JP2008110195A - X線造影性複合糸及びx線造影性繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特異な造影形状を呈することで、体内に残留した場合に発見しやすいX線造影性複合糸及びX線造影性繊維構造体を提供する。
【解決手段】X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂にて形成されたX線造影性繊維Aと、X線不透過剤を含有しない非造影性繊維Bとを含む複合糸である。X線造影性繊維Aの造影形状が、複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有するものである。X線造影性繊維構造体は、この複合糸を含むものである。
【選択図】図1

Description

本発明はX線造影性複合糸及びX線造影性繊維構造体に関する。
従来、外科手術等の手術を行う場合に、患者からの出血や体液などを拭き取ったり吸収したりするために、多数枚のガーゼが使用されている。手術終了後は、すべてのガーゼを患者の体内から取り出す必要がある。しかし、手術中に使用されたガーゼは血液によって赤く染まり、患者の切開部において患者の臓器との区別が困難となることがあり、ガーゼを患者の体内に残してしまうことがある。ガーゼが体内に残存しつづけると、患者は、身体に痛みを感じるだけでなく、発熱したりするおそれがある。また、ガーゼが臓器に癒着して他の病気を引き起こす可能性がある。
このような事故を防止するために、手術後、使用したガーゼの枚数を確認する方法が採られている。しかし、血液の付着したガーゼの枚数を確認するのは容易ではなく、確認に時間がかかるうえ、数え間違いなども起こる可能性があり、この方法だけでは不十分である。
これらの問題を解決するものとして、特許文献1及び特許文献2では、X線造影性を有する繊維を含有した手術用ガーゼが提案されている。このガーゼを用いれば、体内に放置されたガーゼをX線写真撮影によって発見することができ、手術に使用した全てのガーゼを除去することができる。
しかしながら、これらの特許文献にて提案されているX線造影性繊維は、繊維方向に均一な造影性を示すため、レントゲン等を撮影した場合に、一本の線状に造影するだけであり、このため体内の残留位置によっては発見しにくい場合がある。
特開昭62−82956号公報 特開2006−34507号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、特異な造影形状を呈することで、体内に残留した場合に発見しやすいX線造影性複合糸及びX線造影性繊維構造体を提供することを技術的な課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記を要旨とするものである。
(1)X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂にて形成されたX線造影性繊維と、X線不透過剤を含有しない非造影性繊維とを含む複合糸であり、X線造影性繊維の造影形状が複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有するものであることを特徴とするX線造影性複合糸。
(2)X線造影性繊維と非造影性繊維とが組紐形態で複合されていることを特徴とする(1)のX線造影性複合糸。
(3)X線造影性繊維と非造影性繊維とが撚糸形態で複合されていることを特徴とする(1)のX線造影性複合糸。
(4)非造影性繊維の周囲に単数または複数のX線造影性繊維が配された形態で複合されていることを特徴とする(1)のX線造影性複合糸。
(5)非造影性繊維は、繊維表面の少なくとも一部が、X線造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂よりも融点の低い低融点熱可塑性樹脂にて形成されていることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかのX線造影性複合糸。
(6)非造影性繊維は、芯鞘型複合繊維であって、低融点熱可塑性樹脂が鞘部に配されるとともに、低融点熱可塑性樹脂よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂が芯部に配された構成であることを特徴とする(5)のX線造影性複合糸。
(7)上記(1)から(6)までのいずれかのX線造影性複合糸を含むことを特徴とするX線造影性繊維構造体。
本発明のX線造影性複合糸は、X線造影性繊維と非造影性繊維とを含んでおり、X線造影性繊維の造影形状が複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有するものであるため、レントゲン等を撮影した場合に直線でない特異な形状で造影する。このため、X線造影性複合糸が体内に残存していることや、X線造影性複合糸を用いた織編物や不織布ガーゼ等の繊維構造体が体内に残存していることを、容易に確認することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、X線造影性繊維について説明する。X線造影性繊維は、X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂にて形成されたものである。この熱可塑性樹脂としては、合成繊維を得ることができるものであれば用いることができ、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。中でも、ポリアミドが好ましく、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシレンアジパミド等が挙げられる。これらの成分からなる共重合体や混合物等であってもよい。さらに、ポリアミドの中でもナイロン6やナイロン12が特に好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリアミドが好ましい理由は、ポリアミド繊維は、ポリマー特性に起因するソフト感やしっとり感等に優れた風合を有しているので、手術用ガーゼ等の患部に触れるようなメディカル用途に好適なためである。さらにポリアミドの中でもナイロン6やナイロン12は、上記特性に加え、X線不透過剤を高濃度に含有させても、溶融紡糸、延伸が可能で繊維化することが可能であることから、特に好ましいものである。
熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。またポリオレフィンを用いる場合は、ポリプロピレンやポリエチレン等を用いることができる。これらの成分についても、共重合体や混合物等であってもよい。
熱可塑性樹脂中に含有させるX線不透過剤としては、硫酸バリウム、次硝酸ビスマス、酸化タングステン、酸化トリウム、酸化セシウム等があり、中でも硫酸バリウムが好ましい。硫酸バリウムは、X線不透過性に優れ、かつ耐熱性、結晶安定性が高い。さらに、一次粒径が小さく二次凝集しにくい粒子を容易に生産可能なことから、硫酸バリウムを上記のような熱可塑性樹脂中に練り込んで溶融紡糸すると、濾過圧の上昇や糸切れ等がなく、操業性よく繊維を得ることができる。
X線造影性繊維は、X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂からなる繊維であるが、造影性能を向上させるには、X線不透過剤を含有する樹脂部分が多くなるようにすることが好ましい。このためには、X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂のみからなる単一成分型の糸とすることが好ましい。たとえば、芯部にのみX線不透過剤を含有する芯鞘型の複合糸であると、芯部しか造影性がないため、単一成分型の糸と同一繊度であると造影性に劣るものとなりやすい。
そして、単一成分型の糸とする際には、X線不透過剤が熱可塑性樹脂中に略均一に分散されていることが好ましい。そのためには、溶融紡糸時にX線不透過剤と熱可塑性樹脂とをエクストルーダー等を用いて直接混練することが好ましい。さらに、X線不透過剤を高濃度に含有したマスターチップをいったん作製してから、X線不透過剤を含有しない樹脂チップと混練すると、より均一な混練ができるため、特に好ましい。
次に、非造影性繊維について説明する。非造影性繊維は、X線不透過剤を含有しないものであり、天然繊維、合成繊維のいずれでもよいが、中でも熱可塑性樹脂にて形成される合成繊維が好ましい。その熱可塑性樹脂は、溶融紡糸できるものであれば特に限定されるものではなく、X線造影性繊維と同様な熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、天然繊維としては、綿、溶剤紡糸セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラレーヨン)などを用いることができる。
非造影性繊維は、一種類の熱可塑性樹脂からなる単一成分繊維であってもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維であってもよい。複合繊維としては、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型などの繊維が挙げられる。
非造影性繊維は、複合繊維であって、その繊維表面の少なくとも一部が、X線造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂よりも融点の低い低融点熱可塑性樹脂で形成されたものであることで、熱処理等によって低融点熱可塑性樹脂が溶融して接着成分となり、X線造影性複合糸を一体化させたり、他の繊維構造体に含有させた際にその繊維集合体を構成する他の繊維と接着させたりすることができる。
中でも、低融点熱可塑性樹脂を鞘部に用い、低融点熱可塑性樹脂よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂を芯部に用いた芯鞘型の複合繊維とすることが好ましい。芯鞘型複合繊維とすることで、鞘部の低融点熱可塑性樹脂を溶融させてX線造影性繊維や後述の繊維構造体を構成する他の繊維と接着させた場合でも、芯部の高融点熱可塑性樹脂によって繊維の強度を保持することができるため、強度の高いX線造影性複合糸や繊維構造体を得ることができる。このためには、鞘部を構成する樹脂の融点が、芯部を構成する樹脂の融点やX線造影性繊維を構成する樹脂の融点よりも20℃以上低いことが好ましい。特にX線造影性繊維を構成する樹脂との融点差が20℃未満であると、低融点熱可塑性樹脂を溶融させる際の熱処理によってX線造影性繊維が溶融することがあり、それによりX線造影性繊維が変形して、X線造影性が悪くなりやすい。また、低融点熱可塑性樹脂の融点は、100℃以上であることが好ましい。その融点が100℃未満であると、X線造影性複合糸や、これを用いた織編物や不織布等の繊維構造体を加熱滅菌する際に溶融する可能性がある。
非造影性繊維における低融点熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂、たとえば上記の芯鞘構造の芯部を構成する高融点熱可塑性樹脂は、X線造影性繊維を構成するものと同じ熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
非造影性繊維を構成する低融点熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、低融点のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等を用いることができる。
低融点のポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられるが、特にメタロセン触媒を用いて重合した低密度ポリエチレンが、分子量分布が狭く、熱分解等に強いため好適である。
低融点のポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610などのうち、任意の成分の組み合わせからなる2元共重合体及び3元共重合体が挙げられる。
低融点のポリエステルとしては、2塩基酸もしくはその誘導体の1種または2種以上とグリコール類の1種または2種以上とを共重合して得られるポリエステル共重合体が挙げられる。この場合に用いることのできる2塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族2塩基酸;蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族2塩基酸;1,2−シクロブタンカルボン酸等の脂環族2塩基酸等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンタンジオール、p−キシレングリコール等や、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類が挙げられる。
低融点のポリエステルとして、芳香族ポリエステルと脂肪族ラクトンとを共重合した共重合ポリエステルを用いるのも好ましい。芳香族ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート単位及び/又はブチレンテレフタレート単位の重合体、あるいはこれにさらにイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等を共重合したものが挙げられる。脂肪族ラクトンとしては、炭素数4〜11のラクトンを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に好適なラクトンとしては、ε−カプロラクトンやδ−バレロラクトンが挙げられる。
そして、非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂は、X線造影性繊維と接着させて用いる場合は、X線造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂との接着性のよいものが好ましい。したがって、非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂とX線造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂とは、同種のものを用いることが好ましい。また、非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂は、後述の繊維構造体を構成する繊維と接着させて用いる場合は、その繊維との接着性のよいものが好ましい。
非造影性繊維の全体に対する低融点熱可塑性樹脂が占める割合(質量%)は10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、接着成分が少なくなるため、X線造影性複合糸を一体化させることが困難となったり、繊維構造体を構成する繊維との接着性が不十分となったりする。
X線造影性繊維や非造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂は、その繊維性能を損なわない範囲であれば、ブロッキング防止剤、無機充填剤、補強剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、艶消剤などの各種添加剤を含有していてもよい。
次に、本発明のX線造影性複合糸の複合形態について説明する。本発明のX線造影性複合糸は、X線造影性繊維と非造影性繊維とを含むものであり、X線造影性繊維の造影形状が複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有するものであることが必要である。このような形態とすることで、複合糸の軸心の方向すなわち糸長方向と垂直な方向にX線を照射したときに、直線状でない特異な形状で造影される。
このようなX線造影性複合糸の曲折部を有する複合形態としては、図1(a)に示すようなX線造影性繊維Aと非造影繊維Bとを組物組織に製紐したものすなわち組紐形態としたもの、図2(a)に示すようなX線造影性繊維Aと非造影繊維Bとを撚糸形態で複合化したもの、あるいは個々に下撚りをかけたものを更に上撚りしたものが好ましい。これにより、図1(b)に示すような8の字形状の造影形状や図2(b)に示すような波形形状の造影形状を有するものとなる。さらに、非造影繊維Bの周囲に単数または複数のX線造影性繊維Aが配された形態で複合されているものであって、図3(a)に示すように非造影繊維Bの周囲に単数のX線造影性繊維Aをカバリングした形態のものなどが好ましい。これにより図3(b)に示すようならせん形状の造影形状を有するものとなる。なお、図1に示す組物組織としては、平打組物、丸打組物、角打組物などが挙げられる。
本発明のX線造影性複合糸において、X線造影性繊維と非造影性繊維との複合比率(X線造影性繊維/非造影性繊維)は、10/90〜90/10(質量%)であることが好ましい。X線造影性繊維の比率が10質量%未満であると、X線造影性が低下するため好ましくない。一方、X線造影性繊維の比率が90質量%を超えると、非造影性繊維の比率が低くなりすぎるため、繊維軸と垂直方向にX線を照射した場合に特異な形状で造影されにくくなり好ましくない。
X線造影性繊維と非造影性繊維は、いずれもモノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよく、単糸繊度は用途に応じて適宜選択すればよいが、X線造影性繊維の総繊度は500〜20000dteX(マルチフィラメントの場合は単糸繊度が20〜400dteX)であることが好ましい。さらに、X線造影性複合糸中に含まれるX線造影性繊維の総繊度は、鮮明な造影形状を得るために1000dteX以上とすることが好ましい。また非造影性繊維の総繊度は50〜10000dteX(マルチフィラメントの場合は単糸繊度が1〜100dteX)であることが好ましい。
本発明のX線造影性複合糸は、非造影性繊維が複合繊維であってその繊維表面の少なくとも一部が低融点熱可塑性樹脂で形成されている場合は、この低融点熱可塑性樹脂を溶融させてX線造影性繊維と接着させたものであってもよいし、低融点熱可塑性樹脂が溶融されていない状態のものであってもよい。溶融されていない場合は、X線造影性複合糸を繊維構造体の一部に用い、この繊維構造体を加工する際の熱処理により低融点熱可塑性樹脂を溶融してもよい。
非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂を溶融させる方法としては、X線造影性複合糸とした後に、加熱ローラ、テンターマシン、スリット型ヒータなどの一般的な熱処理装置を用いて熱処理する方法を挙げることができる。中でも、繊維断面形状を保つためにはスリット型ヒータなどの非接触式乾熱処理装置を通過させる方法が好ましい。
本発明のX線造影性複合糸は、低融点熱可塑性樹脂を溶融させることによって、非造影性繊維をX線造影性繊維と一体化させることもできる。このため、これを用いた繊維構造体としては、布帛以外にも、臓器を固定するスポンジの固定用紐部、カテーテルワイヤー、手術用縫合糸等を挙げることができる。
次に、本発明のX線造影性複合糸の製造方法について一例を用いて説明する。
まず、X線造影性繊維は、X線不透過剤を含むマスターチップと熱可塑性樹脂とをエクストルーダーで混練・溶融し、紡糸口金より押し出して溶融紡糸を行う。紡出されたフィラメントを、冷却風により冷却固化し、実質的に延伸することなく未延伸マルチフィラメント糸として一旦巻き取る。次に、巻き戻した未延伸マルチフィラメント糸に熱延伸を施し、弛緩熱処理を行い、巻き取る。
非造影性繊維は、通常の溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸を行い、冷却した後、延伸、弛緩熱処理を行うことによって、得ることができる。
X線造影性複合糸を上述の組物組織、撚糸形態、カバリング形態とするには、X線造影性繊維と非造影性繊維とを用いて、製紐機、撚糸機、カバリング加工機等の一般的な加工装置によって加工する。たとえば、X線造影性繊維と非造影性繊維とをそれぞれ複数本用いて、製紐することにより、図1に示すような組紐状のX線造影性複合糸とすることができる。
次に、本発明のX線造影性繊維構造体について説明する。
本発明のX線造影性繊維構造体は、上述のX線造影性複合糸を含有した繊維構造体であって、具体的には、織編物、不織布等の布帛や、繊維積層体や、ファイバーボール等の形態のものが挙げられる。中でも、織編物や不織布等の布帛とすることが好ましい。
また、本発明のX線造影性繊維構造体においては、X線造影性複合糸は、繊維構造体を構成する他の繊維と物理的に交絡していることが好ましい。あるいは、X線造影性複合糸における非造影性繊維の繊維表面の少なくとも一部を構成する低融点熱可塑性樹脂が、繊維構造体を構成する他の繊維と溶融接着していることが好ましい。
X線造影性複合糸をX線造影性繊維構造体を構成する他の繊維と溶融接着させる態様としては、X線造影性複合糸を繊維構造体中に含有させた後、後述するような熱処理によって非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂を他の繊維と溶融接着させたものであってもよいし、熱処理によってあらかじめ非造影性繊維とX線造影性繊維とを溶融接着した状態のX線造影性複合糸を用いて、後述するような熱処理により低融点熱可塑性樹脂を再度溶融させたものであってもよい。
繊維構造体を構成するX線造影性複合糸における非造影性繊維の低融点熱可塑性樹脂を溶融させる熱処理の方法としては、スリット型ヒータなどの非接触乾熱処理装置に繊維構造体を通過させる方法や、エンボスローラ等の熱ローラにより繊維構造体に熱圧接処理を行う方法などが挙げられる。中でも、造影性や柔軟性の観点から、非接触乾熱処理装置を使用することが好ましい。
本発明の繊維構造体を構成する他の繊維としては、非熱可塑性繊維が好ましい。これは、熱可塑性繊維は、一般に吸水性に乏しく、血液や体液を拭き取ったり、吸収させたりするのに適していないためである。非熱可塑性繊維としては、比較的吸水性の良い、綿などの天然繊維が好ましいほかに、溶剤紡糸セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラレーヨン)などの再生繊維が好ましい。
中でも、溶剤紡糸セルロース繊維は、高結晶性で高配向性であり、湿潤時における初期ヤング率、強度が高いため、好適である。溶剤紡糸セルロース繊維とは、セルロースを化学的に変化させずに特殊な有機溶媒に溶解させた原液あるいはこの原液を乾燥させたチップを紡糸して得られるものであり、例えば、レンチング社から「レンチング・リヨセル」なる商品名で販売されている。また、繊維構造体がガーゼである場合は、このガーゼを構成する非熱可塑性繊維は、一種類の繊維で構成されていてもよいし、本発明の目的が損なわれない範囲で二種類以上の繊維が混合されていてもよい。
本発明の繊維構造体を織編物にて構成する場合は、製織編時にX線造影性複合糸を他の繊維とともに用いて織編物の組織の一部としたり、X線造影性複合糸を他の繊維からなる織編物に後から混入させたりすることが好ましい。
繊維構造体を不織布にて構成する場合は、ウエブを作成する段階で本発明のX線造影糸と他の繊維とからなるウエブを作成し、水流交絡処理等により不織布(スパンレース不織布)としたり、他の繊維からなるウエブを作成した後、本発明のX線造影糸を配列させて、水流交絡処理等により不織布としたりすることが好ましい。
X線造影性複合糸における非造影性繊維の繊維表面の少なくとも一部が低融点熱可塑性樹脂にて構成されている場合は、たとえば、他の繊維で構成された2層のウエブの間にX線造影性複合糸を配列させてから水流交絡処理を行ってスパンレース不織布とし、その後に低融点熱可塑性樹脂を溶融させる熱処理を行うことが好ましい。あるいは、これに代えて、単層のウエブに水流交絡処理を行って不織布とした後、得られた不織布の片表面にX線造影性複合糸を配列させてから熱処理を行ってもよい。
繊維構造体が不織布である場合に、この繊維構造体を構成する他の繊維としての非熱可塑性繊維の単糸繊度は0.8〜3.5dteXであることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0dteXである。0.8dteX未満であると、不織布を製造する際のカード工程での通過性が悪くなりやすい。一方、3.5dteXを超えると、繊維同士の交絡が弱くなり、交絡点での交絡度合いが低下しやすい。
不織布を構成する他の繊維の繊維長は、20〜85mmであることが好ましい。繊維長がこの範囲を外れると不織布を製造する際のカード工程での通過性が悪くなる。
不織布の目付けは、25〜150g/mが好ましい。25g/m未満であると、血液等の吸収量が十分でなくなる。一方、150g/mを超えると、吸収量は増えるが、手術時の取り扱いが困難となりやすい。
本発明の繊維構造体は、上記したような繊維構造体の種類や用途に応じて、本発明のX線造影性複合糸の種類や含有割合を適宜選択したものであればよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、以下の実施例、比較例における各特性値の測定、評価は次のとおりに行った。
(1)相対粘度
ナイロン6:96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/デシリットル、温度25℃の条件で常法によって測定した。
ナイロン12:メタクレゾールを溶媒とし、濃度0.5g/デシリットル、温度25℃の条件で常法によって測定した。
ポリエステル:フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合溶液を溶媒とし、濃度0.5g/デシリットル、温度20℃の条件で常法により測定した。
(2)X線造影性複合糸の強度
JIS L1013に従い、島津製作所社製オートグラフAG−I型を用いて、試料長25cm、引張速度25cm/分で測定した。
(3)造影形状(曲折部の有無)、造影性
管電圧80kV、管電流400mAのX線発生装置(陽極:タングステン)にて、X線照射距離を1mとし、照射時間を0.063秒とした撮影条件にて得られたX線造影性複合糸のX線写真を用いて、目視によりその造影形状と曲折部の有無を確認した。また目視により、X線造影性複合糸の見え具合を、以下の3段階で評価した。
〔曲折部の有無〕
◎:曲折部が鮮明に見える。
○:曲折部が見える。
×:曲折部が見えない。
〔造影性〕
◎:非常に鮮明に見える。
○:鮮明に見える。
×:鮮明に見えない。
〔X線造影性繊維の製造〕
(1)A−1
相対粘度1.90のナイロン12(PA12)のチップ(ダイセルデグサ社製、VESTAMIDL1940、融点178℃)に糸中の硫酸バリウム(BaSO)の含有量が80質量%となるように調整したマスターチップをエクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度250℃で溶融し、孔径0.5mmの紡糸孔を28個有する紡糸口金より吐出させ、得られた未延伸糸を捲取速度400m/分で巻き取った。
次いで、このようにして巻き取った未延伸糸を巻き戻し、図4に示した工程図に従い、延伸、弛緩熱処理を行った。すなわち、図4に示すように、まず、未延伸糸1を、案内ローラ2を通して、引張ローラ5にて下向きに引き取った。そして、案内ローラ2の下方に設けられた箱型ヒータ4によって熱処理を行った。このとき、箱型ヒータ4の温度(熱処理温度)を150℃とした。延伸は、案内ローラ2と引張ローラ5との間で施し、延伸倍率1.2倍とした。続いて、サドル型ヒータ8と加熱ローラ9とを有する熱処理装置6を用いて弛緩熱処理を行った。この弛緩熱処理に際しては、熱処理温度を150℃とした。そして、熱処理装置6を通過した糸を巻き取って、950dteX/7fのX線造影性繊維A−1を得た。
(2)A−2
X線造影性繊維中の硫酸バリウムの含有量を60質量%とした。それ以外はA−1の場合と同様にして、紡糸、延伸、弛緩熱処理を行うことで、総繊度950dteX/7fのX線造影性繊維A−2を得た。
(3)A−3
相対粘度2.40、融点215℃のナイロン6(PA6)チップに糸中の硫酸バリウムの含有量が65質量%となるように調整したマスターチップをエクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度255℃で溶融し、孔径0.50mmの紡糸孔を28個有する紡糸口金より吐出させて、得られた未延伸糸を捲取速度400m/分で巻き取った。
次いで、このようにして巻き取った未延伸糸をA−1の場合と同様の熱延伸、弛緩熱処理機に供給し、熱延伸温度を130℃に変更した以外はAー1の場合と同様にして延伸、熱処理を行い、950dteX/7fのX線造影性繊維A−3を得た。
(4)A−4
X線不透過剤を次硝酸ビスマスに変更し、糸中のX線不透過剤の含有量を40質量%とした。それ以外はA−1の場合と同様にして紡糸、延伸、弛緩熱処理を行い、総繊度950dteX/7fのX線造影性繊維A−4を得た。
(5)A−5
JIS K7210に規定されるメルトフローレート値が7g/10分であるポリプロピレン(PP)のチップ(三井化学社製、J107G、融点168℃)に糸中の硫酸バリウム含有量が60質量%となるように調整したマスターチップをエクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度230℃で溶融し、孔径0.50mmの紡糸孔を28個有する紡糸口金より吐出させて、得られた未延伸糸を捲取速度400m/分で巻き取った。
次いで、このようにして巻き取った未延伸糸をA−1の場合と同様の熱延伸、弛緩熱処理機に供給し、熱延伸温度を120℃、弛緩熱処理温度を140℃に変更した以外はA−1の場合と同様にして延伸、熱処理を行い、950dteX/7fのX線造影性繊維A−5を得た。
得られたX線造影性繊維A−1〜A−5の特性を表1に示す。
Figure 2008110195
〔非造影性繊維の製造〕
(1)B−1
ナイロン6:ナイロン66:ナイロン12の組成質量比が42:18:40である共重合ナイロン(アルケマ社製、融点118℃)チップをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し孔径0.35mmの紡糸孔を12個有する紡糸口金を通して紡糸温度185℃で紡出した。そして、紡出された糸条を一旦巻き取ることなく、第1、第2ローラ速度を560m/分として引き取り、捲取速度を1400m/分として巻き取ることで、110dteX/12fの繊維B−1を得た。
(2)B−2
A−1で用いたのと同じナイロン12を芯成分とし、B−1で用いたのと同じ共重合ナイロンを鞘成分として、複合比率(芯/鞘、質量比)90/10、紡糸温度250℃で、孔径0.35mmの紡糸孔を12個有する芯鞘型複合紡糸口金より吐出させた。そして、B−1の場合と同じ装置を用いて、第1ローラ速度を3000m/分、第2ローラ速度を3200m/分、最終捲取速度を3500m/分として巻き取ることで、90dteX/24fの繊維B−2を得た。
(3)B−3、B−4
複合比率、繊度、フィラメント数を表2に示したように変更した。それ以外はB−2の場合と同様の条件で紡糸、延伸を行って、繊維B−3及びB−4を得た。
(4)B−5
相対粘度0.70、融点260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、イソフタル酸(IP)を33.0モル%共重合した相対粘度0.68のポリエチレンテレフタレート(融点135℃)を鞘成分として、複合比率(芯/鞘、質量比)50/50、紡糸温度280℃で、孔径0.2mmの紡糸孔を24個有する芯鞘型複合紡糸口金より吐出させた。そして、紡出された糸条を一旦巻き取ることなく、第1ゴデットローラ速度を3000m/分(ローラ温度90℃)、第2ゴデットローラ速度を4500m/分(ローラ温度110℃)として、捲取速度4500m/分で巻き取ることで84dteX/24fの繊維B−5を得た。
(5)B−6
B−5で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートを芯成分とした。また、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分中、50モル%を1,4−ブタンジオールとし、アルキレンテレフタレート単位とε−カプロラクトンの総モル数に対してε−カプロラクトンを12モル%共重合した共重合ポリエステル(相対粘度0.72、融点161℃)を鞘成分とした。そして、複合比率と紡糸温度をB−5の場合と同じにし、B−5で用いたのと同じ芯鞘型複合紡糸口金より吐出させ、捲取速度4000m/分とした以外はB−5と同様にして84dteX/24fの繊維B−6を得た。
(6)B−7
B−5で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートを芯成分とした。また、メタロセン系重合触媒を用いて重合されたメルトフローレート20g/10分のポリエチレン(融点102℃)を鞘成分とした。そして、複合比率と紡糸温度をB−5の場合と同じにし、B−5と同様にして紡糸、巻取りを行い、84dteX/24fの繊維B−7を得た。
(7)B−8
A−1で用いたのと同じナイロン12を用い、紡糸温度250℃で、孔径0.35mmの紡糸孔を12個有する紡糸口金より吐出させた。そして、吐出させた糸条をB−1の場合と同じ条件で巻き取って、110dteX/24fの繊維B−8を得た。
(8)B−9
B−5で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸温度280℃で、孔径0.2mmの紡糸孔を36個有する紡糸口金より吐出させた。そして、紡出された糸条を一旦巻き取ることなく、第1ゴデットローラ速度を3000m/分(ローラ温度95℃)、第2ゴデットローラ速度を4500m/分(ローラ温度130℃)として、捲取速度4500m/分で巻き取って、84dteX/24fの繊維B−9を得た。
得られた繊維B−1〜B−9の特性を表2に示す。
Figure 2008110195
実施例1
X線造影性繊維A−1(950dteX/7f)を6本、非造影性繊維B−3(160dteX/36f)を6本引き揃え合糸したものを2本用いて8打ちにて製紐した。得られた組紐に130℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が4分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−3の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例2〜4
X線造影性繊維(A−2〜A−4)と、加熱処理時の温度及び時間とを、表3に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−3の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例5
X線造影性繊維A−5を4本、非造影性繊維B−7を10本引き揃え合糸したものを4本用いて、実施例1と同様に製紐した。得られた組紐に120℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が4分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例6
X線造影性繊維A−1を1本と、非造影性繊維B−2を7本とを引き揃え合糸し、50T/Mで下撚りを行った。この下撚糸4本について15T/Mの上撚を行い、130℃に調温したスリット型ヒータを用い、ヒータ通過時間が4分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は繊維B−2の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図2に示すような波形の造影形状を呈した。
実施例7
X線造影性繊維A−1を5本、非造影性繊維B−4を10本引き揃え合糸したもの3本を用いて8打ちにて製紐した。得られた組紐に130℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が5分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−4の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例8
X線造影性繊維A−1を6本、非造影性繊維B−5を10本引き揃え合糸したもの2本を用いて8打ちにて製紐した。得られた組紐に150℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が3分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−5の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例9
X線造影性繊維A−1を1本と、非造影性繊維B−7を3本とを引き揃え合糸し、50T/Mで下撚りを行った。この下撚糸4本について15T/Mの上撚を行い、180℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が5分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は繊維B−7の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図2に示すような波形の造影形状を呈した。
実施例10
X線造影性繊維A−1を1本と、非造影性繊維B−3を7本とを引き揃え合糸し、50T/Mで下撚りを行った。この下撚糸4本について15T/Mの上撚を行い、130℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が4分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は繊維B−3の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図2に示すような波形の造影形状を呈した。
実施例11
X線造影性繊維A−1を4本と、非造影性繊維B−3を1本とを引き揃え合糸し、50T/Mで撚りを加え、得られた撚糸に130℃に調温したスリット型ヒータを適用し、ヒータ通過時間が4分間となるような速度で連続的に非接触加熱処理を行い、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は繊維B−3の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図2に示すような波形の造影形状を呈した。
実施例12
X線造影性繊維A−1を1本と、非造影性繊維B−8を7本とを引き揃え合糸し、50T/Mで下撚りを行った。この下撚糸4本について15T/Mの上撚を行って、X線造影性複合糸を得た。
実施例13
X線造影性繊維A−1を4本と、非造影性繊維B−9を2本とを用いて、6打ちにて製紐し、X線造影性複合糸を得た。
実施例14
X線造影性繊維A−1を2本、繊維B−9を10本引き揃え合糸したもの6本を用いて8打ちにて製紐し、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例15
X線造影性繊維A−1を2本、繊維B−1を8本引き揃え合糸したもの6本を用いて8打ちにて製紐し、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例16
X線造影性繊維A−1を2本、繊維B−2を10本引き揃え合糸したもの6本を用いて8打ちにて製紐し、次に130℃で4分間の加熱処理を行った。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−2の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図1に示すような8の字状の造影形状を呈した。
実施例17
X線造影性繊維A−1を1本、繊維B−1を5本引き揃え合糸したもの1本とを用いて、50T/Mで下撚りを行った。この下撚糸2本について15T/Mの上撚を行い、130℃で4分間の加熱処理を行ってX線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は繊維B−1の繊維表面が溶融固化して一体化されており、図2に示すような波形の造影形状を呈した。
実施例18
X線造影性繊維A−1を被覆糸として、カバリング撚糸機を用いて、繊維B−2を20本を引き揃え合糸した芯糸の周囲に撚数500T/MでS撚りで旋回させた。その後、130℃で4分間の加熱処理を行って、X線造影性複合糸を得た。得られたX線造影性複合糸は、繊維B−2の繊維表面が溶融固化して一体化されており、X線造影性繊維A−1の撚りにもとづき図3に示すような螺旋状の造影形状を呈した。
比較例1
X線造影性繊維A−1を4本引き揃え合糸し、非造影性繊維は用いずに、50T/Mで撚りを加えてX線造影性複合糸を得た。
比較例2
X線造影性繊維A−1を8本用いて8打ちにて製紐し、非造影性繊維は用いずに、X線造影性複合糸を得た。
比較例3
繊維B−1を2本引き揃え合糸したものを被覆糸として、カバリング撚糸機を用いて、X線造影性繊維A−1を2本引き揃え合糸した芯糸の周囲に撚数500T/MでS撚りで旋回させて、X線造影性複合糸を得た。
実施例1〜18及び比較例1〜3で得られたX線造影性複合糸の特性値及び評価結果を表3に示す。
Figure 2008110195
表3から明らかなように、実施例1〜18で得られたX線造影性複合糸は、造影性に優れ、複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有した特異な造影形状を呈し、強度も高いものであった。
一方、比較例1〜2の繊維は、非造影性繊維が複合されない状態で撚りを掛けただけのもの又は組紐状としただけのものであったため、曲折部を有した特異な造影形状を呈するものではなかった。比較例3のX線造影性複合糸は、X線造影性繊維を芯糸として非造影性繊維でカバリングしたものであったため、造影形状が糸長方向に沿って直線状のものとなり、曲折部を有するものとならなかった。
実施例19
溶剤紡糸セルロース繊維(単糸繊度1.7dteX、繊維長38mm、レンチング社製、登録商標「リヨセル」)をランダムカードにて開繊し、約15g/mの繊維ウエブを得た。実施例1のX線造影性複合糸をこの繊維ウエブの上に100mm間隔で直線状に配列するように流れ方向(縦方向)に配置させ、その上に上記で得たのと同様の約15g/mの繊維ウエブを堆積して、積層物を得た。
得られた積層物を100メッシュのメッシュ状支持体上に載置し、ノズル孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで横方向に一列に配置された噴射装置を用い、噴射圧力6.9MPaで2回水噴射処理し、次に反転させて反対面より噴射圧力9.8MPaで2回水噴射処理し、さらに反転して25メッシュのメッシュ状支持体に載置して、噴射圧力9.8MPaで2回水噴射処理した。
これにより得られた繊維シートを、130℃の非接触乾熱処理装置に30秒間で通過させて熱セット処理すると同時に、X線造影性複合糸の繊維B−3の低融点熱可塑性樹脂を溶融、接着させて、不織布を得た。
実施例20
X線造影性複合糸として、実施例5のX線造影性複合糸を用いた。それ以外は実施例19と同様にして、不織布を得た。
実施例21
X線造影性複合糸として、実施例5において非接触加熱処理を行う前のX線造影性複合糸を用いた。それ以外は実施例19と同様にして、不織布を得た。
実施例22
X線造影性複合糸として、実施例14のX線造影性複合糸を用いた。それ以外は実施例19と同様にして、不織布を得た。
比較例4
X線造影性複合糸として、比較例1のX線造影性複合糸を用いた。それ以外は実施例19と同様にして、不織布を得た。
比較例5
X線造影性複合糸として、比較例3のX線造影性複合糸を用いた。それ以外は実施例19と同様にして、不織布を得た。
実施例19〜22、比較例4〜5で得られた不織布の評価結果を表4に示す。
Figure 2008110195
表4から明らかなように、実施例19〜22の不織布は、X線造影性複合糸が造影性に優れ、曲折部を有した特異な造影形状を呈するものであった。
一方、比較例4の不織布は、比較例1のX線造影性繊維(非造影性繊維を有していないもの)を用いたため、曲折部を有した特異な造影形状を呈するものではなかった。比較例5の不織布は、比較例3のX線造影性複合糸を用いたため、造影形状が糸長方向に沿って直線状のものとなり、曲折部を有するものとならなかった。
本発明の実施の形態のX線造影性複合糸(組紐形態)及びその造影形状の模式図である。 本発明の他の実施の形態のX線造影性複合糸(撚糸形態)及びその造影形状の模式図である。 本発明のさらに他の実施の形態のX線造影性複合糸(カバリング形態)及びその造影形状の模式図である。 本発明のX線造影性複合糸を構成するX線造影性繊維の製造装置の概略構成を示す図である。

Claims (7)

  1. X線不透過剤を含有する熱可塑性樹脂にて形成されたX線造影性繊維と、X線不透過剤を含有しない非造影性繊維とを含む複合糸であり、X線造影性繊維の造影形状が複合糸の糸長方向に沿って曲折部を有するものであることを特徴とするX線造影性複合糸。
  2. X線造影性繊維と非造影性繊維とが組紐形態で複合されていることを特徴とする請求項1記載のX線造影性複合糸。
  3. X線造影性繊維と非造影性繊維とが撚糸形態で複合されていることを特徴とする請求項1記載のX線造影性複合糸。
  4. 非造影性繊維の周囲に単数または複数のX線造影性繊維が配された形態で複合されていることを特徴とする請求項1記載のX線造影性複合糸。
  5. 非造影性繊維は、繊維表面の少なくとも一部が、X線造影性繊維を構成する熱可塑性樹脂よりも融点の低い低融点熱可塑性樹脂にて形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のX線造影性複合糸。
  6. 非造影性繊維は、芯鞘型複合繊維であって、低融点熱可塑性樹脂が鞘部に配されるとともに、低融点熱可塑性樹脂よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂が芯部に配された構成であることを特徴とする請求項5記載のX線造影性複合糸。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載のX線造影性複合糸を含むことを特徴とするX線造影性繊維構造体。
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