JP2014101613A - 極細繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均単糸繊維径が10〜2500nm、引張強度が4.5cN/dtex以上の極細繊維であって、該極細繊維は、海島型複合繊維の海成分を溶出除去して得られたものである。複合質量比率、海と島の溶融粘度比、溶融紡糸における紡糸速度、余熱ローラー延伸における延伸倍率、残留伸度などを特定化している。
【選択図】なし
Description
近年では、繊細な肌触りやソフト感を追求して単糸直径1マイクロメートル以下となる超極細繊維(ナノファイバー)が提案されている。ナノファイバーは繊維径のスケールダウンによる極限のソフト化のほか、単糸群の比表面積や空隙率が飛躍的に増加することによるナノサイズ特有の効果も示唆されていることから、マイクロファイバー以上の展開可能性を秘めており、早期の研究・開発・安定的製造が求められている。
例えば、易溶解ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸+ポリエチレングリコール共重合ポリエステルを用い、さらに海島単糸中での島成分配置を規定することで生産性の高いナノファイバーの製造方法が開示されている(特許文献3、4)。
また、海島型複合繊維の単糸中の島数、単糸繊度を規定することで、高強度かつ耐擦過性や耐摩耗性に優れ、さらに毛羽の少ないナノファイバーの製造方法が開示されている。(特許文献5)
このように、従来の方法では、極細繊維の製糸安定性、生産性や極細繊維の強度の確保について問題が依然残されている。
(A)海島型複合繊維の海成分と島成分の複合質量比率(海:島)が40:60〜20:80の範囲であること。
(B)海島型複合繊維の海成分と島成分の溶融粘度比(海/島)が0.2〜1.0の範囲であること。
(C)海島型複合繊維が、海島型複合繊維用紡糸口金から、海成分と島成分とを溶融、押出した後、400〜2000m/minの紡糸速度で引き取ることにより製造されたものであること。
(D)海島型複合繊維が、余熱ローラー上で余熱し、延伸倍率3.0〜6.0倍で延伸し、セットローラー上で熱セットして巻き取られされたものであること。
(E)海島型複合繊維が、残留伸度5〜30%となるように延伸されたものであること。
本発明の極細繊維は、単糸径が10〜2500nmであることが必要である。島成分の径が10nm未満の場合には、繊維構造自身が不安定で、物性及び繊維形態が不安定になるので好ましくない。一方2500nm以下とすることで、既存の合成繊維では成し得なかった繊細な肌触りやソフト感が得られるほか、比表面積増大に伴う高摩擦力、高吸着効果や、布帛にした際の高い気密性、保温性、吸水拡散性など、超極細繊維特有の効果が得られる。単糸径は1000nm以下であることがより好ましい。
また、極細単繊維の繊度のばらつきを表すCV%値は、0〜25%であることが好ましい。より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜15%である。このCV値が低いことは、繊度のばらつきが少ないことを意味する。ここで海島型複合繊維の海成分と島成分の溶融粘度比(海/島)を0.2〜1.0とすることによりCV%を上記の範囲とすることが可能となったものである。
その際の海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶解性が高い組合せである限り、適宜選定できるが、特に溶解速度比(海/島)が200以上であることが好ましい。この溶解速度比が200未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解させている間に繊維断面表層部の島成分の一部も溶解されるため、海成分を完全に溶解除去するためには、島成分の何割かも減量されてしまうことになり、島成分の太さ斑や溶剤浸食による強度劣化が発生して、毛羽及びピリングなどを生じ、製品の品位を低下させることがある。
海成分を除去するには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属化合物水溶液で処理することが好ましく、なかでも水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましく用いられる。アルカリ水溶液の濃度、処理温度、処理時間は、使用するアルカリ化合物の種類により異なるが、濃度は10〜300g/L、温度は40℃〜180℃、処理時間は2分〜20時間の範囲で行うが好ましい。
o−クロロフェノール溶液中、1.2g/100mlの濃度、および35℃の温度において、チップの固有粘度[η]を測定した。
海成分溶解除去後の極細繊維の30000倍のTEM観察により、繊維径を求めた。ここで繊維径は膠着していない単糸の繊維径を測定した。ランダムに選択した100本の極細繊維の繊維径データにおいて、平均単糸繊維径rを算出した。
平均単糸繊維径を求めるに際し、その標準偏差σを算出し、以下で定義する繊維径変動係数CV%を算出した。
CV%=標準偏差σ/平均単糸繊維径r×100 (%)
極細繊維の荷重―伸度曲線チャートを、室温で、引張試験機により、試料長20cm、速度20cm/分の条件で破断時の伸度を測定した。測定数は10とした。
海島型複合繊維から、質量1g以上の筒編みを作成し、この編物を溶剤処理し、海成分を除去した。得られた極細繊維からなる編物をほどき、得られた極細繊維の荷重―伸度曲線チャートを、室温、初期試料長=200mm、引張速度=200mm/minの条件下で作成した。上記チャートから、極細繊維の引張強度(cN/dtex)及び破断伸度(%)を求めた。
ポリマーを乾燥し、溶融紡糸用押出機の溶融温度に設定されたオリフィス中にセットし、5分間溶融状態に保持したのち、所定水準の荷重下で押出し、このときの剪断速度と溶融粘度とをプロットした。上記操作を、複数水準の荷重下において繰り返した。上記データに基いて、剪断速度が1000秒−1のときの溶融粘度を見積もる。
島成分として固有粘度1.02(35℃、オルソクロロフェノール中)のポリエチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合した固有粘度0.39のポリエチレンテレフタレートを用いた。海成分と島成分それぞれの溶融粘度は、114Pa・s、392Pa・sであり、ポリマーの溶融粘度比(海/島)は、0.29であった。
海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=40:60、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度100℃、延伸倍率4.7倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度10.0%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は70dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は700nm、CV%は12%、強度は5.1cN/dtex、伸度は27%であった。
島成分として固有粘度1.02(35℃、オルソクロロフェノール中)のポリエチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合した固有粘度0.46のポリエチレンテレフタレートを用いた。海成分と島成分それぞれの溶融粘度は、189Pa・s、392Pa・sであり、ポリマーの溶融粘度比(海/島)は、0.48であった。
海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=30:70、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度100℃、延伸倍率4.6倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度9.5%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は60dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は700nm、CV%は10%、強度は5.5cN/dtex、伸度は29%であった。
実施例2と同様のポリマーを用い、海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=30:70、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度100℃、延伸倍率3.5倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度17.5%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は80dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は800nm、CV%は10%、強度は4.8cN/dtex、伸度は30%であった。
島成分として固有粘度0.62(35℃、オルソクロロフェノール中)のポリエチレンナフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合した固有粘度0.46のポリエチレンテレフタレートを用いた。海成分と島成分それぞれの溶融粘度は、143Pa・s、283Pa・sであり、ポリマーの溶融粘度比(海/島)は、0.51であった。
海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=30:70、島数=90の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度310℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度130℃、延伸倍率4.2倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度20.5%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は60dtex/27filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は1300nm、CV%は14%、強度は5.7cN/dtex、伸度は25%であった。
島成分として固有粘度0.64(35℃、オルソクロロフェノール中)のポリエチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合した固有粘度0.39のポリエチレンテレフタレートを用いた。海成分と島成分それぞれの溶融粘度は、136Pa・s、80Pa・sであり、ポリマーの溶融粘度比(海/島)は、1.7であった。
海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=30:70、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度290℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度90℃、延伸倍率4.1倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度22.0%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は60dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均繊維径は700nm、CV%は10%、強度は3.9cN/dtex、伸度は30%であった。
実施例2と同様のポリマーを用い、海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=60:40、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度100℃、延伸倍率4.0倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度32.0%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は80dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は600nm、CV%は12%、強度は4.1cN/dtex、伸度は38%であった。
島成分として固有粘度0.62(35℃、オルソクロロフェノール中)のポリエチレンナフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸9モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール3重量%を共重合した固有粘度0.39のポリエチレンテレフタレートを用いた。海成分と島成分それぞれの溶融粘度は、114Pa・s、317Pa・sであり、ポリマーの溶融粘度比(海/島)は、0.35であった。
海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=60:40、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度130℃、延伸倍率2.8倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度38.0%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程においても毛羽や断糸の発生はなく、全ての未延伸糸は問題なく延伸可能であった。
得られた海島型複合延伸糸は110dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は700nm、CV%は13%、強度は4.2cN/dtex、伸度は30%であった。
実施例2と同様のポリマーを用い、海成分と島成分それぞれを別々に溶融後、複合口金内で合流させ、海:島=30:70、島数=900の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度300℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度100℃、延伸倍率1.3倍でローラー延伸し、次いで200℃の非接触型ヒーターで熱セットして巻き取り、残留伸度15.0%の海島型複合延伸糸を得た。延伸工程において、断糸が頻繁に発生し、延伸糸には毛羽が捲き込んでいた。
得られた海島型複合延伸糸は60dtex/10filであり、筒編みを作成し、98℃、35g/lの水酸化ナトリウム溶液中で1分間減量処理したところ、海成分のみが溶出されており、島成分の平均単糸繊維径は700nm、CV%は16%、強度は2.8cN/dtex、伸度は45%であった。
Claims (2)
- 平均単糸繊維径が10〜2500nm、引張強度が4.5cN/dtex以上の極細繊維であって、該極細繊維は、下記(A)〜(E)の要件を同時に満足する海島型複合繊維の海成分を溶出除去して得られたものであることを特徴とする極細繊維。
(A)海島型複合繊維の海成分と島成分の複合質量比率(海:島)が40:60〜20:80の範囲であること。
(B)海島型複合繊維の海成分と島成分の溶融粘度比(海/島)が0.2〜1.0の範囲であること。
(C)海島型複合繊維が、海島型複合繊維用紡糸口金から、海成分と島成分とを溶融、押出した後、400〜2000m/minの紡糸速度で引き取ることにより製造されたものであること。
(D)海島型複合繊維が、余熱ローラー上で余熱し、延伸倍率3.0〜6.0倍で延伸し、セットローラー上で熱セットして巻き取られされたものであること。
(E)海島型複合繊維が、残留伸度5〜30%となるように延伸されたものであること。 - 海島型複合繊維の島成分が、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする固有粘度が0.7以上1.5以下のポリエチレンテレフタレートである請求項1記載の極細繊維。
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