JP3332503B2 - 改善されたインク吐出口面を備えたインクジェットヘッド、該インクジェットを備えたインクジェット装置及び該インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

改善されたインク吐出口面を備えたインクジェットヘッド、該インクジェットを備えたインクジェット装置及び該インクジェットヘッドの製造方法

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JP3332503B2
JP3332503B2 JP25998193A JP25998193A JP3332503B2 JP 3332503 B2 JP3332503 B2 JP 3332503B2 JP 25998193 A JP25998193 A JP 25998193A JP 25998193 A JP25998193 A JP 25998193A JP 3332503 B2 JP3332503 B2 JP 3332503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常時安定したインクの
吐出状態を達成できる改善された吐出口面を備えたイン
クジェットヘッドに関する。また本発明は該改善された
吐出口面を備えたインクジェットヘッドを備えたインク
ジェット装置に関する。さらに本発明は改善された吐出
口面を備えたインクジェットヘッドの製造方法を包含す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、現在知られ
ている各種記録方式の中でも、記録時に騒音の発生がほ
とんどないノンインパクト記録方式であって、かつ、高
速記録が可能であるなどの点で注目を集める有効な記録
方式であると評価され一般に使用されている。
【0003】ところで、このようなインクジェット記録
方式においては、熱を利用し、インクに膜沸騰を生起さ
せることで吐出口からインクを吐出させる形態を採用す
るものがあり、このような熱を利用するインクジェット
記録方式がインクの吐出方向の安定性の観点から好まし
い記録方式である。
【0004】ところが、実際に記録を実行した場合、記
録信号に応答して吐出される主たるインク滴に付随し
て、該主たるインク滴に遅れて吐出口から飛翔する微小
インクが発生する場合がある。また、主たるインク滴が
記録紙に着弾した場合、着弾の際にインクが跳返る現象
が生じ極めて微細なインクの滴が記録領域中に発生する
場合もある。こうした微小インク(以下、インクミスト
と呼ぶことがある。)が発生するとインクジェットヘッ
ドの吐出口面に付着し、インクの液溜りが生じることが
しばしばある。こうした液溜りの発生は、吐出口からの
インク滴の吐出を不安定にしたり、インクの不吐出を引
き起こす等の問題の発生につながることが知られてい
る。
【0005】従来、こうした問題を解決するために、特
願平4−211959号に開示されるように吐出口が設
けられた吐出口面に撥水処理を施すことが行われてい
た。図1は、従来の撥水処理が施されたインクジェット
ヘッドの吐出口面を模式的に示している。図1におい
て、101は撥水膜、102はインク供給口、103は
ノズル・液室・流路・ノズル形成面を一体成形により作
り上げた溝付天板、104は吐出口、104aは吐出口
が設けられた吐出口面、105はインクを吐出口から吐
出させるための素子を有する基板である。撥水膜1は、
図1では吐出口面4aのほぼ全面に形成されている。
【0006】このように吐出口面104aのほぼ全面に
撥水膜101を形成した場合、吐出口の周辺部分におけ
るインクの滞留が少なくなり、前述したインクの不安定
吐出等の問題はある程度改善される。しかし、連続した
長期間の、高周波駆動で、高印字スピードで、高デュー
ティーで、記録を実行する場合には、発生するインクミ
ストの量が多く、吐出口面にインクの滴が次第に滞留す
るようになる。
【0007】従来においては、インクミストが吐出口面
に付着することによるインク吐出状態の劣化については
前述のように認識されてはいるが、吐出口面に付着した
インクミストがどのようにしてインク吐出状態の変化を
もたらすかについては十分に認識されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以下に、吐出口面に付
着したインクミストがどのようにしてインク吐出状態の
変化をもたらすかを簡略に説明する。
【0009】図1の様にノズル形成面のほぼ全面に撥水
処理を行った構成では、インクミストは吐出口から離れ
た領域に次第に多く付着する傾向にあることが発明者等
の検討の結果わかった。例えば、吐出口から約500μ
mから1mm程度離れた領域では直径が300μmから
500μm程度に大型に成長したインクミスト集合体が
多数存在する。撥水領域では水(インク)に対する接触
角が大きいために流動性が大きく(水に対する接触角が
80度を越えると一層顕著なものとなる。)、このよう
に大型に成長したインクミストは、特に、記録ヘッド自
体を記録がなされる領域を往復走査させる装置構成の場
合、往復動から生ずる慣性力をきっかけとしてあるいは
自重によって容易に移動しはじめ、ついに吐出口に到達
することになり、このように成長したインクミストは部
分的に対応する1〜2ノズルの吐出口に引き込まれ不吐
を発生させる現象を生じた。
【0010】一方、吐出口面における表面処理の形態の
ひとつとして、米国特許第5121134号には、1つの吐出
口の周縁を良好な溶剤湿潤性をもつ領域部分(いわゆる
親水領域)とし、良好な溶剤湿潤性をもつ各吐出口間を
溶剤非湿潤性をもつ領域部分(いわゆる撥水領域)で分
断する構成のインクジェットヘッドの吐出口面の形態が
開示されている。さらに、この公報にはノズル周囲のノ
ズルプレート面が環状に溶剤非湿潤性をもつ領域とさ
れ、残りの部分が溶剤湿潤性をもつ領域とされているイ
ンクジェットヘッドの吐出口面の形態も開示されてい
る。
【0011】このような形態のインクジェットヘッドで
は例えば、吐出口周縁の撥水領域部分に付着したインク
ミストが集合化して、直径約50μmから100μm程
度に成長した場合、撥水領域の水に対する接触角が大き
いために流動性を増しながら、吐出口間を分断する親水
領域に達する。そしてこの領域においてインクミストを
更に捲き込み一層大型化したインク滴は、さらに流動性
を増大させ、隣接した吐出口周縁の撥水領域部分を乗り
越えついには吐出口に到達してしまう。
【0012】また、吐出口面のインクミストの大型化
は、キャッピングを施すことによって一層助長されるこ
とになる。つまり、インクミストが付着している吐出口
面にキャップが当接するとキャップの縁を伝って比較的
小さなインクミストが集合し大型化することになる。
【0013】このように大型になったインク滴は、キャ
ップが離間するときに吐出口面に残るが、極めて大型で
あるため容易に吐出口面を移動して吐出口に到達してし
まい、吐出口内に引き込まれ不吐出を発生させる現象を
生じる。
【0014】本発明は従来技術における上述した課題を
解決し、改善された吐出口面を備えたインクジェットヘ
ッドを提供することを目的とする。
【0015】本発明の他の目的は、長期の連続したイン
ク吐出状態でありながらクリーニング部材による吐出口
面のクリーニング回数を極めて少なく抑制してもインク
の吐出状態を安定化させることができるインクジェット
ヘッドを提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、吐出口面に付着した
インクミストを実質的に不動態化することができるイン
クジェットヘッドを提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、吐出口面に生じたイ
ンクミストをキャッピング手段を吐出口面に接触させる
際、移動状態にならないような合体状態に移行せしめ、
キャッピング手段を吐出口面から離す際吐出口面に残存
したインク滴に実質的に不動状態化できるインクジェッ
トヘッドを提供することにある。
【0018】また、本発明の他の目的は上述のインクジ
ェットヘッドを備えたインクジェット装置を提供するこ
とにある。
【0019】さらに、本発明の他の目的は上述のインク
ジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、本発明者等が実験を介して鋭意検討を行った結果
に基づいて完成に至ったものである。
【0021】即ち、インクジェットヘッドの吐出口面に
対し、複数の吐出口を備えた領域を含む中央撥水領域
と、前記複数の吐出口から所定距離離れた箇所で、前記
中央撥水領域の少なくとも一方側に、間欠的に複数の親
水部分と、が設けられた構造で構成されている。このよ
うな構造を少なくとも備えることで、吐出口近傍に付着
したインクミストを親水領域に移動させてしまい吐出口
の周囲からインクミストの存在を除去するとともに、吐
出口面に付着したインクミストの成長を抑制することが
できるとの知見を得るに至った。本発明はこの知見に基
づき完成に至ったものである。
【0022】本発明は、オンデマンドタイプのインクジ
ェット方式の1つであるバブルジェット方式や別の1つ
であるピエゾ方式に使用されるヘッド、コンティニュア
スタイプのインクジェット方式のヘッド、及び静電吸引
タイプのインクジェット方式のヘッドのいずれにも適用
できる。これらのヘッドは少なくとも、インクを吐出す
る吐出口と、吐出口に連通したインク流路と、インク流
路内に設けられたインクの吐出を生起させるエネルギー
を発生するエネルギー発生素子とを備えている。いずれ
の場合においても吐出口面の吐出口から所定距離隔てた
領域に、間欠的に複数の親水領域を少なくとも備えるこ
とが重要である。
【0023】
【0024】本発明により提供されるインクジェットヘ
ッドの代表的な第1の態様は、前記吐出口面に、前記複
数の吐出口を備えた領域を含む中央撥水領域と、前記複
数の吐出口から所定距離離れた箇所で、前記中央撥水領
域の少なくとも一方側に、間欠的に複数の親水部分が設
けられた部分親水領域と、を有することを特徴とする。
【0025】また、本発明により提供されるインクジェ
ットヘッドの代表的な第2の態様は、吐出口面に設けら
れた吐出口周囲近傍域に中央撥水領域を備え、吐出口形
成面の吐出口から遠ざかる方向で中央撥水領域に隣接し
た主たる親水領域と、前記吐出口形成面の前記吐出口か
ら遠ざかる方向で該主たる親水領域に隣接し多数の親水
領域を部分的に点在して有する部分親水領域と、を有す
ることを特徴とする。
【0026】親水領域を吐出口から所定距離離れた領域
であって、前記中央撥水領域に隣接した領域中に設ける
ことで、吐出口周囲のインクミストが大型に成長するま
えに親水領域にインクミストを引き込み捕獲することが
できる。また、吐出口に対して吐出口面を移動するイン
ク滴があっても親水領域に捕獲されるため直接吐出口に
対してインク滴が吐出口面を移動して到達することがな
くなりインク滴の影響が及ばなくなる。
【0027】また、親水部分を点在させた領域を備えた
ことによって、微小な親水部分に依るインク分離効果か
ら吐出口面に付着したインク滴を集合化させることがな
い。また、滴径の大きなインク滴を点在させた親水部分
によって分割でき、しかも親水部分でインク滴を捕獲で
きるため吐出口にむかうインク滴の移動を抑制すること
ができ、記録不良の発生を防止することができる。
【0028】本発明の親水部分を点在させた領域では、
吐出口面に存在するインクミストを大径のインク滴に成
長する途中の過程で親水部分内に取り込むように作用す
る、あるいはすでに大径となったインク滴を親水部分で
分割して取り込み保持するように作用させることから、
隣接する点在親水領域の間隔を少なくとも大径のインク
滴を分散できる間隔に配置することが好ましい。したが
って、点在する親水領域の間隔は、吐出口面に付着した
インク滴が容易に移動を行う滴径に相当する500μm
程度以下の間隔とする。点在する親水領域の間隔は、よ
り好ましくは数μmから300μm程度、さらに好まし
くは65〜200μm程度の範囲が好ましい。これは、
インク滴が移動しはじめる状態になる最小インク滴径が
約100μm程度であるため、この程度の滴径を有する
インク滴を良好に親水部分内に取り込むことができる
か、あるいは親水部分で分割できるようにするためであ
る。
【0029】以下、吐出口面におけるインクミストの発
生及び成長について説明し、前述の数値範囲が適当であ
ることを説明する。
【0030】インクミストは、記録のために記録紙対向
面を走査されるインクジェットヘッドのインク吐出口か
ら吐出されたインクが記録紙に着弾した際にその衝撃に
よって着弾インクの一部が跳ね返ることによって発生す
る微小な霧状のインクが代表的なものである。(この他
にはインク吐出口から吐出された主たるインク滴に伴っ
て飛散する微小なインクもある。)このようにして発生
したインクミストは記録紙へのインクの着弾から僅かな
タイムラグをもってインクジェットヘッド側に飛散して
くる。このときインクジェットヘッドはすでに次のイン
クを吐出するために走査移動している。したがって、イ
ンクミストは吐出口の近傍から離れた吐出口面に付着す
ることになる。したがって、このようにインクミストが
付着する領域やインク滴の成長が見られる領域は、本発
明者等の検討によれば吐出口から約800μmから1.
5mm程度離れた領域であった。
【0031】ここで、図1に示されるような吐出口面全
面を撥水処理したインクジェットヘッドを用いて所定の
印字を実行した後のインクジェットヘッドの吐出口面の
様子を顕微鏡による目視観察した結果を説明する。な
お、いずれの場合も記録の途中には吐出口面のクリーニ
ングは行っていない。
【0032】まず、所定の印字を実行したところ、吐出
口面に付着したインク滴は滴径が50μm程度のもので
あり、吐出口面に対してほぼ均等に分布している状態で
あった。
【0033】次に、さらに所定の印字を実行した後、吐
出口面を観察したところ、吐出口面に均等に分布してい
た滴径が50μm程度のインクミストが減少し、それよ
りも大径の約100μm程度の滴径のインク滴が不均一
に存在するようになっていた。これは記録を続行するこ
とでインクミストがさらに吐出口面に付着するととも
に、隣接するインクミストとの間で合体が始まることで
吐出口面に付着したインクの移動が生じインク滴の分布
が不均一になったものと考えられる。したがって、10
0μm程度のインク滴径が吐出口面を移動する最小滴径
であると判断される。
【0034】さらに所定の印字を実行すると、インクミ
スト及びインク滴は吐出口面でさらに合体し、滴径が3
00〜400μm程度のインク滴になっていた。この程
度のインク滴径は、移動の範囲も広くなり、さらに周囲
のインク滴やインクミストを合体させやすい状況にあ
る。さらに印字を実行したところインク滴径はさらに大
きくなり、500μm程度の滴径のインク滴になってい
た。この程度のインク滴になるとさらに広範囲に移動す
るところとなり、吐出口の近傍までインク滴が到達する
場合があり、ときとして吐出口のいくつかにインク滴が
入り込むことが判明した。
【0035】以上で得られた実験結果に基づいて、従来
のインクジェットヘッドの吐出口面における付着インク
ミストの挙動を図2を用いて説明する。全面に撥水処理
が施された吐出口面に付着した滴径約50〜100μm
程度のインクミスト21は、記録が続行されるに従い、
あらたに飛散してくるインクミストや周辺のインクを吸
収しながら徐々に成長しインク滴径を大きくし、吐出口
面を移動するようになり、500μm程度の付着インク
滴22になる。この500μm程度の付着インク滴22
が吐出口面を移動し吐出口20の周辺領域に存在するよ
うになると、インクジェットヘッドの往復走査のリター
ン時の慣性力でインク滴が容易に吐出口20に至ってし
まう。とくに、吐出口から1.5mm程度離れた領域に
存在するインク滴が吐出口近傍にまで移動した場合に
は、移動の過程でそのインク滴径は一層成長して600
μm〜1mm程度にまでに成長することになり、吐出口
を閉鎖してしまう割合は一層高くなる。
【0036】また、成長したインク滴が存在する吐出口
面に対してキャッピングを行う場合、吐出口面のキャッ
プの当接領域24に対して、インクが強制的に集約され
23で示すような極めて大きなインク集合体が形成され
てしまう。いったんこれが形成されてしまうと、キャッ
プを吐出口面から離間させることで即座にインク集合体
は吐出口側に移動してしまうことが見られた。
【0037】本発明によれば、親水領域を吐出口の配列
方向に沿って設けているため、吐出口面を吐出口に向か
って移動してくるインク滴を親水領域に引き込み捕獲す
ることができる。また、島状の親水領域は、その分布に
よって吐出口面に存在するインク滴径を100μm程度
以下に維持するとともに、大きな径のインク滴を100
μm以下に分割できる。さらに吐出口面に付着するイン
ク滴が吐出口に至らないようにインク滴を捕獲すること
もできる。
【0038】
【実施例】以上の説明を踏まえた上で、図3に基づき本
発明が適用される吐出口面の代表的な一例を説明する。
図3は、吐出口面のほぼ中央領域に口径約30μmの吐
出口Dが一定の配列密度で間欠的に複数配列しており、
その周囲近傍は撥水処理が施された中央撥水領域Eとさ
れている。そして、複数の吐出口列Dから所定距離Hだ
け隔てて中央撥水領域Eに隣接し且つ吐出口列に沿って
両側には、第1、第2の溝状親水領域C1,C2が幅W
にわたって設けられている。また、その外側には撥水領
域中に島状親水溝を間欠的に複数設けた第1、第2外部
親水領域B1、B2が設けられている。
【0039】上記第1、2の溝状親水領域C1,C2
は、吐出口からの離間距離Hを約35〜110μm、幅
Wを100μm〜400μmとして設けられている。こ
の第1、2の溝状親水領域C1,C2は、帯状の溝とし
て構成されており、吐出口面の外側から移動してくるイ
ンクを溝内に捕獲して吐出口に対して至らしめないよう
に機能している。
【0040】また、第1、第2外部親水領域B1、B2
は吐出口Dの縁から、600μm〜1.8mmの範囲に
設けた。この外部親水領域はインク滴径が約500μm
程度の広範囲の移動を行うものに作用するように隣接す
る島状親水領域の間隔を約65〜200μmの範囲内と
する。
【0041】また、これら溝状に加工される親水領域は
樹脂製の吐出口形成基板材料の表面に撥水処理を行い撥
水膜を設けたところでレーザー加工することによって形
成される。すなわち、撥水膜側からレーザーを照射し、
吐出口形成基板の表面を削りとることで撥水膜の一部が
取り除かれ親水領域が形成されるのである。したがっ
て、加工された溝状親水領域の断面形状は、図11
(B)に模式的に示される溝状親水領域5のように、そ
の底面部分及び底面部分から立ち上がる溝壁の一部に樹
脂製基板の表面が露出しこの部分が親水領域となり、残
りの溝壁は撥水膜によって構成されている。
【0042】このように加工された溝状親水領域に捕獲
されたインク滴は、溝の底面部分と溝壁の一部にインク
が良好に付着し、極めて吐出口面を移動しにくい状態と
なる。なお、後述する吐出口面のクリーニングによって
は容易に取り除かれる。
【0043】ここで吐出口面に形成される溝の深さは、
撥水膜の厚みを0.1〜0.2μmとした時0.2〜
0.6μm程度とすることがこのましい。
【0044】ところで、吐出口面に対しては、インクの
吐出特性を改善する目的でキャップが当接されるが、キ
ャップが吐出口面に当接することでインクの滴径が肥大
することは図2に示したとうりであるが、このようなイ
ンク滴を効率よく分散するために、キャップによって囲
まれる領域内のみに親水部分点在撥水領域を持たせても
よく、キャップ当接領域の境界に親水部分点在撥水領域
が存在する構成にしてもよい。
【0045】なお、第1親水領域C1、第2親水領域C
2は、前述したように帯状としてもよいが、微小なイン
クミストを保持し吐出口周辺の撥水領域の効果を維持す
ることができるのであれば、帯状部分を適宜分断した、
実質的に親水部分点在撥水領域と同様な構成としてもよ
い。
【0046】なお、本発明は、図3に示されるように吐
出口の両側に第1、第2溝状親水領域C1、C2及び/
または第1、第2外部親水領域B1、B2を設ける構成
のほか、第1溝状親水領域C1と第1外部親水領域B1
のみを設けるような、吐出口を境としていずれか一方の
側にのみ加工を施す構成も包含されるものである。
【0047】本発明は、特に高周波数記録、高デューテ
ィー印字、高印字スピード記録などインクミストの発生
が増大するような記録条件下で有効に機能する。
【0048】本発明によれば、吐出口に至るインク滴が
減少するため、吐出口面から除去すべきインクが減少す
るので、クリーニング圧力を減少でき、この点から撥水
部分の寿命が向上される。
【0049】本発明が適用される吐出口面の撥水領域と
親水領域との具体的なパターンを図5から図13までに
示す。インクジェットヘッドの吐出口面はその全面に撥
水処理が施されたうえで以下に示す親水領域のパターン
が各種施されている。
【0050】図5は本発明のより具体的な吐出口面の加
工パターンの実施例である。
【0051】図5で示される親水領域のパターンは、吐
出口板1に幅lに渡って設けられた吐出口4の両側であ
って、吐出口4から所定距離隔てられた領域に吐出口配
列方向に平行で、かつ吐出口4の両側に帯状に設けられ
た溝状親水領域5を備えるとともに、吐出口4から上述
した溝状親水領域5を介してさらに外側の撥水処理が施
された吐出口面8に複数の島状親水領域を間欠的に設け
た外部親水部6を備える。
【0052】吐出口から溝帯状親水領域5までの距離H
1、H2、溝状親水領域5の幅W1、W2はインクの種
類、吐出口径等により選定されるが、好適な数値の選定
については後述する。なお、溝状親水域5の長さは、吐
出口配列幅と同等かもしくはそれ以上であることが望ま
しい。
【0053】また、溝帯状親水領域5の外側に複数の島
状親水領域を間欠的に設けた外部親水領域6の島の形状
は基本的には問わないが、島状の親水部分はこの部分に
捕獲するインク滴の移動を抑制する機能を発揮する必要
から、より好適な形状としては丸よりも角を備えている
方が望ましい。図5では六角形状を採用している。島状
部分の面積や配置間隔などについては後述する実験−
1、実験−2、実験−3によって最適な範囲を示す。な
お、7は吐出口面8に当接されるキャップ手段の当接部
分を示す破線である。
【0054】図6は、図5に示される親水領域パターン
の変形例を示すものである。図6は、吐出口の両側であ
って、吐出口から所定距離離れた領域に帯状親水領域5
と、その外側に6角形状の島状親水部分を点在させた親
水部分点在撥水領域6と、を備えている点で概略構成は
図5と同様であるが、特に溝状親水領域5の外方に間欠
的に凸部が設けられている。この凸部は外部親水領域6
に間欠的に設けられた島状親水部分の間を補完するよう
に設けられて構成されている。
【0055】溝状親水領域5の形状をこのように変更す
ることで、溝状親水領域5と外部親水領域6とが連続性
をもって隣接することになり、吐出口面に付着したイン
ク滴を良好に親水領域に取り込むことができる。
【0056】図7は、図5の親水領域のパターンから外
部親水領域6の構成を除いた、吐出口4の両側であっ
て、吐出口4から所定距離離れた領域に溝状親水領域5
のみを設けた構成である。吐出口4の近傍に付着するイ
ンクミストは少なくとも溝状親水領域5に移動して捕獲
されることになるため、本発明の初期の目的は十分達成
できる。この溝状親水領域5はもちろん図6に示される
溝状親水領域5のように凸状部分を備えていても良い。
【0057】図8は、図5の親水領域パターンを変形
し、溝状親水領域5と外部親水領域6とを吐出口4を境
に吐出口面8の一方の側にのみ設けた構成を採用する。
【0058】吐出口面8に図8のようなの親水領域のパ
ターンが設けられたインクジェットヘッドは、走査型の
インクジェット装置において所定の一方向に移動すると
きにのみインクを吐出して記録を行うような場合に有効
となる。すなわち、このような装置では基本的にインク
を吐出しながら走査移動する方向の下流側の吐出口面8
にインクミストが付着することになる。したがって、イ
ンクミストが付着する領域にのみ溝状親水領域5と外部
親水領域6とを設ければ、付着したインク滴が吐出口に
至ることがなく良好なインク吐出状態を維持することが
できることになる。
【0059】図9は、図5に示される親水領域パターン
の変形例であるとともに、図8の変形例ともみなせるも
ので、図8の親水領域パターンの構成に加えて、溝状親
水領域5を吐出口4の両側に設けている。この構成は、
さらに図7に示される親水領域パターンの変形例ともみ
なせるものである。
【0060】図9の親水領域パターンは、図8において
説明したように一方向記録を実行する装置において、多
量にインクミストが付着する走査方向の下流側だけでな
く、走査方向の上流側にインクミストが付着することが
あっても、溝状親水領域5によってインクミストを捕獲
でき、吐出口4にインクミストを至らせることが抑制さ
れ安定したインク吐出状態を維持できる。
【0061】図10は、図5に示される親水領域パター
ンの外部親水領域6の変形例であり、外部親水領域6の
パターンを吐出口4配列方向に対して直交する長方形状
の島状親水部分を一列に配列した構成とされている。
【0062】この外部親水領域6の島状親水部分の形状
は図10に示されるような長方形状でも良いが、吐出口
4側を底辺とし、吐出口4から遠ざかるにしたがって幅
が狭くなるような三角形状のパターンなどでもよい。な
お、図中7はキャップの当接部分を示しており、外部親
水領域6とキャップの当接部分とが重なっている。この
ように外部親水領域6とキャップの当接部分とを重ねる
ことで、図2で示したようなキャッピング動作によって
生じるインク滴の成長を外部親水領域6で分割できるた
め、キャッピングによって成長するようなインク滴が吐
出口4に到達することを良好に抑制できる。
【0063】図11(A)、(B)は、図5に示される
親水領域パターンの変形例であり、外部親水領域6の構
成を溝状親水域5に平行な帯状の溝状親水領域9に変え
たものとされている。このような変形は親水領域パター
ンを形成する場合のマスクパターンを変更するだけで容
易に形成することができる。
【0064】図11(B)に(A)の断面図を示す。溝
状親水領域9は、溝状親水域5に比べ溝の深さを数倍深
く形成していることが特長である。このように深い親水
領域9は吐出口面8に付着したインクミストを初期段階
から捕獲することがで、さらには親水領域9を通過する
インクを分断する効果が一層増強される。また、この親
水領域9が設けられる領域は吐出口面8に当接されるキ
ャップの当接位置7に相当しており、このようにキャッ
プの当接位置7に関連して親水領域9を設けることでキ
ャップがなされることで成長するインク滴が親水領域9
で捕獲できる点は図10の外部親水領域6と同様の効果
を有するものである。
【0065】親水領域9の深さは、具体的には20〜3
0μmとすることが好ましい。後述するが帯状親水域5
と親水領域9は、吐出口面に撥水処理を施した後にエキ
シマレーザーを照射することによって形成される。この
ようにレーザー加工を行うことによって、吐出口面を構
成する材料が削り取られ撥水部分が取り除かれる。した
がって、深さの異なる親水領域を形成するためには、深
く形成したい領域に対し複数回レーザー照射がなされる
ようにマスクを交換することで深さの異なる二つ以上の
親水領域を形成することができる。
【0066】図12は、図5に示される溝状親水領域5
と外部親水領域6のパターンと図11(A)、(B)に
示される溝状親水領域9のパターンとを組み合わせ変形
したものであり、両者の有する優れた効果を相乗的に発
揮することができる。
【0067】図13は、図5に示される親水領域パター
ンの変形例であり、吐出口41の配列方向に沿って、各
吐出口41に対応して吐出口41を囲むように吐出口4
1の両側に円弧状の親水溝51が一列設けられている。
そして、その外側には吐出口41の配列方向に沿って、
吐出口側に底辺をもつ三角形状の第1外部親水領域61
が一列と、さらにその外側に吐出口41の配列方向に沿
って、吐出口側に底辺をもつ三角形状の第2外部親水領
域61’が一列設けられている。 第1、第2外部親水
領域61、61’は、互いの配列間隔を補完するように
千鳥状に配列されている。
【0068】このような親水領域パターンとすること
で、吐出口面でインク滴の集合化が始まって吐出口側に
インク滴が移動し始めたとしても、第2外部親水領域6
1’の存在によってすぐに第2外部親水領域61’に取
り込まれるか或は第2外部親水領域61’を設けたこと
によって撥水領域が吐出口41側に向かって徐々に狭く
なるため、インク滴は第2外部親水領域61’によって
分断されることになる。また、第2外部親水領域61’
を通過したインク滴は第1外部親水領域61によって取
り込まれることになりその移動が制限されることにな
る。したがって、吐出口面の外側からのインクの移動は
良好に抑制される。
【0069】例え、第1の外部親水領域61を通過した
インク滴があったとしても、吐出口のほぼ周囲を半円弧
状に覆う親水溝51が存在するため、わずかなインクさ
えも確実に親水溝51で捕獲し、インク滴の吐出口への
到達を阻止できる。親水溝51の吐出口からの距離H
は、これまで説明してきた構成例と同様に35〜200
μmの範囲内で十分な効果を得ることができた。また親
水溝51の幅Wも100〜400μmの範囲とすること
でインクの取り込みを良好に行うことができる。以上の
様に、本発明が適用された吐出口面を備えたインクジェ
ットヘッドはインクミストによって引き起こされる各種
の問題を解決でき、従来の撥水領域の構成からは予想出
来ない効果をもたらすものである。
【0070】上述の構成を採用したインクジェットヘッ
ドであれば吐出口面に存在するインク滴を極めて確実に
分散化でき、かつ捕獲できるので、吐出口にインクミス
トが到達して不吐出状態を招くような悪影響が防止され
る。
【0071】図14は、クリーニングブレード11のエ
ッジ12による吐出口面8をクリーニングする場合の様
子を説明するためのものである。クリーニングブレード
11は吐出口面8に設けられた溝状親水領域5、吐出口
4の周囲の中央撥水領域Eに存在するインク滴やインク
ミストを吐出口面8を矢印方向に相対的に摺擦移動する
ことによって吐出口面8から取り除くものである。
【0072】つまり、クリーニングブレード11は、イ
ンクジェットヘッドが走査移動されることで吐出口面8
を矢印方向に相対的に摺擦移動するが、このとき溝状親
水領域5の溝内に保持されているインク滴をエッジ12
によってかき集め溝内から取り去る。取り去られたイン
ク滴は中央撥水領域Eに存在するインクミストを合体し
ながらより大きなインク滴10となって移動する。
【0073】このようにクリーニングブレード11によ
ってインクが次々合体されて吐出口面8上を移動するこ
とで吐出口面8上に存在するインク滴が良好に拭い去る
ことができる。なお、拭い去られるインクは非常に大き
な塊として吐出口面8を移動するため、吐出口4の部分
をインクの塊がブレードとともに通過してもインクの表
面張力の方が極めて大きい状態であることから吐出口内
にインクが侵入することがない。
【0074】上述した所望の親水領域が設けられるイン
クジェットヘッドは図4に示されるような工程に沿って
製造される。
【0075】まず、液室(不図示)、流路31、吐出口
板1を一体的に備えた溝付天板3を射出成型法によって
作成する(ステップ1)。なお、1A、1Bは吐出口が
形成される吐出口板の表面と裏面をそれぞれ示してい
る。吐出口板1には吐出口は64個、360dpiとし
て形成されている。
【0076】このように形成された溝付天板3の吐出口
板1の表面1Aに撥水処理を施す(ステップ2)。撥水
剤塗布範囲は、ここでは吐出口面全面ではなく、キャッ
プ当接範囲を含むある塗布範囲を指定しているが、これ
は、撥水剤塗布時、及び乾燥時に裏まわりするのを防ぐ
ためである。例えば、図5に示されるようにキャップ当
接範囲A,B,Cが吐出口面の端部から0.6mm内方
の位置にあるような場合、撥水塗布範囲はA,B,Cの
各領域で吐出口面の端部から0.5mmの位置としてい
る。しかし、撥水剤が基板の裏側に回り込む心配がなけ
れば吐出口形成面全面に塗布してあっても良い。撥水処
理は転写法により行い、その塗布厚みは0.1〜0.2
μmとした。撥水処理は転写法に限られず、ロールコタ
ー法など通常の塗布方法がいずれも使用できる。撥水剤
の塗布厚みも上述の範囲に限られるものではないが、こ
の範囲より薄い場合には撥水効果が十分にえられず、余
り厚いとクリーニングなどによって容易に撥水膜が剥離
してしまう。
【0077】続いて、撥水処理が施された吐出口板1を
含む溝付天板3に対して熱処理を施し、撥水処理剤を熱
硬化させることによって撥水膜を形成した。その後、吐
出口板1の表面1Aに形成された撥水膜に対して親水部
を形成すべき箇所に対応する所定の箇所を開口させたマ
スクMSを介してエキシマレーザーELAを照射し、親
水領域を形成する(ステップ3)。このときのエキシマ
レーザーのパワーは撥水剤の厚みが0.1〜0.2μm
の場合200mj/cm2、1パルス〜数パルスでの条
件である。
【0078】その後、エキシマレーザーを用いて、吐出
口板1の裏面1B側から入射角度θが5〜10度の範囲
でレーザーを照射することにより吐出口4を形成する
(ステップ4)。なお、レーザー加工時に吐出口形成面
に炭素が付着するが、これは粘着テープを貼りつけ引き
はがすことによって炭素を吐出口形成面より除去する。
そして、このように加工された溝付天板3と、インクを
ノズルから吐出させるための手段である発熱抵抗体を有
する基板とを接着し所望のインクジェットヘッドを得
る。
【0079】ここで、溝付天板3の材質は、成形性及び
インクの接液性などの制約より限られた材質の中から選
ばれなければならない場合が多いが、本発明では、ポリ
サルフォンが使用されている。なお、ポリサルフォンは
インクなどに対して親水性として作用するものであり、
インクに対する接触角は約60度程度である。
【0080】また、撥水剤としては、例えば主鎖に含フ
ッ素ヘテロ環状構造を有するポリマー、具体的にはサイ
トップCTX−105(旭硝子製)、サイトップCTX
−805(旭硝子製)、フルオロオレフィンとビニルエ
ーテルとの交互共重合体、具体的には例えば市販のルミ
フロン(旭硝子社製)、フルオネート(DIC社製)、
セフラルコート(セントラル硝子社製)、C−1(ダイ
キン硝子社製)、トリフロン(三井石化硝子社製)、K
YNAR−SL/KYNAR−ADS(ATOCHEM
社製)、反応性オリゴマーと希釈モノマーからなる光ラ
ジカル重合型フッ素樹脂組成物、具体的には例えば市販
のDEFENSA(DIC社製)、共重合櫛形フッ素ポ
リマー、具体的には例えば市販のLF−40(綜研科学
社製)、フロロシリコン、具体的には例えば市販のKP
801M(信越化学社製)、パーフロロシクロポリマ
ー、具体的には例えば市販のTeflonAF(DUP
ON社製)などが適用可能である。
【0081】これらの材料のうちサイトップCTX−1
05が好適に使用することができる、なお、サイトップ
CTX−105に対するインクの接触角は約70度程度
である。
【0082】本発明においては、撥水処理の領域と親水
処理された領域とのインクの接触角の相対的な差を10
度程度もしくはそれ以上になるように撥水剤を選択する
ことで良好なインクミスト対策を達成できる。
【0083】以下では、吐出口面に形成される溝状親水
領域5、外部親水領域6の好適な構成の条件を詳述す
る。
【0084】まず、溝状親水領域5は吐出口から所定距
離Hだけ離れて吐出口配列方向にほぼ平行に形成され
る。この溝状親水領域5においては、図5で示される吐
出口から溝状親水領域5までの距離H1、H2及び溝状
親水領域5の幅W1、W2を適切に設定することが、吐
出口面8に存在するインクミストによる吐出不良を抑制
する上で重要な要素である。
【0085】吐出口4から溝状親水領域5までの距離H
1、H2は、あまり狭いと吐出口面8の中央撥水領域E
に存在するインクミストの滴径によっては、吐出口4と
溝状親水領域5とがインクミストによって連通状態とな
ってしまう。このような状況では溝状親水領域5に存在
しているインクを吐出口4に導いてしまう虞があり好ま
しくない。また、インクを吐出口4に導いてしまう状態
は吐出口4の径によっても異なるものである。したがっ
て、吐出口4から溝上親水域5までの距離H1、H2
は、吐出口の口径よりも大きく規定される必要がある。
また、吐出口4から溝状親水域5までの距離H1、H2
があまり離れていると、例えば中央撥水領域Eに存在す
るインクミストが容易に移動できる大きさのインク滴
(滴径100μm以上)となってしまい吐出口4にイン
ク滴が移動し、吐出不良を引き起こすことになってしま
う。したがって、中央撥水領域Eに付着しているインク
ミストを溝状親水域5に引き込むのに容易な距離とする
のがよい。これらの条件を満足する距離H1、H2は吐
出口径を基準にして表すと吐出口径の約1.2倍以上
3.5倍以下程度の範囲とされることが好ましい。具体
的には吐出口の口径を約30μmとすると約35〜11
0μmである。この範囲であれば、インクミストを吐出
口部分に到達させることなく溝状親水領域5で良好に保
持していることができる。
【0086】一方、親水域の幅W1、W2は、吐出口面
のインクミストを良好に捕獲している必要があるため、
あまり狭いことは好ましくない。例えば、吐出口面を移
動し始めるインク最小滴径の100μmより狭いこと
は、この親水領域が吐出口面を移動するインク滴を確実
に捕獲する機能を信頼性高く発揮する観点からも好まし
くない。よって、親水域の幅W1、W2は少なくとも1
00μm以上であることが望ましい。また、親水域の幅
W1、W2の上限は、幅を大きくすることは吐出口面を
移動するインクミストを捕獲する点では優れることにな
るが、吐出口面がほぼ全面にわたって親水領域になって
しまうため好ましくない。また、クリーニングによって
吐出口面に存在するインク滴を拭い去るのに良好な結果
を得るためには溝状の親水領域の幅W1、W2は400
μm程度以下が好ましい。この幅以上ではクリーニング
後に親水領域内にインクが残存する場合があり、この状
態で長期間放置されてしまうと、溝状親水領域として十
分な機能が発揮されなくなり、初期の目的を達成できな
くなってしまう。
【0087】次に、親水部分点在撥水領域についての好
適な条件を以下の実験に基づき検討した。
【0088】実験−1 本実験では、島状の親水パターンのみを吐出口の両側に
設け、パターン間距離Lを調整して親水部分点在撥水領
域を形成したインクジェットヘッドの試料を作成した。
なお、インクジェットヘッドの作成は前述したインクジ
ェットヘッドの作成方法にしたがって行った。
【0089】ここで、パターン間距離Lは、親水部分点
在撥水領域の親水部はピッチ0.4mmのマス目の交点
に設けられるようにされており、これらのマス目の交点
に設けられた親水部の隣接間隔を表している。この実験
例では第1表に示される試料No.1〜6の6種類の隣接
間隔Lを設定した。試料サンプルはそれぞれの場合につ
いて5つづつ作成した。
【0090】得られたインクジェットヘッドを用いて、
周波数6.2kHzでA4版の記録紙にインクを全吐出
口から吐出させるベタ印字を1頁につき60行で記録
し、これを途中でクリーニング動作を行うことなく5枚
連続して行った。
【0091】連続して印字した記録紙に吐出口がインク
によって目詰まることで発生する白筋の有無を目視によ
って観察した。
【0092】観察の評価は以下の基準で行った。 ○:供試サンプルのすべてが良好な印字を実行できた場
合 △:供試サンプルの1つ〜4つが良好な印字を実行でき
た場合 ×:供試サンプルのすべてのヘッドで不吐出の状態を発
生した場合 実験−1より親水部分の距離Lは0.065〜
0.15(mm)程度が好適であることが理解される。
【0093】実験−2 本実験では、島状の親水パターンのみを吐出口の両側に
設け、パターン1つ当たりの面積Sを調整して親水部分
点在撥水領域を形成した。なお、インクジェットヘッド
の作成は前述したインクジェットヘッドの作成方法にし
たがって行った。
【0094】ここで、パターン1つ当たりの面積Sは、
親水部分点在撥水領域の親水部はピッチ0.4mmのマ
ス目の交点に設けられるようにされており、これらのマ
ス目の交点に設けられた親水部の1つ当たりの面積を表
している。この実験例では第2表に示される試料No.7
〜12の6種類のパターン1つ当たりの面積Sを設定し
た。試料サンプルはそれぞれの場合について5つづつ作
成した。
【0095】なお、得られたサンプルインクジェットヘ
ッドは実験−1と同じ記録条件で記録を行い、実験−1
と同じ評価方法で評価した。
【0096】観察の評価は以下の基準で行った。 ○:供試サンプルのすべてが良好な印字を実行できた場
合 △:供試サンプルの1つ〜4つが良好な印字を実行でき
た場合 ×:供試サンプルのすべてのヘッドで不吐出の状態を発
生した場合 実験2より島状の親水パターン1つ当たり
の面積Sは0.10〜0.25(mm2)程度が好適であることが理
解される。
【0097】実験−3 本実験では、島状の親水パターンのみを吐出口の両側に
設け、単位面積あたりに占める島状の親水パターンの分
布密度を調整して親水部分点在撥水領域を形成した。な
お、インクジェットヘッドの作成は前述したインクジェ
ットヘッドの作成方法にしたがって行った。
【0098】この実験例では第3表に示される試料No.
13〜18の6種類の単位面積あたりに占める島状の親
水パターンの分布密度を設定した。試料サンプルはそれ
ぞれの場合について5つづつ作成した。
【0099】なお、得られたサンプルインクジェットヘ
ッドは実験−1と同じ記録条件で記録を行い、実験−1
と同じ評価方法で評価した。
【0100】観察の評価は以下の基準で行った。 ○:供試サンプルのすべてが良好な印字を実行できた場
合 △:供試サンプルの1つ〜4つが良好な印字を実行でき
た場合 ×:供試サンプルのすべてのヘッドで不吐出の状態を発
生した場合 この実験−3より単位面積あたりの親水部
分の占める分布密度は35%〜65%程度が好適である
ことが理解される。
【0101】以上のような条件を満足する範囲内で、吐
出口面に対して撥水領域と親水領域とを前述したような
各種のパターンで形成することができる。
【0102】ところで、上述したような吐出口面に対し
て所定の加工が施されたインクジェットヘッドは、次に
示すような装置に搭載されて記録信号が付与されること
で良好な記録を達成することができる。
【0103】図15は本発明が適用されたインクジェッ
トヘッドが搭載される装置を模式的に示す図である。図
15において、駆動モータ5013の正逆回転に連動し
て駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転する
リードスクリユー5005の螺旋溝5004に対して係
合するキヤリツジHCはピン(不図示)を有し、矢印
a,b方向に往復移動される。このキヤリツジHCに
は、インクジエツトカートリツジIJCが搭載されてい
る。5002は紙押え板であり、キヤリツジ移動方向に
わたって紙をプラテン5000に対して押圧する。50
07,5008はフオトカプラで、キヤリツジのレバー
5006のこの域での存在を確認して、モータ5013
の回転方向切換等を行うためのホームポジシヨン検知手
段である。5016は記録ヘツドの前面をキヤツプする
キヤツプ部材5022を支持する部材で、5015はこ
のキヤツプ内を吸引する吸引手段でキヤツプ内開口50
23を介して記録ヘツドの吸引回復を行う。5017は
クリーニングブレードで、5019はこのブレードを前
後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板501
8にこれらは支持されている。ブレードは、この形態で
なく周知のクリーニングブレードが本例に適用できるこ
とはいうまでもない。
【0104】又、5012は、吸引回復の操作を開始す
るためのレバーである。キヤリツジHCがホームポジシ
ョンに移動してくることでキャリッジHCの一部とカム
5020とが当接する。これによってカム5020が図
中左側に移動すると駆動力伝達ギア5009とカム50
20とが噛み合い、その伝達経路がかわる。
【0105】これらのキヤツピング、クリーニング、吸
引回復は、キヤリツジがホームポジシヨン側領域にきた
ときにリードスクリユー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行うようにすれ
ば、本例には何れも適用できる。
【0106】上述した装置における記録、回復などを実
行するための制御構成について図16に示すブロックを
参照して説明する。制御回路を示す同図において、17
6は外部入力として記録信号を入力するインターフェー
スを含めたCPUで、CPUが実行する制御プログラム
を格納するプログラムROMや各種データ(上記記録信
号やヘッドに供給される記録データ等)を保存し、印字
ドット数やインクジェットヘッドの交換回数等も記憶で
きておくダイナミック型のRAMを含むものである。
【0107】駆動手段172はインクジェットヘッド1
73に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ
を有し、インターフェース、プログラムROM、RAM
のデータによりヘッドを駆動する。171は、駆動手段
172の駆動周波数を変更できる周波数設定手段であ
る。本実施例では、高速用周波数と、通常記録周波数を
設定変更する。174は、クリーニング手段(以下ブレ
ードともいう。)で、インクジェットヘッドの吐出口面
をクリーニングする。175はインクジェットヘッドの
クリーニングを行ったブレードに付着したインクを取り
除きブレードの清掃を行うためのブレードクリーニング
手段である。177はキャッピング手段で、記録中のデ
ータ処理や何らかの不都合が生じた時にキャッピングを
行う他、通常の吸引回復や待機時のキャッピングを行
う。
【0108】図17はインクジェットヘッドに対して施
されるキャッピングの状態と、クリーニングの状態とを
便宜上合わせて模式的に示している。したがって、キャ
ップ手段177とブレード174との相対的位置関係は
図示されるものに限定されない。また、以下の説明にお
けるインクジェットヘッドは、図3で示した表面形態の
吐出口面を有するインクジェットヘッドである。
【0109】インクジェットヘッドに対しては、記録が
なされた後インクジェットヘッドがヘッド移動方向に沿
ってインクジェットヘッドの所定のホームポジションに
向かって移動する途中でブレード174がインクジェッ
トヘッドの吐出口面に摺擦することにより吐出口面のク
リーニングがなされる。その際、ブレード174は最初
にインクジェットヘッドの側面175と当接する。その
後、インクジェットヘッドがヘッド移動方向に沿って移
動することでブレード174は、第1の外部親水領域B
1、第1の溝状親水領域C1、中央撥水領域E、第2の
溝状親水領域C2、第2の外部親水領域B2の順に吐出
口面をクリーニングする。
【0110】このようにクリーニングの最初にインクジ
ェットヘッドの側面175に対してブレード174のク
リーニング面が摺擦することによって、前回のクリーニ
ングによってブレード174のクリーニング面に付着し
たインクを取り除くことができる。そのために、きれい
なブレード174で吐出口面をクリーニングできるので
クリーニングの状態を良好に保つことができる。
【0111】なお、ブレード174が摺擦するインクジ
ェットヘッドの側面174には別部材として吸収体やア
ルミプレートが設けられてもよく、これらの別部材を備
えることでブレードの清掃状態が一層良好となる。
【0112】このようにして吐出口面のクリーニングが
なされた後、キャップ手段177Aによって吐出口面が
キャッピングされる。これによってインクジェットヘッ
ドの吐出口面が保護されるとともに、キャップ手段17
7Aに連結された吸引ポンプ177Cを作動させること
で吐出口の吸引回復を行うことができる。
【0113】なお、キャップ手段177A内には吐出口
から排出されるインクを吸収するための吸収部材177
Bが収納されている。
【0114】また、クリーニング動作は、インクジェッ
トヘッドがキャッピング状態から解放され、記録を開始
するまえにおこなってもよい。これにより回復動作を行
ったことで吐出口面に付着しているインク的を良好に取
り除くことができ、印字状態を記録開始から良好にでき
る。
【0115】実施例 (実施例1)ポリサルフォンを使用して、64ノズル3
60dpiの溝付天板3を射出成型法によって作成し
た。次に、吐出口面のほぼ全体にわったて転写すること
によりサイトップCTX−105を撥水剤として0.1
μm塗布した。そして、撥水処理が施された吐出口面を
含む溝付天板3に対して熱処理を施し、撥水剤を熱硬化
させることによって撥水膜1を形成した。その後、吐出
口面に親水部に対応する部分を図5で示されるようなW
1、W2が0.4mm、H1、H2が0.05mm、島
の形状は六角形、面積が0.15mm2,単位面積当た
りの親水域面積が40%の条件を満足するような所定の
箇所を開口させたマスクを介してエキシマレーザーを照
射した。エキシマレーザーパワーは撥水剤の厚みが0.
1μmであるため200mj/cm2、1パルスとし
た。その後、エキシマレーザーを用いて、吐出口形成面
に吐出口形成面とは反対側の裏面から、角度θが10度
の角度で照射して吐出口を形成した。
【0116】そして、このように加工された溝付天板3
と、インクをノズルから吐出させるための手段である発
熱体を有す基板を接着し所望のインクジェットヘッドを
得た。同様にして5つヘッドを作成した。
【0117】(実施例2)図8に示されるパターンとな
るべく、W1が0.4mm、H1が0.05mm、島の
形状は六角形、面積が0.15mm2,単位面積当たり
の親水域面積が40%の条件を満足するような所定の箇
所を開口させたマスクを使用した他は実施例1と同様に
して、インクジェットヘッドを作成した。
【0118】(比較例1)吐出口面を全面撥水処理し、
なんら加工を施さない他は実施例1と同様にしてインク
ジェットヘッドを作成した。
【0119】(比較例2)吐出口面を全面なんら加工を
施さない、いわゆる親水領域のままの状態とした他は実
施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作成した。
【0120】これら作成された実施例1、比較例1、比
較例2のインクジェットヘッドを前述のインクジェット
装置に搭載し、駆動周波数6.2KHzにて、全吐出口
からインクを吐出させる、いわゆるベタ印字をA4版の
記録紙にたいして60行往復印字し、これを5枚連続し
て行った。
【0121】また、実施例2のインクジェットヘッドを
前述のインクジェット装置に搭載し、駆動周波数6.2
KHzにて、全吐出口からインクを吐出させる、いわゆ
るベタ印字をA4版の記録紙にたいして60行一方向印
字し、これを5枚連続して行った。
【0122】得られた印字物を目視で確認し、インクの
不吐出部が白筋としてあらわれるか否かを確かめた。そ
の結果を第4表に示す。
【0123】観察の評価は以下の基準で行った。 ○:供試サンプルのすべてが良好な印字を実行できた場
合 △:供試サンプルの1つ〜4つが良好な印字を実行でき
た場合 ×:供試サンプルのすべてのヘッドで不吐出の状態を発
生した場合 この結果から明らかなように、本発明が適
用される吐出口面をゆうしたインクジェットヘッドでは
高周波数記録であってもインクミストの影響を受けずに
十分に記録を行うことが可能である。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【発明の効果】以上のように、本発明によるインクジェ
ットヘッドにおいては、親水部分を点在させた領域を備
えたことによって、微小な撥水部分によるインク排除効
果と微小な親水部分に依るインク分離効果とから吐出口
面に付着したインク滴を集合化させることがない。また
滴径の大きなインク滴を点在させた親水部分によって分
割でき、しかも親水部分でインク滴を捕獲できるため吐
出口にむかうインク滴の移動を抑制することができ、記
録不良の発生を防止することができる。
【0129】これにより、本発明ヘッドではクリーニン
グ間隔を長期化でき、ヘッド自体の耐久性を向上できる
ほか、クリーニング圧力を低減化でき、ヘッドの撥水部
の耐久性を向上できる。
【0130】また、本発明装置では、クリーニング間隔
を長期化できるため、高速記録に好適に対応することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吐出口面のほぼ全面に渡って撥水処理された従
来のインクジェットヘッドの概略構成を示す斜視図であ
る。
【図2】従来のインクジェットヘッドの吐出口面に付着
したインクミストの挙動を模式的に説明する説明図であ
る。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の一例を模式的に説明する説明図である。
【図4】本発明におけるインクジェットヘッドの吐出口
面の加工方法の概略をその工程に沿って説明するフロー
チャートである。
【図5】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の他の例を示す平面図である。
【図9】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の表
面状態の他の例を示す平面図である。
【図10】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の
表面状態の他の例を示す平面図である。
【図11】(A)は、本発明のインクジェットヘッドの
吐出口面の表面状態の他の例を示す平面図であり、
(B)は、(A)をa−a’線で切断した断面図であ
る。
【図12】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の
表面状態の他の例を示す平面図である。
【図13】本発明のインクジェットヘッドの吐出口面の
表面状態の他の例を示す平面図である。
【図14】本発明が適用されたインクジェットヘッドの
吐出口面をクリーニングする様子を模式的に示す断面図
である。
【図15】本発明が適用されたインクジェットヘッドが
搭載されるインクジェット装置の概略を示す斜視図であ
る。
【図16】インクジェット装置の記録制御機構を模式的
に示すブロック図である。
【図17】インクジェット装置のインクジェットヘッド
とキャップ手段及びクリーニングブレードとの相対関係
を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 吐出口板 4 吐出口 5 溝状親水領域 6 外部親水部 8 吐出口面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 中村 圭伸 (56)参考文献 特開 昭60−18485(JP,A) 特開 平2−88247(JP,A) 特開 平2−212153(JP,A) 特開 平2−48953(JP,A) 実開 昭62−126937(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/135 B41J 2/16 B41J 1/165

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の吐出口と、インクを吐出するため
    のエネルギー発生素子と、前記吐出口に連通し、前記エ
    ネルギー発生素子を有するインク路と、前記吐出口が設
    けられた吐出口面に撥水領域と、を備えたインクジェッ
    トヘッドにおいて、 前記吐出口面は、前記複数の吐出口を備えた領域を含む
    中央撥水領域と、 前記複数の吐出口から所定距離離れた箇所で、前記中央
    撥水領域の少なくとも一方側に、吐出口面に付着して増
    大したインク滴を捕獲するように間欠的に複数配置され
    親水部分を有する部分親水領域と、 を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記部分親水領域が、前記中央撥水領域
    の双方側に設けられている請求項1に記載のインクジェ
    ットヘッド。
  3. 【請求項3】 複数の吐出口を備えた吐出口面の複数の
    吐出口の周囲近傍域に設けられた中央撥水領域該中央撥水領域の 前記吐出口から遠ざかるに隣接し
    設けられた主たる親水領域と、該主たる親水領域の 前記吐出口から遠ざかるに隣接し
    て設けられた、前記吐出口面に付着して増大したインク
    滴を捕獲するように部分的に多数点在する親水部分を有
    する部分親水領域と、 を前記吐出口面に有することを特徴とするインクジェッ
    トヘッド。
  4. 【請求項4】 前記主たる親水領域及び前記部分親水領
    域が、前記中央撥水領域の双方側に設けられている請求
    項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記主たる親水領域が、前記複数の吐出
    口の配列方向に沿って連続的に設けられている請求項3
    または4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記部分親水領域の親水部分が、溝状で
    ある請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェッ
    トヘッド。
  7. 【請求項7】 前記部分親水領域の親水部分が、島状で
    ある請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェッ
    トヘッド。
  8. 【請求項8】 前記部分親水領域における隣接する親水
    部分同士の間隔は、 0.065mm以上0.15mm以下
    である請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェ
    ットヘッド。
  9. 【請求項9】 前記部分親水領域における前記親水部分
    の1つ当たりの面積は、0.10mm 2 以上0.25mm 2
    以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク
    ジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 前記部分親水領域における単位面積あ
    たりの前記親水部分の占める分布密度は、35%以上6
    5%以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  11. 【請求項11】 前記部分親水領域が、撥水領域中に多
    数の親水領域を部分的に点在して有する親水部分点在撥
    水領域である請求項1〜10のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のインクジェットヘッドと、前記吐出口面と相対的に動
    作することにより吐出口面をクリーニングするクリーニ
    ング手段と、を備えたインクジェット装置。
  13. 【請求項13】 前記クリーニング手段が、前記吐出口
    面に対して相対的に動作して該吐出口面を摺擦すること
    により該吐出口面をクリーニングするクリーニングブレ
    ードを有する請求項12に記載のインクジェット装置。
  14. 【請求項14】 前記部分親水領域が、前記中央撥水領
    域の、前記クリーニング手段の動作における下流側に設
    けられている請求項12または13に記載のインクジェ
    ット装置。
  15. 【請求項15】 前記インクジェットヘッドの吐出口を
    保護するとともに、前記吐出口の機能を回復するための
    キャッピング手段をさらに備えている請求項12〜14
    のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  16. 【請求項16】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドの
    吐出口を保護するとともに、前記吐出口の機能を回復す
    るためのキャッピング手段と、を備えたインクジェット
    装置。
  17. 【請求項17】 複数の吐出口と、該吐出口と連通した
    インクを吐出するためのエネルギー発生素子を有したイ
    ンク路と、を備えたインクジェットヘッドの製造方法に
    おいて、 液室と、液路と、吐出口形成プレートと、を構成する溝
    付天板を設ける工程と、 前記吐出口形成プレートに撥水領域を設ける工程と、 前記吐出口から所定距離離れた位置に複数の親水部を形
    成するためのパターンを備えたマスクを前記吐出口形成
    プレートに対して位置決めする工程と、 前記マスクを介して前記吐出口形成プレートの前記撥水
    領域にレーザー照射することによって前記複数の親水部
    を形成する工程と、 前記吐出口形成プレートにレーザー照射することによっ
    て前記吐出口を設ける工程と、を有することを特徴とす
    るインクジェットヘッドの製造方法。
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