JP2000093557A - ゴルフボ―ル - Google Patents

ゴルフボ―ル

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JP2000093557A
JP2000093557A JP11196562A JP19656299A JP2000093557A JP 2000093557 A JP2000093557 A JP 2000093557A JP 11196562 A JP11196562 A JP 11196562A JP 19656299 A JP19656299 A JP 19656299A JP 2000093557 A JP2000093557 A JP 2000093557A
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molten mixture
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隆 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アイオノマーカバーが有する反発性及び飛距
離を損なうことなく、バラタカバーの有するコントロー
ル性及び打球感に近づけたゴルフボールを提供する。 【解決手段】 コアと、該コアを被覆するカバーを有す
るゴルフボールにおいて、前記カバーは、少なくとも1
層の熱可塑性層を有していて、前記熱可塑性層は、エチ
レン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体
アイオノマーと、ステアリン酸金属塩との溶融混合物を
含有し、且つ該溶融混合物の含有量は、前記熱可塑性層
を構成する基材樹脂の10重量%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アイオノマーカバ
ーのゴルフボールの打球感及びコントロール性を改良し
た、高反発性で飛行性能が良好なゴルフボールに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り多年にわたってゴルフボールのカバー材料としては、
バラタゴム(トランスポリイソプレン)が用いられてい
る。バラタゴムのカバーは、スピンがかかりやすく、コ
ントロール性に優れているという特徴があるが、耐久性
に劣るという欠点がある。
【0003】このため、近年、ゴルフボールのカバー用
材料としては、ハイミラン1605やサーリン8940
等に代表されるような硬質アイオノマー、すなわちオレ
フィンとα,β−不飽和モノカルボン酸のコポリマーを
ナトリウム又は亜鉛で中和したアイオノマーが、広汎に
使用されている。硬質アイオノマーは、耐久性、耐カッ
ト性、反発性に優れ、且つ加工しやすいという特徴があ
り、特にソリッドコアを用いたツーピースゴルフボール
のカバー材料の主流となっている。
【0004】しかし、オレフィンとα,β−不飽和モノ
カルボン酸のコポリマーをナトリウム又は亜鉛で中和し
てなる硬質アイオノマーは、高硬度で高剛性である。こ
のため、バラタゴム製カバーと比べて打撃時の衝撃の程
度(打球感)やコントロール性が劣っている。
【0005】そこで、硬質アイオノマーカバーを軟質化
して、打球感やコントロール性を改良することが試みら
れている。
【0006】例えば、特開平1−308577号や特開
平5−3931号公報には、硬質アイオノマーに、オレ
フィンと(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和カルボ
ン酸とアクリレートとからなる三元共重合体をナトリウ
ム又は亜鉛イオンで中和してなる軟質アイオノマーをブ
レンドした基材樹脂をカバー材料として用いることが提
案されている。しかし軟質アイオノマーのブレンドによ
り、カバーを構成する基材樹脂全体としての硬度が下が
るため、打球感、コントロール性がバラタカバーと同程
度になるまで硬度を下げると、従来のアイオノマーカバ
ー製ゴルフボールの利点であった反発性が低下し、飛距
離が損なわれることになる。
【0007】また、特開平10−248号公報には、ア
イオノマー中のカルボン酸を中和するイオンをマグネシ
ウムイオンに限定することによって、硬質アイオノマー
と軟質アイオノマーのブレンド基材樹脂の欠点を解消す
ることが提案されている。しかし、これは、硬質アイオ
ノマーと軟質アイオノマーのブレンド樹脂の問題点の一
つであるアイアン打撃時の擦過傷を解決しようとするも
のであって、打球感及びコントロール性の改善と反発性
をバランスよく解決するには到っていない。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、アイオノマー
カバーが有する反発性及び飛距離を損なうことなく、バ
ラタカバーの有するコントロール性及び打球感に近づけ
たゴルフボールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アイオノ
マーカバーについて、バラタカバーに近い優れた打球感
やコントロール性とアイオノマーに基づく優れた反発性
とを両立させるべく、鋭意研究を重ねた結果、カバーを
構成するアイオノマーの一部として、エチレン・(メ
タ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマ
ーとステアリン酸金属塩との溶融混合物を用いたとき、
反発性及び飛距離を損なうことなく打球感及びコントロ
ール性が良好で、且つ高反発性能で飛行性能が良好なゴ
ルフボールが得られることを見い出し、本発明を完成し
た。
【0010】即ち、本発明のゴルフボールは、コアと、
該コアを被覆するカバーを有するゴルフボールにおい
て、前記カバーは、少なくとも1層の熱可塑性層を有し
ていて、前記熱可塑性層は、エチレン・(メタ)アクリ
ル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマー及びステ
アリン酸金属塩の溶融混合物を含有し、且つ該溶融混合
物の含有量は、前記熱可塑性層を構成する基材樹脂の1
0重量%以上であることを特徴とする。
【0011】前記溶融混合物における前記三元共重合体
アイオノマーと前記ステアリン酸金属塩との配合重量比
(三元共重合体アイオノマー:ステアリン酸金属塩)は
99:1〜80:20であることが好ましい。
【0012】また前記ステアリン酸金属塩は、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸
マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種
であることが好ましく、特にステアリン酸カルシウムが
好ましい。
【0013】前記三元共重合体アイオノマーは、マグネ
シウムイオン中和タイプアイオノマーであることが好ま
しい。
【0014】前記基材樹脂には、エチレン・(メタ)ア
クリル酸共重合体アイオノマーが、10重量%以上で9
0重量%未満含有されていてもよく、前記熱可塑性層の
ショアーD硬度は40〜60であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明のゴルフボールのカ
バーについて説明する。
【0016】カバーは、単層であってもよいし、2層以
上の多層構造であってもよいが、少なくとも一層が、以
下に説明する熱可塑性層で構成されている。多層構造の
場合、熱可塑性層はコアに近い最内層であってもよい
し、中間層であってもよいし、最外層であってもよい。
【0017】本発明に係る熱可塑性層は、基材樹脂に含
まれるアイオノマーとして、エチレン・アクリル酸・ア
クリレート三元共重合体アイオノマー及びエチレン・メ
タクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマーよ
りなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、エチレン
・アクリル酸・アクリレート三元共重合体アイオノマ
ー、エチレン・メタクリル酸・アクリレート三元共重合
体アイオノマー又はこれらの混合物を区別しない場合は
まとめて「エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレー
ト三元共重合体アイオノマー」という)が用いられ、こ
の三元共重合体アイオノマーはステアリン酸金属塩との
溶融混合物として基材樹脂に含有されている。
【0018】エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレ
ート三元共重合体アイオノマーを構成するアクリレート
しては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル等の炭素数1〜
4のアルキル基エステルが挙げられ、これらのうちアク
リル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチルが好ましく用
いられる。このようなアイオノマーは、一般に軟質アイ
オノマーとして認識されている。
【0019】エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレ
ート三元共重合体アイオノマーにおけるアクリレートの
含有率は、5〜40重量%、好ましくは7〜36重量%
である。5重量%未満では適度な柔軟性が得られず、4
0重量%を超えると柔軟になり過ぎて反発性や耐カット
性が損なわれるおそれがあるからである。また、エチレ
ン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体ア
イオノマーにおける(メタ)アクリル酸の含有率は5〜
15重量%、好ましくは7〜13%である。5重量%未
満では反発性が劣り、15重量%を超えると柔軟性に欠
けるおそれがあるからである。
【0020】エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリレ
ート三元共重合体アイオノマーにおけるカルボキシル陰
イオンを中和する金属としては、ナトリウム、カリウ
ム、リチウム等の一価の金属;マグネシウム、亜鉛、カ
ルシウム等の二価の金属が挙げられる。これらのうち、
マグネシウムイオンで中和するのが最も高反発となり好
ましい。
【0021】三元共重合体アイオノマーにおける(メ
タ)アクリル酸の中和度は、10〜90モル%が好まし
く、より好ましくは20〜80モル%である。10モル
%未満では十分な反発性が得られず、90モル%を超え
ると流動性が低下し、成形性が悪くなるおそれがあるか
らである。
【0022】本発明にかかる溶融混合物は、上記エチレ
ン・(メタ)アクリル酸・アクリレート三元共重合体ア
イオノマーとステアリン酸金属塩との混合物である。理
由は明らかではないが、当該三元共重合体アイオノマー
にステアリン酸金属塩が溶融混合されることにより、低
硬度、低剛性であるにもかかわらず、反発弾性が高くな
る。
【0023】ステアリン酸金属塩としては、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン
酸亜鉛、又はこれらの混合物が挙げられ、これらのうち
特にステアリン酸カルシウムを用いた場合、最も高反発
性となり好ましい。
【0024】上記エチレン・(メタ)アクリル酸・アク
リレート三元共重合体アイオノマーとステアリン酸金属
塩との含有量比(エチレン・(メタ)アクリル酸・アク
リレート三元共重合体アイオノマー:ステアリン酸金属
塩)は99:1〜80:20であることが好ましい。す
なわち、溶融混合物中のステアリン酸金属塩の含有率
は、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜2
0重量%であり、更に好ましくは5〜15重量%であ
る。1重量%未満では十分な反発性が得られず、20重
量%を超えても物性改良効果が飽和するだけでなく、却
ってブリードによる品質低下の原因となるからである。
尚、このような溶融混合物は、ショアD硬度が35〜5
5、好ましくは40〜55程度となり、また曲げ剛性率
は40〜200MPa程度となる。このように低硬度、
低剛性であるにもかかわらず、反発弾性が高いという特
徴を有している。
【0025】上記三元共重合体アイオノマーとステアリ
ン酸金属塩との溶融混合物は、通常の混練装置を用い
て、アイオノマーの融点以上の温度、好ましくは180
〜240℃程度で両者を溶融混練することによって調製
することができる。
【0026】上記三元共重合体アイオノマーとステアリ
ン酸金属塩との溶融混合物としては、ステアリン酸金属
塩としてステアリン酸カルシウムを用いた、例えば、米
国デュポン社製のサーリンM205−1を挙げることが
できる。
【0027】以上のような溶融混合物は、本発明にかか
る熱可塑性層を構成する基材樹脂の10重量%以上含ま
れている。熱可塑性層における溶融混合物の含有率が小
さすぎると、打球感と高反発性という相反する双方の特
性を満足させることが困難だからである。よって、熱可
塑性を構成する基材樹脂中の溶融混合物の含有率は、2
0重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以
上で、90重量%以下、好ましくは80重量%以下、よ
り好ましくは70重量%以下である。
【0028】本発明にかかる熱可塑性層を構成する基材
樹脂中に、上記溶融混合物以外の樹脂が含まれる場合、
従来よりカバー材として用いられている、所謂硬質アイ
オノマーとして知られているエチレン・アクリル酸共重
合体アイオノマー、又はエチレン・メタクリル酸共重合
体アイオノマー又はこれらの混合物(以下、これらを区
別しないときは一括して「エチレン・(メタ)アクリル
酸共重合体アイオノマー」という)を、基材樹脂の10
重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは2
0重量%以上である。上記溶融混合物とともに硬質アイ
オノマーを含有させることにより、反発性を高めること
ができるからである。
【0029】硬質アイオノマーとしては、具体的には、
三井デュポンポリケミカル株式会社から市販されている
ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1707(N
a)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミラン1
706(Zn)、ハイミランAM7315(Zn)、ハ
イミランAM7317(Zn)、ハイミランAM731
1(Mg)、ハイミランMK7320(K)など;米国
デュポン社から市販されているサーリン8920(N
a)、サーリン8940(Na)、サーリン8945
(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリン994
5(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン79
40(Li)など;エクソン化学社から市販されている
アイオテック8000(Na)、アイオテック7010
(Zn)などが挙げられる。なお、上記アイオノマーの
商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、
Mgなどは、それらの中和金属イオン種を示している。
これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単
独で用いてもよいし、また2種以上を混合してもよい。
もとより、上記例示の1価の金属イオンで中和したアイ
オノマーと2価の金属イオンで中和したアイオノマーと
を2種以上混合してもよい。
【0030】基材樹脂が、上記溶融混合物とエチレン・
(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマーの混合物の場
合、基材樹脂におけるエチレン・(メタ)アクリル酸共
重合体アイオノマーの含有率の上限は90重量%未満が
好ましく、より好ましくは70重量%未満、さらに好ま
しくは50重量%未満である。エチレン・アクリル酸共
重合体アイオノマーの含有率が90重量%を超えると、
換言すると基材樹脂における溶融混合物の含有率が10
重量%未満になると、カバー材を適度に軟らかくして打
球感やコントロール性を良好にするという効果が十分に
発揮されなくなるからである。
【0031】また、上記溶融混合物とエチレン・(メ
タ)アクリル酸共重合体アイオノマーの混合物の場合、
基材樹脂全体としてのショアーD硬度は、40〜60が
好ましく、より好ましくは44〜60、更に好ましくは
48〜58である。ショアーD硬度が40未満では反発
性能や飛行性能、耐カット性が低下するおそれがあるか
らである。一方、ショアーD硬度が60を超えると、カ
バーが硬くなりすぎて打球感やコントロール性が悪くな
るおそれがあるからである。
【0032】本発明にかかる熱可塑性層を構成する基材
樹脂としては、前記溶融混合物の含有率が10重量%以
上となり、且つショアー硬度が上記範囲を満足すること
を要件として、さらにハードセグメントとソフトセグメ
ントからなる熱可塑性エラストマーが含有されていても
よい。熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメン
トがポリオレフィンのポリオレフィン系エラストマー、
ハードセグメントがポリエステルのポリエステル系エラ
ストマー、ハードセグメントがポリアミドのポリアミド
系エラストマー、ハードセグメントがポリウレタンのポ
リウレタン系エラストマー、ハードセグメントがポリス
チレンのポリスチレン系エラストマーなどが挙げられ
る。これらの熱可塑性エラストマーは、そのままアイオ
ノマーと混合して用いてもよいし、アイオノマーとの相
溶性を高めるためにカルボキシル基、グリシジル基、ス
ルホン酸基などの極性基を有するように変性させたもの
を用いてもよい。
【0033】本発明の熱可塑性層を構成する組成物に
は、上記基材樹脂のほか、必要に応じて、顔料、分散
剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、静電防止剤
などの種々の添加剤が配合され得る。
【0034】上記顔料としては、白色ゴルフボールをを
つくるための従来より公知の白色顔料、具体的には二酸
化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛等を用い
ることができる。このような白色顔料は、基材樹脂に対
して1〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜3
重量%である。
【0035】熱可塑性樹脂層用組成物の調製は、上記溶
融混合物、必要に応じてエチレン・(メタ)クリル酸共
重合体アイオノマー、熱可塑性エラストマー、顔料、そ
の他の充填剤を所定割合で配合し、通常のミキシング、
例えば混練型二軸押し出し機、バンバリー、ニーダー密
閉式混練機を用いて、150〜250℃で、5〜15分
間加熱混合することによって行われる。
【0036】本発明のゴルフボールは、以上のように構
成されるカバーでコアを被覆してなるなものである。コ
アとしては、ソリッドコアでも糸巻きコアでもよい。ソ
リッドコアとしては、1層構造のコアはもとより、2層
以上の多層コアであってもよい。糸巻きコアとしては、
センターとそれに巻き付けた糸ゴムとからなるが、セン
ターとしては液系、ゴム系のいずれも用いることができ
る。
【0037】ソリッドコアを構成するゴム組成物の配合
組成は特に限定せず、従来より用いられているソリッド
コア用のゴム組成物を用いることができる。具体的に
は、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化
物、充填剤等を含有する。基材ゴムとしては、天然ゴ
ム、合成ゴムいずれのジエン系ゴムを用いてもよいが、
好ましくはシス−1,4結合を40%以上、特に80%
以上含有するハイシスポリブタジエンゴムが用いること
が好ましい。また、必要に応じてハイシスポリブタジエ
ンゴムに、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(I
R)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・
プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)等のジエ
ン系ゴムを混合して用いてもよい。上記有機過酸化物は
主に架橋開始剤として配合され、例えばジクミルパーオ
キサイドや1−ブチルパーオキサイド等が用いられ、こ
れらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられ
る。また有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100重量
部に対して0.3〜2.0重量部であることが好まし
い。上記不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤として配
合され、、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸等の炭
素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸のカリウム等の
1価の金属;亜鉛、マグネシウム等の2価の金属との塩
が挙げられ、これらのうち高い反発性を付与するアクリ
ル酸亜鉛が好ましい。不飽和カルボン酸金属塩の配合量
は、基材ゴム100重量部に対して18〜35重量部が
好ましい。上記充填剤としては、主として比重調整のた
めに用いられる酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム等の金属塩;タングステン粉末、モリブデン粉末等の
高比重金属粉末が挙げられ、これらの他に、更に必要に
応じて老化防止剤、しゃく解剤などを配合してもよい。
【0038】コアにカバーを被覆する方法は、特に限定
されるものではなく、通常の方法で行うことができる。
例えば、カバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフ
シェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130
〜170℃で1〜15分間加圧成形するか、またはカバ
ー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む
方法が採用される。カバーの厚みは通常1〜4mm程度
である。そして、カバー成形時、必要に応じてボール表
面にディンプルの形成が行われ、またカバー成形後、ペ
イント仕上げ、スタンプなども必要に応じて施される。
【0039】
【実施例】[測定・評価方法]本件明細書において用い
た測定方法、評価方法は、以下の通りである。
【0040】曲げ剛性率(MPa) 各カバー用組成物を用いて作製した厚さ約2mmの熱プ
レス成形シートを23℃で2週間保存後、ASTM D
−747に準じて測定する。
【0041】ショアーD硬度 各カバー用組成物を用いて作製した厚さ約2mmの熱プ
レス成形シートを23℃で2週間保存後、ASTM D
−2240に準じて測定する。
【0042】PGAコンプレッション アッティ エンジニアリング社製のATTIコンプレッ
ションテスターを使用して、ゴルフボールに特定の歪み
をかけたときの応力を測定する。
【0043】飛距離(ヤード) ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラ
ブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/sで打
撃し、落下点までの距離(ヤード)を測定する。
【0044】反発係数 ボールに重さ198.4gの円筒状物を45m/sの速
度で衝突させた時のボール速度から求める。
【0045】打球感 ドライバー(ウッド型1本)のクラブでプロゴルファー
10人が実打テストを行い。打撃時の感覚で評価した。
評価基準は次の通りである。 ○:ソフトで良好 △:やや硬いが良好 ×:硬くて手に衝撃を感じる
【0046】コントロール性 ピッチングウェッジのクラブでプロゴルファー10人が
実打テストを行なった結果で評価した。評価基準は次の
通りである。 ○:スピンがかかりやすく、コントロール性が良い。 △:スピンはややかかりにくいが、コントロール可能。 ×:すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロール
性が悪い。
【0047】[コアの作製]日本合成ゴム株式会社製の
ポリブタジエンゴムであるBR−11(商品名)100
重量部に対して、アクリル酸亜鉛30重量部、酸化亜鉛
17重量部、ジクミルパーオキサイド1.2重量部およ
び老化防止剤(吉富製薬株式会社製のヨシノックス42
5(商品名))0.5重量部を配合してコア用ゴム組成
物を調製し、これを150℃で30分間加熱成形して平
均直径38.9mmのソリッドコアを作製した。
【0048】[カバー用組成物の調製]基材樹脂として
使用するアイオノマーとして、表1に示す4種類のアイ
オノマー、すなわち三井・デュポンポリケミカル株式会
社製のハイミラン1605、ハイミラン1706、米国
デュポン社製のサーリン8945、サーリン9945、
サーリンM205−1、サーリン8320、サーリン6
320を用いた。これらのうち、サーリンM205−1
が本発明に係る溶融混合物に該当する。
【0049】
【表1】
【0050】このようなアイオノマー及び二酸化チタン
を表2に示す割合で配合し、二軸混練型押出機(スクリ
ュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スク
リューL/D=35)によりミキシングして、ペレット
状のカバー用組成物No.1〜13を調製した。ここ
で、No.12,13については、まず、サーリンM2
05−1とサーリン6320とを溶融混合して、3元共
重合体アイオノマーとステアリン酸カルシウムの比率
(3元共重合体アイオノマー:ステアリン酸カルシウ
ム)が95:5(No.12)及び90:10(No.
13)の溶融混合物を調製した後、他の成分を添加して
二軸混練押出機でミキシングした。
【0051】調製したカバー用組成物No.1〜13に
ついて曲げ剛性率、ショアーD硬度を測定した。測定結
果を表2に示す。尚、本発明にかかる溶融混合物(サー
リンM205−1)を含有するNo.1〜5,10〜1
3が本発明実施例に該当し、他は比較例に該当する。
【0052】[ゴルフボールの作製]上記で作製したコ
アの表面を被覆する様に、上記で調製したカバー用組成
物を射出成形した後、カバー表面にペイントを塗装し、
外径42.7mmで、ボール重量45.3gのゴルフボ
ールを作製した。作製したゴルフボールについて、上記
評価方法に基づいて、コンプレッション、反発係数、打
球感、コントロール性、飛距離を評価した。カバー用組
成物の配合組成と併せて、評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】No.6から、いわゆる硬質アイオノマー
のみで基材樹脂を構成した場合には、高反発で飛距離が
大きいが、打球感、コントロール性共に劣っていること
がわかる。また、No.7〜9から、基材樹脂として、
いわゆる軟質アイオノマー(サーリン8320)の含有
率が大きくなるにしたがって、打球感、コントロール性
は改善されるが、反発係数が小さくなり、飛距離が低下
していくことがわかる。
【0055】一方、No.1〜5から、三元共重合体ア
イオノマーにステアリン酸カルシウム混合した本発明に
係る溶融混合物(サーリンM205−1)を基材樹脂と
して含んだものは、当該溶融混合物の含有率の増加に従
って硬度、曲げ剛性率が下がっていくが、その下がり方
はステアリン酸カルシウムを混合していない軟質アイオ
ノマーよりも小さい。しかしながら、No.2とNo.
7、No.3とNo.8、No.4とNo.9の組合わ
せで比較すればわかるように、打球感、コントロール性
は、従来の軟質アイオマーと同じ含有率のものよりも優
れている。さらに、No.1〜5からわかるように、本
発明に係る溶融混合物の含有率の増大に伴う飛距離の低
下は小さく、基材樹脂の90重量%含有する場合であっ
ても反発性を維持できる。また、No.1は打球感が若
干悪い傾向にあるが、同様の打球感を示すNo.7と比
較すると高反発となっており、飛距離も大きくなってい
る。
【0056】No.2(溶融混合物中のステアリン酸カ
ルシウムの含有率15重量%)とNo.12(溶融混合
物中のステアリン酸カルシウムの含有率5重量%に相
当)、No.13(溶融混合物中のステアリン酸カルシ
ウムの含有率10重量%に相当)を比較すると、溶融混
合物中のステアリン酸金属塩の含有割合が低くなるのに
従って、PGAコンプレッション、反発係数が若干低下
する傾向があることがわかる。しかし、溶融混合物中の
ステアリン酸金属塩の含有率が5重量%以上であれば、
反発性、飛距離を十分満足することができる。
【0057】
【発明の効果】本発明のゴルフボールは、アイオノマー
カバーであるにも拘わらず、適度な軟らかを有してい
て、打球感、コントロール性に優れ、しかも硬質アイオ
ノマーカバーが本来有している反発性、良好な飛距離、
耐久性も保持している。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアと、該コアを被覆するカバーを有す
    るゴルフボールにおいて、 前記カバーは、少なくとも1層の熱可塑性層を有してい
    て、 前記熱可塑性層は、エチレン・(メタ)アクリル酸・ア
    クリレート三元共重合体アイオノマーと、ステアリン酸
    金属塩との溶融混合物を含有し、 且つ該溶融混合物の含有量は、前記熱可塑性層を構成す
    る基材樹脂の10重量%以上であることを特徴とするゴ
    ルフボール。
  2. 【請求項2】 前記溶融混合物における前記三元共重合
    体アイオノマーと前記ステアリン酸金属塩との配合重量
    比(三元共重合体アイオノマー:ステアリン酸金属塩)
    は99:1〜80:20である請求項1に記載のゴルフ
    ボール。
  3. 【請求項3】 前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン
    酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マ
    グネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種で
    ある請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 【請求項4】 前記三元共重合体アイオノマーは、マグ
    ネシウムイオン中和タイプアイオノマーである請求項1
    又は2に記載のゴルフボール。
  5. 【請求項5】 前記基材樹脂には、エチレン・(メタ)
    アクリル酸共重合体アイオノマーが、10重量%以上で
    90重量%未満含有されている請求項1〜4のいずれか
    に記載のゴルフボール。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性層のショアーD硬度は40
    〜60である請求項1〜5のいずれかに記載のゴルフボ
    ール。
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