JP2010063480A - 縫合糸 - Google Patents

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Abstract


【課題】生体適合性熱可塑性樹脂からなり、微細繊維で滅菌処理後に実用可能な 機械的強度と柔軟さを兼ね備え、取扱い性の良好な縫合糸およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸からなる生体適合性の縫合糸であって、平均単糸径が10〜1000nmの微細繊維束からなり、引張り強度が1.5cN/dtex以上、結節強度が1.5〜6.0cN/dtexであることが好ましく、ポリ乳酸はステレオコンプレックスを形成していることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体適合性の熱可塑性樹脂からなり、縫合糸を作製段階での滅菌処理をおこなっても実用可能な引張り強度を持ち、微細繊維である柔軟性が改善された取扱い性が良好な縫合糸およびその製造方法に関するものである。
縫合糸としては、手術時の操作性がよく、縫合や結紮がしやすい、また、結び目がほどけにくいものが求められており、例えば特許文献1などの例があった。従来から用いられている外科用縫合糸は、絹からなる糸、生体吸収性ポリマーからなる糸、合成繊維からなる糸が知られている。
絹からなる糸は、柔軟で結節保持力が優れているため、しばりやすく、取扱い性が良好であるという長所がある。しかしながら絹からなる糸は、絹のコストが高く、引張り強度が低い等の問題点がある。特に手術での使用状態である湿潤時において、外科結びされたときの強度が低いのが本質的な問題点となっている。
ポリエステル縫合糸としてはポリエステルフィラメントから形成した組みポリエステル縫合糸の記載がある(特許文献2)が、さらに柔軟性に優れ、適度な引張り強度、結節強度を併せ持った縫合糸が求められている。
また手術用縫合糸はその使用に際して通常滅菌処理を行う必要があり、代表的には紫外線照射による方法と加熱処理による方法がとられるが、生体適合性の熱可塑性樹脂を組成とする縫合糸においては処理工程における樹脂耐熱性、光線劣化の悪さから最終的に縫合糸として十分な引張り強度を持つに至らなかった。
特開2000−135282号公報 特開平9−164190号公報
本発明は、生体適合性であり、耐滅菌処理性(耐熱性)に優れ、引張り強度、柔軟性が改善され、取扱い性が良好な縫合糸、およびその製造方法を提供することにある。
即ち本発明によれば、
(A)L−乳酸単位70〜99モル%と、D−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Aおよび
(B)D−乳酸単位70〜99モル%と、L−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Bとを、
(A):(B)=10:90〜90:10の範囲の混合重量比でブレンドされた組成を持ち、平均単糸径が10〜1000nmの微細繊維束からなる縫合糸。
が提供される。
引張り強度が1.5cN/dtex以上、結節強度が1.5〜6.0cN/dtexの縫合糸である。
本発明により、耐滅菌処理性に優れ、柔軟性に優れ、適度な引張り強度、結節強度を併せ持ち、取扱い性や生体への適用が良好な縫合糸が提供できる。
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明における縫合糸とは、短繊維、マルチフィラメント、紡績糸のいずれも含有するが、取扱い性の観点からマルチフィラメントが好ましい。
本発明の縫合糸は生体適合性の点から、
(A)L−乳酸単位70〜99モル%と、D−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Aおよび
(B)D−乳酸単位70〜99モル%と、L−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Bとを、
(A):(B)=10:90〜90:10の範囲の混合重量比でブレンドされた組成を持つポリ乳酸からなり、更に10〜1000nmの平均単糸径をもつ微細繊維束からなることを特徴とする。ここでポリ乳酸単位AとBはポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成することが好ましく、滅菌処理等に耐えうる高耐熱性、高強度ポリ乳酸ポリマーとなる。
本発明の縫合糸において、ポリ乳酸単位Aは、L−乳酸単位70〜99モル%と、D−乳酸単位及び/又は乳酸以外の共重合成分単位1〜70モル%とに構成されたポリ乳酸である。ポリ乳酸単位AにおけるL−乳酸単位が70モル%未満となり、D−乳酸単位が30モル%を超えると、結晶性のポリ乳酸ステレオコンプレックスポリマーが得られにくくなる。一方、L−乳酸単位が99モル%を超えるとポリ乳酸単位Aが結晶性のものとなりやすい。
ポリ乳酸単位Bは、D−乳酸単位70〜99モル%と、L−乳酸単位及び/又は乳酸以外の共重合成分単位1〜70モル%とに構成されたポリ乳酸である。ポリ−D−乳酸におけるD−乳酸単位が70モル%未満となり、L−乳酸単位が30モル%を超えると、結晶性のポリ乳酸ステレオコンプレックスポリマーが得られにくくなる。一方、D−乳酸単位が99モル%を超えるとポリ乳酸単位Bが結晶性のものとなりやすい。
ポリ乳酸単位Aおよび/またはポリ乳酸単位Bにおける乳酸以外の共重合モノマー成分としては、乳酸モノマーまたはラクチドと共重合可能な他のモノマー成分であり、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、およびこれら種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
又ステレオコンプレックスを形成させるにはポリ乳酸単位Aとポリ乳酸単位Bからなる特定の結晶性ポリマーとを、上記の重量比で共存させ高温で熱処理することにより、高分子量で、高結晶性で、高融点のステレオコンプレックスポリ乳酸が得られる。又公知の燐酸エステルを併用することにより容易にステレオコンプレックスとすることもできる。
また本発明の縫合糸は平均単糸径が10〜1000nmの微細繊維束からなることが必要で、平均単糸径が10nm未満であると、分子間力の影響が強くなるためか繊維構造自身が不安定で個々の微細繊維の分繊性が悪く、微細繊維が均一に分散された繊維構造体を得ることが困難である。また平均繊維径が1000nmを超えると、本発明が目指すような柔軟性のある、取扱い性に優れた縫合糸が得られない。特に好ましい範囲は50〜900nmである。
本発明の縫合糸は引張り強度が1.5cN/dtex以上であることが好ましい。引張り強度が1.5cN/dtex未満の場合には、縫合糸としての強さが不十分であり、好ましくない。引張り強度は好ましくは2.0〜7.0cN/dtexであり、より好ましくは2.0〜6.0cN/dtexである。
本発明の縫合糸は、結節強度が1.5〜6.0cN/dtexであることが好ましい。結節強度が1.5〜6.0cN/dtexの範囲外であると、本発明が目指すような柔軟性のある、取扱い性に優れた縫合糸は得られない。結節強度は好ましくは2.0〜5.0cN/dtexである。
さらに、本発明の縫合糸は以下の式で定義される繊維径変動係数(CV)が0〜0.3を満たすことが好ましい。
繊維径変動係数(CV)=σ/X
但し、ここでいう繊維径は、繊維断面の最大径と最小径の平均値をいい、σは繊維径分布の標準偏差、Xは平均繊維径を示す。CVが0.3を超えると、縫合糸の品質のばらつきが大きくなることがある。また、繊維径変動係数(CV)は好ましくは0〜0.20の範囲にあることがナノレベルの構造制御が可能な繊維の変動係数として好ましい。
また微細繊維の撚数が50〜1000T/Mであることが好ましい。さらに好ましくは100〜800T/Mである。撚数50T/M未満では微細繊維が集束せず、取扱い性が悪いことがある。一方撚数1000T/Mを超えると微細繊維特有の柔軟性が乏しくなるために取扱い性が悪いことがある。
また、本発明の縫合糸は、複数のマルチフィラメントを合わせて求められる引張り強度や結節強度を満たすような糸の束であっても良く、また、糸の束を組みひも状に編込むのも好ましい。
微細繊維を構成するポリマーにおいて、生体適合性ポリマー以外の成分の含有は抑えることが好ましい。
本発明の微細繊維からなる縫合糸の製造方法としては、平均島径が10〜1000nmであり、かつ島数が100以上である精密な海島型複合繊維を製造する工程、合糸工程、加撚・撚止め工程、海成分を溶出または分解する工程といった、大きく分けて4つの工程からなるプロセスが挙げられる。ここで、4つの工程の順番については、海島型複合繊維を製造する工程の後に海成分を溶出または分解する工程がくること以外は特に限定されない。
加撚・撚止め工程は1)海成分を溶出または分解する工程の前に入れるもしくは、2)海成分を溶出または分解する工程の後に入れてもどちらでもよい。適宜使い分ければよい。合糸工程の順番は海島型複合繊維を製造後であれば、特に限定されない。合糸本数はJISの縫合糸の規格に合わせて適宜調整すればよい。
加撚工程では、50〜1000T/Mで加撚することが好ましい。さらに好ましくは100〜800T/Mである。撚数50T/M未満では微細繊維が集束せず、取扱い性が悪いことがある。一方1000T/Mを超えると微細繊維特有の柔軟性が乏しくなるために取扱い性が悪いことがある。さらに加撚・撚止め工程を海成分の溶解・分解除去工程の前に行う場合には、海成分の溶解・分解除去にむらが生じるために、縫合糸としての品質のばらつきも大きくなることがある。
すなわち本発明の縫合糸の好ましい製造方法は、1)特定溶剤への易溶解成分を海成分、難溶解成分を島成分とする海島型複合繊維を合糸した後、海島型複合繊維から海成分を抽出除去し、50〜1000T/Mで加撚する工程を含む製造方法、あるいは2)特定溶剤への易溶解成分を海成分、難溶解成分を島成分とする海島型複合繊維を50〜1000T/Mで加撚した後、海島型複合繊維から海成分を抽出除去する工程を含む製造方法である。ここで島成分は上述の生体適合性の熱可塑性樹脂である。
該海島型複合繊維の製造方法について述べる。その海島比率は特に限定されないが、海島比率を10:90〜80:20の範囲にすることが好ましく、特に海:島=10:90〜70:30の範囲が好ましい。海成分の割合が70%以上であると、海成分溶解に必要な溶剤の量が多くなり、安全性や環境負荷、そしてコストの面で問題がある。また、10%未満の場合には島同士が膠着する可能性がある。
島数は100以上であることが好ましい。島数が多いほど海成分を溶解除去して微細繊維を製造する場合の生産性が高くなる。ここで、島数100未満の場合には、海成分を溶解除去しても繊維径の小さい微細繊維が得られないため、本発明の目的とする柔軟性に優れた縫合糸とならないことがある。特に、島数は500以上にすることが好ましい。島数の上限は特に限定されることはないが、紡糸口金の製造コストが高くなるだけではなく、加工精度自体も低下しやすくなるので1000以下とするのが好ましい。
海成分を溶出または分解する工程で、海成分はほぼ完璧に除くことが好ましい。
海ポリマーと島ポリマーの必要条件は、以下の2点を満たしていればいずれでもよい。2点とは、1)溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分の溶融粘度よりも高い、2)特定溶剤への溶解速度において、島成分の溶解速度に対し海成分の溶解速度が200倍以上である。
また、ここで、易溶解成分と難溶解成分としているのは、海島複合繊維を形成する2種のポリマーに対して、同じ溶解条件下で、一方のポリマーは溶出または分解し、他方のポリマーは溶出または分解されにくいような溶剤を選ぶ、あるいはそのようなポリマーの組合せを選択し、その易溶解成分を海成分として選択することを意味する。島成分の溶解速度に対し、海成分の溶解速度が200倍以上であることにより、島分離性が良好となる。溶解速度比が200倍未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が、繊維径が小さいために溶解されるため、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や溶剤侵食による引張り強度劣化が発生して、縫合糸の品質のばらつきが大きくなるため、取扱い性が悪くなる。
海ポリマーは上記の2点を満たしていればいかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性の良いポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などを言う。また、ナイロン6はギ酸に溶解し、ポリスチレンはトルエンなど有機溶剤に溶解するので、これらでもよい。
島成分は丸断面に限らず、異形断面であってもよい。海島型複合繊維の溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど公知の任意のものを用いることができる。例えば中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。好ましく用いられる紡糸口金例を図1および2に示すが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
ポリ乳酸ポリマーの重合は以下の方法で行った。
L−ラクチドとD−ラクチド(いずれも株式会社武蔵野化学研究所製)を所定の配合割合になるように計300部をフラスコに加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.4部、触媒としてオクチル酸スズ0.02部を加え、190℃、2時間、重合を行い、最後に減圧にてモノマーを除去し、ポリ乳酸単位A、Bを得た。D−ラクチド主体の場合はステアリルアルコール0.59部とした。
1)溶融粘度測定
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
2)海島断面形成性
光学顕微鏡を用いて海島状態を観察し、2段階評価した。
○:島膠着部分なし
×:島膠着部分あり
3)溶解速度測定
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtex/24filのマルチフィラメントを作成する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
表中では海島溶解速度差が200倍以上の場合を○、200倍以下の場合を×とした。
4)微細繊維の繊維径、および径の均一性
海成分溶解除去後の微細繊維の30000倍TEM観察により、繊維径を求めた。ここで繊維径は膠着していない単糸の繊維径を測定した。ランダムに選択した50本の微細繊維の繊維繊維径データにおいて、平均繊維径(X)と標準偏差(σ)を算出し、以下で定義する繊維径変動係数(CV)を算出した。
繊維径変動係数(CV)=σ/X
5)微細繊維の引張り強度、伸度
海成分溶解除去後の微細繊維の10000mの重量をn=3回測定して平均値から繊度を求めた。
室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割った値を引張り強度とし、破断時の伸長値を伸度として強伸度曲線を求めた。
6)結節強度
海成分溶解除去後の微細繊維のつかみ間隔の中央にZ撚りの本結びを1個作った状態で、上述の引張り強度試験法に準拠して結節強度を測定した。
7)撚数
試長10cmの微細繊維についてn=5回捲撚機にて測定し、これの平均値から撚り数を求めた。
8)柔軟性・取扱い性
モニター7人に実際に糸を用いて評価してもらった。
○:柔軟性があり、かつ取扱い性良好と感じたモニターが過半数以上
×:柔軟性がない、もしくは取扱い性不良と感じたモニターが過半数以上
[実施例1]
Lラクチドが90モル%(Dラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Aを50重量部と、Dラクチドが90モル%(Lラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Bを50重量部の比率で配合した後に、混練式エクストルーダーにて溶融押し出ししペレット状の成形物を得た。このポリマーの溶融粘度は285℃で1200poiseであった。このポリマーを島成分に用い、海成分に285℃での溶融粘度が1400poiseである平均分子量4000のポリエチレングリコールを3wt%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを海:島=30:70の比率で、島数900の口金を用いて285℃で溶融紡糸し、1000m/minで巻き取った。ここで、島成分に対する海成分のアルカリ減量速度差は1500倍であった。得られた未延伸糸を延伸温度60〜90℃、表2記載の倍率でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。この際に延伸糸が22dtex/10fになるように紡糸吐出量を調整した。この延伸糸を筒編みし、溶媒で海成分比率相当分を溶解処理した。原糸断面をTEM観察したところ、海島断面形成性は良好であった。延伸倍率4.7倍で延伸した延伸糸を4本合糸した後、4%NaOH水溶液で95℃にて海成分を30%減量した。繊維断面を観察したところ、単糸繊維径が450nmでCV値=0.18の超極細島群を形成していた。微細繊維を300T/Mで加撚し、その後75℃×30分間スチームでセットした。糸の引張り強度は4.5cN/dtex、伸度は22%、結節強度は3.2cN/dtex、撚数290T/Mであり、微細繊維特有の柔軟性があり、取扱い性良好な糸が得られた。
120℃高圧蒸気にて20分間滅菌処理後の糸強度は4.2cN/dtex、伸度は21%、結節強度は3.1cN/dtexであった。結果を表1に示した。
[実施例2]
Lラクチドが90モル%(Dラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Aを10重量部と、Dラクチドが90モル%(Lラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Bを90重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、単糸繊維径が450nmでCV値=0.20の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は4.3cN/dtex、伸度は20%、結節強度は3.0cN/dtex、撚数290T/Mであり、微細繊維特有の柔軟性があり、取扱い性良好な糸が得られた。滅菌処理後の糸強度は4.2cN/dtex、伸度は21%、結節強度は3.1cN/dtexであった。結果を表1に示した。
[実施例3]
Lラクチドが70モル%(Dラクチドが30モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Aを10重量部と、Dラクチドが90モル%(Lラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Bを90重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、単糸繊維径が440nmでCV値=0.23の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は4.0cN/dtex、伸度は19%、結節強度は2.9cN/dtex、撚数270T/Mであり、微細繊維特有の柔軟性があり、取扱い性良好な糸が得られた。滅菌処理後の糸強度は3.8cN/dtex、伸度は21%、結節強度は2.8cN/dtexであった。結果を表1に示した。
[実施例4]
Lラクチドが90モル%(Dラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Aを50重量部と、Dラクチドが70モル%(Lラクチドが30モル%)の原料から作製されたD−ポリ乳酸を50重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、単糸繊維径が430nmでCV値=0.22の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は3.5cN/dtex、伸度は19%、結節強度は2.9cN/dtex、撚数260T/Mであり、微細繊維特有の柔軟性があり、取扱い性良好な糸が得られた。滅菌処理後の糸強度は3.5cN/dtex、伸度は21%、結節強度は2.7cN/dtexであった。結果を表1に示した。
[実施例5]
Lラクチドが90モル%(Dラクチドが10モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Aを30重量部と、Dラクチドが70モル%(Lラクチドが30モル%)の原料から作製されたポリ乳酸単位Bを70重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、単糸繊維径が430nmでCV値=0.28の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は2.4cN/dtex、伸度は19%、結節強度は2.2cN/dtex、撚数260T/Mであり、微細繊維特有の柔軟性があり、取扱い性良好な糸が得られた。滅菌処理後の糸強度は2.4cN/dtex、伸度は21%、結節強度は2.0cN/dtexであった。結果を表1に示した。
[比較例1]
Lラクチドが60モル%(Dラクチドが40モル%)の原料から作製されたL−ポリ乳酸を50重量部と、Dラクチドが90モル%(Lラクチドが10モル%)の原料から作製されたD−ポリ乳酸を50重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、繊維径が420nmでCV値=0.32の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は2.0cN/dtex、伸度は17%、結節強度は1.8cN/dtex、撚数220T/Mであり、滅菌処理後の糸強度は1.0cN/dtex、伸度は16%、結節強度は0.8cN/dtexで、糸段階での強度が不十分で脆く、縫合糸に適さないものであった。結果を表1に示した。
[比較例2]
Lラクチドが90モル%(Dラクチドが10モル%)の原料から作製されたL−ポリ乳酸を50重量部と、Dラクチドが60モル%(Lラクチドが40モル%)の原料から作製されたD−ポリ乳酸を50重量部の比率で配合した以外は実施例1と同様に行った。繊維断面を観察したところ、繊維径が410nmでCV値=0.35の超極細島群を形成していた。スチームセット後の糸の引張り強度は1.2cN/dtex、伸度は17%、結節強度は1.0cN/dtex、撚数200T/Mであり、滅菌処理後の糸強度は0.8cN/dtex、伸度は13%、結節強度は0.5cN/dtexで、糸段階での強度が不十分で脆く、縫合糸に適さないものであった。結果を表1に示した。
Figure 2010063480
生体適合性に優れた縫合糸であり、耐滅菌処理性、柔軟性に優れ、適度な引張り強度、結節強度を併せ持ち手術糸等の医療用途に有用である。
海島型複合繊維の紡糸口金の例。 海島型複合繊維の紡糸口金の例。
符号の説明
1.分配前島成分ポリマー溜め部分
2.島成分分配用パイプ
3.海成分導入孔
4.分配前海成分ポリマー溜め部分
5.個別海/島構造形成部
6.海島全体合流絞り部

Claims (9)

  1. (A)L−乳酸単位70〜99モル%と、D−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Aおよび
    (B)D−乳酸単位70〜99モル%と、L−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Bとを、
    (A):(B)=10:90〜90:10の範囲の混合重量比でブレンドされた組成を持ち、平均単糸径が10〜1000nmの微細繊維束からなる縫合糸。
  2. 引張り強度が1.5cN/dtex以上、結節強度が1.5〜6.0cN/dtexの請求項1記載の縫合糸。
  3. 以下に定義する繊維径変動係数(CV)が0〜0.3である請求項1〜2のいずれかに記載の縫合糸。
    繊維径変動係数(CV)=σ/X
    (繊維径は繊維断面における長径と短径の平均値とし、σは繊維径分布の標準偏差、Xは平均繊維径を示す。)
  4. 撚数が50〜1000T/Mである請求項1〜3のいずれかに記載の縫合糸。
  5. 下記要件を満足することを特徴とする微細繊維束からなる縫合糸の製造方法。
    a)微細繊維束が溶剤溶解性の異なる2成分からなる海島型複合繊維の海成分を溶出し、島成分からなる微細繊維束とする工程を含むこと。
    b)海島型複合繊維の島成分が、
    (A)L−乳酸単位70〜99モル%と、D−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Aおよび
    (B)D−乳酸単位70〜99モル%と、L−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜30モル%とにより構成されるポリ乳酸単位Bとを、
    (A):(B)=10:90〜90:10の範囲の混合重量比でブレンドされた組成であること。
    c)島成分の平均直径が10〜1000nmであり、島数が100以上であること。
  6. 海成分がポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングリコール系化合物共重合ポリエステル、およびポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種のアルカリ水溶液易溶解性ポリマーである請求項5記載の縫合糸の製造方法。
  7. 海成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を全ジカルボン酸成分中6〜12モル%含み、分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを全ポリマー中3〜10重量%含む共重合ポリエチレンテレフタレートである請求項6に記載の縫合糸の製造方法。
  8. 海島型複合繊維を合糸した後、海成分を抽出除去し、50〜1000T/Mで加撚する工程を含む請求項5〜7のいずれかに記載の縫合糸の製造方法。
  9. 海島型複合繊維を合糸し、50〜1000T/Mで加撚した後、海成分を抽出除去する工程を含む請求項5〜8のいずれかに記載の縫合糸の製造方法。
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