JP3296465B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関用ピストン特
にディーゼル機関に用いられるピストンの改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来この種内燃機関用ピストンは、例え
ば実開平５−５８８５７号公報に記載されたものがあ
り、これによると、図４に示されているように、ピスト
ン本体１の最上部のリング溝（不図示）と頂面２との間
にトップランド３が設けられて、このトップランド３の
外周面に、スカッフ防止用の複数本の周溝４を凹設して
いる。

【０００３】一方、ピストン本体１の頂面２には、図２
に示すように、この頂面２と給排気バルブ（不図示）と
の干渉を避けるために、バルブリセス部５が凹設されて
おり、このバルブリセス部５は、トップランド部３に形
成した切欠部６に連接しており、しかも、この切欠部６
と前記周溝４とが重複する位置に形成されて、互いに連
接するという構成を採っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このように切
欠部６と周溝４の一部とが連接する構成にした場合、不
図示の燃焼室から未燃焼ガスの一部が、切欠部６を介し
て周溝４に侵入して滞留することとなり、滞留した未燃
焼ガスにより不完全燃焼を起こし、ＣＯ，ＨＣ等の排気
ガスを増加させることになる。

【０００５】本発明は、かかる点に鑑み、トップランド
外周面に形成した周溝に、未燃焼ガスが侵入して滞留す
るのを防止して更なる低エミッション化を図ると共に、
スカッフ防止を同時に達成した内燃機関用ピストンを提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の内燃機関用ピス
トンは、トップランド部の外周面に形成する周溝を、バ
ルブリセスに連接する切欠部形成部位より下部に位置す
るよう構成した。

【０００７】

【作用】周溝が、切欠部に連接されないこととなり、燃
焼室の未燃焼ガスが周溝内に侵入して滞留するのを防止
できる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明の実施例につき、図１乃至図３
を用いて説明する。なお、従来技術に類似する構成につ
いては、同一符号を用いることとする。

【０００９】先ず図１は本発明実施例による内燃機関用
ピストンの正面図、図２は同平面図、図３は図１のＡ円
内の拡大図である。

【００１０】図中、１は例えばアルミニウム合金の鋳造
品からなるピストン本体で、クラウン部１１、スカート
部１２、ピストンピン孔１３が形成されたボス部１４を
有して、構成している。

【００１１】クラウン部１１の外周には、３本のピスト
ンリング溝１５，１６，１７が形成されており、上方の
ピストンリング溝１５，１６には、図示しないコンプレ
ッションリングが挿着され、ピストンリング溝１７に
は、図示しないオイルリングが挿着される。

【００１２】また、クラウン部１１の頂面２には、給排
気バルブ（不図示）との干渉を避けるためのバルブリセ
ス部５が凹設されており、このバルブリセス部５は、ク
ラウン部１１におけるピストンリング溝１５より上方の
トップランド部３の外周面に形成した切欠部６に連接し
ている。

【００１３】１８は、トップランド部３の外周面に凹設
されたスカッフ防止用の周溝で、複数条設けられてい
る。そして、この周溝１８は、切欠部６の形成部位より
ピストンリング溝１５側すなわち下部に位置している。
この結果、周溝１８は、図示しない切欠部６に対して、
シリンダー内壁が介在して閉鎖されることとなり、切欠
部６延いてはバルブリセス部５とは重複連接せず、従っ
て図示しない燃焼室と連通しないように構成されている
こととなる。

【００１４】内燃機関用ピストンを以上のように構成し
た場合、スカッフ防止用の周溝１８が、燃焼室に連通し
ないことから、燃焼室の未燃焼ガスが、バルブリセス部
５および切欠部６を通過して、周溝１８内に侵入して滞
留することを防止でき、従来のような周溝内の未燃焼ガ
ス滞留による不完全燃焼を防止して、ＣＯ，ＨＣ等の排
気ガスを低減させ、更なる低エミッション化を図ること
ができる。

【００１５】また、周溝１８は、従来と同様にトップラ
ンド３の外周部に形成されているので、この部位におけ
る潤滑油保持特性を維持して、スカッフ発生を防止でき
る。

【００１６】

【発明の効果】以上の構成にかかる内燃機関用ピストン
は、ピストン本体の頂面に凹設されたバルブリセス部
と、該バルブリセス部に連接するように前記ピストン本
体における最も上方に設けられたピストンリング溝より
も上方のトップランド部の外周面に形成された切欠部及
び周溝とを備えており、前記周溝を、前記切欠部形成部
位より下部に位置するよう前記トップランド部の外周部
に形成して構成した。この結果、周溝は、切欠部との間
にシリンダー内壁が介在して、燃焼室との連通が遮断さ
れることとなって、燃焼室の未燃焼ガスが、バルブリセ
ス部および切欠部を通過して、周溝内に侵入して滞留す
ることを防止でき、従来のような周溝内の未燃焼ガス滞
留による不完全燃焼を防止して、ＣＯ，ＨＣ等の排気ガ
スを低減させ、更なる低エミッション化を図ることがで
きる。

【００１７】また、周溝は、従来と同様にトップランド
の外周部に形成されているので、この部位における潤滑
油保持特性を維持して、スカッフ発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例による内燃機関用ピストンの正面
図である。

【図２】同じく平面図である。

【図３】図１のＡ円内の拡大図である。

【図４】従来の内燃機関用ピストンにおける図１のＡ円
内の拡大図である。

【符号の説明】

１ ピストン本体 ２ 頂面 ３ トップランド ５ バルブリセス部 ６ 切欠部 １８ 周溝

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストン本体の頂面に凹設されたバルブ
   リセス部と、該バルブリセス部に連接するように前記ピ
   ストン本体における最も上方に設けられたピストンリン
   グ溝よりも上方のトップランド部の外周面に形成された
   切欠部及び周溝とを備えた内燃機関用ピストンにおい
   て、前記周溝を、前記切欠部形成部位より下部に位置す
   るよう前記トップランド部の外周部に形成したことを特
   徴とする内燃機関用ピストン。