JP3321934B2 - 免振支承体 - Google Patents

免振支承体

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JP3321934B2 JP27290693A JP27290693A JP3321934B2 JP 3321934 B2 JP3321934 B2 JP 3321934B2 JP 27290693 A JP27290693 A JP 27290693A JP 27290693 A JP27290693 A JP 27290693A JP 3321934 B2 JP3321934 B2 JP 3321934B2
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寛明 川上
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宏幸 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば建築物,道路用
桁,鉄道用桁等の構造物あるいは運転室,船舶等に入力
される振動を免振する免振支承体、または例えばモータ
ー、製造設備、重機、エンジン等の振動を他に伝え難く
するための免振支承体、あるいは基礎、架台等から入力
する振動を小さくするための除振用免振支承体に関し、
鉛直と水平の両方向の振動および回転方向の振動を同時
に免振することができる免振支承体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、防振支持装置としては、積層ゴム
や弾性ばねのような弾性部材と、エネルギーを吸収する
鋼性ダンパーや粘性ダンパー等を組み合わせた構造のも
のが知られており、この防振支持装置の場合は、鉛直と
水平の両方向の振動を免振している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記防振支持装置の場
合は、弾性ばねが建屋への入力振動に対してエネルギー
を吸収する能力が乏しいという欠点があるため、振幅を
抑えるダンパーを別途設けているが、前記従来の防振支
持装置は、以下に述べる欠点がある。鋼性ダンパーは大
きな減衰を持ち比較的安価であるが、小変形(降伏変形
以前)では減衰せず、かつ中小規模の振動に対する免振
効果が少ない。また粘性ダンパーは中小規模の免振効果
があるが、粘性体の寿命からメンテナンスの必要性があ
り、しかも高価である。さらにまた、ゲル状の物質と弾
性ばねとの複合体(例えば特開平1−182644号公
報参照)では、鉛直方向の振動に対しては、弾性ばねと
ゲルとの両者が作用するが、水平方向の振動に対して
は、弾性ばねの復元力に依存しているので、振動の減衰
が小さいという欠点がある。すなわち、従来の弾性部材
とダンパーとを組み合わせた構造の場合は、鉛直・水平
方向の振動の免振効果はあるが、回転方向振動に対して
は、弾性部材もダンパーも作用しないので、免振効果を
期待できないという欠点がある。また、例えば特開平1
−182644号公報に示されたゲル状の物質と弾性ば
ねとの複合体の場合も、鉛直方向にはゲル状の物質と弾
性ばねとの複合体として作用するが、水平方向および回
転方向振動に対しては作用しないので、免振効果を期待
できないという欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述の問題を有利に解決
するために、本発明の6方向の振動を免振できる免振支
承体は、固定支持部材1に、上部が開放されると共に横
断面円形の容器2を固定し、その容器2内に同心的に配
置した金属製つる巻きばね3の下端部を、前記容器2の
底板4に固定し、前記金属製つる巻きばね3の上端部を
可動支承部材5の下部に固定し、前記金属製つる巻きば
ね3内に同心的に配置された抵抗部材6の上部を、振動
体12を支持する可動支承部材5の下部に固定し、前記
容器2内に減衰液7を収容した免振支承体であって、横
断面円形の容器2における周壁板8の下部と底板4の周
囲との間に円弧状部9を設け、抵抗部材6の下端部の周
囲にも円弧状部10を設け、容器2における前記円弧状
部9と抵抗部材6の円弧状部10との間隔G、前記底板
4の平面部と抵抗部材6の下部平面部との間隔F、およ
び前記容器2の周壁板8と抵抗部材6との間隔Dを、ほ
ぼ等しい長さでそれぞれ一定にしたことを特徴とする。
【0005】
【実施例】次に本発明を図を参照して詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明の理解を助けるための参考例を示
す図で、図7〜図9は本発明の実施例を示す図である。
【0006】図1〜図3は第1参考例であって、コンク
リート基礎またはその他の固定支持部材1の上部に、上
部が開放されると共に横断面円形の金属製容器2の底板
4の外側部分がボルト11により固定され、可動支承部
材5の上部に、容器2の上方に配置された振動体12が
ボルト13により固定され、前記容器2内に同心的に配
置された金属製つる巻きばね3の下端部は、容器2の底
板4に対し溶接等により固着され、かつ金属製つる巻き
ばね3の上端部は可動支承部材5の下面に載置されて溶
接等により固着され、かつ前記可動支承部材5の中央部
に、金属製つる巻きばね3内に同心的に配置された抵抗
部材6の上端部が固定され、前記容器2内にシリコーン
ゲルからなる減衰液7が収容されている。
【0007】前記第1参考例の場合は、免振支承体14
が、1つの金属製つる巻きばね3と、1つの抵抗部材6
と、1つの容器2と、その中に収容された減衰液7とに
より構成され、複数の免振支承体14により可動支承部
材5が支持される。
【0008】したがって、複数の免振支承体14によっ
て金属製つる巻きばね3を浸漬させている減衰液7の特
性によって、その減衰液7を拘束することにより、減衰
液7の減衰性能を向上させることができ、その結果、6
方向の免振を有効に行うことができる。
【0009】図1に示すように、水平方向の減衰定数
は、横断面円形の容器2の周壁板8と抵抗部材6との距
離Dにより決定され、また鉛直方向の減衰定数は免振支
承体14の底板4と抵抗部材6の下端部との距離Eによ
り決定される。
【0010】図4〜図6は、同じく第2参考例を示すも
のであって、容器2の周壁板8を囲む外筒体15の上端
部が可動支承部材5の下部に固着され、前記外筒体15
の下部の外周に環状支承部材16の内周部分が固着さ
れ、前記容器2の底板4における周壁板8の外側に、前
記周壁板8の周囲方向に間隔をおいて複数本の予備圧縮
用ボルト17の下部が固着され、その予備圧縮用ボルト
17の上側部分は前記環状支承部材16の透孔に挿通さ
れ、前記予備圧縮用ボルト17に螺合されたナット18
により金属製つる巻きばね3が予備圧縮される。また可
動支承部材5の外周側に複数の透孔19が設けられると
共に、各透孔19の下部に位置する袋ナット20が可動
支承部材5に固着され、その可動支承部材5に載置され
た振動体12は、その振動体12の透孔と前記可動支承
部材5の透孔19に挿通されて袋ナット20に螺合され
たボルトにより、可動支承部材5に固定されるが、その
他の構成は、第1参考例の場合と同様である。
【0011】前記第1、第2の参考例の場合、抵抗部材
6の下端部の外形と容器2の内底部の形状が相異するの
で、両部材間の距離Eが当該抵抗部材6の直下部と周辺
部で変化している。つまり、既述のとおり、水平方向の
減衰定数と、また鉛直方向の減衰定数は、距離Dや距離
により決定されるが、地震時の振動は、上下方向、水
平方向、斜め方向の各方向の動きが合成されたもである
から、そのときの何れの方向に対する免震機能にもなる
べく差が少ない方が望ましい。つまり、抵抗部材6の直
下部から斜め下方部および水平周辺部にかけて抵抗部材
6の下端部の外面と容器2の内底面との間隔には差がな
い方がよい。
【0012】図7〜図9は本発明の実施例を示すもので
あって、前記第1と第2の参考例における前記抵抗部材
6と容器2内面の各部との間隔の差の問題が解決されて
いる。すなわち、本発明では、横断面円形の容器2にお
ける周壁板8の内面下部と底板4の内面周囲との間に円
弧状部9が設けられ、抵抗部材6の下端部の周囲にも前
記容器2の内面における円弧状部9と同じ曲率の円弧状
部10が設けられ、前記容器2における円弧状部9と抵
抗部材6の下端部の円弧状部10との間隔Fおよび容器
2の底板4の内側平面部と抵抗部材6の下部平面部との
間隔Gが、ほぼ等しくなるように構成されている。その
他の構成は、第1参考例と同じであるので、同等要素に
同一符号を付して説明に代える。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、固定支持部材1に、上
部が開放されると共に横断面円形の容器2を固定し、そ
の容器2内に同心的に配置した金属製つる巻きばね3の
下端部を、前記容器2の底板4に固定し、前記金属製つ
る巻きばね3の上端部を可動支承部材5の下部に固定
し、前記金属製つる巻きばね3内に同心的に配置された
抵抗部材6の上部を、振動体12を支持する可動支承部
材5の下部に固定し、前記容器2内に減衰液7を収容し
た免振支承体であって、横断面円形の容器2における周
壁板8の下部と底板4の周囲との間に円弧状部9を設
け、抵抗部材6の下端部の周囲にも円弧状部10を設
け、容器2における前記円弧状部9と抵抗部材6の円弧
状部10との間隔G、前記底板4の平面部と抵抗部材6
の下部平面部との間隔F、および前記容器2の周壁板8
と抵抗部材6との間隔Dを、ほぼ等しい長さでそれぞれ
一定にしたことにより、免振支承体を構成している金属
製つる巻きばね3と容器2と抵抗部材6と減衰液7と
が、同時に鉛直と水平の両方向の振動および回転方向の
振動を免振するため、効率よく6方向の振動に対して、
その振動を免振することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例に係る6方向の振動を免振できる免
振支承体を示す一部縦断側面図である。
【図2】図1に示す部分の平面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】第2参考例に係る6方向の振動を免振できる免
振支承体を示す一部縦断側面図である。
【図5】図4に示す部分の平面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】本発明の実施例に係る6方向の振動を免振でき
る免振支承体を示す一部縦断側面図である。
【図8】図7に示す部分の平面図である。
【図9】図7のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1 固定支持部材 2 容器 3 金属製つる巻きばね 4 底板 5 可動支承部材 6 抵抗部材 7 減衰液 8 周壁板 9 円弧状部 10 円弧状部 11 ボルト 12 振動体 13 ボルト 14 免振支承体 15 外筒体 16 環状支承部材 17 予備圧縮用ボルト 18 ナット 19 透孔 20 袋ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 寛明 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 稲葉 一樹 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 田中 宏幸 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−107843(JP,A) 実開 平4−6433(JP,U) 実開 昭57−75242(JP,U) 実開 昭63−51952(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/023 F16F 15/06 E04H 9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定支持部材1に、上部が開放されると
    共に横断面円形の容器2を固定し、その容器2内に同心
    的に配置した金属製つる巻きばね3の下端部を、前記容
    器2の底板4に固定し、前記金属製つる巻きばね3の上
    端部を可動支承部材5の下部に固定し、前記金属製つる
    巻きばね3内に同心的に配置された抵抗部材6の上部
    を、振動体12を支持する可動支承部材5の下部に固定
    し、前記容器2内に減衰液7を収容した免振支承体であ
    って、横断面円形の容器2における周壁板8の下部と底
    板4の周囲との間に円弧状部9を設け、抵抗部材6の下
    端部の周囲にも円弧状部10を設け、容器2における前
    記円弧状部9と抵抗部材6の円弧状部10との間隔G、
    前記底板4の平面部と抵抗部材6の下部平面部との間隔
    F、および前記容器2の周壁板8と抵抗部材6との間隔
    Dを、ほぼ等しい長さでそれぞれ一定にしたことを特徴
    とする6方向の振動を免振できる免振支承体。
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