JP3316642B2 - 移植機の苗植付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は苗トレイから取出した苗
を植付爪によって圃場に植付けるようにした移植機の苗
植付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】彎曲自在なソフトトレイを搬送チェンで
下方向に順次縦送りして苗を取出し、苗取出し後はこの
下送り終端部のスプロケット部で反転させて苗の非搬送
側で上方向に縦送りしてトレイの回収を行って、移植機
の自動化を図るようにした手段がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、例えば、
特開昭５７−４７４１４号公報に示す如く、移植用トレ
イとしてハードトレイを用いる技術があるが、ハードト
レイを用いた移植構造の自動化が望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】然るに、本発明は、ハー
ド形苗トレイを略鉛直で横長手方向に配備して横送り及
び縦送りさせるように設け、該苗トレイの横送り時に苗
取出爪によって苗を取出して植付ける移植機の苗植付装
置において、苗トレイの縦送りを行う縦送りカムを備
え、縦送りカムの１回転で苗トレイの１枚分の縦送りが
完了するようにカム形状を形成したもので、カム形状の
変更により苗トレイの種類に対応させた縦送り動作が可
能であり、各種苗トレイに容易且つ簡便に対応させて移
植作業を行い得、例えば野菜または果樹などの苗の種類
によって異なる形状の苗トレイにより育成した苗を移植
する作業の自動化を容易に行い得るものである。

【０００５】また、縦送りカムの位置ロックを行うカム
ストッパを設け、カム操作アームを介して縦送りカムを
一方向に回転させるカム操作リンクに、前記ストッパの
ロック解除時に縦送りカムの回転を規制する補助ストッ
パを設けるもので、苗トレイ縦送り時の複数セル送りを
防止し得、１セル分毎の苗トレイの縦送り動作を確実に
行わせて縦送り精度の向上を図り得るものである。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
述する。図１は苗載台部の側面説明図、図２は移植機の
全体側面図、図３は同全体平面図であり、図中（１）は
走行車体であるトラクタ（２）の後方に３点リンク機構
（３）を介し昇降自在に装備する移植機で、該移植機
（１）は３点リンク機構（３）に連結支持するヒッチマ
スト（４）の上部左右両側に左右予備苗載台（５）を、
またこの下方に左右走行補助車輪（６）をそれぞれ配備
すると共に、この後方の略中央に２条の植付装置である
植付部（７）を、また植付部（７）の左右両側及び後側
の３方を囲む状態に作業者搭乗台（８）を配備させて、
予備苗載台（５）及び搭乗台（８）で４方を囲まれる中
央の植付部（７）に対し、左右両端及び後側より苗の補
給を行うように構成している。

【０００７】前記植付部（７）は、畝面を鎮圧する鎮圧
ローラ（９）と、この鎮圧された畝面に苗載台（１０）
上のハード形苗トレイ（１１）より苗取出爪（１２）に
よって取出された１株分のポット苗を植付けるホッパ形
苗植付爪（１３）と、植付け後の苗に覆土を行う培土ロ
ーラ（１４）とを備え、図４にも示す如く、昇降機構
（１５）でもって略楕円軌跡を描いて昇降する植付爪
（１３）の上昇時、前記苗取出爪（１２）より供給落下
される苗（Ａ）を受取って、下降時畝面に開成する移植
孔にこの植付けを行うように構成している。

【０００８】前記苗載台（１０）は、ハード形苗トレイ
（１１）を略鉛直状に且つ横長手方向に搭載して機体の
前後方向に横送りするように設けたもので、上下部を移
植フレーム（１６）のガイドレール（１７）及びガイド
シャット（１８）に支持させて、横送り機構（１９）を
構成する横送りネジ軸（２０）に台移動子（２１）を結
合させて、前記ネジ軸（２０）の回転でもって苗載台
（１０）の前後往復の横送りを行うように構成してい
る。

【０００９】また前記苗載台（１０）は、前側板（２
２）と後側板（２３）の上下間に縦送り駆動及び遊動ス
プロケット軸（２４）（２５）を介して縦送り駆動及び
遊動スプロケット（２６）（２７）を設けて、これらス
プロケット（２６）（２７）間に苗トレイ（１１）の各
セル（１１ａ）外底陥没部に掛合させる縦送りピン（２
８）を有する縦送りチェン（２９）を張架させて、縦送
りチェン（２９）でもって苗トレイ（１１）の縦送りを
行うように構成している。

【００１０】図７乃至図８及び図１０に示す如く、前記
駆動スプロケット軸（２４）は、前記ネジ軸（２０）に
連動する縦送り駆動軸（３０）の縦送りカム（３１）
に、苗載台（１０）後側の従動カム軸（３２）に設ける
従動カム（３３）を係合連結させると共に、前記駆動ス
プロケット軸（２４）に一方向クラッチ（３４）及び筒
軸（３５）を介し連結するカム操作アームである揺動ア
ーム（３６）に、カム操作リンクである連動リンク（３
７）を介して従動カム（３３）を連動連結させて、苗載
台（１０）の前後横送り終端毎にカム（３１）（３３）
の当接作用でもってスプロケット（２６）を一定量回転
させて苗トレイ（１１）の縦送りを行うように構成して
いる。なお、前記ネジ軸（２０）と縦送り駆動軸（３
０）には苗取出爪（１２）の駆動系からの駆動力を伝動
スプロケット（１９ａ）を介してそれぞれに伝達させる
ものである。

【００１１】また前記駆動スプロケット軸（２４）には
歯車形の縦送りカムであるロックカム（３８）を一体的
に設け、該カム（３８）の外周に形成するロック溝（３
８ａ）に、後側板（２３）後外壁のストッパ台（３９）
に支軸（４４）を介し可揺動に取付けるカムストッパ
（４１）先端を係合させて、常時は駆動スプロケット軸
（２４）の図８矢印に示す如き縦送り方向の回転を規制
する一方、前記カム（３１）（３３）の当接によってリ
ンク（３７）が上動し揺動アーム（３６）が反縦送り方
向に回転（クラッチ（３４）は空転状態）するとき、該
アーム（３６）をストッパ（４１）に当接させてカムス
トッパ（４１）のロックを解除し、この解除直後従動カ
ム（３３）に付勢するリターンバネ（３３ａ）によって
リンク（３７）が下動するとき、同時に苗トレイ（１
１）の自重によってクラッチ（３４）を作動させてロッ
ク溝（３８ａ）の１ピッチ（１回の縦送り量）分駆動ス
プロケット軸（２４）を回転させるように構成してい
る。

【００１２】さらに前記ロックカム（３８）は、該カム
（３８）の１回転で苗トレイ（１１）の１枚の縦送りが
完了するようにカム形状を設けたもので、完了のトレイ
（１１）と次回供給のトレイ（１１）の継目に相当する
溝（３８ｂ）ピッチのみを他のピッチより大（略２倍）
に形成して、その縦送り量を大とさせるように構成して
いる。

【００１３】またさらに、前記カムストッパ（４１）の
ロック解除時に苗トレイ（１１）が自動或いは振動など
で下方に自然落下するのを防止する補助ストッパ（４
２）をリンク（３７）に設け、カムストッパ（４１）の
ロック解除時に他の任意位置のロック溝（３８ａ）に補
助ストッパ（４２）を係合させ、ロックカム（３８）の
縦送り方向の回転を規制すると共に、（４３）はクラッ
チレバーで、図７矢印方向に該レバー（４３）を回動操
作するとき圧縮バネ（４３ａ）に抗してクラッチ板（４
３ｂ）をロックカム（３８）のクラッチピン（３８ｃ）
に係合させ、該カム（３８）と軸（２４）とを一体連結
させるもので、縦送りカムであるロックカム（３８）の
位置ロックを行うカムストッパ（４１）を設け、カム操
作アームである揺動アーム（３６）を介してロックカム
（３８）を一方向に回転させるカム操作リンクである連
動リンク（３７）に、前記カムストッパ（４１）のロッ
ク解除時にロックカム（３８）の回転を規制する補助ス
トッパ（４２）を設けている。

【００１４】図５乃至図６及び図９にも示す如く、苗ト
レイ（１１）での苗取出し完了時にあっては、苗トレイ
（１１）を下方の断面凵形のトレイ受レール（４４）上
に落下させ機体後方に排出するように設けたもので、苗
載台（１０）の後側板（２３）の下端を一定寸法（ｔ）
切欠いてトレイ排出口（４５）を形成している。また前
記レール（４４）の前側に断面冂形の天井板（４６）を
固設し、該板（４６）内に押出アーム（４７）を設ける
と共に、苗載台（１０）の前送り終端時にローラ（４
８）を当接させる揺動リンク（４９）を、移植フレーム
（１６）の固定取付板（５０）に支点軸（５１）及び捩
りバネ（５２）を介して揺動自在に設けて、該リンク
（４９）他端と前記アーム（４７）とを押出リンク（４
９ａ）を介して連動連結させて、苗載台（１０）の前送
り終端時に天井板（４６）より後方に押出アーム（４
７）をバネ（５２）力に抗して突出させて、レール（４
４）上に落下した苗トレイ（１１）を後方に押出すよう
に構成している。

【００１５】さらに前記移動子（２１）には、苗トレイ
（１１）の各セル（１１ａ）外底陥没部に係合させるト
レイ押出板（５３）を支点軸（５４）及び捩りバネ（５
５）を介して取付けていて、苗載台（１０）の前送り動
作によって苗トレイ（１１）底部と押出板（５３）とが
接触するとき、バネ（５５）に抗し押出板（５３）を回
動逃避状態とする一方、苗載台（１０）の前送り終端位
置から後送り動作となるとき、前記押出板（５３）先端
をバネ（５５）の付勢で苗トレイ（１１）側に突出させ
苗トレイ（１１）底部に掛合させる状態とさせて、該苗
載台（１０）の後送りに連動させて排出口（４５）より
後方に苗トレイ（１１）を強制排出するように構成して
いる。なおこの場合、図１の右側位置で苗トレイ（１
１）が落下したパターンの場合、苗載台（１０）は苗ト
レイ（１１）を残したまま左（前方向）に移動し、また
左側位置で苗トレイ（１１）が落下したパターンの場
合、苗トレイ（１１）は天井板（４６）上に落下して乗
り、苗載台（１０）が右（後方向）に移動するとき前側
板（２２）（前側板（２２）には排出口（４５）を形成
していない）で押されて該台（１０）とともに右側に移
動して次回の往復動作時に前述の如き排出動作が行われ
るものである。

【００１６】なお、（５７）は植付ミッションケースで
あり、トラクタ（２）のＰＴＯ軸（５８）に無段変速ベ
ルト機構（５９）を介して連動連結させて、該ケース
（５７）からの出力でもって苗取出爪（１２）及び苗押
出ピン（６０）及び苗植付爪（１２）を同調動作させて
の苗植付作業を行わしめるように構成している。

【００１７】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、苗載台（１０）の前後横送り動作時苗トレイ（１
１）の前後方向より苗取出爪（１２）及び苗押出ピン
（６０）を同調動作させての苗取出し作業が行われるも
ので、苗載台（１０）の前後移動終端毎に前記カム（３
１）によって苗トレイ（１１）の縦送りが行われると共
に、一枚の苗トレイ（１１）の縦送りが完了するとき、
前記レール（４４）上に苗トレイ（１１）が落下して、
この後の苗載台（１０）の前後移動によって苗トレイ
（１１）の排出が自動的に行われる。

【００１８】

【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明
は、ハード形苗トレイ（１１）を略鉛直で横長手方向に
配備して横送り及び縦送りさせるように設け、該苗トレ
イ（１１）の横送り時に苗取出爪（１２）によって苗を
取出して植付ける移植機の苗植付装置において、苗トレ
イ（１１）の縦送りを行う縦送りカム（３８）を備え、
縦送りカム（３８）の１回転で苗トレイ（１１）の１枚
分の縦送りが完了するよう にカム形状を形成したもの
で、カム形状の変更により苗トレイ（１１）の種類に対
応させた縦送り動作が可能であり、各種苗トレイ（１
１）に容易且つ簡便に対応させて移植作業を行うことが
でき、例えば野菜または果樹などの苗の種類によって異
なる形状の苗トレイ（１１）により育成した苗を移植す
る作業の自動化を容易に行うことができるものである。

【００１９】また、縦送りカム（３８）の位置ロックを
行うカムストッパ（４１）を設け、カム操作アーム（３
６）を介して縦送りカム（３８）を一方向に回転させる
カム操作リンク（３７）に、前記カムストッパ（４１）
のロック解除時に縦送りカム（３８）の回転を規制する
補助ストッパ（４２）を設けるもので、苗トレイ（１
１）縦送り時の複数セル（１１ａ）送りを防止でき、１
セル（１１ａ）分毎の苗トレイ（１１）の縦送り動作を
確実に行わせて縦送り精度の向上を図ることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗載台部の側面説明図。

【図２】移植機の全体側面図。

【図３】移植機の全体平面図。

【図４】苗載台部の側面説明図。

【図５】苗トレイの排出部の説明図。

【図６】苗トレイの排出部の説明図。

【図７】苗トレイの縦送り部の説明図。

【図８】苗トレイの縦送り部の説明図。

【図９】苗トレイの排出状態を示す説明図。

【図１０】苗トレイの縦送り部の部分説明図。

【符号の説明】

（１１） 苗トレイ （１２） 苗取出爪 （３６） カム操作アーム（揺動アーム） （３７） 連動リンク（カム操作リンク） （３８） ロックカム（縦送りカム） （４１） カムストッパ（４２） 補助ストッパ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小 原 勇 二 東京都渋谷区千駄ケ谷五丁目32番７号 石川島芝浦機械株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−47414（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 11/00 - 11/02 303 A01C 11/02 350 - 367

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハード形苗トレイ（１１）を略鉛直で横
   長手方向に配備して横送り及び縦送りさせるように設
   け、該苗トレイ（１１）の横送り時に苗取出爪（１２）
   によって苗を取出して植付ける移植機の苗植付装置にお
   いて、苗トレイ（１１）の縦送りを行う縦送りカム（３
   ８）を備え、縦送りカム（３８）の１回転で苗トレイ
   （１１）の１枚分の縦送りが完了するようにカム形状を
   形成したことを特徴とする移植機の苗植付装置。
2. 【請求項２】 縦送りカム（３８）の位置ロックを行う
   カムストッパ（４１）を設け、カム操作アーム（３６）
   を介して縦送りカム（３８）を一方向に回転させるカム
   操作リンク（３７）に、前記ストッパ（４１）のロック
   解除時に縦送りカム（３８）の回転を規制する補助スト
   ッパ（４２）を設けたことを特徴とする請求項１記載の
   移植機の苗植付装置。