JP2802017B2 - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JP2802017B2
JP2802017B2 JP10156793A JP10156793A JP2802017B2 JP 2802017 B2 JP2802017 B2 JP 2802017B2 JP 10156793 A JP10156793 A JP 10156793A JP 10156793 A JP10156793 A JP 10156793A JP 2802017 B2 JP2802017 B2 JP 2802017B2
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善信 奥村
興波 楊
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク等の磁気記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度記録化に伴
って、CoNiCr、CoCrTa等の一軸結晶磁気異
方性を有するCo合金からなる磁性層を非磁性基板上に
Cr下地層を介して成膜した金属薄膜型磁気記録媒体が
用いられている。従来、非磁性基板として、A1合金板
上に非晶質Ni−Pメッキ層が形成され、その表面にテ
キスチャーと呼ばれる微細凹凸が円周方向に沿って機械
的に加工されたものが使用されていた。機械的テキスチ
ャーは、ヘッド・媒体間の摩擦を軽減し、CSS(コン
スタント・スタート・ストップ)特性を向上させると共
に、その表面側に形成されるCo合金磁性層の周方向の
磁気的異方性を向上させ、保磁力を向上させる作用を有
する。一方、Cr下地層は、該下地層を構成するCrの
結晶構造が、その上に成膜されるCo合金磁性層の磁気
異方性を示す結晶軸を面内配向させるように作用し、保
磁力を向上させる作用を有する。
【0003】最近、ハードディスク装置の小型化と大容
量化に拍車がかかり、それに応じた磁気記録媒体の開発
が求められている。磁気記録媒体の高密度記録化が進む
と、記録ビットサイズが更に小さくなるために、磁気ヘ
ッドの浮上量をできるだけ下げて読み出し出力を上げな
ければならない。そのためには磁性層が成膜される非磁
性基板の平滑化を促進して、ヘッドの低浮上化を図る必
要がある。
【0004】このため、非磁性基板として、前記Al合
金/Ni−Pメッキ基板に代わってガラス基板が採用さ
れ、機械的加工による方向性のあるテキスチャーから化
学的腐食による無方向(等方向)性のテキスチャーが形
成されるようになった。機械的加工により形成したテキ
スチャーには微小なバリ状突起が形成され易く、これが
ヘッドの低浮上化を困難にしていたからである。
【0005】しかし、化学的腐食による無方向性のテキ
スチャーでは、形状効果による磁気的異方性の向上が期
待できないため、磁気記録媒体の高保磁力化に限界があ
った。この問題については、特開平3−23513号公
報に開示されているCoSm合金を用いて磁性層を形成
することにより、無方向性のテキスチャーであっても、
また低温スパッタリングによっても、従来のCo合金磁
性層と同程度以上の保磁力が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CoS
m合金を用いて磁性層を形成した場合、高保磁力を発現
させるには、Smをある程度以上含有させなければなら
ない。ところが、飽和磁化MsはSmの含有量が多くな
るほど低下する。このため、磁性層の再生出力の目安で
あるMr・t(Mr:残留磁化、t:層厚)が一定条件
の下では、tを大きくしなければならず、その結果リー
ド/ライト特性(R/W特性)が低下するという問題が
あった。
【0007】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、高Msおよび高保磁力を兼備した、Smを含有する
Co合金磁性層を備えた金属薄膜型磁気記録媒体を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性基板の上に非磁性下地層、Co合金磁性層を
備えた磁気記録層が同順序で積層成膜された金属薄膜型
磁気記録媒体において、前記磁性層は、原子%(以下、
単に「%」と記す。)で、Fe:12%以下、Sm:7
〜25%を含有し、残部がCoからなるCo合金で形成
されている。
【0009】
【作用】本発明にかかる磁性層を形成するCo合金には
Smの他に所定量のFeを含有するので、保磁力を向上
させるためにSm含有量を増加しても、保磁力を低下さ
せることなく、Msの低下を抑制し、むしろ向上させる
ことができる。この際、Fe含有量が12%を越えると
保磁力が低下するようになる。一方、Sm含有量が7%
未満では高保磁力が得難く、25%を越えても高保磁力
が得難くなる。尚、Feがかかる作用を奏する理由につ
いてはよく分かっていない。
【0010】尚、磁性層をCoCr系合金で成膜した場
合、CoをFeで置換することにより、Feの方がCo
よりも磁気モーメントが大きいため、Msが向上する。
しかし、数%の置換で保磁力が減少するようになるた
め、高保磁力が期待できない。
【0011】
【実施例】図1は実施例に係る磁気記録媒体の要部断面
図を示しており、非磁性の基板1の上に、非磁性下地層
2が成膜されており、その上にCoFeSm合金磁性層
からなる磁気記録層3が成膜され、更にその上に非磁性
保護層4がスパッタリングにより積層成膜されている。
【0012】前記基板1としては、Al合金/Ni−P
メッキ基板やチタン等の金属基板、ガラス,セラミック
ス,カーボン,ポリマーなどの非金属基板が使用され
る。基板1の上に形成される非磁性下地層2は、Crや
Crと同様の結晶構造を有するCr合金、例えばCrC
u合金(Cu含有量15%以下)で形成され、該下地層
2の上に形成されるCo合金磁性層の面内方向の結晶磁
気異方性を向上させる。層厚は、通常、500〜200
0Å程度とされる。
【0013】前記磁気記録層3は、既述の通り、Msの
低下を抑制し、高保磁力が得られるCoFeSm合金に
より成膜される。尚、磁気記録層は所定のCoFeSm
合金磁性層を図例のように単層として形成したものに限
らず、CoFeSm合金磁性層と、Crや下地層を形成
する前記Cr合金からなる非磁性中間層とを交互に積層
形成したものでもよい。磁気記録層3の層厚(CoFe
Sm合金単層ならその層厚、複層ならCoFeSm合金
層の合計厚)は通常200〜800Å程度とされる。
【0014】前記磁気記録層3の上にはカーボン、Si
2 、又はCr/SiO2 等からなる非磁性保護層4が
200〜400Å程度形成されており、更にその上にフ
ッ素化ポリエーテル等の液体潤滑剤を20〜50Å程度
(単分子厚程度)塗布してもよい。尚、前記保護層4や
潤滑層は必要に応じて形成すればよい。非磁性下地層、
磁気記録層、非磁性保護層は、通常、スパッタリングに
より成膜される。スパッタリング条件は、通常、Arガ
ス分圧が10〜50mTorr、基板温度が室温〜10
0℃程度とされる。
【0015】次に具体的実施例を掲げる。 (1) RF3元スパッタリング装置を用いて、化学的腐食
により無方向性のテキスチャーを施したガラス基板の上
にCr下地層を1000Å、表1のCoSm合金磁性層
(従来例)あるいはCoFeSm合金磁性層(実施例、
比較例)からなる磁気記録層を500Å、さらにその上
にSiO2 保護層を200Å積層成膜した。成膜時の基
板温度は室温のままとし、成膜時のArガス分圧および
高周波電力は、下地層成膜時15mTorrで200
W、磁性層成膜時35mTorrで160W、保護層成
膜時15mTorrで200Wとした。
【0016】
【表1】
【0017】(2) 得られた実施例、従来例、比較例の磁
気記録媒体を用いて、外部磁場10kOeの下で、媒体
の磁気特性をVSMを用いて測定した。その結果を表1
に併せて示す。表1より、実施例では保磁力、Msとも
高い値を示している。一方、Feを含有しない従来例の
No. 4は同Sm含有量のNo. 1と比較して、高保磁力で
はあるが、Msが720emu/ccとMsの低下が著
しい。また、Fe含有量が本発明範囲外の比較例のNo.
5は同Sm含有量の実施例のNo. 1と比較して、Msが
優れるものの、保磁力の低下が著しい。 (3) 次に、種々のFe含有量(但し、最少のFe含有量
0.1%)のCoFeSm合金磁性層を有する実施例の
磁気記録媒体を成膜して、Fe含有量が保磁力およびM
sに与える影響を調べた。但し、CoFeSm合金磁性
層のSm含有量は18%とした。その他の成膜条件、保
磁力測定条件は(1) 、(2) と同様である。その結果を図
2に示す。図2より、Feの含有量が12%までは保磁
力(白角で表示)の低下が認められないが、この値を越
えると急速に低下する。一方、Ms(黒丸で表示)はF
e含有量の増加に応じて漸次増加することが分かる。
【0018】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の金属薄膜型
磁気記録媒体は、磁性層を特定組成のCoFeSm合金
で成膜するので、高保磁力と高Msとを兼備させること
ができ、ひいてはR/W特性を損なうことなく、記録密
度の高度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の要部断面図
である。
【図2】CoFeSm磁性層を備えた磁気記録媒体にお
けるFe含有量と保磁力Hc、残留磁化Msとの関係を
示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 基板 2 非磁性下地層 3 磁気記録層 4 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 10/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板の上に非磁性下地層、Co合
    金磁性層を備えた磁気記録層が同順序で積層成膜された
    金属薄膜型磁気記録媒体において、 前記磁性層は、原子%で、Fe:12%以下、Sm:7
    〜25%を含有し、残部がCoからなるCo合金で形成
    されていることを特徴とする金属薄膜型磁気記録媒体。
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