JP3174860B2 - 免震装置及びこの装置が設けられてなる軽重量構造物の免震構造 - Google Patents

免震装置及びこの装置が設けられてなる軽重量構造物の免震構造

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JP3174860B2
JP3174860B2 JP22366198A JP22366198A JP3174860B2 JP 3174860 B2 JP3174860 B2 JP 3174860B2 JP 22366198 A JP22366198 A JP 22366198A JP 22366198 A JP22366198 A JP 22366198A JP 3174860 B2 JP3174860 B2 JP 3174860B2
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茂 平野
萩原  浩
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株式会社一条工務店
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震の振動を減衰
させ、該地震の振動から建物を保護するために使用され
る免震装置及びこの免震装置が設けられてなる戸建住宅
等の軽重量構造物の免震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、従来から地震による振動か
ら建物を保護するための免震装置としては、ゴム板と鉄
板とを交互に重ね合わせた積層ゴムにより上部構造物を
下方から支持するものが提案され、一部では実用されて
いる。しかしながら、こうした構造の免震装置では、高
層ビル等のようなコンクリート建物等の重量構造物に適
用される場合には効果的である一方、戸建住宅等の軽重
量構造物の免震を図る場合には、必ずしも効果的ではな
い。一方、こうした軽重量構造物の免震を図る上で上記
積層ゴムを利用した免震装置よりも効果的な免震装置と
して、地盤側に固定された下部支承板と、建物側に固定
された上部支承板との間に1個又は複数個の球体を配設
し、この球体を地震により上記下部支承板上及び上部支
承板下で転動させる構造の免震装置が提案されている。
【0003】ところで、こうした球体を構成要素とした
免震装置を戸建住宅等の軽重量構造物に用いる場合、振
幅ストロークが長い地震であっても効果的な免震機能を
期待する場合には、上記球体が載置されている下部支承
板と上部支承板の長さや幅又は径を長尺に設計すれば良
い。しかしながら、これら下部支承板や上部支承板を長
尺の物とする場合には、コスト高となるばかりではな
く、住宅の敷地面積は限られているとともに、隣接する
家屋や塀その他の構造物との距離を考慮すると、無制限
に長尺な装置とすることは事実上不可能である。したが
って、予想される地震の振幅ストロークに対応できる一
定の範囲又は限界を設け、その範囲又は限界以上の振幅
ストロークを有する地震が生じた場合であっても、球体
が下部支承板又は上部支承板から脱落することを防止す
る必要がある。そこで、このように地震の振幅ストロー
クに対応できる一定の範囲又は限界を設け、その範囲以
上の振幅ストロークを有する地震が発生した場合でも、
球体が脱落することがない構造を備えた従来の免震装置
として、例えば、特開平6−158912号記載の免震
装置が提案されている。この免震装置は、下部支承板
(球体ケース1B)の上面外周縁と上部支承板(球体ケ
ース1A)の下面外周縁とからそれぞれ起立し又は垂下
してなるストッパ部(内壁10)が形成され、また、該
下部支承板と上部支承板とが相対的に水平移動するのを
一定の範囲で規制する多数の引っ張りバネ6が構成要素
とされている。したがって、こうした構成からなる従来
の免震装置によれば、地震の振動により、間に備えた球
体の転動を介して相対的に下部支承板と上部支承板とが
水平移動を開始し、やがて球体がストッパ部まで到る
と、該ストッパ部によりそれ以上下部支承板と上部支承
板との水平移動が規制される。また、こうした下部支承
板と上部支承板との水平移動は、上記多数の引っ張りバ
ネの弾性力によっても規制されるとともに、該引っ張り
バネは、この免震装置が地震発生以前の状態に復帰させ
る復元力としても作用する。また、上述したように、予
想される地震の振幅ストロークに対応できる一定の範囲
又は限界を設け、その範囲又は限界以上の振幅ストロー
クを有する地震が生じた場合には、免震効果を制約する
方法として、免震装置の設置位置とは離れた位置に、ダ
ンパーやストッパ等を設けたものも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平6−158912号記載の免震装置では、免震
可能な範囲を越える振幅ストロークの地震が発生した場
合には、球体がストッパに衝突することとなり、衝撃の
度に大きな衝撃音が発生することとなる。また、この免
震装置では、多数の引っ張りバネによっても下部支承板
と上部支承板との相対的な水平移動を規制する作用を有
するが、引っ張りバネの弾性率をどのように設定するか
は技術的に困難であり、取替え作業にも手間がかかるこ
ととなる。また、免震装置の設置位置とは離れた位置に
ダンパーやストッパを設ける場合には、あらゆる方向の
地震動に対応しなければならないことを考慮すると、多
数設置する必要があるとともに、施工上も工期が大幅に
延長され又コスト高となり、実際上は採用することがで
きない。
【0005】そこで、本発明は、上述した従来の免震装
置等が有する種々の課題を解決するために提案されたも
のであって、予想される地震の振幅ストロークに対応で
きる一定の範囲又は限界を設けつつも、地震による振動
により大きな衝撃音の発生を有効に低減することができ
るとともに取替え作業にも大きな手間を必要とせず、さ
らには、工期の著しい延長を招くことがなく、価格も抑
制することができる画期的な免震装置及びこの免震装置
が設けられてなる軽重量構造物の免震構造を提供するこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたものであり、第1ないし第
発明は、免震装置であり、第の発明は軽重量構造物の
免震構造である。そこで、この第1の発明(請求項1記
載の発明)は、地盤側に固定される下部支承板と、この
下部支承板上に転動可能に戴置されてなる球体と、この
球体に支持されてなり該球体を挟んで上記下部支承板の
上方に固定され軽重量構造物側に固定される上部支承板
と、上記下部支承板の上面及び/又は上部支承板の下面
に形成されてなるとともに上記球体を囲むリング状のス
トッパ部と、このストッパ部の内周面に固定されゴム又
は弾性発泡体からなるとともにリング状に成形された一
方の衝撃吸収体と、を備えてなり、上記下部支承板の外
周面から上記上部支承板の外周面には、ほぼ筒状に成形
され、周回り方向に弛み部が形成された他方の衝撃吸収
体が固定されてなることを特徴するものである。
【0007】なお、上記第1の発明を構成する一方の衝
撃吸収体又は他方の衝撃吸収体の材料として、例えば、
天然ゴム(ラテックスゴム)や、スチレンゴム,ブタジ
エンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,クロロプレンゴ
ム,ブチルゴム,ニトリルゴム,エチレン−プロピレン
ゴム,アクリルゴム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,
フッ素ゴム,多硫化ゴム等の合成ゴムや、或いは熱可塑
性エラストマーを使用することができる。この熱可塑性
エラストマーとしては、オレフィン軽エラストマー(ポ
リエチレンエラストマー,ポリプロピレンエラストマ
ー),アミド系エラストマー(ポリアミドエラストマ
ー),スチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン
−スチレンコポリマー,スチレン−イソプレン−スチレ
ンコポリマー,スチレン−エチレンブチエン−スチレン
コポリマー),ポリウレタン,ウレタン系エラストマー
を使用することができる。また、このウレタン系エラス
トマーとしては、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン,
熱可塑性ポリエステルポリウレタン等の熱可塑性ポリウ
レタンをげることができる。なお、こうしたゴムとし
て、より具体的には、内外ゴム株式会社の製造に係る商
標「ナネナイト」や第一電工株式会社の製造に係る商標
「ハプラゲル」を使用しても良い。また、他の材料とし
ては、スポンジ状のポリウレタン多孔質体,ポリビニル
ポルマール多孔質体や或いは、ウレタンフォーム,セル
ロースフォーム,ナイロンフォーム等の弾性発泡体を使
用することができる。こうした弾性発泡体として、より
具体的には、株式会社ケーシーシー商会の販売に係るポ
リウレタンフォームを材料とした商標「メモリーフォー
ム」を使用しても良い。また、前記他方の衝撃吸収体に
は、周回り方向に弛み部が形成されているが、この弛み
部は、他方の衝撃吸収体の周回り方向に形成されていれ
ば良く、その数は単数であっても複数であっても良く、
例えば複数形成されたものとしては蛇腹状に成形されて
なるものであっても良い。
【0008】
【0009】
【0010】また、第の発明(請求項記載の発明)
は、上記第1の発明において、前記他方の衝撃吸収体
は、最も内側に配設されてなりゴムにより一体成形され
た第1の衝撃吸収体と、この第1の衝撃吸収体の外側に
配設され該第1の衝撃吸収体よりも硬度の高いゴムによ
り一体成形されてなる第2の衝撃吸収体と、この第2の
衝撃吸収体の外側に配設され該第2の衝撃吸収体よりも
さらに硬度が高いゴムにより一体成形されて成る第3の
衝撃吸収体と、から構成されてなることを特徴とするも
のである。
【0011】なお、この第の発明を構成する第1の衝
撃吸収体,第2の衝撃吸収体及び第3の衝撃吸収体であ
るそれぞれ材料は、前述したゴムの中から、硬度の異な
る三つを適宜抽出し、それらのゴムを各衝撃吸収体の系
方向に任意の順に配設すれば良い。そして、最も硬度が
低い第1の衝撃吸収体として使用できるゴムの種類は、
第2及び第3の衝撃吸収体の材料との関係で相対的に決
定されるものであるが、例えばウレタンゴム,アクリル
ゴム,フッ素ゴム等を使用することができる。また、第
1の衝撃吸収体の材料を上記各ゴムとした場合におい
て、第2の衝撃吸収体の材料として使用できるゴムの種
類は、例えば、ニトリルゴム,ブチルゴム,エチレンプ
ロピレンゴム等を使用することができ、さらに第3の衝
撃吸収体の材料として使用できるゴムとしては、天然ゴ
ム,スチレンゴム,シリコンゴム或いは熱可塑性エラス
トマーや前記第一電工株式会社の製造に係る商標「ハプ
ラゲル」を使用することもできる。
【0012】また、第の発明(請求項記載の発明)
は、上記第1又は第の発明において、前記他方の衝撃
吸収体は、前記ストッパ部の外周面に固定されてなるこ
とを特徴とするものである。
【0013】また、第の発明(請求項記載の発明)
は、軽重量構造物の免震構造であって、前記第1乃至第
の発明に係る免震装置の何れかが設けられてなること
を特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る免震装置及び
この免震装置が設けられた軽重量構造物の免震構造の各
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。先ず、本発明に係る免震装置が用いられる軽重量構
造物の免震構造について、簡単に説明し、次いで、この
免震構造に用いられている免震装置について詳細に説明
する。この免震構造は、図1に示すように、地盤である
基礎コンクリートA上に円盤状の図示しないベース板が
アンカーボルトにより固定され、このベース板上に第1
の実施の形態に係る免震装置1を構成する下部支承板2
(図1中には図示していない)が固定され、この下部支
承板2の上面には間に後述する球体5(図1中には図示
していない)が介され後述する第1の土台の下面に固定
された上部支承板3が設けられている。すなわち、本実
施の形態においては、本発明を構成する免震装置1は、
上記ベース板に固定された下部支承板2と、球体5と、
軽重量構造物を構成する土台に固定された上部支承板3
とから構成されている。そして、上記上部支承板3の上
面には、第1の土台としてのH型鋼SがボルトN,N,
Nにより固定され、このH型綱Sの上面には第2の土台
である木製土台Wが固定されている。そして、この木製
土台Wの上面に図示しない柱が起立させられ、全体とし
て軽重量構造物を構成している。したがって、地震が発
生した場合には、地盤である基礎コンクリートAとベー
ス板と下部支承板2とが振幅し、この下部支承板2の振
幅に伴い図示しない球体が転動することから、該振幅が
上部支承板3に伝達されず、その結果H型綱S,木製土
台W及び図示しない柱を含めた軽重量構造物全体が地震
動から保護される。なお、図1では、上述した構成に係
る免震装置1は、1つのみ記載されているに過ぎない
が、木製土台Wと木製土台Wとが交差する各部位の下方
にそれぞれ設けるものとし、軽重量構造物全体をこれら
の免震装置1で支持するものとする。
【0015】次に、上述した第1の実施の形態に係る免
震装置1について詳細に説明する。この免震装置1は、
図2及び図3に示すように、図示しないボルトにより上
記基礎コンクリートA上に固定された図示しないベース
板にボルト4,4により固定された下部支承板2と、こ
の下部支承板2の上面に転動可能に載置されてなる球体
5と、軽重量構造物を構成する第1の土台としてのH型
鋼Sの下面に上面が固定されてなるとともに上記球体5
に支持されてなる上部支承板3と、該下部支承板2から
上部支承板3の外周面に亘って固定されてなる第他方の
衝撃吸収体6と、を備えている。
【0016】上記下部支承板2は鉄により円盤状に成形
されてなり、外周縁側には、上記ボルト4,4が挿通さ
れる挿通孔(符号は省略する。)が形成されている。そ
して、上記下部支承板2の上面には、上記球体5を囲む
ように一方のストッパ部7が固定されている。この一方
のストッパ部7は、地震の際に地盤である基礎コンクリ
ートAが振幅したときに、上記球体5が上記下部支承板
2の上面から脱落するのを防止するための部材であり、
図3に示すように、鉄によりリング状に成形され、上記
下部支承板2の上面にリング状に形成された溝部2a内
に嵌合されている。そして、上記一方のストッパ部6の
内周面には、本発明を構成する一方の衝撃吸収体8が接
着されている。この一方の衝撃吸収体8は、地震の際に
下部支承板2の振幅ストロークが最大許容範囲に達し、
上記球体5が上記一方のストッパ部7にに衝突して大き
な衝撃音と震動が発生するのを防止するための部材であ
り、図2に示すように、全体形状がリング状に成形され
てなるとともに、本実施の形態においては弾性発泡体で
あるウレタンフォームにより成形されている。そして、
上記下部支承板2の上面であって上記一方の衝撃吸収体
8の内側には、上記球体5が載置されている。この球体
5は、鉄により成形され、地震の際に地盤である基礎コ
ンクリートAが水平方向に振幅したときに、上記下部支
承板2の上面を転動し、戸建住宅等の軽重量構造物に地
震動が伝達されることが無いよう構成されている。
【0017】次に、上部支承板3について説明する。こ
の上部支承板3は、上記球体5により支持されてなると
ともに上面は上記H型鋼SにボルトN,N,Nにより固
定されている。そして、上記上部支承板3は、上記下部
支承板2と同様に鉄により円盤状に成形されている。ま
た、上記上部支承板3の下面は、地震が終息した時に上
記軽重量構造物を元に位置に復元させるため、図3に示
すように、円錐状の凹面3aとされている。そして、上
記上部支承板3の下面には、上記下部支承板2と同様
に、リング状の溝部3bが形成され、この溝部3b内に
は他方のストッパ部9が嵌合されている。この他方のス
トッパ部9は、上記一方のストッパ部7同様に、鉄によ
りリング状に成形されている。そして、上記他方のスト
ッパ部9の内周面には、前記一方のストッパ部7と同じ
ように一方の衝撃吸収体10が接着されている。この一
方の衝撃吸収体10は、地震の際に下部支承板2の振幅
ストロークが最大許容範囲に達し、上記球体5が上記他
方のストッパ部9にに衝突して大きな衝撃音と震動が発
生するのを防止するための部材であり、リング状に成形
されてなり、ウレタンフォームにより成形されている。
【0018】そして、上記下部支承板2の外周面から上
部支承板3の外周面に亘って、本発明に係る他方の衝撃
吸収体6が固定されている。この他方の衝撃吸収体6
は、地震により上記下部支承板2が振幅した時に伸縮
し、該下部支承板2の振幅ストローク及び振幅スピード
を抑制し、上記球体5に支持されている構造物に伝達さ
れる震動や衝撃を大幅に抑制するための部材である。そ
して、この他方の衝撃吸収体6は、本実施の形態におい
ては、天然ゴムにより、ほぼ筒状に成形されてなり、図
3に示すように、弛み部6aと、下端側固定部6bと、
上側固定部6cとから構成されている。そして、上記下
側固定部6bは、上記下部支承板2の外周面に固定され
る部位であり、後述するボルトが挿通される図示しない
挿通孔が形成されている。また、上記上側固定部6c
は、上記上部支承板3の外周面に固定される部位であ
り、上記下側固定部6bと同様に後述するボルトが挿通
される図示しない多数の挿通孔が形成されている。ま
た、上記弛み部6aは、この他方の衝撃吸収体6の周回
り方向に形成されてなるとともに外側に円弧状に膨出し
た状態で形成されている。そして、この他方の衝撃吸収
体6を構成する下側固定部6bの外周面には、一方の締
結部材11が嵌着されている。この一方の締結部材11
は、鉄によりリング状に成形されてなり多数のボルト1
2が挿通される図示しない挿通孔が形成されている。ま
た、上記他方の衝撃吸収体6を構成する上側固定部6c
の外周面には、他方の締結部材13が嵌着されている。
この他方の締結部材13は、鉄によりリング状に成形さ
れてなり多数のボルト14が挿通される図示しない挿通
孔が形成されている。すなわち、上記他方の衝撃吸収体
6は、上記一方及び他方の締結部材11,13を介し
て、上記多数のボルト12,14により上記下部支承板
2及び上部支承板3の外周面に固定されている。
【0019】次に、この免震装置1の作用及び効果につ
いて説明する。図7は、地震動による上記球体5の変位
量δと、上記球体5に支持されている構造物にかかる荷
重Pとの関係を示すグラフ40である。地震発生直後で
は、球体5と下部支承板2及び上部支承板3との抵抗に
より構造物に僅かの荷重がかかるが、さらに地盤側(数
支承板2)が変位すると、球体5の転動が開始され、該
変位が他方の衝撃吸収体6を構成する弛み部6aの弛み
の範囲内である場合には、構造物には荷重δは変わらな
い。すなわち、図7中アとして示す範囲については、地
震発生直後を除いて有効に免震され構造物には荷重Pが
かからない。そして、さらにこの他方の衝撃吸収体6の
弛み部6aの範囲を越えて地盤側が変位した場合には、
徐々に該他方の衝撃吸収体6が、図4に示すように、伸
長にされる。この他方の衝撃吸収体6の伸長により、該
他方の衝撃吸収体6を介して徐々に構造物に荷重Pがか
かる。したがって、この他方の衝撃吸収体6の弾性力に
より、構造物には、やや荷重Pがかかるものの、球体5
と一方及び他方のストッパ部7,9との衝撃力は緩和さ
れる。しかも、これら一方及び他方のストッパ部7,9
には、一方の衝撃吸収体8,10が固定されているの
で、より一層球体5と一方及び他方のストッパ部7,9
との衝撃力は緩和される。
【0020】したがって、この免震装置1によれば、建
物の敷地面積その他の理由により、下部支承板2や上部
支承板3の面積を小さいものとした場合に、振幅ストロ
ークが長い地震が発生した場合には、上記一方の衝撃吸
収体8,10により、球体5と一方及び他方のストッパ
部7,9との衝突が緩和できるとともに、上記他方の衝
撃吸収体6により、やや免震効果は低減することとなる
が、大きな衝撃乃至は衝撃音の発生を充分回避すること
が可能となるとともに、該球体5が一方及び他方のスト
ッパ部7,9から脱落する危険性も回避することができ
る。特に、上記実施の形態においては、他方の衝撃吸収
体6には、弛み部6aが形成されていることから、振幅
ストロークが短い場合には、何ら免震効果を低減させる
ことにはならない。また、この免震装置1では、上述し
た作用効果は、この免震装置1の構成要素により実現で
きるものであり、従来の免震構造のようにダンパ等を別
個に施工する必要がないので施工コストを大幅に削減す
ることができ、従来高価なものとされた免震住宅を低廉
な価格で購入者に提供することが可能となる。加えて、
上記衝撃吸収体6は、上記下部支承板2の外周面から上
部支承板3の外周面に亘って固定されているので、該下
部支承板2と上部支承板3との隙間に埃や塵、砂塵等の
異物が侵入する危険性がなく、上記球体5のスムーズな
転動を維持することができる。
【0021】次に、第2の実施の形態に係る免震装置2
0について説明する。この免震装置20は、図5に示す
ように、図示しないベース板に固定されてなる下部支承
板21と、この下部支承板21の上面に転動可能に載置
されてなる球体22と、この球体22に支持されてなる
上部支承板23と、該下部支承板21から上部支承板2
3の外周面に亘って固定されてなる第1乃至第3の衝撃
吸収体24,25,26を備えている。
【0022】上記下部支承板21は鉄により円盤状に成
形されてなり、上面には、ボルト27,27が挿通され
る挿通孔(符号は省略する)が形成されている。そし
て、上記下部支承板21の上面には、上記球体22を囲
むように鉄によりリング状に成形された一方のストッパ
部28が該下部支承板21の上面にリング状に形成され
た溝部21a内に嵌合されている。そして、上記一方の
ストッパ部28の内周面には、ナイロンフォームにより
リング状に成形されてなる一方の衝撃吸収体29が接着
されている。そして、上記下部支承板21の上面であっ
て上記一方の衝撃吸収体29の内側には、鉄で成形され
た上記球体22が載置されている。次に上部支承板23
について説明する。この上部支承板23は、上記球体2
2により支持されてなるとともに上面は上記H型鋼Sに
ボルトN,N,Nにより固定されている。そして、上記
上部支承板3は、上記下部支承板21と同様に鉄により
円盤状に成形されてなり、下面には、円錐状の凹面23
aが形成されている。また、上記上部支承板3の下面に
は、上記下部支承板21と同様に、リング状の溝部23
bが形成され、この溝部23b内には鉄によりリング状
に成形されてなる他方のストッパ部30が嵌合されてい
る。そして、上記他方のストッパ部30の内周面には、
一方の衝撃吸収体31が接着されている。
【0023】そして、上記下部支承板21の外周面から
上部支承板23の外周面に亘って、第1乃至第3の衝撃
吸収体24,25,26が固定されている。なお、この
第1乃至第3の衝撃吸収体24,25,26は、本発明
を構成する他方の衝撃吸収体である。そして、上記第1
の衝撃吸収体24は、伸縮自在の天然ゴムにより、ほぼ
筒状に成形されてなり、図5に示すように、第1の弛み
部24aと、第1の下側固定部24bと、第1の上側固
定部24cとから構成されている。そして、上記第1の
下側固定部24bは、上記下部支承板21の外周面に固
定される部位であり、図示しないボルトが挿通される図
示しない挿通孔が形成されている。また、上記第1の上
側固定部24cは、上記上部支承板23の外周面に固定
される部位であり、上記第1の下側固定部24bと同様
に図示しないボルトが挿通される図示しない多数の挿通
孔が形成されている。また、上記第1の弛み部24a
は、上記下部支承板21の変位により一番最初に伸張す
る部位であり、上記球体22が自由に転動できる範囲を
確保するためものものであり、外側に円弧状に膨出され
ている。また、上記第2の衝撃吸収体25は、ほぼ筒状
に成形されてなり、図5に示すように、第2の弛み部2
5aと、第2の下側固定部25bと、第2の上側固定部
25cとから構成されている。なお、この第2の衝撃吸
収体25は、上記第1の衝撃吸収体24よりも硬度が高
いニトリルゴムにより成形されてなるとともに該第1の
衝撃吸収体24よりもやや拡径されたものである。そし
て、上記第2の下側固定部25bは、上記第1の衝撃吸
収体24を構成する第1の下側固定部24bを介して上
記下部支承板21の外周面に固定される部位であり、上
記図示しないボルトが挿通される図示しない挿通孔が形
成されている。また、上記第2の上側固定部25cは、
上記第1の衝撃吸収体24を構成する第1の上側固定部
24cを介して上記上部支承板23の外周面に固定され
る部位であり、上記第2の下側固定部25bと同様に上
記図示しないボルトが挿通される図示しない多数の挿通
孔が形成されている。また、上記第2の弛み部25a
は、上記下部支承板21の振幅ストロークの増加に追随
して上記第1の弛み部24aとともに該第1の弛み部2
4aの次に伸張する部位であり、上記球体22が自由に
転動できる範囲を確保するためのものであり、外側に円
弧状に膨出されている。
【0024】そして、上記第3の衝撃吸収体26は、ほ
ぼ筒状に成形されてなり、図5に示すように、第3の弛
み部26aと、第3の下側固定部26bと、第3の上側
固定部26cとから構成されている。なお、この第3の
衝撃吸収体26は、上記第2の衝撃吸収体25よりも硬
度がさらに高いウレタンゴムにより成形されてなるとと
もに該第2の衝撃吸収体25よりもさらに拡径されてい
る。そして、上記第3の下側固定部26bは、上記第1
の衝撃吸収体24を構成する第1の下側固定部24b及
び上記第2の衝撃吸収体25を構成する第2の下側固定
部25bを介して上記下部支承板21の外周面に固定さ
れる部位であり、上記図示しないボルトが挿通される図
示しない挿通孔が形成されている。また、上記第3の上
側固定部26cは、上記第1の衝撃吸収体24を構成す
る第1の上側固定部24c及び上記第2の衝撃吸収体2
5を構成する第2の下側固定部25cを介して上記上部
支承板23の外周面に固定される部位であり、上記第3
の下側固定部26bと同様に上記図示しないボルトが挿
通される図示しない多数の挿通孔が形成されている。ま
た、上記第3の弛み部26aは、上記下部支承板21の
振幅ストロークの増加に追随して上記第1及び第2の弛
み部24a,25aとともに該第1及び第2の弛み部2
4a,25aの次に伸張する部位であり、上記球体22
が自由に転動できる範囲を確保するためのものであり、
外側に円弧状に膨出されている。
【0025】そして、上記第3の衝撃吸収体26を構成
する第3の下側固定部26bの外周面には、一方の締結
部材32が嵌着されている。この一方の締結部材32
は、鉄によりリング状に成形されてなり上記図示しない
多数のボルトが挿通される図示しない挿通孔が形成され
ている。また、上記衝撃吸収体26を構成する第3の上
側固定部26cの外周面には、他方の締結部材33が嵌
着されている。この他方の締結部材33は、鉄によりリ
ング状に成形されてなり上記図示しない多数のボルトが
挿通される図示しない挿通孔が形成されている。すなわ
ち、上記第1乃至第3の衝撃吸収体24,25,26
は、上記一方及び他方の締結部材32,33を介して、
上記図示しない多数のボルトにより上記下部支承板21
及び上部支承板23の外周面に固定されている。
【0026】次に、この免震装置20の作用及び効果に
ついて説明する。図8は、上記第1乃至第3の衝撃吸収
体24,25,26の力学的特性を個別に示すグラフ5
0であり、横軸δは、該第1乃至第3の衝撃吸収体2
4,25,26の伸張長さを示し、縦軸Pは、該第1乃
至第3の衝撃吸収体24,25,26の伸張によりかか
る荷重を示している。そして、このグラフ50中、第1
の折れ線51は、上記最も硬度が低い第1の衝撃吸収体
24の伸張長さの変化に対する該第1の衝撃吸収体24
にかかる荷重の変化を示し、第2の折れ線52は、上記
第2の衝撃吸収体25の伸張長さの変化に対する該第2
の衝撃吸収体25にかかる荷重の変化を示し、第3の折
れ線53は、上記最も硬度が高い第3の衝撃吸収体26
の伸張長さの変化に対する該第3の衝撃吸収体26にか
かる荷重の変化を示す折れ線である。また、図9に示す
折れ線グラフ60は、上記第1乃至第3の衝撃吸収体2
4,25,26を構成要素とした免震装置20を用いた
構造物に対して、地震が発生した場合において、地震動
による上記球体22の変位量δと、該球体22に支持さ
れている構造物にかかる荷重Pとの関係を示すグラフも
のである。このグラフ60中、ウとして示す範囲は、第
1の衝撃吸収体24が伸長された状態、エとして示す範
囲は、第1の衝撃吸収体24と第2の衝撃吸収体25と
が伸長された状態、オとして示す範囲は、第1乃至第3
の衝撃吸収体24,25,26の全てが伸長された状態
を示すものであり、最終的には、図6に示すように、球
体22は、一方及び他方のストッパ部28,30の内周
面に固定された一方の衝撃吸収体29,31に当接され
る。
【0027】したがって、この第2の実施の形態に係る
免震装置20では、地震が発生することにより球体22
が一方及び他方のストッパ部28,30に接近するにつ
れて、先ず第1の衝撃吸収体24の弾性力が、構造物に
対する荷重として加えられ、次いで該第1の衝撃吸収体
24の弾性力と第2の衝撃吸収体25の弾性力との合力
が構造物に対する荷重として加えられ、最終的には該合
力と第3の衝撃吸収体26の弾性力との合力が荷重とし
て構造物に加えられる。このため、この免震装置20で
は、球体22が一方及び他方のストッパ部28,30に
接近すればするほど上記第1乃至第3の衝撃吸収体2
4,25,26の弾性力の合力が荷重として構造物にか
かることから、免震効果はやや低減するが、球体22と
一方及び他方のストッパ部28,30との衝撃力は緩和
される。しかも、これら一方及び他方のストッパ部2
8,30には、一方の衝撃吸収体29,31が固定され
ているので、より一層球体22と一方及び他方のストッ
パ部28,30との衝撃力は緩和される。
【0028】したがって、この免震装置20による場合
であっても、建物の敷地面積その他の理由により、下部
支承板21や上部支承板23の面積を小さいものとした
場合に、振幅ストロークが長い地震が発生した場合に
は、上記第1乃至第3の衝撃吸収体24,25,26に
より、球体22と一方及び他方のストッパ部28,30
との衝突が緩和できるとともに、大きな衝撃乃至は衝撃
音の発生を充分回避することができ、該球体22が一方
及び他方のストッパ部28,30から脱落する危険性も
回避することができる。特に、この第2の実施の形態に
おいては、本発明を構成する他方の衝撃吸収体は、第1
乃至第3の衝撃吸収体24,25,26として構成し、
該第1の衝撃吸収体24から第3の衝撃吸収体26は、
硬度が徐々に高くされていることから、地震の振幅スト
ロークが短い場合には、小さな荷重しか構造物にかけ
ず、振幅ストロークが長い場合には、比較的大きな荷重
を構造物にかけるものであることから、前述した第1の
実施の形態に係る免震装置1の作用効果に加えて、球体
22と一方及び他方のストッパ部28,30との衝撃を
スムーズに吸収し緩和させることができる。
【0029】次に、第3の実施の形態に係る免震装置7
0について説明する。この免震装置70は、図10に示
すように、下部支承板71と、この下部支承板71の上
面に転動可能に載置されてなる球体72と、この球体7
2に支持されてなる上部支承板73と、上記下部支承板
71の上面に固定されてなる一方のストッパ部74と、
上記上部支承板73の下面に固定されてなる他方のスト
ッパ部75と、この一方及び他方のストッパ部74,7
5の外周面に固定されてなる他方の衝撃吸収体76と、
を備えている。
【0030】上記下部支承板71は、上記第1の実施の
形態で説明した下部支承板2と同様の構成を備えてなる
ものであり、複数のボルト77,77により図示しない
ベース板に固定されている。そして、上記下部支承板7
1の上面には、一方の溝部71aが形成され、この一方
の溝部71a内に上記第1の実施の形態で説明した一方
のストッパ部6と同様の構成を備えてなる一方のストッ
パ部74が固定されている。そして、上記下部支承板7
1の上面であって上記一方のストッパ部74の内側に
は、鉄で成形された上記球体72が転動可能に載置され
ている。そして、この球体72上には、上記上部支承板
73が載置されている。この上部支承板73は、上記第
1の実施の形態で説明した上部支承板3と同様の構成で
あり、下面は円錐状の凹面73aとされてなるとともに
他方の溝部73bが形成されている。そして、この他方
の溝73b内には、上記他方のストッパ部75が固定さ
れている。そして、上記一方及び他方のストッパ部7
4,75の内周面には、上記第1の実施の形態で説明し
た免震装置1と同様に、一方の衝撃吸収体78,79が
接着されている。
【0031】そして、上記他方の衝撃吸収体76は、上
記第1の実施の形態で説明した衝撃吸収体6と同様に、
天然ゴムによりリング状に成形され、外側に弛みを持た
せた弛み部76aと、下側固定部76bと、上側固定部
76cとから構成されている。そして、上記下側固定部
76bは、上記一方のストッパ部74の外周面に図示し
ないボルトにより固定されてなり、上記上側固定部76
cは、上記他方のストッパ部75の外周面に図示しない
ボルトにより固定されている。すなわち、上記他方の衝
撃吸収体76は、上記一方のストッパ部74の外周面か
ら上記他方のストッパ部75の外周面に亘って、該一方
及び他方のストッパ部74,75の外周面を覆うように
固定されている。なお、この第3の実施の形態に係る免
震装置70でも、上記第1又は第2の実施の形態で説明
した免震装置1,20と同様に、上記球体72の転動
と、上記他方の衝撃吸収体76の伸張と、上記一方及び
他方の弾性体78,79の圧縮により、良好な免震効果
を得ることができる。特に、この第3の実施の形態に係
る免震装置70は、上記他方の衝撃吸収体76が上記一
方のストッパ部74の外周面から上記他方のストッパ部
75の外周面に亘って固定されているので、該他方の衝
撃吸収体76を構成する上記弛み部76aの弛みをより
大きく確保した場合であっても免震装置70全体が大型
化することがない。
【0032】なお、上記第2の実施の形態に係る免震装
置20は、それぞれ硬度の異なる第1乃至第3の衝撃吸
収体24,25,26を本発明を構成する他方の衝撃吸
収体として構成したが、必ずしも上記の形態である必要
はなく、該他方の衝撃吸収体の数は2つでもよく、4つ
以上であってもよい。また、このように他方の衝撃吸収
体を複数の衝撃吸収体として構成する場合は、それぞれ
が全て同じ硬度のゴムで成形される一方、中途部に形成
される弛み部の長さ(弛みの許容範囲)を適宜変更した
ものを使用してもよい。また、本発明に係る他方の衝撃
吸収体を構成する弛み部は、必ずしも一つ形成されてい
るものに限らず、例えば蛇腹状に複数形成されているも
のであっても良い。また、上記他方の衝撃吸収体は、必
ずしもボルトによって固定しなければならないというも
のではなく、接着剤による固定であってもよく、接着剤
で接着したあとに締結部材を嵌着してもよい。
【0033】また、上記各実施の形態に係る免震装置
1,20,70では、何れも下部支承板(符号は省略す
る。)及び上部支承板の形状が円盤状に成形されている
ものとして説明したが、これら下部支承板及び上部支承
板は必ずしも円盤状に成形されている必要はなく、方形
状又は多角形状に成形されているものであっても良い。
また、本発明を構成するストッパ部についても、上記実
施の形態においては、下部支承板の上面と上部支承板の
下面の双方に固定されているものを図示して説明した
が、少なくとも他方の衝撃吸収体を下部支承板の外周面
から上部支承板の外周面に固定される構成とする場合に
は、必ずしも下部支承板と上部支承板との双方に固定さ
れている必要はなく、何れか一方に固定されていれば良
い。さらに、上記実施の形態においては、こうしたスト
ッパ部が、下部支承板や上部支承板に設けられた溝部内
に嵌合された構成を図示して説明したが、本発明を構成
するストッパ部は、下部支承板の上面及び/又は上部支
承板の下面に溶接されてなるものであっても良い。
【0034】上述した本発明の各実施の形態に係る免震
装置の説明からも明らかなように、先ず第1の発明(請
求項1記載の発明)に係る免震装置及び第の発明(請
求項記載の発明)に係る軽重量構造物の免震構造で
は、ストッパ部の内周面には、一方の衝撃吸収体が固定
されてなるとともに、下部支承板の外周から上記上部支
承板の外周には、ほぼ筒状に成形された他方の衝撃吸収
体が固定されてなることから、建物の敷地面積その他の
原因により下部支承板及び上部支承板の面積をやや小さ
いものとし、予想される地震の振幅ストロークに対応で
きる一定の範囲又は限界を設けた場合であっても、スト
ッパ部と球体との衝撃又は衝撃音の発生を有効に低減す
ることができる。また、こうした効果を実現する上記一
方及び他方の衝撃吸収体は、それぞれ免震装置自体の構
成要素であり、従来のダンパーのような免震装置とは別
体として、該免震装置の取付箇所とは異なる箇所に取り
付けられるものではないとともに、複数のバネによるも
のでもないので、施工が極めて簡単であり、工期の著し
い延長を招くことがなく、価格も抑制することができ
る。また、上記他方の衝撃吸収体は、ほぼ筒状に成形さ
れており上記下部支承板と上部支承板との隙間を覆って
いるので、球体が転動する下部支承板の上面に石や砂或
いは塵埃等が侵入し、スムーズな球体の転動を妨げる原
因となることも有効に防止することができる。
【0035】さらに、第の発明(請求項記載の発
明)に係る免震装置及び第4の発明(請求項4記載の発
明)に係る軽重量構造物の免震構造では、他方の衝撃吸
収体には、周回り方向に弛み部が形成されてなることか
ら、地震の振幅ストロークがこの弛み部の弛み範囲内で
ある場合には、この他方の衝撃吸収体を介して構造物側
に荷重がかからない。したがって、少なくともこの弛み
の範囲内(地震の振幅ストロークが短い場合)であれ
ば、全く地震の震動は構造物に伝わることがなく有効に
免震することができる。
【0036】
【0037】また、第の発明(請求項記載の発明)
に係る免震装置では、他方の衝撃吸収体は、最も内側に
配設されてなりゴムにより一体成形された第1の衝撃吸
収体と、この第1の衝撃吸収体の外側に配設され該第1
の衝撃吸収体よりも硬度の高いゴムにより一体成形され
てなる第2の衝撃吸収体と、この第2の衝撃吸収体の外
側に配設され該第2の衝撃吸収体よりもさらに硬度が高
いゴムにより一体成形されてなる第3の衝撃吸収体と、
から構成されてなることから、地震の振幅ストロークが
短い場合には、小さな荷重しか構造物にかけず、振幅ス
トロークが長い場合には、比較的大きな荷重を構造物に
かけるものであることから、前記各発明の効果に加え
て、球体とストッパ部との衝撃をスムーズに吸収し緩和
させることができる。
【0038】また、第の発明(請求項記載の発明)
に係る免震装置では、他方の衝撃吸収体は、前記ストッ
パ部の外周面に固定されてなることから、該衝撃吸収体
の弛み幅を広く確保した場合でも、装置全体が大型化す
ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る免震
装置を用いた免震構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係る免震装置を示
す側面図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態に係る免震装置を示
す側断面図である。
【図4】図4は、下部支承板が振幅し、衝撃吸収体が伸
張された状態を示す側断面図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態に係る免震装置を示
す側断面図である。
【図6】図6は、下部支承板が振幅し、第1乃至第3の
衝撃吸収体が伸張された状態を示す側断面図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態に係る免震装置の地
震動による球体の変位量とこの球体に支持されている構
造物にかかる荷重との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、第1乃至第3の衝撃吸収体の力学的特
性を示すグラフである。
【図9】図9は、第1乃至第3の衝撃吸収体が伸張した
ときに、球体に支持されている構造物にかかる荷重を示
すグラフである。
【図10】図10は、第3の実施の形態に係る免震装置
を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 免震装置 2 下部支承板 3 上部支承板 5 球体 6 他方の衝撃吸収体 6a 樽右部 6b 下側固定部 6c 上側固定部 7 一方のストッパ部 8 一方の衝撃吸収体 9 他方のストッパ部 10 一方の衝撃吸収体 11 一方の締結部材 12 ボルト 13 他方の締結部材 14 ボルト 20 免震装置 21 下部支承板 22 球体 23 上部支承板 24 第1の衝撃吸収体 24a 第1の弛み部 24b 第1の下側固定部 24c 第1の上側固定部 25 第2の衝撃吸収体 25a 第2の弛み部 25b 第2の下側固定部 25c 第2の上側固定部 26 第3の衝撃吸収体 26a 第3の弛み部 26b 第3の下側固定部 26c 第3の上側固定部 26 第3の衝撃吸収体 28 一方のストッパ部 29 一方の衝撃吸収体 30 他方のストッパ部 31 一方の衝撃吸収体 32 一方の締結部材 33 他方の締結部材 70 免震装置 71 下部支承板 72 球体 73 上部支承板 74 一方のストッパ部 75 他方のストッパ部 76 他方の衝撃吸収体 76a 弛み部 76b 下側固定部 76c 上側固定部 78 一方の衝撃吸収体 79 一方の衝撃吸収体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤側に固定される下部支承板と、この
    下部支承板上に転動可能に戴置されてなる球体と、この
    球体に支持されてなり該球体を挟んで上記下部支承板の
    上方に固定され軽重量構造物側に固定される上部支承板
    と、上記下部支承板の上面及び/又は上部支承板の下面
    に形成されてなるとともに上記球体を囲むリング状のス
    トッパ部と、このストッパ部の内周面に固定されゴム又
    は弾性発泡体からなるとともにリング状に成形された一
    方の衝撃吸収体と、を備えてなり、 上記下部支承板の外周面から上記上部支承板の外周面に
    は、ほぼ筒状に成形され、周回り方向に弛み部が形成さ
    た他方の衝撃吸収体が固定されてなることを特徴
    る免震装置。
  2. 【請求項2】 前記他方の衝撃吸収体は、最も内側に配
    設されてなりゴムにより一体成形された第1の衝撃吸収
    体と、この第1の衝撃吸収体の外側に配設され該第1の
    衝撃吸収体よりも硬度の高いゴムにより一体成形されて
    なる第2の衝撃吸収体と、この第2の衝撃吸収体の外側
    に配設され該第2の衝撃吸収体よりもさらに硬度が高い
    ゴムにより一体成形されてなる第3の衝撃吸収体と、か
    ら構成されてなることを特徴とする請求項1記載の免震
    装置。
  3. 【請求項3】 前記他方の衝撃吸収体は、前記ストッパ
    部の外周面に固定されてなることを特徴とする請求項1
    又は2記載の免震装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至3記載の免震装置の何
    れかが設けられてなることを特徴とする軽重量構造物の
    免震構造。
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