JP3298210B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物

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JP3298210B2
JP3298210B2 JP04675093A JP4675093A JP3298210B2 JP 3298210 B2 JP3298210 B2 JP 3298210B2 JP 04675093 A JP04675093 A JP 04675093A JP 4675093 A JP4675093 A JP 4675093A JP 3298210 B2 JP3298210 B2 JP 3298210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、耐候性、並びに、熱
安定性の改良されたポリアセタール樹脂組成物に関す
る。更に詳しく言えば、本願発明は、ポリアセタール樹
脂に、酸化防止剤テトラキス〔メチレン−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル) プ
ロピオネート〕メタンと光安定剤ビス−[N−メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セ
バケート紫外線吸収剤2−[ 2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル) フェ
ニル]ベンゾトリアゾールを添加・配合して、均一に溶
融混合してなる耐候(光)性、および、熱安定性、特に
成形加工時の熱安定性の改良されたポリアセタール樹脂
組成物に関する。
【0002】本願発明のポリアセタール樹脂は、ポリア
セタール樹脂本来の特性を損なうことなく、耐候(光)
性、および、熱安定性が高度に改善されており、しかも
機械的特性に優れているため、太陽光や室内灯などに長
時間曝される、特に、更に風雨に曝される場所で用いら
れる部品、例えば、自動車のアウト−ハンドルやホイー
ルカバー、フロントフェンダー、並びに、電気機器の部
品、或いは、建材やビニルハウスのパッカーなどの素材
として賞用することができる。
【0003】
【従来の技術】ポリアセタール樹脂組成物は、物理的性
質、例えば、耐摩擦摩耗性、耐疲労性、耐熱性、電気的
性質など、および、化学的性質、例えば、耐薬品性や耐
水性などに優れているため、電気・電子分野や建築分
野、並びに、自動車産業や雑貨分野などの部品等として
賞用されている。
【0004】ポリアセタール樹脂組成物の素材であるポ
リアセタール樹脂は、熱安定性に劣り、その成形加工時
に実施される溶融混練操作において熱分解反応を起こす
ことが知られている。従って、その成形加工時の熱分解
反応を防止するために、種々の酸化防止剤や熱安定剤な
どが添加されている。また、ポリアセタール樹脂を、太
陽光や室内灯などに長時間曝すと、特に、更に風雨に曝
すと、先ず、表面にクラックが発生し、その進行と共に
光沢が失われて外観が劣化し、次いで、外観の劣化と共
に、機械的性質が大幅に低下して実用性・実用価値を失
うことが知られている。この太陽光などの光による劣化
を防止するために、光安定剤や紫外線吸収剤などが添加
されている。
【0005】高分子材料、即ち、合成樹脂に、酸化防止
剤や熱安定剤を添加すると耐熱性は改善されるが、時と
して、ここに添加した酸化防止剤が光増感剤として作用
して光増感作用を起こして耐候性が劣化する。また、高
分子材料の耐候性を改良する方法として、光安定剤、例
えばヒンダードアミン系を添加する方法、紫外線吸収
剤、例えばベンゾトリアゾル系、ベンゾフェノン系など
を添加する方法、光安定剤と紫外線吸収剤を併用する方
法があるが、酸化防止剤なしに、光安定剤や紫外線吸収
剤などの単独添加や、光安定剤と紫外線吸収剤の併用で
は、耐候(光)性は改善されるが、耐熱性の改善効果は
ない。特に、高分子材料の中でも熱安定性の悪いポリア
セタール樹脂の場合、酸化防止剤なしでは、成形加工時
の熱安定性が極めて悪く、製品表面においてシルバー
や、金型のキャビティー周辺およびコア周辺においてモ
ールドデポジットが発生しやすい。
【0006】一般に、高分子材料、特に、ポリアセター
ル樹脂に酸化防止剤と光安定剤や紫外線吸収剤などを添
加しても、その選択、換言すれば、その組み合わせの如
何によっては、拮抗作用が生じて、その作用効果、即
ち、耐候(光)性の改善効果が得られず、所期の目的を
達成できないことが多い。
【0007】これについては、本願発明者らは、すで
に、酸化防止剤の1,6−ビス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) プロピオンアミ
ド〕ヘキサン、n−オクタデシル−3−[3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート
などが光安定剤や紫外線吸収剤などとは、相互の拮抗効
果がきわめて少ないため、優れた耐候(光)性の改良効
果を発揮できることを見出した。しかし、酸化防止剤の
1,6−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル) プロピオンアミド〕ヘキサンやn−
オクタデシル−3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル]プロピオネートなどを使用する場
合、ポリアセタール樹脂成形品の耐候性劣化試験におい
て、成形品表面のクラック発生を防止する点で優れた効
果を発揮するが、成形品の表面変色を防止する点では、
必ずしも満足できるのものではない。
【0008】また、ポリアセタール樹脂の耐候(光)性
の改良には、従来ヒンダードアミン系光安定剤の単独添
加や紫外線吸収剤との併用などにより、かなりの効果が
あることが知られているが、使用の目的によっては必ず
しも満足できるするものではない。例えば、高分子量ヒ
ンダードアミン系光安定剤の使用では、その移行性が悪
いため、十分な耐候(光)性を得ようとすれば、非常に
多量に添加しなければならず、これによる製品機械物性
の低下やコストの増加などの問題を生じ実用的ではな
い。これに対し、低分子量ヒンダードアミン系光安定剤
の使用では、添加量の多少にもかかわらず、添加剤のブ
リードアウトなどによる製品の外観不良などの問題が発
生し、また、成形中における添加剤の揮散量が多いた
め、添加量を増加しても耐候性の向上につながらない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、上述
した問題点を解決するために、ポリアセタール樹脂組成
物について鋭意検討を行った結果、ポリアセタール樹脂
に、特定のヒンダードフェノール系化合物と特定のヒン
ダードアミン系化合物と特定のベンゾトリアゾール系化
合物を添加・配合して、均一に混練・混合することによ
って、本来有しているポリアセタール樹脂の優れた耐摩
擦摩耗性や耐疲労性、および、耐薬品性や電気的性質を
損なうことなく、成形加工時の熱安定性、並びに、クラ
ックの発生や変色などによる耐候(光)性に極めて優れ
たポリアセタール樹脂組成物を得ることができるとの知
見を得て、更に、技術的改良と再現性の確認実験を行
い、本願発明を完成させた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ポリアセタ
ール樹脂に、酸化防止剤テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンと光安定剤ビス−[N−
メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ニル]セバケート紫外線吸収剤2−[ 2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル] ベンゾトリアゾールを添加・配合して、均一
に混練・混合してなる耐候(光)性、並びに、熱安定性
の改良されたポリアセタール樹脂組成物に関する。更に
詳しく言えば、本願発明は、ポリアセタール樹脂(A)
100重量部に対して、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン(B)0.01〜0.5
0重量部とビス−[N−メチル−2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジニル]セバケート(C)0.1
0〜1.0重量部と2−[ 2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル) フェニル]
ベンゾトリアゾール(D)0.10〜1.0重量部とを
添加・配合して、均一に混練・混合してなる耐候性、並
びに、熱安定性の改良されたポリアセタール樹脂組成物
に関する。
【0011】本願発明において、ポリアセタール樹脂
(A)とは、既に一般に市販されているポリアセタール
(ポリオキシメチレン)、および、ポリアセタールコポ
リマーを意味する。更に具体的に言えば、例えば、ホル
ムアルデヒド、または、その3量体(トリオキサン)、
並びに、その4量体(テトラオキサン)を原料として製
造される実質的にオキシメチレン単位構造からなるオキ
シメチレンホモポリマー、および、或いは、ホルムアル
デヒド、または、その3量体(トリオキサン)、並び
に、その4量体(テトラオキサン)とエチレンオキサイ
ド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,
3,5−トリオキセパン、グリコ−ルのホルマール、ジ
グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマール等
の炭素数2〜8の環状エーテルから製造されるオキシア
ルキレン単位構造を0.1〜20重量%含有するオキシ
メチレンコポリマー、或いは、および、オキシメチレン
ホモポリマー、または、オキシメチレンコポリマーを主
構造としてオキシメチレン単位構造以外のブロック構
造、または、末端構造を有するオキシメチレンブロック
コポリマー、または、オキシメチレングラフトポリマ
ー、若しくは、架橋構造を有する公知のオキシメチレン
架橋ポリマーなどのことを意味する。
【0012】本発明において添加・配合される酸化防止
剤(B)は、下記の一般式
【0013】
【化1】 で表されるテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン(B)、即ち、特定のヒンダードフェノ
ール系化合物である。
【0014】本発明において添加・配合される光安定剤
(C)は、下記の式
【0015】
【化2】 で表されるビス−[N−メチル−2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジニル]セバケート(C)、即
ち、特定のヒンダードアミン系化合物である。
【0016】また、本発明において、酸化防止剤が テ
トラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタ
ンに限定されるのは、当該化合物に併用・添加される光
安定剤ビス−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニル]セバケートや紫外線吸収剤
−[ 2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−
ジメチルベンジル) フェニル] ベンゾトリアゾールとの
拮抗作用によるクラック発生の改善効果の劣化、また、
テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メ
タンの添加による光劣化変色が、実質的にないとの実験
結果に基づいている。
【0017】高分子材料、特に、ポリアセタール樹脂組
成物中における酸化防止剤と光安定剤、および、紫外線
吸収剤との拮抗作用、換言すれば、光劣化によるクラッ
クが発生しやすい理由が、これまでに得られ実験結果か
ら、ポリアセタール樹脂にヒンダードフェノール系酸化
防止剤と紫外線吸収剤、および、または、光安定剤を添
加・配合する操作、更に具体的に言えば、溶融混練する
際に、紫外線吸収剤、および、または、光安定剤と酸化
防止剤とが化学反応を起こして消費されるためであると
推論している。
【0018】また、酸化防止剤、特に、ヒンダードフェ
ノール類の酸化防止剤の添加による高分子材料の光劣化
変色の理由が、酸化防止剤の酸化生成物にある各種のキ
ノイド化合物は長波長領域まで吸収帯が延びているた
め、着色の原因になると言われている。
【0019】本発明の酸化防止剤が優れた耐クラック発
生、および、耐変色による耐候(光)性の改良効果を発
揮するのは、その溶融混練条件下において、併用・添加
される紫外線吸収剤、および、または、光安定剤と、殆
ど、反応しない、換言すれば、反応し難く、殆ど、消費
されないため、即ち、相互の拮抗作用がきわめて少な
く、また、酸化防止剤の着色生成物の生成がきわめて少
ないためと考えられる。
【0020】また、本発明の酸化防止剤が優れた耐クラ
ック発生、および、耐変色による耐候(光)性の改良効
果を発揮するのは、本発明の酸化防止剤、即ち、テトラ
キス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
が、その分子構造内に有する一つのフェノール基におい
て、2および6位のt−ブチル基の立体障害および4位
の3つのフェノール基を含む残基の立体障害の効果、更
に具体的に言えば、これらの立体障害置換基が、フェノ
ール環のOHから生成したフェノールラジカル、および
フェノール環上炭素ラジカルを効率よく遮蔽するためと
考えられる。とくに、フェノール環〔4位〕に生成した
炭素ラジカルを遮蔽することにより、キノイド化合物の
生成が防止されるため、結局、ポリマーがほとんど着色
されないと考えられる。
【0021】さらに、本発明において、光安定剤がビス
−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジニル]セバケートに限定されるのは、当該化合
物の添加によるポリアセタール樹脂組成物の耐候(光)
性の改善効果が大きい、且つ、成形加工中における添加
剤の揮散や使用中における添加剤のブリードアウトなど
による製品の外観不良などの問題が発生しないとの実験
結果に基づいている。
【0022】本発明の光安定剤が優れた理由は、酸化防
止剤のテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタンに消費されにくいほかに、その適当な分子量
によるものと考えられる。例えば、ビス−[N−メチル
−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]
セバケートより分子量の大きいヒンダードアミン系光安
定剤の使用では、その移行性が悪いため、十分な耐候
(光)性を得ようとすれば、非常に多量に添加しなけれ
ばならない。これに対し、ビス−[N−メチル−2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバケ
ートより分子量の小さいヒンダードアミン系光安定剤の
使用では、添加量の多少にもかかわらず、添加剤のブリ
ードアウトなどによる製品の外観不良などの問題が発生
し、また、成形中における添加剤の揮散量が多いため、
添加量を増加しても耐候性の向上につながらない。
【0023】本願発明において添加・配合される紫外線
吸収剤(D)は、2−[ 2’−ヒドロキシ−3’,5’
−ビス−(α,α−ジメチルベンジル) フェニル] ベン
ゾトリアゾール(D)、即ち、特定のベンゾトリアゾー
ル系化合物である。
【0024】本願発明を実施するとき、その目的とする
ポリアセタール樹脂組成物を、通常一般的な用途に使用
する場合には、特に、特殊な品質のポリアセタール樹脂
を選ぶ必要はなく、通常一般に、粉末、フレーク、或い
は、ペレットの形状で市販されているポリアセタール樹
脂の中から、その用途を考慮して適宜に選択すれば、十
分にその目的を達成することができる。
【0025】本願発明において、テトラキス〔メチレン
−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕メタン、即ち、特定のヒ
ンダードフェノール系化合物(B)の配合量は、ポリア
セタール樹脂100重量部に対して0.01〜0.50
重量部である。テトラキス〔メチレン−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン(B)の配合量が、0.01重量
部よりも少ない場合には、十分な耐熱性を得られない。
また、逆に、特定のヒンダードフェノール系化合物
(B)の配合量が、0.50重量部よりも多くなると、
耐候(光)性が低下し、経済的にも不利になるので好ま
しくない。通常一般的には、0.20〜0.35重量部
程度に選ぶのが好ましい。
【0026】本願発明を実施するとき、ビス−[N−メ
チル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル]セバケート、即ち、特定のヒンダードアミン系化合
物(C)の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部
に対して0.10〜1.0重量部、より好ましくは、
0.10〜0.50重量部である。特定のヒンダードア
ミン系化合物(C)の配合量が、0.10重量部よりも
少ないと、紫外線吸収剤との相乗効果を十分に発揮でき
ず、また、逆に、特定のヒンダードアミン系化合物
(C)の配合量が、1.0重量部よりも多くなると、成
形品の機械的物性の低下などを招くので好ましくない。
【0027】本願発明を実施するとき、2−[ 2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベン
ジル) フェニル] ベンゾトリアゾール、即ち、特定のベ
ンゾトリアゾール系化合物(D)の配合量は、ポリアセ
タール樹脂100重量部に対して0.10〜1.0重量
部である。特定のベンゾトリアゾール系化合物(D)の
配合量が、0.10重量部よりも少ないと、十分な耐候
(光)性が得られない。また、逆に、特定のベンゾトリ
アゾール系化合物(D)の配合量が、1.0重量部より
も多くなると、成形品の着色、および、機械的性質〔物
理的性質〕が劣化し、経済的にも不利である。
【0028】本願発明を実施するとき、本願発明のポリ
アセタール樹脂組成物には、所望により更に、カーボン
ブラックや公知の充填剤、並びに、顔料、界面活性剤、
帯電防止剤、滑剤、核化剤などの一種類以上を、本願発
明の効果を阻害しない範囲で、適宜に添加することがで
きる。
【0029】本願発明を実施するとき、本願発明のポリ
アセタール樹脂組成物は、一般公知の溶融混練装置、更
に具体的に言えば、1軸、または、2軸の押出機やニー
ダー等、および、ペレタイザーを用いて、容易に製造す
ることができる。このことを更に具体的に説明すると、
本願発明のポリアセタール樹脂組成物は、一般公知の方
法に従って、例えば、一般に市販されているポリアセタ
ール樹脂の粉末(A)に、所定量のテトラキス〔メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕メタン(B)ビス−
[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジニル]セバケート(C)と2−[2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル] ベンゾトリアゾール(D)を添加・配合して
スーパーミキサなどを用いて均一に混合したのち、2軸
押出機などを用いて溶融混練し、引き続いてペレット化
することによって得られる。
【0030】ここに得られた本願発明のポリアセタール
組成物は、射出成形時の熱安定性に優れているので、一
般公知の成形方法、即ち、射出成形法、押出成形法、圧
縮成形法、吹込成形法、真空成形法、発泡成形法などに
よって容易に成形することができる。
【0031】以下、本願発明を実施例、および、比較例
によってその実施態様等を具体的に、かつ詳細に説明す
るが、以下の例は、具体的に説明するためのものであっ
て、本願発明の実施態様や発明の範囲を限定するものと
しては意図されていない。
【0032】
【実施例】実施例1 ポリアセタール樹脂〔三菱瓦斯化学製、ユピタール、メ
ルトインデックスMI10g/10min〕100重量
部、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン0.10重量部、ビス−[N−メチル−2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバケ
ート0.35重量部、2−[2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベ
ンゾトリアゾール0.35重量部、メラミン0.20重
量部、および、ステアリン酸カルシウム0.05重量部
を秤取り、スーパーミキサー〔川田製作所製〕を用いて
均一に混合したのち、常法に従って2軸押出機〔池貝鉄
工製、PCM−30、スクリュー径30mm〕を用い
て、スクリュー回転数50rpm、シリンダー設定温度
220℃の条件下に溶融混練したのち、ペレット化し
た。ここに得られたペレットを、温度80℃の熱風乾燥
機を用いて4時間乾燥させたのち、射出成形機〔住友重
機械製、SG125型、理論射出容量163ml〕を用
いて、短冊型試験片〔耐候(光)性試験用、サイズ3.
2×12.7×63.6mm〕を作成〔操作条件:金型
温度80℃、シリンダー設定温度200℃、射出圧力8
00kg/cm2 、成形サイクル40秒〕した。引き続
いて、シリンダー設定温度を235℃に変更し、1ショ
ット成形する毎に5分間延長〔成形サイクル:5分、1
0分、15分、20分、・・・〕しながら、短冊型試験
片の表面にシルバーが発生するまで射出成形操作を繰り
返して、滞留耐熱性試験を行ったところ、成形サイクル
35分にてシルバーの発生が認められた。ここに得られ
た短冊型試験片をウエザーメーター〔スガ試験機製、W
BL−SUN−HCH型〕の所定の位置に取り付けて、
それぞれ、A法〔ブラックパネル温度63℃、降雨スプ
レーなし〕とB法〔ブラックパネル温度83℃、降雨ス
プレーなし〕の条件下に処理を行った。A法の場合、短
冊型試験片を試験機から処理時間100時間毎に取り出
して、クラックの有無とブリードアウトの有無とを観察
したところ、1000時間目にクラックの発生が認めら
れた〔クラック発生時間と称する〕。また、B法の場
合、短冊型試験片を試験機から処理時間50時間毎に取
り出して、クラックの有無とブリードアウトの有無とを
観察したところ、650時間目にクラックの発生が認め
られた。なお、試験片の表面に添加剤のブリードアウト
のないものをA、ブリードアウトの僅か認められるもの
をB、ブリードアウトの認められるものをCと評価した
〔表1参照〕。また、未処理の試験片と、B法によりク
ラック発生まで処理した試験片を、日本電色工業製、Σ
80色測定システムで測定し、処理した試験片と未処理
試験片のYI差(△YI)を黄変度と評価した。黄変度
の数値が大きいほど、劣化処理による変色が大きいこと
を意味する〔表1参照〕。ここに得られたペレットを、
温度80℃の熱風乾燥機を用いて20時間乾燥させ、雫
型金型を用いて1500ショット成形〔射出成形機:住
友重機械製、MINIMAT8/7A型、型締力7t
f。操作条件:金型温度35℃、シリンダー設定温度2
30℃、射出圧力700kg/cm2 、成形サイクル1
0秒〕したのち、モルードデポジットを観察した。モル
ードデポジットの発生程度が、キャビティーの輪郭に少
々付着するものを○、キャビティーの周りに真っ白に全
面付着したものを*とした〔表1参照〕。
【0033】実施例2 実施例1において、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル) プロピオネート〕メタンの配合量を0.10重
量部から0.50重量部に変更した以外は、全て実施例
1と同様に処理して、表1に示す結果を得た。
【0034】実施例3〜5 実施例1において、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンの配合量を0.10重量
部から0.30重量部に変更し、また、ビス−[N−メ
チル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル]セバケート0.35重量部を、2−[2’−ヒドロ
キシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル]ベンゾトリアゾール0.35重量部を、表1
に示したそれぞれの重量部に変更した以外は、全て実施
例1と同様に処理して、表1に示す結果を得た。
【0035】比較例D2〜D3 実施例1において、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンの配合量を0.10重量
部から0.30重量部に、2−[2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニ
ル]ベンゾトリアゾール0.35重量部の替わりに、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロ
キシ−3’、5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾト
リアゾール、それぞれ0.35重量部を用いた以外は、
全て実施例1と同様に処理して、表1に示す結果を得
た。
【0036】比較例1〜4 実施例1において、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンの配合量、および、その
他の添加剤の配合量を表2に示したように変更した以外
は、全て実施例1と同様に処理して、表2に示す結果を
得た。
【0037】比較例5〜11 実施例1において、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン0.10重量部の替わり
に、表3に示した各種のヒンダードフェノール系酸化防
止剤、それぞれ0.30重量部を用いた以外は、全て実
施例1と同様に処理して、表3に示す結果を得た。
【0038】比較例12〜16 実施例1において、ビス−[N−メチル−2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバケートの替
わりに、表4に示した配合量の各種ヒンダードアミン系
光安定剤を用いた以外は、全て実施例1と同様に処理し
て、表4に示す結果を得た。
【0039】
【発明の効果】本願発明のポリアセタール樹脂組成物
は、ポリアセタール樹脂に、テトラキス〔メチレン−3
−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕メタン(B)ビス−[N−
メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ニル]セバケート(C)と2−[ 2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル) フェ
ニル] ベンゾトリアゾール(D)を添加・配合して均一
に溶融混練したものであって、極めて優れた成形加工性
と熱安定性、および、耐候(光)性とを有しており、優
れた耐候(光)性、特にクラックの発生や変色などによ
る耐候(光)性を要求される各種成形品、例えば、自動
車のアウトドアーハンドルやホイールカバーやフロント
フェンダーなど、電気機器の部品、建材などの材料とし
て好適に用いることができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 賢一 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱瓦斯化学株式会社 プラスチックス センター内 (72)発明者 奥園 敏昭 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱瓦斯化学株式会社 プラスチックス センター内 (56)参考文献 特開 平4−296348(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 59/00 - 59/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアセタール樹脂100重量部に
    対して、(B)酸化防止剤テトラキス〔メチレン−3−
    (3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
    ニル)プロピオネート〕メタン0.01〜0.50重量
    部と(C)光安定剤ビス−[N−メチル−2,2,6,
    6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバケート0.
    10〜1.0重量部と(D)紫外線吸収剤2−[ 2’−
    ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベ
    ンジル) フェニル] ベンゾトリアゾール0.10〜1.
    0重量部を添加・配合して、均一に溶融混練してなる耐
    候(光)性、並びに、熱安定性の改良されたポリアセタ
    ール樹脂組成物。
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