JP3303492B2 - 洗濯機 - Google Patents

洗濯機

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗濯水位を下げて漬け
置き洗いをする行程と従来の洗濯方法で洗濯する後洗い
行程とを組み合わせて洗濯行程を行う洗濯機に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題が重要視されており、洗
濯排水が河川の水質汚濁に影響を与えているため、使用
洗剤を水質汚濁に関与しない成分に変えたり、使用洗剤
量を少しでも減らすことや、洗濯使用水量を減らすこと
が要望されている。洗濯機の機能でこれらの要望のうち
達成できるのは、洗濯使用洗剤量や洗濯使用水量に関与
する部分である。そこで、洗濯使用洗剤量や洗濯使用水
量を減らしても、従来の洗浄性能を維持、あるいはそれ
以上の洗浄性能にする洗濯機が検討されている。
【0003】従来の洗濯機は、洗濯物量を検知する布量
センサと、洗濯槽内の水位を検知する水位センサと、布
量に対応した水位と洗剤量を予め記憶させた制御装置を
備えている。この構成での洗濯機の作用を説明すると、
まず、汚れた衣類を洗濯槽に投入すると、洗濯槽底部に
ある撹拌翼が動き、ここで撹拌翼にかかる負荷により洗
濯物量が検知される。次に、制御装置が作動し、検知さ
れた布量に対応した水位の給水を開始すると同時に同じ
く布量に対応した洗浄剤の量を表示する。この場合、予
め制御装置に記憶されている布量に対応する水位と洗剤
量は、ほぼ洗剤濃度が0.08%(wt)になるように
設定されている。設定された水位に達し、使用者により
洗浄剤が入れられると、洗濯行程が開始し、衣類の汚れ
を落とすという洗濯機本来の機能を作動させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、洗剤量や水量を減らす場合、環境問題に
関心がありこれを重視するといった使用者の意志による
ものであったり、使用時間、洗剤、給水量の節約等とい
った使用者の都合によるものであるため、使用洗濯機の
洗浄機能に対する配慮がなく、規定通りに使用した場合
に比べ洗浄性能が低下する場合が多かった。
【0005】従来の洗濯機で使用される水量および洗剤
量は、この洗濯機で設定されている動作(洗濯行程時
間、洗濯機の撹拌翼による機械力、脱水時間など)に基
づき、最も汚れの落ちる数値が設定されている。衣類の
汚れは、大きく分けて、洗濯機の機械力で物理的に除去
される汚れ(泥汚れ等)と、界面活性剤(洗剤)の作用
により化学的に除去される汚れ(油汚れ等)がある。泥
汚れ等を除去する機械力、つまり、撹拌翼による撹拌に
依存する力は、撹拌の形式が変わらないならば、撹拌翼
のオン時間に比例して大きくなる。油汚れ等を除去する
界面活性剤の作用は、界面活性剤の汚れに対する吸着率
と、吸着時間に依存し、吸着率が高く、吸着時間が長い
ほど汚れ落ちはよくなる。最近の洗剤は、酵素を成分と
して含むものが大部分であるため、吸着率および吸着時
間が汚れ落ちに関与する度合いが大きくなってきてい
る。例えば、洗濯物の布量が2.0Kg、水量47Lの場
合、規定洗剤量の洗浄力が60%であるものが、洗剤量
を規定の7割にすると50%に低下していた。これは、
機械力は変わらないが、洗剤量を少なくしたため洗剤濃
度が下り、洗剤の吸着率および吸着時間に変化が起こっ
た(両方とも低下)ことが主な原因である。また、規定
通りに洗濯機を使用すると、洗浄効果は満たすが、環境
問題に充分対応しきれていないという問題があった。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、第一の目的は、節洗剤、節水を行い環境問題に対応
しながら、洗浄効果を維持し、洗浄むら、布絡み、布傷
みを減少させるとともに、それを確実に達成するため
に、使用者に投入洗浄量を知らせることのできる洗濯機
を提供することである。
【0007】また、本発明の第の目的は、節水を行い
ながらも、すすぎ性能を維持し、布からみ、布傷み等を
減少することのできる洗濯機を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】第一の目的を達成す
るために、本発明の第1の手段は洗濯または洗濯およ
び脱水を行う洗濯槽と、この洗濯槽内へ給水する給水手
段と、前記洗濯槽内に投入された衣類の量を判定する布
量判定手段と、この布量判定手段で判定される布量によ
って洗濯槽内の水位を設定する水位検知手段および洗剤
量を決定する洗剤量判定手段と、洗剤量などを表示する
表示手段と、前記給水手段、布量判定手段、水位検知手
段、洗剤量判定手段および表示手段等を制御する制御手
段とを備え、前記制御手段は、前記布量判定手段で判定
される布量によって規定水位を決定し、その規定水位よ
り低い節約水位を設定するとともに、この節約水位にお
いて前記規定水位における従来の洗剤濃度と同等になる
よう節約洗剤量を決定し、その節約洗剤量を前記表示手
段により表示し、前記節約水位と節約洗剤量で漬け置き
洗い行程を動作させた後、前記規定水位まで給水し、前
記漬け置き洗い行程での洗剤濃度より低い洗剤濃度で後
洗い行程を行うよう制御するものである。
【0009】また、第二の目的を達成するために、本発
明の第2の手段は、規定水位より低い節約水位ですすぎ
行程を行うよう制御するものである。
【0010】
【作用】上記した本発明の第1の手段によれば、定格規
定水位よりも低い節約水位で、かつ、この低い節約水位
に対応する節約洗剤量で漬け置き洗いを行う漬け置き洗
い行程を設け、この時、洗剤成分が有効に働くためのつ
け置きと、被洗浄物の位置を変えるための撹拌を繰り返
すことで洗浄性能を維持し、この繰り返しによって機械
力が減るため、布からみ、布傷みが減少する。さらに、
後洗い行程で標準水量に再給水し、漬け置き洗い行程で
すでに膨潤した汚れを、十分な水量の中で洗濯すること
により洗濯物から落とすことで洗浄効果を維持し、洗浄
むらを減少することができるとともに、表示手段が節約
洗剤量を表示するので使用者は節約洗剤量を確実に投入
することができる。
【0011】また、本発明の第2の手段では、従来のす
すぎ性能を維持しながら、すすぎ行程の水位を規定より
も低い節約水位で行うので、すすぎ行程の水量を節約す
ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0013】図1、2は本発明の第1の実施例を示した
ものである。図1に示すように、洗濯槽1の内部には中
央底部にパルセータ2を有する洗濯兼脱水槽3を回転自
在に設け、洗濯槽1の底部には取り付け板4を固着して
いる。取り付け板4にはモータ5、排水弁6、洗濯脱水
切り替え機構7などを固定し、基板4の外縁部は防振装
置8及び吊り棒9を介して外枠10の上部角隅より垂下
支持されている。外枠10の上部には、図2に示すよう
に、スタートスイッチ(図面省略)、給水手段11、電
源スイッチ12および制御装置13などを配置してい
る。エンコーダ14はモータ5の回転角を検知するもの
で、モータ5の1回転ごとに6個のパルスを出力し、そ
の出力をパルスカウンタ15に出力している。パルスカ
ウンタ15はエンコーダ14の出力パルス数をカウント
し、この出力は、パルセータの負荷を示すものであり、
この出力を布量判定手段16に入力して布量を判定す
る。制御手段17はマイクロコンピュータを含んだ各種
電子回路から構成されており、布量判定手段16、水位
検知手段18、汚れ検知手段19、洗剤量判定手段20
などからの信号を取り込んで、パワースイッチング手段
21、表示手段22などを通電制御するものである。洗
剤量判定手段20は布量判定手段16の信号を取り込ん
で洗剤量を決定するものであり、表示手段22は液晶表
示素子などからなり、洗濯槽1の水位や洗剤量を表示す
る。またパワースイッチング手段21は制御手段17か
らの信号によりモータ5、排水弁6、給水手段11など
を制御する。
【0014】次に、本発明の第1の実施例の動作を、図
3に基づいて説明する。まず、ステップ31で洗濯兼脱
水槽3に洗濯物を入れ、電源スイッチ12を押し、ステ
ップ32でスタートスイッチを押すと、ステップ33へ
進み、モータ5を右方向に0.3秒駆動し、1.5秒休
止した後、左方向に0.3秒駆動して1.5秒休止し、
ステップ34へ進み、休止期間の始めから0.4秒まで
のエンコーダ14の出力パルス数をパルスカウンタ15
で計数し、ステップ35で布量判定手段16により洗濯
物の布量を判定する。布量を判定した後、ステップ36
で布量で規定される洗剤量を判定し、それを洗濯兼脱水
槽3に投入する。ステップ38に進み、給水手段11に
より規定よりも低い水位まで給水して、ステップ39で
漬け置き洗い行程を行い、その後、ステップ40に進
み、給水手段11により規定の水位まで給水して、ステ
ップ41で後洗い行程を開始する。
【0015】例えば、洗濯物の布量を2.0Kg とし
た場合、従来の水位、洗剤量では、低水位23(47
L)、洗剤量39.2gのところを、本発明の洗濯機の
漬け置き洗い行程では、少量水位24(38L)、洗剤
量31.7gとする。この漬け置き洗い時において、ま
ず洗濯物を水になじませるためのモータ5のオン・オフ
攪拌を約3分行い、以撹拌停止時間約80秒、攪拌約1
0秒の繰り返しを約20分間行う。この様に撹拌時間よ
り停止時間を長くすることで、機械力を減少させるとと
もに、洗剤と洗濯物との接触時間を長くすることによ
り、酵素などの洗剤成分がより効果をあげることとな
る。漬け置き洗い行程の後、低水位23のところまで給
水し、後洗い行程を約5分行う。
【0016】図4は従来の洗濯機Aと実施例の洗濯機B
の洗浄率、洗浄むらを実験結果に基づいて比較したもの
である。すなわち、Bでは、洗浄性能については、洗剤
の成分が有効に働くように漬け置き洗い行程を設けてい
るため、従来の性能を維持し、洗浄むらについては、漬
け置き洗い行程ですでに膨潤した汚れを、後洗い行程時
に規定水位まで水位をあげ、従来の機械力の大きい洗浄
方法で十分な水量を使い汚れを落とすので、漬け置き洗
い行程のない従来の洗浄方法よりも洗浄むらが少なくな
る。
【0017】また、従来の洗濯機と実施例の洗濯機の布
傷み、布からみを実験に基づいて比較したところ、従来
の洗濯機の布傷み、布からみを1とした場合、実施例の
洗濯機の布傷みは0.8、布からみは0.7となる。
(当社測定比)すなわち、従来に比べて本発明では、漬
け置き洗い行程時の機械力を減らしているので、洗浄行
程トータルの機械力は激減し、それにともない布傷み、
布からみは、減少する。
【0018】このように上記実施例の洗濯機によれば、
従来よりも低い水位で、この低い水量に対応した洗剤量
で従来と同等の洗浄性能を維持し、さらに、洗浄むらや
布傷み、布からみを減少することができる。
【0019】漬け置き洗い行程時間を後洗い行程時間よ
り長く設定することで、この様な本発明の効果は更に顕
著になる。
【0020】図3においてステップ37を加えた動作フ
ローチャートは、本発明の第2の実施例を示すものであ
る。すなわち、ステップ36で洗剤量判定手段20によ
り規定よりも低い水量での洗剤量を判定した後、ステッ
プ37に進み、表示手段22に洗剤量と水位を使用者に
表示する。
【0021】このように第2の実施例によれば、洗剤量
判定後、表示手段によって節約洗剤量と節約水位を表示
するので、使用者は表示に従って洗剤量を投入すること
で従来と同等の洗浄性能を維持しながら、洗剤量と水量
を節約することができる。
【0022】図5は本発明の第3の実施例を示した動作
フローチャートである。すなわち、前行程である洗浄行
程(漬け置き洗い行程及び後洗い行程)を終了した後、
ステップ51で制御手段17の信号を取り込み、ステッ
プ52で給水手段11により規定よりも低い水位まで給
水し、ステップ53に進み、攪拌を開始する。例えば、
洗濯物の布量を2.0Kgとした場合、従来の洗濯機で
あれば、低水位23ですすぎ行程を行うのに対し、本発
明の洗濯機では規定水位23より低い少量水位24です
すぎ行程が行われる。
【0023】本発明の第3の実施例に基づき、従来の洗
濯機と本発明の洗濯機のすすぎ性能について、食塩の希
釈度を導電率で求める方法により比較した結果、従来の
洗濯機は1000分の8、本発明の洗濯機は1000分
の7であった。すなわち、本発明の洗濯機のすすぎ性能
は、従来の洗濯機のすすぎ性能と同程度の性能を示して
いることがわかる。つまり、本発明の洗濯機は、漬け置
き洗い行程の洗剤濃度は従来の洗濯濯行程での洗剤濃度
と等しく、また、後洗い行程で従来の水位まで給水さ
れ、すすぎ行程の補助的役割を果たすので、すすぎ行程
を規定の水位よりも低い水位で行っても十分なすすぎ性
能を示すのである。
【0024】このように第3の実施例によれば、従来の
規定水位より低い水位ですすぎ行程を行っても、十分な
すすぎ性能を維持することができ、すすぎ行程の水量を
節約することができるのである。
【0025】
【発明の効果】本発明の第1の手段は、洗濯または洗濯
および脱水を行う洗濯槽と、この洗濯槽内へ給水する給
水手段と、前記洗濯槽内に投入された衣類の量を判定す
る布量判定手段と、この布量判定手段で判定される布量
によって洗濯槽内の水位を設定する水位検知手段および
洗剤量を決定する洗剤量判定手段と、洗剤量などを表示
する表示手段と、前記給水手段、布量判定手段、水位検
知手段、洗剤量判定手段および表示手段等を制御する制
御手段とを備え、前記制御手段は、前記布量判定手段で
判定される布量によって規定水位を決定し、その規定
位より低い節約水位を設定するとともに、この節約水位
において前記規定水位における従来の洗剤濃度と同等に
なるよう節約洗剤量を決定し、その節約洗剤量を前記表
示手段により表示し、前記節約水位と節約洗剤量で漬け
置き洗い行程を動作させた後、前記規定水位まで給
、前記漬け置き洗い行程での洗剤濃度より低い洗剤濃
度で後洗い行程を行うよう制御したから、定格規定水位
よりも低い節約水位で、かつ、この低い節約水位に対応
する節約洗剤量で漬け置き洗い行程を設け、この時、洗
剤成分が有効に働くためのつけ置きと、被洗浄物の位置
を変えるための撹拌を繰り返すことで洗浄性能を維持
し、この繰り返しによって機械力が減るため、布から
み、布傷み減少させ、さらに、後洗い行程で標準水量
に再給水し、漬け置き洗い行程ですでに膨潤した汚れ
を、十分な水量の中で洗濯することにより洗濯物から落
とすことで洗浄効果を維持し、洗浄むらを減少すること
ができるとともに、表示手段が節約洗剤量を表示するの
で使用者は節約洗剤量を確実に投入することができるの
で、使用洗剤量を節約することができる。
【0026】本発明の第5の手段は、規定水位より低い
節約水位ですすぎ行程を行うよう制御したから、従来の
すすぎ性能を維持しながら、すすぎ行程の水位を規定よ
りも低い節約水位で行うので、すすぎ行程の水量を節約
することができる。
【0027】以上から明らかなように本発明の洗濯機
は、従来よりも少ない洗剤量で、また従来よりも少ない
水量で洗浄性能、すすぎ性能を低下することなく洗濯す
ることができ、水質汚染等の環境問題に対処した洗濯機
であり、実用的価値は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における洗濯機の制御装
置のブロック回路図
【図2】同洗濯機の縦断面図
【図3】本発明の第1、2の実施例における洗濯機の制
御装置の動作フローチャート
【図4】同洗濯機と従来の洗濯機の洗浄率と洗浄むら
(バラツキ)を比較した図
【図5】本発明の第3の実施例における洗濯機の制御装
置の動作フローチャート
【符号の説明】
1 洗濯槽 11 給水手段 16 布量判定手段 17 制御手段 20 洗剤量判定手段 23 低水位の位置 24 少量水位の位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−141179(JP,A) 特開 平2−255193(JP,A) 特開 平3−141993(JP,A) 特開 平5−228294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06F 33/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗濯または洗濯および脱水を行う洗濯槽
    と、この洗濯槽内へ給水する給水手段と、前記洗濯槽内
    に投入された衣類の量を判定する布量判定手段と、この
    布量判定手段で判定される布量によって洗濯槽内の水位
    を設定する水位検知手段および洗剤量を決定する洗剤量
    判定手段と、洗剤量などを表示する表示手段と、前記給
    水手段、布量判定手段、水位検知手段、洗剤量判定手段
    および表示手段等を制御する制御手段とを備え、前記制
    御手段は、前記布量判定手段で判定される布量によって
    規定水位を決定し、その規定水位より低い節約水位を設
    定するとともに、この節約水位において前記規定水位
    おける従来の洗剤濃度と同等になるよう節約洗剤量を決
    定し、その節約洗剤量を前記表示手段により表示し、前
    記節約水位と節約洗剤量で漬け置き洗い行程を動作させ
    た後、前記規定水位まで給水し、前記漬け置き洗い行程
    での洗剤濃度より低い洗剤濃度で後洗い行程を行うよう
    制御する洗濯機。
  2. 【請求項2】 制御手段は、規定水位より低い節約水位
    ですすぎ行程を行うよう制御する請求項1記載の洗濯
    機。
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