JP2000163732A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2000163732A
JP2000163732A JP10337111A JP33711198A JP2000163732A JP 2000163732 A JP2000163732 A JP 2000163732A JP 10337111 A JP10337111 A JP 10337111A JP 33711198 A JP33711198 A JP 33711198A JP 2000163732 A JP2000163732 A JP 2000163732A
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Hideo Ogiwara
英夫 荻原
Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低ノイズで、高密度記録が可能な磁気記録媒
体を得る。 【解決手段】 基板にバイアスを印加しながら下地層を
形成するか、あるいは基板上に少なくともNaCl構造
層/CsCl構造層/V金属層の積層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク等
に用いられる磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク(HDD)は、高速・高
密度記録・ランダムアクセス可能・ビットコストが安い
等の特徴を持ち、コンピューターの外部記憶装置とし
て、今後も、記録密度の向上が望まれている。
【0003】HDDに用いられる媒体には、これまでコ
バルトクロム(CoCr)系合金を主成分とする磁気記
録層が主に用いられてきた。CoCr系では、Cr濃度
を高め、CrをCoCr結晶の粒界に偏析させること
で、磁気的にCoCr磁性粒子を分離・孤立化し、高H
cおよび低ノイズを達成していると考えられる。
【0004】近年、高密度化に伴って、媒体S/Nmを
向上させるため、磁性層の微粒子化を進める結果、熱ゆ
らぎによる記録信号の劣化が問題視され始めている。こ
れは、磁性粒子の体積が小さくなると、磁化を反転させ
る活性化エネルギーが小さくなり、特に、大きな反磁界
が作用するような状態すなわち磁化遷移領域にある磁性
粒子の状態では、室温程度の熱エネルギーでも無視でき
なくなり、自然に、磁化が反転してしまうことがある。
【0005】このような問題に対処する方法の1つとし
て、磁気異方性が大きいコバルトプラチナ(CoPt)
系合金を主成分とする磁性層の採用があげられる。Co
とPtは、固溶体を形成するため、このままでは記録媒
体に適する微粒子化構造を形成することが難しいが、酸
素(O)や窒素(N)偏析または非磁性物質を利用し
て、結晶粒界を非磁性化し、記録媒体として適した構造
にする方法および媒体が知られている。
【0006】このような磁性層を用いた媒体では、面内
記録の特性を向上させる目的で、磁性層を形成する前
に、下地層を設けることができる。
【0007】例えばCoCr系磁性層を用いた媒体で
は、CrやCr合金層を下地層として用いることが知ら
れている。
【0008】また、例えばCoPtO系磁性層では、バ
ナジウム(V)を下地層として用いることが知られてい
る。V下地層を用いた場合、CoPtO層では、極薄膜
の特性が向上する。
【0009】V下地層等のbcc構造層は、六方晶最密
充填(HCP)構造を持ったCo系磁性層の磁化容易軸
であるC軸を面内配向させるために使用されるが、まだ
その効果は十分とはいえない。そこで、最近、この面内
配向をさらに向上するために、(110)配向の強いV
下地層の下に、TiN、TiC、MgO等のNaCl構
造層を設けて、(110)配向を(002)配向に変化
させることにより配向性の制御を行ない、Co系磁性層
のC軸を面内配向させることが試みられている。
【0010】しかしながら、このNaCl構造層は、V
下地層との格子状数の不整合が大きく、また、下地粒子
の粒界、さらには磁性粒子の粒界の分断には十分な効果
をあげることができない。
【0011】また、このNaCl構造層は、最密面が出
やすいので(111)配向が強い。MgO膜以外のNa
Cl構造層の場合には、(100)、(110)配向に
完全に制御することが困難であり、スパッタ法等の物理
蒸着法では(111)配向が混在してしまい、配向性制
御という点で不十分であった。また、コスト面でも劣っ
ていた。
【0012】以上のように、従来の技術では、Co系磁
性層のC軸の面内配向や、粒界の分断が不十分であるた
め、低ノイズで、高密度記録が可能な磁気記録媒体を実
現することが困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その第1の目的は、低ノイズで、
高密度記録が可能な磁気記録媒体の製造方法を提供する
ことにある。
【0014】また、本発明の第2の目的は、低ノイズ
で、高密度記録が可能な磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1に、非磁
性基板上に少なくとも1層以上の下地層を形成した後、
磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、該
基板にバイアスを印加しながら、該下地層または該多層
下地層の第1の層を形成する工程、該第1の層の上に磁
性層または多層下地層の他の一部を構成する第2の層を
形成する工程を具備することを特徴とする磁気記録媒体
の製造方法を提供する。
【0016】本発明は、第2に、非磁性基板、該非磁性
基板上に設けられたNaCl構造層、該NaCl構造層
上に設けられたCsCl構造層、該CsCl構造膜上に
設けられたバナジウムあるいはバナジウムを主成分とす
る金属層、及び該金属層上に設けられた磁性層を含むこ
とを特徴とする磁気記録媒体を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、低ノイズで、高密
度記録が可能な磁気記録媒体を得るために鋭意研究を行
なった結果、本発明をなすに至った。
【0018】本発明は、第1及び第2の観点に大別され
る。
【0019】まず、本発明の第1の観点について説明す
る。
【0020】第1の観点にかかる発明は、基板上に下地
層を形成する際にバイアスを印加する工程、少なくとも
この下地層上にさらに他の層を形成を有することを特徴
とする磁気記録媒体の製造方法であって、下地層が多層
からなる場合には、基板にバイアスを印加しながら第1
の下地層を形成する工程、及び第1の下地層上に第2の
下地層を形成する工程を含み、あるいは、下地層が単層
である場合には、基板にバイアスを印加しながら下地層
を形成する工程、及び下地層の上に磁性層を形成する工
程を含む。
【0021】本発明の方法により得られる磁気記録媒体
の例を図面を参照して説明する。
【0022】図1は、下地層が単層である場合の磁気記
録媒体の一例を表す図を示す。
【0023】図示するように、この磁気記録媒体30
は、基板1上に、基板にバイアスを印加して形成された
下地層8、磁性層5、保護層6及び潤滑層7が順に形成
された構造を有する。
【0024】図2は、下地層が多層からなる場合の磁気
記録媒体の一例を表す図を示す。
【0025】図示するように、この磁気記録媒体40
は、基板1上に、基板にバイアスを印加して形成された
第1の下地層9、第2の下地層10、磁性層5、保護層
6及び潤滑層7が順に形成された構造を有する。
【0026】第1の観点にかかる発明によれば、第1の
層にバイアスを印加しながら第2の層を形成することに
より、第2の層の配向性の制御が可能となり、また、印
加する投入する電圧により、その構造の制御も可能とな
る。このため、磁性層の面内配向が良好となり、低ノイ
ズで高密度記録が可能な磁気記録媒体が、複雑な設備を
使用することなく、低コストで容易に得られる。
【0027】下地層が多層の場合、第1の下地層は、N
aCl型結晶構造を有することが好ましい。
【0028】第2の下地層としては、バナジウム、クロ
ム及びそれらの合金を主成分とすることが好ましい。
【0029】また、印加するバイアスとしては、DCバ
イアス、RFバイアスのいずれも使用し得る。
【0030】なお、基板がガラス等の絶縁物からなる場
合には、下地層と基板の間、もしくは基板の側面に導電
性膜を設けることによって、バイアスを印加することが
できる。導電性膜は、外部からバイアスが印加できるよ
うに少なくとも基板のエッジ部分に必要であり、下地層
の下の基板全面にあることが好ましい。
【0031】本発明に用いられる下地層、磁性膜を基板
面に供給する手段としては、スパッタ法、真空蒸着法、
ガス中スパッタ法、ガスフロースパッタ法等の物理蒸着
法を用いることができる。
【0032】磁性体としては、少なくともCo、Fe、
Niから選択された少なくとも一種の元素を含有する強
磁性体材料、例えば、CoPtCr、CotaCr、C
oTaPt、CoNiTa、及びCoPt等が用いられ
る。
【0033】また、NaCl構造を有する下地膜として
は、TiN、TiC、TiO、MgO、VN、VC、Z
rC、ZrO2 等が用いられる。
【0034】本発明では、例えば基板にバイアスを印加
しながら、基板上に、NaCl構造を有する第1の下地
層を形成した後、バナジウム、クロム及びそれらの合金
を主成分とする第2の下地層を成膜し、その投入電圧の
変化によって下地膜の配向性を制御することができる。
【0035】このNaCl構造の下地膜が(100)配
向になると、直上下地であるバナジウム等の下地膜が
(100)配向になり、その上のCo合金系磁性膜が
(110)配向を示す。
【0036】また、このNaCl構造の下地膜が、(1
10)配向を示すと、バナジウム等の下地膜が(21
1)乃至は(100)配向し、磁性膜は(100)配向
を示す。
【0037】次に、本発明の第2の観点について説明す
る。
【0038】第2の観点にかかる発明は、非磁性基板上
に、多層の下地層と、磁性層とが形成された構造を有
し、この下地層は、少なくともNaCl構造層、CsC
l構造層、及びVを主成分とする金属層の積層を含む磁
気記録媒体を提供する。
【0039】第2の観点にかかる発明によれば、Vある
いはVを主成分とする金属層の下に粒子分断制御膜とし
てCsCl構造層を設け、その下に配向制御膜としてN
aCl構造層を設けることにより、Vを主成分とする金
属層の配向性及び粒子分断を制御し、その上に形成され
る磁性層のC軸の面内配向、及びその粒子の微細化、分
断化を向上し得る。
【0040】NaCl構造層及び磁性層としては、第1
の観点にかかる発明に使用される材料と同様の材料を使
用することができる。
【0041】CsCl構造層は、NiAl、FeAl、
CsBr、CuPd、CsCl、CuZn、AgMg、
及びBeCuからなる群から選択される少なくとも1種
の金属材料を含むことが好ましい。
【0042】また、これらNaCl構造層、CsCl構
造層及び磁性層の形成方法としては、スパッタ法、真空
蒸着法、ガス中スパッタ法、ガスフロースパッタ法等の
物理蒸着法を用いることができる。
【0043】CsCl構造層は、上述の金属材料単体か
らなる層でも、例えばSiO2 等の母材中に分散された
グラニュラ構造からなる層のいずれでも良い。グラニュ
ラ構造の場合には、さらに粒子の分断が促進、低ノイズ
化が可能となる。
【0044】また、下地層は、必要に応じて上記NaC
l構造層の下に設け、4層以上にすることができる。
【0045】この発明では、Co系磁性膜の下地膜とし
て、V単体、あるいはVを主成分とした合金下地を用
い、その下地層の下に例えばNiAlからなるCsCl
構造層、さらにその下に例えばMgOからなるNaCl
構造層を配した構造を持つ磁気記録媒体では、MgO膜
が配向性制御膜、NiAl膜が粒子分断制御膜の役割を
果たすために、配向性が向上し、磁性粒子の分断も良好
で低ノイズの媒体ができる。
【0046】hcp−Co磁性層を面内配向させるに
は、hcp−Co磁性層を(110)または(100)
配向させる必要がある。そのために、V下地で配向制御
を行い、VをV(002)あるいはV(211)配向に
することが望ましい。V下地のみでは、配向制御が不十
分なので、さらに他の下地層が必要となる。
【0047】通常、NaCl構造膜はhcp−Co磁性
層の配向制御に使われる。しかし、配向制御には有効で
あるが、その上の下地の粒子分断に関しては不十分なの
で、第2の観点にかかる発明では、粒子の分断制御にC
sCl構造膜を、下地層と他の下地層の間に挿入する。
このとき、CsCl構造膜の配向性も制御する必要があ
るために、第2の観点にかかる発明では、CsCl構造
膜はNaCl構造膜の上に適用される。本発明では、N
aCl構造膜は、(002)あるいは(110)配向
が、CsCl構造膜は、(002)あるいは(211)
配向で使用されることが望ましい。
【0048】なお、本発明によれば、第1の観点にかか
る製造方法を第2の観点にかかる磁気記録媒体を製造す
るために適用することができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。
【0050】まず、本発明の第1の観点にかかる実施例
を示す。
【0051】実施例1 2.5インチガラス基板を用意し、NaCl構造を有す
る下地層としてTiNターゲット、その直上の下地膜と
してVターゲット、磁性薄膜としてCoPt20Cr10
金ターゲットを使用して、マグネトロンスパッタ法でグ
ラニュラー膜の成膜を行った。
【0052】まず、Arガス雰囲気中で、ガラス基板上
に導電性膜として、バナジウムを50nm成膜した。基
板押えの影の影響を考慮し、Vが基板ホルダーと十分接
するように、基板を時計方向に90度回転させた。その
上に、基板バイアスDC400Vを印加して、DC20
00WでTiNを50nm成膜し、その後、バナジウム
下地膜10nm成膜し、Arガスに酸素を微量添加した
混合ガス雰囲気中で、磁性膜を15nm成膜し、さら
に、保護膜、潤滑層を形成して、ディスクAを得た。
【0053】得られたディスクAについて、VSMによ
り磁気特性を測定した。その結果を下記表1に示す。ま
た、X線回折装置により配向性を測定した。
【0054】実施例2 基板に印加するバイアスをRF400Wに変更した以外
は、実施例1と同様にして、ディスクBを得た。ディス
クBについて実施例1と同様の測定を行なった。その結
果を下記表1に示す。
【0055】実施例3 基板に、DCバイアス400Vを印加して、RF200
0WでTiNを50nm成膜し以外は、実施例1と同様
にしてディスクCを得た。ディスクCについて実施例1
と同様の測定を行なった。その結果を下記表1に示す。
【0056】実施例4 NaCl構造を示す下地層をMgOに変更した以外は、
実施例3と同様にしてディスクDを得た。ディスクDに
ついて実施例1と同様の測定を行なった。その結果を下
記表1に示す。
【0057】比較例1〜2 基板にバイアスを印加せずに、各々DC2000W、R
F2000Wで、TiNを50nm成膜した以外は、実
施例1と同様にしてディスクE、Fを得た。ディスク
E、Fについて、実施例1と同様の測定を行なった。そ
の結果を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】各測定結果について以下に述べる。
【0060】磁気特性 表1に示すように、磁気特性に関して、ディスクEのD
Cスパッタのみの場合、HcもS* も低くあまり特性は
良くないが、バイアスを印加する(ディスクA、B)こ
とでHcは増加している。この場合、S* に関しては、
RFバイアスでは、配向の分散が大きいため、S* があ
まり向上していないと思われる。RFスパッタの場合、
RFバイアスを印加した以外(バイアスなし、DCバイ
アス)は、ディスクB同様、配向の分散が大きいためS
* の向上が小さい。ディスクA,Dに関しては、配向性
の制御ができており、HcもS*もどちらも向上してい
る。以上のように、Nacl型結晶構造の下地膜に基板
バイアスを印加することで、下地膜、磁性膜の配向性を
制御、適正化することが可能である。
【0061】X線回折 X線回折測定を行ったところ、ディスクEにおいて、T
iNは(111)配向しか見られず、他にはV(11
0)、CoPt(101)配向が得られた。ディスクA
のように、基板にDCバイアスを印加した場合は、Ti
N(111)配向がほとんど見られず、(100)配向
のみが得られており、さらにV(100)、CoPt
(100)のピークが得られ、CoPtが面内に配向し
ていることが分かった。ディスクBのように、RFバイ
アスを印加した場合には、TiNの(100)ピークが
出ていたが、(111)ピークも同程度出ており、配向
が不十分であることがわかった。
【0062】投入パワーをRFにした場合は、ディスク
Fのようにバイアスの無い場合、ディスクCのようにD
Cバイアスを印加した場合では、ディスクBと同様に、
TiNあるいはMgOの(100)、(110)、(1
11)の全てのピークが得られており、配向は不十分で
あった。ただし、バイアスを印加した方が(110)の
ピークが大きくでてはいるが、ディスクDのように、R
Fバイアスを印加した場合では、ディスクAと同様にM
gO(111)は見られず、MgO(110)、V(1
00)、CoPt(100)が得られた。この結果から
も、投入パワーとバイアスの組合せで配向性の制御がで
きることがわかった。
【0063】ノイズ特性 次に、これらのディスクA〜Fのノイズ特性を調べた。
測定には、再生ギャップ長0.12μm、再生トラック
幅1μm、記録ギャップ長0.3μm、記録トラック幅
3μmのGMRヘッドを用いて、浮上量40nmでスピ
ンスタンドを使用して測定を行った。記録密度240k
fciで記録したときの規格化媒体ノイズNm/S0を
比較したとき、ディスクA、Dは、約0.020μm
1/2 μVrms/μVpp程度と小さな値を示したのに
対し、それ以上のディスクは、0.023〜5μm1/2
μVrms/μVppとやや大きな値を示した。オーバ
ーライト特性では、ディスクC、E、Fが30dBとや
や低い値を示したが、残りのディスクは40dB以上あ
り、十分な値が得られていた。PW50は、ディスク
A、B、Dが、24nsec、それ以外のディスクが2
6nsecと配向性が低いためやや大きくなっていると
考えられる。
【0064】以上のように、本発明の第1の観点によれ
ば、基板にバイアスを印加して、下地層を形成すること
により、下地層の配向制御を行うことにより、配向性の
向上した低ノイズの媒体を作製することが可能である。
【0065】次に、本発明の第2の観点にかかる実施例
を示す。
【0066】実施例5 2.5インチガラス基板を用意し、NaCl構造を有す
る下地層としてTiNターゲット、CsCl構造を有す
る下地層としてNiAlターゲット、下地膜としてVタ
ーゲット、磁性薄膜としてCoPt20Cr10合金ターゲ
ットを使用して、マグネトロンスパッタ法で成膜を行っ
た。
【0067】まず、Arガス雰囲気中で、ガラス基板上
に、NaCl構造層としてTiNをRF2000Wで4
0nm、次にCsCl構造層としてNiAlをDC20
00Wで20nm、V下地をDC2000Wで40nm
成膜し、さらに、Arガスに酸素を微量添加した混合ガ
ス中雰囲気中で、磁性層を15nm成膜し、さらに、保
護膜、潤滑層を形成して、ディスクGを得た。得られた
ディスクの構成を表す図を図3に示す。図示するよう
に、このディスクGは、基板1上に、NaCl構造層
2、CsCl構造層3、V下地層4、磁性層5、保護膜
6、及び潤滑層7が順に積層された構成を有する。
【0068】得られたディスクGについて、VSMによ
り磁気特性を調べた。その結果を下記表2に示す。また
配向性を調べるためにX線回折装置を使用した。
【0069】実施例6 CsCl構造膜をSiO2 とNiAlとのグラニュラ構
造にし、得られた膜が体積比NiAl:SiO2 =5
0:50になるように調整したNiAlとSiO 2 のコ
ンポジットターゲットを用い、RF1000Wで10n
m成膜した以外は、実施例1と同様にしてディスクHを
得た。
【0070】得られたディスクHについて、実施例1と
同様にして磁気特性を調べた。その結果を下記表2に示
す。また同様にして配向性を調べた。
【0071】比較例1〜2 CsCl構造膜を成膜しない以外は、実施例1と同様に
してディスクIを得た。また、NaCl構造膜を成膜し
ない以外は、実施例1と同様にしてディスクJを得た。
【0072】得られたディスクI,Jについて、実施例
1と同様にして磁気特性を調べた。その結果を下記表2
に示す。また同様にして配向性を調べた。
【0073】
【表2】
【0074】各測定結果について以下に述べる。
【0075】X線回折 まず、X線回折測定を行ったところ、ディスクG、Hで
は、CoPt(110)、V(200)、NiAl(2
00)、MgO(001)のピークが強く現れた。ディ
スクIでは、CoPt(110)、V(200)、MgO
(001)、ディスクJでは、CoPt(100)Co
Pt(101)、V(211)、V(110)、NiA
l(110)が得られた。ディスクG〜Iでは、MgO
膜によって配向制御が行われ、CoPtのc軸が完全に
面内配向をしていることがわかるが、ディスクJではM
gO膜が無いために、配向が不十分で、CoPtの斜め
の成分(101)が見られる。以上から、NaCl膜の
配向制御層としての役割が有効であることが分かる。
【0076】磁気特性 表2に示すように保磁力Hcに関しては、どのディスク
もほとんど大きな差が見られないが、保磁力角型比S*
が、MgOの配向制御膜が無いディスクJが他のディス
クの0.8程度と比較して、0.67と低い値を示して
いる。このことからも配向性が制御できていることがわ
かる。また、活性化磁気モーメントvIsbは、MgO
により粒子分断制御層としてのNiAlが無いディスク
Iが他のディスクと比較して、やや大きな0.11とい
う値を示しており、V下地の粒子が分断されていないた
め、vIsbが大きくなってしまったのではないかと考
えられ、その他はCaCl構造膜の効果が得られている
と思われる。
【0077】ノイズ特性 最後に、これらのディスクG〜Jのノイズ特性を調べ
た。測定には、再生ギャップ長0.12μm、再生トラ
ック幅1μm、記録ギャップ長0.3μm、記録トラッ
ク幅3μmのGMRヘッドを用いて、浮上量40nmで
スピンスタンドを使用して測定を行った。記録密度24
0kfciで記録したときの規格化媒体ノイズNm/S
0を比較したとき、ディスクG、H、Jは、約0.01
5μm1/2μVrms/μVpp程度と小さな値を示し
たのに対し、ディスクIは、0.024 μm1/2 μV
rms/μVppとやや大きな値を示した。これは、粒
子分断制御層NiAlの効果で粒間の分断が十分行われ
ているため、交換相互作用が小さくなり、ノイズが減少
したと考えられる。オーバーライト特性では、ディスク
Jが30dBとやや低い値を示したが、残りのディスク
は45dB以上あり、十分な値が得られていた。PW5
0は、ディスクG〜Iが、24nsec、ディスクJが
26nsecであり、配向性が低いため、ディスクJが
やや大きくなっていると考えられる。以上のように、本
発明の第2の観点によれば、NaCl構造膜で配向制御
を行い。CsCl構造膜で粒子の分断を制御すること
で、配向性の向上した低ノイズの媒体を作製することが
可能である。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、低ノイズで、高密度記
録が可能な磁気記録媒体が得られる。また、本発明の方
法を用いると、低ノイズで、高密度記録が可能な磁気記
録媒体が、低コストで容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の観点にかかる方法により得ら
れる磁気記録媒体の一例の構成を表す該略図
【図2】 本発明の第1の観点にかかる方法により得ら
れる磁気記録媒体の他の一例の構成を表す該略図
【図3】 本発明の第2の観点にかかる磁気記録媒体の
一例の構成を表す該略図
【符号の説明】
1…基板 2…NaCl構造層 3…CsCl構造層 4…V下地層 5…磁性層 6…保護層 7…潤滑層 8…下地層 9…第1の下地層 10…第2の下地層 20,30,40…磁気記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D006 BB02 CA01 CA05 CA06 DA03 FA09 5D112 AA03 AA05 AA11 AA24 BB05 BD03 BD04 FA04 FB14 FB26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に少なくとも1層以上の下
    地層を形成した後、磁性層を形成する磁気記録媒体の製
    造方法において、該基板にバイアスを印加しながら、該
    下地層または該多層下地層の第1の層を形成する工程、
    該第1の層の上に磁性層または多層下地層の他の一部を
    構成する第2の層を形成する工程を具備することを特徴
    とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の層は、NaCl型結晶構造を
    有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記下地層の磁性層の直下の層は、バナ
    ジウム、クロム及びそれらの合金を主成分とすることを
    特徴する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 非磁性基板、該非磁性基板上に設けられ
    たNaCl構造層、該NaCl構造層上に設けられたC
    sCl構造層、該CsCl構造膜上に設けられたバナジ
    ウムあるいはバナジウムを主成分とする金属層、及び該
    金属層上に設けられた磁性層を含むことを特徴とする磁
    気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記CsCl構造層は、NiAl、Fe
    Al、CsBr、CuPd、CsCl、CuZn、Ag
    Mg、及びBeCuからなる群から選択される少なくと
    も1種の金属材料を含むことを特徴とする請求項4に記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記NaCl構造層は、TiN、Ti
    C、TiO、MgO、VN、VC、ZrC、ZrN、Z
    rO2 及びTaCからなる群から選択される少なくも1
    種の金属材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の
    磁気記録媒体。
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