JPH08158161A - 高比重繊維 - Google Patents

高比重繊維

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JPH08158161A
JPH08158161A JP6294203A JP29420394A JPH08158161A JP H08158161 A JPH08158161 A JP H08158161A JP 6294203 A JP6294203 A JP 6294203A JP 29420394 A JP29420394 A JP 29420394A JP H08158161 A JPH08158161 A JP H08158161A
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JP
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fiber
specific gravity
melt
fine particles
strength
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JP6294203A
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English (en)
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Junyo Nakagawa
潤洋 中川
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高沈降速性と製網加工上問題のない十分な繊
維強度を兼ね備え、紡糸工程性の良好な高比重複合繊維
を提供することにある。 【構成】 密度3g/cm3 以上の微粒子を20〜80重
量%以上含む熱可塑性ポリマ−を芯成分(A成分)、溶
融異方性芳香族ポリエステルを鞘成分(B成分)とする
複合繊維であり、かつ繊維強度が8g/d以上、繊維比
重が1.5以上であることを特徴とする高比重複合繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高比重と高強度を兼ね
備えた複合繊維、特に漁網、定置網、養殖網、泥縄等の
水産資材用途に好適な複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、漁網などに使用される水産資
材用繊維は、海水中での漁網の高沈降速度および潮流に
対する保形性に重点がおかれ、比重の大きい繊維が好ま
しいことが知られている。
【0003】このような観点から、比較的比重の大きい
塩化ビニリデン系繊維が広く用いられていたが、製網技
術の発達に伴って安定した高速製網が可能な高強度繊維
が要求されるようになり、塩化ビニリデン系繊維では強
度不足という問題があった。また、魚に対して警戒感を
与えないために繊維を黒色系に着色することが望まれる
が、顔料を添加すると繊維の強度が一層低下する問題が
あった。
【0004】このような課題を解決するために、高比重
・高強度を兼ね備えた水産資材用繊維の開発が行われ、
種々のものが提案されている。その一つの手段として、
延伸処理により高強度を発現する樹脂と高密度粉末とを
組合せた繊維が提案されている(特公昭51−3737
8号公報、特開昭61−613号公報、特開昭58−4
819号公報、特開昭62−15327号公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
繊維では未だ漁網用繊維等に要求される高沈降速性およ
び高速製網性は不十分であり、海獣等の被害(定置網等
に入った魚を狙って海獣等が網を食いちぎる)を防止す
ることは不可能であった。すなわち、かかる繊維はいず
れも延伸により強力を高めようとするものであるが、無
機粉末を加えた繊維は延伸性が著しく劣化することか
ら、繊維強度は不十分なものとなり、さらに、毛羽・断
糸が多発する問題があった。
【0006】本発明の目的は、高沈降速性と優れた繊維
強度・耐切創性を兼ね備え、長期間漁網等として使用し
ても強度低下の殆ど発生しない高比重繊維を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、密度3g/cm3
以上の微粒子を20〜80重量%含む熱可塑性ポリマ−
を芯成分(A)、溶融異方性芳香族ポリエステルを鞘成
分(B)とする複合繊維であり、かつ繊維強度が8g/
d以上、繊維比重が1.5以上である高比重繊維を提供
するものである。
【0008】本発明の繊維は、比重1.5以上でかつ強
度8g/d、好ましくは比重1.55以上でかつ強度1
0g/d以上を兼ね備えているものであるため、海水中
での高沈降性と漁網の保形性を達成することができ、高
速製網時における繊維の損傷を防止できるのみでなく、
海獣等の被害を抑制することができる。また、本発明の
繊維は高強度を有しているため、網等を構成する繊維を
一層細くしてより沈降性を向上させることができ、さら
にコンパクト化により管理性及び作業性を改善できる。
【0009】本発明で用いられる鞘成分(B成分)は溶
融異方性ポリエステルであることが重要である。前述の
ように、一般に粒子混入ポリマ−を繊維化した後に延伸
しても効果的に強度を高めることが困難な場合が多く、
糸切れ等が多発する問題も生じる。しかしながら、本発
明によれば、延伸することなく優れた繊維強度を得るこ
とができる。すなわち、溶融異方性ポリエステルは、溶
融紡糸にノズルを通過する時に受ける剪断力で著しい分
子配向が生じるため、実質的に延伸を行うことなく優れ
た繊維を得ることができる。また、溶融異方性ポリエス
テルの比重(1.39〜1.43g/cm2 程度)は汎用ポリエステ
ル(1.32〜1.39g/cm2 程度)に比して高く、繊維中の微
粒子含有量がより少なくすることができるので、曵糸
性、繊維強力等の点で好ましい。なお、本発明にいう溶
融異方性とは、溶融相において光学異方性を示すことを
いう。この特性は、例えば、試料をホットステ−ジにの
せ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察す
ることにより認定できる。かかる溶融異方性ポリエステ
ルは、芳香族ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸等の反復構成単位からなるものであ
り、特に限定されるものではないが、具体的には下記化
1のようなものが挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】溶融異方性ポリエステルは、融点(MP)
が260〜360℃、特に270〜350℃のものが好
ましい。なお、本発明でいう融点とは、示差走査熱量
(DSC:例えばmettler 社製、TA3000)で観察され
る主吸熱ピ−ク温度である(JIS K7121)。下記化
2の反復構成単位からなるポリマ−が好ましく、より好
ましくは(A)及び(B)の反復構成単位からなる部分
が65重量%以上であるポリマ−であり、特に(B)の成
分が4〜45重量%である芳香族ポリエステルが好まし
い。
【0012】
【化2】
【0013】本発明で用いられる溶融異方性ポリマ−
(B)には、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリ
エチレンテレフタレ−ト、ポリオレフィン、ポリカ−ボ
ネ−ト、ポリアリレ−ト、ポリアミド、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエステルエ−テルケトン、フッソ樹
脂等の熱可塑性ポリマ−を添加してもよい。また酸化チ
タンやカオリン、酸化バリウム等の無機物、カ−ボンブ
ラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤等の各種添加剤を含有させてもよい。特
に漁網等に加工する場合には、カ−ボンブラックや顔料
などの着色剤を0.1〜10重量%程度添加させた原着
繊維とすることが好ましい。カーボンブラックが紫外線
を吸収しポリマーの劣化を防ぐ効果があり、繊維の耐光
性、すなわち、経時的な強力低下を防止でき相乗的な効
果を発現できる。
【0014】本発明においては、繊維を高比重化するた
めに密度3以上の微粒子を含有させることが必須であ
る。密度が3未満の微粒子を使用する場合は、目的の繊
維比重を達成するために、繊維中の微粒子含有量を高
め、しかも芯ポリマー成分の複合比率を大きくしなけれ
ばならないので、たとえ目的とする繊維比重の繊維が得
られたとしても、曵糸性などの工程性が不良で、繊維強
力も低いものしか得られない。該微粒子の種類として
は、金属粒子、無機粒子等が挙げられる。鉛や錫など環
境問題を極めて起こしやすい金属以外の非鉛系金属の微
粒子またはその化合物の微粒子を用いることが好まし
い。
【0015】具体的には、チタン、鉄、銅、亜鉛、銀、
バリウム、ジルコニウム、マンガン、アンチモン、タン
グステンなどの金属やその酸化物などの化合物が挙げら
れる。タングステン系無機粒子、ビスマス系無機粒子は
高密度粒子であり、好ましい無機粒子ではあるが、非常
に高価であり漁網用途には使用することが難しい。
【0016】また、芯ポリマー成分中の微粒子の含有量
は20〜80重量%、好ましくは50重量%以上とす
る。20重量%未満の場合は目的とする繊維比重を得る
ためには、鞘成分(B)の複合比率を小さくしなければ
ならず、繊維強力も低いものしか得られならないため好
ましくない。紡糸性の点からは80重量%以下とするの
が好ましい。
【0017】次に粒子径は、紡糸性の点から1次粒子の
平均粒子径が5μ以下であることが望ましく、0.05
〜5μであることがより望ましい。粒子径があまり小さ
くなると、成型加工時の熱により熱凝集を発生して粗大
粒子化したり、ポリマー溶融ラインの配管中で熱凝集し
てラインが詰まるというトラブルが発生する場合があ
る。
【0018】使用する微粒子の種類については、所望に
応じて適宜選択することができるが、本発明において
は、酸化鉄や二酸化チタンを使用することが特に好まし
い。酸化鉄には、色調が黒色のマグネタイトすなわち磁
鉄鉱(Fe3 4 )、茶色のγ形のヘマタイト、赤褐色
のα形ヘマタイト等があるが、定置網等の漁網用繊維に
おいては、黒色を呈する磁鉄鉱を使用することが好まし
い。色相を黒色系とすると魚に警戒感を与えないため、
漁獲高に好結果を与えることができる。この時、使用す
る微粒子全体の20重量%以上が磁鉄鉱であることが望
ましい。
【0019】また磁鉄鉱の粒子形状は、球状、八面体
状、六面体状、多面体状等があり、いずれの形状でも使
用できるが、球状の磁鉄鉱微粒子を用いると芯ポリマー
成分中での分散性が最も良好となり好ましい。特に、こ
の球状粒子の使用は、本発明のように微粒子をポリマー
中へ数十%以上という高添加率で添加する場合に顕著な
効果が認められ、かかる粒子を用いた場合、凝集による
紡糸時のフィルター詰まりの発生も少なく、しかも紡糸
時の糸切れ発生を抑制することができる。
【0020】さらに、耐熱性や微粒子分散性の点で、有
機系または無機系化合物により表面コーティング処理を
施した磁鉄鉱微粒子が好適に使用できる。就中、微粒子
表面にシリカコーティング又はフェライトコーティング
された磁鉄鉱が好ましい。また芯ポリマー成分に配合す
る微粒子は、磁鉄鉱微粒子単独でもよいが、含有量が高
くなると、溶融押出時のライン中での熱凝縮によるコン
タミの発生や、配管の詰まり等が生じる場合があるた
め、他の微粒子とを併用する方が好ましい。
【0021】特に、細デニールの糸を製造する場合など
では、溶融ポリマーのライン中での滞留時間が長くな
り、ライン詰まりのトラブル発生が起こりやすくなるの
で、磁鉄鉱と併用する他の微粒子は、密度が3以上で、
かつ平均粒子径が5μm以下、しかも熱凝集性があまり
なく、コスト的にも高価ではないものを選ぶことが好ま
しい。例えば、好適な例として二酸化チタン、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、アルミナ、フェライト、リトポン、
酸化銅、酸化マグネシウム等が挙げられるが、特に二酸
化チタンが好ましい。微粒子合計の含有量が本発明の範
囲であれば、磁鉄鉱との二酸化チタンの混合比率を任意
に変更しても紡糸性良好の繊維を得ることができるが、
紡糸性及び色相上の点で磁鉄鉱/二酸化チタン=2/8
〜7/3とすることがより好ましい。
【0022】二酸化チタンは、ポリマー中の分散性も良
好で、かつ他の微粒子に比して熱凝集が起こりにくいた
め、ポリマー中へ高添加して溶融押し出しする際に、コ
ンタミによる詰まり、糸切れ等を改善できる。さらに、
二酸化チタンは白色系粒子であるため、鞘ポリマー成分
に所望の色の顔料等を配合することで、芯成分の色に邪
魔されることなく目的とする色を発現させることができ
る。二酸化チタンは、単独で使用してしてもよいし、他
の粒子と併用してもよいが熱凝集の問題からは、全微粒
子の15重量%以上、特に好ましくは40重量%以上使
用することが望ましい。ただし、上記したような二酸化
チタンは、紫外線によるチタン原子の励起によりポリマ
ーの劣化を促進しやすいので、酸化防止剤等を添加する
のがより好ましい。他の白色系微粒子としては、例え
ば、酸化錫(スズ石)等に比して毒性の少ない酸化亜
鉛、アルミナ、硫酸バリウム、リトポン、酸化マグネシ
ウム等を使用することができる。
【0023】二酸化チタンは、結晶形により、アナター
ゼ(Anatase)、ルチル(Rutile)及びブ
ルカイト(Brookite)の3つの形態があり、一
般に顔料として使用されているのは、アナターゼとルチ
ルである。特に、化学繊維には、二酸化チタンの工程上
の摩耗性に及ぼす硬度の関係と溶剤又は分散媒に対する
分散性の問題からアナターゼタイプが主として用いられ
るが、アナターゼタイプの密度が3.9であるのに対
し、ルチルタイプは密度が4.2と大きいので、本発明
の目的にはルチルタイプの二酸化チタンが好ましく使用
される。
【0024】この場合、モース硬度がルチルタイプがア
ナターゼタイプより大きく、工程上の摩耗等のトラブル
が発生する懸念があるが、本発明の複合繊維において
は、微粒子を含有する芯ポリマー成分を鞘ポリマ−成分
で実質的に覆っているので、紡糸時のノズル口金の摩耗
や加工工程中のガイド類やローラー類の摩耗損傷等の問
題もない。
【0025】次に微粒子を添加する芯ポリマー成分のベ
ースポリマーであるが、保護ポリマー成分の紡糸温度に
おいて耐熱性を示す熱可塑性ポリマーが用いられ、例え
ば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン12、ナイロン11、ナイロン4、ナイロン46な
どのポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン類、SBS(ポリスチレン
−ポリブタジエン−ポリスチレンのブロック共重合体)
の水素添加物、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン
−ポリスチレンのブロック共重合体)の水素添加物、S
I(ポリスチレン−ポリイソプレンのブロック共重合
体)の水素添加物、ポリα−メチルスチレン−ポリイソ
プレン−ポリα−メチルスチレンのブロック共重合体の
水素添加物などの芳香族ビニルブロックと共役ジエンブ
ロックからなる共重合体等から適宜選択することができ
る。
【0026】特に、本発明のように微粒子を高添加する
場合には、微粒子とポリマーとのヌレ性及びポリマー中
での粒子の分散性が良好で、紡糸性が最も良好なベース
ポリマーを使用することが望ましく、かかる観点から、
本発明においてはポリアミド類、特にナイロン6を主成
分とするポリアミドを使用することが望ましい。ポリマ
ーには、他の第3共重合成分、少量の添加剤、安定剤な
どを含んでいてもよい。特に、ヨウ化銅などの銅塩を熱
安定剤として添加することが望ましく、ベースポリマー
に対して好ましくは0.01重量%以上、更に好ましく
は0.1重量%〜2重量%添加することにより、耐候性
(経時的な強力低下等)を一層改善できる。
【0027】好適なナイロン6ベースポリマーの重合度
は、数平均分子量で約22,000以下、更に好ましく
は20,000以下6,000以上である。重合度を上
げ過ぎると溶融粘度が高くなりすぎて、ポリマ−の混練
及び繊維化する際に、設備上等のトラブルが発生したり
分散不良を発生しやすく、断糸が多発しやすくなる場合
がある。一方、重合度が低すぎると溶融粘度が鞘ポリマ
ー成分に対して低くなり過ぎるため芯鞘断面の形成が困
難となる。
【0028】芯ポリマー成分であるベースポリマーへ微
粒子を含有させる方法としては、種々の方法が可能であ
るが、例えば二軸押出機等が好適である。また該ベース
ポリマーと微粒子を混練する場合には、ステアリン酸金
属塩、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング
剤等種々の分散剤を添加すると、分散性が良好となり好
ましい。
【0029】本発明は、上述したような微粒子を含有し
たポリマーを芯成分とし、溶融異方性ポリエステルを鞘
成分とする複合繊維に関するものであり、溶融紡糸によ
り繊維化した後の延伸工程が実質的に必要ないため断糸
等が生じにくく、かかる高濃度の微粒子を添加した高比
重繊維を効率的、安定的に製造することができる。A成
分とB成分の複合比率R[=X/(X+Y)]は0.1
5〜0.5が好ましく、特に0.15〜0.3とするの
が好ましい。複合比率Rは、芯成分の断面積Xと鞘成分
の断面積Yを繊維断面の顕微鏡写真から求めることがで
きるが、製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比によ
り求めることもできる。鞘成分は芯成分の表面を90%
以上覆っているのが好ましく、特に実質的にほぼ100
%覆っているのが好ましい。またドラフトは30〜50
程度とするのが好ましい。本発明の複合繊維は、公知の
方法、例えば図1に示されるノズル構造で得られる。得
られる繊維の断面形状としては、例えば図2にものが含
まれる。
【0030】溶融紡糸によって得られた繊維は、必要に
応じて熱処理により更に繊維強度を高めることができ
る。熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気中や、空気の
如き酸素含有の活性雰囲気中または減圧下で行うことが
できる。熱処理雰囲気は露点が−80℃以下の低湿気体
が好ましい。好ましい熱処理条件としては、鞘成分の融
点−40℃以下から鞘成分の融点以下まで順次昇温して
いく温度パタ−ンで行われる。処理時間は目的性能によ
り数分から数十時間行う。熱の供給は、気体などの媒体
を用いる方法、加熱板、赤外線ヒ−タ−等による輻射を
利用する方法、熱ロ−ラ−、プレ−ト等に接触して行う
方法、高周波等を利用した内部加熱方法等がある。処理
は、目的により緊張下あるいは無緊張下で行われる。処
理形状はカセ状。トウ状(例えば金属網等にのせて行
う)、あるいはロ−ラ間で連続的に処理することも可能
である。
【0031】また、本発明の複合繊維は、単独あるいは
他の繊維と混用して広汎な用途に用いることができる。
他の繊維と混用する場合には、混繊、合糸、合撚、交
織、交編、その他あらゆる手段を用いることができ、さ
らに得られた布帛は必要に応じ、種々後加工処理を施し
て、各種の用途に供することができる。本発明の複合繊
維の好適な用途としては、従来にない高比重、実用に耐
えうる繊維強力を有するポリエステル系繊維である特徴
を最大限に生かせる刺網類、曳網類、旋網類、建網類、
敷網類等各種漁網用途に最適である。特に、サケ、ブ
リ、マグロ、アジ、サバ、イワシ、スズキ、イカ他の定
置網用として最適である。
【0032】漁網用途以外として、土木工事等で使用さ
れるシルトプロテクター用を始め、従来にない、高比重
性能を保持したポリエステル繊維として各種産業資材用
途への応用が可能である。また産業資材用途以外にも、
カーテン、暗幕等非衣料分野への応用も好適である。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は、これら実施例に何等限定されるものでは
ない。 [ナイロンの数平均分子量]ウォーターズ社製HLC−
510によるGPCクロマトグラムにより測定した。 [融点MP]DSC(例えばMettler 社製 TA300
0)装置に、サンプルを10〜20mgをとりアルミ製パンへ
封入した後、キャリア−ガスとして窒素を100cc/分流
し、20℃/分で昇温したときの吸熱ピ−クを測定す
る。ポリマ−の種類により上記1st Runで明確な吸熱ピ
−クが現れない場合は、50℃/分の昇温速度で予想さ
れる流れ温度よりも50℃高い温度まで昇温し、その温
度で3分間完全に溶融した後、80℃/分の速度で50
℃まで冷却し、しかる後に20℃/分の昇温速度で吸熱
ピ−クを測定する。 [溶融粘度MV]東洋精機キャピログラフ1B型を用
い、300℃の温度で、剪断速度r=1000sec-1
の時の値である。対数粘度ηinhは試料をペンタフル
オロフェノ−ルに0.1重量%溶解し(60〜80
℃)、60℃の恒温槽中でウベロ−デ型毛管粘度計で測
定し、次式で求められる値である。 ηinh=ln(ηrel)/C
【0034】[微粒子の平均粒径]堀場製作所製の遠心
式自動粒度分布測定装置CAPA−500により測定し
た。 [繊維比重]溶媒として四塩化炭素と1,3−ジブロム
プロパンを用い、密度勾配管法にて測定した。 [繊維強度及び伸度]島津製作所社製 引張試験機(オ
ートグラフIM−100)を用い、繊維長20mm、2
0℃、65RH%下で測定した。
【0035】[実施例1]数平均分子量11,000の
ナイロン6粉末を芯ポリマー成分のベースポリマーとし
て使用し、かかるポリマー粉末に対して平均粒子径0.
2μmの球状の磁鉄鉱粉末(5.0)を18重量%と平
均粒子径0.35μmの二酸化チタン(密度5.0)4
0重量%とを混合し、二軸混練機で溶融混練してストラ
ンド状に押出し、カットしてペレット化した。なお芯成
分の比重は2.62であった。一方、鞘成分(A)とし
て、化2(11)に示される(C)、(D)のモル比7
3/27の溶融異方性ポリエステル重合体(MP280
℃、MV410poise、ηinh4.31dl/g)を
用いた。
【0036】上記の鞘成分(A)と芯成分(B)を別々
の押出機で溶融押し出しし、芯成分と鞘成分が重量で
1:2となるように図1に示すノズル(0.2mm φ)にお
いて複合し、305℃、800m/minで紡糸した。紡糸調子
は良好で250℃/26fの複合繊維を得た。この紡糸
原糸を260℃で2時間、275℃で8時間、更に28
0℃で2時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた
熱処理糸は、繊維間の様つき膠着は殆どなく、以下の性
能を有していた。 引張強度 (DT) : 17.3 g/d 引張伸度 (DE) : 3.1 % 繊維比重 (ρ) : 1.81 g/cm3 芯鞘比率 (R) : 21.1 %
【0037】[実施例2]鞘成分として、実施例1の溶
融異方性ポリエステル重合体チップに、同ポリマ−にカ
−ボンブラックを20重量%混練下マスタ−チップをカ
−ボン含量が0.4%となるようにチップブレンドした
こと以外は、実施例1と同様の方法で250/26fの
熱処理糸を得た。得られた繊維は、黒色の下記性能を示
す高強度高比重繊維であった。 引張強度 (DT) : 14.1 g/d 引張伸度 (DE) : 2.8 % 繊維比重 (ρ) : 1.82 g/cm3 芯鞘比率 (R) : 21.5 % 得られた複合繊維を合糸して網を作成し、海中に投入試
験した所、沈降性良好で、海中での網揺れも少なく、且
つ耐久性に優れ、漁網としての好適な繊維であることが
確認された。
【0038】[比較例1]微粒子として、二酸化ケイ素
(密度2.20g/cm3 )を40重量%配合した芯成分ペレッ
ト(密度1.58g/cm3 )を使用した以外は実施例1と同様
の方法で複合繊維を得た。紡糸性は良好であったが、得
られた繊維の比重が1.47g/cm3 であった。かかる繊維を
用いて実施例1と同様に漁網を製造したが、沈降性の不
十分なものであった。また、比重1.5g/cm 3 の繊維を得
るために芯と鞘の比率を57:43として紡糸を行ったが単
糸切れが多発し工程性が悪かった。さらに得られた繊維
の強度は3.5g/dであり、熱処理後の繊維強度も5.9g/dに
すぎなかった。 [比較例2]微粒子として磁鉄鉱7重量%と二酸化チタ
ン7重量%(合計14重量%)を配合した芯成分ペレッ
ト(密度1.70g/cm3 )とした以外は、実施例1と同様の
方法で複合繊維を得た。工程性は良好であったが、繊維
比重は1.49で実施例1よりも劣っており、かかる繊
維を用いて実施例1と同様に漁網を作成したが、沈降性
が不十分であった。また、実施例1と同じ比重の繊維を
得るため、芯と鞘成分の重量比を54:46として同様
に紡糸・熱処理したを行ったが、紡糸断糸が1時間に1
0〜15回発生し、熱処理後の強度も5.8g/dと不
十分なものであった。
【0039】[比較例3]微粒子として磁鉄鉱30重量
%と二酸化チタン55重量%(合計85重量%)配合し
た以外は、実施例1と同様にペレットを作ったが、流動
性が著しく悪く、さらにペレットは脆く粉になりやすか
った。紡糸を試みたが芯成分の流動性が全くなく口金
(ノズル)から正常に吐出されずに糸を巻き取ることは
不可能であった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれれば、特定の無機粒子が高
添加された芯ポリマー成分と芯ポリマー成分の2成分に
よる複合繊維を得ることにより、従来にない高い繊維強
力と高い比重性能を有する複合繊維、特に水産資材用途
に好適な高比重複合繊維を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される複合紡糸ノズルの断面の一
例を示す模式図である。
【図2】図1(1)〜(8)は本発明の繊維断面におけ
る芯ポリマー成分と鞘ポリマー成分との代表的な複合形
態を示す模式図である。
【符号の説明】
1:芯ポリマー成分 2:鞘ポリマー成分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【化2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度3g/cm3 以上の微粒子を20〜80
    重量%以上含む熱可塑性ポリマ−を芯成分(A成分)、
    溶融異方性芳香族ポリエステルを鞘成分(B成分)とす
    る複合繊維であり、かつ繊維強度が8g/d以上、繊維
    比重が1.5以上であることを特徴とする高比重繊維。
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