JP3606641B2 - アイオノマー組成物及びその用途 - Google Patents

アイオノマー組成物及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイオノマー組成物、特に柔軟性、耐衝撃性、耐摩耗性、反発性、成形性に優れたゴルフボール用表皮材として有用な樹脂組成物に関する。本発明はまた飛距離、打球感が良好で、ボールコントロールが容易なゴルフボールの表皮材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールの表皮材として、アイオノマー樹脂が広範に使用されている(例えば米国特許第3819768号明細書)。特にソリッドコアを用いたツーピースゴルフボールでは、ほとんどの場合にアイオノマー樹脂が使用されている。これは、アイオノマー樹脂が耐久性、耐カット性、反発性に優れ、かつ加工しやすく、しかも他の表皮材用樹脂に比べて安価であるという理由によるものである。
【0003】
しかし、このアイオノマー樹脂は、かなり高い硬度と剛性を有するため、糸巻きボールの表皮材として使用されているバラタ(トランスポリイソプレン)に比べて、打球感やボールのコントロール性(スピンのかけ易さ)の点で劣っている。そのため、特開平1−308577号公報には、2〜8個の炭素原子を有するオレフィンと、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、2〜22個の炭素原子を有するアクリルエステルクラスの不飽和モノマーとの三元共重合体のナトリウム塩または亜鉛塩からなる軟質アイオノマー樹脂の配合が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記の軟質アイオノマー樹脂を用いた場合、打球感やコントロール性は改善されるものの、反発性が低下するため、満足できる性能を有するゴルフボールが得られない。
【0005】
この欠点を改良するために、特開平6−345051号公報、特開平6−54929号公報、特開平6−313075号公報には、アイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物からなる組成物が提案されている。
【0006】
しかしながら上記組成物を用いた場合、打球感、コントロール性及び反発性は優れるものの、アイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物との相溶性が不足しているために、耐摩耗性や耐久性が劣り、ボール生産工程や、繰り返して打撃を受ける実使用時に、表面にささくれや剥離等の欠陥が発生し易いという欠点を有している。
【0007】
また、上記以外にも、ゴルフボール表皮材としてのアイオノマー樹脂を柔軟化して、反発性や耐久性を維持しながら打球感やコントロール性能を改善する試みが種々行われているが、現状ではそれらのいずれによっても充分な成果を上げるにいたっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、アイオノマー樹脂は、高い硬度と剛性を有するため、糸巻きゴルフボールの表皮材に使用されているバラタに比べて打球感やコントロール性の点で劣っている。また、アイオノマー樹脂を柔軟化して打球感やコントロール性を改善する試みも、いまだ充分な効果を上げるにいたっていない。
【0009】
そこで本発明者らは、打球感やコントロール性と反発性、さらには成形性、耐摩耗性、耐久性とを両立させるべく、表皮材用樹脂について鋭意研究を重ねた結果、アイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物の特定割合の配合物にさらにグリシジル基含有オレフィン共重合体の特定量を溶融混合した組成物が、ゴルフボール用表皮材として打球感及びコントロール性能が良好で、かつ反発性、耐摩耗性及び耐久性が満足すべき水準にあることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)40〜80重量部と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60〜20重量部(但し(A)と(B)の合計量が100重量部)と、グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)0.1〜10重量部とからなるアイオノマー組成物が提供される。
【0011】
本発明によればまた、上記アイオノマー組成物から成るゴルフボールの表皮材並びにこれを表皮にしたゴルフボールが提供される。
【0012】
【作用】
本発明においては、アイオノマー樹脂に、高反発性の柔軟樹脂成分であるエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物を添加しているので、それによってアイオノマー樹脂本来の高い反発性を維持しながらアイオノマー樹脂が柔軟化され、打球感及びコントロール性が改善される。
【0013】
しかも、上記アイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物に、グリシジル基含有オレフィン共重合体を加えて加熱混合しているので、そのグリシジル基がアイオノマー樹脂と部分けん化物中のカルボキシル基と反応し、高反発でかつ柔軟な樹脂である部分けん化物とアイオノマー樹脂の相溶化が達成され、耐摩耗性及び耐久性が改善されるものと想定される。
【0014】
なおエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物は、理論的には100%イオン化度のアイオノマーに相当するため、カルボキシル基を有していないが、アイオノマー樹脂と共存した場合には、金属イオンの移動が起こり、部分的にカルボキシル基が生成し、これがグリシジル基との反応に関与するものと推定される。
【0015】
本発明においては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)40〜80重量部、特に45〜75重量部と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60〜20重量部、特に55〜25重量部とを用いることが重要である。成分(B)の量が上記範囲より少ない場合は、柔軟化が充分に達成できず、打球感やコントロール性能が悪くなり、また成分(B)の量が上記範囲よりも多くなると反発性、加工性や耐久性が不足するために好ましくない。
【0016】
上記成分(A)及び(B)の合計量100重量部当たりグリシジル基含有オレフィン共重合体(C)を0.1〜10重量部、特に0.2〜5重量部の量で用いることも重要である。上記成分(C)の使用割合が上記範囲よりも少ないと充分な改善効果が期待できないが、一方上記範囲よりも多いと、グリシジル基の過剰な反応により架橋が過度に起こり、組成物の溶融時における流動性が損なわれ、表皮材の成形に支障をきたすようになる。
【0017】
本発明によれば、上記アイオノマー組成物をゴルフボールの表皮材として用いることにより、アイオノマー樹脂の優れた反発性、耐摩耗性、射出成形性を保持しながら、その欠点である打球感やコントロール性を改善することができる。
【0018】
【発明の好適態様】
本発明におけるアイオノマー(A)のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体における不飽和カルボン酸としては、アクリル酸またはメタクリル酸の使用が最も好ましく、またその重合組成としては、エチレンが75〜90重量%、好ましくは78〜88重量%、不飽和カルボン酸が10〜25重量%、好ましくは12〜22重量%のものを使用することが、反発性、耐久性、硬度、成形性などの諸特性を考慮すると好ましい。
【0019】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体において、少量の他の単量体、例えば(メタ)アクリル酸エステルを共重合したものを用いてもよいが、通常は上記諸特性の一部が損なわれることがあるので好んで用いるものではない。
【0020】
アイオノマーにおける金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの2価イオン、アルミニウムのような3価イオンを例示することができるが、これらの中では、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが好適である。イオン種の組み合わせによる反発性の相乗的な上昇効果を考慮すると、2種以上の金属イオン、とくに少なくとも1種のアルカリ金属イオンと少なくとも1種の2価イオンを併用することが望ましく、ナトリウム/亜鉛、ナトリウム/マグネシウム、リチウム/亜鉛、リチウム/マグネシウム、カリウム/亜鉛、カリウム/マグネシウム、リチウム/ナトリウム/亜鉛の組み合わせが最も好適である。このような2種以上の金属イオンを含むアイオノマーにあっては、具体的には金属イオン種の異なる2種以上のアイオノマーを併用するのが最も一般的であるが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体からアイオノマーを製造する際に、異種金属の化合物を同時に、または逐次的に反応させて得たアイオノマーを用いてもよい。アイオノマー中におけるこれら金属イオンの中和度は、反発性や耐衝撃性を考慮すると少なくとも20モル%が望ましく、25〜80モル%が最も好適である。
【0021】
またアイオノマーのショアーD硬度としては、反発性を考慮すると60以上が望ましく、60〜80が最も好適である。また成形性等、種々の物性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.7g/10分以上、特に0.9〜10g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0022】
本発明のエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)とは、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体において、そのエステル成分を部分的に苛性アルカリでけん化した樹脂である。
【0023】
この共重合体における不飽和カルボン酸エステル成分としては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの使用が好ましく、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどのエステル類を例示することができる。
【0024】
この部分けん化物は、前記アイオノマー樹脂に柔軟性を付与するための成分であるため、共重合体中における不飽和カルボン酸エステル含有量をあまり少量にすることは避けなければならないが、一方、その量が多くなり過ぎると、物性低下の原因ともなるので、一般にエチレン50〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、不飽和カルボン酸エステル15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の組成のものを用いるのが好ましい。
【0025】
部分けん化における適当なけん化度は、原料共重合体の重合組成によっても若干異なってくるが、通常5〜50モル%、好ましくは10〜30モル%である。またこのような部分けん化物としては、ショアーD硬度で15〜45、特に20〜40であり、JIS K−6301に基づく反発弾性率で55%以上のものが好適である。部分けん化は、苛性アルカリにより公知の方法で行えばよく、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどの部分けん化物を使用することができる。
【0026】
このような部分けん化物は、一般には溶融粘度が高く、例えば190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.01〜10g/10分、特に0.1〜5g/10分のものが好適である。
【0027】
またグリシジル基含有オレフィン共重合体(C)のオレフィン成分としては、2〜8個の炭素原子を有するものが好ましく、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられるが、特に前記アイオノマー樹脂(A)及び部分けん化物(B)との相溶性を考慮するとエチレンが好ましい。
【0028】
さらにグリシジル基成分としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが、オレフィンとの共重合性から見て好ましい。このグリシジル基含有モノマー成分の重合組成としては0.5〜12重量%、特に0.5〜7重量%が好ましい。重合組成が12重量%を越えるものを用いると、少量の配合でもグリシジル基の反応性によって各成分間の著しい架橋が起こり、本発明による加熱混合組成物の溶融粘度が高くなり、成形性を阻害するために好ましくない。また重合組成が0.5重量%より少ないものを用いると、アイオノマー樹脂(A)と部分けん化物(B)との相溶性の改善効果が不足するために好ましくない。
【0029】
またこのグリシジル基含有オレフィン共重合体には、上記グリシジル基成分やオレフィン成分以外に、柔軟性の調整や前記部分けん化物(B)との相溶性を考慮して、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどを共重合成分として0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%加えることが望ましい。このアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしては、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部分けん化物(B)に記載のエステル類が例示できる。
【0030】
グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)として、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート系共重合体のようなエチレン共重合体、例えばエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を使用する場合には、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.5〜200g/10分、とくに1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0031】
アイオノマー(A)のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、部分けん化物(B)におけるエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びグリシジル基含有オレフィン共重合体(C)は、いずれも高圧法ポリエチレンと同様に、高温、高圧下のラジカル共重合によって製造することができる。
【0032】
アイオノマー(A)と部分けん化物(B)の使用割合は、両者の合計を100重量部とするときに、(A)が40〜80重量部、好ましくは45〜75重量部に対し、(B)が60〜20重量部、好ましくは55〜25重量部である。
【0033】
すなわちアイオノマー(A)が40重量部より少ない場合は、反発性や耐久性が不足し、アイオノマー(A)が80重量部より多くなると柔軟化が充分に達成できず、打球感やコントロール性能が悪くなる。
【0034】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部分けん化物(B)が20重量部より少ない場合は、柔軟化が充分に達成できず、打球感やコントロール性能が悪くなり、また部分けん化物(B)が60重量部よりも多くなると反発性、加工性や耐久性が不足するために好ましくない。
【0035】
グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)の使用割合は、(C)におけるグリシジル基含有モノマーの重合割合によっても異なるが、アイオノマー(A)と部分けん化物(B)の合計量100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、一層好ましくは0.3〜3重量部である。グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)の使用量はまた、(A)、(B)、(C)からなる組成物中、(C)のグリシジル基含有モノマーの割合が、0.01〜0.3重量%、とくに0.02〜0.2重量%となるように配合するのが好ましい。
【0036】
グリシジル基含有オレフィン共重合体の使用割合が少ないと充分な改善効果が期待できないが、一方あまり多量に用いるとグリシジル基の過剰な反応により架橋が過度に起こり、組成物の溶融時における流動性が損なわれ、表皮材の成形に支障をきたすようになるので好ましくない。
【0037】
本発明においては、成形性の点から、樹脂組成物の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.5g/10分以上、とくに1〜10g/10分となるように、またゴルフボールとしての打球感やコントロール性の点から樹脂組成物のショアD硬度が35〜58、とくに40〜55となるように、また反発性の点から樹脂組成物のJIS K−6301に基づく反発弾性率が55%以上とくに60%以上となるように(A)、(B)、(C)の組成及び配合割合を選択することが好ましい。
【0038】
本発明では、上記(A)、(B)、(C)を加熱混合することにより、グリシジル基含有オレフィン性共重合体中のグリシジル基の反応性を利用してアイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物との相溶化を達成し、所望の特性が得られるものであるが、その加熱混合は、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、またはバンバリーミキサーやニーダーなどの通常の熱可塑性樹脂用溶融混合または加工装置を用い、150〜280℃の温度条件下で行われる。
【0039】
本発明のアイオノマー組成物には、上記3種類の樹脂以外に、本発明の目的を損なわない範囲で少量の他の重合体を配合してもよい。また通常配合されているような種々の添加剤、例えばゴルフボール表皮用添加剤を配合してもよいことは勿論である。このような添加剤として、各種着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、帯電防止剤、分散剤、無機充填剤などを例示することができる。
【0040】
本発明のアイオノマー組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、パイプ成形等の成形方法により種々の成形品を製造することができるが、とくにゴルフボールの表皮材として有用である。
【0041】
本発明の樹脂組成物による表皮は、公知のソリッドゴルフボール用コア及び糸巻きゴルフボール用コアのいずれの被覆にも使用することができる。
【0042】
ソリッドコアとしては、2層以上の多層構造ゴルフボールのコアであってもよく、例えばツーピースボール用コアとしては、ポリブタジエン100重量部に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの官能性モノマーなどからなる加硫剤(架橋剤)を単独または合計で10〜60重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの充填剤を10〜30重量部、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を0.5〜5重量部、酸化防止剤を0.1〜1重量部配合したゴム組成物をプレス加硫により、例えば140〜170℃の温度で10〜40分間加熱圧縮して、球状加硫物に成形することによって得られたものを用いることができる。
【0043】
糸巻きコアとしては、センターとそれに巻き付けた糸ゴムとからなり、上記センターとしては液状、ゴム系のいずれも用いることができる。ゴム系のセンターとしては、例えば前記ソリッドコアと同様のゴム組成物を加硫することによってえられたものを用いることができる。
【0044】
糸ゴムは、従来から使用されているものを用いることができ、例えば天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに老化防止剤、加硫促進剤、イオウなどを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いることができる。ただし、これらのソリッドコア、糸巻きコアは、単なる例示であって、これら例示のもののみに限定されることはない。
【0045】
コアに表皮材を被覆する方法は、特に限定されるものでなく、通常の方法で行われる。例えば前記特定の表皮材用樹脂組成物に他の必要な添加剤を適宜配合したものを、あらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加熱成形するか、または表皮材用組成物を直接射出成形してコアを包み込む方法が採用される。表皮材の厚みは通常1〜3mm程度である。そして、表皮成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの成形が行われ、また表皮成形後、ペイント仕上げ、スタンプなども必要に応じて施される。
【0046】
このようなゴルフボールカバー材において、カバー材が多層構造をとるときには、本発明のアイオノマー組成物は、外部カバー材として、あるいは内部カバー材として使用することができる。
【0047】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお本発明の組成物を調製するために使用した樹脂は表1の通りである。
【0048】
【表1】
Figure 0003606641
【0049】
また実施例、比較例における物性値は次の方法によって測定した。
物性値測定方法
・メルトフローレート(MFR):
JIS K−6760準拠、温度190℃、荷重2160g
・硬度(ショアーD):JIS K−7215準拠、
180℃で熱プレス成形した3mm厚みのシートを、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で14日間調整し、このシートを打ち抜いて試験試片とし、これを重ねて試験を行った。
・反発弾性率:JIS K−6301準拠、
180℃で熱プレス成形した厚み12.7mm,直径29.0mmの直円柱形試片を用い、これを23℃、50%相対湿度の雰囲気下で14日間調整して試験を行った。
・耐摩耗性:JIS K−7204準拠(テーパー摩耗試験)
180℃で熱プレス成形した3mm厚みのシートを、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で14日間調整し、これを打ち抜いて試片とした。試験は摩耗輪CS−17を用い、荷重1Kg、回転数1000回転における試片の表面状態(ささくれ等の表面欠陥の有無)を観察した。
・射出成形性:東芝機械製射出成形機IS100Eを用いて、ノズル温度240℃、0.5mm厚フイルムゲートにて2mm厚×120mm×120mmの角板を成形し、射出成形性を評価した。
【0050】
実施例、比較例
表2に示す配合の組成物を、40mmφ単軸押出機(ナカタニ機械(株)製)を用いて樹脂温度190〜200℃、スクリュー回転数40min−1でメルトブレンドし、得られた加熱混合組成物の物性を評価し、その結果を表2に示した。
【0051】
比較例▲1▼、▲2▼
比較例▲1▼は、ゴルフボールの表皮材として通常用いられているナトリウムイオンと亜鉛イオンとを含むアイオノマー樹脂のみを用いた組成物である。また比較例▲2▼は、上記2種の金属イオンを含むアイオノマー樹脂に柔軟成分としてエチレン・エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含有量25重量%)の20モル%ナトリウムけん化物を配合した組成物である。この比較例▲2▼の組成物は、比較例▲1▼の組成物とほぼ同等の反発弾性率を有しながら、硬度が低くなっており、比較例▲2▼の組成物を表皮材として用いることにより、反発性を維持しながら打球感やコントロール性を改善することができる。また比較例▲2▼の組成物は、比較例▲1▼と同等のメルトフローレートを有しており、実用上問題の無い射出成形性を保持している。しかしながら比較例▲2▼の場合、明らかに耐摩耗性が劣っている。
【0052】
実施例▲1▼、▲2▼
実施例▲1▼及び▲2▼は、比較例▲2▼に用いたのと同一のアイオノマー樹脂とエチレン・エチルアクリレート共重合体の部分けん化物に、第3成分としてエチレン・グリシジルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含有量6重量%、メチルアクリレート含有量30重量%)を配合した本発明に基づく組成物である。実施例▲1▼及び▲2▼の組成物は、比較例▲1▼と同等の反発弾性率を有し、硬度が低いと共に、良好な耐摩耗性を有している。これらの組成物を表皮材に用いることにより、反発性、耐摩耗性を維持しながら打球感やコントロール性を改善できることがわかる。またエチレン・グリシジルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体の配合により、組成物のメルトフローレートが低下するが、これら実施例の配合範囲ではまだ充分な射出成形性を保持している。
【0053】
実施例▲3▼〜▲5▼
実施例▲3▼〜▲5▼は、実施例▲1▼及び▲2▼において使用したアイオノマー樹脂とは別のアイオノマー樹脂を用いた本発明に基づく組成物である。これら組成物も、比較例▲1▼と同等の反発弾性率を有しながら、硬度が低く、かつ良好な耐摩耗性を有している。これらの組成物をゴルフボールの表皮材に用いることにより、反発性、耐摩耗性を維持しながら打球感やコントロール性を改善できることがわかる。
【0054】
実施例▲6▼
実施例▲6▼は、グリシジル基含有オレフィン性共重合体として、エチレン・グリシジルメタクリレート・nブチルアクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含有量5.3重量%、nブチルアクリレート28重量%)を用いた以外は実施例▲4▼と同一の組成物である。この組成物も、比較例▲1▼と同等の反発弾性率を有しながら、硬度が低く、かつ良好な耐摩耗性を有している。この組成物を表皮材に用いることにより、反発性、耐摩耗性を維持しながら打球感やコントロール性を改善できることがわかる。
【0055】
【表2】
Figure 0003606641
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、アイオノマー樹脂の優れた反発性、耐摩耗性、射出成形性を保持しながら、その欠点である打球感やコントロール性が改善されたゴルフボール用の表皮材として有用な樹脂組成物が提供できる。

Claims (13)

  1. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)40〜80重量部と、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60〜20重量部(但し(A)と(B)の合計量が100重量部)と、グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)0.1〜10重量部とからなるアイオノマー組成物。
  2. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)が、(メタ)アクリル酸含量が10〜25重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーである請求項1記載のアイオノマー組成物。
  3. アイオノマー(A)が、2種以上の金属イオンを含むものである請求項1又は2記載のアイオノマー組成物。
  4. 2種以上の金属イオンが、アルカリ金属イオンからなる少なくとも1種と、2価金属イオンの少なくとも1種とからなる請求項3記載のアイオノマー組成物。
  5. アイオノマー(A)が、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.7g/10分以上で、ショアーD硬度が60〜80である請求項1乃至4の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  6. エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)が、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のエステル部の5〜50モル%をアルカリでけん化したものである請求項1乃至5の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  7. グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)におけるグリシジル基含有モノマー含量が0.5〜12重量%である請求項1乃至5の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  8. グリシジル基含有モノマーオレフィン共重合体(C)が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート系共重合体である請求項1乃至7の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  9. グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)のグリシジル基含有モノマー成分が、アイオノマー組成物中0.01〜0.3重量%となるような割合で(C)が配合されている請求項1乃至8の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  10. メルトフローレートが0.5g/10分以上で、ショアーD硬度が35〜58である請求項1乃至9の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  11. JIS K−6301に基づく反発弾性率が55%以上である請求項1乃至10の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  12. 請求項1乃至11の何れかに記載のアイオノマー組成物から成るゴルフボール用表皮材。
  13. 請求項1乃至11の何れかに記載のアイオノマー組成物を表皮とするゴルフボール。
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