JP6484948B2 - 海島複合繊維 - Google Patents
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Description
エレクトロスピニング法とは、ポリマーを溶媒に溶かし、ポリマー溶液と対極間に高電圧をかけることで発生する電界を利用して極細繊維からなるシート状物を得る手法である。このエレクトロスピニング法では、1ステップでシート状物を得ることができるという優れた特徴を有しているものの、高電圧の雰囲気下で溶媒を多量に使用する必要があり、設備面の安全性や環境負荷に懸念がある。また、実質的に希薄溶液を電界に頼って吹き飛ばすことになるため、製糸の安定性は高いとは言い難く、繊維径のバラツキが大きくなる他に、繊維径を小さくするのにも限界があった。
(1)島成分が生分解性ポリマー、海成分が主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対する5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を1.0〜20.0mol%、およびイソフタル酸成分を0.1〜10.0mol%含み、ポリエステル組成物に対する分子量500〜2000のポリエチレングリコールの含有量が0.1〜20.0wt%であるポリエステル組成物からなり、tanδのピークトップ温度が90℃以上かつピーク値が0.35以下である海島複合繊維。
である。
本発明の海島複合繊維とは、2種類以上のポリマーが繊維軸に対して垂直方向の繊維断面を形成するものである。ここで、該複合繊維は、一方のポリマーからなる島成分が、他方のポリマーからなる海成分の中に点在する断面構造を有しているものである。
これらの従来技術の課題を解消するべく、本発明者等は鋭意検討し、下記する特異な海成分を採用することで従来技術の課題が解消されることを見出したのである。
このような技術思想のもとで、後述する通常想定される製糸条件範囲で形成される繊維構造を考慮すると、本発明の目的を満足するには、イソフタル酸が0.1から10.0mol%海成分の組成に組み込まれていることが必要になる。かかる範囲であれば、ポリマー組成の観点からも、結晶性は失われることがないため、製糸工程における伸長変形によって、配向結晶化等を起こし、脱海工程までを含めた高次加工で良好な工程通過性を有することとなる。
紡糸パック上流からポリマーA(島成分)とポリマーB(海成分)とが、図2の計量プレートのポリマーA用計量孔(7−(a))およびポリマーB用計量孔(7−(b))に流入し、下端に穿設された孔絞りによって、計量された後、分配プレートに流入される。分配プレートでは、計量孔7から流入したポリマーを合流するための分配溝8(図3 8−(a)および8−(b))とこの分配溝の下面にはポリマーを下流に流すための分配孔9(図4 9−(a)および9−(b))が穿設されている。また、複合ポリマー流の最外層に海成分であるポリマーBから構成される層を形成するため、図3に示すような分配孔を底面に穿設した環状溝13が設置される。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
海島複合繊維の100mの重量を測定し、100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊度とした。
海島複合繊維をJIS L1013(1999年)に示される条件でオリエンテック社製引張試験機 テンシロン UCT−100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で応力−歪曲線を測定する。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで破断強度を算出し、破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を100倍することで、破断伸度を算出した。また、得られた応力−歪曲線の初期立ち上がり部分を直線近似し、その傾きから弾性率を求めた。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、小数点第2位を四捨五入した値である。
オリエンテック社製レオバイブロン DOV−II−EPを使用し、海島複合繊維の動的粘弾性測定を実施した。チャック間距離30mmで試料を挟み、0.07g/dtexの張力をかけ、昇温速度3℃/min、周波数110Hzの条件で測定したときのtanδのピークトップ温度およびピーク値を評価した。
海島複合繊維をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を(株)日立製作所製 H−7100FA型透過型電子顕微鏡(TEM)にて島成分が150本以上観察できる倍率で撮影した。この画像から無作為に選定した150本の島成分を抽出し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての島成分径を測定する。測定は、全て10ヶ所の各写真について行い、10ヶ所の平均値とし、μm単位で小数点第2位まで測定し、四捨五入により小数点第1位まで求めたものである。
島成分径バラツキは、島成分径の平均値および標準偏差から、島成分径バラツキ(島成分径CV%)=(島成分径の標準偏差/島成分径の平均値)×100(%)として小数点以下は四捨五入算出する。
上記した島成分径および島成分径バラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面を撮影し、その画像から、切断面の各島成分に外接する真円の径を外接円径(島成分径)とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、異形度=外接円径÷内接円径から、小数点3桁目までを求め、小数点3桁目以下を四捨五入したものを異形度として求めた。この異形度を同一画像内で無作為に抽出した150本の極細繊維について測定し、その平均値および標準偏差から、下記式に基づき異形度バラツキ(CV%)を算出した。この異形度バラツキについては、小数点2桁目以下は四捨五入するものである。
異形度バラツキ(CV%)=(異形度の標準偏差/異形度の平均)×100(%)。
海島複合繊維の高次加工性は3kg巻きパーンを加熱加工したときの糸切れ回数により3段階評価した。加熱加工条件は、加工速度500m/min、速度比1.05倍とした一対のローラー間に、走行糸条に押し当てるように設置した熱板温度130℃(熱板長2.0m)にて加熱処理した際の単糸切れを含めた糸切れ回数から高次加工性を評価した。
仮撚り加工の操業への支障を最小限に抑えられる範囲として、加工時の糸切れ回数が4回以下となることを好適な範囲とした。さらにこの糸切れ回数が1回以下であれば、仮撚り加工の操業への支障がないと言えるので、優れた高次加工通過性を有すると判定した。
◎:優(糸切れ回数0〜1回)
○:良(糸切れ回数2〜4回)
×:不可(糸切れ回数5回以上) 。
海島複合繊維の長期保管性は、延伸後に25℃、60%RHの環境で1週間保管した3kg巻きパーンを500m/minで解舒した時の糸切れ回数から解舒性を3段階評価した。1週間保管した海島複合繊維の解舒時の糸切れ回数が4回以下であれば、作製後1週間経過した海島複合繊維を使用しても、高次加工での解舒要因による操業への支障を最小限に抑えられることとなり、本発明で言う良好な長期保管性を有すると判定した。さらに、この糸切れ回数が1回以下であれば、作製後1週間経過した海島複合繊維を使用しても、高次加工での解舒要因による操業への支障がないといえ、本発明で言う優れた長期保管性を有することとなる。
◎:優(糸切れ回数0〜1回)
○:良(糸切れ回数2〜4回)
×:不可(糸切れ回数5回以上) 。
海島複合繊維を150℃で巻返し熱セットした後、浴比100とした脱海浴にて、90℃の熱水で30分間処理した時の溶解性を処理前後の試料重量を測定し、以下の式から海成分の重量減量率を算出し、熱水可溶の可否を判定した。
○:可(海成分の減量率が90.0%以上)
×:不可(海成分の減量率が90.0%未満)
海成分の重量減量率=(処理前の試料重量−処理後の試料重量)/(処理前の試料重量×海成分比率)×100(%) 。
極細繊維の開繊性を確認するため、下記の評価を行った。150℃で巻返し熱セットした海島複合繊維からなる編地を90℃の熱水で浴比100とした脱海浴にて海成分を99%以上溶解除去し、その編地の断面を(株)キーエンス製 VE−7800型走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率1000倍で撮影した。編地の断面を10ヶ所撮影し、その画像から極細繊維の状態を観察した。
極細繊維同士が単独で存在し、バラケタ状態にある場合を開繊性良好「○」とし、画像あたりバンドル(束)が5本未満の場合は「△」、バンドルが5本以上の場合は開繊性が悪い「×」とした。
○:良(開繊性)
△:可(開繊性)
×:不可(開繊性) 。
島成分として、ポリ乳酸(PLA 溶融粘度:90Pa・s)と、海成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を8.0mol%、イソフタル酸を7.0mol%共重合し、かつポリエステル組成物に対して数平均分子量が1000のポリエチレングリコールを6.0wt%を含有したPET(共重合PET1 溶融粘度:175Pa・s)を260℃で別々に溶融後、計量し、特開2011−174215号公報に記載の図2〜4に示す部材で構成される複合口金を組み込んだ紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、吐出プレート直上の分配プレートには、1つの吐出孔当たり島成分用として、2000の分配孔が穿設されており、孔の配列パターンとしては、図5(c)の配列とした。図3の13に示している海成分用の環状溝には円周方向1°毎に分配孔が穿設されたものを使用した。また、吐出導入孔長は5mm、縮小孔の角度は60°、吐出孔径0.5mm、吐出孔長/吐出孔径は1.5のものである。海/島成分の複合比は40/60とし、吐出された複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1250m/minで巻き取り、200dtex−15フィラメント(総吐出量26.0g/min)の未延伸繊維を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と100℃に加熱したローラー間で延伸速度600m/minとし、3.75倍延伸を行った。得られた海島複合繊維は、53dtex−15フィラメントであった。
また、実施例1で採取した海島複合繊維を延伸後、25℃、60%RHの環境で1週間保管した3kg巻きパーンを500m/minで解舒したところ、複合繊維同士の融着はみられず、通常繊維同等の解舒性を有しており、長期保管性に優れたものであった(長期保管性:◎)。
ポリエチレングリコールの含有率を0.1wt%(共重合PET2 実施例2)、20.0wt%(共重合PET3 実施例3)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例2の海島複合繊維は、実施例1と同様に島成分径および形状の均質性に優れ、高次加工性および長期保管性に優れたものであった(高次加工性:◎、長期保管性:◎)。また、極細繊維の開繊性についても良好なものであった(開繊性判定:○)。
実施例3の海島複合繊維は、実施例1と同様の優れた高次加工性を有していた(高次加工性:◎)が、長期保管後のサンプルは少し風合いが硬化したものであった。複合繊維を観察したところ、マルチフィラメント束で単糸同士が若干融着したものであった。但し、解舒性には問題なく、長期保管評価における糸切れが2回と問題のないレベルであった(長期保管性:○)。結果を表1に示す。
イソフタル酸共重合率を0.1mol%(共重合PET4 実施例4)、20.0mol%(共重合PET5 参考実施例5)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例4の海島複合繊維は、実施例1と同様に島成分径および形状の均質性に優れ、高次加工性および長期保管性に優れたものであった(高次加工性:◎、長期保管性:◎)。また、極細繊維の開繊性についても良好なものであった(開繊性判定:○)。
イソフタル酸共重合率を20.0mol%、ポリエチレングリコール含有率を20.0wt%(共重合PET6)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
ポリエチレングリコール含有率を25.0wt%に変更した海成分ポリマー(共重合PET7)を用い、延伸倍率を4.00倍に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
比較例1の海島複合繊維は、ポリエチレングリコールの共重合比率を高めたため、軟化点が低下し、tanδピークトップ温度が80℃、そのピーク値も0.36であり、実施例1と比較して耐熱性が大きく低下するものであった。このため、高次加工性評価において、糸切れが10回と多発し、高次加工性の評価は不可(×)であった。また、長期保管性に関しては、過剰に添加したポリエチレングルコールが悪影響を及ぼし、解舒性が悪く、糸切れが8回と多発した(不可:×)。結果を表2に示す。
イソフタル酸共重合率を25.0mol%に変更した海成分ポリマー(共重合PET8)を用い、延伸倍率を2.00倍に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
比較例2の海島複合繊維は、イソフタル酸を過剰に共重合したために、海成分ポリマーの力学特性が大幅に低下し、海島複合繊維の力学特性は大きく低下したものであった。このため、実施例1と比較して大幅に延伸倍率を低下させ、採取した海島複合繊維の耐熱性は低く、高次加工性評価では糸切れが多発するものであった(不可:×)。結果を表2に示す。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0mol%、イソフタル酸7.0mol%を共重合したPET(共重合PET9 溶融粘度178Pa・s)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。比較例3の海島複合繊維は、tanδピークトップ温度が83℃、そのピーク値も0.25であり、耐熱性に優れたものであるため、高次加工通過性および長期保管性には問題な見られないものの、海成分が全く溶解せず開繊性は不可(×)であった。このため、追加実験として、0.5wt%水酸化ナトリウム水溶液にて90℃処理を実施し、海成分の除去を試みたものの、生分解性ポリマーからなる極細繊維は、ほぼ繊維の形態を有しておらず、比較例3の海島複合繊維から生分解性の極細繊維を製造することは非常に困難なものであることが分かった。結果を表2に示す。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸を8.0mol%共重合し、ポリエチレングリコールを6.0wt%含有したPET(共重合PET10 溶融粘度176Pa・s)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。比較例4の海島複合繊維は、tanδピークトップ温度が85℃、そのピーク値も0.27であり、耐熱性に優れたものであるため、高次加工通過性および長期保管性には問題な見られないものの、海成分が全く溶解せず開繊性は不可(×)であった。このため、追加実験として、0.5wt%水酸化ナトリウム水溶液にて90℃処理を実施し、海成分の除去を試みたものの、生分解性ポリマーからなる極細繊維は、ほぼ繊維の形態を有しておらず、比較例3の海島複合繊維から生分解性の極細繊維を製造することは非常に困難なものであることが分かった。結果を表2に示す。
5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0mol%を共重合したPET(共重合PET11 溶融粘度:188Pa・s)に変更し、延伸倍率を2.70倍としたこと以外は実施例1に従い実施した。比較例5の複合繊維において、実施例1と同様に延伸倍率3.75倍では延伸工程での糸切れが多発したため、比較的安定に延伸が可能となる延伸倍率を2.7倍に設定して実施した。
比較例5で得られた海島複合繊維は、海成分が結晶性であるため、tanδピークトップ温度が87℃、そのピーク値も0.28であり、耐熱性に優れたものであるため、高次加工通過性および長期保管性には問題な見られないものの、海成分が全く溶解せず開繊性は不可(×)であった。このため、追加実験として、0.5wt%水酸化ナトリウム水溶液にて90℃処理を実施し、海成分の除去を試みたものの、生分解性ポリマーからなる極細繊維は、ほぼ繊維の形態を有しておらず、比較例5の海島複合繊維から生分解性の極細繊維を製造することは非常に困難なものであることが分かった。結果を表2に示す。
海成分に共重合するポリエチレングリコールの数平均分子量を100(共重合PET12 参考実施例7)、500(共重合PET13 実施例8)、2000(共重合PET14 実施例9)、5000(共重合PET15 参考実施例10)、10000(共重合PET16 参考実施例11)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
参考実施例7の海島複合繊維は、高次加工性評価での糸切れが2回と問題のないレベルであった(高次加工性:○)。長期保管後のサンプルは少し風合いが硬化したものであった。複合繊維を観察したところ、マルチフィラメント束で単糸同士が若干融着したものであった。但し、解舒性には問題なく、長期保管評価における糸切れが2回と問題のないレベルであった(長期保管性:○)。
海成分に共重合するポリエチレングリコールの数平均分子量を90(共重合PET17 参考実施例12)、12000(共重合PET18 参考実施例13)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
参考実施例12の海島複合繊維は、高次加工性評価において糸切れが3回あったものの、許容できるレベルであった(高次加工性:○)。長期保管後のサンプルは単糸同士が若干融着していたものの、解舒できる範囲であり、長期保管性評価での糸切れが4回と許容できるものであった(長期保管性:○)。
複合繊維のフィラメント数を100(実施例14)または36(実施例15)に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例14の海島複合繊維は、tanδピークトップ温度が95℃、そのピーク値も0.34であり、耐熱性に優れるものであり、高次加工通過性は良好なものであった(◎ 糸切れ回数:2回)。また、解舒性においても、糸切れが1回みられたものの、ほぼ実施例1と同様の特性を有したものであった。
また、実施例15では僅かにバンドルの存在を確認したが、いずれの海島複合繊維も後加工性が良好なものであった。結果を表4に示す。
吐出プレート直上の分配プレートにおいて、1つの吐出孔当たり島成分用として、200の分配孔に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例16の海島複合繊維においては、高次加工性および長期保管性に優れるものであった。また、極細繊維の開繊性についても良好なものであった。結果を表4に示す。
実施例1に記載される方法から、総吐出量を40g/min、フィラメント数を18に変更し、吐出プレート直上の分配プレートにおいて、1つの吐出孔当たり島成分用として、12(実施例17)または3(実施例18)の分配孔に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例17の海島複合繊維は、実施例1と同様に高次加工性および長期保管性に優れるものであった。
実施例1に記載される方法から吐出プレート直上の分配プレートの孔の配列パターンを図5(c)の配列としたこと以外は全て実施例1に従い実施した。
実施例19の海島複合繊維の島成分は断面形状が真円であった(異形度:1.0)。高次加工性および長期保管性に優れたものであり、脱海後の極細繊維について、僅かにバンドルが確認されたものの、問題のないレベルであった。結果を表5に示す。
実施例1に記載される方法から吐出プレート直上の分配プレートの孔の配列パターンを図5(a)の配列としたこと以外は全て実施例1に従い実施した。
実施例20の海島複合繊維の島成分は断面形状が正方形であった(異形度:1.5)。高次加工性および長期保管性に優れたものであり、脱海後の極細繊維の開繊性も良好なものであった。結果を表5に示す。
実施例1に記載される方法から吐出プレート直上の分配プレートの孔の配列パターンを図5(b)の配列としたこと以外は全て実施例1に従い実施した。
実施例21の海島複合繊維の島成分は断面形状が正三角形であった(異形度:2.0)。高次加工性および長期保管性に優れたものであ、脱海後の極細繊維の開繊性も良好なものであった。結果を表5に示す。
実施例1に記載される方法から吐出プレート直上の分配プレートの孔の配列パターンを図5(d)の配列としたこと以外は全て実施例1に従い実施した。
実施例22の海島複合繊維の島成分は断面形状がY形であった(異形度:5.0)。高次加工性および長期保管性に優れたものであり、脱海後の極細繊維の開繊性も良好なものであった。結果を表5に示す。
特開2001−192924号公報で記載される従来公知のパイプ型海島複合口金(島数2000)を使用し、実施例1に記載の条件で製糸を行った。
実施例23の海島複合繊維では、高次加工性および長期保管性に優れたものであり、脱海後の極細繊維の開繊性も良好なものであった。但し、実施例12の海島複合繊維においては、島成分径バラツキおよび異形度バラツキが実施例1と比較すると大きいため、脱海加工時に極細繊維の若干脱落しているのが確認されたが、問題のないレベルであった。結果を表5に示す。
紡糸速度を3000m/minとし、延伸倍率を2.30倍に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。実施例24においては、実施例1と同様に島成分径および形状の均質性に優れ、高次加工性および長期保管性に優れたものであった。また、極細繊維の開繊性についても良好なものであった。結果を表6に示す。
海成分ポリマーを、5−ナトリウムスルホイソフタル酸13.0mol%およびイソフタル酸26mol%を共重合したPET(共重合PET19 溶融粘度:196Pa・s)としたこと以外は全て実施例1に従い実施した。
比較例6の海島複合繊維は、複合断面の形成や紡糸性には問題がないものの、比較例6のポリマーは非晶性であるため、海島複合繊維のtanδのピークトップ温度が83℃と低く、そのピーク値も0.41と大きいものであった。このため、耐熱性および分子運動性という観点で実施例1と比較して大きく低下したものであり、高次加工通過性の評価においては、熱板によって軟化した繊維がローラーに巻きつくなどして糸切れが多発するものであった(高次加工判定:× 糸切れ回数:20回)。また、巻取り繊維を巻きパッケージのまま1週間放置したサンプルにおいては、複合繊維同士が融着しており、手で繊維を引き出すのも困難な程解舒性が悪いものであった。このため、長期保管性評価においては、糸切れが多発し、判定は不可(×)であった(糸切れ:20回以上)。結果を表6に示す。
紡糸速度を3000m/minとし、延伸倍率を2.30倍に変更したこと以外は、比較例6に従い実施した(海成分:共重合PET19)。
総吐出量は変更せず、海成分/島成分の複合比を20/80(実施例25)と50/50(実施例26)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例25および実施例26の海島複合繊維は、高次加工性および長期保管性に優れるものであった。また、脱海後の極細繊維の開繊性においては、実施例26(島比率50%)は良好な開繊性であり、実施例25(島比率80%)にて若干のバンドルが確認されたが、問題のないレベルであった。結果を表6に示す。
島成分をポリグリコール酸(PGA 溶融粘度:240Pa・s)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例27の海島複合繊維は、実施例1と同等の優れた高次加工性および長期保管性にも優れたものであった。また、脱海後の開繊性に関しても良好なものであった。結果を表6に示す。
2 島成分
3 島成分の内接円
4 計量プレート
5 分配プレート
6 吐出プレート
7−(a) 計量孔1
7−(b) 計量孔2
8−(a) 分配溝1
8−(b) 分配溝2
9−(a) 分配孔1
9−(b) 分配孔2
10 吐出導入孔
11 縮小孔
12 吐出孔
13 環状溝
Claims (4)
- 島成分が生分解性ポリマー、海成分が主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対する5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を1.0〜20.0mol%、およびイソフタル酸成分を0.1〜10.0mol%含み、ポリエステル組成物に対する分子量500〜2000のポリエチレングリコールの含有量が0.1〜20.0wt%であるポリエステル組成物からなり、tanδのピークトップ温度が90℃以上かつピーク値が0.35以下である海島複合繊維。
- 島成分径が0.1〜10.0μm、島成分径バラツキが1.0〜20.0%である請求項1記載の海島複合繊維。
- 島成分断面の異形度が1.2〜5.0、異形度バラツキが1.0〜10.0%であることを特徴とする請求項1、または請求項2のいずれか1項に記載の海島複合繊維。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
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