JP2003020518A - ナイロン中空マルチフィラメント及びその製造方法 - Google Patents

ナイロン中空マルチフィラメント及びその製造方法

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JP2003020518A
JP2003020518A JP2001210812A JP2001210812A JP2003020518A JP 2003020518 A JP2003020518 A JP 2003020518A JP 2001210812 A JP2001210812 A JP 2001210812A JP 2001210812 A JP2001210812 A JP 2001210812A JP 2003020518 A JP2003020518 A JP 2003020518A
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fiber
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JP2001210812A
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Kenji Hasegawa
健二 長谷川
Koji Kakumoto
幸治 角本
Makoto Nakai
誠 中井
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単糸繊度が2.5デシテックス以下の細繊度
であり、かつ中空率も高く、軽量、保温性に優れたスポ
ーツ衣料用に好適な布帛を得ることができるナイロン中
空マルチフィラメントを提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、各単
糸は繊維の横断面形状において架橋部を介して4つの中
空部を有し、中空率が5〜30%、繊度が2.5デシテ
ックス以下である、ナイロン中空マルチフィラメント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細繊度でかつ中空
率の高い単糸からなるナイロンマルチフィラメントであ
って、スポーツウェアやカジュアルウェアなどの一般衣
料に適したナイロン中空マルチフィラメントに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ナイロン繊維は機械的性質・化
学的性質に優れ、かつ肌触りがソフトで、スポーツ衣料
・パンスト・靴下・インナー用として幅広く使用されて
いる。ポリエステル繊維と比較すると強度や耐摩耗性に
優れ、風合いがソフトで比重が小さい(ナイロン1.1
4、ポリエステル1.38)等の特徴があり、特にスポ
ーツ衣料には好適の素材である。
【0003】近年、スポーツ衣料に関しては、風合い面
から単糸繊度2.5デシテックス以下の単糸24本以上
からなるナイロンマルチフィラメントが数多く用いら
れ、機能面では、軽量・保温性の強化が求められてい
る。
【0004】一般に、ナイロンマルチフィラメントとは
細繊度の単糸からなるマルチフィラメントであって、単
糸繊度0.5〜2.5デシテックス、単糸数24〜68
本のものが該当し、丸断面のみならず、三角断面などの
異形断面のものも知られている。
【0005】軽量・保温性については、合成繊維の中空
化技術を中心に検討され、特に、ポリエステル繊維は数
多く報告されているが、ナイロン繊維については数少な
い。これは、ナイロン中空繊維は、ポリエステルとは異
なり高中空率のものを安定して製造することが難しいた
めである。すなわち、延伸時及び仮撚・製織・染色加工
などの高次加工工程で中空の繊維断面形状が容易につぶ
れ、形状の安定したナイロン中空繊維を得ることが非常
に難しい。
【0006】ナイロンの中空繊維に関するものとして、
特開平3−249266号公報には芯鞘型の複合繊維を
製糸した後、芯部を溶解除去することにより得られるナ
イロン中空繊維が提案されており、特開平9−2172
25号公報には相対粘度2.9以上のナイロンからな
り、中空部が三角形状であるナイロン中空繊維が、特開
平10−110324号報には井型形状のナイロン中空
繊維などが提案されている。
【0007】しかしながら、いずれも単糸の繊度が2.
5デシテックスを超えるものであり、よりソフトな風合
いが得られる単糸繊度2.5以下のナイロン中空マルチ
フィラメントは開発されていないのが現状である。これ
は、中空形状でかつ、単糸の繊度を細くするためには、
中空部を形成する壁(架橋部)の厚みを薄くする必要が
あるが、壁の厚みが薄くなればなるほど、中空の繊維断
面形状がつぶれやすくなり、高中空率とすることができ
ないからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、単糸繊度が2.5デシテックス以下
の細繊度であり、中空率が高く、かつ中空部の潰れが生
じにくく、軽量、保温性に優れたスポーツ衣料用に好適
な布帛を得ることができるナイロン中空マルチフィラメ
ントを提供することを技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
たものである。すなわち、本発明は、熱可塑性ポリアミ
ド樹脂からなり、各単糸は繊維の横断面形状において架
橋部を介して4つの中空部を有し、中空率が5〜30
%、繊度が2.5デシテックス以下であることを特徴と
するナイロン中空マルチフィラメントを要旨とするもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のナイロン中空マルチフィラメントを形成する熱
可塑性ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン
11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナ
イロン610等及びこれらを主成分とするポリアミド等
が挙げられ、これらを単独、あるいは共重合やブレンド
したものを用いることができる。そして、本発明の効果
を損なわない範囲であれば、熱可塑性ポリアミド樹脂中
に各種の添加剤、紫外線吸収剤、艶消剤、改質剤、制電
剤、顔料、二酸化珪素等を添加させてもよい。
【0011】特に、熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状珪
酸塩が含有されていることが好ましい。層状珪酸塩を添
加することによって、中空率を向上させることができ
る。本発明における層状珪酸塩とは、珪酸塩を主成分と
する負に帯電した層と、その間に介在する特定の陽電荷
とからなる構造を有するものである。具体的には、モン
モリロナイト、ハイデライト、サポナイト、ヘクトライ
ト、ソーコナイト等のスメクタイト族、バーキュライト
族、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト金雲母、黒雲
母、レピドライト等の雲母族、マーガライト、クリント
ナイト、アナンダイト等の脆雲母族、ドンバサイト、ス
ドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイ
ト、ニマイトなどの緑泥石族などである。これらは、天
然化合物でも、人工的に合成あるいは変性されたもので
もよく、またオニウム塩等の有機化合物で部分的に処理
されたものでもよい。中でも、フッ素雲母系鉱物は白色
度の点から特に好ましく、フッ素雲母系鉱物は容易に合
成されるものである。
【0012】層状珪酸塩の平均粒径は5μm以下とする
ことが好ましい。平均粒径が5μmを超えると、層状珪
酸塩が均一に分散することができなくなり、糸条に斑が
でき好ましくない。
【0013】また、層状珪酸塩の含有量は、ポリアミド
樹脂に対して0.1〜0.4質量%とすることが好まし
く、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。配合
量が0.1質量%よりも少ないと、珪酸塩を添加するこ
とによる中空率向上効果が発揮できず、また、4.0質
量%を超えると、糸の引張強さが弱くなり、かつ、伸び
率も小さくなり、強伸度に劣るものとなり実用上問題が
生じる。さらに、延伸時に糸ばらけが生じて毛羽が多発
したり、捲取時に糸滑りが起こり、効率よく捲きとるこ
とができないので好ましくない。
【0014】なお、層状珪酸塩をナイロンに含有させる
方法としては、重合時に添加する方法と、紡糸時に溶融
ナイロンに混練する方法があるが、分散性を考慮する
と、重合時に添加する方法が好ましい。
【0015】さらに、本発明の熱可塑性ポリアミド樹脂
は相対粘度3.0以上とすることが好ましい。これによ
り、中空部のつぶれにくい、高中空率でかつ細繊度の糸
を製造することが容易になる。なお、本発明における相
対粘度は、96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25
℃で測定したものである。中でも相対粘度が3.2以
上、さらには3.5以上のものが好ましい。相対粘度の
上限は特に限定するものではないが、紡糸、製糸性が低
下しないようにするためには、4.0以下とすることが
好ましい。
【0016】次に、本発明の繊維を構成する各単糸の形
状について図面を用いて説明する。図1(a)〜(d)
は本発明のナイロン中空マルチフィラメントを構成する
単糸の実施態様を示す断面図である。(a)は丸断面に
4つの円形の中空部を有する形状、(b)は丸断面に4
つの扇型の中空部を有する形状、(c)は四角断面に4
つの円形の中空部を有する形状、(d)は四角断面に4
つの四角形の中空部を有する形状を示す。
【0017】本発明の中空マルチフィラメントは、各単
糸が横断面形状において、架橋部2を介して4つの中空
部1を有している。このように中空部と中空部の間に架
橋部が存在することで強度を保持することができ、中空
部の潰れを防ぐことができるので、細繊度で中空率の高
い繊維とすることが可能となる。
【0018】中空部の割合である中空率は5〜30%で
あり、好ましくは10〜25%、より好ましくは15〜
20%である。ここでいう中空率とは単糸の繊維横断面
積に占める中空部の総断面積の割合を百分率で表したも
のであり、次式から計算される。 中空率(%)=(4つの中空孔の総断面積)/(繊維の
断面積)×100
【0019】中空率が5%未満では、得られる布帛は、
軽量・保温性の効果が不十分となる。一方、中空率が3
0%を超えると中空部1を形成する架橋部2の厚みが薄
くなり、中空部がつぶれてしまう。
【0020】そして、本発明においては、単糸中の4つ
の中空部1の面積が実質的に等しいことが好ましい。実
質的に断面積が等しいというのは、4つの中空部が同形
状で、かつ、4つの中空部の面積の中で、最大値と最小
値の4つの中空部の面積の平均値との差〔(最大値−平
均値)、(平均値−最小値)〕が平均値の20%以内で
あることが好ましい。すなわち、〔(最大値−平均値)
/平均値〕×100≦20 〔(平均値−最小値)/平均値〕×100≦20 で
あることが好ましい。
【0021】さらに、本発明のナイロン中空マルチフィ
ラメントを構成する単糸の繊度が2.5デシテックス以
下であり、より好ましくは2.0デシテックス以下であ
る。単糸繊度が2.5デシテックスを超えると、目標と
する風合いを有する布帛を得ることができない。
【0022】本発明のマルチフィラメントは、上記単糸
が12本以上で構成されることが好ましく、さらに好ま
しくは24本以上、より好ましくは36本以上である。
【0023】次に、本発明の繊維の製造方法について説
明する。まず、ナイロンチップの水分率を調整した後、
ナイロンをエクストルーダーで融点より20〜60℃高
い紡糸温度で混練・溶融する。このとき、相対粘度が
3.0以上のナイロンチップを用いることが好ましい。
相対粘度が3.0未満では中空率5%以上で単糸繊度が
2.5デシテックス以下のナイロン中空繊維とすること
が困難となる。次に、溶融ポリマーを紡糸口金から押し
出し、繊維状にする。このとき、4つのT型スリットを
放射状に配列してなる吐出孔を有する紡糸口金を用い
る。
【0024】本発明のマルチフィラメントの製造法に用
いるスリット形状の例を図2に示す。(a)はT字型ス
リット3が放射状に4つ配列された四角型ノズル、
(b)は丸みを帯びたT字型スリット3が放射状に4つ
配列された丸型ノズルである。T字型スリットのスリッ
ト巾、T字の各寸法、4つのT字型の間隔を調節するこ
とで、得られるナイロン中空繊維の中空率を変えること
ができる。
【0025】このような紡糸口金より紡糸された糸条は
冷風で冷却固化される。冷風の温度は特に限定するもの
ではない。このとき、紡糸油剤を公知のローラ法又はス
リットノズル法で付与する。ここでいう紡糸油剤とは、
繊維に平滑性や帯電防止性を付与するものであり、鉱物
油、有機酸、エーテル類等を含む公知のものが挙げられ
る。紡糸油剤の付与量は特に限定するものではないが、
繊維質量に対し0.5〜1.0質量%とすることが好ま
しい。
【0026】そして、紡糸した後は、糸条を一旦巻き取
った後、延伸や熱処理を行う二工程法であっても、紡糸
した糸条を一旦巻き取ることなく延伸を行う一工程法の
どちらを採用してもよいが、生産性を考慮して一工程法
を採用することが好ましい。この場合、糸条の速度、す
なわち紡糸速度は500〜5000m/分とすることが
好ましい。糸条は2個のゴデットローラ間で延伸され、
ワインダーに捲き取られ、ナイロン中空マルチフィラメ
ントを得ることができる。延伸倍率は得られるナイロン
中空マルチフィラメントの糸質、紡糸速度により決定さ
れる。また、捲取速度は特に限定するものではないが5
00〜5500m/分とすることが好ましい。
【0027】以上のようにして得られた本発明のナイロ
ン中空マルチフィラメントがなぜ高中空でかつ単糸繊度
を細くすることが可能なのか、本発明者らは次のように
推測する。本発明のナイロン中空マルチフィラメントを
構成する単糸の繊維断面は図1のような形状をとる。す
なわち、中空部分は4つの中空孔から構成され、架橋部
を繊維内部に有するため、図4に示すような中空部が1
つのマカロニ型の中空繊維等と比べると形状が安定して
おり、したがって、中空部を大きくしても、延伸・仮撚
・製織・染色加工などの高次加工工程で中空の繊維断面
形状がつぶれにくい。特に、ポリアミド樹脂中に層状珪
酸塩を含有する場合、含有しない場合に比較して、ノズ
ルから紡糸されたポリマーの冷却速度が速いため、形状
の安定性が高くなり、高中空の繊維を得ることができ
る。また、本発明の製造方法では、図2に示すような4
つのT型スリットを放射状に配列してなる吐出孔を有す
る紡糸口金から溶融紡糸することによって、紡糸時の中
空形状の発現性が向上し、延伸時の中空孔の変形も少な
く、安定した形状のものを操業性よく製造することが可
能となる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。実施例における繊度、強伸度、中空率の測
定方法、形態安定性の評価は次のとおりに行った。 (1)繊度 JIS L 1013化学繊維フィラメント糸試験法に
従って測定した。 (2)強伸度 JIS L 1013化学繊維フィラメント糸試験法に
従って測定し、引張強さ及び伸び率を算出した。 (3)中空率 単糸繊維の横断面写真を撮り、前記のように中空率を計
算した。n数10個の平均値とした。 (4)形態安定性 マルチフィラメントの横断面写真を撮り、各単糸の中空
孔および繊維断面の形状を目視にて次の4段階で評価
し、◎、○のものを形態安定性に優れていると判定す
る。 ◎:全ての単糸において中空孔の潰れが見られない。 ○:一部の単糸において中空孔の潰れが若干見られる。 △:半分程度の単糸に中空孔の潰れが見られる。 ×:大部分の単糸の中空孔が潰れている。
【0029】実施例1 相対粘度(96%硫酸を溶媒として、濃度1g/dl、温
度25℃で測定)が3.26のナイロン6チップを水分
率0.01質量%に調整した後、エクストルーダー型溶
融押出機に供給し、紡糸温度263℃で溶融させ、図2
(b)に示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.0
6mm、外周1.20mm)を36個有する紡糸口金を
用いて、吐出量26.3g/分で吐出させた。紡糸速度
3500m/分で冷却装置より冷却風を吹き付けて糸条
を冷却、固化させ、オイリングローラで油剤を付与した
後、2個のゴデットローラ間で1.2倍に延伸後、速度
4200m/分で捲き取り、66dtex/36fのナ
イロン中空マルチフィラメントを得た。繊維断面形状は
図1(b)に示すものであった。
【0030】実施例2 相対粘度が3.00のナイロン6チップを水分率0.0
1質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融押出機
に供給し、紡糸温度263℃で溶融させ、図2(b)に
示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.06mm、
外周0.85mm)を36個有する紡糸口金を用いて、
吐出量24.1g/分で吐出した。紡糸速度3500m
/分で冷却装置より冷却風を吹き付けて糸条を冷却、固
化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、2個の
ゴデットローラ間で1.25倍に延伸後、速度4200
m/分で捲き取り、60dtex/36fのナイロン中
空マルチフィラメントを得た。繊維断面形状は図1
(d)に示すものであった。
【0031】実施例3 相対粘度が3.50のナイロン6チップを水分率0.0
1質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融押出機
に供給し、紡糸温度263℃で溶融させ、図2(b)に
示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.06mm、
外周0.85mm)を48個有する紡糸口金を用いて、
吐出量31.8g/分で吐出した。紡糸速度3500m
/分で冷却装置より冷却風を吹き付けて糸条を冷却、固
化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、2個の
ゴデットローラ間で1.2倍に延伸後、速度4200m
/分で捲き取り、78dtex/48fのナイロン中空
マルチフィラメントを得た。繊維断面形状は図1(d)
に示すものであった。
【0032】実施例4 相対粘度が3.50のナイロン6チップを水分率0.0
1質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融押出機
に供給し、紡糸温度263℃で溶融させ、図2(b)に
示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.06mm、
外周1.20mm)を36個有する紡糸口金を用いて、
吐出量31.8g/分で吐出した。紡糸速度3500m
/分で冷却装置より冷却風を吹き付けて糸条を冷却、固
化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、2個の
ゴデットローラ間で1.2倍に延伸後、速度4200m
/分で捲き取り、78dtex/36fのナイロン中空
マルチフィラメントを得た。繊維断面形状は図1(b)
に示すものであった。
【0033】比較例1 図3に示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.06
mm、外周1.20mm)を36個有する紡糸口金を用
いた以外は実施例4と同様に行い、78dtex/36
fのナイロン中空マルチフィラメントを得た。繊維断面
形状は図4に示すものであった。
【0034】比較例2 相対粘度2.85のナイロン6のチップを用いた以外
は、実施例4と同様に行い、78dtex/36fのナ
イロン中空マルチフィラメントを得た。繊維断面形状は
図1(b)に示すものであった。
【0035】比較例3 スリット状でない孔径0.3mmの吐出孔を36個有す
る紡糸口金を用いた以外は実施例4と同様に行い、78
dtex/36fのナイロン非中空マルチフィラメント
を得た。
【0036】実施例1〜4、比較例1〜3で得られた繊
維の繊度・単糸繊度・引張強さ・伸び率・中空率を測定
した結果及び形態安定性の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、実施例1〜4は
いずれも単糸繊度が2.5デシテックス以下であり、中
空率が5〜30%で中空孔の形態安定性も優れていた。
比較例3の丸断面のナイロンマルチフィラメントと比較
しても、引張強さ、伸び率とも同等であった。一方、比
較例1の繊維は中空部が1つしかないものであったた
め、中空孔の形態安定性が悪く、半分程度の単糸に中空
部の潰れが見られた。比較例2の繊維は相対粘度の低い
ポリアミド樹脂を用いたため、中空率が低く、比較例3
の繊維は中空部を有していないマルチフィラメントであ
ったため、両者ともに、十分な軽量性と保温性を有する
布帛を得ることができないものであった。
【0039】実施例5〜7 平均粒子径4.5μmのフッ素四ケイ素雲母を表2に示す
含有量となるように、ナイロン6の重合時に添加した。
この相対粘度が3.26のナイロン6チップを水分率
0.01質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融
押出機に供給し、紡糸温度263℃で溶融させ、図2
(b)に示すスリット形状の吐出孔(スリット巾0.0
6mm、外周1.20mm)を36個有する紡糸口金を
用いて、吐出量26.3g/分で吐出した。紡糸速度3
500m/分で冷却装置より冷却風を吹き付けて糸条を
冷却、固化させ、オイリングローラで油剤を付与した
後、2個のゴデットローラ間で1.2倍に延伸後、速度
4200m/分で捲き取り、66dtex/36fの本
発明のナイロン中空マルチフィラメントを得た。繊維断
面形状は図1(b)に示すものであった。
【0040】実施例5〜7で得られた繊維の繊度・単糸
繊度・引張強さ・伸び率・中空率を測定した結果及び形
態安定性の評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、層状珪酸塩を含
有したポリアミド樹脂を用いた実施例5〜7の中空マル
チフィラメントは、より中空率が高く、形態安定性にも
優れていた。
【0043】
【発明の効果】本発明のナイロン中空マルチフィラメン
トは単糸繊度2.5デシテックス以下で、中空率5〜3
0%、かつ繊維断面の形態安定性の良好な繊維であるた
め、軽量・保温性に優れた布帛を得ることができ、スポ
ーツ衣料用途に好適である。また、本発明の製造方法に
よれば、上記ナイロン中空マルチフィラメントを安定し
て製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明のナイロン中空マル
チフィラメントを構成する単糸の実施態様を示す断面図
である。
【図2】(a)〜(d)は、図1の単糸を得るための紡
糸口金のスリット形状を示す模式図である。
【図3】中空部が1つのマカロニ型の中空繊維を得るた
めの紡糸口金のスリット形状を示す模式図である。
【図4】図3の紡糸口金より得られたマカロニ型の中空
繊維を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空部 2 架橋部 3 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA02 AA09 BB33 BB36 BB40 BB55 BB59 BB91 DD02 DD03 EE08 EE20 JJ06 KK01 KK05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、各単
    糸は繊維の横断面形状において架橋部を介して4つの中
    空部を有し、中空率が5〜30%、繊度が2.5デシテ
    ックス以下であることを特徴とするナイロン中空マルチ
    フィラメント。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリアミド樹脂中に層状珪酸塩
    が含有されている請求項1記載のナイロン中空マルチフ
    ィラメント。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリアミド樹脂が相対粘度3.
    0以上である請求項1又は2記載のナイロン中空マルチ
    フィラメント。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリアミド樹脂を、4つのT型
    スリットを放射状に配列してなる吐出孔を有する紡糸口
    金から溶融紡糸することを特徴とする請求項1、2又は
    3記載のナイロン中空マルチフィラメントの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014210990A (ja) * 2013-04-18 2014-11-13 帝人株式会社 細繊度多孔中空短繊維、これを用いてなる紡績糸、織編物、及び細繊度多孔中空繊維の製造方法
JP2017031543A (ja) * 2015-08-03 2017-02-09 展頌股▲ふん▼有限公司 ナイロン66中空繊維、その製造方法及びその生産設備
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