JP3280227B2 - プラズマ溶融炉及び被溶融物の溶融方法 - Google Patents

プラズマ溶融炉及び被溶融物の溶融方法

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JP3280227B2 JP06625596A JP6625596A JP3280227B2 JP 3280227 B2 JP3280227 B2 JP 3280227B2 JP 06625596 A JP06625596 A JP 06625596A JP 6625596 A JP6625596 A JP 6625596A JP 3280227 B2 JP3280227 B2 JP 3280227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は産業廃棄物やごみ焼
却炉からの焼却残渣、飛灰等の溶融処理技術に関するも
のであり、溶融炉本体から溢流せしめた溶融スラグ内の
不完全溶融物をほぼ皆無にすることにより、高品質で且
つ均一な品質の水砕スラグ及び徐冷コンベヤを用いた空
冷スラグが得られるようにしたプラズマ溶融炉と、これ
を用いた被溶融物の溶融方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ごみ等の焼却炉から排出され
る焼却残渣や飛灰の減容化及び無害化を図るため、焼却
残渣等の溶融固化処理法が注目され、現実に実用に供さ
れている。焼却残渣等は溶融固化することにより、その
容積を1/2〜1/3に減らすことができると共に、重
金属等の有害物質の溶出防止や溶融スラグの再利用、最
終埋立処分場の延命等が可能になるからである。
【0003】而して、前記焼却残渣等の被溶融物を溶融
固化処理方法には、アーク溶融炉やプラズマアーク炉、
電気抵抗炉等を使用し、電気エネルギーによって被溶融
物を溶融固化する方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コ
ークスベッド炉等を使用し、燃料の燃焼エネルギーによ
って被溶融物を溶融固化する方法とが多く利用されてお
り、都市ごみ焼却設備に発電設備が併置されている場合
には、前者の電気エネルギーを用いる方法が、また発電
設備が併置されていない場合には、後者の燃焼エネルギ
ーを用いる方法が夫々多く採用されている。
【0004】図3は従前のごみ焼却処理設備に併置した
直流アーク放電黒鉛電極式プラズマ溶融炉の一例を示す
ものであり、図に於いて1は被溶融物である灰のコンテ
ナ、2は被溶融物の供給装置、3は溶融炉本体、4は黒
鉛主電極、5は黒鉛スタート電極、6は炉底電極、7は
炉底冷却ファン、8は直流電源装置、9は窒素ガス等の
不活性ガス供給装置、10は溶融スラグ流出口、11は
タップホール、12は燃焼室、13は燃焼空気ファン、
14は排ガス冷却ファン、15はバグフィルタ、16は
誘引通風機、17は煙突、18は溶融飛灰コンベア、1
9は飛灰だめ、20はスラグ水冷槽、21はスラグ搬出
コンベア、22はスラグだめ、23はスラグ冷却水冷却
装置である。
【0005】焼却残渣や飛灰等の被溶融物Aはコンテナ
1に貯えられ、供給装置2により溶融炉本体3内へ連続
的に供給される。溶融炉本体3には、炉頂部より垂直に
挿入され、その先端と被溶融物Aとの間に一定の距離を
設けた黒鉛主電極4(−極)と、炉底に設置された炉底
電極6(+極)とが設けられており、両電極4、6間に
印加された直流電源装置8(容量約600〜1000K
W/T・被溶融物)の直流電圧(200〜350V)に
よりプラズマアーク電流(1000A〜1400A)が
流れ、これによって被溶融物Aが1400℃〜1800
℃に加熱されることにより順次溶融スラグBとなる。
【0006】尚、溶融前の被溶融物Aは導電性が低いた
め、溶融炉の始動時にはスタート電極5を溶融炉本体3
内へ挿入してこれを+極とし、これと主電極4間へ通電
することにより被溶融物Aが溶融するのを持つ。そし
て、被溶融物が溶融をするとその導電性が上昇するた
め、スタート電極5を炉底電極6へ切り換える。
【0007】一方、前記溶融炉本体3の内部は、溶融ス
ラグBや主電極4等の酸化を防止するために還元性雰囲
気に保持されており、そのために、PSA窒素製造装置
等の不活性ガス供給装置9から不活性ガス(窒素ガス)
Cが、中空筒状に形成した主電極4及びスタート電極5
の中空孔を通して、溶融炉本体3内へ連続的に供給され
ている。尚、不活性ガスCを主電極4やスタート電極5
の中空孔を通して炉本体内へ供給する構成とするのは、
プラズマ放電領域を濃厚な不活性ガスCにより充満さ
せた方が、プラズマアークの発生や安定性等の所謂プラ
ズマ放電性が良好になると考えられること、及び黒鉛
主電極4や黒鉛スタート電極5の消耗がより少なくなる
と考えられること、等の理由によるものである。
【0008】また、前記溶融炉本体3の炉底は、炉底冷
却ファン7からの冷風により空冷され、これによって炉
底電極6近傍の過度な温度上昇が防止されている。更
に、溶融炉本体3そのものは約1800℃の高温に耐え
る耐火材及びそれを覆う断熱材等により構成されてお
り、必要に応じて断熱材の外部に水冷ジャケット(図示
省略)が設けられている。
【0009】前記被溶融物Aの溶融によって、その内部
に存在した揮発成分や炭素の酸化により起生した一酸化
炭素等はガス体Dとなると共に、鉄等の金属類やガラ
ス、砂等の不燃性成分は溶融状態となり、所謂溶融スラ
グBが順次形成されて行く。また、前記ガス体Dは溶融
スラグ流出口10の上部より燃焼室12に入り、ここで
燃焼空気ファン13により送入された燃焼用空気が加え
られることにより、内部の未燃分が完全に燃焼されると
共に、その燃焼熱によって溢流する溶融スラグBが加熱
され、スラグ水冷槽20に入るまでの間に冷却・固化し
て流路をふさぐことが防止される。更に、完全燃焼した
ガス体Dは排ガス冷却ファン14からの冷空気によって
冷却され、バグフィルタ15を経て誘引通風機16によ
り煙突17へ排出される。そして、バグフィルタ15で
捕捉された溶融飛灰Eは、溶融飛灰コンベア18により
飛灰だめ19へ送られる。
【0010】一方、炉本体3内に形成された溶融スラグ
Bは溶融スラグ流出口10より連続的に溢出し、水を満
したスラグ水冷槽20内へ落下することにより水砕スラ
グとなり、スラグ搬出コンベア21によってスラグだめ
22へ排出される。また、溶融炉を停止する際には、炉
本体3内の溶融スラグBが冷却、固化してしまうのを防
止するため、溶融スラグBの底部レベルに取付けられた
タップホール11より湯抜きを行い、炉本体3内は空状
態にされる。
【0011】而して、前記溶融炉本体3内へ供給された
被溶融物Aは、プラズマアーク放電による発生熱を供給
されることによりその溶融点(1200〜1250℃)
を越える約1400〜1800℃の高温度にまで加熱さ
れ、流動性を有する液体状の溶融スラグBとなる。尚、
当該溶融スラグBの溶融炉本体3内に於ける挙動は極め
て複雑なものであって、実稼動溶融炉の炉内観察によれ
ば、スラグ表層の流れは図4に示すようなほぼ渦流Fの
如き流れとなっている。また、前記溶融スラグBの渦流
Fは、現実には整然とした渦流ではなくて複雑な乱れを
生じており、しかもこの渦流Fの状況は溶融液面から深
くなるにつれて一様ではないものと推察されている。更
に、溶融炉本体3内の溶融スラグBは垂直方向へも対流
をしており、高温スラグは上昇流の形で、低温スラグは
下降流の形で夫々流動しているものと推察される。
【0012】ところで溶融炉本体3内で被溶融物Bを効
率よくしかも未溶融物若しくは不完全溶融物が残らない
ように均一に溶融させるためには、溶融炉本体1内の
温度分布がほぼ均一であって、被溶融物Bがほぼ均等に
加熱溶融されること、溶融炉本体3内の各部分から溶
融スラグBが均等に溶融スラグ流出口10へ向って流動
すること、及び被溶融物Aの外形寸法や組成、空隙率
等がほぼ均一であって、溶融スラグBと一緒になって垂
直方向にも均等に対流することができること、等が重要
な要件となってくる。
【0013】ところが、従前のこの種溶融炉では前記図
3に示す如く、横断面形状がほぼ円形の溶融炉本体3
の中心軸線上に主電極4を竪向きに配設し、この主電極
4と炉底電極6間へ通電する構成としているため、必然
的に炉本体1の中心軸部が最高温度域となると共に、炉
本体1の周壁部は、外部への放熱もあって低温度域とな
ること、及び低温度の被溶融物Aが溶融炉本体3の中
心点より離れた周辺部の特定個所へ集中的に供給される
と共に、溶融前の被溶融物Aは導電性や熱伝導性に欠け
るため、前記被溶融物Aの供給領域Hが冷温度域となる
こと、等の理由によって溶融炉本体3内の温度分布は極
めて不均一なものになる。その結果、必然的に溶融スラ
グBそのものの温度分布も不均一になっており、被溶融
物Aを高能率で完全に溶融させるための理想的な状態か
らは遠く離れた状態となっている。
【0014】また、従前の溶融炉本体3では、溶融スラ
グ流出口10を被溶融物Bの供給装置2と対向する側の
炉壁に設けており、しかもこの流出口10の横幅寸法は
溶融炉本体3の内径に比較して極めて小さいものであ
る。その結果、溶融スラグBが炉本体3の全域から均一
に溶融スラグ流出口10側へ向って流動することが困難
となり、溶融スラグBの流動量が多くなる領域が出来た
り、逆に溶融スラグが殆んど流動せずに滞留状態となる
領域が生ずることになり、溶融処理能力の一層の向上を
防げることになる。
【0015】更に、灰等の被溶融物Aは、通常5〜70
μm(飛灰の場合)以下若しくは30〜50mm(焼却
残渣の場合)以下の外径寸法を有する細粒となって溶融
炉本体3内へ供給されて来るが、個々の細粒の寸法、組
成、空隙率等にはバラツキがあり、溶融スラグに対して
受熱性の良いものと悪いもの、或いは沈降性のものと浮
上性のものがある。その結果、受熱性が悪くしかも浮上
性の被溶融物Aは、熱の流れに乗って溶融スラグBと一
緒に垂直方向に対流をせず、溶融スラグBの表層部上若
しくはその内部に浮上したまヽの状態でスラグ出口10
側へ流動することになり、溶融スラグB内に未溶融物
(不完全溶融物)が存在することになる。
【0016】上述のように、従前のアーク放電黒鉛電極
式プラズマ溶融炉は比較的安定して被溶融物を溶融する
ことができるものの、未だ解決すべき多くの問題を抱え
ており、その中でも特に重要な問題は、溶融スラグの均
一性と溶融処理能力の問題である。即ち、前述したよう
に、従前のこの種プラズマ溶融炉に於いては、溶融炉本
体3の構造に起因する複雑な溶融スラグBの流れと熱伝
導のために、被溶融物Aの一部が不完全な溶融状態のま
ま溶融スラグBと一緒に溶融スラグ排出口10から溢流
することが不可避な状態にあり、現実にスラグ流出口1
0から溢流する溶融スラグB内には灰の性状によっては
相当量の未溶融物が存在するうえ、この不完全溶融物の
混入率自体も大幅に変動する。その結果、溶融スラグB
の品質が均一性を欠くことになり、必然的に水砕スラグ
の品質が悪化してその有効利用が図り難くなると云う結
果を招来する。
【0017】また、溢流する溶融スラグB内への不完全
溶融物の混入率を下げるために、溶融炉本体1内に於け
る溶融スラグBの滞留時間を長くすると、被溶融物Aの
処理量が少なくなって溶融炉の溶融処理能力の低下を招
くことになる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従前のアーク
放電黒鉛電極式プラズマ溶融炉に於ける上述の如き問
題、即ち溶融炉本体の構造上、スラグ流出口から溢流
する溶融スラグ内へ不完全溶融物が混入し易く、水砕ス
ラグの品質が悪化してその有効利用を図り難くなるこ
と、及び不完全溶融物の混入を少なくするために溶融
炉本体内に於ける被溶融物の滞留時間を延長すること、
溶融炉の溶融処理能力が大幅に低下すること等の問題を
解決せんとするものであり、溶融炉の溶融処理能力の低
下やランニングコストの上昇を招くことなしにスラグ流
出口から溢流する溶融スラグ内への不完全溶融物の混入
を皆無とすることにより、良質の水砕スラグを安定して
得られるようにしたプラズマ溶融炉と、これを用いた被
溶融物の溶融方法を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、プラズマ
溶融炉を用いた焼却残渣や飛灰等の灰を被溶融物とする
数多くの溶融試験を通して、前記溶融スラグ排出口から
溢流する溶融スラグ内への不完全溶融物の混入は、溶融
スラグの流れとは別に、不完全溶融状態で溶融スラグの
表層部上若しくは表層部内へ浮上した灰が、溶融スラグ
の表層上を滑るような形で溶融スラグ流出口側へ短絡的
に流出することにより、発生することを知見した。
【0020】また、本願発明者は、前記数多くの溶融試
験を通して、溶融炉本体内を還元性雰囲気に保持するた
めに炉本体内へ供給する窒素ガス等の不活性ガスは、電
極の中心部に設けた中空孔を通して供給をしても、或い
は炉本体の他の如何なる部分から供給をしても、プラズ
マ放電性能の向上や黒鉛電極の消耗低減と云う点に於い
て、大きな差異が殆んど無いことを知得した。
【0021】本願発明は、上記二つの知見に基づいて創
作をされたものであり、スラグ排出口側へ向う溶融スラ
グの流動、特に溶融スラグ表層部の流れを一部人為的に
乱すことによって、浮上している不完全溶融状態の被溶
融物を炉中心部へ追いやり、或いは表層の下部へ沈降さ
せて、不完全溶融物が溶融スラグ流出口から流出しない
ようにするものである。即ち、請求項1に記載の発明
は、溶融炉本体と、被溶融物を溶融炉本体内へ供給する
供給装置と、直流電源装置からの電圧の印加によりプラ
ズマアークを発生させるための主電極及び炉底電極と、
溶融炉本体から溶融スラグを溢流させるための溶融スラ
グ流出口と、溶融炉本体の溶融スラグ流出口側の天井壁
又は周壁に、溶融スラグ表面に対して傾斜姿勢で炉中央
部へ向けて進退自在に配設され、溶融スラグ流出口の炉
内側近傍の溶融スラグ外表面へ不活性ガスを噴出する不
活性ガス供給ノズルとを備え、前記不活性ガス供給ノズ
ルからの噴出ガス等により溶融炉本体内を還元性雰囲気
に保持すると共に、溶融スラグの表層部に溶融スラグ流
出口側から溶融炉本体の中央部へ向う溶融スラグの流れ
を起生させる構成としたことを発明の基本構成とするも
のである。
【0022】また、請求項3に記載の発明は、溶融炉本
体と、被溶融物を溶融炉本体内へ供給する供給装置と、
直流電源装置からの電圧の印加によりプラズマアークを
発生させるための主電極及び炉底電極と、溶融炉本体か
ら溶融スラグを溢流させるための溶融スラグ流出口を有
するプラズマ溶融炉において、溶融炉本体の溶融スラグ
流出口側の天井壁又は周壁に、溶融スラグ表面に対して
傾斜姿勢で炉内方へ向けて進退自在に設けた不活性ガス
供給ノズルから前記溶融スラグ流出口の炉内側近傍の溶
融スラグ外表面へ不活性ガスを噴出し、当該不活性ガス
等により溶融炉本体内を還元性雰囲気に保持すると共
に、溶融スラグの表層部に溶融炉本体の溶融スラグ流出
口側から中央部へ向う溶融スラグの流れを起生させ、前
記溶融スラグ流出口から溢流する溶融スラグ内への不完
全溶融物の混入を防止することを発明の基本構成とする
ものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図1及び図2に基づいて本
発明の実施の態様を説明する。尚、図1及び図2に於い
て、前記図3及び図4と同じ部位・部材にはこれと同じ
参照番号を使用するものとする。図1は本発明に係るプ
ラズマ溶融炉の要部を示す縦断面図であり、不活性ガス
供給ノズル24及び不活性ガス供給配管25の点を除い
てその他の構成は、前記図3の場合と殆んど同一であ
る。
【0024】図1に於いて、1は被溶融物Aのコンテ
ナ、2は被溶融物Aの供給装置、3は溶融炉本体、4は
黒鉛主電極、5は黒鉛スタート電極、6は炉底電極、7
は炉底冷却ファン、8は直流電源装置、9は不活性ガス
供給装置、10は溶融スラグ流出口、11はタップホー
ル、12は燃焼室、13は燃焼空気ファンである。
【0025】前記溶融炉本体3は横断面がほぼ円形状を
呈しており、炉天井壁の中央部に設けた電極挿入孔3a
には、主電極4が垂直姿勢で上・下動自在に炉本体3内
へ挿入支持されている。又、前記スタート電極5は図1
に示す如く炉天井壁の側部から傾斜姿勢で進退自在に炉
本体3内へ挿入支持されている。尚、本実施態様では黒
鉛主電極4及びスタート電極5を円柱体とし、溶融炉本
体内を還元性雰囲気に保持するのに必要な不活性ガスを
不活性ガス供給ノズル24から供給するようにしている
が、主電極4及びスタート電極5を従前のように円筒状
の電極とし、図1の点線で示す如く、前記炉本体内を還
元性雰囲気に保持するのに必要な不活性ガスの一部を各
電極4,5の中空孔を通して炉本体内へ供給するように
してもよいことは勿論である。
【0026】前記不活性ガス供給ノズル24は、溶融炉
本体3の周壁又は炉天井壁を貫通して傾斜姿勢で且つそ
の噴出口24aを溶融スラグ流出口10近傍の溶融スラ
グBの外表面へ向けて、進退自在に挿入支持されてい
る。尚、溶融スラグBの外表面に対するノズル24の傾
斜角α(即ち、噴出ガス流の傾斜角α)は鋭角でも鈍角
でも効果の差はさほど著しくはないが、0°〜45°に
選定するのが望ましい。また、前記不活性ガス供給ノズ
ル24は1本でもよいが、図2に示す如く2本(又は2
本以上の複数本)とする方がより望ましく、更に、ノズ
ル24が2本又は3本の場合には、両側に位置するノズ
ル24間の挾角θ(即ち、噴出ガス流の挾角θ)は30
°〜60°位いが最適である。
【0027】前記不活性ガス供給ノズル24としては、
例えばセラミックのような耐熱性を持った中空管とする
ことが望ましく、また、溶融スラグBの性状に応じて炉
本体3内への挿入深さが調整できることが望ましい。ノ
ズル24が炉本体3内へ深く挿入している場合には、こ
れがほぼ溶融スラグBの温度にまで灼熱され、噴出する
不活性ガスを予熱し、且つその体膨張によって溶融スラ
グ表層部への噴出速度を増し、後述する如く表層部の新
たな渦流Gを起しやすくする利点がある。
【0028】前記不活性ガス供給ノズル24へは、PS
A窒素製造装置等の不活性ガス供給装置9から不活性ガ
ス、例えば窒素ガスCが供給され、炉本体3内を還元性
雰囲気に保持することにより、主電極4及びスタート電
極5の消耗を防止するようにしている。尚、不活性ガス
としてはアルゴンや窒素が用いられるが、経済性の観点
から通常窒素が多く用いられる。また、窒素ガスの場
合、その使用量は一般に3.5〜10.0l/kg(被
溶融物灰)、好ましくは4〜5l/kg・被溶融物
(灰)に選定されている。
【0029】次に、本発明による被溶融物Aの溶融処理
について説明する。炉本体3内へ供給された被溶融物A
は、前述の如くプラズマアーク放電による熱エネルギー
により溶融点(1200℃〜1250℃)を越える温度
にまで加熱され、順次1400℃〜1800℃の高温液
体状の溶融スラグBとなる。
【0030】又、炉本体3内の溶融スラグBは、最高温
度領域である炉中心部から外周方向への熱伝導による対
流や被溶融物Aの供給点である低温域の偏在、外周壁の
局部からの溶融スラグBの溢流等による物質移動が複雑
にからみ合い、前記図4の如き流れとなって、全体的に
スラグ流出口10側へ流動移動をする。
【0031】更に、前記溶融スラグBの流れとは別に、
不規則的ではあるものの不完全溶融状態の浮上した被溶
融物Aが溶融スラグ流出口側へ短絡的に流出する現象が
発生する。
【0032】ところで、本発明に於いては、前記不活性
ガス供給ノズル24から4.0〜5.0l/kg・被溶
融物(灰)の不活性ガス(窒素ガス)が供給されている
ため、当該噴出された不活性ガス流により、図2に示す
如く溶融スラグBの表層部に別の渦流Gが起生する。そ
の結果、当該不活性ガス噴射により生じた渦流Gによ
り、前記表層部の上面若しくはその内部へ浮上した不完
全溶融物は、炉の中心部方向及び表層部の内方へ押しや
られることになり、炉内滞留時間が延長することにより
新たな熱を受けて完全溶融状態となる。
【0033】尚、前記不活性ガス噴射による渦流Gは、
溶融スラグの表層部のみに限られ、溶融スラグ全体の流
れを変える程の影響力は持っていない。従って、当該渦
流Gの発生によってスラグ流出口10からの溢流量が減
少して、炉本体3の溶融処理量が変動するようなことは
全く無い。
【0034】また、不活性ガスとして窒素ガスを使用し
た場合、窒素ガス流量4.5l/kg・灰、N2 の比熱
0.3kcal/Nm3 、灰の比熱0.3kcal/k
gとすると、窒素ガスと灰の熱量比は約0.4%とな
る。従って、低温の窒素ガスが出口付近の溶融スラグに
直接接触しても、4.0〜5.0l窒素ガス/kg・灰
の量からみて、窒素ガスの加熱に費される熱量は灰の加
熱熱量の0.4〜0.5%程度に過ぎず、スラグ出口1
0付近の溶融スラグBを著しく冷却してしまうというこ
とにはならない。その結果、溶融炉本体1内の溶融スラ
グBは、順次円滑に溶融スラグ流出口10から溢流して
行くと共に、溢流する溶融スラグB内への未溶融物や不
完全溶融物の混入が皆無となる。
【0035】また、主電極4及びスタート電極5の消耗
についても、中空電極を用いて所定流量の窒素ガスを中
空電極の中空孔を通して炉本体3内へ供給した場合と、
同じ中空電極を用いて別に設けた不活性ガス供給ノズル
24から同流量の窒素ガスを供給した場合について、両
者の電極消耗量の対比試験を行なった。その結果、両者
の電極消耗量の間にはほぼ差異の無いことが確認されて
いる。同様に、アーク放電特性にも特に差異の無いこと
が確認されている。
【0036】上記実施態様に於いては、ごみ焼却残渣や
飛灰を被溶融物とする場合について説明をしたが、本発
明はこれ等の焼却残渣や飛灰に限らず、灰分を含有する
その他の産業廃棄物そのものの溶融処理にも適用するこ
とができることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】本発明に於いては、溶融炉本体内を還元
性雰囲気に保持するための不活性ガスを、不活性ガス供
給ノズルから溶融スラグ流出口の前方近傍の溶融スラグ
表層部へ向けて噴射し、溶融スラグの表層部に炉本体の
中央部へ向う溶融スラグの渦流を起生させ、これによっ
て溶融スラグの表層部上若しくは表層部内へ浮上した不
完全溶融物を炉本体の内方へ押し返すと共に、溶融スラ
グの表層部内方へ押し込む構成としている。その結果、
従前のこの種プラズマ溶融炉に比較して、溶融処理量の
低下を一切招くことなしに、炉本体内から溢流する溶融
スラグ内へ混入する未完全溶融物を大幅に減少させるこ
とができ、溶融スラグ内に存在する未完全溶融物がほぼ
皆無となって高品質で且つ均一な品質を有する水砕スラ
グが得られることになる。
【0038】また、本発明に於いては、従前の電極中央
部に設けた中空孔を通して不活性ガスを炉本体内へ供給
する場合に比較して、黒鉛電極の消耗量が増大したり、
アーク放電特性が悪化したりすることも無く、ほぼ等し
い電極の消耗防止効果とアーク放電特性を得ることがで
きる。
【0039】本発明は上述の通り、不活性ガス供給ノズ
ルを設けると云う極めて簡単な構成でもって他にエネル
ギーや資材、設備を追加することなく、従ってイニシァ
ルコストやランニングコストを大幅に増すことなしに、
溶融スラグ中に不完全溶融物が含まれることにより水砕
スラグの品質が低下して路盤材や骨材などへの有効利用
の妨げになったり、或いは有害物質が再溶出して環境に
悪影響を及ぼすなどの問題点をほぼ完全に解決すること
ができ、優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ溶融炉の要部を示す縦断
面図である。
【図2】本発明のプラズマ溶融炉に於ける不活性ガスの
噴射により溶融スラグ表層部に生ずる渦流の概要説明図
である。
【図3】従前のプラズマ溶融炉の説明図である。
【図4】従前のプラズマ溶融炉に於ける溶融スラグ表層
部の流れの状態を示す説明図である。
【符号の簡単な説明】
A:被溶融物、B:溶融スラグ、C:不活性ガス、D:
ガス体、E:溶融飛灰、F:溶融スラグの流れ、α:噴
出ガス流の傾斜角、θ:噴出ガス流の挾角、G:不活性
ガスによる渦流、1:被溶融物のコンテナ、2:被溶融
物の供給装置、3:溶融炉本体、3a:電極挿入孔、
4:黒鉛主電極、5:黒鉛スタート電極、6:炉底電
極、7:炉底冷却ファン、8:直流電源装置、9:窒素
ガス供給装置、10:溶融スラグ流出口、11:タップ
ホール、12:燃焼室、13:燃焼空気ファン、14:
排ガス冷却ファン、15:バグフィルタ、16:誘引通
風機、17:煙突、18:溶融飛灰コンベア、19:飛
灰だめ、20:スラグ水冷槽、21:スラグ搬出コンベ
ア、22:スラグだめ、23:スラグ冷却水冷却装置、
24:不活性ガス供給ノズル、24a:噴出口、25:
不活性ガス供給配管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F27D 11/10 B09B 3/00 ZAB 303L (72)発明者 吉井 隆裕 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内 (56)参考文献 特開 平8−28851(JP,A) 特開 平8−61640(JP,A) 特開 平5−253557(JP,A) 特開 昭50−50217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/00 B09B 3/00 F23J 1/00 F27B 3/08 F27D 11/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融炉本体と、被溶融物を溶融炉本体内
    へ供給する供給装置と、直流電源装置からの電圧の印加
    によりプラズマアークを発生させるための主電極及び炉
    底電極と、溶融炉本体から溶融スラグを溢流させるため
    の溶融スラグ流出口と、溶融炉本体の溶融スラグ流出口
    側の天井壁又は周壁に、溶融スラグ表面に対して傾斜姿
    勢で炉中央部へ向けて進退自在に配設され、溶融スラグ
    流出口の炉内側近傍の溶融スラグ外表面へ不活性ガスを
    噴出する不活性ガス供給ノズルとを備え、前記不活性ガ
    ス供給ノズルからの噴出ガス等により溶融炉本体内を還
    元性雰囲気に保持すると共に、溶融スラグの表層部に溶
    融スラグ流出口側から溶融炉本体の中央部へ向う溶融ス
    ラグの流れを起生させる構成としたことを特徴とするプ
    ラズマ溶融炉。
  2. 【請求項2】 不活性ガス供給ノズルを2本とすると共
    に、当該不活性ガス供給ノズルからの噴出する不活性ガ
    ス流の溶融スラグ表面に対する傾斜角αを45度以下
    に、また2本の不活性ガス供給ノズルから噴出する不活
    性ガス流の平面視に於ける挾角θを30〜60度として
    成る請求項1に記載のプラズマ溶融炉。
  3. 【請求項3】 溶融炉本体と、被溶融物を溶融炉本体内
    へ供給する供給装置と、直流電源装置からの電圧の印加
    によりプラズマアークを発生させるための主電極及び炉
    底電極と、溶融炉本体から溶融スラグを溢流させるため
    の溶融スラグ流出口を有するプラズマ溶融炉において、
    溶融炉本体の溶融スラグ流出口側の天井壁又は周壁に、
    溶融スラグ表面に対して傾斜姿勢で炉内方へ向けて進退
    自在に設けた不活性ガス供給ノズルから前記溶融スラグ
    流出口の炉内側近傍の溶融スラグ外表面へ不活性ガスを
    噴出し、当該不活性ガス等により溶融炉本体内を還元性
    雰囲気に保持すると共に、溶融スラグの表層部に溶融炉
    本体の溶融スラグ流出口側から中央部へ向う溶融スラグ
    の流れを起生させ、前記溶融スラグ流出口から溢流する
    溶融スラグ内への不完全溶融物の混入を防止することを
    特徴とする被溶融物の溶融方法。
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