JP5183007B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、加工性、作業性、耐傷付き性、耐磨耗性、耐熱性、意匠性(艶消し外観)等に優れ、また滑り摩擦係数が小さい表面特性を有する成形体を製造することが可能な熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関する。とくに機械強度及び伸びが共に大きく、とりわけ高温時の引張強度及び半溶融状態における延伸性に優れ、複雑形状の成形体や二次加工成形体の製造に好適な熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関する。
出願人は、すでにエチレン系アイオノマー、α−オレフィン・グリシジルモノマー共重合体及びポリオレフィンからなる熱可塑性樹脂組成物について提案している(例えば特許文献1を参照)。この提案に係る樹脂組成物は、加工性、作業性、耐傷付き性、耐磨耗性、耐熱性、意匠性等に優れ、また滑り摩擦係数が小さい表面特性を有する成形体を製造することが可能であり、その特性を生かして建材や自動車内装部品など種々の用途に供することができる。このような樹脂組成物を用いて異形押出やその他複雑な形状の製品の成形をする場合、あるいは真空成形、圧空成形などの二次加工などにより複雑形状の成形品を得る場合などにおいては、高強度品であって伸びが大きく、精巧で表面状態良好な成形品を生産よく製造できる材料が求められていた。
特開2001−261906号公報
そこで本発明者らは、上記提案における熱可塑性樹脂組成物の優れた特性を維持しつつ、高強度であってしかも伸びの大きい材料を得るべく検討した結果、エチレン系アイオノマーとして特定複数種のものを併用することが有効であることを見出した。したがって本発明の目的は、機械強度と引張伸びのバランスが優れ、かつ加工性、作業性、耐傷付き性、耐磨耗性、耐熱性、意匠性等にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
すなわち本発明によれば、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体10〜90重量%とエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体90〜10重量%の混合成分をベース樹脂とし、かつイオン源として少なくとも1種のアルカリ金属と少なくとも1種の2価金属を含む全カルボキシル基に対する中和度(平均中和度)が20〜90%のものであるエチレン系アイオノマー(A)60〜96.7重量部、エチレンとグリシジルモノマーの共重合体(B)0.3〜10重量部及び密度(JIS K7112 D法)が920kg/m以上のエチレン・α−オレフィン共重合体(C)3〜30重量部(合計100重量部)からなり、JIS K6760に準拠して測定した引張強度が30MPa以上、破断点伸度が350%以上、軟化温度が65℃以上で、JIS K7106に準拠して測定した曲げ剛性率が190〜207MPaであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、加工性、作業性、耐傷付き性、耐磨耗性、耐熱性、意匠性(艶消し外観)等に優れ、また滑り摩擦係数が小さい表面特性を有する成形体を製造することが可能な熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。このような樹脂組成物は、とくに機械強度(引張強度)及び引張伸び(破断点伸度)が共に大きいので、伸縮を伴う成形体用途に好適である。とりわけ高温時の引張強度及び半溶融状態における延伸性に優れているので、複雑な形状の成形体加工に対応でき、二次加工における賦形性にも優れている。例えば、JIS K6760に準拠して測定した引張強度が30MPa以上、破断点伸度が350%以上、軟化温度が65℃以上の熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることができる。したがって一般的な押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形などは勿論のこと、異形押出成形や真空成形、圧空成形などの二次成形により複雑形状の成形体を得る場合においても、所望形状の成形体を容易に製造することができる。例えば、異形押出成形体、中空パイプ状成形体、ガス・上下水道などの流体搬送用パイプ、工業用バルーン、ギャザー、伸縮管、継ぎ手、伸縮性コード、機械用ベルト、床材、自動車内装材、突板・鋼板・建材・看板などの表層シート、カーテン・間仕切りシート・産業用シートなどのシート状成形体もしくはそれらの表皮、真空圧空成形体もしくはそれらの表皮材などとして使用することができる。
本発明で用いられるエチレン系アイオノマー(A)は、少なくとも1種のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及び少なくとも1種のエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体をベース樹脂とし、かつイオン源として金属種を2種以上含む混合成分である。ここに(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味するものであり、また(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味するものである。
このようなエチレン系アイオノマー(A)は、例えば(1)金属をイオン源とするエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーと、これと異なる金属をイオン源とするエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のアイオノマーをブレンドする方法、(2)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体とエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のブレンド物を2種以上の金属種により共イオン化する方法、(3)2種以上の金属をイオン源とするエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー(又はアイオノマー混合物)とエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のアイオノマーをブレンドする方法、(4)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーと2種以上の金属をイオン源とするエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のアイオノマー(又はアイオノマー混合物)をブレンドする方法などによって得ることができる。勿論、上記方法を利用した多くの変形によりエチレン系アイオノマー(A)を得ることも可能である。
エチレン系アイオノマー(A)のベースポリマーの一つであるエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体としては、(メタ)アクリル酸含量が2〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、一層好ましくは5〜20重量%のものを使用するのが望ましい。またJIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが1〜1000g/10分、とくに2〜800g/10分のものが好適に使用できる。また他方のベースポリマーであるエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エチレン含量が、50〜98重量%、好ましくは60〜95重量%、一層好ましくは70〜90重量%、(メタ)アクリル酸含量が1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、一層好ましくは3〜20重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、一層好ましくは3〜20重量%の重合組成のものが好ましい。またJIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが1〜1000g/10分、とくに2〜800g/10分のものが好適に使用できる。後者の共重合体における(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチルなどであり、とくにアクリル酸の炭素数1〜8程度のアルキルエステルが好適である。上記ベースポリマーは、それぞれ重合組成やメルトフローレートなどが異なる2種以上のものを使用してもよい。本発明においては、エチレン系アイオノマー(A)として、ベースポリマー基準で、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体とエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の使用割合が、10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20となるような混合成分が使用される。上記各ベースポリマーはまた、高温、高圧下のラジカル共重合によって調製することができる。
本発明のエチレン系アイオノマー(A)としては、ベースポリマーとして上記割合のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の混合成分を使用すると共に、イオン源として2種以上の金属種を含む中和度が20〜90%のものを使用するものである。金属種としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛などの2価金属などから選ばれる2種以上のものを使用することができる。これらの中ではアルカリ金属と2価金属を併用することが好ましく、中でもナトリウムと亜鉛の組み合わせが好ましい。エチレン系アイオノマー(A)においては、ベースポリマー中のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の全カルボキシル基に対する中和度(平均中和度)が20〜90%、好ましくは30〜85%のものが使用される。またイオン種としてアルカリ金属と2価金属を使用する場合、両者の原子比(アルカリ金属/2価金属)が1/25〜25/1、とくに1/20〜20/1となるような割合とするのが好ましい。エチレン系アイオノマー(A)としてはまた、成形性、機械的特性、他成分との混和性などを考慮すると、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重により測定したメルトフローレートが0.01〜100g/10分、とくに0.1〜50g/10分のものを使用するのが好ましい。エチレン系アイオノマー(A)として、上記のようにベースポリマーを2種以上使用し、またこのような2種以上の金属種を使用することにより、引張強度及び引張伸びが共に大きく、半溶融状態における延伸性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明で使用されるエチレンとグリシジルモノマーの共重合体(B)は、エチレンとグリシジルモノマーのみからなる二元共重合体であっても、エチレンとグリシジルモノマーに加え、さらに他の単量体が共重合された多元共重合体であってもよい。共重合体(B)におけるグリシジルモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート又は不飽和グリシジルエーテルを代表例として挙げることができる。より具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
エチレンと上記グリシジルモノマーの共重合体に任意に共重合される他の単量体の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステルなどを例示することができる。
エチレンとグリシジルモノマーの共重合体(B)としては、エチレンが50〜99重量%、とくに52〜98重量%、グリシジルモノマーが0.5〜20重量%、とくに1〜18重量%、上記他の単量体が0〜49.5重量%、好ましくは0〜40重量%の割合で共重合されているものが好ましい。グリシジルモノマー含量が少なすぎると、軟化温度の上昇や耐熱性、耐艶戻り性の改良が顕著でなく、一方その量が多くなりすぎると、アイオノマーとの反応が強くなりすぎ、樹脂粘度が急激に上昇して成形が困難となったり、また組成物中にゲルが発生するなどの問題を起こすことがある。このような共重合体は、ランダム共重合体であってもグラフト共重合体であってもよいが、一般にはエチレン系アイオノマー(A)との反応の均一性からランダム共重合体を使用するのが好ましい。このようなランダム共重合体は、例えば、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
エチレン・グリシジルモノマー共重合体(B)としてはまた、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.01〜1000g/10分、とくに0.1〜200g/10分のものを使用するのが好ましい。
本発明においては、エチレン系アイオノマー(A)、エチレン・グリシジルモノマー共重合体(B)とともにポリオレフィン(C)が使用される。このようなポリオレフィン(C)を使用することにより、他成分との分散性が優れ、軟化温度が高く、意匠性、耐熱性、耐磨耗性、耐傷付き性、防汚性、機械的強度等に優れた樹脂組成物を容易に得ることができる。
ポリオレフィン(C)は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどα−オレフィンの単独重合体又はこれら2種以上の相互共重合体であり、各種触媒を使用して、種々の方法で製造されたものを使用することができる。より具体的には、中・高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、直鎖超低密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体、ポリプロピレン、ポリー1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。これらの中では、成形加工性、引張伸び(破断点伸び)を考慮すると、エチレン系重合体を使用することが好ましい。
上記エチレン系重合体において、エチレンと他のα−オレフィンの共重合体である場合には、共重合成分は炭素数3〜20、とくに4〜10のα−オレフィンであることが好ましい。また密度(JIS K7112 D法)が900〜960kg/mの直鎖低密度ポリエチレンやそれ以下の密度を有する直鎖超低密度ポリエチレンにおいては、高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分からなるマルチサイト触媒系、バナジウム化合物触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分からなる触媒系、メタロセン系触媒成分とアルミノオキサンからなる触媒系など、種々の触媒系を用いて製造したものを使用することができる。これらの中では他成分との分散性が優れ、意匠性、耐熱性、耐磨耗性、耐傷付き性、機械的強度等に優れた樹脂組成物を容易に得ることができるところから、その少なくとも一部として、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上が、密度が920kg/m以上、とくに925kg/m以上のエチレンと他のα−オレフィンの共重合体を使用するのが好ましい。エチレン系重合体においてはまた、成形加工性、製品強度などを考慮すると、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜100g/10分、とくに0.1〜50g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
ポリオレフィン(C)として使用可能なポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンのランダム共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンのブロック共重合体などを使用することができる。これらの中では他成分との混和性を考慮すると、プロピレンと他のα−オレフィンのランダム又はブロック共重合体を使用するのが好ましい。上記プロピレンの共重合体においては、プロピレンと共重合させる他のα−オレフィンとして、エチレンを単独で使用するかあるいはエチレンと炭素数4〜8程度のα−オレフィンを組み合わせて使用することが好ましい。このようなポリプロピレン(C)は、立体特異性触媒の存在下で製造することができる。ポリプロピレンにおいては、成形加工性、製品強度などを考慮すると、ASTMD1238、230℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜100g/10分、とくに0.1〜50g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(A)、(B)、(C)各成分の配合割合は、これら合計量を100重量部とするときに、エチレン系アイオノマー(A)が60〜96.7重量部、エチレン・グリシジルモノマー共重合体(B)が0.3〜10重量部、ポリオレフィン(C)が3〜30重量部、好ましくは(A)が73〜95.5重量部、(B)が0.5〜7重量部、(C)が4〜20重量部、一層好ましくは(A)が81〜94重量部、(B)が1〜4重量部、(C)が5〜15重量部となる割合である。これら(A)、(B)、(C)各成分の種類及びその配合割合を適宜選択することにより、JIS K6760に準拠して測定した引張強度が30MPa以上、破断点伸度が350%以上、軟化温度が65℃以上の熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、エチレン系アイオノマー(A)、エチレン・グリシジルモノマー共重合体(B)及びポリオレフィン(C)を溶融混合することによって得ることができる。溶融混合に際しては、スクリュー押出機、ロールミキサー、バンバリミキサー等の通常の混合装置を使用することができる。また溶融混合は上記3成分を同時に配合して行うことができるが、最も好ましいのは(B)と(C)を予め溶融混合したものと(A)を溶融混合する方法である。この方法によれば、(B)が(C)に希釈されることにより(A)との反応が局部的に起こらず均一となるためで、優れた諸性質を有する組成物を品質安定性よく製造できるという利点がある。先に(A)と(B)を溶融混合した後、(C)を混合するというような方法を取ると、局部的な反応によりゲルが発生する恐れがあるので避けたほうがよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内においてその他の重合体や各種添加剤を配合することができる。添加剤の一例として、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、無機充填剤、繊維強化材などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、中空成形などの各種成形方法により、各種形状の成形体とすることができる。例えばインフレーションフイルム成形機やキャストフイルム・シート成形機を用いて成形されるシートやフイルムなどの成形体は、シルキー状で得られ、耐磨耗性、耐傷付き性が優れ、延伸時又は折り曲げ時に樹脂白化がないというアイオノマーの特徴を維持しつつ、剛性、表面硬度、防汚性、意匠性(艶消し外観)などにも優れているという特徴を有している。このようなシートやフイルムなどの成形体は単層でもよく、また各種基材との接着性を向上させるために、共押出成形機により接着性樹脂と共押出積層体を形成することもできる。
本発明の樹脂組成物はまた、機械強度(引張強度)及び引張伸び(破断点伸度)のバランスが良好であるので、伸縮性を伴う成形体用途に好適である。また軟化温度が高く、高温下での引張強度に優れ、半溶融状態での均一な延伸性が良好である。このため異形押出成形のような複雑な形状の成形体加工に対応することができ、また真空成形や圧空成形などの二次加工における賦形性も優れている。
上記のような共押出積層体を形成する場合、本発明の樹脂組成物と積層できる接着性樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸アルキルエステル3元共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル・一酸化炭素共重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸グラフト物から選ばれる、単体もしくは任意の複数からなるブレンド物を代表例として挙げることができる。
本発明の樹脂組成物からなる単層シートあるいはこれを表皮層とし、前述の接着性樹脂を内層とする多層シートは、熱ラミネーション成形、熱ロール成形、熱プレス成形、ドライラミネーション(接着剤塗工)などの公知の成形方法により、他の基材表面に積層することにより積層体を形成することができる。このような基材としては、紙又は印刷紙、各種金属箔、鋼鈑などの各種金属板、木材又は合板などの木質材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、TPOなどのポリオレフィン系フィルム・シート・成形品又はそれらの各種充填剤配合品、PVCシート・タイル、織布、不織布などを挙げることができる。
また本発明の樹脂組成物の他の押出成形例としては、押出コーティング成形機を用いて他の基材表面に熱接着させることにより積層体を形成する方法を例示することができる。このような基材として、紙、各種金属箔、鋼板などの各種金属板、ポリオレフィンフイルム・シート、織布、不織布などを挙げることができる。押出コーティング成形の場合、後述の実施例に示すように、本発明の樹脂組成物を構成する各樹脂成分のMFRや配合割合を巧くコントロールすることにより、押出成形性と耐磨耗性、耐傷付き性、艶消し外観などの表面特性のバランスを取ることができる。
本発明の樹脂組成物を押出コーティング成形機により他の基材の表面に積層する場合、単層でもよく、また各種基材との接着性を向上させるために、共押出コーティング成形機により接着性樹脂層を介して形成することができる。このような接着性樹脂としては、前述の各種エチレン共重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸グラフト物から選ばれる、単体もしくは任意の複数からなるブレンド物を代表例として挙げることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において用いた原料の組成と物性及び得られた樹脂組成物の物性評価方法は、以下の通りである。
1.原料
(1)アイオノマー
アイオノマーA:メタクリル酸(MAA)含量10重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)の亜鉛中和度80%のアイオノマー、メルトフローレート(MFR)(JIS K7110−1999、190℃、2160g荷重、以下同じ):1.0g/10分
アイオノマーB:MAA含量10重量%、アクリル酸イソブチル(iBA)含量10重量%のエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(EMAAiBA)の亜鉛中和度70%のアイオノマー、MFR:1.0g/10分
アイオノマーC:MAA含量9重量%のEMAAのナトリウム中和度53%のアイオノマー、MFR:0.45g/10分
アイオノマーD:MAA含量10重量%、iBA含量10重量%のEMAAiBAのナトリウム中和度36%のアイオノマー、MFR:1.0g/10分
アイオノマーE:MAA含量15重量%のEMAAの亜鉛中和度59%のアイオノマー、MFR:0.9g/10分
アイオノマーF:MAA含量10重量%のEMAAのナトリウム中和度54%のアイオノマー、MFR:0.9g/10分
(2)エチレン・グリシジルモノマー共重合体マスターバッチ
EnBAGMA−MB:下記EnBAGMA20重量部及び下記m−LLDPE80重量部のメルトブレンド物
EnBAGMA:アクリル酸n−ブチル含量28重量%、グリシジルメタクリレート含量5重量%のエチレン・アクリル酸n−ブチル・グリシジルメタクリレート共重合体、MFR:12g/10分
(3)ポリオレフィン
m−LLDPE:メタロセン触媒を使用して製造された直鎖低密度ポリエチレン、商品名:エボリューSP1540(三井化学(株)製)、密度:913kg/m、MFR:3.8g/10分
LLDPE:直鎖低密度ポリエチレン、商品名:ウルトゼックス3021F(三井化学(株)製)、密度:930kg/m、MFR:2.1g/10分
2.物性評価方法
(1)MFR:JIS K7210−1999に準拠して、190℃、2160g荷重にて測定
(2)引張試験:JIS−K6760に準拠して、引張強度及び引張伸び(破断点伸度)を測定
(3)曲げ剛性率:JIS K7106に準拠して測定
(4)硬度:JIS K7125に準拠してショアD硬度を測定
(5)軟化温度:JIS K6760に準拠して、ビカット軟化温度を測定
(6)高温引張試験:恒温恒湿槽を備えた(株)島津製作所製オートグラフにより、雰囲気を80℃の調整し、試験片をセットし10分放置した後、同雰囲気下において、JIS K6760に準拠して引張強度及び引張伸びを測定
[実施例1〜3、比較例1〜3]
表1に示す配合割合で各原料をドライブレンドした後、60mmφ、L/D=32、先端ダルメージスクリュータイプの単軸押出機を用い、加工温度210℃、スクリュー回転数50rpmの条件で溶融押出しし、樹脂組成物を得た。その樹脂組成物のMFRを、前記条件にて測定した。次にこの樹脂組成物を用い、180℃×3分×低触圧→180℃×3分×9.8MPa(100kg/cm)→20℃×3分×14.7MPa(150kg/cm)の条件でプレスシートを作成し、その物性評価を行なった。それらの結果を表1に示す。
Figure 0005183007

Claims (4)

  1. エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体10〜90重量%とエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体90〜10重量%の混合成分をベース樹脂とし、かつイオン源として少なくとも1種のアルカリ金属と少なくとも1種の2価金属を含む全カルボキシル基に対する中和度(平均中和度)が20〜90%のものであるエチレン系アイオノマー(A)60〜96.7重量部、エチレンとグリシジルモノマーの共重合体(B)0.3〜10重量部及び密度(JIS K7112 D法)が920kg/m以上のエチレン・α−オレフィン共重合体(C)3〜30重量部(合計100重量部)からなり、JIS K6760に準拠して測定した引張強度が30MPa以上、破断点伸度が350%以上、軟化温度が65℃以上で、JIS K7106に準拠して測定した曲げ剛性率が190〜207MPaであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. アルカリ金属と2価金属の原子比(アルカリ金属/2価金属)が1/25〜25/1である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. アルカリ金属がナトリウムであり、2価金属が亜鉛である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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