JP4762641B2 - トンネル掘削機 - Google Patents

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Description

本発明は、覆工装置を備えたトンネル掘削機に関する。
大深度、大土被りにおけるトンネル施工にあっては、トンネルの掘削後すみやかに支保工を施工する必要がある。支保工の一手段としてコンクリートを掘削内面に直打ちし、必要に応じその内側に鋼製の支保工を建て込む方法がある。従って、大深度、大土被りにおけるトンネルを掘削するトンネル掘削装置にあってはコンクリートを打設する装置が必要である。
また、ECL工法(Extruded Concrete Lining Method)による覆工方法を採用したトンネル掘削機として、泥土圧式シールド掘削機等が良く知られている(特許文献1参照)。これは、円筒状の掘削機本体の前面部に設けたカッタヘッドで地盤を掘削しつつ、掘進されたトンネルの内壁面を所定の間隔を空けて内型枠によって覆い、この内型枠と前記内壁面との間に適宜鉄筋を配置するなどして、直打ち(場所打ち)でコンクリートを打設し、その養生・硬化を待って覆工を行うものである。コンクリートの打設は、掘削機本体の移動方向に移動可能となっている妻型枠を通してなされるのが通常である。
以上のように、トンネル掘削機においては、コンクリートの打設装置を必要とするものがあるが、コンクリートを打設した場合には、打設したコンクリートを一定期間保持しておくための装置が更に必要となる。例えば、特許文献2では、リング状に組まれた可動プレートと掘削壁面との間にコンクリートを注入し、可動プレートを半径方向外側に移動してコンクリートを保持するようにしている。また、泥土圧式シールド掘削機等では、妻型枠をシリンダ駆動で駆動して打設されたコンクリートに押し付けるようにしている。
特開2001−173387号公報 特開2004−124697号公報
本発明は、トンネル掘削機におけるコンクリートの打設と保持をより簡素な装置で行なえるようにすることを目的としてなされたものである。
上記目的を達成する第1の発明(請求項1に対応)に係るトンネル掘削機は、掘削されたトンネルの内壁面とトンネル掘削機本体の外周面又は前記内壁面に沿って組み立てられた内型枠との間に覆工材を打設して覆工を行なうトンネル掘削機において、前記トンネル掘削機本体に固定して設けられた妻型枠と、前記妻型枠に装備され、前記トンネルの内壁面と前記トンネル掘削機本体との間又は前記トンネルの内壁面と前記内型枠との間に覆工材を供給する覆工装置とを備え、前記妻型枠は、前記トンネル掘削機本体に固定した固定妻型枠と、この固定妻型枠に対し前記トンネル掘削機本体の軸方向に平行な方向に移動可能な可動妻型枠とで構成され、前記可動妻型枠の後面に、前記覆工装置の覆工材吐出口が開口されているとともに、前記可動妻型枠の移動経路において、前記固定妻型枠に、前記覆工装置の覆工材吐出口が開口されていることを特徴とする。なお、覆工材としては、モルタル、コンクリートなどが使われる。
上記目的を達成する第の発明(請求項に対応)に係るトンネル掘削機は、第の発明に係るトンネル掘削機において、前記可動妻型枠の移動により前記覆工材吐出口が開閉されることを特徴とする。
第1の発明に係るトンネル掘削機によれば、トンネル掘削機本体に妻型枠を固定し、そこに覆工装置を装備したので、トンネル掘削機の簡略化が達成できる。覆工装置によるコンクリート、モルタルなどの覆工材の供給方向としては、例えば、トンネル掘削機の軸方向などが考えられる。
また、先に打設した覆工材が硬化した後、トンネル掘削機による掘削に伴って更に覆工材を供給する際には、可動妻型枠を固定妻型枠に対しトンネル掘削機前方に移動することにより、可動妻型枠と既設の覆工材との間に、新たな覆工材を注入するための隙間をつくることができ、覆工材の注入が可能となる。
また、可動妻型枠の後面に、覆工装置の覆工材吐出口を開口したので、可動妻型枠を移動させて形成した空間に直接覆工材を注入することができる。
また、固定妻型枠に覆工材吐出口を開口したので、構造がより簡素化される。つまり、移動する可動妻型枠に覆工材注入手段を接続する場合に比べて、覆工材を供給するホースなどの取り合いが容易かつ簡素化される。
の発明に係るトンネル掘削装置によれば、可動妻型枠の移動により、固定妻型枠に設けた覆工材の吐出口が開閉されるので、つまり可動妻型枠が塞止弁を兼ねるので、構造の簡素化が図れる。
以下、本発明に係るトンネル掘削機を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示すトンネル掘削機の概略断面図、図2はその正面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4はトンネル掘削機の後方から見た覆工装置の配置図、図5はその一部の拡大図、図6は図5におけるVI−VI矢視断面図、図7は状態を異にする図5と同じ個所の断面図、図8は図5におけるVIII−VIII矢視断面図、図9はその平面に沿う断面図、図10は状態を異にする図8と同じ個所の断面図、図11はその平面に沿う断面図である。
本実施例のトンネル掘削機は、特に、地盤の大深度領域(40〜50m)にトンネルを施工する際に用いられるものであり、例えば、周辺の掘削地盤が軟弱土砂層から硬質な岩盤層に変化しても、地盤掘削手段や土砂排出手段などのトンネル施工の仕様を一部変更するだけで、トンネル掘削機を交換することなく、継続してトンネルを施工可能としているものである。具体的には、一部の構成部品を変えることにより、トンネルボーリングマシンに変更することができるものである。
図1には、土圧式シールド掘削機の状態のトンネル掘削機を示す。土圧式シールド掘削機Aは円筒形状の掘削機本体11を有しており、掘削機本体11の前部にバルクヘッド12が設けられ、このバルクヘッド12には支持部材13により回転体14が回転自在に支持されている。回転体14には複数の連結ビーム15によりカッタヘッド16が連結されている。カッタヘッド16は、掘削機本体11の外径より若干大きく形成され、前面部に岩盤をせん断破壊するディスクカッタ17や軟弱地盤を掘削可能なカッタビット18が多数装着される。カッタヘッド16には、図2に示すように土砂取込開口部(土砂取込手段)19が形成されている。
回転体14の後部には、内歯を有するリングギヤ20が一体に固定される一方、支持部材13に複数のカッタ旋回モータ21が固定されており、このカッタ旋回モータ21の駆動ギヤ22がリングギヤ20に噛み合っている。
従って、カッタ旋回モータ21を駆動して駆動ギヤ22を回転駆動すると、この駆動ギヤ22が噛み合うリングギヤ20が回転し、このリングギヤ20と連結ビーム15を介して連結されたカッタヘッド16を旋回し、ディスクカッタ17やカッタビット18が地盤を掘削し、発生したずりを土砂取込開口部19から掘削機本体11の内部に取り込むことができる。
また、掘削機本体11の後部には支持フレーム23が固定されており、この支持フレーム23は既設トンネルのほぼ中心部を後方に延出され、後端部にこの支持フレーム23を水平状態に維持する図示しないシュージャッキが装着されている。そして、掘削機本体11の後方にて、リヤグリッパ24が支持フレーム23に対して前後移動自在に設けられており、このリヤグリッパ24は、図示はしていないが、グリッパジャッキによって既設トンネルの壁面に圧接して位置保持する一対のグリッパシューを有している。
そして、掘削機本体11とこのリヤグリッパ24との間には推進ジャッキとして、油圧の給排によって伸縮作動する複数本のスラストジャッキ25が架設されている。従って、各スラストジャッキ25を伸縮駆動することで、掘削機本体11とリヤグリッパ24と相対位置を変更することができ、また、左右のスラストジャッキ25の各作動ストロークを変えることで、カッタヘッド16を有する掘削機本体11を左右に屈曲してその掘進方向を変更することができる。
更に、カッタヘッド16と掘削機本体11のバルクヘッド12によりチャンバ26が形成されており、このバルクヘッド12のほぼ中央部にはコンベヤ取付孔27が形成されている。そして、掘削機本体11のほぼ中央部にはスクリューコンベヤ(土砂排出手段)28が前傾状態で配設されており、コンベヤ取付孔27にスクリューコンベヤ28の前端部が装着されると共に、蓋部材29が装着されている。
前述したように、本実施形態のトンネル掘削機は、軟弱土砂層を掘削可能な土圧式シールド掘削機Aから、岩盤層を掘削可能なトンネルボーリングマシンに仕様変更可能となっている。この場合、土圧式シールド掘削機Aとトンネルボーリングマシンとでは、取り扱う掘削土砂が異なるため、地盤掘削手段として、カッタヘッド16に形成された土砂取込開口部19の開口量を変更可能であると共に、土砂排出手段として、チャンバ26内に取り込まれた土砂をかき上げるバケットを出没自在としている。
即ち、カッタヘッド16にて、図1乃至図3に示すように、放射状に配設されたカッタスポーク16aの中央部には複数のディスクカッタ17が列設され、その両側には複数のカッタビット18が列設されており、このカッタスポーク16aと面板16bとの間にスリット形状をなす土砂取込開口部19が形成されている。そして、この土砂取込開口部19の面板16bにスリット開閉板30が支持軸31により回動自在に装着されると共に、開閉ジャッキ32により回動可能とされている。また、カッタヘッド16における面板16bの後部には、土砂かき上げ用バケット33が支持軸34により回動自在に装着されると共に、出没ジャッキ35により出没可能となっている。
従って、軟弱土砂層を掘削する土圧式シールド掘削機Aの仕様では、図3に示すように、開閉ジャッキ32によりスリット開閉板30を後方に回動して土砂取込開口部19の開口量(開口幅)を拡大すると共に、出没ジャッキ35によりバケット33を前方に回動して格納する。一方、岩盤層を掘削するトンネルボーリングマシンの仕様では、開閉ジャッキ32によりスリット開閉板30を、図3中、二点鎖線で示すように前方に回動して土砂取込開口部19の開口量(開口幅)を減少すると共に、出没ジャッキ35によりバケット33を後方に回動してチャンバ26内に突出させる。
また、図1に示す状態では、掘削機本体11内に、軟弱土砂層を掘削して発生した土砂を排出可能なスクリューコンベヤ28が装着されているが、トンネルボーリングマシンの仕様に対応するように、スクリューコンベヤ28に代えてベルトコンベヤが装着可能となっている。即ち、掘削機本体11からスクリューコンベヤ28を後方に取り外して解体すると共に、バルクヘッド12から前述した蓋部材29を取り外し、そして、掘削機本体11内にベルトコンベヤを搬入して所定の位置に配設し、その前端部をコンベヤ取付孔27を通してチャンバ26内に挿入して固定し、ここにホッパを装着可能としている。
この土圧式シールド掘削機Aは、フード部を直打ちライニングしてトンネル覆工を行なうための覆工装置51を有している。カッタヘッド16は、外径が掘削機本体11の外径よりも若干大きく形成されており、掘削機本体11の前端部にカッタヘッド16の後部に近接して、覆工装置51が設けられている。
カッタヘッド16の後部には、スキンプレート13が設けられている。このスキンプレート13は、掘削機本体11の一部をなすもので、バルクヘッド12に取り付けられている。図4、5に示すように、スキンプレート13の後端部には、妻型枠52が取り付けられている。妻型枠52は、掘削機本体1のスキンプレート13の後端部内周面に溶接などより固定されたリング状の固定妻型枠53と、この固定妻型枠53に設けられた複数(本実施例では12個)の弧状で扁平なシリンダ孔54と、シリンダ孔54内に、固定妻型枠54の軸方に移動可能に挿入された弧状で扁平な可動妻型枠55とからなる。固定妻型枠53の内面に、円筒状の掘削機本体11の端部が接続されている。つまり、固定妻型枠53は、スキンプレート13と掘削機本体11との連結部材といえる。なお、固定妻型枠53は、スキンプレート13に固定されているので、通常の妻型枠と異なりスキンプレート13との間のシールは不要であり、シール構造が簡略化される。
可動妻型枠55は、シリンダ孔54内をピストンの如く移動するようになっている。可動妻型枠55の背面55aの左右二箇所には、妻型枠ジャッキ57のロッド57aの先端の連結部材58が結合されている。連結部材58は、二つの部材58aと58bをピン59で結合して構成されている。妻型枠ジャッキ57は、その後部でスキンプレート13の内面にブラケット60を介して支持されている。図6は、妻型枠ジャッキ57が縮限(収縮端)にあり、可動妻型枠55が後退位置にある状態を示す。図7は、妻型枠ジャッキ57が伸限(伸長端)にあり、可動妻型枠55が前進位置にある状態を示す。図7に示すように、可動妻型枠55が前進位置に来ると、可動妻型枠55の前面55bと固定妻型枠53の前面53aとが同一面となり、完全にリング状をなす面でコンクリートを押圧することができるようになっている。なお、可動妻型枠55の外周面には、ゴム製等のシール部材61が二つ設けられており、可動妻型枠55と固定妻型枠53との間からの浸水を防ぐようにしている。このシール構造は、可動妻型枠55の周面にOリングのようなシール材を設けるだけの、簡単なもので足りる。
妻型枠装置51の可動妻型枠55には、コンクリート打設装置71のコンクリート打設管72が結合されている。可動妻型枠55における、二つの妻型枠ジャッキ57の連結部材58が接続する個所より内側の位置に、覆工材吐出口として、二つのコンクリート打設孔73が可動妻型枠55を前後に貫通して設けられ、これらのコンクリート打設孔73にコンクリート打設管72がそれぞれ挿入され、結合されている。コンクリート打設管72の可動妻型枠55への結合は、コンクリート打設管72の外周に設けられた取付板74を可動妻型枠55の背面55aに取り付けることによりなされている。
前記コンクリート打設管72は、図9〜11図に示すように、直管部72aとその途中に接続する分岐管部72bとからなるY管状に形成され、直管部72aの先端部分が前述の如く可動妻型枠55に結合されている。そして、分岐管部72bにはコンクリート打設配管75が着脱自在にフランジ結合されている。コンクリート打設配管75は、掘削機本体11内に設置されたコンクリート供給源にパワーユニットを介して連通される。なお、図10においては、分岐管部72bの直管部72aとの連通部分72cが表れている。
コンクリート打設管72の直管部72aには、直管部72aと分岐管部72bとを連通し又は遮断する塞止弁装置81が結合されている。塞止弁装置81は、直管部72aの端部に接続する連結管82と、連結管82に接続する塞止弁ジャッキ83と、塞止弁ジャッキ83のピストンロッドに83aに結合され、連結管82及びコンクリート打設管72の直管部72a内を移動可能な棒状の塞止弁体84とからなる。
塞止弁体84は、先端の第1パッキン85と、第1パッキン85に続いて設けられた第1パイプ部86と、第1パイプ部86に続いて設けられた第2パッキン87と、第2パッキン87に続いて設けられかつピストンロッド83aの先端部に結合されている第2パイプ88等からなる。第1パッキン85は、塞止弁体84とコンクリート打設孔72との間をシールし、第2パッキン87は、コンクリート打設管72の直管部72aと分岐管部72bとの間、つまり連通部分72cを遮断又は開く機能をなす。
塞止弁装置81の連結管82は、スキンプレート13に設けられた支持ガイド89により、軸方向に移動可能に支持されている。つまり、塞止弁装置81全体が軸方向に移動可動となっているのである。塞止弁装置81及びコンクリート打設管72と前記妻型枠ジャッキ57の連結部材58とは連結され、一体となっている。つまり、妻型枠ジャッキ57により移動される可動妻型枠55と一緒にコンクリート打設管72、塞止弁装置81も移動するようになっているのである。
図8、9には、可動妻型枠55と共に、コンクリート打設管72、塞止弁装置81が固定妻型枠53のシリンダ孔54内で後退している状態を示す。このとき、塞止弁ジャッキ83は伸限(伸長端)にあり、直管部72aと分岐管部72bとは第2パッキン88により遮断されている。図10、11は、可動妻型枠55と共に、コンクリート打設管72、塞止弁装置81がシリンダ孔54内で前進している状態を示す。また、塞止弁ジャッキ83は縮限(収縮端)にあり、直管部72aと分岐管部72bとは連通状態にある。
固定妻型枠53における各シリンダ孔54間には、固定妻型枠53を貫通するコンクリート打設孔91がそれぞれあけられている。これらのコンクリート打設孔91にも、図8〜11に示したのと同様のコンクリート打設管が接続されている。ただし、これらのコンクリート打設管は移動する必要がなく、固定妻型枠53に固定されている。なお、コンクリート打設孔91は、可動妻型枠55側のコンクリート打設孔73と合わせて、円周方向に均等な間隔で設けるのが望ましい。
なお、図1に示すように、掘削機本体11の後端部には旋回リング95が駆動旋回自在に支持され、この旋回リング95に、コンクリートの打設によって形成されたコンクリート覆工部の内面に更にセメントを吹き付けて塗装する吹付装置96が装着されると共に、このコンクリート覆工部の内周面にH形鋼等の支保工(またはセグメント)Hをリング状に組立てるエレクタ装置97が装着されている。
次に、上述したトンネル掘削機によるトンネル構築作業について説明する。ここでは、軟弱土砂層でのトンネル構築作業について説明する。
図1乃至図3に示すように、作業者は機内から各種機器を遠隔操作し、開閉ジャッキ32によりスリット開閉板30を、図3中実線で示すように後方に回動して土砂取込開口部19を拡大すると共に、出没ジャッキ35によりバケット33を、図3中実線で示すように前方に回動して格納し、また、掘削機本体11内にスクリューコンベヤ28を装着する。
図1に示すように、リヤグリッパ24を立坑又は既設のトンネルの反力受けに圧接して位置保持した状態で、カッタ旋回モータ21によってカッタヘッド16を駆動回転させながら、各スラストジャッキ25を伸長し、リヤグリッパ24を介して掘削反力を得て掘削機本体11を前進させる。カッタヘッド16により前方の地山が掘削され、掘削機本体11よりも若干大きい径のトンネル(内壁面Ga)が形成される。
そして、各スラストジャッキ25が所定のストローク伸長することにより、カッタヘッド16が所定長さのトンネルを掘削すると、リヤグリッパ24による位置保持を解除して各スラストジャッキ25を収縮し、掘削機本体11に対してリヤグリッパ24を前方に引き寄せる。そして、リヤグリッパ24を既設トンネルの内壁面に位置保持し、カッタヘッド16を回転駆動しながらスラストジャッキ25を伸長し、掘削機本体11を前進してカッタヘッド16により前方の地盤を掘削する。一方、カッタヘッド16によって掘削された土砂は大きく開口した土砂取込開口部19を通してチャンバ26内に取り込まれる。この軟弱土砂をチャンバ26に充満させて切羽の安定を確保しながら、適量の土砂をスクリューコンベヤ28によって外部に排出する。
このカッタヘッド16による地盤掘削時に、その直後では、掘削機本体11の外周面と掘削地山Gの内壁面Gaとの間の空間Eにコンクリートを注入して締め固めることで、コンクリート覆工を行う。
図7及び図10、11に示すように、覆工装置51の妻型枠ジャッキ57が伸びて、可動妻型枠55はシリンダ孔54の前端に位置し、可動妻型枠55の前面55bは固定妻型枠53の前面53aと同一面となる。また、塞止弁装置81の塞止弁装置のジャッキ83は縮限位置に来、ピストンロッド83aと共に塞止弁体84は後退し、コンクリート打設管72の直管部72aと分岐管部72bとは連通する。従って、コンクリート打設配管75を経て送給されたコンクリートは、分岐管部72bと直管部72aを通ってコンクリート打設空間Eに供給される。固定妻型枠53のコンクリート打設孔91に接続されているコンクリート打設管にも同様にコンクリートが送られ、コンクリート打設空間Eに供給される。このように、可動妻型枠55のコンクリート打設孔73及び固定妻型枠53のコンクリート打設孔91の両方より生コンクリートを打ち込むことにより、コンクリート打設空間E内には隅々まで生コンクリートが充填される。
コンクリート打設空間Eに充填されたコンクリートの端部は、掘削機本体11に固定されている固定妻型枠53と、妻型枠ジャッキ57により伸び側に作動されている可動妻型枠55とにより押圧され、打設されたコンクリートCは締め固められる。勿論、固定妻型枠53の内側は、スキンプレート13に溶接などにより固定されているので、固定妻型枠53とスキムプレート13との間からコンクリートが漏れたり浸水したりすることはない。可動妻型枠55と固定妻型枠53との間はシール部材61によりシールされる。
コンクリートの打設後、所定時間が経過すると、コンクリートが養生・硬化してトンネル構造体が構築される。
一部分のトンネル構造体が構築されると、掘削が再開され、それに伴ってコンクリートの打設が行なわれるが、コンクリート打設孔73、91の出口側には硬化したコンクリートが密着しているので、コンクリートを供給することができない。そのため、図6に示すように、妻型枠ジャッキ57を縮める方向に作動させて、可動妻型枠55を後退させ、可動妻型枠55の前方に空間eを作る。空間eを作ることによりコンクリートの注入が可能となる。
つまり、掘削再開直後は、可動妻型枠55に接続されているコンクリート打設管72を通してのみコンクリートが打設されて行く。掘削が進み、固定妻型枠53と既設のコンクリートとの間に隙間ができると、固定妻型枠53のコンクリート打設孔91からもコンクリートを供給することができる。
所定距離まで掘削が進んだらトンネル掘削機を停止し、コンクリートの養生・硬化を行うのであるが、それに先立ち、妻型枠ジャッキ57を伸長作動し、可動妻型枠55を図6の後退状態から図7の前進位置に移動し、空間e内のコンクリートを空間E側に押し出すと共に、コンクリート打設空間E内のコンクリートに圧力を加える。コンクリート打設装置71においても、塞止弁ジャッキ83を伸長作動し、塞止弁体84により直管部72a内のコンクリートを前方空間Eに押し出す。
以上の動作を繰り返すことによりトンネルを順次構築して行く。
掘削を進めながらコンクリート打設空間Eにコンクリートを打設していく際、妻型枠が従来のもののように動かなくても何ら問題はない。掘削機本体11の進行とコンクリートの充填量のバランスを取ることにより、スキンプレート13に固定された妻型枠52によりコンクリートに圧力をかけながら、適切な打設を行なうことができるからである。
本実施例において、妻型枠ジャッキ57は容易に外すことができるようになっている。妻型枠ジャッキ57の後部をブラケット60から外し、かつロッド58aと58bとをつないでいるピン59を抜けば、妻型枠ジャッキ57をスキンプレート13及び可動妻型枠55から分離できる。よって、妻型枠ジャッキ57のメンテナンス等は容易となる。
コンクリート打設装置71の洗浄の際には、塞止弁装置81の塞止弁ジャッキ83が伸び、塞止弁体84の前進によりコンクリート打設管72の直管部72aと分岐管部72bとの連通が第2パッキン87により遮断されると共に、直管部72a内の残留コンクリートが塞止弁体84の先端の第1パッキン85により押し出される。
本発明は上記実施例の構造に限らず、種々の形で実施される。例えば、可動妻型枠は、本実施例では12個設けているが、これをもっと少なく二つくらいにすることも可能である。その場合には、一つの可動妻型枠を移動させるために可動妻型枠に連結される妻型枠ジャッキの数も増え、可動妻型枠に接続されるコンクリート打設管の数も増えるが、妻型枠自体の構成は簡素化される。
図12〜16には、他の実施例に係る覆工装置101を示す。図12は、覆工装置101を後方から見た状態の部分図であり、図13はそのトンネル掘削機の軸方向に沿う断面図、図14は、状態を異にする図13と同じ部分の断面図、図15は、図13の状態における覆工装置101の平面に沿う断面図、図16は、図14の状態における覆工装置101の平面に沿う断面図である。
スキンプレート13の後端と掘削機本体11の先端との間に妻型枠102が設けられている。妻型枠102は、スキンプレーと13に固定されている環状の固定妻型枠103と、この固定妻型枠103に、円周方向に沿って設けられた多数の扁平な筒体(シリンダ)104と、筒体104内に掘削機本体11の軸方向に移動可能に設けられた可動妻型枠105とからなっている。筒体104は、実施例1におけるシリンダ孔54と異なり表裏面が平坦面となっている。つまり、数を増やすことにより湾曲面をなくし、製作の容易化を図っている。筒体104の内側面(掘削機本体11の内側を向く面)には、覆工材吐出口としてコンクリート打設孔106aがあけられ、ここにコンクリート打設管106が接続されている。なお、筒体104には、掘削機本体11の外周面11aに滑材を供給するための滑材注入管107も接続される。
筒体104のトンネル掘削機前方側の端面は、閉止部材108により塞がれており、閉止部材108には、二本の妻型枠ジャッキ109が取り付けられ、そのピストンロッド110は、ブラケット111を介して可動妻型枠105の背面に結合されている。従って、妻型枠ジャッキ109の駆動によりピストンロッド110が伸縮することにより、可動妻型枠105は筒体104内で往復移動される。ピストンロッド110が縮んで可動妻型枠105が後退位置にあるときには、図15に示すように、コンクリート打設孔106aは開放される。ピストンロッド110が伸びて可動妻型枠105が前進位置にあるときには、図16に示すように、コンクリート打設孔106aは閉鎖される。つまり、可動妻型枠105は、コンクリート打設管106の塞止弁としても機能しているのである。
この実施例では、コンクリート打設管106を掘削機本体11内に放射状に配するので、スキンプレート13の内側にスペースがとれない場合などに有効である。
次に、この実施例に係る覆工装置101によるコンクリートの覆工作業について説明する。
掘削機本体11の外周面11aと掘削地山Gの内壁面Gaとの間の空間EにコンクリートCが注入された状態では、可動妻型枠105はその前進位置にあり、図16に示すように、固定妻型枠103の後端面103aと可動妻型枠105の前面105aとが面一となる。つまり、空間Eに充填されたコンクリートCは、固定妻型枠103と可動妻型枠105とにより押されて保持されるのである。その際、妻型枠ジャッキ108により、可動妻型枠105を介してコンクリートCに後方向きの力をかけることにより、コンクリートCを強固に固化させることができる。
コンクリートCが固化し、内壁面Gaにリング状をなすコンクリート覆工部が形成されたら、掘進を再開する。その際には、先ず妻型枠ジャッキ109を駆動して、ピストンロッド110を縮め、可動妻型枠105を図13、15に示す位置に後退させる。可動妻型枠105を後退させることにより、筒体104の打設孔106aが開口されると共に、可動妻型枠106の前方に、コンクリートCaを注入できる空間eができる。つまり、掘削の再開直後からコンクリートCaを供給することができるのである。なお、コンクリートCaの打設に先立ち、滑材注入管107より掘削機本体11の外周面11aの表面に滑材を供給しておく。滑材は、打設コンクリートの固化後、トンネル掘削機が移動する際、掘削機本体11の外周面と固化したコンクリートCとの間の摩擦を軽減する。
所定距離の掘削が進んだらシールド掘削機Aを停止し、コンクリートCの締め固めを行なうのであるが、それに先立ち、妻型枠ジャッキ109を伸長駆動して、可動妻型枠105を図14、15に示す前進位置に移動し、空間e内のコンクリートCaを空間E側に押し出すと共に、空間E内のコンクリートCに圧力を加え、コンクリートCを締め固める。
以上の動作を繰り返すことによりトンネルを順次構築して行く。
この第2の実施例のものにあっては、実施例1のものと異なり、可動妻型枠105を駆動する駆動手段とコンクリート打設管106の塞止弁の開閉手段とが共用されているので、構造の簡素化が更に進められている。
上記実施例1及び実施例2の構造は、そのままECL工法に適用されるトンネル掘削機に適用される。つまり、掘削機本体(スキンプレート)の後部に実施例1又は2に示した覆工装置51又は101を組み付けることができる。図17には、その適用例を示す。この図は、図7に相当する図で、覆工装置51が、スキンプレート13の後部に設けられている。覆工装置51は、トンネルの内壁面Gaと、このトンネル内壁面Gaと所定の間隔をあけて周方向にリング状に組み立てられた内型枠Sとの間にコンクリートを充填する。固定妻型枠53の内周面には、この内周面と内型枠Sの外周面との間をシールするための、ステンレスなどの金属製のテールパッキン(ブラシ)120が全周に渡って装着される。そのほかの構成は、図4〜11に示した実施例と同じである。
本発明に係るトンネル掘削機は、泥土圧式シールド掘削機、泥水式シールド掘削機、機械式シールド掘削機やトンネルボーリングマシーン(TBM)等に適用できる。
本発明の一実施例を示すトンネル掘削機の概略断面図である。 図1に示すトンネル掘削機の正面図である。 スリット開閉板及びバケットを表す図2のIII−III矢視断面図である。 図1のトンネル掘削機の後方から見た覆工装置の全体配置図である。 図4の一部の拡大図である。 図5におけるVI−VI矢視断面図である。 状態を異にする図6と同じ個所の断面図である。 図5におけるVIII−VIII矢視断面図である。 図7の平面に沿う断面図である。 状態を異にする図8と同じ個所の断面図である。 図10の平面に沿う断面図である。 他の実施例における覆工装置の、トンネル掘削機の後方から見た部分配置図である。 図12中のXIII−XIII矢視断面図である。 状態を異にする図13と同じ箇所の断面図である。 図13の状態における覆工装置の平面に沿う断面図である。 図14の状態における覆工装置の平面に沿う断面図である。 更に他の実施例における覆工装置の、図6と同じ状態の断面図である。
符号の説明
11 掘削機本体
12 バルクヘッド
13 スキンプレート
16 カッタヘッド
24 リヤグリッパ
25 スラストジャッキ
28 スクリューコンベヤ
51 覆工装置
52 妻型枠
53 固定妻型枠
54 シリンダ孔
55 可動妻型枠
57 妻型枠ジャッキ
71 コンクリート打設装置
72 コンクリート打設管
73 コンクリート打設孔
75 コンクリート打設配管
81 塞止弁装置
82 連結管
83 塞止弁ジャッキ
84 塞止弁体
91 コンクリート打設孔
101 覆工装置
102 妻型枠
103 固定妻型枠
104 筒体
105 可動妻型枠
106 コンクリート打設管
106a コンクリート打設孔
109 妻型枠ジャッキ

Claims (2)

  1. 掘削されたトンネルの内壁面とトンネル掘削機本体の外周面又は前記内壁面に沿って組み立てられた内型枠との間に覆工材を打設して覆工を行なうトンネル掘削機において、
    前記トンネル掘削機本体に固定して設けられた妻型枠と、
    前記妻型枠に装備され、前記トンネルの内壁面と前記トンネル掘削機本体との間又は前記トンネルの内壁面と前記内型枠との間に覆工材を供給する覆工装置とを備え、
    前記妻型枠は、前記トンネル掘削機本体に固定した固定妻型枠と、この固定妻型枠に対し前記トンネル掘削機本体の軸方向に平行な方向に移動可能な可動妻型枠とで構成され、
    前記可動妻型枠の後面に、前記覆工装置の覆工材吐出口が開口されているとともに、前記可動妻型枠の移動経路において、前記固定妻型枠に、前記覆工装置の覆工材吐出口が開口されていることを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 前記可動妻型枠の移動により前記固定妻型枠の覆工材吐出口が開閉されることを特徴とする請求項に記載のトンネル掘削機。
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