JP3305401B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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Description
れた熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、ゴ
ルフボールのカバー材及び/又はコアー材として、ある
いはワンピースボール材料として好適な熱可塑性樹脂組
成物に関する。
てポリブタジエンのような熱硬化型ゴムが使用されてい
るため、煩雑でコストがかかるという難点があった。こ
のような難点を改善するため、ポリアミド系もしくはポ
リエステル系の熱可塑性エラストマーと、エチレン系ア
イオノマーと、エポキシ基含有化合物とからなるゴルフ
ボール材料として好適な熱可塑性樹脂組成物がWO92
/12206において提案されている。このような組成
物は、反発弾性及び耐久性に優れ、熱可塑性であるが故
に、射出成形によって効率良くゴルフボールコアやワン
ピースボールが製造できる点に魅力がある。該公報にお
ける典型的な配合組成は、主要成分として熱可塑性エラ
ストマーと硬質アイオノマーを用いるものである。
打球感やボールコントロールの向上のために柔軟な材料
が好まれるが、上記した典型的な配合処方で柔軟化する
には、熱可塑性エラストマーの使用割合を増やす必要が
あり、ボールが高価なものとなってくる。柔軟化を図る
別法として、硬質アイオノマーの一部又は全部を、柔軟
なエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸
エステル共重合体のアイオノマーで置き換える方法が考
えられるが、柔軟性を重視すると反発弾性の少なからざ
る低下を招き、商品価値の高いゴルフボールを製造する
ことができなかった。
ーを多量に使用することなく、柔軟でしかも反発弾性の
優れた樹脂組成物を得るべく検討を行った。その結果、
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体に不飽
和ジカルボン酸又はその無水物をグラフト重合させて得
られるグラフト変性体又はそのアイオノマーを一配合成
分として使用するときに所望の効果を得ることができ、
しかもゴルフボールとしての打撃試験においても反発弾
性や初速度の面から優れた性能を有していることを見出
すに至った。
として好適な、柔軟にして反発弾性の優れた樹脂組成物
を提供するにある。
マー及び熱可塑性ポリアミドエラストマーから成る群よ
り選ばれた熱可塑性エラストマー(A)20〜89重量
部;エチレン、不飽和カルボン酸及び任意に他の共重合
可能な単量体からなるランダム共重合体のアイオノマー
(B)10〜70重量部;エチレン・(メタ)アクリル
酸エステル共重合体に不飽和ジカルボン酸又はその無水
物をグラフト重合させて得られるグラフト変性体(C)
1〜20重量部;及びエポキシ基含有化合物(D)1〜
20重量部[(A)+(B)+(C)の合計100重量
部に対し]からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物に関する。
ストマー(A)、エチレン共重合体アイオノマー(B)
及びエポキシ基含有化合物(D)を必須成分として含有
するが、これらの成分に加えて、エチレン・(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体に不飽和ジカルボン酸又はそ
の無水物をグラフト重合させて得られるグラフト変性体
(C)を用いたことが顕著な特徴である。本発明によれ
ば、この特徴により、ゴルフボール等に、反発弾性を低
下させることなしに、柔軟性を付与することができる。
ボール等として、柔軟性のあるものを使用することは、
打球時におけるボールのコントロール性をよくし、打球
感を向上させる上で重要であるが、従来の柔軟性成分を
配合したものでは、ボール等の柔軟性をよくすると、ボ
ールの反発弾性が低下し、初速度が低下し、飛距離が低
下するという欠点があった。
酸エステル共重合体に不飽和ジカルボン酸又はその無水
物をグラフト重合させて得られるグラフト変性体又はそ
のアイオノマー(C)を選択し、これを上記(A)、
(B)及び(D)の3成分に配合することにより、反発
弾性を低下させることなしに、柔軟性を向上させること
に成功したものである。
使用することにより、柔軟性、反発弾性に優れ、ボール
コントロールが容易で、しかも打球感及び飛距離に優れ
たゴルフボールを提供できる。
エラストマー(A)は、熱可塑性ポリエステルエラスト
マー又は熱可塑性ポリアミドエラストマーである。
ードセグメントとして芳香族ポリエステルと、ソフトセ
グメントとしてポリオキシアルキレングリコールとを重
合単位として有するポリエステルエーテルエラストマ
ー、あるいはハードセグメントとして芳香族ポリエステ
ルと、ソフトセグメントとして脂肪族ポリエステルとを
有するポリエステルエステルエラストマーを例示するこ
とができる。前者の例において、芳香族ポリエステル重
合単位は、芳香族ジカルボン酸成分と分子量250以下
の脂肪族又は脂環族のジオール成分とから誘導されるも
のであり、代表的なものはポリエチレンテレフタレート
及びポリテトラメチレンテレフタレートである。またポ
リオキシアルキレングリコールの重合単位は、炭素数2
〜6程度のグリコールから誘導される分子量400〜6
000のものであって、代表的なものはポリオキシエチ
レングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコー
ルである。ポリエステルエーテルエラストマー中に含ま
れるエーテルとエステルの比率(モル比)は、10〜9
0対90〜10、好ましくは20〜80対80〜20で
ある。そしてそのショアD硬度が70以下、好ましくは
30〜50である。
しては、前記ポリエステルエーテルエラストマーのポリ
オキシアルキレングリコール単位を、脂肪族ポリエステ
ル単位、例えばポリテトラメチレンアジペート、ポリテ
トラメチレンセバケートの如き単位に変えた以外は同様
のものが使用できる。
セグメントとしてナイロン6、ナイロン11、ナイロン
12、芳香族ポリアミドなどのポリアミド成分を有し、
ソフトセグメントとしてポリオキシテトラメチレングリ
コール、ポリオキシプロピレングリコールのようなポリ
オキシアルキレングリコールあるいは脂肪酸ポリエステ
ルなどの成分を有するブロック共重合体が使用できる。
位は、平均分子量が300〜15000のものが好適で
あり、またソフトセグメントとしては分子量400〜6
000のものが好適である。またポリアミドエラストマ
ーとしては、固有粘度が0.8〜2.05程度のものが
適しており、エーテル(又はエステル)とアミドの比率
(セル比)は10〜90対90〜10、好ましくは20
〜80対80〜20であり、そのショアD硬度は60以
下、好ましくは30〜50である。
で用いられるエチレン共重合体アイオノマー(B)は、
エチレンと不飽和カルボン酸のランダム共重合体、ある
いはエチレン、不飽和カルボン酸及び他の共重合可能な
単量体のランダム共重合体のアイオノマーである。ラン
ダム共重合体における不飽和カルボン酸の重合割合は通
常5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%、一層
好ましくは13〜25重量%であり、他の共重合可能な
単量体の重合割合は通常0〜40重量%、好ましくは0
〜25重量%、一層好ましくは0〜5重量%である。こ
こに不飽和カルボン酸の好適例は、アクリル酸またはメ
タクリル酸であり、他の共重合可能な単量体の好適例と
しては、(メタ)アクリル酸エステルである。
ンとしてはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウムなどであ
り、とくにリチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛
及びこれらの2種以上の組合わせが好ましい。金属イオ
ンによる中和度は通常5〜100%、好ましくは20〜
80%である。上記アイオノマーとしてはまた190
℃、2160gの荷重におけるメルトフローレートが
0.01〜20g/10分、とくに0.1〜10g/1
0分のものを使用するのがよい。
・(メタ)アクリル酸エステル共重合体に不飽和ジカル
ボン酸又はその無水物をグラフト重合させたものであ
る。
エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エス
テルを意味し、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル
などを例示することができる。
ル酸エステルのランダム共重合体であって、その(メ
タ)アクリル酸エステルの重合割合は、通常10〜45
重量%、好ましくは15〜40重量%である。この重合
割合が少ない共重合体を用いると、柔軟性改善効果が小
さく、またその重合割合が大きくなりすぎると、柔軟性
は改善されるが、反発弾性が低下する傾向となる。
ルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ノルボルネン2,3
−ジカルボン酸無水物などを例示することができる。こ
れらの中では安価で且つ少量のグラフト量で効果的なと
ころから無水マレイン酸の使用が好ましい。グラフト重
合は、ラジカル開始剤を用い、不活性媒体中、あるいは
共重合体の溶融条件下で行うことができる。このような
条件はすでによく知られている。グラフト変性体におけ
る不飽和ジカルボン酸又はその無水物のグラフト量は、
通常0.5〜5重量%、好ましくは1〜4重量%程度で
ある。
ラフト変性体そのものを用いる。(C)成分として19
0℃,2160g荷重におけるメルトフローレートが
0.001〜20g/10分、とくに0.1〜15g/
10分のものを用いるのが好ましい。
きるエポキシ基含有化合物(D)としては、エチレン共
重合体アイオノマー(B)のカルボキシル基と反応し得
るエポキシ基を有する化合物であり、例えばエポキシ化
大豆油の如きエポキシ化油、エポキシ化天然ゴム、エポ
キシ化ポリブタジエンの如きエポキシ化エラストマー、
エチレンとエポキシ基含有単量体との共重合体を挙げる
ことができる。上記エチレンとエポキシ基含有単量体の
共重合体には他の共重合可能な単量体が共重合されてい
てもよい。
ル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビニルグリ
シジルエーテルである。また他の共重合可能な単量体と
しては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの
ような不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニルのような
ビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄、アルキルビ
ニルエーテルなどである。アクリル酸エステルやメタク
リル酸エステルの具体例としては、既に例示した物を挙
げることができる。
体の重合割合は、通常1〜25重量%、好ましくは1〜
20重量%、より好ましくは1〜15重量%であり、他
の共重合可能な単量体の重合割合は、通常0〜50重量
%、好ましくは0〜35重量%、より好ましくは0〜3
0重量%である。
クリル酸グリシジル、エチレン/アクリル酸メチル/ア
クリル酸グリシジル、エチレン/アクリル酸n−ブチル
/アクリル酸グリシジル、エチレン/メタクリル酸グリ
シジル、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グ
リシジル、エチレン/アクリル酸n−ブチル/メタクリ
ル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸
グリシジルなどのランダム共重合体である。
160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜
30g/10分、とくに1〜25g/10分のものを用
いるのがよい。
(D)の各成分の使用割合は、それぞれの重合体組成や
目的とする性状によっても異なってくるが、(A),
(B),(C)の合計量を100重量部とするとき、
(A)は20〜89重量部、好ましくは40〜80重量
部、(B)は10〜70重量部、好ましくは20〜60
重量部、(C)は1〜20重量部、好ましくは3〜15
重量部である。また(D)は、(A),(B),(C)
の合計100重量部当たり、1〜20重量部、好ましく
は1〜10重量部である。(C)成分の使用によりそれ
程反発弾性を低下させることなく柔軟化を図ることがで
きるが、過度に配合した場合には反発弾性の少なからざ
る低下を招くので、上記の如き配合量で使用するのが良
い。
体は全て高温、高圧下のラジカル重合によって容易に得
ることができる。これらの製法はすでに広く知られてい
る。
必要に応じ、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料、ワックス等の添
加剤を配合することができる。無機充填剤又は顔料の例
としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
シリカ、アルミナ、酸化チタン、ケイ酸鉛、タングステ
ンカーバイドなどを挙げることができる。またワックス
として、炭化水素ワックス、ポリエチレンワックスの
外、エチレンと極性ビニルモノマー、例えば酢酸ビニ
ル、アクリル酸、アクリル酸エチル等との共重合ワック
スを例示することができる。
成物は、スリーピースゴルフボールのセンター、ツーピ
ースボールのコア、ワンピースボール、ゴルフボールカ
バーなどの材料として特に有用である。
このセンター上に巻き付けられた弾性体の巻き糸及びそ
の上のカバーからなっているが、本発明の熱可塑性樹脂
組成物はこのセンターとして有用である。この目的に、
本発明の熱可塑性樹脂組成物をセンターに射出成形し、
このセンターに、公知の弾性糸を所定の厚みに巻き付
け、次いでアイオノマー或いはバラタゴム等の公知のカ
バー材料を、その上にこれを被覆するデインプル模様の
カバーとして成形する。
とからなっているが、この目的に本発明の熱可塑性樹脂
組成物を先ずコアとして成形する。このコアを後退可能
なピン上に支持して、射出金型のキャビテイ内にインサ
ートし、公知のカバー材料を射出してツーピースボール
とする。
やカバーのない一体構造のボールであり、本発明の熱可
塑性樹脂組成物をワンピースボールに成形することがで
きる。この成形物は、勿論表面にデインプル模様を有し
ていてもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をス
リーピースボール、ツーピースボールのカバーとして用
いることもできる。
た原料は表1の通りである。
の方法によった。 (1)MFR:東洋精機製作所製試験機を用い、樹脂単
独のMFRの場合は190℃,2160gの荷重、配合
組成物のMFRは220℃、10.0kgの荷重で測定
した。 (2)比重:東洋精機製作所製自動比重計を用い、20
℃、相対湿度50%で測定した(JISK6301)。 (3)硬度:ショアーA硬度計(Zwick Gmbh & Co.製)
を用い23℃で測定した(ASTM D2240)。 (4)曲げ剛性率:東洋精機製作所製オルゼン式曲げ剛
性測定機を使用して23℃で測定した(ASTM D7
47)。 (5)反発弾性:(株)上島製作所製反発弾性試験機
(振り子型)を使用して23℃で測定した。
2に示した配合割合で表1に示した熱可塑性エステルエ
ラストマー、エチレン共重合体アイオノマー、エポキシ
基含有3元共重合体、ワックスA、酸化亜鉛及び酸化チ
タンの配合系にエチレン共重合体のグラフト変性体を加
え、樹脂温度200℃、押出量4.0kg/hrでメル
トブレンドし、得られた樹脂組成物の物性を評価した。
その結果を表2に示した。高反発弾性(68以上)で硬
度Shore D43以下、曲げ剛性率80以下の柔軟
な物性を示している。
のグラフト変性体をエチレン共重合体アイオノマーに置
き換える以外は表1の材料を使用して実施例と同様の方
法で混練を行い得られた樹脂組成物の物性を評価した。
結果を表3に示した。実施例1〜3に比較して硬度及び
曲げ剛性率とも上がっている。
フト変性体またはその中和物の代わりに柔軟なエチレン
3元共重合体を使用する以外は実施例3または6の操作
を同様に行い、得られた物性を表3に示した。実施例3
または6に比較して硬度及び曲げ剛性率とも高くなって
いる。
フト変性体またはその中和物の代わりに柔軟なエチレン
3元共重合体アイオノマーを使用する以外は実施例3ま
たは6の操作を同様に行い、得られた物性を表3に示し
た。実施例3または6に比較して反発弾性の低下と硬度
及び曲げ剛性率が高くなっている。
反発弾性に優れている。従ってスリーピースゴルフボー
ルのセンター、ツーピースボールのコア、ワンピースボ
ール、ゴルフボールカバーなどの材料として優れてお
り、耐久性、ボールコントロール、打球感、反発弾性、
初速度の優れたゴルフボールを製造することができる。
本発明の樹脂組成物はまた耐傷性、耐熱性、耐油性、加
工性等にも優れており、自動車内外装材、電線、建材、
電気製品、日用品等にも広く利用することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 熱可塑性ポリエステルエラストマー及び
熱可塑性ポリアミドエラストマーから成る群より選ばれ
た熱可塑性エラストマー(A)20〜89重量部;エチ
レン、不飽和カルボン酸及び任意に他の共重合可能な単
量体からなるランダム共重合体のアイオノマー(B)1
0〜70重量部;エチレン・(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体に不飽和ジカルボン酸又はその無水物をグラ
フト重合させて得られるグラフト変性体(C)1〜20
重量部;及びエポキシ基含有化合物(D)1〜20重量
部[(A)+(B)+(C)の合計100重量部に対
し]からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項2】 (C)成分におけるグラフト変性体が、
(メタ)アクリル酸エステル含有量が10〜45重量%
のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体に
0.5〜5重量%の不飽和ジカルボン酸又はその無水物
をグラフトしたものである請求項1記載の組成物。 - 【請求項3】 センター、このセンター上に巻き付けら
れた弾性体の巻き糸及びその上のカバーからなるスリー
ピースゴルフボールにおいて、センターが請求項1記載
の組成物からなることを特徴とするゴルフボール。 - 【請求項4】 コアとその上のカバーとから成るツーピ
ースボールにおいて、コアが請求項1記載の組成物から
なることを特徴とするツーピースボール。 - 【請求項5】 請求項1記載の組成物からなることを特
徴とするワンピースボール。 - 【請求項6】 カバーが請求項1記載の組成物からなる
ことを特徴とするゴルフボール。
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