JP4597286B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイオノマーカバーのゴルフボールの打球感及びコントロール性を改良した、高反発性で飛行性能が良好なゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より多年にわたってゴルフボールのカバー材料としては、バラタゴム(トランスポリイソプレン)が用いられている。バラタゴムのカバーは、スピンがかかりやすく、コントロール性に優れているという特徴があるが、耐久性に劣るという欠点がある。
【0003】
このため、近年、ゴルフボールのカバー用材料としては、ハイミラン1605やサーリン8940等に代表されるような硬質アイオノマー、すなわちオレフィンとα,β−不飽和モノカルボン酸のコポリマーをナトリウム又は亜鉛で中和したアイオノマーが、広汎に使用されている。硬質アイオノマーは、耐久性、耐カット性、反発性に優れ、且つ加工しやすいという特徴があり、特にソリッドコアを用いたツーピースゴルフボールのカバー材料の主流となっている。
【0004】
しかし、オレフィンとα,β−不飽和モノカルボン酸のコポリマーをナトリウム又は亜鉛で中和してなる硬質アイオノマーは、高硬度で高剛性である。このため、バラタゴム製カバーと比べて打撃時の衝撃の程度(打球感)やコントロール性が劣っている。
【0005】
そこで、硬質アイオノマーカバーを軟質化して、打球感やコントロール性を改良することが試みられている。
【0006】
例えば、特開平1−308577号や特開平5−3931号公報には、硬質アイオノマーに、オレフィンと(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸とアクリレートとからなる三元共重合体をナトリウム又は亜鉛イオンで中和してなる軟質アイオノマーをブレンドした基材樹脂をカバー材料として用いることが提案されている。しかし軟質アイオノマーのブレンドにより、カバーを構成する基材樹脂全体としての硬度が下がるため、打球感、コントロール性がバラタカバーと同程度になるまで硬度を下げると、従来のアイオノマーカバー製ゴルフボールの利点であった反発性が低下し、飛距離が損なわれることになる。
【0007】
また、特開平10−248号公報には、アイオノマー中のカルボン酸を中和するイオンをマグネシウムイオンに限定することによって、硬質アイオノマーと軟質アイオノマーのブレンド基材樹脂の欠点を解消することが提案されている。しかし、これは、硬質アイオノマーと軟質アイオノマーのブレンド樹脂の問題点の一つであるアイアン打撃時の擦過傷を解決しようとするものであって、打球感及びコントロール性の改善と反発性をバランスよく解決するには到っていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アイオノマーカバーが有する反発性及び飛距離を損なうことなく、バラタカバーの有するコントロール性及び打球感に近づけたゴルフボールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アイオノマーカバーについて、バラタカバーに近い優れた打球感やコントロール性とアイオノマーに基づく優れた反発性とを両立させるべく、鋭意研究を重ねた結果、カバーを構成するアイオノマーの一部として、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩との溶融混合物を用いたとき、反発性及び飛距離を損なうことなく打球感及びコントロール性が良好で、且つ高反発性能で飛行性能が良好なゴルフボールが得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明のゴルフボールは、コアと、該コアを被覆するカバーを有するゴルフボールにおいて、前記カバーは、少なくとも1層の熱可塑性層を有していて、前記熱可塑性層は、基材樹脂として、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩とを予め溶融混練して得られる溶融混合物30〜90重量%と、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマー10〜70重量%とを溶融混合したものを含有し、該溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有率は1〜20質量%であることを特徴とする。
【0012】
また前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0013】
前記三元共重合体アイオノマーは、マグネシウムイオン中和タイプアイオノマーであることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のゴルフボールのカバーについて説明する。
【0016】
カバーは、単層であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよいが、少なくとも一層が、以下に説明する熱可塑性層で構成されている。多層構造の場合、熱可塑性層はコアに近い最内層であってもよいし、中間層であってもよいし、最外層であってもよい。
【0017】
本発明に係る熱可塑性層は、基材樹脂に含まれるアイオノマーとして、エチレン・アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー及びエチレン・メタクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、エチレン・アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー、エチレン・メタクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー又はこれらの混合物を区別しない場合はまとめて「エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー」という)が用いられ、この三元共重合体アイオノマーはステアリン酸金属塩との溶融混合物として基材樹脂に含有されている。
【0018】
エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーを構成するアクリレートしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル等の炭素数1〜4のアルキル基エステルが挙げられ、これらのうちアクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチルが好ましく用いられる。このようなアイオノマーは、一般に軟質アイオノマーとして認識されている。
【0019】
エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーにおけるアクリレートの含有率は、5〜40重量%、好ましくは7〜36重量%である。5重量%未満では適度な柔軟性が得られず、40重量%を超えると柔軟になり過ぎて反発性や耐カット性が損なわれるおそれがあるからである。また、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーにおける(メタ)アクリル酸の含有率は5〜15重量%、好ましくは7〜13%である。5重量%未満では反発性が劣り、15重量%を超えると柔軟性に欠けるおそれがあるからである。
【0020】
エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーにおけるカルボキシル陰イオンを中和する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等の一価の金属;マグネシウム、亜鉛、カルシウム等の二価の金属が挙げられる。これらのうち、マグネシウムイオンで中和するのが最も高反発となり好ましい。
【0021】
三元共重合体アイオノマーにおける(メタ)アクリル酸の中和度は、10〜90モル%が好ましく、より好ましくは20〜80モル%である。10モル%未満では十分な反発性が得られず、90モル%を超えると流動性が低下し、成形性が悪くなるおそれがあるからである。
【0022】
本発明にかかる溶融混合物は、上記エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩との混合物である。理由は明らかではないが、当該三元共重合体アイオノマーにステアリン酸金属塩が溶融混合されることにより、低硬度、低剛性であるにもかかわらず、反発弾性が高くなる。
【0023】
ステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、又はこれらの混合物が挙げられ、これらのうち特にステアリン酸カルシウムを用いた場合、最も高反発性となり好ましい。
【0024】
上記エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩との含有量比(エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー:ステアリン酸金属塩)は99:1〜80:20であることが好ましい。すなわち、溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有率は、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%であり、更に好ましくは5〜15重量%である。1重量%未満では十分な反発性が得られず、20重量%を超えても物性改良効果が飽和するだけでなく、却ってブリードによる品質低下の原因となるからである。尚、このような溶融混合物は、ショアD硬度が35〜55、好ましくは40〜55程度となり、また曲げ剛性率は40〜200MPa程度となる。このように低硬度、低剛性であるにもかかわらず、反発弾性が高いという特徴を有している。
【0025】
上記三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩との溶融混合物は、通常の混練装置を用いて、アイオノマーの融点以上の温度、好ましくは180〜240℃程度で両者を溶融混練することによって調製することができる。
【0026】
上記三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩との溶融混合物としては、ステアリン酸金属塩としてステアリン酸カルシウムを用いた、例えば、米国デュポン社製のサーリンM205−1を挙げることができる。
【0027】
以上のような溶融混合物は、本発明にかかる熱可塑性層を構成する基材樹脂の10重量%以上含まれている。熱可塑性層における溶融混合物の含有率が小さすぎると、打球感と高反発性という相反する双方の特性を満足させることが困難だからである。よって、熱可塑性を構成する基材樹脂中の溶融混合物の含有率は、20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上で、90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0028】
本発明にかかる熱可塑性層を構成する基材樹脂中に、上記溶融混合物以外の樹脂が含まれる場合、従来よりカバー材として用いられている、所謂硬質アイオノマーとして知られているエチレン・アクリル酸共重合体アイオノマー、又はエチレン・メタクリル酸共重合体アイオノマー又はこれらの混合物(以下、これらを区別しないときは一括して「エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマー」という)を、基材樹脂の10重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは20重量%以上である。上記溶融混合物とともに硬質アイオノマーを含有させることにより、反発性を高めることができるからである。
【0029】
硬質アイオノマーとしては、具体的には、三井デュポンポリケミカル株式会社から市販されているハイミラン1605(Na)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)など;米国デュポン社から市販されているサーリン8920(Na)、サーリン8940(Na)、サーリン8945(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリン9945(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)など;エクソン化学社から市販されているアイオテック8000(Na)、アイオテック7010(Zn)などが挙げられる。なお、上記アイオノマーの商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、それらの中和金属イオン種を示している。これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独で用いてもよいし、また2種以上を混合してもよい。もとより、上記例示の1価の金属イオンで中和したアイオノマーと2価の金属イオンで中和したアイオノマーとを2種以上混合してもよい。
【0030】
基材樹脂が、上記溶融混合物とエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマーの混合物の場合、基材樹脂におけるエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマーの含有率の上限は90重量%未満が好ましく、より好ましくは70重量%未満、さらに好ましくは50重量%未満である。エチレン・アクリル酸共重合体アイオノマーの含有率が90重量%を超えると、換言すると基材樹脂における溶融混合物の含有率が10重量%未満になると、カバー材を適度に軟らかくして打球感やコントロール性を良好にするという効果が十分に発揮されなくなるからである。
【0031】
また、上記溶融混合物とエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマーの混合物の場合、基材樹脂全体としてのショアーD硬度は、40〜60が好ましく、より好ましくは44〜60、更に好ましくは48〜58である。ショアーD硬度が40未満では反発性能や飛行性能、耐カット性が低下するおそれがあるからである。一方、ショアーD硬度が60を超えると、カバーが硬くなりすぎて打球感やコントロール性が悪くなるおそれがあるからである。
【0032】
本発明にかかる熱可塑性層を構成する基材樹脂としては、前記溶融混合物の含有率が10重量%以上となり、且つショアー硬度が上記範囲を満足することを要件として、さらにハードセグメントとソフトセグメントからなる熱可塑性エラストマーが含有されていてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントがポリオレフィンのポリオレフィン系エラストマー、ハードセグメントがポリエステルのポリエステル系エラストマー、ハードセグメントがポリアミドのポリアミド系エラストマー、ハードセグメントがポリウレタンのポリウレタン系エラストマー、ハードセグメントがポリスチレンのポリスチレン系エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、そのままアイオノマーと混合して用いてもよいし、アイオノマーとの相溶性を高めるためにカルボキシル基、グリシジル基、スルホン酸基などの極性基を有するように変性させたものを用いてもよい。
【0033】
本発明の熱可塑性層を構成する組成物には、上記基材樹脂のほか、必要に応じて、顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、静電防止剤などの種々の添加剤が配合され得る。
【0034】
上記顔料としては、白色ゴルフボールををつくるための従来より公知の白色顔料、具体的には二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛等を用いることができる。このような白色顔料は、基材樹脂に対して1〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
【0035】
熱可塑性樹脂層用組成物の調製は、上記溶融混合物、必要に応じてエチレン・(メタ)クリル酸共重合体アイオノマー、熱可塑性エラストマー、顔料、その他の充填剤を所定割合で配合し、通常のミキシング、例えば混練型二軸押し出し機、バンバリー、ニーダー密閉式混練機を用いて、150〜250℃で、5〜15分間加熱混合することによって行われる。
【0036】
本発明のゴルフボールは、以上のように構成されるカバーでコアを被覆してなるなものである。コアとしては、ソリッドコアでも糸巻きコアでもよい。ソリッドコアとしては、1層構造のコアはもとより、2層以上の多層コアであってもよい。糸巻きコアとしては、センターとそれに巻き付けた糸ゴムとからなるが、センターとしては液系、ゴム系のいずれも用いることができる。
【0037】
ソリッドコアを構成するゴム組成物の配合組成は特に限定せず、従来より用いられているソリッドコア用のゴム組成物を用いることができる。具体的には、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物、充填剤等を含有する。基材ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムいずれのジエン系ゴムを用いてもよいが、好ましくはシス−1,4結合を40%以上、特に80%以上含有するハイシスポリブタジエンゴムが用いることが好ましい。また、必要に応じてハイシスポリブタジエンゴムに、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)等のジエン系ゴムを混合して用いてもよい。上記有機過酸化物は主に架橋開始剤として配合され、例えばジクミルパーオキサイドや1−ブチルパーオキサイド等が用いられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。また有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜2.0重量部であることが好ましい。上記不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤として配合され、、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸等の炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸のカリウム等の1価の金属;亜鉛、マグネシウム等の2価の金属との塩が挙げられ、これらのうち高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好ましい。不飽和カルボン酸金属塩の配合量は、基材ゴム100重量部に対して18〜35重量部が好ましい。上記充填剤としては、主として比重調整のために用いられる酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩;タングステン粉末、モリブデン粉末等の高比重金属粉末が挙げられ、これらの他に、更に必要に応じて老化防止剤、しゃく解剤などを配合してもよい。
【0038】
コアにカバーを被覆する方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば、カバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜15分間加圧成形するか、またはカバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が採用される。カバーの厚みは通常1〜4mm程度である。そして、カバー成形時、必要に応じてボール表面にディンプルの形成が行われ、またカバー成形後、ペイント仕上げ、スタンプなども必要に応じて施される。
【0039】
【実施例】
[測定・評価方法]
本件明細書において用いた測定方法、評価方法は、以下の通りである。
【0040】
▲1▼曲げ剛性率(MPa)
各カバー用組成物を用いて作製した厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、ASTM D−747に準じて測定する。
【0041】
▲2▼ショアーD硬度
各カバー用組成物を用いて作製した厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、ASTM D−2240に準じて測定する。
【0042】
▲3▼PGAコンプレッション
アッティ エンジニアリング社製のATTIコンプレッションテスターを使用して、ゴルフボールに特定の歪みをかけたときの応力を測定する。
【0043】
▲4▼飛距離(ヤード)
ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/sで打撃し、落下点までの距離(ヤード)を測定する。
【0044】
▲5▼反発係数
ボールに重さ198.4gの円筒状物を45m/sの速度で衝突させた時のボール速度から求める。
【0045】
▲6▼打球感
ドライバー(ウッド型1本)のクラブでプロゴルファー10人が実打テストを行い。打撃時の感覚で評価した。評価基準は次の通りである。
○:ソフトで良好
△:やや硬いが良好
×:硬くて手に衝撃を感じる
【0046】
▲7▼コントロール性
ピッチングウェッジのクラブでプロゴルファー10人が実打テストを行なった結果で評価した。評価基準は次の通りである。
○:スピンがかかりやすく、コントロール性が良い。
△:スピンはややかかりにくいが、コントロール可能。
×:すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロール性が悪い。
【0047】
[コアの作製]
日本合成ゴム株式会社製のポリブタジエンゴムであるBR−11(商品名)100重量部に対して、アクリル酸亜鉛30重量部、酸化亜鉛17重量部、ジクミルパーオキサイド1.2重量部および老化防止剤(吉富製薬株式会社製のヨシノックス425(商品名))0.5重量部を配合してコア用ゴム組成物を調製し、これを150℃で30分間加熱成形して平均直径38.9mmのソリッドコアを作製した。
【0048】
[カバー用組成物の調製]
基材樹脂として使用するアイオノマーとして、表1に示す4種類のアイオノマー、すなわち三井・デュポンポリケミカル株式会社製のハイミラン1605、ハイミラン1706、米国デュポン社製のサーリン8945、サーリン9945、サーリンM205−1、サーリン8320、サーリン6320を用いた。これらのうち、サーリンM205−1が本発明に係る溶融混合物に該当する。
【0049】
【表1】
Figure 0004597286
【0050】
このようなアイオノマー及び二酸化チタンを表2に示す割合で配合し、二軸混練型押出機(スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35)によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物No.1〜13を調製した。ここで、No.12,13については、まず、サーリンM205−1とサーリン6320とを溶融混合して、3元共重合体アイオノマーとステアリン酸カルシウムの比率(3元共重合体アイオノマー:ステアリン酸カルシウム)が95:5(No.12)及び90:10(No.13)の溶融混合物を調製した後、他の成分を添加して二軸混練押出機でミキシングした。
【0051】
調製したカバー用組成物No.1〜13について曲げ剛性率、ショアーD硬度を測定した。測定結果を表2に示す。尚、本発明にかかる溶融混合物(サーリンM205−1)を含有するNo.2〜5,10〜13が本発明実施例に該当し、他は比較例、及び参考例に該当する。
【0052】
[ゴルフボールの作製]
上記で作製したコアの表面を被覆する様に、上記で調製したカバー用組成物を射出成形した後、カバー表面にペイントを塗装し、外径42.7mmで、ボール重量45.3gのゴルフボールを作製した。作製したゴルフボールについて、上記評価方法に基づいて、コンプレッション、反発係数、打球感、コントロール性、飛距離を評価した。カバー用組成物の配合組成と併せて、評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0004597286
【0054】
No.6から、いわゆる硬質アイオノマーのみで基材樹脂を構成した場合には、高反発で飛距離が大きいが、打球感、コントロール性共に劣っていることがわかる。また、No.7〜9から、基材樹脂として、いわゆる軟質アイオノマー(サーリン8320)の含有率が大きくなるにしたがって、打球感、コントロール性は改善されるが、反発係数が小さくなり、飛距離が低下していくことがわかる。
【0055】
一方、No.1〜5から、三元共重合体アイオノマーにステアリン酸カルシウム混合した本発明に係る溶融混合物(サーリンM205−1)を基材樹脂として含んだものは、当該溶融混合物の含有率の増加に従って硬度、曲げ剛性率が下がっていくが、その下がり方はステアリン酸カルシウムを混合していない軟質アイオノマーよりも小さい。しかしながら、No.2とNo.7、No.3とNo.8、No.4とNo.9の組合わせで比較すればわかるように、打球感、コントロール性は、従来の軟質アイオマーと同じ含有率のものよりも優れている。さらに、No.1〜5からわかるように、本発明に係る溶融混合物の含有率の増大に伴う飛距離の低下は小さく、基材樹脂の90重量%含有する場合であっても反発性を維持できる。また、No.1は打球感が若干悪い傾向にあるが、同様の打球感を示すNo.7と比較すると高反発となっており、飛距離も大きくなっている。
【0056】
No.2(溶融混合物中のステアリン酸カルシウムの含有率15重量%)とNo.12(溶融混合物中のステアリン酸カルシウムの含有率5重量%に相当)、No.13(溶融混合物中のステアリン酸カルシウムの含有率10重量%に相当)を比較すると、溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有割合が低くなるのに従って、PGAコンプレッション、反発係数が若干低下する傾向があることがわかる。しかし、溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有率が5重量%以上であれば、反発性、飛距離を十分満足することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明のゴルフボールは、アイオノマーカバーであるにも拘わらず、適度な軟らかを有していて、打球感、コントロール性に優れ、しかも硬質アイオノマーカバーが本来有している反発性、良好な飛距離、耐久性も保持している。

Claims (4)

  1. コアと、該コアを被覆するカバーを有するゴルフボールにおいて、
    前記カバーは、少なくとも1層の熱可塑性層を有していて、
    前記熱可塑性層は、基材樹脂として、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属塩とを予め溶融混練して得られる溶融混合物30〜90重量%と、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマー10〜70重量%とを溶融混合したものを含有し、
    該溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有率は1〜20質量%であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記三元共重合体アイオノマーは、マグネシウムイオン中和タイプアイオノマーである請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 前記熱可塑性層のショアーD硬度は40〜60である請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフボール。
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