JP3280463B2 - 金属薄膜型磁気記録媒体の製造法 - Google Patents
金属薄膜型磁気記録媒体の製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク等の金属薄
膜型磁気記録媒体の製造法に係り、特に重ね書き特性
(オーバーライト特性、O/W特性という。)の良好な
ものの製造法に関する。
膜型磁気記録媒体の製造法に係り、特に重ね書き特性
(オーバーライト特性、O/W特性という。)の良好な
ものの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度記録化に伴
って、CoNiCr,CoCrTa等の一軸結晶磁気異
方性を有するCo合金系強磁性金属の薄膜(磁性層)を
非磁性基体上に成膜した金属薄膜型磁気記録媒体が用い
られている。前記磁気記録媒体において、高密度記録化
を行うには、高い保磁力を具備する必要があり、磁性層
の薄膜化を促進しなければならない。しかし、薄膜化を
促進すると残留磁束密度Brと膜厚δとの積Brδが小
さくなり、再生出力が小さくなるという問題があった。
って、CoNiCr,CoCrTa等の一軸結晶磁気異
方性を有するCo合金系強磁性金属の薄膜(磁性層)を
非磁性基体上に成膜した金属薄膜型磁気記録媒体が用い
られている。前記磁気記録媒体において、高密度記録化
を行うには、高い保磁力を具備する必要があり、磁性層
の薄膜化を促進しなければならない。しかし、薄膜化を
促進すると残留磁束密度Brと膜厚δとの積Brδが小
さくなり、再生出力が小さくなるという問題があった。
【0003】そこで、特開平1−217723号公報に開示さ
れているように、非磁性基体の上にCrからなる下地層
を設け、その上にスパッタリングによりCo合金系磁性
層と非磁性層とを交互に積層した磁気記録媒体が開発さ
れるに至った。この媒体においては、高保磁力の薄膜磁
性層が多数形成されているため、各磁性層のBrδの総
和は大きな値となり、再生出力を損うことなく高密度記
録化が可能となった。
れているように、非磁性基体の上にCrからなる下地層
を設け、その上にスパッタリングによりCo合金系磁性
層と非磁性層とを交互に積層した磁気記録媒体が開発さ
れるに至った。この媒体においては、高保磁力の薄膜磁
性層が多数形成されているため、各磁性層のBrδの総
和は大きな値となり、再生出力を損うことなく高密度記
録化が可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記磁
性層を積層化した磁気記録媒体においては、O/W特性
について配慮されておらず、O/W特性に問題があっ
た。すなわち、磁気ヘッドの起磁力は磁気記録媒体の表
面(ヘッド対向面)から下方(基体側方向)にいくほど
小さくなるが、下層の磁性層においても保磁力が高いた
め、磁気ヘッドの起磁力の低下と相まって、新たなパタ
ン(情報)が下層まで重き込み難くなり、以前のパタン
の残留に起因するノイズにより新しいパタンのS/Nが
悪くなるという問題があった。
性層を積層化した磁気記録媒体においては、O/W特性
について配慮されておらず、O/W特性に問題があっ
た。すなわち、磁気ヘッドの起磁力は磁気記録媒体の表
面(ヘッド対向面)から下方(基体側方向)にいくほど
小さくなるが、下層の磁性層においても保磁力が高いた
め、磁気ヘッドの起磁力の低下と相まって、新たなパタ
ン(情報)が下層まで重き込み難くなり、以前のパタン
の残留に起因するノイズにより新しいパタンのS/Nが
悪くなるという問題があった。
【0005】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、記録密度が高く、しかも良好なO/W特性を備えた
金属薄膜型磁気記録媒体の製造法を提供することを目的
とする。
で、記録密度が高く、しかも良好なO/W特性を備えた
金属薄膜型磁気記録媒体の製造法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の製造法は、非磁
性基体の上に非磁性下地層を成膜し、該下地層の上に強
磁性Co合金からなる磁性層とCr若しくはCr合金か
らなる非磁性中間層とを交互に積層成膜して磁気記録層
を形成し、前記非磁性中間層の成膜時に負のバイアス電
圧を表面側ほど高く印加する。
性基体の上に非磁性下地層を成膜し、該下地層の上に強
磁性Co合金からなる磁性層とCr若しくはCr合金か
らなる非磁性中間層とを交互に積層成膜して磁気記録層
を形成し、前記非磁性中間層の成膜時に負のバイアス電
圧を表面側ほど高く印加する。
【0007】この際、最基体側の非磁性中間層をCr
層、CrX層、CrY層、CrXY層で形成し、それよ
り表面側の非磁性中間層をCr層以外のCr合金層で形
成するのがよい。但し、前記XはSi、P、Cu、G
e、希土類元素の内から一種以上選択したものであり、
前記YはB、C、Nの内から一種以上選択したものであ
る。また、X、Yの含有量は、CrX層あるいはCrY
層を形成する場合、Xの総含有量を6原子%以下、Yの
総含有量を5原子%以下とし、一方CrXY層を形成す
る場合、Xの総含有量をx原子%、Yの総含有量をy原
子%としたとき、(x+5y/6)を6原子%以下とす
る。
層、CrX層、CrY層、CrXY層で形成し、それよ
り表面側の非磁性中間層をCr層以外のCr合金層で形
成するのがよい。但し、前記XはSi、P、Cu、G
e、希土類元素の内から一種以上選択したものであり、
前記YはB、C、Nの内から一種以上選択したものであ
る。また、X、Yの含有量は、CrX層あるいはCrY
層を形成する場合、Xの総含有量を6原子%以下、Yの
総含有量を5原子%以下とし、一方CrXY層を形成す
る場合、Xの総含有量をx原子%、Yの総含有量をy原
子%としたとき、(x+5y/6)を6原子%以下とす
る。
【0008】更に、非磁性中間層として前記Cr合金層
を形成する場合、表面側ほどX、Yの総含有量を高くす
るとよい。また、非磁性中間層を前記CrX層で形成す
る場合は、バイアス電圧の印加の有無にかかわず、表面
側ほどXの総含有量を高くするだけでもよい。
を形成する場合、表面側ほどX、Yの総含有量を高くす
るとよい。また、非磁性中間層を前記CrX層で形成す
る場合は、バイアス電圧の印加の有無にかかわず、表面
側ほどXの総含有量を高くするだけでもよい。
【0009】
【作用】非磁性中間層は一般的にCrにより成膜され
る。これは、磁性層相互間の磁気的相互作用を緩和する
と共に、Cr層を構成する柱状晶の結晶配向が、その上
に成膜される磁性層の磁気異方性を示す結晶軸を面内配
向させるように作用し、保磁力が向上するからである。
また、Crを主成分としたCr合金により非磁性中間層
を成膜した場合についても、磁性層相互間の磁気的相互
作用を緩和することができ、また磁性層の結晶配向性の
向上を期待できる。
る。これは、磁性層相互間の磁気的相互作用を緩和する
と共に、Cr層を構成する柱状晶の結晶配向が、その上
に成膜される磁性層の磁気異方性を示す結晶軸を面内配
向させるように作用し、保磁力が向上するからである。
また、Crを主成分としたCr合金により非磁性中間層
を成膜した場合についても、磁性層相互間の磁気的相互
作用を緩和することができ、また磁性層の結晶配向性の
向上を期待できる。
【0010】非磁性中間層の成膜に際し、表面側ほど負
のバイアス電圧を高く印加して成膜することにより、表
面側の非磁性中間層ほどCr柱状晶の結晶配向性が向上
し、磁性層の面内配向作用が強化される。このため、表
面側の磁性層ほど保磁力が向上し、基体側の磁性層は表
面側の磁性層に対して保磁力が小さくなる。従って、磁
気ヘッドからの起磁力が弱まる基体側の磁性層において
も、磁気ヘッドからのパタンを容易に書き換えることが
でき、書き込み前のパタンの残留によるノイズを低下す
ることができ、O/W特性が向上する。
のバイアス電圧を高く印加して成膜することにより、表
面側の非磁性中間層ほどCr柱状晶の結晶配向性が向上
し、磁性層の面内配向作用が強化される。このため、表
面側の磁性層ほど保磁力が向上し、基体側の磁性層は表
面側の磁性層に対して保磁力が小さくなる。従って、磁
気ヘッドからの起磁力が弱まる基体側の磁性層において
も、磁気ヘッドからのパタンを容易に書き換えることが
でき、書き込み前のパタンの残留によるノイズを低下す
ることができ、O/W特性が向上する。
【0011】非磁性中間層をCrX合金、CrY合金、
CrXY合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素
の内から一種以上、Y:B、C、Nの内から一種以
上。)で形成することにより、XあるいはYがCr柱状
晶の粒界に偏析し、同柱状晶の分離が促進されるため、
その上に成膜される磁性層中の磁性粒子相互間の磁気的
相互作用が緩和され、更に面内配向作用の向上効果がよ
り一層大きくなる。X、Yを夫々単独で含有させる場合
はXの総含有量を6原子%以下、Yの総含有量を5原子
%以下とする。XはCrに固溶せず、Cr柱状晶の粒界
に容易に偏析するが、6原子%を越えるとCr柱状晶内
における結晶配向性が崩れて磁性層の面内配向作用が劣
化するようになるからである。一方、YはCrに若干固
溶し、Xに比べてやや偏析し難いため、5原子%以下と
する。また、X、Yを複合して含有させる場合は、各成
分の許容量を考慮して、Xの総含有量をx原子%、Yの
総含有量をy原子%としたとき、(x+5y/6)を6
原子%以下とする。
CrXY合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素
の内から一種以上、Y:B、C、Nの内から一種以
上。)で形成することにより、XあるいはYがCr柱状
晶の粒界に偏析し、同柱状晶の分離が促進されるため、
その上に成膜される磁性層中の磁性粒子相互間の磁気的
相互作用が緩和され、更に面内配向作用の向上効果がよ
り一層大きくなる。X、Yを夫々単独で含有させる場合
はXの総含有量を6原子%以下、Yの総含有量を5原子
%以下とする。XはCrに固溶せず、Cr柱状晶の粒界
に容易に偏析するが、6原子%を越えるとCr柱状晶内
における結晶配向性が崩れて磁性層の面内配向作用が劣
化するようになるからである。一方、YはCrに若干固
溶し、Xに比べてやや偏析し難いため、5原子%以下と
する。また、X、Yを複合して含有させる場合は、各成
分の許容量を考慮して、Xの総含有量をx原子%、Yの
総含有量をy原子%としたとき、(x+5y/6)を6
原子%以下とする。
【0012】非磁性中間層として、前記Cr合金層を用
いる場合、表面側の非磁性中間層ほど、X、Y成分の含
有量を高める方がよい。前記成分範囲内では含有量が高
いほど、XあるいはYのCr柱状晶粒界への偏析が促進
される。この偏析の促進により、その上に成膜される磁
性層中の磁性粒子の相互作用が緩和され、更に面内配向
作用が強化されるため、負のバイアス電圧の増大と相ま
って、表面側の磁性層の保磁力をより一層向上させるこ
とができるからである。
いる場合、表面側の非磁性中間層ほど、X、Y成分の含
有量を高める方がよい。前記成分範囲内では含有量が高
いほど、XあるいはYのCr柱状晶粒界への偏析が促進
される。この偏析の促進により、その上に成膜される磁
性層中の磁性粒子の相互作用が緩和され、更に面内配向
作用が強化されるため、負のバイアス電圧の増大と相ま
って、表面側の磁性層の保磁力をより一層向上させるこ
とができるからである。
【0013】叙上の通り、XはCrに固溶せず、容易に
偏析する。この偏析は、バイアス電圧の印加の有無に係
わらず生じるので、非磁性中間層をCrX合金で成膜す
る場合は、表面側の非磁性中間層ほど、Xの含有量を高
めるだけでよい。
偏析する。この偏析は、バイアス電圧の印加の有無に係
わらず生じるので、非磁性中間層をCrX合金で成膜す
る場合は、表面側の非磁性中間層ほど、Xの含有量を高
めるだけでよい。
【0014】
【実施例】以下、図1に示した金属薄膜型磁気記録媒体
の製造を例にとって説明する。この媒体は、非磁性の基
体3の上に非磁性下地層4が形成されており、その上に
一軸結晶磁気異方性を有する強磁性Co合金からなる磁
性層5、7、9と非磁性中間層6、8とが交互に積層成
膜された磁気記録層10が形成され、更にその上に保護
層11が形成されている。
の製造を例にとって説明する。この媒体は、非磁性の基
体3の上に非磁性下地層4が形成されており、その上に
一軸結晶磁気異方性を有する強磁性Co合金からなる磁
性層5、7、9と非磁性中間層6、8とが交互に積層成
膜された磁気記録層10が形成され、更にその上に保護
層11が形成されている。
【0015】基体3としては、図1ではAl合金製基板
1の上に、硬度を付与するため10〜20μm 程度の非
晶質Ni−Pメッキ層2 が形成されたものを示したが、
かかる構成に限らず、ガラスやセラミックスを利用して
も良い。尚、Ni−Pメッキ層2の上面は、通常、磁気
ヘッドとの接触抵抗を軽減するためにテキスチャーと呼
ばれる凹凸加工が施される。
1の上に、硬度を付与するため10〜20μm 程度の非
晶質Ni−Pメッキ層2 が形成されたものを示したが、
かかる構成に限らず、ガラスやセラミックスを利用して
も良い。尚、Ni−Pメッキ層2の上面は、通常、磁気
ヘッドとの接触抵抗を軽減するためにテキスチャーと呼
ばれる凹凸加工が施される。
【0016】前記非磁性下地層4や磁気記録層10は、
基体1にスパッタリングにより成膜されるが、この際、
基体3をホルダーに取付け、該ホルダーを介して前記基
体3に負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧の大
きさは、350V程度以下とされるが、少なくとも非磁
性中間層6、8を成膜するに際しては、表面側のもの8
ほどバイアス電圧が前記範囲内で大きく設定される。
尚、スパッタリング装置としては、基板に負のバイアス
電圧を印加することができるものであればよく、スパッ
タリング用電源としては直流電源、高周波電源のいずれ
でもよく、ターゲット裏面にマグネットを設けたマグネ
トロンスパッタ装置でもよい。また、スパッタリング条
件は、使用するスパッタリング装置、基体やターゲット
材の種類などにより異なるが、一般的にアルゴンガス分
圧1〜30×10-3Torr、基板温度150〜300
℃程度とされる。
基体1にスパッタリングにより成膜されるが、この際、
基体3をホルダーに取付け、該ホルダーを介して前記基
体3に負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧の大
きさは、350V程度以下とされるが、少なくとも非磁
性中間層6、8を成膜するに際しては、表面側のもの8
ほどバイアス電圧が前記範囲内で大きく設定される。
尚、スパッタリング装置としては、基板に負のバイアス
電圧を印加することができるものであればよく、スパッ
タリング用電源としては直流電源、高周波電源のいずれ
でもよく、ターゲット裏面にマグネットを設けたマグネ
トロンスパッタ装置でもよい。また、スパッタリング条
件は、使用するスパッタリング装置、基体やターゲット
材の種類などにより異なるが、一般的にアルゴンガス分
圧1〜30×10-3Torr、基板温度150〜300
℃程度とされる。
【0017】基体3に成膜された非磁性下地層4はその
上に形成される磁性層5の強磁性Co合金 (結晶構造h
cp)のc軸(結晶磁気異方性を示す結晶軸)を面内配
向させるために形成されるもので、通常、Cr若しくは
Crを主成分としたCr合金(Crと同様の結晶構造が
形成されるもの)により500〜2000Å程度の厚さ
に形成される。
上に形成される磁性層5の強磁性Co合金 (結晶構造h
cp)のc軸(結晶磁気異方性を示す結晶軸)を面内配
向させるために形成されるもので、通常、Cr若しくは
Crを主成分としたCr合金(Crと同様の結晶構造が
形成されるもの)により500〜2000Å程度の厚さ
に形成される。
【0018】前記磁気記録層10の磁性層5、7、9を
形成する強磁性Co合金としては、hcp結晶構造を有
するものならいずれのものでもよく、例えばCoNiC
r、CoCrTa、CoCrPt等を挙げることができ
る。各磁性層5、7、9の層厚の合計は600〜800
Åとするのがよい。全層厚を600〜800Åとするの
は、再生出力の確保とノイズ低減のために磁気記録媒体
としてBrδが450〜600G・μのものが要求され
ているからである。
形成する強磁性Co合金としては、hcp結晶構造を有
するものならいずれのものでもよく、例えばCoNiC
r、CoCrTa、CoCrPt等を挙げることができ
る。各磁性層5、7、9の層厚の合計は600〜800
Åとするのがよい。全層厚を600〜800Åとするの
は、再生出力の確保とノイズ低減のために磁気記録媒体
としてBrδが450〜600G・μのものが要求され
ているからである。
【0019】磁性層5、7、9の間に形成される非磁性
中間層6、8は、CrやCrを主成分としたCr合金
(Crと同様の結晶構造が形成されるもの)で成膜され
るが、既述の通り、CrX合金、CrY合金、CrXY
合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素の内から
一種以上、Y:B、C、Nの内から一種以上。)で形成
するのがよい。非磁性中間層6、8の成膜に際しては、
表面側のもの8ほどバイアス電圧が大きくされるが、
X、Y成分の総含有量についても表面側のもの8ほど増
加するようにするとよい。非磁性中間層の層厚は、15
〜100Å程度でよい。15Å未満では、磁性層相互間
の磁気的相互作用が強すぎるため、多層化による媒体ノ
イズの低減効果が現れ難い。一方、100Åを越える
と、媒体ノイズが大きくなり、電気的特性も劣化するよ
うになる。尚、非磁性中間層をCrX合金で成膜する場
合は、バイアス電圧を必ずしも印加する必要はなく、ま
た各非磁性中間層に同一のバイアス電圧を印加してもよ
い。但し、いずれの場合も、Xの総含有量については表
面側のものほど増加するようにする。
中間層6、8は、CrやCrを主成分としたCr合金
(Crと同様の結晶構造が形成されるもの)で成膜され
るが、既述の通り、CrX合金、CrY合金、CrXY
合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素の内から
一種以上、Y:B、C、Nの内から一種以上。)で形成
するのがよい。非磁性中間層6、8の成膜に際しては、
表面側のもの8ほどバイアス電圧が大きくされるが、
X、Y成分の総含有量についても表面側のもの8ほど増
加するようにするとよい。非磁性中間層の層厚は、15
〜100Å程度でよい。15Å未満では、磁性層相互間
の磁気的相互作用が強すぎるため、多層化による媒体ノ
イズの低減効果が現れ難い。一方、100Åを越える
と、媒体ノイズが大きくなり、電気的特性も劣化するよ
うになる。尚、非磁性中間層をCrX合金で成膜する場
合は、バイアス電圧を必ずしも印加する必要はなく、ま
た各非磁性中間層に同一のバイアス電圧を印加してもよ
い。但し、いずれの場合も、Xの総含有量については表
面側のものほど増加するようにする。
【0020】尚、図例では磁性層を三層とし、非磁性中
間層を二層にしたものを示したが、層数は自由に設定す
ることができる。また、磁性層の成膜に際しても、バイ
アス電圧を表面側ほど順次増加してもよいことは勿論で
ある。Crを含有するCo合金を用いる場合、バイアス
電圧が大きくなるほど、保磁力が向上するため、非磁性
中間層の磁性層の面内配向作用の向上効果と相まって、
O/W特性が一層向上する。
間層を二層にしたものを示したが、層数は自由に設定す
ることができる。また、磁性層の成膜に際しても、バイ
アス電圧を表面側ほど順次増加してもよいことは勿論で
ある。Crを含有するCo合金を用いる場合、バイアス
電圧が大きくなるほど、保磁力が向上するため、非磁性
中間層の磁性層の面内配向作用の向上効果と相まって、
O/W特性が一層向上する。
【0021】前記磁気記録層10の上にはカーボン等か
らなる非磁性保護層11が100〜300Å程度スパッ
タリングにより形成されており、更にその上にフッ素化
ポリエーテル等の液体潤滑剤を20〜50Å程度塗布し
てもよい。尚、前記保護層11や潤滑層は必要に応じて
形成すればよい。尚、非磁性下地層、磁性層、非磁性中
間層、非磁性保護層は、所期層を成膜するためのターゲ
ット材を備えたスパッタリング装置を並設し、基体を各
スパッタリング装置に順次移動させて積層成膜すればよ
い。
らなる非磁性保護層11が100〜300Å程度スパッ
タリングにより形成されており、更にその上にフッ素化
ポリエーテル等の液体潤滑剤を20〜50Å程度塗布し
てもよい。尚、前記保護層11や潤滑層は必要に応じて
形成すればよい。尚、非磁性下地層、磁性層、非磁性中
間層、非磁性保護層は、所期層を成膜するためのターゲ
ット材を備えたスパッタリング装置を並設し、基体を各
スパッタリング装置に順次移動させて積層成膜すればよ
い。
【0022】次に具体的実施例を掲げる。 (1) 基体として、Al基板にNi−Pメッキ層が形成
され、その表面にテキスチャーが施されたものを用い
た。図1の膜構成となるように、基体3上にCr下地層
4を1000Å成膜し、その上に210Åの膜厚の磁性
層5、7、9を50Åの非磁性中間層6、8を介して逐
次積層成膜した。上層の磁性層9を成膜後、更に、その
上にカーボン層を200Å成膜した。成膜装置としては
DCマグネトロンスパッタ装置を用いた。成膜条件はA
rガス圧12mTorr、基体温度220℃とした。タ
ーゲットとして用いたCo合金組成 (磁性層の組成) は
Co86Cr12Ta2 である。非磁性中間層組成、非磁性
中間層および磁性層のスパッタリング時のバイアス電圧
を下記表1に示す。
され、その表面にテキスチャーが施されたものを用い
た。図1の膜構成となるように、基体3上にCr下地層
4を1000Å成膜し、その上に210Åの膜厚の磁性
層5、7、9を50Åの非磁性中間層6、8を介して逐
次積層成膜した。上層の磁性層9を成膜後、更に、その
上にカーボン層を200Å成膜した。成膜装置としては
DCマグネトロンスパッタ装置を用いた。成膜条件はA
rガス圧12mTorr、基体温度220℃とした。タ
ーゲットとして用いたCo合金組成 (磁性層の組成) は
Co86Cr12Ta2 である。非磁性中間層組成、非磁性
中間層および磁性層のスパッタリング時のバイアス電圧
を下記表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】(2) 成膜後の磁気記録媒体の保磁力(H
c)、O/W特性を調べた。その結果を表1に併せて示
す。尚、O/W特性は媒体に1Fデータを書き込み、次
に直流消去することなく、2Fデータを重ね書きした
後、1Fと2Fの周波数成分をスペクトラム・アナライ
ザで測定し、下記式によって定義する値(O/W値)に
よって評価した。O/W値が小さい(絶対値は大)程、
書き込み前のパタンはきれいに消去されていることを示
す。測定条件は、磁気ヘッドとして薄膜ヘッドを用い、
浮上高さ0.13μm 、1Fデータ:1.75MHz 、2Fデー
タ:5.0MHzとした。
c)、O/W特性を調べた。その結果を表1に併せて示
す。尚、O/W特性は媒体に1Fデータを書き込み、次
に直流消去することなく、2Fデータを重ね書きした
後、1Fと2Fの周波数成分をスペクトラム・アナライ
ザで測定し、下記式によって定義する値(O/W値)に
よって評価した。O/W値が小さい(絶対値は大)程、
書き込み前のパタンはきれいに消去されていることを示
す。測定条件は、磁気ヘッドとして薄膜ヘッドを用い、
浮上高さ0.13μm 、1Fデータ:1.75MHz 、2Fデー
タ:5.0MHzとした。
【0025】
【数1】
【0026】(3) 表1より、実施例は従来例に対して保
磁力の著しい向上が認められる。また、O/W特性も改
善されており、特に非磁性中間層としてCr合金を用
い、合金成分含有量およびバイアス電圧を表面側ほど高
くしたものほど、改善が著しい。また、実施例のNo. 2
と比較例のNo. 12とから分かるように、バイアス電圧
を印加しない場合でも、X含有量を表面側ほど高くする
ことにより、磁気特性の向上が認められる。
磁力の著しい向上が認められる。また、O/W特性も改
善されており、特に非磁性中間層としてCr合金を用
い、合金成分含有量およびバイアス電圧を表面側ほど高
くしたものほど、改善が著しい。また、実施例のNo. 2
と比較例のNo. 12とから分かるように、バイアス電圧
を印加しない場合でも、X含有量を表面側ほど高くする
ことにより、磁気特性の向上が認められる。
【0027】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の金属薄膜型
磁気記録媒体の製造法は、非磁性基体の上に非磁性下地
層を成膜し、該下地層の上に強磁性Co合金からなる磁
性層とCr若しくはCr合金からなる非磁性中間層とを
交互に積層成膜して磁気記録層を形成し、前記非磁性中
間層の成膜時に負のバイアス電圧を表面側ほど高く印加
するので、表面側ほど非磁性中間層の結晶配向性が向上
し、その上に形成される磁性層のc軸の面内配向性ひい
ては表面側の磁性層の保磁力を向上させることができる
ため、磁気ヘッドから離れた基体側の磁性層に容易に新
しいパタンを書き込むことができ、オーバーライト特性
の向上並びに媒体として記録密度の向上を図ることがで
きる。この際、非磁性中間層をCr結晶粒界に偏析の生
じ易い成分を含有した所定のCr合金で形成することに
より、また表面側ほど該成分の含有量を増加することに
より、オーバーライト特性および記録密度のより一層の
向上を図ることができる。もっとも、非磁性中間層をC
rX合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素の内
から一種以上)により成膜し、表面側の非磁性中間層ほ
どXの総含有量を高める場合は、バイアス電圧の印加の
有無に係わらず、オーバーライト特性、記録密度の向上
を図ることができる。
磁気記録媒体の製造法は、非磁性基体の上に非磁性下地
層を成膜し、該下地層の上に強磁性Co合金からなる磁
性層とCr若しくはCr合金からなる非磁性中間層とを
交互に積層成膜して磁気記録層を形成し、前記非磁性中
間層の成膜時に負のバイアス電圧を表面側ほど高く印加
するので、表面側ほど非磁性中間層の結晶配向性が向上
し、その上に形成される磁性層のc軸の面内配向性ひい
ては表面側の磁性層の保磁力を向上させることができる
ため、磁気ヘッドから離れた基体側の磁性層に容易に新
しいパタンを書き込むことができ、オーバーライト特性
の向上並びに媒体として記録密度の向上を図ることがで
きる。この際、非磁性中間層をCr結晶粒界に偏析の生
じ易い成分を含有した所定のCr合金で形成することに
より、また表面側ほど該成分の含有量を増加することに
より、オーバーライト特性および記録密度のより一層の
向上を図ることができる。もっとも、非磁性中間層をC
rX合金(X:Si、P、Cu、Ge、希土類元素の内
から一種以上)により成膜し、表面側の非磁性中間層ほ
どXの総含有量を高める場合は、バイアス電圧の印加の
有無に係わらず、オーバーライト特性、記録密度の向上
を図ることができる。
【図1】実施例に係る金属薄膜型磁気記録媒体の要部断
面図である。
面図である。
3 基体 4 非磁性下地層 5、7、9 磁性層 6、8 非磁性中間層 11 保護層 10 磁気記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 500117842 993 Highland Circle, Los Altos,CA 94024,U. S.A. (72)発明者 楊 興波 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47 号 株式会社クボタ内 (56)参考文献 特開 平2−161617(JP,A) 特開 昭62−154217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/858
Claims (5)
- 【請求項1】 非磁性基体の上に非磁性下地層を成膜
し、該下地層の上に強磁性Co合金からなる磁性層とC
r若しくはCr合金からなる非磁性中間層とを交互に積
層成膜して磁気記録層を形成し、前記非磁性中間層の成
膜時に負のバイアス電圧を表面側ほど高く印加すること
を特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体の製造法。 - 【請求項2】 最基体側の非磁性中間層をCr層または
CrX層で形成し、それより表面側の非磁性中間層をC
rX層で形成し、前記XをSi、P、Cuの内から一種
以上選択し、総含有量を6原子%以下とする請求項1に
記載の金属薄膜型磁気記録媒体の製造法。 - 【請求項3】 最基体側の非磁性中間層をCr層または
CrY層で形成し、それより表面側の非磁性中間層をC
rY層で形成し、前記YをB、Cの内から一種以上選択
し、総含有量を5原子%以下とする請求項1に記載の金
属薄膜型磁気記録媒体の製造法。 - 【請求項4】 最基体側の非磁性中間層をCr層または
CrXY層で形成し、それより表面側の非磁性中間層を
CrXY層で形成し、前記XをSi、P、Cuの内から
一種以上選択し、前記YをB、Cの内から一種以上選択
し、Xの総含有量をx原子%、Yの総含有量をy原子%
としたとき、(x+5y/6)を6原子%以下とする請
求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体の製造法。 - 【請求項5】 表面側の非磁性中間層ほどX、Y成分の
総含有量を高くする請求項2、3又は4に記載の金属薄
膜型磁気記録媒体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10156493A JP3280463B2 (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | 金属薄膜型磁気記録媒体の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10156493A JP3280463B2 (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | 金属薄膜型磁気記録媒体の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06309666A JPH06309666A (ja) | 1994-11-04 |
JP3280463B2 true JP3280463B2 (ja) | 2002-05-13 |
Family
ID=14303913
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10156493A Expired - Fee Related JP3280463B2 (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | 金属薄膜型磁気記録媒体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3280463B2 (ja) |
-
1993
- 1993-04-27 JP JP10156493A patent/JP3280463B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06309666A (ja) | 1994-11-04 |
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