JP3334591B2 - コンクリートの補修装置 - Google Patents

コンクリートの補修装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリートの
補修装置に関し、特に、コンクリート構造物の劣化部を
除去して、除去部分に新たなコンクリー層を形成する際
に用いる補修装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】橋梁,トンネルなどのコンクリート構造
物は、長期間の使用による老朽化や塩害などにより表面
側から劣化することが知られている。コンクリート構造
物にこのような劣化が発生すると、そのまま放置してお
くと危険なので、補修,補強工事が施される。
【0003】この種の工事は、一般的に、コンクリート
構造物の劣化部分を手はつりやウォータージェット噴射
などにより機械的に除去し、除去した部分にコンクリー
ト層を新たに形成することにより行われている。
【0004】このようなコンクリート層を形成する際に
は、通常、型枠を設置して、型枠内にコンクリートやモ
ルタルを注入,打設することにより施工される。しかし
ながら、このような補修,補強方法には、以下に説明す
る課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、型枠を設置
して、コンクリートやモルタルを注入,打設する補修,
補強方法では、型枠支保工を必要とし、その設置や撤去
に時間や労力がかかるとともに、コンクリートの打設,
脱型などにも時間と労力とがかかり、施工能率の面での
改良が強く要請されていた。
【0006】本発明は、このような要請に応えるべく案
出されたものであって、その目的とするところは、コン
クリート構造物の劣化部分を効率良く補修,補強するこ
とができるコンクリートの補修装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、コンクリート構造物の劣化部をウォータ
ジェット噴射などにより剥離除去した状態で、当該除去
部分にコンクリート層を形成するコンクリートの補修装
置において、補修前のコンクリート構造物までの距離を
測定する距離測定装置と、前記距離測定装置の後部側に
設置され、前記劣化部を剥離除去する剥離除去装置と、
前記剥離除去装置の後部側に設置され、前記除去部分に
露出した鉄筋に防錆剤を噴射する防錆剤吹付け装置と、
前記防錆剤吹付け装置の後部側に設置され、前記除去部
分にコンクリートを吹き付けるコンクリート吹付け装置
と、前記コンクリート吹付け装置を前記除去部分に沿っ
て二次元方向に移動する移動装置と、前記コンクリート
層の吹付け厚みを検出する厚み検出装置と、前記コンク
リート層の表面を仕上げ厚みに整形する整形装置と
記距離測定装置と前記厚み検出装置との測定値に基づい
て求める前記コンクリート層の吹付け厚みが、所定値に
なるように前記コンクリート吹付け装置の吹付け量を制
御するとともに、前記距離測定装置,剥離除去装置,防
錆剤吹付け装置,コンクリート吹付け装置,整形装置を
制御する単一の制御装置とを備えている。このように構
成したコンクリートの補修装置によれば、コンクリート
構造物の劣化部を除去した部分にコンクリートを吹き付
けて、所定厚みのコンクリート層を形成することができ
るので、型枠やその支保工を設けることなく、補修,補
強が行える。前記厚み検出装置は、前記コンクリート吹
付け装置の前に配置された距離センサーを有し、前記制
御装置は、予め測定される前記劣化部までの距離と、前
記距離センサーで測定された前記劣化部分までの距離と
から、前記吹付け厚みを求めることができる。この場合
の距離センサーは、例えば、光波や超音波を発射して、
その反射を受けて、これらの時間差から距離を求める光
波距離計や超音波距離計を用いることができる。本発明
のコンクリートの補修装置は、整形後の仕上げ面にコー
ティング剤を噴射するコーティング剤吹付け装置を設け
ることができる。この構成によれば、仕上げ面に防食コ
ーティングなどを施すことができる。前記距離測定装置
と前記厚み検出装置の測定値は、三次元情報として記憶
することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1お
よび図2は、本発明にかかるコンクリートの補修装置の
一実施例を示している。
【0009】図1は、コンクリート吹付け装置10を使
用し、コンクリート躯体12の劣化部Aの除去,鉄筋の
防錆処理,劣化部Aを除去した部分Bにコンクリート層
Cの形成,形成されたコンクリート層Cの整形,仕上げ
面のコーティング処理を一連の工程として行う補修シス
テム全体の配置を示している。
【0010】劣化部Aの補修を行うコンクリート躯体1
2の下方には、所定の間隔を隔てて、コンクリート躯体
12に沿って一対のレール14が設置される。このレー
ル14は、例えば、補修対象コンクリート躯体12が橋
梁などの場合には、その外形形状に沿って、折れ曲がる
ように設置される。
【0011】レール14の支持は、例えば、高所の場合
には、コンクリート躯体12に吊り下げるようにして行
われる。図1に示した補修システムでは、距離測定装置
16,剥離除去装置18,防錆剤吹付け装置20,厚み
検出装置22,コンクリート吹付け装置10,整形装置
24,コーティング剤吹付け装置26,制御装置30を
備えていて、これらの装置がレール14に沿ってこの順
に配置されている。
【0012】距離測定装置16,剥離除去装置18,防
錆剤吹付け装置20,厚み検出装置22,コンクリート
吹付け装置10,整形装置24,コーティング剤吹付け
装置26は、それぞれが図2にその一例を示す移動装置
32に搭載されている。
【0013】図2は、その一例として、コンクリート吹
付け装置10を移動装置32に搭載したものを示してい
る。コンクリート吹付け装置10は、コンクリートを噴
射するノズル10aを有していて、このノズル10aに
は、コンクリート供給管10bと、急結剤供給管10b
とが接続されている。
【0014】移動装置32は、下端にレール14に嵌合
されるローラ32aが設けられた台車32bと、図示省
略のラックピニオン機構やボールスクリュー機構を介し
て台車32b上に載置され、台車32bの長手方向に沿
って移動するステージ32cとを備えている。
【0015】移動装置32には、ローラ32aを回転駆
動する図示省略の駆動モータが設けられおり、モータを
駆動すると台車32bがレール14の長手方向(以下、
この方向をX軸方向という)に移動する。
【0016】また、移動装置32には、ラックないしは
ボールスクリューを回転駆動する図示省略の駆動モータ
が設けられていて、モータを駆動するとステージ32C
が、レール14の長手方向と直交する方向(以下、この
方向をY軸方向という)に移動する。
【0017】つまり、移動装置32は、その上部に搭載
された吹付け装置10などを直交する座標系(X,Y
軸)において、二次元方向に移動させることができる。
この場合、各駆動モータに付設された回転センサーなど
により、台車32bおよびステージ32cの二次元座標
値(x,y)が判るようになっている。
【0018】距離測定装置16は、例えば、光波や超音
波を発射して、その反射を受けて、これらの時間差から
距離を求める光波距離計や超音波距離計であって、補修
前のコンクリート躯体12までの距離を測定する。
【0019】剥離除去装置18は、ウォータジェット噴
射ノズルを備え、ノズルからウォータジェット水をコン
クリート躯体12に噴射して、躯体12の劣化部Aを剥
離除去する。
【0020】防錆剤吹付け装置20は、剥離除機装置1
8により劣化部Aが除去され際に除去部分Bに露出する
鉄筋に向けて、防錆剤を吹き付けるものである。厚み検
出装置22は、本実施例の場合には、コンクリート吹付
け装置10を挟んでその前後に配置された一対の距離セ
ンサー22a,22bから構成されている。
【0021】各距離センサー22a,22bは、光波や
超音波を発射して、その反射を受けて、これらの時間差
から距離を求める光波距離計や超音波距離計であって、
吹付け装置10の前側に配置された距離センサー22a
は、除去部分Bまでの距離を測定する。
【0022】また、吹付け装置10の後側に配置された
距離センサー22bは、吹付け装置10により形成され
たコンクリート層Cまでの距離を測定する。整形装置2
4は、コンクリート層Cの表面を機械的に切削する回転
刃を備え、コンクリート層Cの厚みを均一で滑らかな仕
上げ面Dに整形する。なお、この整形装置24は、回転
刃式のものだけでなく、例えば、機械的にコテ均しをす
る回転翼式のものであってもよい。
【0023】コーティング剤吹付け装置26は、整形装
置24により整形された仕上げ面Dに、塗色や防食用な
どのコーティング剤を吹き付ける。
【0024】制御装置30は、距離測定装置16,剥離
除去装置18,防錆剤吹付け装置20,厚み検出装置2
2,コンクリート吹付け装置10,整形装置24,コー
ティング剤吹付け装置26を制御して、以下のようにし
て、コンクリート躯体12の劣化部Aを補修する。
【0025】劣化部Aを補修する際には、まず、距離測
定装置16により、補修前のコンクリート躯体12まで
の距離が測定され、その値が座標値(x,y)を含む三
次元情報として記憶される。
【0026】なお、この三次元情報は、距離測定装置に
依らず別の手段で予め測定し、レール14の付設一との
関係で記憶させることもできる。
【0027】この場合、距離測定装置16を移動装置3
2によりX,Y軸方向に移動させながら三次元情報を得
る。このような距離測定装置16による三次元情報の収
集がある程度進行すると、情報収集の終了した部分に順
次剥離除去装置18を移動させて、ウォータージェット
水の噴射により劣化部Aの剥離除去が行われる。
【0028】この場合の剥離除去深さは、予め劣化部A
の深さを手はつりなどにより確認しておき、その確認さ
れた深さまで除去する。このときのウォータージェット
噴射の制御は、制御装置30から送出する信号で行う。
【0029】次いで、除去部分Bに防錆剤吹付け装置2
0を移動させて、鉄筋の防錆処理が行われる。防錆剤の
吹付けは、例えば、除去部分Bの前面に吹き付けるこ
と、あるいは、CCDカメラを搭載して、カメラで撮像
した画像をモニタすることにより、鉄筋近傍のみに吹き
付けることのいずれかが選択できる。
【0030】鉄筋の防錆処理が終了すると、この部分に
厚み検出装置22の一方の距離センサー22aを移動さ
せて、除去部分Bまで距離が測定され、測定値は、距離
測定装置16と同様に三次元情報として記憶される。
【0031】次いで、コンクリート吹付け装置10によ
りコンクリート層Cが吹付け形成される。
【0032】この時に形成されるコンクリート層Cの厚
みは、距離測定装置16および距離センサー22aとで
測定した同一個所の補修前および劣化部Aの除去後の三
次元情報がそれぞれ記憶されているので、装置10の設
置個所におけるこれらの三次元情報を読み出して、比較
することにより、除去部分Bの厚みが演算される。
【0033】従って、この演算によって求めた除去部分
Bの厚みに基づいて、吹付け形成するコンクリート層C
の厚みを設定することができ、制御装置30からコンク
リート吹付け装置10のノズル10aに制御信号を送出
することで吹付け量を制御すれば、コンクリート層Cの
厚みを設定値にすることができる。
【0034】この場合の設定値は、通常、補修後の仕上
げ面Dとそれ以外の部分との整合性を考慮して補修前の
厚みとなるようにするので、これに対応させることにな
るが、本実施例の場合には、後の整形処理を考慮する
と、除去部分Bの厚みよりもコンクリート層Cの厚みが
若干厚くなるようにすることが望ましい。
【0035】所定厚みのコンクリー層Cが形成される
と、距離センサー22bによりコンクリート層Cまでの
距離が測定され、上記と同様に三次元情報として記憶さ
れる。
【0036】次に、整形装置24を移動させて、コンク
リー層Cの整形が行われる。整形装置24による切削量
は、例えば、距離センサー22bの測定値から各個所に
おけるコンクリート層Cの厚みが演算により求められる
ので、この演算値と仕上げ面D厚みとを減算することに
より決定される。
【0037】整形装置24によりコンクリート層Cの整
形が終了すると、その表面にコーティング剤吹付け装置
26によりコーティング剤を吹き付けて補修が完了す
る。
【0038】さて、以上のように構成した補修システム
によれば、コンクリート躯体12の劣化部Aの除去,鉄
筋の防錆処理,コンクリート層Cの形成,同層Cの整
形,仕上げ面Dのコーティング処理を一連の工程として
自動的に行うことができ、施工能率が大幅に向上する。
【0039】この場合、特に、劣化部Aの除去部分Bに
コンクリート吹付け装置10によりコンクリート層Cを
吹付け形成するので、型枠やその支保工を設けることな
く、劣化部Aの補修,補強が行える。
【0040】なお、コンクリート躯体12の劣化部Aの
除去,鉄筋の防錆処理,コンクリート層Cの形成,同層
Cの整形,仕上げ面Dのコーティング処理を一連の工程
として行う場合には、移動装置32による各装置の移動
パターンは、制御の容易性から同一移動パターンとする
ことが望ましい。
【0041】また、本実施例の場合には、コンクリート
層Cを仕上げ厚みよりも若干厚く形成し、形成後に仕上
げ厚みに整形する整形装置24を設けているので、均一
で平滑な仕上げ面が得られる。
【0042】さらに、本実施例では、整形後の仕上げ面
Dにコーティング剤を噴射するコーティング吹付け装置
26を設けているので、仕上げ面Dに防食コーティング
などを施すことができ、補修後の美観も回復できる。
【0043】また、本実施例では、除去部分Bに露出し
た鉄筋に防錆剤を噴射する防錆剤吹付け装置20を設け
ているので、コンクリート構造物の鉄筋の腐食が防止さ
れ、耐久性を増すことができる。
【0044】
【0045】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかるコンクリートの補修装置によれば、コン
クリート構造物の劣化部分を効率良く補修,補強するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるコンクリートの補修装置の一実
施例を示す全体構成図である。
【図2】図1に示したコンクリート吹付け装置の拡大図
である。
【符号の説明】
10 コンクリート吹付け装置 10a ノズル 12 コンクリート躯体(構造物) 14 レール 16 距離測定装置 18 剥離除去装置 20 防錆剤吹付け装置 22 厚み検出装置 24 整形装置 26 コーティング剤吹付け装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−156167(JP,A) 特開 平9−125699(JP,A) 特開 昭48−45041(JP,A) 特開 平9−256647(JP,A) 特開 平8−338005(JP,A) 特開 平6−50006(JP,A) 特開 昭63−114762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 23/02 E04G 21/02 103 E21D 11/10 E21D 11/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造物の劣化部をウォータ
    ジェット噴射などにより剥離除去した状態で、当該除去
    部分にコンクリート層を形成するコンクリートの補修装
    置において、補修前のコンクリート構造物までの距離を測定する距離
    測定装置と、 前記距離測定装置の後部側に設置され、前記劣化部を剥
    離除去する剥離除去装置と、前記剥離除去装置の後部側に設置され、前記除去部分に
    露出した鉄筋に防錆剤を噴射する防錆剤吹付け装置と、 前記防錆剤吹付け装置の後部側に設置され、前記除去部
    分にコンクリートを吹き付けるコンクリート吹付け装置
    と、 前記コンクリート吹付け装置を前記除去部分に沿って二
    次元方向に移動する移動装置と、前記コンクリート層の吹付け厚みを検出する厚み検出装
    置と、 前記コンクリート層の表面を仕上げ厚みに整形する整形
    装置と前記距離測定装置と前記厚み検出装置との測定値に基づ
    いて求める 前記コンクリート層の吹付け厚みが、所定値
    になるように前記コンクリート吹付け装置の吹付け量を
    制御するとともに、前記距離測定装置,剥離除去装置,
    防錆剤吹付け装置,コンクリート吹付け装置,整形装置
    を制御する単一の制御装置とを有することを特徴とする
    コンクリートの補修装置。
  2. 【請求項2】 前記厚み検出装置は、前記コンクリート
    吹付け装置の前に配置された距離センサーを有し、 前記制御装置は、予め測定される前記劣化部までの距離
    と、前記距離センサーで測定された前記劣化部分までの
    距離とから、前記吹付け厚みを求めることを特徴とする
    請求項1記載のコンクリートの補修装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のコンクリートの補修装置
    は、整形後の仕上げ面にコーティング剤を噴射するコー
    ティング剤吹付け装置を有することを特徴とするコンク
    リートの補修装置。
  4. 【請求項4】 前記距離測定装置と前記厚み検出装置の
    測定値は、三次元情 報として記憶することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項記載のコンクリートの補修
    装置。
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