JPH0557338U - 内燃エンジンのピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トップランドクレビス内の燃料混合気を燃焼
させる。 【構成】 一端が、最もピストンヘッド２寄りに配置さ
れたピストンリング２１よりピストンヘッド２側のピス
トン外側面９に開口し、他端がピストンヘッド面１０に
開口して成る、連通孔１１が設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、内燃エンジンのピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃エンジンのピストンは、シリンダライナに対し、ピストンリングを介して 往復慴動する。このピストンリングは、例えば、３本のリングから成り、ピスト ンヘッド側の２本はコンプレッションリングと呼ばれ、燃焼室内の混合気、排気 ガス等をクランク室側に漏らさないようにするためのものである。また、最もク ランク室側に配置されたピストンリングはオイルリングと呼ばれ、シリンダライ ナに付着したオイルを掻き落とし、燃焼室内にオイルが浸入することを防止して いる。

【０００３】 また、ピストンがシリンダライナに対して円滑に慴動することができるように 、ピストンとシリンダライナとの間には、所要巾の間隙、例えば、少なくともシ リンダの直径の約０．０５％に相当する直径間隙が設けられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このように、内燃エンジンのピストンには、ピストンがシリンダライナに対し て円滑に慴動することができるように、ピストンとシリンダライナとの間に所要 巾の間隙が設けられている。このため、燃焼室内に噴射された燃料混合気が、最 もピストンヘッド寄りに配置されたピストンリングよりピストンヘッド側のピス トン外側面（所謂、トップランド）とシリンダライナとにより形成される隙間（ 所謂、トップランドクレビス）に浸入することになる。一方、トップランドクレ ビスは、上述したように、例えば、シリンダの直径の約０．０５％に相当する直 径間隙に形成されているため、燃焼時に、燃焼室の火炎がトップランドクレビス に侵入することができず、この中の燃料混合気が燃焼できないという問題がある 。つまり、トップランドクレビス内に未燃焼ガスが残留し、排気ガス中のＨＣ濃 度を大巾に高めて、例えば、排気ガスに含まれるＨＣの約２５〜５０％が、この トップランドクレビスに残留した未燃焼ガスによるものとされている。

【０００５】 本考案はこのような問題を解決するためになされたもので、トップランドクレ ビス内に未燃焼ガスが残留することを防止して、排気ガス中のＨＣ濃度を低減さ せるように図った内燃エンジンのピストンを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するために、本考案の内燃エンジンのピストンは、一端が、 最もピストンヘッド寄りに配置されたピストンリングよりピストンヘッド側のピ ストン外側面に開口し、他端がピストンヘッド面に開口して成る、連通孔を備え たことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

上述の内燃エンジンのピストンにおいて、連通孔は、その一端が最もピストン ヘッド寄りに配置されたピストンリングよりピストンヘッド側のピストン外側面 、つまり、ピストンの所謂トップランド面に開口し、他端がピストンヘッド面に 開口して成るので、トップランドとシリンダライナとにより形成される隙間、つ まり、トップランドクレビスと燃焼室とが連通孔により連通され、燃焼時に、燃 焼室の火炎が連通孔を通してトップランドクレビスに侵入することができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図１は、本考案の内燃エンジンのピストンを示す。 ピストン１は、ピストンヘッド２とスカート部３とから成り、所要巾の隙間を 介してシリンダライナ２０に嵌挿されている。ピストンヘッド２には、図示しな い吸排気バルブとの干渉を防止する凹み、つまり、バルブリセス４、４が吸排気 バルブの配置に対応して設けられている。一方、スカート部３のピストンヘッド ２寄りには、その外周面に３本の環状の溝５、６、７が削成され、これらの溝５ 、６、７には、夫々ピストンリング２１、２２、２３が取り付けられている。ピ ストンヘッド側の２本のピストンリング２１、２２はコンプレッションリングと 呼ばれ、燃焼室内の混合気、排気ガス等がクランク室側に漏れないようにしてい る。また、最もクランク室側に配置されたピストンリング２３はオイルリングと 呼ばれ、シリンダライナに付着したオイルを掻き落とし、オイルが燃焼室に入る のを防止している。このため、スカート部３には、溝７と内部とを連通させる排 油路８が所要個だけ穿設され、ピストンリング２３が掻き落としたオイルをスカ ート部３の内部に排出することができる。

【０００９】 一方、ピストンリング２１よりピストンヘッド側のピストン外側面、つまり、 トップランド９には、環状の環状溝１２が削成されている。そして、一端がこの 環状溝１２の底部に開口し、他端がピストンヘッド面１０に開口されて成る連通 孔１１が、ピストンヘッド面１０に対して所要角度θで、例えば、３０°の角度 で、所要個だけ、例えば、図２に示されるように８個だけ穿設されている。つま り、各連通孔１１は、環状溝１２により連続している。そして、ピストン１は、 ピストンピン（図１参照）２４を介して図示しないコンロッドに連結されている 。

【００１０】 次に、ピストン１の作用について、図３、４を参照して説明する。 吸気により燃焼室に吸入された燃料混合気は、圧縮時にその一部がトップラン ドクレビス１３に浸入する。そして、燃焼時に、燃焼室内の火炎が連通孔１１を 通してトップランドクレビス１３に入り、トップランドクレビス１３内の燃料混 合気を燃焼させる。また、ピストン１には環状溝１２が形成されているので、燃 焼がトップランドクレビス１３の全周にわたって一様に行われ、促進される。ま た、連通孔１１を設けたことにより、燃焼室とトップランドクレビス１３との間 にガスの循環路が形成されたことになり、トップランドクレビス１３内の未燃焼 ガスが燃焼室内に流出しやすくなり、その燃焼が一層促進される。

【００１１】 ここで、図３に、連通孔１１の直径ＬとＨＣ排出量Ｑとの関係が示されている 。本図によれば、ＨＣの排出量Ｑは、連通孔１１の直径ＬがＬ_o まではほぼ一定 値Ｑ_o であるが、ＬがＬ_o を超えると急速に減少し始める。つまり、連通孔１１ の直径ＬがＬ_o を超えると、燃焼室の火炎が連通孔１１を通ってトップランドク レビス１３に侵入しやすくなることであり、このため、連通孔１１の直径ＬはＬ _o 以上、例えば、１．２ｍｍ以上に設定されることが望ましい。 ただし、Ｌが大きすぎると、所望される圧縮比が得られなくなる場合もあるので 、注意を要する。

【００１２】 また、図４に、本考案と従来技術とにおけるＨＣ排出量が、夫々例示されてい る。すなわち、図４の横軸にはピストン１に対する平均有効圧が、また、縦軸に はＨＣ排出量が夫々示され、本考案のピストン１に係るエンジンのＨＣ排出量が 実線で、また、従来技術のＨＣ排出量が破線で示されている。本図によれば、本 考案のピストン１は、ＨＣ排出量に関し、従来技術に比べて平均約１８％だけ改 善される。

【００１３】 なお、本考案は上述した一実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可 能である。 例えば、上述した実施例では、トップランドクレビス１３の回りに環状溝１２ を設け、燃料混合気の燃焼が一様に行われるようにしていたが、この環状溝１２ は必ずしも実施する必要はなく、各連通孔１１を直接トップランド９面に開口さ せるようにしてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案の内燃エンジンのピストンにおいて、連通 孔は、最もピストンヘッド寄りに配置されたピストンリングよりピストンヘッド 側のピストン外側面とシリンダライナとにより形成される隙間、つまり、トップ ランドクレビスと燃焼室とを連通させ、燃焼時に、燃焼室内の火炎を連通孔を通 してトップランドクレビスに侵入させるので、トップランドクレビス内の燃料混 合気を燃焼させることができ、未燃焼ガスがトップランドクレビス内に残留する ことが防止されて、排気ガス中のＨＣ濃度を大巾に低減させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の内燃エンジンのピストンの具体的構成
を示す断面図である。

【図２】図１中のピストン１を示す平面図である。

【図３】図１中の連通孔１１の直径Ｌと排気ガス中のＨ
Ｃ排出量Ｑとの関係を示すグラフである。

【図４】図１中のピストン１のピストン平均有効圧と排
気ガス中のＨＣ排出量との関係を、本考案と従来技術と
について示すグラフである。

【符号の説明】

１ ピストン ２ ピストンヘッド ３ スカート部 ９ トップランド（ビストン外側面） １０ ピストンヘッド面 １１ 連通孔 １２ 環状溝 １３ トップランドクレビス ２１、２２、２３ ピストンリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端が、最もピストンヘッド寄りに配置
   されたピストンリングよりピストンヘッド側のピストン
   外側面に開口し、他端がピストンヘッド面に開口して成
   る、連通孔を備えたことを特徴とする内燃エンジンのピ
   ストン。