JP6676517B2 - トンネル防水シート防護方法、及びこれに用いる削孔用ビットと削孔用ツール - Google Patents
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Description
そこで、トンネル内壁の支保工の役割を果たしつつ、安価で、防水シートの損傷の要因となり得る突起を防いでトンネル防水シートを防護する工法が望まれる。
前記大口径リングビットは所定深さ以上の削孔を防止するストッパーを備えることが好ましい。
また、本発明に係るトンネル防水シート防護方法によれば、吹付けコンクリート表面に窪み部を設け、ロックボルト頭部やナットなどは窪み部の中に完全に収納されるため、従来技術ではなくすことのできなかった突起を完全になくすことができ、確実にトンネル防水シートの損傷を防止することができる。
さらに本発明に係る削孔ビットによれば、先行削孔時にロックボルト挿入孔の一部と窪み部を同時に形成するため、これに続くロックボルト用削孔を容易に行うことができる。
また、本発明に係る削孔用ツールによれば、後削孔時にロックボルト挿入孔の最終段階の削孔と窪み部を同時に、かつ同軸で形成するため、確実にトンネル防水シートの損傷を防止するトンネル防水シート防護方法を実現できる。
図1は本発明の実施形態によるトンネル防水シート防護方法を従来工法と対比させて示す図である。図1(a)はNATMにおけるロックボルトの設置状態を示す図である。
防水シートはロール状で供給され、トンネル内壁に貼付ける際、隣接する防水シート同士を熱溶着することで連続した防水面を構成する。通常防水シート10は厚さ1〜2mm程度の樹脂製であるため貼付け面に突起などがあると破損のおそれがあり、そこから漏水が発生する可能性がある。このため吹付けコンクリートから突出するロックボルトの頭部は、防水シート10の破損を防止するために対策する必要がある。
図1(b)を参照すると、並行して設置されたH形鋼の鋼製支保工4の間にロックボルト1が設置される。鋼製支保工4は吹付けコンクリート2の中に埋設されており、吹付けコンクリート2は鋼製支保工4部分を含めなだらかな表面を形成する。ロックボルト1の頭部は吹付けコンクリート2から突出する。
図1(d)を参照すると、ロックボルト1は、吹付けコンクリート2を貫通して地山に延在し、図示しないモルタルやセメントなどの定着材で地山及び吹付けコンクリート2に定着される。ロックボルト1の突出した頭部にはプレート5が挿通され、ナット6により定着される。さらにロックボルト1の頭部、プレート5、ナット6を覆うように頭部保護キャップ7が装着される。
このように従来技術では、ロックボルト1の頭部を覆う頭部保護キャップ7による隆起が点在するため、防水シート10は起伏の多い貼り付け形状にしかなり得ず、防水シート10の熱溶着の出来形や作業性が悪いばかりでなく、その後施工される覆工コンクリートの打設圧力で防水シート10が局所的に引っ張られてロックボルト頭部の箇所で破損する危険性がある等、施工性や品質確保の面で難が多い。
図1(f)を参照すると、プレート5を含めロックボルト1の頭部が窪み部9の中に納まっている以外は図1(c)と変わらない。
先行削孔が終了すると、段階S220にて窪み部9の中心位置にロックボルト1を挿入するロックボルト挿入孔を形成するロックボルト用削孔を行う。
次に段階S240にて定着されたロックボルト1にプレート5を挿通しプレート5をナット6で定着する。
図3を参照すると、段階S310にて吹付けコンクリート2の表面の所定の位置にロックボルト1を挿入するロックボルト挿入孔を形成するロックボルト用削孔を行う。ここで所定の位置は図2の段階S210に説明した位置に相当する。
そこで窪み部9形成後の吹付けコンクリート2の残り厚さにより処理を変更する。
設計吹付け厚を満たしている場合は、強度的に問題はないので図1(g)に示すようにナット6の周囲の空洞は発泡スチロールなどで構成した頭部保護部材8を設置することで防水シート10貼付け前の下地が完成する(段階S420)。
一方段階S410で設計吹付け厚を満たしていないと判断される場合は、段階S430で吹付けコンクリート2の強度と同等の強度を有する充填材で窪み部9を埋戻し充填する。
段階S420又は段階S430で、窪み部9をほぼ平坦にした後は段階S440で防水シート10貼付けを行う。
図5を参照すると、親子ビット11はプレート収納用の窪み部9を形成する外径の大きい親ビット14と、親ビット14と中心軸を同じくして親ビット14に固定され、親ビット14の外径サイズより小さい外径サイズの子ビット12を備える。子ビット12の先端は親ビット14の先端より一定距離軸方向に突出するように設置されている。子ビット12の外径はロックボルト挿入孔を削孔するビットの外径と合わせるのが好ましい。
このため例えば先に示した実施形態のように、親ビットの外径が219mmに対し子ビットの外径は先注入法では40mm、後注入法では64mmとなり、定着材の注入方法により親子ビットの外径比は異なる。
図6を参照すると、親子ビット20は、親ビット24と子ビット22とガイドロッド26とを備える。親ビット24と子ビット22は図5に示す親ビット14と子ビット12と同じである。親子ビット20が親子ビット11と相違するのは子ビット22の親ビット24からの突出量を増加させるガイドロッド26を備える点である。
親子ビット11、親子ビット20のような専用の削孔ビットを使用することで本発明によるトンネル防水シート防護方法を容易に実施することができる。
図7を参照すると、油圧ドリフター76が油圧ドリフター76の水平移動を支える支持部材であるガイドセル77の上に設置され、ガイドセル77の先端部には削孔装置ロッド受け台78が備えられる。窪み部9を削孔する大口径リングビット70は、予め削孔装置ロッド受け台78にセットされる。ロックボルト用削孔は削孔用のロッド71を大口径リングビット70の中心の貫通孔を通して油圧ドリフター76に接続して行う。削孔が進むに従い継ぎ足すロッド71も同様に大口径リングビット70の中心の貫通孔を通るようにセットして削孔が進む。
窪み部9の削孔が終了すると油圧ドリフター76を引き戻しながら削孔装置ロッド受け台78に格納してから特殊アタッチメント72を取り外す。この方法によりロックボルト用削孔と窪み部9の削孔が同軸となるように進めることができ、片当たり無くプレートを取り付けられるので良好な支保工の設置が可能となる。
図8を参照すると、削孔用ツール80はプレート収納用の窪み部を形成するリング状に形成された大口径リングビット81と、大口径リングビット81を削孔用装置に取り付けるための特殊アタッチメント85とを備える。大口径リングビット81は、大口径リングビットの中心軸に沿って設けられロックボルト用削孔に使用するビットを接続したロッド90を貫通させる貫通孔82と、大口径リングビットの中心軸に沿って前記貫通孔に連続して設けられた特殊アタッチメント85との接続用ネジ穴83とを備える。
また特殊アタッチメント85も、取付時にはロッド90が貫通孔の中に挿入されるため、大口径リングビット81の接続用ネジ穴83は特殊アタッチメント85の肉厚分貫通孔82より径が大きくなる。
また先行削孔用のビットと同様、大口径リングビットにも所定深さ以上の削孔を防止するため例えばストッパー91を備えてもよい。
このように専用のツールを使用することにより、後削孔も容易に実行することができ、確実にトンネル防水シートの損傷を防止することが実現できる。
2 吹付けコンクリート
3 覆工コンクリート
4 鋼製支保工
5 プレート
6 ナット
7 頭部保護キャップ
8 頭部保護部材
9 窪み部
10 防水シート
11、20 親子ビット
12、22 子ビット
14、24 親ビット
18、28、91 ストッパー
26 ガイドロッド
70、81 大口径リングビット
71 ロッド
72、85 特殊アタッチメント
75 ドリルジャンボのブーム
76 油圧ドリフター
77 ガイドセル
78 削孔装置ロッド受け台
80 削孔用ツール
82、86 貫通孔
83 接続用ネジ穴
87 大口径リングビット接続用ネジ部
88 削孔用装置接続用ネジ部
89 油圧ドリフターの主軸
90 ロッド
Claims (5)
- トンネル内を覆う吹付けコンクリートの表面の所定の位置に削孔用ビットを使用してプレート収納用の窪み部を形成する先行削孔を行う段階と、
前記窪み部の中心位置にロックボルトを挿入するロックボルト挿入孔を形成するロックボルト用削孔を行う段階と、
前記ロックボルト挿入孔に定着材を充填して前記ロックボルトを定着する段階と、
前記定着されたロックボルトに前記プレートを挿通し該プレートをナットで定着する段階と、
所定区間の前記吹付けコンクリートの残存する吹付け厚が、設計吹付け厚を満たしているか否かを判断する段階と、を有し、
前記残存する吹付け厚が、設計吹付け厚を満たしていない場合、吹付けコンクリートの強度と同等の強度を有する充填材で前記窪み部を埋戻し充填し、
前記ロックボルト、プレート、及びナットはいずれもプレート収納用の窪み部内に収まり、窪み部周囲の吹付けコンクリートの表面から突出しないように設置することで防水シートの損傷を防ぎ、
前記削孔用ビットは、プレート収納用の窪み部を形成する親ビットと、
親ビットと中心軸を同じくしてガイドロッドを介して親ビットに固定され、親ビットの外径サイズより小さい外径を有する子ビットとを有し、
前記親ビットの外径はプレートの外接円の径より大きく、前記親ビットの厚さは前記プレート収納用の窪み部の深さと同じであり、
前記ガイドロッド及び子ビットの外径はロックボルト挿入孔の内径に等しく、子ビットにより削孔されるガイド穴によってロックボルト挿入孔を形成するビットの方向が制約されるように子ビットの先端は親ビットの先端より前記ガイドロッドの長さと子ビットの厚さを加えた長さ分軸方向に突出するように設置されていることを特徴とするトンネル防水シート防護方法。 - トンネル内を覆う吹付けコンクリートの表面の所定の位置にロックボルトを挿入するロックボルト挿入孔を形成するロックボルト用削孔を行う段階と、
ロックボルト挿入孔と同じ中心軸を有するように削孔用ツールを使用してプレート収納用の窪み部を形成する後削孔を行う段階と、
前記ロックボルト挿入孔に定着材を充填して前記ロックボルトを定着する段階と、
前記定着されたロックボルトに前記プレートを挿通し該プレートをナットで定着する段階と、
所定区間の前記吹付けコンクリートの残存する吹付け厚が、設計吹付け厚を満たしているか否かを判断する段階と、を有し、
前記残存する吹付け厚が、設計吹付け厚を満たしていない場合、吹付けコンクリートの強度と同等の強度を有する充填材で前記窪み部を埋戻し充填し、
前記ロックボルト、プレート、及びナットはいずれもプレート収納用の窪み部内に収まり、窪み部周囲の吹付けコンクリートの表面から突出しないように設置することで防水シートの損傷を防ぎ、
前記削孔用ツールは、プレート収納用の窪み部を形成するリング状に形成された大口径リングビットと、
前記大口径リングビットを削孔用装置に取り付けるための特殊アタッチメントと、を有し、
前記大口径リングビットは、大口径リングビットの中心軸に沿って設けられ前記ロックボルト用削孔に使用するビットを接続したロッドを貫通させる貫通孔と、大口径リングビットの中心軸に沿って前記貫通孔に連続して設けられた前記特殊アタッチメントとの接続用ネジ穴とを備え、
前記特殊アタッチメントは、特殊アタッチメントの中心軸に沿って設けられ前記ロックボルト用削孔に使用するビットを接続したロッドを貫通させる貫通孔と、一端の外周部に設けられた大口径リングビット接続用ネジ部と、他端の内周部に設けられた削孔用装置接続用ネジ部とを備え、
前記特殊アタッチメントとの接続用ネジ穴の径は前記大口径リングビットに設けられた貫通孔の径より大きく、
前記削孔用装置接続用ネジ部の穴径は前記特殊アタッチメントに設けられた貫通孔の径より大きく、
前記特殊アタッチメントは、前記ロックボルト用削孔に継ぎ足して使用するロッドの最後のロッドを継ぎ足す際に削孔用装置に取り付けられて前記大口径リングビットを削孔用装置に取り付けることを特徴とするトンネル防水シート防護方法。 - 請求項1に記載の先行削孔を行うのに使用する削孔用ビットであって、
前記削孔用ビットは、プレート収納用の窪み部を形成する親ビットと、
親ビットと中心軸を同じくしてガイドロッドを介して親ビットに固定され、親ビットの外径サイズより小さい外径を有する子ビットとを有し、
前記親ビットの外径はプレートの外接円の径より大きく、前記親ビットの厚さは前記プレート収納用の窪み部の深さと同じであり、前記親ビットの後方には削孔深さを制限するストッパーを備え、
前記ガイドロッド及び子ビットの外径はロックボルト挿入孔の内径に等しく、子ビットにより削孔されるガイド穴によってロックボルト挿入孔を形成するビットの方向が制約されるように子ビットの先端は親ビットの先端より前記ガイドロッドの長さと子ビットの厚さを加えた長さ分軸方向に突出するように設置されていることを特徴とする削孔用ビット。 - 請求項2に記載の後削孔を行うのに使用する削孔用ツールであって、
前記削孔用ツールは、プレート収納用の窪み部を形成するリング状に形成された大口径リングビットと、
前記大口径リングビットを削孔用装置に取り付けるための特殊アタッチメントと、を有し、
前記大口径リングビットは、大口径リングビットの中心軸に沿って設けられ前記ロックボルト用削孔に使用するビットを接続したロッドを貫通させる貫通孔と、大口径リングビットの中心軸に沿って前記貫通孔に連続して設けられた前記特殊アタッチメントとの接続用ネジ穴とを備え、
前記特殊アタッチメントは、特殊アタッチメントの中心軸に沿って設けられ前記ロックボルト用削孔に使用するビットを接続したロッドを貫通させる貫通孔と、一端の外周部に設けられた大口径リングビット接続用ネジ部と、他端の内周部に設けられた削孔用装置接続用ネジ部とを備え、
前記特殊アタッチメントとの接続用ネジ穴の径は前記大口径リングビットに設けられた貫通孔の径より大きく、
前記削孔用装置接続用ネジ部の穴径は前記特殊アタッチメントに設けられた貫通孔の径より大きく、
前記特殊アタッチメントは、前記ロックボルト用削孔に継ぎ足して使用するロッドの最後のロッドを継ぎ足す際に削孔用装置に取り付けられて前記大口径リングビットを削孔用装置に取り付けることを特徴とする削孔用ツール。 - 前記大口径リングビットは所定深さ以上の削孔を防止するストッパーを備えることを特徴とする請求項4に記載の削孔用ツール。
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