JP2002266157A

JP2002266157A - Ｘ線感応繊維

Info

Publication number: JP2002266157A
Application number: JP2001070423A
Authority: JP
Inventors: Masaki Nishimura; 雅樹西村; Eiji Tsukamoto; 栄治塚本
Original assignee: Unitika Fibers Ltd
Current assignee: Unitika Fibers Ltd
Priority date: 2001-03-13
Filing date: 2001-03-13
Publication date: 2002-09-18

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】優れたＸ線感応性を有し、医療用途等におい
て好適に使用できる繊維を提供する。【解決手段】放射線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂
からなる繊維であって、Ｘ線感応値が１８以下であるＸ
線感応繊維である。前記熱可塑性樹脂中の前記放射線不
透過剤の含有量は繊維質量の３０質量％以上とすること
が好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、ポリアミドや
ポリエステル等が好適であり、前記放射線不透過剤とし
ては、硫酸バリウム、次硝酸ビスマス、酸化ナトリウ
ム、酸化セシウム等があり、中でも硫酸バリウムが好ま
しい。また、芯成分が放射線不透過剤を４０〜７０質量
％含有し、芯成分の比率が５０〜９０質量％である芯鞘
複合繊維とすることで、紡糸時のトラブルを減少し、操
業性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、放射線不透過剤を
含有する熱可塑性樹脂で構成され、Ｘ線感応性に優れた
繊維に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の熱可塑性樹脂からなる繊維におい
て、熱可塑性樹脂中に機能剤を練り込むことや機能性樹
脂をブレンドすることにより各種の機能が付与されてき
た。例えば、機能剤を練り込む場合は、カーボンを練り
込んだ導電繊維、抗菌剤を練り込んだ抗菌繊維等が挙げ
られる。また、機能性樹脂をブレンドする場合として
は、吸水性樹脂をブレンドした吸放湿性繊維等が挙げら
れる。

【０００３】しかしながら、これまで提案されている機
能性繊維においては、Ｘ線感応性を有するものがなく、
例えば、医療用途において、手術用ガーゼ等の一部に織
り込み、Ｘ線透視によりガーゼを識別するために用いる
ことができるような繊維は提案されていなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、Ｘ線感応性を有し、医療用途等にお
いて好適に使用できる繊維を提供することを技術的な課
題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、放射線不透過剤を含有する熱
可塑性樹脂からなる繊維であって、Ｘ線感応値が１８以
下であるＸ線感応繊維を要旨とするものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のＸ線感応繊維を形成する熱可塑性樹脂と
しては、合成繊維を得ることができるものであれば用い
ることができ、中でも、ポリアミドやポリエステル等が
好適であり、後述するように特にポリアミドが好まし
い。ポリアミドとしては、ナイロン６、ナイロン６６、
ナイロン６９、ナイロン４６、ナイロン６１０、ナイロ
ン１２、ポリメタキシレンアジパミドやそれら各成分の
共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリア
ルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート
等があるが、中でもポリエチレンテレフタレート（ＰＥ
Ｔ）やポリトリメチレンテレフタレート（ＰＴＴ）、ポ
リブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）が好ましく用いら
れる。

【０００７】これらの熱可塑性樹脂においては、本発明
の効果を損なわない範囲であれば、艶消剤、改質剤、制
電剤、難燃剤、顔料等の種々の添加物を添加してもよ
い。

【０００８】熱可塑性樹脂としてポリアミドが好ましい
理由は、ポリアミド繊維は、ポリマー特性に起因するソ
フト感やしっとり感等に優れた風合を有しており、手術
用ガーゼ等の患部に触れるようなメディカル用途に好適
であるためである。また、パンストやインナーに使用さ
れているように、高強力で耐摩耗性等にも優れるという
物性からもポリアミドを用いることが好ましい。

【０００９】そして、本発明の繊維においては、放射線
不透過剤を熱可塑性樹脂中に含有する。放射線不透過剤
としては、硫酸バリウム、次硝酸ビスマス、酸化トリウ
ム、酸化セシウム等があり、中でも硫酸バリウムが好ま
しい。硫酸バリウムはＸ線感応性に優れ、かつ耐熱性、
結晶安定性が高い。さらに、一次粒径が小さく二次凝集
しにくい粒子が容易に生産可能なことから、硫酸バリウ
ムをポリアミドに練り込み溶融紡糸すると、濾過圧の上
昇、糸切れ等がなく、良好な操業性でＸ線感応繊維を得
ることができる。このような点から、硫酸バリウムとし
て平均粒径が０．６５μｍ以下のものを用いることが特
に好ましい。

【００１０】本発明の繊維は、上記のような放射線不透
過剤を含有することによって、Ｘ線感応値が１８以下で
ある。本発明におけるＸ線感応値の測定方法は以下のと
おりである。線源、アルミ板、サンプル、感光紙の順に
配列させ、線源より６５ｋＶｐ、６ｍＡのＸ線を中間に
アルミ板を挟んで７０ｃｍ離れたサンプルへ照射し、サ
ンプルによりＸ線が遮断された部分の像を感光紙へ映し
出す。この際、アルミ板の厚さによりＸ線照射量を調節
し、サンプルの輪郭を明確かつ濃さが一定の像を映し出
すことのできるアルミ板の厚さをｍｍ単位で表した値を
Ｘ線感応値とする。アルミ板の厚さが小さいほどＸ線照
射量が多く、サンプルの輪郭が不明瞭となるので、この
値が小さいほどＸ線感応性に優れている。

【００１１】Ｘ線感応性とは、Ｘ線を照射した際にＸ線
を透過することなく遮断する性質であり、Ｘ線を照射す
ることによって、その像が映し出される特性をいう。す
なわち、本発明の繊維は、Ｘ線を照射することによりそ
の存在を感知することができる。したがって、手術用ガ
ーゼ等の一部に織り込んでＸ線透視によりガーゼ等を識
別することが可能となる。

【００１２】Ｘ線感応値が１８を超えると、Ｘ線感応性
が不十分となり、上記のように手術用ガーゼ等の一部に
織り込んでも、Ｘ線透視によりガーゼを識別することが
困難となる。

【００１３】そして、本発明の繊維においては、熱可塑
性樹脂中の放射線不透過剤の含有量を繊維質量の３０質
量％以上とすることが好ましい。３０質量％未満である
と、Ｘ線感応性が不十分となり、Ｘ線感応値が１８を超
える場合がある。

【００１４】さらに、本発明の繊維においては、芯鞘型
の複合繊維とし、芯成分が放射線不透過剤を４０〜７０
質量％含有し、芯成分の比率が５０〜９０質量％である
芯鞘複合繊維とすることが好ましい。芯成分に放射線不
透過剤を含有することによって、紡糸時におけるトラブ
ルが減少し、操業性が向上する。芯成分の放射線不透過
剤量が４０質量％未満であったり、芯成分の比率が５０
質量％未満であると、放射線不透過剤の含有量を繊維質
量の３０質量％以上にすることが困難となり、Ｘ線感応
値を１８以下とすることが困難となる。一方、芯成分の
放射線不透過剤量が７０質量％を超えたり、芯成分の比
率が９０質量％を超えると、紡糸時においてフィルター
が目詰まりを起こし、濾過圧が上昇して糸切れが生じや
すく、また糸条を得ることが困難となる場合がある。ま
た、得られたとしても強度の低い繊維となる。

【００１５】また、芯鞘複合繊維の場合にも、芯成分と
鞘成分の両者とも熱可塑性樹脂はポリアミドを用いるこ
とが好ましい。

【００１６】本発明の繊維は、短繊維でも長繊維でもよ
く、長繊維としてはマルチフィラメントでもモノフィラ
メントでもよい。そして、繊維の伸度は２１％以上であ
ることが好ましい。伸度が２１％未満であると、製編織
時の解舒やガイド通過時において張力変動が大きくなる
ため、操業性が悪化する。また、柔軟性にも乏しくな
り、手術用ガーゼ等体内に用いられるメディカル分野に
用いることが不向きなものとなる。また、強度として
は、耐摩耗性と強度を要する用途に用いるため、３．０
ｇ／ｄｔｅｘ以上とすることが好ましい。

【００１７】

【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の特性値の測定は、次のとおりに
行った。（ａ）強伸度ＪＩＳＬ１０９０に準拠して測定した。（ｂ）Ｘ線感応値の測定前記の方法にて測定した。

【００１８】実施例１平均粒径０．７μｍの硫酸バリウム微粒子を５５質量％
含有した、相対粘度（96％硫酸を溶媒として、濃度１ｇ
／ｄｌ、温度25℃で測定）が３．５１のナイロン６ペレ
ットを芯成分とし、相対粘度が３．５１のナイロン６ペ
レットを鞘成分として、通常の複合溶融紡糸装置に芯鞘
型複合紡糸口金（紡糸孔数１）を装着し、芯成分の比率
を６５質量％として、ポリマー温度を２８０℃で溶融紡
糸した。紡糸した芯鞘型複合繊維を冷却し、油剤を付与
した後、速度８００ｍ／分で捲き取り、１２６Ｔ／１ｆ
の未延伸糸（モノフィラメント）を得た。次に、得られ
た未延伸糸を３．８２倍の延伸倍率、１６０℃で熱延伸
しながら、速度６８０ｍ／分で引き取り、スピンドル回
転数７６００ｒｐｍのパーンにトラベラ３２番を用いて
捲き取り、Ｘ線感応繊維３３Ｔ／１ｆを得た。

【００１９】実施例２平均粒径０．７μｍの硫酸バリウム微粒子を４５質量％
含有した相対粘度が３．５１のナイロン６ペレットを芯
成分とし、相対粘度が３．５１のナイロン６ペレットを
鞘成分として、通常の複合溶融紡糸装置に芯鞘型複合紡
糸口金（紡糸孔数１２）を装着し、芯成分の比率を７０
質量％として、ポリマー温度を２８０℃で溶融紡糸し
た。紡糸した芯鞘型複合繊維を冷却し、油剤を付与した
後、速度８００ｍ／分で捲き取り、２９０Ｔ／１２ｆの
未延伸糸（マルチフィラメント）を得た。次に、得られ
た未延伸糸を３．７０倍の延伸倍率、１６０℃で熱延伸
しながら、速度６８０ｍ／分で引き取り、スピンドル回
転数７６００ｒｐｍのパーンにトラベラ３０番を用いて
捲き取り、Ｘ線感応繊維７８Ｔ／１２ｆを得た。

【００２０】比較例１〜３芯成分の硫酸バリウム微粒子の含有量、複合繊維の芯成
分の比率を表１に示すように変更した以外は、実施例１
と同様に行った。

【００２１】実施例１〜２、比較例１〜３で得られた繊
維の強度、伸度、芯鞘比率（質量比）、硫酸バリウム含
有量、Ｘ線感応値の評価結果を表１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１から明らかなように、実施例１、２で
得られたＸ線感応繊維は、強伸度等の糸質物性に優れ、
良好なＸ線感応性を示し、ガイド摩耗や濾過圧の上昇等
もなく、操業性よく製造することができた。一方、比較
例１、２は、芯成分の硫酸バリウム微粒子含有量が最適
でなく、比較例１は糸質物性に優れているが、良好なＸ
線感応性を得ることができなかった。比較例２は濾過圧
の上昇が見られ、曵糸性が悪く操業性が不調であり、繊
維を得ることができなかった。また、比較例３は、芯成
分の比率が最適でなく、強伸度等の糸質物性は優れてい
たが、良好なＸ線感応性を得ることができなかった。

【００２４】

【発明の効果】本発明のＸ線感応繊維は、高いＸ線感応
性、十分な糸質物性を有し、手術用ガーゼ等の一部に織
り込むと、Ｘ線透視によりガーゼを識別することが可能
となる。特にポリアミド繊維とすることによって、特有
のソフト感やしっとり感等の風合を有し、患部等の皮膚
に触れるメディカル材に好適に使用することが可能とな
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】放射線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂
からなる繊維であって、Ｘ線感応値が１８以下であるこ
とを特徴とするＸ線感応繊維。
【請求項２】放射線不透過剤の含有量が繊維質量の３
０質量％以上である請求項１記載のＸ線感応繊維。
【請求項３】芯鞘型複合繊維であって、芯成分が放射
線不透過剤を４０〜７０質量％含有し、芯成分の比率が
５０〜９０質量％である請求項１又は２記載のＸ線感応
繊維。
【請求項４】熱可塑性樹脂がポリアミドである請求項
１、２又は３記載のＸ線感応繊維。
【請求項５】放射線不透過剤が硫酸バリウムである請
求項１、２、３又は４記載のＸ線感応繊維。
【請求項６】硫酸バリウムの平均粒径が０．６５μｍ
以下である請求項５記載のＸ線感応繊維。
【請求項７】伸度が２１％以上である請求項１、２、
３、４、５又は６記載のＸ線感応繊維。