JP4640750B2 - 多層積層体及び樹脂被覆金属板 - Google Patents

多層積層体及び樹脂被覆金属板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂被覆金属板のラミネート基材として有用な多層積層体及び該多層積層体を被覆した樹脂被覆(化粧)金属板に関する。さらに詳しくは、ハロゲン含有樹脂を用いることなく、また有機溶剤を使用することなく製造可能な、耐候性、耐傷付き性、層間接着性、意匠性、耐薬品性、耐汚染性等に優れた樹脂被覆金属板及びそれを形成するのに好適な多層積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板の耐蝕性、意匠性、印刷性、耐指紋性、潤滑性、可撓性、加工性などを改良するために、樹脂被覆を行うことは知られている。このような樹脂被覆を施した金属板は、建材、電気機器、事務機器、車両、日用雑貨など幅広い分野で使用されている。中でもポリ塩化ビニル樹脂シートを有機溶剤分散系プライマーを使用して鋼板に貼り合わせた塩ビ鋼板(化粧板)は、感触がソフトで、色、柄も豊富であり、意匠性、耐候性、耐蝕性、耐薬品性、加工性、耐久性等が優れているところから、建築物の内装及び外装の材料を中心として広く使用されてきた。しかしながら焼却処理時における腐食性ガス発生やダイオキシン生成の問題に端を発した脱塩ビの風潮に伴い、徐々に他製品(他構成品)への置き換えが起こっている。例えばポリ塩化ビニル樹脂の代わりに、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタンなどを使用した樹脂被覆鋼板が知られており、それぞれの樹脂の特長を生かした用途に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記PVC代替材料の多くは、鋼板に対する接着性、とりわけ耐水接着性が充分でないため、樹脂被覆鋼板の製造に当っては、接着力向上を目的とした種々の解決手段が模索されているが、有機溶剤を使用することが環境の面から問題となっている。このような樹脂被覆鋼板においてはまた、当然のことながら、加工性、表面の耐傷付き性、耐久性、耐薬品性などに優れることが求められている。さらに建築物や車両の内・外装材として使用するときには、帯電防止性能に優れることも求められている。
【0004】
このため本発明者らは、上記諸性質に優れた新しい樹脂被覆鋼板を見出すべく、検討を行なった。その結果、下記するような多層積層体を使用することにより、所望特性を有する樹脂被覆鋼板が容易に得られることを見出すに至り、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、エチレンと、5〜25重量%のアクリル酸またはメタクリル酸から選ばれる不飽和カルボン酸と、0〜30重量%の他の単量体との共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム、マグネシウム、亜鉛又はカリウムのアイオノマーであるメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.1〜60g/10分のアイオノマー樹脂あるいは、上記アイオノマー樹脂81〜94重量部と、エチレン50〜99重量%と不飽和グリシジルエステルまたは不飽和グリシジルエーテルから選ばれるグリシジルモノマー0.5〜20重量%と他の単量体0〜49.5重量%との共重合体であるエチレン・グリシジルモノマー共重合体1〜4重量部と、プロピレン重合体ブロックを60〜95重量%含有するプロピレンとエチレンのブロック共重合体4〜20重量部とからなるアイオノマー樹脂組成物からなる表皮層(A−1)と、
エチレンと、5〜25重量%のアクリル酸またはメタクリル酸から選ばれる不飽和カルボン酸と、0〜30重量%の他の単量体との共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーであるメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.1〜60g/10分のカリウムアイオノマー樹脂あるいは上記カリウムアイオノマー樹脂40重量%以上とメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.2〜50g/10分の他のエチレン系重合体60重量%以下の組成物からなる中間層(A−2)と、
シラン変性オレフィン系樹脂あるいはシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物からなる接着層(B)を有する金属板被覆用多層積層体であって、
層(A)及び層(B)の厚みがそれぞれ10〜1000μmであり、全体の層厚みが20〜1000μmであり、層(A−1)の厚みが300μm以下であり、層(A−2)の厚みが10μm以上であって、層(A−2)と層(A−1)の厚みの比率が0.5〜5の範囲である金属板被覆用多層積層体に関する。
【0006】
本発明の好適態様によれば、上記層(B)におけるシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物が、シラン変性オレフィン系樹脂とエチレンと極性モノマーの共重合体の組成物である金属板被覆用多層積層体であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の多層積層体は、アイオノマー樹脂あるいはアイオノマー樹脂と他の熱可塑性樹脂の組成物からなる層(A)とシラン変性オレフィン系樹脂あるいはシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物からなる層(B)のみから構成されていてもよく、また任意に他の層が含まれていてもよい。また層(A)及び層(B)はそれぞれ1層である必要はなく、2層以上有するものであってもよい。製造が容易であり、また充分な性能を付与することができるところから、層(A)と層(B)が隣接する構造を有し、また層(A)が1層あるいは層(A−1)と層(A−2)とからなる2層構造を有するものが好ましい。
【0008】
本発明の多層積層体の層(A)には、アイオノマー樹脂又はアイオノマー樹脂と他の熱可塑性樹脂の組成物が使用される。アイオノマー樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンで中和されているものである。アイオノマー樹脂のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、さらに他の単量体が共重合された多元共重合体であってもよい。
【0009】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体における不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどを例示することができるが、とくに好ましいのは、アクリル酸又はメタクリル酸である。また上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などを例示することができる。とくに好適な他の単量体は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルである。
【0010】
ベースポリマーとなる上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸含量は、通常2〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。アイオノマー樹脂のベースポリマーにおける不飽和カルボン酸含量が少なすぎると、耐磨耗性、耐傷付き性等に優れた層(A)を形成することが難しくなる。ベースポリマーにおける他の単量体は、例えば0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%の範囲で共重合されていてもよいが、一般にこのような他の単量体の含有量が増えると、耐磨耗性、耐傷付き性に優れた層を形成することが難しくなるので、このような単量体を含まないものか、あるいは含んでいたとしても20重量%以下の量で共重合されているものを使用するのが好ましい。
【0011】
アイオノマー樹脂における金属イオン源としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属、これら金属の2種以上の組み合わせなどを例示することができる。これらの金属イオンの中では、層(A)が単層の場合、あるいは前述のように層(A)が2層以上を構成する場合の表層(A−1)においては、アイオノマー樹脂として、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛又はカリウムのアイオノマーを使用することが望ましい。また層(A)が2層以上を占める場合の中間層となる層(A−2)のアイオノマー樹脂としては、カリウムアイオノマーを使用するのが好ましい。層(A−2)においてカリウムアイオノマーを使用することにより、表面層に非帯電性をを付与することが可能となる。アイオノマー樹脂としてはまた、加工性、耐傷付き性、耐磨耗性等を考慮すると、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の好ましくは20〜95モル%、とくに好ましくは30〜80モル%が金属イオンで中和されていることが望ましい。また上記中間層(A−2)においてカリウムアイオノマーを使用する場合においては、非帯電性を考慮すると、中和度が60モル%以上、好ましくは70〜90モル%のものが望ましい。
【0012】
アイオノマー樹脂としてはまた、加工性、耐傷付き性、耐磨耗性等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜100g/10分、とくに0.1〜60g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
【0013】
ベースポリマーのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン、不飽和カルボン酸、場合によりさらに他の単量体を、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。またアイオノマー樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体に相当する金属化合物を反応させることによって得ることができる。
【0014】
本発明の多層積層体の層(A)は、樹脂成分としてアイオノマー樹脂のみを使用することができるが、任意に他の熱可塑性樹脂を配合することができる。このような他の熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、例えば高圧法ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、とくに密度が940kg/m以下の直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなエチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなど;アイオノマー樹脂以外のα−オレフィンと極性モノマーとの共重合体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと1種又は2種以上の不飽和カルボン酸アルキルエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチルなどとの共重合体、エチレンと一酸化炭素と任意に不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニルとの共重合体、炭素数2〜8のα−オレフィンとグリシジルモノマーと任意に不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニルとの共重合体;ポリオレフィン系エラストマーのようなオレフィン系重合体;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレンやABS樹脂のようなゴム強化スチレン系樹脂のようなスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマーのようなポリエステル;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、あるいはこれら2種以上の混合物などを例示することができる。
【0015】
これら熱可塑性樹脂の中では、加工性、機械的特性、アイオノマー樹脂との混和性等を考慮すると、オレフィン系重合体を選択することが好ましい。層(A)を単層で使用する場合、あるいは層(A)を2層以上とし、その表層(A−1)に使用する場合には、アイオノマー樹脂として、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛又はカリウムのアイオノマーを単味で使用するか、あるいはこれらアイオノマー100重量部に対し、100重量部以下、好ましくは80重量部以下のポリオレフィン及び/又は20重量部以下、好ましくは15重量部以下の炭素数2〜8のα−オレフィンとグリシジルモノマーの共重合体を配合した組成物を使用するのが好ましい。
【0016】
上記ポリオレフィンとしては、剛性、耐傷付き性、耐磨耗性などを考慮するとポリプロピレンの使用が好ましく、またその中でも加工性、相溶性等を考慮すると、プロピレンと他のα−オレフィンのランダム共重合体あるいはブロック共重合体などのプロピレン・α−オレフィン共重合体を使用することが好ましい。より詳細に述べると、該プロピレン・α−オレフィン共重合体は、プロピレンを主体とするプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体であって、密度は870〜930kg/m、とくに880〜920kg/mのものが好ましく、また230℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜100g/10分、とくに0.2〜80g/10分のものが好ましい。プロピレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、炭素数2〜12、とくに炭素数2〜10のものが好ましく、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチルー1−ペンテンなどの1種又は2種以上を例示することができる。
【0017】
プロピレン・α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。とくに好適なランダム共重合体は、プロピレン含量が85〜99.9重量%、好ましくは90〜99.5重量%であるプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンとエチレンと他のα−オレフィン、例えば1−ブテンとからなるランダム共重合体である。これらは立体特異性触媒の存在下で共重合された結晶性の重合体である。
【0018】
また好適な上記ブロック共重合体は、プロピレンと他のα−オレフィンを順次に重合又は共重合して得られるもので、一般には(1)プロピレンの重合ののち(2)プロピレンとやや多量のα−オレフィンの共重合及び/又は(3)α−オレフィンの重合からなる重合段階を一つ以上組み合わせることによって行われる。上記(1)のプロピレンの重合においては少量のα−オレフィンを共重合させる場合があり、また(3)のα−オレフィンの重合においてプロピレンを少量共重合させる場合がある。いずれにしても上記ブロック重合体は、立体特異性触媒の存在下で上記多段階の重合によって得ることができる。好適なプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体は、(1)のプロピレン重合体ブロックを60〜95重量%程度含有するプロピレンとエチレンのブロック共重合体である。
【0019】
アイオノマー樹脂に配合することが好適な炭素数2〜8のα−オレフィンとグリシジルモノマーからなる共重合体は、炭素数2〜8のα−オレフィンとグリシジルモノマーの二元共重合体あるいはさらに任意に酢酸ビニルや不飽和カルボン酸アルキルエステルなどが共重合された多元共重合体である。不飽和カルボン酸アルキルエステルの具体例としては、アイオノマー樹脂のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体における他の単量体としてすでに例示したものを挙げることができる。炭素数2〜8のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどを例示することができるが、とくにエチレンが好ましい。またグリシジルモノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和グリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテルを例示することができる。
【0020】
α−オレフィンとグリシジルモノマーの共重合体としては、α−オレフィンが50〜99重量%、とくに52〜98重量%、グリシジルモノマーが0.5〜20重量%、とくに1〜18重量%、上記酢酸ビニルや不飽和カルボン酸アルキルエステルのような他の単量体が0〜49.5重量%、好ましくは5〜40重量%の範囲で共重合されているものが好ましい。このような共重合体を配合することにより、アイオノマー樹脂の優れた特性、すなわち耐傷付き性、耐磨耗性などを維持したまま耐熱性が改良できるという利点があるが、グリシジルモノマー含量が少なすぎると、耐熱性の改良が顕著でなく、一方その量が多くなりすぎると、アイオノマー樹脂との反応が強くなりすぎ、樹脂粘度が急激に上昇して成形が困難となったり、また組成物中にゲルが発生するなどの問題を起こすことがある。
【0021】
このような共重合体は、ランダム共重合体であってもグラフト共重合体であってもよいが、一般にはアイオノマー樹脂との反応の均一性からランダム共重合体を使用するのが好ましい。このようなランダム共重合体は、例えば、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0022】
上記共重合体としてエチレン共重合体を使用する場合には、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.01〜1000g/10分、とくに0.1〜200g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0023】
とくに好適なアイオノマー樹脂の組成物は、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン、より好ましくはプロピレンと他のα−オレフィンの共重合体及びα−オレフィンとグリシジルモノマーの共重合体の組成物であって、これらの合計量を100重量部とするときに、アイオノマー樹脂が60〜96.7重量部、好ましくは73〜95.5重量部、一層好ましくは81〜94重量部、ポリオレフィンが3〜30重量部、好ましくは4〜20重量部、一層好ましくは5〜15重量部、α−オレフィンとグリシジルモノマーの共重合体が0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部、一層好ましくは1〜4重量部となる割合の組成物である。このような樹脂組成物を使用することにより、耐熱性、耐傷付き性、耐磨耗性、意匠性等に優れた層を形成させることができる。
【0024】
上記のような組成物は、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン及びα−オレフィン・グリシジルモノマー共重合体を溶融混合することによって得ることができる。溶融混合に際しては、スクリュー押出機、ロールミキサー、バンバリミキサー等の通常の混合装置を使用することができる。また溶融混合は上記3成分を同時に配合して行うことができるが、最も好ましいのはポリオレフィンとα−オレフィン・グリシジルモノマー共重合体を予め溶融混合したものとアイオノマー樹脂を溶融混合する方法である。この方法によれば、α−オレフィン・グリシジルモノマー共重合体がポリオレフィンに希釈されることにより、アイオノマー樹脂との反応が局部的に起こらず均一となるためで、優れた諸性質を有する組成物を品質安定性よく製造できるという利点がある。
【0025】
層(A)を2層以上とし、本発明の多層積層体の中間層(A−2)にアイオノマー樹脂としてカリウムアイオノマーを使用する場合は、単味で使用することができるが、上記のような他の熱可塑性樹脂を配合して使用してもよい。この場合の好適な熱可塑性樹脂は、オレフィン系重合体、とくにエチレン単独重合体、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルや不飽和カルボン酸エステルなどの不飽和エステルとの共重合体などから選択されるエチレン系重合体である。このようなエチレン系重合体を使用する場合、加工性及び実用物性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜100g/10分、とくに0.2〜50g/10分のものの使用が好ましい。熱可塑性樹脂の適当な配合量は、中間層(A−2)における樹脂全体の95重量%以下、好ましくは90重量%以下、とくに好ましくは60重量%以下となるような割合が望ましい。すなわちカリウムアイオノマーが、該層全体の5重量%以上、好ましくは10重量%以上、とくに好ましくは40重量%以上とするのが望ましい。
【0026】
本発明の多層積層体においては、シラン変性オレフィン系樹脂あるいはシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物からなる層(B)が設けられている。シラン変性ポリオレフィン系樹脂は、α−オレフィン、不飽和珪素化合物、任意に他の極性単量体から構成される共重合体であって、ランダム共重合体であってもグラフト共重合体であってもよい。具体的には、高圧法ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、とくに密度が940kg/m以下の直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなエチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンのようなオレフィンの単独重合体又は2種以上のオレフィン同士の共重合体、α−オレフィンと極性モノマーとの共重合体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸アルキルエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチルとの共重合体、エチレンとアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテルなどのグリシジルモノマーと、さらに任意に酢酸ビニルや上記のような不飽和カルボン酸アルキルエステルとの共重合体、エチレンと一酸化炭素と任意に上記のような不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニルとの共重合体などから選ばれる幹ポリマーに不飽和珪素化合物をグラフト重合したものを挙げることができる。
【0027】
上記幹ポリマーにおいて、エチレン・酢酸ビニル共重合体やエチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体を使用する場合においては、酢酸ビニルや不飽和カルボン酸アルキルエステルなどの極性モノマー含量が3〜50重量%、とくに10〜45重量%のものを使用するのが好ましい。またエチレンとグリシジルモノマーの共重合体を使用する場合には、グリシジルモノマー含量が0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、任意共重合成分の酢酸ビニルや不飽和カルボン酸アルキルエステルなどの他の極性モノマーの含量が0〜50重量%、好ましくは5〜45重量%の共重合体を使用するのが好ましい。
【0028】
シラン変性オレフィン系樹脂を構成する不飽和珪素化合物は、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基とアルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシロキシ基置換アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する珪素化合物である。具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン類、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のアクリル系シラン類を挙げることができる。
【0029】
シラン変性オレフィン系樹脂における不飽和珪素化合物の含量は、経済性や金属板との接着性を考慮すると、0.01〜5重量%、とくに0.02〜3重量%の範囲にあることが好ましい。またシラン変性オレフィン系樹脂が、エチレン系樹脂である場合には、加工性、接着性等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜100g/10分、とくに0.5〜60g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
【0030】
層(B)においては、このようなシラン変性オレフィン系樹脂を、単味で使用することができるが、加工性、その他特性を改良する目的で他の熱可塑性樹脂を配合することができる。このような目的に使用可能な熱可塑性樹脂としては、シラン変性オレフィン系樹脂の幹ポリマーとしてすでに例示したものを挙げることができるが、加工性、層間接着性などを考慮するとエチレンの重合体又は共重合体、とりわけエチレンと極性モノマーの共重合体を使用するのが好ましい。このようなエチレンの重合体又は共重合体としては、加工性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜100g/10分、とくに0.5〜60g/10分程度のものを使用するのが好ましい。熱可塑性樹脂の配合量は任意であるが、好ましくはシラン変性オレフィン系樹脂が1重量%以上、好ましくは5重量%以上を占め、組成物中のシラン変性オレフィン系樹脂に基づく不飽和珪素化合物の含量が0.01〜5重量%、とくに0.02〜3重量%の範囲となるような割合とするのが好ましい。
【0031】
本発明の多層積層体の層(A)や層(B)には、任意に各種添加剤を配合することができる。このような添加剤の一例として、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、無機充填剤、繊維強化材などを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば各種フェノール系酸化防止剤、また光安定剤としては、各種ヒンダードアミン系光安定剤、また紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの各種紫外線吸収剤をそれぞれ使用することができる。これら添加剤は、好ましくは2種以上併用することができる。これら添加剤の好適配合量は、各層における樹脂成分100重量部に対し、それぞれ0.01〜3重量部、とくに0.05〜1重量部の範囲である。また顔料の例としては、チタンホワイト、シリカ、酸化鉄、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、金属粉などの一般顔料やストロンチウムクロメート、ジンククロメートなどの防錆顔料を例示することができる。
【0032】
また上述のように(A−2)層としてカリウムアイオノマー又はそれと熱可塑性樹脂との組成物を使用する場合には、非帯電性を向上させるためにアルコール性水酸基を2個以上有するポリヒドロキシ化合物を配合することもできる。具体的には各種分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールのような多価アルコール及びこれらのエチレンオキシド付加物、多価アミンとアルキレンオキシドの付加物などを例示することができる。ポリヒドロキシ化合物の有効な配合割合は、層(A−2)におけるカリウムアイオノマーを基準として、例えば15重量%以下、好ましくは5重量%以下、とくに好ましくは3重量%以下、もっとも好ましくは0.1重量%未満である。
【0033】
本発明の多層積層体は、層(A)と層(B)の少なくとも2層からなるものであり、層(A)及び層(B)はそれぞれ2層以上有していてもよい。例えば層(A)/層(B)からなる2層構成、層(A−1)/層(A−2)/層(B)からなる3層構成のものを好適例として示すことができる。本発明の多層積層体においては、これらの層以外に他の熱可塑性樹脂層や接着層を設けることができる。このような層は、例えば上記のような構成の多層積層体において、層(A)と層(B)の間、層(A−1)と層(A−2)の間、層(A−2)と層(B)の間に設けることができる。このような目的に使用される熱可塑性樹脂の層としては、例えば層(A)に配合することができるとして例示したような熱可塑性樹脂の層を挙げることができる。また接着層としては、層間接着強度を改善するものであればいかなるものでもよく、例えば層(A−2)に配合することができるとして例示したようなエチレン系重合体、とくにエチレンとビニルエステルや不飽和カルボン酸エステルとの共重合体からなる層、あるいはこれらエチレン系重合体の酸変性物の層でもよく、さらにはホットメルト型接着剤や塗布型接着剤であってもよい。工業的にはエチレン系重合体やそれに粘着付与剤等を配合した組成物から選択される押出コーティング可能な接着剤を使用するのが好ましい。
【0034】
本発明の多層積層体は、各層を好ましくは押出コーティングや共押出しにより積層することにより製造することができる。層(A)及び層(B)の厚み及び全体の層厚みはそれぞれ任意であるが、例えば層(A)及び層(B)をそれぞれ5〜3000μm、とくに10〜1000μm程度の厚みとするのが好ましく、また全体の層厚みを例えば10〜5000μm、とくに20〜1000μm程度となるようにするのがよい。とくに上記した中間層(A−2)としてカリウムアイオノマーの層を設ける場合には、表面層(A−1)において、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で測定した印加電圧+5000Vにおける10%減衰時間(500Vに減衰するまでの時間)が20秒以下、好ましくは10秒以下、一層好ましくは1秒以下となるように調節することが望ましい。そのためにはカリウムアイオノマー層(A−2)の厚みを5μm以上、好ましくは10μm以上とし、また表面層(A−1)の厚みを、500μm以下、とくに300μm以下とするのが好ましい。また実用的な性能を考慮すると、カリウムアイオノマー層(A−2)と表面層(A−1)の厚み比率を、0.1〜10、とくに0.5〜5の範囲とするのが好ましい。
【0035】
本発明の多層積層体は、層(A)が有する耐傷付き性、耐磨耗性、耐薬品性、耐汚染性、また中間層としてカリウムアイオノマーを使用した場合にはさらに非帯電性と、層(B)が有する各種基材に対する接着性、とりわけ耐水接着性とを生かし、各種基材の表皮材あるいは被覆材として利用することができる。例えば各種プラスチック材料、紙、木材、金属、織布、不織布などの基材の表皮材あるいは被覆材として利用することができる。とりわけ金属板に積層したときに、上記性状の優れた樹脂被覆金属板(化粧金属板)を得ることができる。
【0036】
上記目的に使用できる金属板としては、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、冷延鋼板、チタン板などを挙げることができる。このような金属板としては、予めリン酸亜鉛処理やクロメート処理などの表面処理及び/又はプライマー処理を施されたものを使用してもよい。とくに耐蝕性の要求される用途においては、エポキシ樹脂プライマー、ポリウレタン変性エポキシ樹脂プライマー、ポリエステル樹脂プライマーなどのプライマーを使用し、プライマー塗膜が3〜10μm程度となるように焼付けておいたものを使用するのが好ましい。
【0037】
このような樹脂被覆金属板においては、使用目的にもよるが、例えば、層(A)が10〜300μm、好ましくは20〜200μm、層(B)が10〜1000μm、好ましくは20〜200μm、金属板が500〜5000μm、好ましくは1000〜2000μm程度とすることができる。また全体の厚みとしては、例えば600〜7000μm、とくに1000〜3000μm程度とすることができる。
【0038】
上記のような樹脂被覆金属板は、本発明の多層積層体、例えば共押出のフイルム又はシートを、層(B)と金属板が当接するように重ね合わせて加熱圧縮又は貼り合せることによって製造することができるが、予め層(B)を構成するシラン変性樹脂(又はその組成物)のフイルム又はシートを製造しておき、この両側に層(A)を構成するアイオノマー樹脂(又はその組成物)のフイルム又はシートと金属板を配して加熱圧縮によって製造する方法、層(A)を構成するフイルム又はシートと金属板の間に層(B)を構成するシラン変性樹脂(又はその組成物)を溶融押出しして積層する方法、金属板の上に層(B)を構成するシラン変性樹脂(又はその組成物)を押出ラミネートし、そのラミネート面に層(A)を構成するアイオノマー樹脂(又はその組成物)を押出ラミネートする方法、金属板の上に層(B)を構成するシラン変性樹脂(又はその組成物)及び層(A)を構成するアイオノマー樹脂(又はその組成物)を共押出ラミネートする方法などによって得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。尚、実施例において、使用した原料及び得られた多層積層体の性能の評価方法を以下に示す。
【0040】
1.使用原料
[アイオノマー樹脂]
以下の2種のアイオノマーを使用した。
アイオノマー1:メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体の亜鉛アイオノマー(中和度59%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)0.9g/10分)
アイオノマー2:メタクリル酸含量11.5重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のカリウムアイオノマー(中和度80%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)0.5g/10分)
【0041】
[アイオノマー樹脂組成物]
エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含量12重量%、メルトフローレート3.0g/10分)2重量部とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(三井住友ポリオレフィン(株)製、ポリプロピレン F229BA、密度900kg/m、メルトフローレート(230℃、2160g荷重)9.0g/10分)15重量部の溶融混合物とアイオノマー1を83重量部とを樹脂温度210℃で溶融混練することにより調製した。
【0042】
[シラン変性樹脂組成物]
エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量19重量%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)50g/10分)100重量部にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.5重量部及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.3重量部を添加し、この配合物を、単軸押出機を用い、樹脂温度220℃で混練することにより合成したシラン変性樹脂10重量部とエチレン・アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル含量15重量%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)0.5g/10分)90重量部を溶融混練して調製した。
【0043】
2.多層積層フイルム評価方法
(1)耐磨耗性
後述の方法により得た積層フイルムの第1層(アイオノマー又はアイオノマー樹脂組成物の層)表面側につき、テーバー摩耗(JIS A1453)試験を行ない、500回転後の損失重量を求め、以下の基準で評価した。
○:損失重量0.1g未満
△:損失重量0.1g以上
【0044】
(2)耐薬品性
JIS A5705、A1454試験方法により、後述の方法により得た積層フイルムの35%塩酸、60%硝酸及び酢酸エチルに対する変色状況を観察し、以下の基準で評価した。
○:いずれの試薬に対しても変色なし
△:いずれの試薬に対しても変色
【0045】
(3)層間接着性評価
(3−1)初期接着性
硬質アルミ箔(65μm厚み)のアセトン脱脂面、電気亜鉛メッキ鋼板(0.5mm厚)及び亜鉛鉄板(0.5mm厚)と、後述の方法により得た積層フイルムのシラン変性樹脂組成物層とが、それぞれ当接するように重ね合わせ、実圧0.2MPa、時間30秒、温度160℃の条件で熱融着させた試験片につき、接着後、23℃×50%RHで24時間保持後の接着面の接着強度を180°剥離試験で測定した。
○:良好な接着性が発現した
△:接着しない
(3−2)耐水接着性
上記試験片につき、さらに60℃×85%RHの条件で1日、7日又は14日保管した後の接着面の接着強度を180°剥離試験で測定した。
(3−3)浸水接着性
上記(1)の評価に用いた試験片につき、さらに40℃の水に1日、3日又は7日浸漬した後の接着面の接着強度を180°剥離試験で測定した。
【0046】
(4)非帯電性
(4−1)帯電減衰
後述の方法により得た積層フイルムを23℃、50%RHで24時間放置した試験片の第1層(アイオノマー又はアイオノマー樹脂組成物の層)及び第3層(シラン変性樹脂組成物層)の各表面につき、米国ETS社製Static Decay Meter Model 4060を用い、印加電圧+5000Vから+2500Vへ減衰する時間を50%減衰時間として、印加電圧+5000Vから+500Vへ減衰する時間を10%減衰時間として、また印加電圧+5000Vから+50Vへ減衰する時間を1%減衰時間として測定した。
【0047】
(4−2)灰付着性試験方法
上記試験と同様に、後述の方法により得た積層フイルムを23℃、50%RHで24時間放置した試験片の第1層(アイオノマー又はアイオノマー樹脂組成物の層)及び第3層(シラン変性樹脂組成物層)の各表面につき、サラシ布で10回擦った直後、タバコの灰に近づけたときに灰が付着する距離と、タバコの灰と接触させたときの付着状況により判定した。
◎:灰に直接接触させても全く付着しない
○:灰が僅かに付着するが、微振動で脱落する
△:灰が付着するが、振動させると脱落する
×:灰が付着して、多少の振動では脱落しない
【0048】
[実施例1]
多層インフレーションフイルム成形機を用い、アイオノマー1を厚み80μmの第1層(表面層)、アイオノマー2を厚み70μmの第2層(中間層)、シラン変性樹脂組成物を厚み50μmの第3層(他の表面層)となる積層フイルムを作成した。得られた積層フイルムを前記方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0049】
[実施例2]
第1層を前記アイオノマー樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様にして積層フイルムを作成し、評価した。得られた積層フイルムの評価結果を表1に示す。
【0050】
[比較例1]
ポリ塩化ビニルシート(重合度1050、ジオクチルフタレート20phr配合、200μm厚、表面UV塗層)の初期接着性、耐磨耗性、耐薬品性及び非帯電性を、実施例1の積層フイルムと同様に評価した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004640750
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、耐候性、耐傷付き性、耐磨耗性、耐薬品性、耐汚染性、層間接着性、とりわけ耐水接着性等に優れた樹脂被覆金属板及びそれを形成するのに好適な多層積層体を提供することができる。本発明によればまた、意匠性、帯電防止性等に優れた樹脂被覆金属板及びそれを形成するのに好適な多層積層体を提供することができる。上記のような樹脂被覆金属板は、建築物や車両の内外装材料、例えば屋外建材、反射板、天井材、壁材、床材、自動車鋼板被覆用材料等の鋼板外装被覆用材料など;あるいは電気機器、事務機器、日用雑貨などの材料として有用である。

Claims (5)

  1. エチレンと、5〜25重量%のアクリル酸またはメタクリル酸から選ばれる不飽和カルボン酸と、0〜30重量%の他の単量体との共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム、マグネシウム、亜鉛又はカリウムのアイオノマーであるメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.1〜60g/10分のアイオノマー樹脂あるいは、上記アイオノマー樹脂81〜94重量部と、エチレン50〜99重量%と不飽和グリシジルエステルまたは不飽和グリシジルエーテルから選ばれるグリシジルモノマー0.5〜20重量%と他の単量体0〜49.5重量%との共重合体であるエチレン・グリシジルモノマー共重合体1〜4重量部と、プロピレン重合体ブロックを60〜95重量%含有するプロピレンとエチレンのブロック共重合体4〜20重量部とからなるアイオノマー樹脂組成物からなる表皮層(A−1)と、
    エチレンと、5〜25重量%のアクリル酸またはメタクリル酸から選ばれる不飽和カルボン酸と、0〜30重量%の他の単量体との共重合体であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーであるメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.1〜60g/10分のカリウムアイオノマー樹脂あるいは上記カリウムアイオノマー樹脂40重量%以上とメルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.2〜50g/10分の他のエチレン系重合体60重量%以下の組成物からなる中間層(A−2)と、
    シラン変性オレフィン系樹脂あるいはシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物からなる接着層(B)を有する金属板被覆用多層積層体であって、
    層(A)及び層(B)の厚みがそれぞれ10〜1000μmであり、全体の層厚みが20〜1000μmであり、層(A−1)の厚みが300μm以下であり、層(A−2)の厚みが10μm以上であって、層(A−2)と層(A−1)の厚みの比率が0.5〜5の範囲である金属板被覆用多層積層体
  2. 層(B)におけるシラン変性オレフィン系樹脂とエチレン系重合体の組成物が
    シラン変性オレフィン系樹脂とエチレンと極性モノマーの共重合体の組成物である請求項1に記載の金属板被覆用多層積層体。
  3. フイルム又はシートである請求項1または2に記載の金属板被覆用多層積層体。
  4. 金属板に請求項1または2に記載の金属板被覆用多層積層体を積層してなる樹脂被覆金属板。
  5. 金属板が、鋼板である請求項に記載の樹脂被覆金属板。
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