JP4776497B2 - トンネル掘削機及びトンネル施工方法 - Google Patents
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Description
上記覆工部は、地山の土質が軟弱地山であれば必要であるが、地山の土質が岩盤層や山岳層である場合には、厚さの厚い覆工部の形成は不経済となる。そこで、岩盤層や山岳層である場合には、胴筒の後方で支保を組んでコンクリート吹き付けによる覆工工事を行うことも知られている。
しかしながら、胴筒の後方で支保を組んでコンクリート吹き付けによる覆工工事を行う場合には、胴筒が地山の圧力で圧迫されて、トンネル掘削機が前進できなくなることがある。
吹付けノズルが、カッタヘッドの後面又はカッタヘッドと一緒に回転する回転体に、カッタヘッドや回転体の周方向に沿って間隔を隔てて複数又は一つ配置されたことも特徴とする。
カッタヘッドを左回り方向及び右回り方向に所定角度だけ回転させる揺動駆動機構を備えたことも特徴とする。
吹付けノズルをカッタヘッド又は回転体の前後方向に沿って所定の範囲で往復移動させる前後方向揺動装置を備えたことも特徴とする。
本発明に係る別のトンネル掘削機は、胴筒と胴筒の前側に設けられたカッタヘッドと胴筒の後側に設けられたジャッキとを備え、ジャッキの駆動により推進しながらカッタヘッドを回転駆動させることによってカッタヘッドで地山を掘削するトンネル掘削機において、胴筒の前端側の周縁部に取付部を備え、掘削対象の土質が軟弱土砂層のように崩落の危険がある場合には、胴筒の周面と対向するトンネル空洞部の内壁面に覆工部を形成するための型枠装置が前記取付部に取付可能であり、掘削対象の土質が岩盤層のように崩落の危険が少ない場合には、カッタヘッドの周縁部の後端と胴筒の周縁部の前端との間に形成されたトンネル空洞部の内壁面に支保材を吹き付けて支保層を形成するための吹付けノズルが前記取付部に取付可能であることを特徴とする。
取付部が、胴筒の周縁部に近い前端部に、胴筒の周方向に沿って複数設けられたことも特徴とする。
本発明に係るトンネル施工方法は、上記トンネル掘削機を用い、地山の土質に応じて、吹付けノズルによる支保層又は型枠装置による覆工部を選択して形成することを特徴とする。
上記トンネル掘削機を用い、掘削対象の土質が岩盤層のように崩落の危険が少ない場合には、吹付けノズルによる支保層を形成し、掘削対象の土質が軟弱土砂層のように崩落の危険がある場合には、型枠装置による覆工部を形成することも特徴とする。
吹付けノズルをカッタヘッド又は回転体に設けたので、吹付けノズルがカッタヘッドや回転体と一緒に回転するため、吹付けノズルをカッタヘッド又は回転体の周方向に沿って移動させるためだけの専用の駆動装置を不要とできる。また、吹付けノズルがカッタヘッドや回転体と一緒に回転するため、カッタヘッドや回転体に吹付けノズルを1つだけ設けた構成とした場合でも、上記トンネル空洞部の内壁面に支保層を形成することが可能となる。複数の吹付けノズルがカッタヘッド又は回転体の周方向に沿って間隔を隔てて配置された構成とすれば、複数の吹付けノズルにより上記トンネル空洞部の内壁面に支保層を形成できるので、吹付け時間を短くでき、トンネル施工時間を短くできる。
カッタヘッドを左回り方向及び右回り方向に所定角度だけ回転させる揺動駆動機構を備えた構成とすれば、インバートの形成される部分に支保材の吹き付けを行わないようにでき、支保材の無駄を省けるとともに、インバートブロック敷設時において余分な支保材のはつり作業のような余分な作業を回避できる。
吹付けノズルをカッタヘッドの前後方向に沿って所定の範囲で往復移動させる前後方向揺動装置を備えれば、上記トンネル空洞部の内壁面におけるカッタヘッドの回転中心軸に沿った方向に渡って支保層を形成できる。
取付部を胴筒の周縁部に近い前端部に胴筒の周方向に沿って複数設けたことで、トンネル空洞部の内壁面に環状の覆工部を形成できたり、インバートの形成される部分を除いたトンネル空洞部の内壁面に覆工部を形成できる。
掘削対象の土質が岩盤層や山岳層のように崩落の危険が少ない場合の掘削の際には、トンネル掘削機1は、円筒状の胴筒2、地山掘削用のカッタヘッド3、カッタヘッド駆動機構4、推進用のジャッキ5、モルタルやコンクリートのような支保材6の吹付け装置7、取付部49を備えた形態である(以下、岩盤層掘削形態という)。即ち、岩盤層掘削形態のトンネル掘削機1による掘削の際には、塞板48が取付部49に取付けられる(図2(a)参照)。
胴筒2の内側には、図外の、スクリューコンベア、支保工やセグメントの組立装置、反力受板保持装置などを備える。胴筒2は、スキンプレートやテールプレートなどと呼ばれる部分である。
カッタヘッド3を回転させるためのカッタヘッド駆動機構4は、胴筒2の前側に中心軸16を回転中心として回転可能に設けられた回転盤17と、回転盤17の周縁部18に沿って後方に突出して設けられたリング体19の内側(あるいは外側)に内歯ギヤ20が形成されたリングギヤ21と、複数の駆動モータ22と、駆動モータ22のモータ軸23に設けられてリングギヤ21の内歯ギヤ20に噛み合う駆動ギヤ24と、回転盤17の前面25とカッタヘッド3の後面26とを連結する複数の連結部材27とで形成される。複数の駆動モータ22のモータ軸23が回転すると、駆動ギヤ24の回転力がリングギヤ21に伝達されて回転盤17及びカッタヘッド3が回転する。尚、回転盤17とリングギヤ21とにより形成される回転体17Aは、胴筒2の前部に形成された回転収容部17Bに前後移動が規制された状態で回転可能に収容される。
ジャッキ5は、胴筒2の後側の内面に周方向に沿って複数個設けられる。
吹付けノズル32と混合機31とがホース33で互いに繋がれ、混合機31と材料圧送装置30とがホース34で互いに繋がれる。
尚、吹付け方式には、乾式と湿式とがある。
乾式の場合、図外の吹付け材料生成部から材料圧送装置30に供給されたドライモルタルやドライコンクリートなどの吹付け材料が材料圧送装置30から混合機31及び吹付けノズル32に向けて圧送されるとともに、急結材が混合機31に供給され、水が混合機31に供給されることによって、吹付け材料と水と急結材とが混合されて生成された支保材6が吹付けノズル32を経由して噴射される。
湿式の場合、図外の吹付け材料生成部から材料圧送装置30に供給された生モルタルや生コンクリートなどの吹付け材料が材料圧送装置30から混合機31及び吹付けノズル32に向けて圧送されるとともに、急結材が混合機31に供給されることによって、水分を含んだ吹付け材料と急結材とが混合されて生成された支保材6が吹付けノズル32を経由して噴射される。
ジャッキ5のピストン40の反力受けを設置し、ジャッキ5のピストン40を駆動するとともにカッタヘッド3を駆動することによってトンネル掘削機1で地山44を掘削して掘進する。トンネル掘削機1の掘進によって、カッタ胴筒間に素掘り状態のトンネル空洞部41を形成し、そのトンネル空洞部41の内壁面42に、吹付けノズル32から支保材6を噴射して吹き付けることにより支保層43を形成する。以後、トンネル掘削機1をそのまま掘進させながら、掘進によりカッタ胴筒間に形成される素掘り状態のトンネル空洞部41の内壁面42に支保材6を噴射して吹き付けることにより支保層43を形成していく。即ち、トンネル掘削機1と吹付け装置7とをともに駆動し、トンネル掘削機1を掘進させながらカッタ胴筒間に形成されたトンネル空洞部41の内壁面42に吹付け装置7により支保材6を吹き付けて支保層43を形成する。つまり、トンネル掘削機1の掘進によりカッタ胴筒間に素掘り状態のトンネル空洞部41が形成された直後に、このトンネル空洞部41の内壁面42に吹付け装置7によって支保層43を形成する。
また、トンネル掘削機1と吹付け装置7とをともに駆動し、トンネル掘削機1の掘削作業と吹付け装置7による吹付け作業とを一緒に行えるので、作業時間を短くできる。
また、吹付けノズル32がカッタヘッド3と一緒に回転するので、吹付けノズル32を胴筒2の周方向に沿って移動させるためだけの専用の駆動装置を不要とでき、経済的である。
また、吹付けノズル32がカッタヘッド3と一緒に回転するため、カッタヘッド3に吹付けノズル32を1つだけ設けた構成としても、カッタ胴筒間のトンネル空洞部41の内壁面42の周方向に渡って支保層43を形成できる。
また、前後方向揺動装置を備えたことで、カッタ胴筒間のトンネル空洞部41の内壁面42におけるカッタヘッド3の中心軸16に沿った方向に渡って支保層43を形成できる。
また、取付部49を、胴筒2の周縁部11に近い前端部45に胴筒2の周方向に沿って複数設けたことで、複数の型枠装置50を用いて、トンネル空洞部41の内壁面42に環状の覆工部69を容易に形成できる。
吹付けノズル32を、回転体17Aの前面25における周縁部18に近い位置に1つだけ設け、かつ、吹付けノズル32に上述した前後揺動装置を設けた構成とした場合でも、上述した最良の形態と同じ効果が得られる。
吹付けノズル32が、カッタヘッド3の後面26又は回転体17Aの前面25に、カッタヘッド3や回転体17Aの周方向に沿って間隔を隔てて配置された構成とすれば、複数の吹付けノズル32によりトンネル空洞部41の内壁面42に支保層43を形成でき、複数の吹付けノズル32による吹付け時間を短くできるので、トンネル施工時間を短くできる。
一緒に回転するカッタヘッド3と回転体17Aとを中心軸16を回転中心として左回り方向及び右回り方向に所定角度αだけ回転させる揺動駆動機構を設ける。例えば、カッタヘッド3と回転体17Aとを左回り方向及び右回り方向にそれぞれα=140°だけ回転させる、所謂、揺動構成とする(即ち、揺動角度範囲は2α=280°)。この構成において、例えば、図3に示すように、カッタヘッド3の後面26や回転体17Aの前面25の回転初期位置における時計の12時の位置を揺動基準点Gと決めておき、揺動基準点Gの位置に吹付けノズル32を1つ取付けたことによって、図3に示すインバート46の形成される部分に支保材6の吹き付けを行わないようにする。つまり、インバート46の形成される部分は胴筒2の下部の外周面に対向する地山部分であり、この地山部分は胴筒2を圧迫しないので、インバート46の形成される部分に支保材6を吹き付けないようにすることは、支保材6の無駄を省けるとともに、インバートブロック敷設時において余分な支保材のはつり作業のような余分な作業を回避できる。
カッタヘッド3の後面26や回転体17Aの前面25に吹付けノズル32を設けずに、取付部49に吹付けノズル32及び型枠装置50のいずれか一方を選択的に取付可能とした構成としてもよい。換言すれば、吹付けノズル32及び型枠装置50のいずれか一方を選択的に取付けることの可能な取付部49を備えたトンネル掘削機1としても最良の形態や他の形態と同じ効果を得ることができる。
4 カッタヘッド駆動機構、5 ジャッキ、7 吹付け装置、6 支保材、
10 カッタヘッドの周縁部の後端、12 胴筒の周縁部の前端、
17A 回転体、26 カッタヘッドの後面、32 吹付けノズル、
41 トンネル空洞部、42 内壁面、43 支保層、44 地山、
49 取付部、50 型枠装置、69 覆工部。
Claims (8)
- 胴筒と胴筒の前側に設けられたカッタヘッドと胴筒の後側に設けられたジャッキとを備え、ジャッキの駆動により推進しながらカッタヘッドを回転駆動させることによってカッタヘッドで地山を掘削するトンネル掘削機において、カッタヘッドの周縁部の後端と胴筒の周縁部の前端との間に形成されたトンネル空洞部の内壁面に支保材を吹き付けるための吹付けノズルを備えるとともに、胴筒の外周面と対向するトンネル空洞部の内壁面に覆工部を形成するための型枠装置を取付可能な取付部を備えたことを特徴とするトンネル掘削機。
- 吹付けノズルが、カッタヘッドの後面又はカッタヘッドと一緒に回転する回転体に、カッタヘッドや回転体の周方向に沿って間隔を隔てて複数又は一つ配置されたことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
- カッタヘッドを左回り方向及び右回り方向に所定角度だけ回転させる揺動駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトンネル掘削機。
- 吹付けノズルをカッタヘッド又は回転体の前後方向に沿って所定の範囲で往復移動させる前後方向揺動装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトンネル掘削機。
- 胴筒と胴筒の前側に設けられたカッタヘッドと胴筒の後側に設けられたジャッキとを備え、ジャッキの駆動により推進しながらカッタヘッドを回転駆動させることによってカッタヘッドで地山を掘削するトンネル掘削機において、
胴筒の前端側の周縁部に取付部を備え、
掘削対象の土質が軟弱土砂層のように崩落の危険がある場合には、胴筒の周面と対向するトンネル空洞部の内壁面に覆工部を形成するための型枠装置が前記取付部に取付可能であり、
掘削対象の土質が岩盤層のように崩落の危険が少ない場合には、カッタヘッドの周縁部の後端と胴筒の周縁部の前端との間に形成されたトンネル空洞部の内壁面に支保材を吹き付けて支保層を形成するための吹付けノズルが前記取付部に取付可能であることを特徴とするトンネル掘削機。 - 取付部が、胴筒の周縁部に近い前端部に、胴筒の周方向に沿って複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のトンネル掘削機。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のトンネル掘削機を用い、地山の土質に応じて、吹付けノズルによる支保層又は型枠装置による覆工部を選択して形成することを特徴とするトンネル施工方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のトンネル掘削機を用い、掘削対象の土質が岩盤層のように崩落の危険が少ない場合には、吹付けノズルによる支保層を形成し、掘削対象の土質が軟弱土砂層のように崩落の危険がある場合には、型枠装置による覆工部を形成することを特徴とするトンネル施工方法。
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