JP3945792B2 - トンネルボーリングマシンおよびトンネル掘進における支保方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体開放部よりも前側の掘削面を硬化材料により覆工し支保することのできるトンネルボーリングマシンおよびこれを用いるトンネル掘進における支保方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルボーリングマシンによる掘進能率は主に対象岩盤の状況によって左右される。硬岩で、一軸圧縮強度の高い岩盤においては、掘削後の地山支保は不要であるか又は簡易なもので良いので掘進能率は比較的に良い。反対に、地山が不良な場合は、掘削面(特に天端)の肌落ちや崩壊が進行するので、十分な支保工が必要とされる。
【0003】
かかる支保工として、従来より、掘削面にコンクリートを吹き付けることが行われている。下記(イ)〜(チ)に、いわゆる前胴および後胴よりなるフルシールドタイプ(密閉型)のトンネルボーリングマシンを用いる、従来の支保方法の手順を示す。
(イ)後胴のメイングリッパジャッキを伸ばし、メイングリッパを掘削坑内周面(地山)に押しつけて後胴を地山に固定する。
(ロ)前胴のフロントジャッキを縮めてフロントグリッパを解放し、前胴を地山から解放する。
(ハ)カッタヘッドを回転させつつ、スラストジャッキを伸ばし、前胴およびカッタヘッドを前進させて切羽を掘進する。
(ニ)所定の位置まで掘進したらカッタヘッドの回転を停止し、フロントジャッキを伸ばし、フロントグリッパを掘削坑内周壁(地山)に押しつけて前胴を地山に固定する。
(ホ)メイングリッパジャッキを縮めて後胴を地山から解放する。
(ヘ)スラストジャッキを縮めて後胴を前胴の方へ引き寄せる。( 後胴が前進する)
(ト)後胴が前進すると機体開放部たる後胴テール部の後ろ側に、新たな掘削坑内周面が露出する。
(チ)露出した掘削面の状況によって、コンクリート吹き付け作業や鋼製支保工等をおこなう。但し、地山が堅固で支保作業が不要であると判断された場合は省略する。再び、手順(イ)に戻り、同様の作業を繰り返し行うことでトンネルを築造する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トンネルボーリングマシンは硬岩を掘削する事を目的に設計・製作された機械であり、地山が安定している場合の掘進能率は他の工法に比べて非常に高い。特に、日本の地質はヨーロッパやアメリカ等の諸外国に比べて岩盤が複雑で、不安定である。したがって、トンネルボーリングマシンを用いてトンネルを築造する際、地山の掘削面の支保に多大な労力を要するため、トンネル築造工事全体としての能率は掘削面の支保時間により左右されると言っても過言ではない。故に、機械が保有している掘削能力を十分に発揮させて、トンネル築造能率を高めるためには掘削面の支保を短時間で行うことが重要になる。
【0005】
しかるに、従来の支保方法は前記手順(イ)〜(チ)の通りであり、掘削面が後胴テール部の後側に露出するまでは支保作業を行うことが出来なかった。また、トンネルボーリングマシンにはいわゆるオープンタイプ(開放型)のものもあり、このトンネルボーリングマシンを用いる場合には機長よりかなり短い距離で掘削面(地山)が露出するため、フルシールドタイプのトンネルボーリングマシンを用いる場合に比べて、より早期に掘削面を支保する事が可能となる。しかし、基本的にはトンネルボーリングマシンが一定距離掘進しなければ掘削面の支保が出来ないのに変わりはない。したがって、従来のトンネルボーリングマシンによるトンネル築造能率は、マシンがフルシールドタイプであるとオープンタイプであるとを問わず低いものであった。
【0006】
さらに、トンネルボーリングマシンによって地山を掘削すると地山応力が解放されるため、時間の経過とともに肌落ちや崩落等が発生し易くなる。特にフルシールドタイプのトンネルボーリングマシンを用いた場合、掘削面が露出するまでの時間が長く、よって支保工を早期に行うことができない。そのため、その間に地山が弛み、機体開放部(後胴テール部の後側等)等において肌落ちや崩落等が発生する確率が高かった。かかる肌落ちや崩落等は、その後のズリ処理や支保作業に多大な時間を浪費する点、吹き付け量の増大等により施工コストが高くなる点、および作業員の安全を確保する点から、防止する必要がある。
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、掘削面の硬化材料による支保をより早期に行い、掘削面の肌落ちや崩落を防止し、もってトンネル築造能率の向上および作業員の安全の確保を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明のトンネルボーリングマシンは、カッタヘッド外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルをカッタヘッドに固設し、この吹付けノズルに対して硬化材料を供給する供給路を設け、前記吹付けノズルからカッタヘッド外面と対面する支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保するように構成するとともに、
前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段を設け、その測定結果に基づいて前記吹付け ノズルからの硬化材料の吹き付け量を調節するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のトンネルボーリングマシンにおいては、前記カッタヘッド前面に開口する前方排出管を設け、前記吹付けノズルと前記供給路とを三方弁により連結し、この三方弁の残りの入出口を前記前方排出管と連結し、前記供給路に通水を行うときに前記供給路を前記前方排出管にのみ通じるように三方弁を切り替えるように構成するのは好ましい。
【0010】
他方、上記課題を解決した本発明のトンネル掘進における支保方法は、カッタヘッド外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルをカッタヘッドに固設し、この吹付けノズルに対して硬化材料を供給する供給路を設け、前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段を設けてなるトンネルボーリングマシンを用い、トンネルを掘進する一方で、少なくともカッタヘッド回転中に前記吹付けノズルからカッタヘッド外面と対面する支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保するとともに、
前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段により吹付け厚さを測定し、その測定結果に基づいて前記吹付けノズルからの硬化材料の吹き付け量を調節することを特徴とする方法である。
【0011】
また、本発明のトンネル掘進における支保方法においては、前記カッタヘッド前面に開口する前方排出管を設け、前記吹付けノズルと前記供給路とを三方弁により連結し、この三方弁の残りの入出口を前記前方排出管と連結し、前記供給路を前記前方排出管にのみ通じるように三方弁を切り替えて前記供給路に通水を行うことにより前記供給路を清掃するのは好ましい。
【0012】
<作用>
本発明のトンネルボーリングマシンは、機体開放部よりも前側の掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルを備えており、この吹付けノズルから機体開放部よりも前側の支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保するものであるので、露出前の掘削面を硬化材料により覆工し支保することができる。そのため、機体開放部に露出する掘削面は既に硬化材料により覆工され支保されており、機体開放部における肌落ちや崩落が発生しにくい。よって、本発明によれば、掘削面の支保の早期化、掘削面の肌落ちや崩落の防止、これらによるトンネル築造能率の向上および作業員の安全の確保を図ることができる。
【0013】
また、本発明のトンネルボーリングマシンでは、カッタヘッド外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルをカッタヘッドに固設しているので、掘削面の形成と同時もしくは形成後直ちに、吹付けノズルによりカッタヘッド外面と対面する掘削面のうち支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保することができる。
【0014】
特に、このトンネルボーリングマシンを用いて、少なくともカッタヘッド回転中において、吹付けノズルからカッタヘッドと対面する支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保する場合、カッタヘッドの回転に伴い吹付けノズルも回転するので、別個に吹付けノズルの供給方向を変える装置を設ける必要がなく、カッタヘッド回転中に吹付けノズルの供給方向が掘削面の支保対象部位に向いたときに硬化材料の供給を行うだけで、その支保対象部位の支保を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しつつ詳述する。
<フルシールドタイプトンネルボーリングマシンの例>
図1および図2は、本発明に係るフルシールドタイプのトンネルボーリングマシン例1を示している。このトンネルボーリングマシン1は、従来のものと同様に、カッタヘッド10と、このカッタヘッド10を回転自在に支持する前胴20と、この前胴20の後方にスラストジャッキ30,30により連結された後胴40とからなる。
【0016】
特徴的には、カッタヘッド10外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する供給装置として、カッタヘッド10の外周面に開口する硬化材料吹付けノズル2がカッタヘッド10の周壁部に固設されており、この吹付けノズル2に対して硬化材料を供給する供給路が、第1供給管3A、ロータリージョイント3Bおよび第2供給管3Cにより構成されている。第1供給管3Aは、ノズル2の入口からカッタヘッド10内を経由しカッタヘッド10回転中心部からカッタヘッド10内方まで延設されており、カッタヘッド10と同軸をなすように配設されたロータリージョイント3Bを介して第2供給管3Cと連結され、この第2供給管3Cが前胴20内および後胴40内を経由して既設トンネル内に設置された図示しない硬化材料の供給源と連結されている。
【0017】
他の装置構成は従来のものと同様である。すなわち、カッタヘッド10は、前面に配設されたローラカッタ12,12…と、前面周縁部に配設された掘削ズリ掻き取り部材13,13…とを備えており、掘削外径が後続の前胴20および後胴40よりも若干大きくされている。このカッタヘッド10を回転自在に支持する前胴20は、自身の固定およびその解除を行うフロントグリッパ21と、カッタヘッド10内方に位置し掘削ズリ掻き取り部材13,13…からのズリを受けるホッパ22とを備えている。後胴40は、前胴20のテール内に抜き差し自在に挿入されており、後述の掘進時においても前胴20との間に開放部を形成しないようになっている。また、後胴40は自身の固定およびその解除を行うメイングリッパ41と、シールドジャッキ42と、セグメントs,s…を組み立てるためのエレクタ43とを備えている。他方、本トンネルボーリングマシン1では、ホッパの下方から前胴20内および後胴40内を経由して後方の既設トンネル内まで延在するように排出コンベヤーCが配設されている。
【0018】
さて、かかるトンネルボーリングマシン1を用いてトンネルを掘進する場合、支保を行わないときには従来方法と同様であり、下記(A)〜(C)に示す手順を繰り返し行う。
(A)メイングリッパ41を掘削坑内周面(地山)に押しつけて後胴40を地山に固定するとともに、フロントグリッパ21を縮めて前胴20を地山から解放する。
(B)しかる後、カッタヘッド10を回転させるとともに、スラストジャッキ30を伸ばし前胴20をカッタヘッド10とともに前進させて切羽を掘進し、所定の位置まで掘進したらカッタヘッド10の回転を停止させる。
(C)フロントグリッパ21を掘削坑内周面(地山)に押しつけて前胴20を地山に固定するとともにメイングリッパ41を縮めて後胴40を地山から解放した後、スラストジャッキ30を縮めて後胴40を前胴20の方へ引き寄せる。
【0019】
一方、支保を行う(掘削坑内周面に硬化材料を吹付ける)場合、これら(A)〜(C)のいずれか又は全ての工程において、第2供給管3C、ロータリージョイント3B、第1供給管3Aおよび吹付けノズル2を介してカッタヘッド10側方の掘削坑内周面に硬化材料を吹付けることができるが、特に(B)工程の切羽掘進中(カッタヘッドの回転および前進中)において、吹付けノズル2が支保対象部位の方向を向いているときに硬化材料の吹付けを行うのが好ましい。
【0020】
すなわち、本トンネルボーリングマシン1の吹付けノズルはカッタヘッド10周壁部に固設されているので、カッタヘッド10の回転および前進に伴って、掘削坑内周面を常に臨みつつ螺旋を描くように移動(カッタヘッド周りの回転および前進)する。特に通常の掘削速度の範囲内では、吹付けノズル2は、その吹付け可能範囲が掘削坑内周面の全ての部位を通過するように移動する。したがって、カッタヘッド10の回転および前進中において、これに伴い回転および前進する吹付けノズル2が支保対象部位に向いたときに硬化材料の吹き付けを行えば、その部位に硬化材料を吹付けることができるのである。例えば、カッタヘッド10が一定距離前進する間であって、吹付けノズル2が天井部や側壁部等の掘削坑内周面の一部分を向いているときにだけ吹付けを行えば、図3や図4にH1およびH2で示すように天井部や側壁部に硬化材料を吹き付けることができる。もちろん、カッタヘッド10が一定距離掘進する間中吹付けを継続して行えば、図5にH3で示すように掘削坑内周面の全周にわたり硬化材料を吹き付けることができる。なお、これらの場合の吹付け部分のトンネル前後方向長さは、吹付け期間中のカッタヘッド10の前進距離に応じて定まる。
【0021】
また、切羽を所定距離掘進し、吹付けノズル2がトンネル延長方向における支保対象掘削面に到達したならばスラストジャッキ30を伸ばさずにカッタヘッド10のみを回転させるとともに吹付けノズル2から支保対象掘削面に硬化材料を吹付け、吹付けが完了したならば硬化材料の供給を停止し、しかる後スラストジャッキ30を伸ばすとともにカッタヘッド10を回転させて切羽を掘進し、吹付けノズル2が新たな支保対象掘削面に到達したならば再びスラストジャッキ30を伸ばさずにカッタヘッド10のみを回転させるとともに吹付けノズル2から支保対象掘削面に硬化材料を吹付けるようにして、支保対象掘削面の硬化材料による支保を行うこともできる。
【0022】
このように、本例のトンネルボーリングマシン1は、吹付けノズル2の吹付け方向を変化させる装置を必要とせずに、自動的に、掘削坑内周面の任意の部位に硬化材料を吹付けることが可能なものである。また、掘削坑内周面に対して掘削後直ちに硬化材料を吹付けることができるので、後胴40テール部の後ろ側における天壁や側壁の肌落ち・崩落がない。さらに、下記に列挙する効果が奏せられる。
(a)自動的に、掘削作業とほぼ同時に硬化材料の吹き付けによる掘削面の支保を行うことが出来るので、地山の安定度が格段に向上する。
(b)掘削坑内周面の任意の部位に部分的に吹き付けができるので、トンネルボーリングマシンの方向修正が容易になる。
(c)肌落ち等が無くなるので、トンネル仕上がり形状が設計寸法に近くなり、トンネルボーリングマシンテール部で行う吹き付け作業の吹き付け量と時間が小さくなる。
(d)テール部付近で行うコンクリート吹き付け量が少なくなるのでトンネル坑内環境が改善される。
(e)これらにより、トンネル築造能率およびトンネルボーリングマシンテール部付近で行う作業の安全性が向上する。また、トンネル築造費が低減する。
【0023】
さて、上記例のトンネルボーリングマシン1は、吹付けノズル2をカッタヘッド10に固設することにより、カッタヘッド10の回転および前進を利用して吹付けノズル2の吹付け方向を変化させるものである。そのため、硬化材料の吹付け量は、カッタヘッド10の回転量および掘進量に応じて変化してしまう。
【0024】
そこで、本発明では、吹き付け後の吹き付け厚さを測定する手段を設け、その測定結果に基づいて吹き付け量を調節することにより、均質な覆工を行えるようにする。具体的には、図6に示すように、吹付けノズル2よりも後方側のカッタヘッド10内部に超音波センサ等の非接触型センサ5を配設し、このセンサ5により吹付け面Hの吹付け厚さを測定し、その測定結果に基づいて吹き付け量を調節することを提案する。吹付け厚さ測定手段としては接触型センサを用いることもできる。
【0025】
また、かかる方法によって適切な吹付け厚さ(通常、5〜50mm程度)とすることができるが、必要に応じて機体開放部すなわち後胴40テールの後側において既設吹き付け面に対して増し吹きを行うこともできる。
【0026】
<他の例1>
上記例のトンネルボーリングマシン1において、掘削坑内周壁に吹付けた硬化材料面を任意の厚さに均すために、少なくとも吹付けノズル2よりも後側の機体側面に均し板を設けることができる。これにより、トンネルボーリングマシン後方の開放部において吹付け面を均す必要がなくなるので、トンネルボーリングマシンの掘進能率が向上する。
図7には、カッタヘッド10の側面に周方向に沿う環状の均し板6を固設した例を示した。この場合、カッタヘッド10の掘進に伴って回転および前進する均し板6により硬化材料の吹付け終了面Hが所定の厚さに均されることになる。
【0027】
また、図示しないが、カッタヘッドの側面に前後方向に沿って延在する均し板を設けることもできる。この場合には、カッタヘッドの回転に伴って回転する均し板により硬化材料の吹付け終了面が所定厚さに均される。
【0028】
さらに、本発明において、均し板の配設部位はカッタヘッドに限られない。図示しないが、前胴または後胴のシールド外周面に周方向に沿う環状の均し板を設けることもできる。この場合、前胴または後胴の前進に伴い前進する均し板によりの吹付け終了面が均されることになる。
【0029】
<他の例2>
上記例において、掘削終了後(または吹付け終了から次の吹付け開始までの間)、硬化材料の供給路(第1供給管3A、ロータリージョイント3Bおよび第2供給管路3C)を通水により清掃するのが好ましいが、上記トンネルボーリングマシン1において通水を行うと、供給路に残留した硬化材料を吹付け終了面に吹き付けてしまい、吹付け終了面を荒らすことになる。
【0030】
そこで、上記トンネルボーリングマシンにおいて、例えば図8に示すように吹き付けノズル2と第1供給管3Aとを三方弁7により連結し、この三方弁7の残りの入出口をカッタヘッド10前面に開口する前方排出管3Dと連結しておき、通水を行うときには、供給路が前方排出管3Dにのみ通じるように三方弁7を切り替えることを提案する。これにより、通水の際に供給路内の残留硬化材料を排出管3Dを介してカッタヘッド10前方に排出させることができるので、吹付け終了面を荒らさなくて済む。吹付けを行う場合には、硬化材料の供給路が吹付けノズル2にのみ通じるように三方弁7を切り替える。
【0031】
この三方弁7を配設したトンネルボーリングマシンにおいて、供給路が吹付けノズル2および前方排出管3Dの両方に通じるように三方弁7を切り替えて、これらの両方を供給装置として掘削坑内周面および切羽面の両方に硬化材料を吹付けることもできる。また、供給路が前方排出管3Dのみに通じるように三方弁7を切り替え、この前方排出管3Dを供給装置として切羽面のみに硬化材料を供給することもできる。前方排出管3Dを吹付けノズルとして切羽面に硬化材料を供給することにより、切羽面の安定を図ることもできる。
【0032】
<他の例3>
トンネルボーリングマシンによる掘削では、切羽面と掘削坑内周面との境の曲面状掘削面における天井側部分の崩落等も多い。そこで、図9に示すように、この部分を臨むように噴射方向を傾斜させて吹付けノズル2’を設けるのは好ましい。
【0033】
<他の例4>
本発明では、吹付けノズルを複数設けることができる。例えば図10に示すように、他の例3に示す傾斜吹付けノズル2’とカッタヘッド10の径方向外側を向く吹付けノズル2とを設け、これらの吹付けノズル2,2’への硬化材料の切替を三方弁7’により行うように構成することができる。この場合、三方弁7’を切り替えて両吹付けノズル2,2’の一方にのみ硬化材料を供給したり、両方に対して同時に硬化材料を供給することができる。本例において、両吹付けノズル2,2’への硬化材料の供給経路を別個に設けることもできる。
【0034】
また、図11に示すように、カッタヘッド10の周方向に複数の吹付けノズル2,2…を設けることもできる。
【0035】
<他の例5>
本発明において、吹付けノズルは少なくとも機体開放部よりも前側の掘削面に対して硬化材料を供給しうるように設ければ良い。従って、例えば図示しないが、前胴20や後胴40に吹付けノズルを設けることもできる。この場合、前胴20や後胴40は回転しないので、掘削坑内周面の全周にわたり硬化材料を吹付けうるように、多数の吹付けノズルを前胴20または後胴40の外周面に周方向に並べて設けたり、崩落等を起こしやすい天井壁側や側壁側にだけ多数の吹付けノズルを並べて設けることができる。なお、これらの場合において、吹付け厚測定センサや均し板を設ける場合は、吹付けノズル配設部位よりも後側に設ける。
【0036】
<他の例6>
硬化材料としては土木その他の分野において公知のもの、例えばコンクリート、モルタル、硬化性樹脂、およびこれらに繊維を混入したもの等を適宜用いることができる。
【0037】
また、この種の吹付け方法においては、主材と、その硬化を促進するための急結材とを吹付けノズル近傍において混合し、この混合物を吹付けることにより早期強度の発現を促すことが行われているが、かかる硬化材料も本発明に用いることができる。
【0038】
この場合、図12に示すように、供給路を2系統として一方を硬化主材用供給路50とし、他方を急結材用供給路51とし、供給部たる吹付けノズル2手前で両者を合流混合させ、この合流混合物を吹付けノズル2から吹付けるようにすれば良い。なお、同図中52は、ロータリージョイントを示している。
【0039】
<他の例7>
本発明は、トンネルボーリングマシンの種類を問わず適用することができる。この例として、図13に、本発明を適用したオープンタイプのトンネルボーリングマシン100を示す。このマシン100は、後胴を有しない点以外は、前述のフルシールドマシン1とほぼ同様である。すなわち、カッタヘッド110の外周面に開口する硬化材料吹付けノズル102がカッタヘッド110周壁部に固設されており、この吹付けノズル102に対して硬化材料を供給する供給路が、第1供給管103A、ロータリージョイント103Bおよび第2供給管103Cにより構成されている。第1供給管103Aは、ノズル102の入口からカッタヘッド110内を経由しカッタヘッド110回転中心部からカッタヘッド110内方まで延設されており、カッタヘッド110と同軸をなすように配設されたロータリージョイント103Bを介して第2供給管103Cと連結され、この第2供給管103Cが前胴120内を経由して既設トンネル内に設置された図示しない硬化材料の供給源と連結されている。なお、図13中、112,112…はローラカッタを示し、121はフロントグリッパを示し、140,140はスラストジャッキを示し、141はメイングリッパを示し、142はシールドジャッキを示し、143はエレクタを示し、s,s…はセグメントを示し、150は排出コンベヤーを示している。
【0040】
<他の例8>
次に、図14には、本発明を適用した前胴220・中胴230・後胴240よりなるフルシールドタイプのトンネルボーリングマシン200を示した。231,231は、前胴220および中胴230を連結する方向制御ジャッキを示しており、242,242は中胴230と後胴240とを連結するスラストジャッキを示している。また、221,221は前胴220に設けられたフロントグリッパを示し、241,241は後胴240に設けられたメイングリッパを示している。
【0041】
かかるトンネルボーリングマシン200においては、中胴230は前胴220の方向を制御するための方向制御ジャッキ231,231を有するだけであり、前胴220と実質的に一体として移動する。したがって、このマシン200は、掘進時において中胴230と後胴240との間に機体開放部を有することになるので、中胴230よりも前側の機体外方(すなわち、中胴230の外側、前胴220外側およびカッタヘッド210の側方)に供給装置を設ける必要がある。図示例では、カッタヘッド210の外周面に開口する硬化材料の吹付けノズル202が固設されており、この吹付けノズル202に対して硬化材料を供給する供給路が、第1供給管203A、ロータリージョイント203Bおよび第2供給管203Cにより構成されている。第1供給管203Aは、ノズル202の入口からカッタヘッド210内を経由しカッタヘッド210回転中心部の後方側まで延設されており、当該部位において、カッタヘッド210と同軸をなすように配設されたロータリージョイント203Bを介して第2供給管203Cと連結され、この第2供給管203Cが前胴220、中胴230および後胴240内を経由して既設トンネル内に設置された図示しない硬化材料の供給源と連結されている。
【0042】
ここに、これら他の例7および他の例8のトンネルボーリングマシン100,200においても他の例1〜他の例6に示す構成を採用することができる。また、これら他の例7および他の例8として示すトンネルボーリングマシンの詳細な構成および動作態様については、当業者であれば前述の説明から容易に理解されるところであるので、ここではこれ以上の説明を略す。
【0043】
<その他>
なお、本発明において、支保すなわち硬化材料の吹付けの可否は、公知の地山判定方法、例えば施工前の地質調査、切羽前方探査(TSP試験、掘削機械データに基づく地山性状の判定等)、掘削ズリの形状観察、切羽観察などに基づいて判断することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、掘削面の硬化材料による支保をより早期に行うことができ、もってトンネル築造能率の向上および作業員の安全の確保が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトンネルボーリングマシンの概略断面図である。
【図2】 図1の正面図である。
【図3】 硬貨材料吹付け部位の例を示す概略断面図である。
【図4】 硬貨材料吹付け部位の他の例を示す概略断面図である。
【図5】 硬貨材料吹付け部位の他の例を示す概略断面図である。
【図6】 要部拡大図である。
【図7】 他の例1を示す要部拡大図である。
【図8】 他の例2を示す要部拡大図である。
【図9】 他の例3を示す要部拡大図である。
【図10】 他の例4を示す要部拡大図である。
【図11】 他の例4を示す正面図である。
【図12】 他の例6を示す概略断面図である。
【図13】 他の例7を示す概略断面図である。
【図14】 他の例8を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…トンネルボーリングマシン、2…吹付けノズル、3A…第1供給管、3B…ロータリージョイント、3C…第2供給管、10…カッタヘッド、20…前胴、40…後胴。
Claims (4)
- カッタヘッド外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルをカッタヘッドに固設し、この吹付けノズルに対して硬化材料を供給する供給路を設け、前記吹付けノズルからカッタヘッド外面と対面する支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保するように構成するとともに、
前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段を設け、その測定結果に基づいて前記吹付けノズルからの硬化材料の吹き付け量を調節するように構成したことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 前記カッタヘッド前面に開口する前方排出管を設け、前記吹付けノズルと前記供給路とを三方弁により連結し、この三方弁の残りの入出口を前記前方排出管と連結し、前記供給路に通水を行うときに前記供給路を前記前方排出管にのみ通じるように三方弁を切り替えるように構成した、請求項1記載のトンネルボーリングマシン。
- カッタヘッド外面と対面する掘削面に対して硬化材料を供給する吹付けノズルをカッタヘッドに固設し、この吹付けノズルに対して硬化材料を供給する供給路を設け、前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段を設けてなるトンネルボーリングマシンを用い、トンネルを掘進する一方で、少なくともカッタヘッド回転中に前記吹付けノズルからカッタヘッド外面と対面する支保対象掘削面に対して硬化材料を吹付け、その支保対象掘削面を支保するとともに、
前記硬化材料の吹付け厚さを測定する手段により吹付け厚さを測定し、その測定結果に基づいて前記吹付けノズルからの硬化材料の吹き付け量を調節することを特徴とするトンネル掘進における支保方法。 - 前記カッタヘッド前面に開口する前方排出管を設け、前記吹付けノズルと前記供給路とを三方弁により連結し、この三方弁の残りの入出口を前記前方排出管と連結し、前記供給路を前記前方排出管にのみ通じるように三方弁を切り替えて前記供給路に通水を行うことにより前記供給路を清掃する、請求項3記載のトンネル掘進における支保方法。
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