JPS5943475Y2 - 内燃機関のシリンダライナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関、％に弁の位置が非対称か、又は−
軸にのみ対称に配置された内燃機関の弁周囲にあたるシ
リンダライナ壁の改良に関するものである。

内燃機関の排気弁、吸気弁には従来よりきのこ弁が多く
使用され、２サイクル機関、４サイクル機関について１
個シリンダに１ｆ固から複数ｆ固のきのこ弁が用いられ
て来たが、最近、機関の高出力化の傾向に伴ない、１岡
のシリンダに付属した弁の数カ多くなる趨勢にあり、２
サイクル機関で３個あるいは４個の排気弁を、又、４サ
イクル機関でＶｉ２ｆａの吸気弁と２個の排気弁を有す
るものが多く採用されて来た。

そして、かかる高出力化のため吸、排気率を犬キくシた
内燃機関では弁に近接する個所のシリンダライナ壁をえ
ぐって弁の流量特性を改善することが実用化されている
。

従来のシリンダ壁に設けられたかかるえぐり込み部の形
状は、第１図及び第２図に示す如くであるが、就中、第
１図に示すように弁２の中心Ｏ′とシリンダライナ１の
中心Ｏを通る直線上にシリンダライナえぐり込み部３の
略中心が位置するように作られており、その形状ｕｏ、
ｏ’を通る直線に関して通常、左右対称形となっていた
。

しかし、その後、左右対称的にえぐり込んだ形状では吸
気通路や吸気弁部で形成された空気の旋回力に対して充
分な配慮がなされているとは云えないとしてその改良を
図るべく弁の中心とシリンダライナ中心とを通る直線に
関して左右非対称にえぐり込んだ形状のものが提案され
るに至った。

（％公昭４７−３７７２６号公報） ところが、シリンダライナ壁にえぐり込みを設けた内燃
機関においては、第１図及び第２図に示す如くえぐり込
み３内にガスが侵入し、このガス圧によりピストンリン
グ５の嵌着されたピストン４／ｒｉ矢印Ａの方向に相当
の力で押されるという現象を呈し、このガス圧によるピ
ストンスラスト力によって更にピストン４はＡ方向に押
され結果的にガス侵入の原因となっている。

一方、ガス侵入を防止するべくピストン４の隙間を小さ
くすることも考えられるが、この様に隙間が小さい場合
Ｋｉガス圧によるスラスト力によりかえってピストンは
スカッフィング、所謂、かじり現象を起し易くなり、機
関性能を低下させることになりかねない。

上記のような現象は、えぐり込み部を弁の中心とシリン
ダライナ中心とを通る直線に関して左右非対称に形成し
た場合も同様であり、ガス圧によるスラストカニよって
スカッフィングを起スことを避は得られなかった。

そして、かかる欠点は、弁の位置が対称に配置されてい
ないか、−軸しか対称軸がないような機種で、２弁式、
３弁式の場合に特に問題になる。

本考案は、上述の如き実状に鑑み、ピストンにかかるス
ラスト力を平均化し、ピストンを一方向に押すことなく
してガス侵入の現象を図ることを目的とするもので、排
気弁又は吸気弁に近接する個所のシリンダライナ壁をえ
ぐり込んだ公知の内燃機関のシリンダライナに＄−いて
、前記えぐり込みにより発生するピストンのガス圧によ
るスラスト力が作用する位置の前記シリンダライナ壁に
該スラスト力と同等で、かつ、逆向きのスラスト力を発
生させるえぐり込み部を設けた構成を特徴とする。

以下、更に本考案の構成を添付図面第３図に示す実施例
にもとづいて説明すると、図において１はシリンダライ
ナ、２は該シリンダライナに嵌設されたピストン４に対
合する弁、３は前記シリンダライナ１内壁を弁に近接す
る個所においてえぐり込んだえぐり込み部で、弁２の中
心とシリンダライナ１の中心を通る直線上にえぐり込み
部３の壁面の半径の中心が位置している。

勿論、図示例では上記の如くえぐり込み部の中心が弁と
シリンダライナの中心を結ぶ線上に位置するが、これは
必ずしも必須ではなく、該直線に関し非対称に位置した
場合でも差支えない。

６は本考案の特徴をなす他のえぐり込み部であり、前記
既設のえぐり込み部３により発生するピストンのガス圧
によるスラスト力に拮抗するスラスト力を発生させるた
めのものであり、図に＄−いては弁２に近接する個所に
設けられたシリンダライナ壁の左右対向する各えぐり込
み部３，３にてガス圧によりピストンに作用する半径方
向の力の合力、即ち、スラスト力Ａに相当する大きさを
有し、かつ、正反対の向きに作用するスラスト力Ａ′を
発生させるため、両弁の中心を結ぶ線を底辺とする二等
辺三角形頂点位置に設けている。

このえぐり込み部６の位置は弁の位置によって、又、弁
部に近接した個所のえぐり込み部３の位置によって適宜
、変更され、更にえぐり込み６の大きさもそれら位置の
変化に応じて適宜選定する。

な釦、弁の位置が少なくとも２軸以上で対称に配置され
ているような場合には、弁２に近接した個所のえぐり込
み位置及び犬ささを適宜選定することによって比較的ピ
ストンにかかるスラスト力を均衡状態とすることが出来
る。

以上のように構成された本考案の構造に釦いては、えぐ
り込み部３，６の中に入るガスの圧力によりピストンに
かかるスラスト力が互いにバランスし、ピストン４は特
定の一方向に押されることがない。

即ち、弁２Ｖｃ近接するシリンダライナ１に設けられた
えぐり込み部３内に入るガス圧力によりＡ方向にスラス
ト力が作用するとしても、−古訓に設けられたえぐり込
み部６に入るガス圧力によりＡ′の力がかかることにな
り、両者は互いに相当するスラスト力を持っていること
から完全なバランスが保持される。

以上述べた如く、本考案は高出力化機関にみられる如く
シリンダライナ壁に吸・排気弁のためのえぐり込みを設
けた内燃機関にむいて、前記えぐり込みにより発生する
ピストンのガス圧によるスラスト力が作用する位置の前
記シリンダライナ壁に、該スラスト力に相当する犬ささ
を有し、かつ逆向きのスラスト力を発生させるえぐり込
み部を設けたものであるから、ピストンに作用する半径
方向のスラスト力を互いにバランスさせることが可能で
、ピストンがガス圧によりシリンダライナ内で偏倚する
ことがなくなり、これによってガス侵入を減少させると
共に、スカッフィングも起り難くなるというすぐれた効
果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は既知の弁周囲の形状を示す平断面図
及び縦断面図、第３図は本考案に係る弁周囲の形状を示
す平断面図である。 １・・・・・・シリンダライナ、２・・・・・・弁、３
，６・・・・・・えぐり込み部、４・・・・・・ピスト
ン、５・・・・・・ピストンリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排気弁又は吸気弁を非対称か、又は−軸にのみ対称に有
   する内燃機関において、排気弁又は吸気弁に近接する個
   所のシリンダライナ壁を弁の中心とシリンダライナの中
   心を通る直線上にえぐり込み部の略中心が位置するか、
   又（ｒｉ該直線に関し非対称に位置する如くえぐり込む
   と共に、前記えぐり込みにより発生するピストンのガス
   圧によるスラスト力が作用する位置の前記シリンダライ
   ナ壁に該スラスト力と同等で、かつ、逆向きのスラスト
   力を発生させるえぐり込み部を設けたことを特徴とする
   内燃機関のシリンダライナ。