.5 81 実施例4 50 60 1.45 4.4 6.8 79比較例3 85 60 1.72 3.1 5.8 73
【0053】[実施例5]芯成分の熱可塑性重合体とし
て25℃オルソクロロフェノール溶媒中で測定した極限
粘度が1.2のポリエチレンテレフタレートを用い、高
比重粒子の添加量を60重量%とし、延伸倍率を5.1
倍、引取ロール温度を室温、第1延伸ロール温度を10
0℃、第2延伸ロールを235℃とした以外は実施例1
と同様にして、複合繊維を得た。得られた繊維は、比重
1.59、強度4.2g/d、乾熱収縮率10.6%
で、耐摩耗性84%と、良好な特性を有していた。
【0054】[比較例4]鞘成分の重合体として、25
℃オルソクロロフェノール溶媒中で測定した極限粘度が
1.1のポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実
施例5と同様にして、複合繊維を得た。得られた繊維
は、比重1.67、強度4.6g/d、乾熱収縮率9.
7%であったが、耐摩耗性が72%と低く、耐摩耗性の
劣る繊維であった。
【0055】[実施例6および比較例5]第2延伸ロー
ルの温度を変更した以外は実施例1と同様にして、複合
繊維を得た。得られた繊維の評価結果を表2に示す。1
50℃乾熱収縮率の低い比較例5の複合繊維は耐摩耗性
が劣っていた。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明の複合繊維は、高比重、高強度で
かつ耐摩耗性の良好な特性を有しており、漁網、ロープ
等の一般産業用繊維に極めて有用であるし、また、緞
帳、カーテン等の室内装飾用繊維として極めて有用であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯鞘型複合繊維において、芯成分が高
    比重無機粒子を40重量%以上、80重量%以下含有す
    る熱可塑性重合体からなり、鞘成分がポリアミドからな
    り、複合繊維中に占める芯成分の比率が30重量%以
    上、70%重量以下であり、かつ、比重が1.45以
    上、強度が4.0g/d以上、150℃乾熱収縮率が5
    %以上であることを特徴とする耐摩耗性芯鞘型高比重複
    合繊維。
  2. 【請求項2】 芯部を構成する熱可塑性重合体がポリ
    エステルあるいはポリアミドであることを特徴とする請
    求項1記載の耐摩耗性芯鞘型高比重複合繊維。
  3. 【請求項3】 複合繊維の比重が1.50以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の耐摩耗性芯鞘型
    高比重複合繊維。
  4. 【請求項4】 単糸繊度が10d以上であることを特
    徴とする請求項1、2又は3記載の耐摩耗性芯鞘型高比
    重複合繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004197276A (ja) * 2002-12-19 2004-07-15 Toray Ind Inc 芯鞘複合繊維
JP2021102821A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 宇部エクシモ株式会社 黒色合成繊維糸

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