JP2002166560A - 液体吐出装置及び該装置の吐出回復方法 - Google Patents

液体吐出装置及び該装置の吐出回復方法

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JP2002166560A JP2000364722A JP2000364722A JP2002166560A JP 2002166560 A JP2002166560 A JP 2002166560A JP 2000364722 A JP2000364722 A JP 2000364722A JP 2000364722 A JP2000364722 A JP 2000364722A JP 2002166560 A JP2002166560 A JP 2002166560A
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
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    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/16535Cleaning of print head nozzles using wiping constructions
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ワイピング中のワイパーの位置に応じて吐出す
る吐出口の位置及び吐出条件を制御することで、液体吐
出の位置や条件の最適化を図り、液体の消費を最小限に
抑え、吐出口面を十分に清浄化する。 【構成】ヘッド3に形成された複数の吐出口82のうち
ワイパー14によるワイピングがなされる直前の吐出口
とワイピング方向に関して前記直前の吐出口の下流側近
傍の吐出口とからエネルギー発生素子85が発生するエ
ネルギーを利用して液体吐出を順次開始するように構成
された液体吐出装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置等の液体吐出装置及び該装置の吐出回復方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機
能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワード
プロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーショ
ンなどの出力機器として用いられる記録装置(プリント
装置)としては、画像情報(記録情報)に基づいて、
紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録
媒体(被記録材)に向けてインクを吐出することで記録
を実行するインクジェット記録装置等の液体吐出装置が
普及している。また、これら記録媒体の材質に対する要
求も様々なものがあり、近年では、これらの要求に対す
る開発が進み、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙
を含む)や樹脂薄板(OHPシート等)などの他に、
布、皮革、不織布、更には金属等を記録媒体として用い
る液体吐出装置も使用されるようになっている。
【0003】前記液体吐出装置(インクジェット記録装
置等)は、低騒音、低ランニングコストで、装置の小型
化が容易であり、カラー化も容易であるなどの観点か
ら、プリンタ、複写機、ファクシミリ等へ広く応用され
ている。液体吐出装置の液体吐出ヘッド(インクジェッ
ト記録ヘッド等)の前面には液滴(インク滴等)を吐出
するための吐出口(通常複数個)が形成されており、こ
の吐出口の大きさは数十μ程度であるが、最近では高画
質化とともに吐出口の大きさは益々小さくなりつつあ
る。そして、ホスト機から送られてくる液滴吐出情報
(記録データ等)をもとに装置内で処理された吐出信号
に基づいて、前記吐出口から液滴が吐出され、記録媒体
上に画像(文字や記号も含む)が形成される。
【0004】記録手段から記録媒体へインクを吐出して
記録を行う上記インクジェット記録装置においては、微
細な吐出口からインクを吐出して記録を行うことから、
該吐出口に目詰まりが生じ、吐出不良(不吐出を含む)
に起因して記録画像の品位が低下してしまうということ
があり、そのための対策として、記録手段のインク吐出
性能を維持回復するための回復ユニットを用いることが
行なわれている。この回復ユニットとして、例えば、記
録ヘッドの吐出口をキャッピングするキャッピング機構
と、キャッピング状態において前記キャッピング機構に
接続されてポンプを作動させて該キャッピング手段内部
に負圧を発生させて吐出口から増粘インクや気泡等の異
物を吸引排出することにより該吐出口内のインクをリフ
レッシュさせることでインク吐出性能を維持回復する吸
引手段と、記録手段の吐出口面に付着したインク等を異
物を拭き取り清掃(クリーニング)するワイピング手段
とを備えたものが使用されている。
【0005】前記ワイピング手段においては、従来よ
り、液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に搭
載する液体吐出手段としてのインクジェットヘッドの性
能を維持するために、所定量の液体を吐出した後、液体
吐出手段を使用しない期間が所定時間経過した後、ある
いは、液体吐出手段内の泡やごみを撤去するための吸引
動作を実行した後などに、吐出口を含んだ吐出口面をワ
イパーによって清掃する技術が広く適用されている。そ
の場合、該ワイパーによる清掃能力を向上させるために
ワイパーブレードが吐出口を通過するときに吐出口より
液体(インク)を吐出する(以後、予備吐出と呼ぶ)技
術を適用することが提案されている。
【0006】例えば、特開昭59−45161号公報で
は、複数の吐出口が形成された吐出口面を吐出口の配列
方向にワイピングを行う場合において、ワイピング方向
の上流側に画像形成(文字形成等の記録、プリント)に
関与しない吐出口を設け、そこよりインクを吐出しなが
らワイピングを行ったり、更に該吐出口からだけでなく
画像形成に関与する吐出口からも吐出させながらワイピ
ングする技術が開示されている。また、特開平7−14
8934号公報には、ワイパーへインクを吐出して濡ら
した後、この濡れたワイパーで汚れを除去する技術が開
示されている。さらに、特開平11−342620号公
報には、複数の吐出口が形成された吐出口面を吐出口の
配列方向に垂直な方向にワイピングする場合において、
インク吐出を併用することにより汚れの除去性能を向上
させる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吐出口
の配列方向にワイピングを行う場合においては、予めワ
イパーを濡らしてからワイピングする手法、あるいは吐
出口列のワイピング方向上流側に画像形成に関与しない
吐出口を設けて該吐出口からインクを吐出させながらワ
イピングする手法によっては、吐出口面上のしつこい汚
れを落とすには十分でない場合があることが判明した。
そこで、全ての吐出口から液体(インク)を吐出させな
がらワイピングすることが考えられるが、このような手
法では、ワイパーブレードが吐出口面に当接する領域以
外も多量の予備吐出を行うことになり、液体吐出装置
(プリント装置等)の本体の過度の汚れの原因となった
り、必要以上にインクを消費してしまうなどの不都合が
生じることになる。
【0008】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、液体の消費を最小
限に抑えながら、吐出口面を十分に清浄化することがで
きる液体吐出装置及び該装置の吐出回復方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ワイピング中
のワイパーの位置に応じて吐出する吐出口の位置及び吐
出条件を制御することにより、ワイピングの目的に応じ
て液体吐出の位置や条件の最適化を図るものである。す
なわち、本発明による液体吐出装置(請求項1)は、上
記目的を達成するため、液体を吐出するために利用され
るエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、該エネ
ルギー発生素子が発生するエネルギーを利用して液体を
吐出する複数の吐出口を順次ワイピングするワイパー
と、前記複数の吐出口のうち、前記ワイパーによるワイ
ピングがなされる直前の吐出口と前記ワイパーによるワ
イピングの方向に関して前記直前の吐出口の下流側近傍
の吐出口とから、前記エネルギー発生素子が発生するエ
ネルギーを利用して液体吐出を順次開始する制御手段
と、を有することを特徴とする。
【0010】また、本発明による液体吐出装置の吐出回
復方法は、上記目的を達成するため、液体を吐出するた
めに利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素
子が発生するエネルギーを利用して液体を吐出する複数
の吐出口を、ワイパーで順次ワイピングするワイピング
工程と、前記複数の吐出口のうち、前記ワイパーによる
ワイピングがなされる直前の吐出口と前記ワイパーによ
るワイピングの方向に関して前記直前の吐出口の下流側
近傍の吐出口とから、前記エネルギー発生素子が発生す
るエネルギーを利用して液体吐出を順次開始する吐出工
程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を具体的に説明する。図1は本発明を適用した
液体吐出装置としてのインクジェット記録装置の一実施
例を示す模式的斜視図である。図1において、記録媒体
(記録紙)Pは搬送機構(紙送り機構)5の搬送ローラ
(紙送りローラ)6によって搬送(紙送り)され、プラ
テン(図示の例ではプラテンローラ)7の上において液
体吐出手段としての記録手段(記録ヘッド)3から吐出
情報(記録情報等)に基づいて液体(インク)を吐出す
ることにより該記録媒体Pに所定の画像形成(記録)が
行われる。図示の例では、記録手段は異なるインクを吐
出する複数の記録ヘッド3で構成されており、これらの
記録ヘッド3はキャリッジ2上に位置決めされて搭載さ
れている。前記複数の吐出ヘッド(記録ヘッド)3は、
それぞれに対応するインクが充填されたインクタンク9
に接続されている。なお、図示の例では、異なるインク
を用いて記録する複数(6個)のカートリッジ8が使用
されており、各カートリッジ8は、記録ヘッド(記録手
段)3とインクタンク9を一体化した構成を有し、交換
可能に搭載されている。
【0012】前記キャリッジ2は装置本体に設置された
ガイドシャフト12に沿って両矢印I方向に往復移動可
能に案内支持されている。このキャリッジ2は、キャリ
ッジ駆動機構4の駆動ベルト11に連結されており、キ
ャリッジモータMの駆動力によりガイドシャフト12に
沿って駆動される。従って、キャリッジ2は、キャリッ
ジモータMの正転及び逆転によってガイドシャフト12
に沿って往復移動され、該キャリッジモータMの回転を
制御することで位置及び移動(主走査方向の動き)を制
御される。また、不図示の搬送モータにより不図示の伝
動機構を介して前記搬送機構5の搬送ローラ6を駆動す
ることにより、記録紙(記録媒体)Pの搬送(紙送り、
副走査)が行われる。
【0013】前記液体吐出手段(液体吐出ヘッド)とし
ての記録ヘッド(記録手段)3は、熱エネルギーを利用
してインクを吐出するインクジェット記録手段であっ
て、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備え
たものである。また、前記記録ヘッド3は、前記電気熱
変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜
沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化
(状態変化)を利用して、吐出口よりインクを吐出さ
せ、記録を行うものである。
【0014】図2は、前記記録ヘッド3のインク吐出部
の構造を模式的に示す部分斜視図である。図2におい
て、用紙等の記録媒体Pと所定の隙間(例えば、約0.
3〜2.0ミリ程度)をおいて対面する吐出口面81に
は、所定のピッチで複数の吐出口82が形成され、共通
液室83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面
に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電
気熱変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。
本例においては、記録ヘッド3は、前記吐出口82が前
記キャリッジ2の走査方向と交叉する方向に並ぶような
位置関係で、該キャリッジ2に搭載されている。こうし
て、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱
変換体85を駆動(通電)して、液路84内のインクを
膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82
からインクを吐出させる記録ヘッド3が構成されてい
る。
【0015】図1において、キャリッジ2の移動範囲内
であって記録領域を外れた所定位置(例えばキャリッジ
2のホームポジションに対応する位置)には、記録動作
の待機中や記録動作の前後もしくは記録動作中の適宜な
タイミングで、記録ヘッド3のインク吐出性能を維持回
復するための回復系(回復装置)10が配設されてい
る。この回復系10は、ホームポジションに位置する記
録ヘッド3の吐出口面81をキャッピングするキャップ
13と、このキャップ13に接続された負圧発生源とし
ての吸引ポンプ(不図示)と、記録ヘッド3の吐出口面
81をワイピング(拭き払い清掃)するワイパー14か
ら成るワイピング手段などを具備している。このワイパ
ー14は、通常、板状のゴム状弾性体(ブレード)とし
て形成されている。
【0016】前記回復系10で記録ヘッド3のインク吐
出性能を維持回復するための回復動作を行う際は、前記
キャップ13を吐出口面81に密着させて吐出口82を
キャッピングした状態で前記吸引ポンプを作動させるこ
とにより吐出口82からインクを吸引し、インクととも
に増粘インクや気泡等の異物を排出することで吐出口内
のインクを正常な状態に復帰させる吸引回復動作、さら
には、この吸引回復動作とともに、あるいは該吸引回復
動作に代えて、インク供給経路等に設けられた加圧手段
により吐出口82から前記キャップ13あるいは別の液
体受け(不図示)に向けてインクを強制的に排出させ、
それによって記録ヘッド3のインク流路内の増粘インク
や気泡等を除去する吐出回復動作が行われる。そして、
記録終了時や記録待機時などの非記録時には、記録ヘッ
ド3をホームポジションへ移動させて前記キャップ13
により吐出口面をキャッピングすることによって、吐出
口面81の保護と吐出口82からのインクの蒸発防止と
が行われる。
【0017】さらに、液体吐出装置としてのインクジェ
ット記録装置に搭載する液体吐出手段としてのインクジ
ェットヘッドの性能を維持するために、液体吐出ヘッド
3の吐出口面81に付着した液体(インク等)や固着物
等の異物を前記ワイパー14で拭き取り清掃(クリーニ
ング)するワイピング手段が設けられている。このワイ
ピング動作は、例えば、所定量の液体を吐出した後、液
体吐出手段を使用しない期間が所定時間経過した後、あ
るいは、液体吐出手段内の泡やごみを撤去するための吸
引動作を実行した後などに、吐出口82を含んだ吐出口
面81をワイパー14によって拭き取り清掃することに
よって行われる。その場合、該ワイパー14による清掃
能力を向上させるためにワイパーブレードが吐出口を通
過するときに吐出口82より液体(インク)を吐出する
(以後、予備吐出と呼ぶ)技術が適用される。
【0018】そこで、液体吐出装置に係る本発明によれ
ば、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生
するエネルギー発生素子と、該エネルギー発生素子が発
生するエネルギーを利用して液体を吐出する複数の吐出
口を順次ワイピングするワイパーと、前記複数の吐出口
のうち、前記ワイパーによるワイピングがなされる直前
の吐出口と前記ワイパーによるワイピングの方向に関し
て前記直前の吐出口の下流側近傍の吐出口とから、前記
エネルギー発生素子が発生するエネルギーを利用して液
体吐出を順次開始する制御手段と、を有することを特徴
とする液体吐出装置が提供される。
【0019】また、液体吐出装置の吐出回復方法に係る
本発明によれば、液体を吐出するために利用されるエネ
ルギーを発生するエネルギー発生素子が発生するエネル
ギーを利用して液体を吐出する複数の吐出口を、ワイパ
ーで順次ワイピングするワイピング工程と、前記複数の
吐出口のうち、前記ワイパーによるワイピングがなされ
る直前の吐出口と前記ワイパーによるワイピングの方向
に関して前記直前の吐出口の下流側近傍の吐出口とか
ら、前記エネルギー発生素子が発生するエネルギーを利
用して液体吐出を順次開始する吐出工程と、を含むこと
を特徴とする液体吐出装置の吐出回復方法が提供され
る。
【0020】本発明に係る液体吐出装置及び該装置の吐
出回復方法の特徴的な構成について、以下に詳細に説明
する。図3は本発明を適用した液体吐出装置におけるワ
イピング中のインク吐出の吐出周波数及び吐出口位置の
制御の状態を模式的に示す吐出手段(吐出ヘッド)の部
分縦断面図である。図3において、ワイパー(ブレー
ド)14が複数の吐出口82から成る吐出口列を通過し
ているときに所定位置の吐出口から所定周波数で液体
(インク)が吐出される。
【0021】すなわち、ワイパー14が吐出口面81に
沿ってワイピングしている最中のある時点で、吐出口面
81に形成された複数の吐出口82のうち、ワイパー1
4によるワイピングがなされる直前の吐出口82−1と
ワイパー14によるワイピングの方向(矢印A)に関し
て前記直前の吐出口82−1の下流側近傍の吐出口82
−2とから、エネルギー発生素子(例えば前記電気熱変
換体85)が発生するエネルギーを利用して液体吐出を
行うように、吐出口面81の吐出口列を構成する複数の
吐出口82のうちの所定位置の吐出口から所定の周波数
でインクを吐出する吐出動作を順次開始するように制御
される。さらに、必要に応じて、図3に示すように、前
記吐出口82−1、82−2からの吐出に加えて、ワイ
パー14の当接領域の吐出口82−3からの吐出あるい
はワイパー14が通過した直後までの吐出口82−4か
らの吐出を実行してもよい。
【0022】前記吐出口82−1、82−2からの吐出
は、ワイパー14と吐出口面81との空間に液体の対流
を発生させ維持させるためのものである。つまり、所定
の周波数で吐出口82から吐出される液体をワイパー1
4の表面に衝突させることにより、吐出液体をワイパー
14と吐出口面81との間で往復させ、それによって、
ワイパー14の先端部に拭き取られた(付着した)異物
を該ワイパー14の表面に沿って離隔方向へ押しやるこ
とで拭き取り性能を確実にするとともに、ワイパー14
の表面から跳ね返った液体(吐出されたばかりの清浄な
液体)を吐出口面81上へ再付着させて濡れ性を確保す
ることでワイピング性能を向上させることができる。
【0023】また、前記吐出口82−3からの吐出は、
吐出口内に液体の対流を発生させ、これを維持するため
のものである。このような吐出口内対流を発生させるこ
とで、吐出口内(液路内)の異物を攪拌して吐出口(入
口)近傍に滞留させ、異物がヘッド内部へ進入すること
を防止することができる。さらに、前記吐出口82−4
からの吐出は異物排出用の吐出であり、これにより、吐
出口内に存在したり進入した異物が存在する場合に、こ
れを確実に排出除去することができる。
【0024】すなわち、図3に示すような液体吐出装置
の吐出回復方法によれば、上記吐出口からのインク吐出
は、ワイパー14が当接する箇所(近傍)の吐出口の内
部及びワイパー14と吐出口面81との間において激し
い対流を起こして吐出口内及び吐出口近傍に存在する強
固な汚れやゴミ等を十分に攪拌することで、ワイパー1
4のワイピング動作(擦り動作)によるクリーニング効
果を向上させて確実なものにするとともに、ワイパー通
過後のインク吐出によって、前記強固な汚れやゴミ等を
吐出口内へ押し込むことなく確実に排出除去することが
可能になるような周波数でインクを吐出するように実行
される。
【0025】また、ワイパー14と吐出口面81との間
の隙間に生じた毛管力を利用して、吐出口面81全体に
環境温度よりもはるかに高い温度を有する吐出インクを
濡れわたらせることにより、増粘又は固着したインクを
再溶解させることで除去性(清掃効果)を高めることも
できる。以上のようなワイパー14による拭き取り性能
を向上させるために、必要な所定位置に存在する吐出口
から所定の条件で液体(インク)を吐出するように制御
されるものである。
【0026】また、本発明の実施例においては、インク
を吐出させる吐出口の位置を所定の領域内の吐出口に限
定することも行われる。図4はワイピング方向上流側の
所定範囲の吐出口のみからインクを吐出させる場合の作
用効果を概念的に示す吐出口面の部分正面図である。図
4において、吐出口列方向にワイピングを行う場合に
は、ワイピング速度を一定以下に保つことにより各吐出
口82からフレッシュなインクを引き出して吐出口面8
1を濡らしながらワイピングを行う。しかし、インク吐
出なしで前記インク濡れのみでワイピングを行う場合
は、フレッシュインクの行き渡る範囲は、図4中の曲線
aで示すように吐出口列のワイピング方向上流側では狭
くなってしまう。そこで、ワイピング方向上流側の所定
範囲の吐出口からのみインクを吐出させることにより、
図4中の曲線bで示すように、過度のインク吐出(過度
のインク消費)を伴うことなく、ワイピング後の清掃状
態が良好になることを保証することが可能なエリアを所
望範囲まで拡大することができる。
【0027】また、本発明の実施例においては、ワイパ
ー位置(ワイピング位置)によりインクを吐出させる吐
出口位置を変えていく制御をブロック単位で実行される
こともある。図5はワイピング中にインクを吐出する吐
出口の位置をブロック毎に制御する状態をワイパー14
の位置と共に模式的に示す側面図である。図5におい
て、吐出口面81をワイパー14でワイピングする際
に、該吐出口面81に形成された複数(例えば300箇
所)の吐出口82のうちワイピング方向Aに関して上流
側の所定領域(例えば上流側端部より120箇所、つま
り吐出エリア)の吐出口からインクを吐出するように設
定され、インクを吐出する複数(120箇所、吐出エリ
ア)の吐出口は複数の吐出ブロック(図示の例では5個
の吐出ブロック)x1 、x2 、x3 、x4 、x5 に分割
され、ワイパー14の位置に応じて各吐出ブロック毎に
吐出する吐出口位置を変えていくように制御される。図
5の(a)は上流側から2番目の吐出ブロックx2 から
インクを吐出しながらワイピングしているときを示し、
図5の(b)は上流側から4番目の吐出ブロックx4
らインクを吐出しながらワイピングしているときを示
す。
【0028】図5に示すように各ブロックx1 、x2
3 、x4 、x5 のうちワイパー14が通過するブロッ
クのみからインクを吐出するように制御することによ
り、インクの消費量の低減を図ることができ、かつ、ワ
イパー14に付着するインク量を最小限にとどめること
で装置本体のインク汚れを防止又は最小限に抑えること
ができる。なお、図5で説明した制御方法においては、
ワイパー14の位置及び通過時刻はワイピング速度によ
り変化するので、ワイピング駆動部と連動して(例えば
駆動用ステッピングモータのパルス数)に基づいて制御
することが好ましい。
【0029】また、本発明の実施例においては、ワイパ
ー(ワイパーブレード)14が吐出口列のワイピング方
向下流側にきたときにインクを積極的に吐出させるよう
に制御することも行われる。図6はワイパー14が吐出
口列のワイピング方向下流側にきたときにインクを吐出
する制御方法の一例を模式的に示す側面図であり、図7
はワイパー14が図6の位置から更に移動して吐出口面
81から離れる瞬間における該ワイパーからのインク飛
散の状態を図6の下流側領域でのインク吐出の有無に分
けて示す部分側面図であり、(a)は下流側でのインク
吐出が無い場合の状態を示し、(b)は下流側でのイン
ク吐出がある場合(図6参照)の状態を示す。図6の制
御方法においては、図5で説明したワイピング動作に加
えて、吐出口列のワイピング方向下流側端部の領域にも
吐出エリアを設け、該吐出エリアを2つの吐出ブロック
1 、y2 に分割し、ワイパー14がこれらの吐出ブロ
ックy1 、y2 を通過するときに、各吐出ブロック毎
に、通過する吐出ブロックのみからインクを吐出するよ
うに制御される。
【0030】本発明の実施例のようにワイピング中にイ
ンク吐出を行うとワイパーブレード14の先端に付着す
るインク量が多量となり、ワイパーブレード14が吐出
口面(吐出ヘッド)から離脱するときの当該ワイパーブ
レードの弾性復元力に起因するインク飛散量が増大し装
置本体をインクで汚す傾向が生じることがある。そこ
で、本発明の実施例においては、図6に示すように、ワ
イパーブレード14が吐出口列のワイピング方向下流側
にきたときにインクを吐出させることにより、図7の
(b)に示すように該ワイパーブレード14の先端部に
付着したインク(インク付着残り)cをワイパー表面に
沿って基部に向かって(図示の下方に)移動させ、それ
によって、ワイパー14がヘッド3(吐出口面81)か
ら離脱するときの付着インクcに作用する弾性復元力を
減少させ、インク飛び散りを低減させることができる。
なお、ワイパー14は、通常の場合、ヘッド3をワイピ
ングした後では不図示のインク吸収部材等によってクリ
ーニングされ、ワイピングにより付着した異物を除去さ
れる。
【0031】図8は、本発明を適用した液体吐出装置及
び該装置の吐出回復方法におけるワイピング動作時の吐
出口列からのインク吐出の一実施態様(吐出パターンの
一例)を示す図表である。図8において、縦軸は吐出口
列のワイピング方向上流側からの吐出口位置を順番で示
し、横軸はワイパー14が吐出口列の上流側端部に当接
した後の通過時間を示し、図表中の線Wはワイパー14
の吐出口列上における位置を示し、図表中の棒グラフは
ワイパー14の移動(通過時間又は吐出口列上の位置)
に応じてインク吐出する吐出口(吐出駆動される吐出
口)の位置すなわち吐出パターンを示す。図8の実施例
では、吐出口列は縦方向に直列配列された302個の吐
出口で構成され、ワイパー14が吐出口面に当接した後
(ワイピング開始から)、先ず上流側の40個の吐出口
でインク吐出が開始され、次いでワイパー14が40番
目の吐出口に当接する前に更に40番目〜80番目の吐
出口でインク吐出が開始されて合計で上流側の80個の
吐出口からインクが吐出される状態となる。
【0032】さらに、ワイパー14が80番目の吐出口
に当接するより所定時間前に80番目〜120番目の吐
出口でインク吐出が開始されて合計で上流側の120個
の吐出口からインクが吐出される状態となる。それ以降
では、ワイパー14の移動にも関わらずインク吐出する
吐出口の追加や位置変更はされず、吐出口列の上流側1
20個の吐出口からインクを吐出する状態のまま、吐出
口面のワイピング動作が行われる。また、本実施例で
は、各吐出口からのインク吐出は、ワイピング速度との
関係から、1KHzの周波数で5回(5発)行われてい
る。そして、各吐出口からのインク吐出は、図8中の棒
グラフで示すように、吐出期間中において、複数回の前
記インク吐出(1KHzの周波数での5回(5発)の吐
出動作)を間欠的に(所定の休止を挟んで)繰り返して
行うように制御されている。ワイピング速度(ワイパー
14の摺擦速度)は例えば約50mm/秒程度に設定さ
れる。
【0033】また、本発明の実施例においては、インク
が吐出しない程度のパルスを印加して吐出口内のインク
を温めてからワイピング動作に入ることも行われる。ワ
イピング中に吐出するインクの温度を予め環境温度より
高くしておくことにより、吐出口面81に付着している
増粘インクや固着インクの再溶解性を高めることがで
き、それによって、クリーニング効果を高めるととも
に、インク消費量の不必要な増加を防止することがで
き、さらに装置本体のインク汚れを軽減できるなどの効
果が得られる。なお、インク吐出を行わない吐出口につ
いても、インクが吐出しない程度のパルスを印加して該
吐出口内のインクの温度を環境温度より高くしておけ
ば、ワイピング中に吐出口から温度の高いインクが引き
出されることになり、それによっても、吐出口面81に
付着している増粘インクや固着インクの再溶解性を高め
ることができ、それによっも、クリーニング効果を高め
るとともに、インク消費量の不必要な増加を防止するこ
とができ、さらに装置本体のインク汚れを軽減できるな
どの効果が得られる。
【0034】また、本発明の実施例においては、ワイピ
ング動作の適用状況に応じて、ワイピング時のインク吐
出位置及びインク吐出条件などを適時変更することも行
われる。例えば、画像形成(記録)中に吐出ドット数
(吐出回数)をカウントし、カウント数が所定値を越え
たときにワイピングすることが行われる。吐出による吐
出口面81の温度が上昇すると吐出口から離れた位置に
付着したインク滴も増粘したり固着したりするが、吐出
ドット数のカウント数が所定値を越えたときにワイピン
グ方向上流部の吐出口からインクを吐出しながらワイピ
ングすることにより、良好な拭き取り清掃が可能となる
エリアを拡大させることができる。さらに、この場合
も、吐出しない程度のパルスを印加して吐出口内のイン
クを温めておけば、ワイピング時に環境温度より高い温
度のインクを吐出口から引き出すことにより、吐出口面
81に付着している増粘インクや固着インクの再溶解性
を高めることができ、一層良好なクリーニング(清掃)
を行うことが可能となり、また、良好な清掃を行い得る
領域を拡大することもできる。
【0035】図9は、前述のように画像形成中に吐出ド
ット数(吐出回数)をカウントし、カウント数が所定値
を越えたときにワイピングする場合の動作シーケンスを
例示するフローチャートである。図9において、ステッ
プS1でプリント中の吐出ドット数をカウントするとと
もに、ステップS2でカウント値が閾値を越えたか否か
を判別し、閾値を越えた場合にはステップS3へ進んで
インクが吐出しない程度のヘッド駆動パルスを印加す
る。次いで、ステップS4でワイピング動作を開始し、
ステップS5でワイパー14をヘッド3の吐出口列のワ
イピング方向上流側の位置に突入させるとともにステッ
プS6でワイピング方向上流側の所定エリア(吐出エリ
ア)内の吐出口からインクを吐出させる。ステップS7
でワイパー14が所定の吐出エリアを通過すると、ステ
ップS8で前記所定の吐出エリアでのインク吐出を終了
させる。そして、ステップ9でワイパー14がヘッド3
(吐出口面81)を通過すると、ステップS10におい
て、ステップS3で開始したインクが吐出しない程度の
ヘッド駆動パルスの印加を終了させる。そして、ステッ
プS10でプリント中の吐出ドット数のカウント値をリ
セットし、ワイピング動作を完了する。
【0036】また、一般的に、液体吐出装置としてのイ
ンクジェット記録装置においては、画像記録(印字等)
を終了した後すぐさまキャッピングする場合は、ワイピ
ングの主目的は放置前の吐出口面に付着しているインク
滴やゴミなどの拭き取り除去にあるので、通常の場合、
ワイピング中に吐出口からインクを吐出しなくてもよ
い。図10はこのような記録終了後すぐさまにワイピン
グするときの動作シーケンスを例示するフローチャート
である。図10において、ステップS101で画像形成
(記録)を終了した後、所定時間経過したところで(ス
テップS102)で、ステップS103のワイピングを
実行し、ワイピングを終了した後ステップS104でキ
ャッピングを行い、記録装置は待機状態に維持される
(保管状態に放置されることもある)。
【0037】液体吐出装置としてのインクジェット記録
装置が所定時間放置された後では、一般的には、放置に
より吐出口面81に残存しているインクの増粘が進行し
ているため、記録再開時などにキャップをオープンする
際、キャップオープン後にワイピングすることが必要で
ある。その場合、前述の実施例で説明したように、少な
くともワイピング方向上流部(上流側の領域)の吐出口
からインクを吐出しながらワイピングすることにより、
良好な清掃が可能になるエリアを拡大するような制御が
行われる。さらに、インク増粘がヘッド内部(液体吐出
手段の内部)にも起きている場合には、インクが吐出し
ない程度のパルスを印加することにより吐出口内のイン
クを温めてからワイピングすることにより、吐出口面の
拭き取り清掃を一層良好に行うことができる。さらにま
た、全ての吐出口(吐出口列の全領域)において、ワイ
パーブレード14の通過中にインクを吐出させることに
より、吐出口近傍のクリーニング効果(拭き取り清掃の
効果)を一層高めることが好ましい。
【0038】図11は、前述のように、所定時間放置し
た後に記録を再開するときなどで、キャップオープン後
にワイピングする場合のワイピング動作のシーケンス例
を示すフローチャートである。図11において、ステッ
プS201で画像記録ジョブの情報を受信すると、ステ
ップS202で前回の清掃動作より第1所定時間以上の
時間が経過しているか否かを判別する。未だ第1の所定
時間が経過していない場合は、ステップS205へジャ
ンプしてキャップをオープンし、ステップS206で画
像記録を開始する。ステップS202で第1所定時間以
上の時間が経過している場合は、ステップS203で前
回の清掃動作より第2所定時間以上の時間が経過してい
るか否かを判別する。第2所定時間以上が経過している
場合は、ステップS204で吸引回復処理、すなわちキ
ャッピング状態で吸引ポンプ等により全吐出口からイン
クを吸引して吐出口内のインクをリフレッシュする処理
を行い、その後、ステップS205でキャップをオープ
ンし、ステップS206で画像記録を開始する。
【0039】ステップS202の第1所定時間は経過し
ているが、ステップS203の第2所定時間は経過して
いない場合は、ステップS207へ進んで吐出口列を構
成する全ての吐出口に対して吐出しない程度のヘッド駆
動パルスを印加し、ステップS208でキャップをオー
プンし、ステップS209でワイピング動作を開始す
る。ワイピング動作が開始され、ステップS210でワ
イパー14が吐出口面81のワイピング方向上流側の部
位に突入し、ステップS211で吐出口列のワイピング
方向上流側の所定エリア(所定領域の吐出口)でインク
を吐出する。そして、ステップS212でワイパー14
が前記所定エリアを通過した後、ステップS213で前
記所定エリアにおけるインク吐出を終了する。さらにワ
イパー14が相対移動して、ステップS214で該ワイ
パーがインク吐出ヘッドを通過すると、ステップS21
5で吐出しない程度のヘッド駆動パルスの印加を終了
し、ステップS216で画像記録中の吐出ドットカウン
ト値をリセットする。その後、ステップS217で画像
記録を開始する。
【0040】液体吐出装置としてのインクジェット記録
装置などにおいては、ヘッドをはじめて装着する際に、
ポンプによりヘッド内の液体(クリアインク、インク)
を抜き取った直後に吐出口面に残存する液体(インク)
を除去するためにワイピングを行うことがある。すなわ
ち、物流時に過酷な環境に曝されたことが原因となっ
て、ヘッド内に充填された液体(クリアインク等)中に
不純物(封止剤や接着剤等の接液材料から溶出した添加
剤など)が溶出している恐れがあるため、不純物が溶出
した恐れのある液体がワイパーブレードの吐出口面との
接触部に残留することを防止する必要があり、そのた
め、本発明の実施例においては、前記液体がワイパーブ
レードの吐出口面との接触部に残留しないように、十分
な吸引動作によってヘッド内から液体を抜き取った後
に、インクを吐出しながら当該ワイパーブレードで吐出
口面をワイピングすることにより当該ワイパーブレード
に付着した前記液体を洗い流す操作が行われる。
【0041】図12は、ヘッドをはじめて装着する際
に、ポンプによりヘッド内の液体を抜き取った直後に吐
出口面に残存する液体を除去するため行われるワイピン
グ動作を説明するための模式的側面図である。図12に
示すヘッドをはじめて装着する場合のワイピングは、ワ
イパー14の位置(ワイピング位置)によりインクを吐
出させる吐出口位置をブロック単位で順次変えていくよ
うに制御されている。すなわち、図12において、吐出
エリアは吐出口面81に形成された吐出口列の全領域
(全範囲)に設定されており、この吐出口列は複数の吐
出ブロック(x1 、x2 、x3 ・・・・xi ・・・
15、x16)に分割され、ワイパー14を矢印A方向に
移動させてワイピングする際に各吐出ブロックxi ごと
にインクを吐出させながら拭き取り清掃していく。図1
2は上流側から2番目の吐出ブロックx2からインクを
吐出しながらワイピングしているときを示す。
【0042】図12に示すように複数の吐出ブロック
(x1 、x2 、x3 ・・・・xi ・・・x15、x16)の
うちワイパー14が通過するブロックのみからインクを
吐出するように制御することにより、インクの消費量の
低減を図ることができ、かつ、ワイパー14に付着する
インク量を最小限にとどめることで装置本体のインク汚
れを防止又は最小限に抑えることができる。なお、図1
2で説明した制御方法においても、ワイパー14の位置
及び通過時刻はワイピング速度により変化するので、ワ
イピング駆動部と連動して(例えば駆動用ステッピング
モータのパルス数)に基づいて制御することが好まし
い。
【0043】また、液体吐出装置としてのインクジェッ
ト記録装置などにおいては、画像記録中の吐出ドット数
をカウントし、カウント値が所定値を越えたら吸引回復
処理を行ったり、所定時間放置された後に吸引回復処理
を行うような制御が採用されることがある。このような
制御においては、吸引動作によってキャップ内にインク
が充満し、充満したインクによって吐出口面上の汚れや
増粘インクを十分に濡らすことができ、そのため、ワイ
ピング中に特にインクを吐出しなくても吐出口面を良好
にクリーニング(清掃)することができる。
【0044】さらに、液体吐出装置としてのインクジェ
ット記録装置などにおいては、例えばカラー記録装置の
ように、同一ヘッド吐出口面内に複数の異なる物性値を
有する液体(インク)を吐出させる吐出口(吐出口列)
を配置する場合がある。そのようなヘッドに対するワイ
ピング動作を行う場合には、ワイパーが通過する液体吐
出口部に応じて、液体吐出の条件を変えることにより一
層良好なワイピング性を確保することができる。
【0045】この吐出条件の切り換えは例えば次のよう
な態様で行われる。第1に、すなわち、粘度の高い液体
部では吐出しない程度のパルスを印加することで当該液
体の粘度を下げてからワイピングする。第2に、複数の
液体において染料インクと顔料インクが一列状の吐出口
にて混在している場合は、顔料インク側からワイピング
を行い、染料インク側をワイピングするときにインクを
吐出することにより、ワイパーブレード14に付着しや
すい顔料インク分を洗い流す。第3に、複数の液体にお
いて互いに反応性を有するインクが1列状の吐出口にて
混在している場合には、ワイピング方向下流側の液体に
なるほどワイピング中の液体吐出周波数を上げることに
より、反応性液体が吐出口内に侵入しないようにする。
【0046】図13は、カラーインクジェット記録装置
のように、同一ヘッド吐出口面内に複数の異なる物性値
を有する液体(インク)を吐出させる吐出口(吐出口
列)が配列されている場合に、ワイパー14の通過する
液体部に応じて吐出口の液体吐出の条件を変えるような
制御を行っている液体吐出手段(記録手段)を模式的に
示す図であり、(a)は液体吐出手段の縦断面図を示
し、(b)は液体吐出手段の吐出口面(正面)を示す。
図13の(b)に示すように、吐出口面81には、異な
る複数種類(4種類)の液体(液体A、液体B、液体
C、液体D)に対応して、それぞれの液体を吐出する複
数の吐出口列(液体A吐出口列、液体B吐出口列、液体
C吐出口列、液体D吐出口列)が形成されている。
【0047】一方、図13の(a)に示すように、各吐
出口列を構成する全吐出口はワイピング方向(矢印A方
向)に複数(3グループ)の吐出エリアに分割され、さ
らに各吐出エリアは複数の吐出ブロックに分割されてい
る。すなわち、図示の例では、各吐出口列とも、ワイピ
ング方向上流側から、液体A吐出エリア、液体B吐出エ
リア、液体C吐出エリアの3つの吐出エリアに分割さ
れ、ワイパー14がこれらの吐出エリアを通過するとき
には対応する種類の液体を吐出するように制御される。
そして、各吐出エリアは更に複数の吐出ブロックに分割
され、ワイパー位置による液体吐出のタイミングは吐出
ブロックごとに制御される。つまり、液体A吐出エリア
は吐出ブロクx1 、x2 、x3 、x4 、x5 に分割さ
れ、液体B吐出エリアは吐出ブロックy1 、y2
3 、y4 、y5 に分割され、液体C吐出エリアは吐出
ブロックz1 、z2 、z3 、z4 、z5 に分割され、ワ
イパー14の位置に応じてワイピング方向上流側からこ
れらの吐出ブロックごとに吐出位置を変更しながら吐出
口面81のワイピングが行われる。
【0048】なお、以上説明した実施例では、ワイパー
14が吐出口面81(記録ヘッド3)に沿って移動する
ことでワイピングする場合を例に挙げて説明したが、こ
れはワイパーに対して吐出口面を移動させる場合も同様
であり、本発明はワイパーと吐出口面が相対移動する場
合に適用されるものであり、いずれも本発明の範囲内に
含まれるものである。
【0049】また、以上の実施例では、インクジェット
記録ヘッド3を記録媒体(被記録材)Pに対して相対移
動させながら記録するシリアル記録方式の液体吐出装置
を例に挙げて説明したが、本発明は、記録媒体の全幅ま
たは一部をカバーする長さのラインタイプのインクジェ
ット記録ヘッドを用いて副走査のみで記録するライン記
録方式の液体吐出装置に対しても同様に適用することが
でき、同様の効果を奏するものである。また、本発明
は、1個のヘッドを用いる液体吐出装置、異なる色で記
録する複数のヘッドを用いるカラー液体吐出装置、ある
いは同一色彩で異なる濃度で記録する複数のヘッドを用
いる階調液体吐出装置、さらには、これらを組み合わせ
て画像記録を実行するための液体吐出装置の場合にも、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。
【0050】さらに、本発明は、ヘッドとインクタンク
を一体化した交換可能なインクカートリッジを用いる構
成、ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク
供給用のチューブ等で接続する構成など、ヘッドとイン
クタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用す
ることができ、同様の効果が得られるものである。な
お、本発明は、インクジェット記録装置が、例えば、ピ
エゾ素子等の電気機械変換体等を用いる画像記録手段を
使用するものである場合にも適用できるが、中でも、熱
エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段
を使用するインクジェット記録装置において優れた効果
をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高
密度化、高精細化が達成できるからである。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
の液体吐出装置(請求項1)によれば、液体を吐出する
ために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生
素子と、該エネルギー発生素子が発生するエネルギーを
利用して液体を吐出する複数の吐出口を順次ワイピング
するワイパーと、前記複数の吐出口のうち、前記ワイパ
ーによるワイピングがなされる直前の吐出口と前記ワイ
パーによるワイピングの方向に関して前記直前の吐出口
の下流側近傍の吐出口とから、前記エネルギー発生素子
が発生するエネルギーを利用して液体吐出を順次開始す
る制御手段と、を有する構成としたので、ワイピング中
のワイパーの位置に応じて吐出する吐出口の位置及び吐
出条件を制御することで、ワイピングの目的に応じて液
体吐出の位置や条件の最適化を図ることができ、液体の
消費を最小限に抑えながら、吐出口面を十分に清浄化す
ることができる液体吐出装置が提供される。
【0052】請求項2〜6の発明によれば、上記請求項
1の構成に加えて、前記制御手段は、前記複数の吐出口
のうち、前記ワイピングの方向に関して上流側の領域内
の吐出口に対して液体吐出を順次開始する構成、前記制
御手段は、前記複数の吐出口のうちの前記ワイピング方
向下流側の領域内の吐出口で液体吐出を行う構成、前記
制御手段は、前記複数の吐出口の全部もしくは一部を複
数の群に分けたとき、当該群毎に液体吐出を順次開始す
る構成、前記エネルギー発生素子は熱エネルギーを発生
する電気熱変換体である構成、あるいは、前記エネルギ
ー発生素子が発生する熱エネルギーにより液体に生じる
膜沸騰を利用して吐出口より液体を吐出させる構成とし
たので、一層効率よく上記効果を奏することができる。
【0053】本発明の液体吐出装置の吐出回復方法(請
求項7)によれば、液体を吐出するために利用されるエ
ネルギーを発生するエネルギー発生素子が発生するエネ
ルギーを利用して液体を吐出する複数の吐出口を、ワイ
パーで順次ワイピングするワイピング工程と、前記複数
の吐出口のうち、前記ワイパーによるワイピングがなさ
れる直前の吐出口と前記ワイパーによるワイピングの方
向に関して前記直前の吐出口の下流側近傍の吐出口とか
ら、前記エネルギー発生素子が発生するエネルギーを利
用して液体吐出を順次開始する吐出工程と、を含む構成
としたので、ワイピング中のワイパーの位置に応じて吐
出する吐出口の位置及び吐出条件を制御することで、ワ
イピングの目的に応じて液体吐出の位置や条件の最適化
を図ることができ、液体の消費を最小限に抑えながら、
吐出口面を十分に清浄化することができる液体吐出装置
の吐出回復方法が提供される。
【0054】請求項8〜10の発明によれば、上記請求
項7の構成に加えて、前記吐出工程は、前記複数の吐出
口のうち、前記ワイピングの方向に関して上流側の領域
内の吐出口に対してなされる構成、前記吐出工程は、前
記複数の吐出口のうちの前記ワイピング方向下流側の領
域内の吐出口で液体吐出を行う構成、あるいは、前記吐
出工程では、前記複数の吐出口の全部もしくは一部を複
数の群に分けたとき、当該群毎に液体吐出を順次開始す
る構成としたので、一層効率よく上記効果を奏すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した液体吐出装置としてのインク
ジェット記録装置の一実施例を示す模式的斜視図であ
る。
【図2】図1中の吐出手段としての記録ヘッドのインク
吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。
【図3】本発明を適用した液体吐出装置におけるワイピ
ング中のインク吐出の吐出周波数及び吐出口位置の制御
の状態を模式的に示す液体吐出手段の部分縦断面図であ
る。
【図4】ワイピング方向上流側の吐出口からインクを吐
出させる場合の濡れ領域をとしてしない場合と比較して
示す吐出口面の部分正面図である。
【図5】ワイピング中にインクを吐出する吐出口の位置
をブロック毎に制御する状態をワイパーの位置と共に模
式的に示す側面図である。
【図6】図6はワイパーが吐出口列のワイピング方向下
流側にきたときにインクを吐出する制御方法の一例を模
式的に示す側面図である。
【図7】図7はワイパーが図6の位置から更に移動して
ヘッドから離れる瞬間におけるインク飛散の状態を下流
側でのインク吐出の有無に分けて示す部分側面図であ
る。
【図8】本発明を適用した液体吐出装置及び該装置の吐
出回復方法におけるワイピング動作時の吐出口列からの
吐出パターンを例示する図表である。
【図9】画像形成中の吐出ドット数のカウント数が所定
値を越えたときにワイピングする場合の動作シーケンス
を例示するフローチャートである。
【図10】記録終了後のキャッピング前にワイピングす
るときの動作シーケンスを例示するフローチャートであ
る。
【図11】所定時間放置した後に記録を再開するときな
どでキャップオープン後にワイピングする場合の動作シ
ーケンス例を示すフローチャートである。
【図12】はじめて装着されたヘッドから液体を抜き取
った直後に吐出口面をワイピングする動作を説明するた
めの模式的側面図である。
【図13】複数の吐出口列を有するヘッド吐出口面をワ
イピングするときの状態を縦断面図及び正面図として示
す模式図である。
【符号の説明】
2 キャリッジ 3 液体吐出ヘッド(記録手段、記録ヘッド) 4 キャリッジ駆動機構 5 搬送機構(紙送り機構) 7 プラテン 8 カートリッジ 9 インクタンク 10 回復系(回復装置) 11 駆動ベルト 12 ガイドシャフト 13 キャップ 14 ワイパー(ワイパーブレード) 81 吐出口面 82 吐出口 83 共通液室 84 液路 85 エネルギー発生素子(電気熱変換体) P 記録媒体(被記録材、記録紙)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA14 EA16 EA25 EB38 EB49 EC07 EC11 EC22 EC23 EC24 EC43 FA03 FA10 JA13 JB02 JB04 JB15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するために利用されるエネ
    ルギーを発生するエネルギー発生素子と、 該エネルギー発生素子が発生するエネルギーを利用して
    液体を吐出する複数の吐出口を順次ワイピングするワイ
    パーと、 前記複数の吐出口のうち、前記ワイパーによるワイピン
    グがなされる直前の吐出口と前記ワイパーによるワイピ
    ングの方向に関して前記直前の吐出口の下流側近傍の吐
    出口とから、前記エネルギー発生素子が発生するエネル
    ギーを利用して液体吐出を順次開始する制御手段と、 を有することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記複数の吐出口の
    うち、前記ワイピングの方向に関して上流側の領域内の
    吐出口に対して液体吐出を順次開始することを特徴とす
    る請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記複数の吐出口の
    うちの前記ワイピング方向下流側の領域内の吐出口で液
    体吐出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の
    液体吐出装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記複数の吐出口の
    全部もしくは一部を複数の群に分けたとき、当該群毎に
    液体吐出を順次開始することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 【請求項5】 前記エネルギー発生素子は熱エネルギ
    ーを発生する電気熱変換体であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置。
  6. 【請求項6】 前記エネルギー発生素子が発生する熱
    エネルギーにより液体に生じる膜沸騰を利用して吐出口
    より液体を吐出させることを特徴とする請求項5に記載
    の液体吐出装置。
  7. 【請求項7】 液体を吐出するために利用されるエネ
    ルギーを発生するエネルギー発生素子が発生するエネル
    ギーを利用して液体を吐出する複数の吐出口を、ワイパ
    ーで順次ワイピングするワイピング工程と、 前記複数の吐出口のうち、前記ワイパーによるワイピン
    グがなされる直前の吐出口と前記ワイパーによるワイピ
    ングの方向に関して前記直前の吐出口の下流側近傍の吐
    出口とから、前記エネルギー発生素子が発生するエネル
    ギーを利用して液体吐出を順次開始する吐出工程と、 を含むことを特徴とする液体吐出装置の吐出回復方法。
  8. 【請求項8】 前記吐出工程は、前記複数の吐出口の
    うち、前記ワイピングの方向に関して上流側の領域内の
    吐出口に対してなされることを特徴とする請求項7に記
    載の液体吐出装置の吐出回復方法。
  9. 【請求項9】 前記吐出工程は、前記複数の吐出口の
    うちの前記ワイピング方向下流側の領域内の吐出口で液
    体吐出を行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の
    液体吐出装置の吐出回復方法。
  10. 【請求項10】 前記吐出工程では、前記複数の吐出
    口の全部もしくは一部を複数の群に分けたとき、当該群
    毎に液体吐出を順次開始することを特徴とする請求項7
    〜9のいずれかに記載の液体吐出装置の吐出回復方法。
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