JP3535727B2 - プラズマ溶融炉及びその運転方法 - Google Patents

プラズマ溶融炉及びその運転方法

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JP3535727B2 JP04001698A JP4001698A JP3535727B2 JP 3535727 B2 JP3535727 B2 JP 3535727B2 JP 04001698 A JP04001698 A JP 04001698A JP 4001698 A JP4001698 A JP 4001698A JP 3535727 B2 JP3535727 B2 JP 3535727B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃
棄物の焼却炉から排出される焼却残渣,飛灰等の被溶融
物を溶融処理するためのプラズマ溶融炉とその運転方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ごみや産業廃棄物の焼却炉か
ら排出される焼却残渣や飛灰等(以下「被溶融物」とい
う)の減容化及び無害化を図るため、被溶融物の溶融固
化処理法が注目され、現実に実用に供されている。被溶
融物を溶融固化することにより、重金属等の有害物質の
溶出防止や溶融スラグの再利用、最終埋立処分場の延命
等が可能になるからである。
【0003】而して、被溶融物の溶融固化処理方法に
は、アーク溶融炉やプラズマアーク炉、電気抵抗炉等を
使用し、電気エネルギーによって被溶融物を溶融固化す
る方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コークスベッド炉
等を使用し、燃料の燃焼エネルギーによって被溶融物を
溶融固化する方法とが多く利用されており、都市ごみ焼
却設備に発電設備が併置されている場合には、前者の電
気エネルギーを用いる方法が、また発電設備が併置され
ていない場合には、後者の燃焼エネルギーを用いる方法
が夫々多く採用されている。
【0004】図4は従前のごみ焼却処理設備に併置した
直流アーク放電黒鉛電極式プラズマ溶融炉の一例を示す
ものであるが、このプラズマ溶融炉1においては、被溶
融物Aはホッパ3に貯えられ、供給装置2により炉1内
に連続的に供給される。溶融炉1には、炉頂部1bより
垂直に挿入された黒鉛主電極4(−極)と炉底部1cに
設置された炉底電極6(+極)とが設けられており、両
電極4,6間に印加された直流電源装置8(容量:約6
00〜1000KW(被溶融物1t当たり))の直流電
圧(200〜350V)により電極4,6間にアークが
発生し、アーク中にプラズマガスとして窒素ガスを供給
することによりプラズマPが発生する。これによって被
溶融物Aが1400〜1500℃に加熱されることによ
り溶融され、溶融スラグBとなる。ところで、溶融前の
被溶融物Aは導電性が低いため、溶融炉1の運転開始時
にはスタート電極5を炉1内に垂下させてこれを+極と
し、これと主電極4との間へ通電することにより被溶融
物Aが溶融するのを持つ(図4鎖線参照)。そして、被
溶融物Aが溶融をすると、その導電性が上昇するため、
爾後は、+極をスタート電極5から炉底電極6へ切り換
える。
【0005】一方、炉1内は、溶融スラグBや主電極4
等の酸化を防止するために還元性雰囲気に保持されてお
り、そのために、PSA窒素製造装置等の不活性ガス供
給装置9から不活性ガス(窒素ガス等)Cが、主電極4
及びスタート電極5の中空孔を通して、炉1内に連続的
に供給されている。ここに、窒素ガス等の不活性ガスC
を主電極4やスタート電極5の中空孔を通して炉1内へ
供給する構成とするのは、「Pb,Zn等が揮散し易
く、スラグの品質が向上すること」「プラズマ放電領域
を濃厚な不活性ガスCにより充満させた方が、プラズマ
アークの発生や安定性等が良好になると考えられるこ
と」「黒鉛主電極4や黒鉛スタート電極5の消耗がより
少なくなると考えられること」等の理由によるものであ
る。
【0006】また、溶融炉1の炉底部周辺領域は、炉底
冷却ファン7からの冷風により空冷され、これによって
炉底電極6近傍の過度な温度上昇が防止されている。ま
た、溶融炉1の炉壁つまり周壁部1a、炉頂部1b及び
炉底部1cは、すべて、1500℃の高温に耐え得る耐
火材により構成されており、その外周部を必要に応じて
空冷又は水冷している。
【0007】そして、被溶融物Aの溶融が開始される
と、炉1内で発生する可燃ガスを高濃度で含む排ガスD
は周壁部1aに設けた溶融スラグ排出口10或いは炉頂
部1bから燃焼室12に排出されて、燃焼室12におい
て燃焼空気ファン13による燃焼用空気の供給により完
全燃焼された後、冷却塔24による水噴霧及び/又は排
ガス冷却ファン14からの冷却空気によって冷却され、
バグフィルタ15を経て誘引通風機16により煙突17
から排出される。なお、バグフィルタ15で捕捉された
溶融飛灰Eは、溶融飛灰コンベア18により飛灰溜め1
9に送られる。
【0008】一方、被溶融物Aに含まれている不燃性成
分(鉄等の金属やガラス,砂等)は溶融状態となる。す
なわち、ホッパ3から溶融炉1に供給された被溶融物A
は、プラズマアーク放電による発生熱を供給されること
により、その溶融点(1200〜1300℃)を超える
温度(約1400〜1500℃)にまで加熱され、流動
性を有する液体状の溶融スラグBとなる。そして、溶融
スラグBは、溶融スラグ排出口10から連続的に溢出
し、水を満したスラグ水冷槽20(スラグ冷却水は冷却
装置23により冷却される)内に落下して水砕スラグB
´となり、スラグ搬出コンベア21によってスラグ溜め
22に送られる。なお、炉1の停止時には、溶融スラグ
Bを炉1内に残すと、炉1の停止及び再立上げに時間を
要することから、溶融スラグBの底部レベルに対応して
周壁部1aに設けたタップホール11により湯抜きを行
い、炉1内を空にする。
【0009】このようにして、被溶融物Aはプラズマ溶
融炉1によって溶融処理されるのであるが、炉1内にお
ける溶融スラグBの挙動は極めて複雑なものであって、
実稼動溶融炉を炉内観察したところによれば、スラグ表
層の流れは図5に示すようなほぼ渦流Fの如き流れとな
っている。この溶融スラグBの渦流Fは、現実には整然
とした渦流ではなくて複雑な乱れを生じており、しかも
この渦流Fの状況は溶融スラグBの表面(湯面)から深
くなるにつれて一様ではないものと推察される。さら
に、炉1内において溶融スラグBは垂直方向(鉛直方
向)へも対流をしており、炉中心の高温スラグは上昇流
の形で、周壁部の低温スラグは下降流の形で夫々流動し
ているものと推察される。
【0010】ところで、炉1内において被溶融物Aを効
率よくしかも未溶融物ないし不完全溶融物(以下、両者
を含めて「不完全溶融物」という)が残らないように均
一に溶融させるためには、「炉1内が略均等に加熱さ
れ、被溶融物Aが効率よく加熱溶融されること」「被溶
融物が溶融スラグB内に没入し、スラグと共に対流する
こと」、特に「供給された被溶融物Aが供給口付近で移
動せず、徐々に堆積していくことがないこと」等が重要
な要件となってくる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図4に示す
従来のプラズマ溶融炉1にあっては、「炉1が横断面形
状をほぼ円形をなす(周壁部1aがほぼ円筒形状をな
す)ものであり、その中心軸線上に主電極4を竪向きに
配設して、この主電極4と炉底電極6との間へ通電する
構成としているため、必然的に炉1の中心軸部(炉心
部)が最高温度域となると共に、周壁部1aの近傍部は
外部への放熱もあって低温度域となること」「低温度の
被溶融物Aが炉心部から離れた周辺部の特定個所へ集中
的に供給されると共に、溶融前の被溶融物Aは低温であ
り、熱伝導性に欠けるため、被溶融物Aの供給領域Hが
冷温度域となること」等の理由によって炉1内における
温度分布は極めて不均一なものになることから、必然的
に溶融スラグBそのものの温度分布も不均一になってお
り、被溶融物Aを高能率で完全に溶融させるための理想
的な状態からは遠く離れた状態となっている。
【0012】また、上記した従来のプラズマ溶融炉1に
あっては、供給装置2により被溶融物Aを連続して炉1
内に供給する被溶融物供給口2aと溶融スラグBを連続
して炉1外に溢流排出する溶融スラグ排出口10とが周
壁部1aの対向位置に設けられており、しかも溶融スラ
グ排出口10の横幅寸法は溶融炉1の内径(周壁部1a
の内径)に比較し極めて小さいものとなっていることか
ら、溶融スラグBが炉1内の全域から均一に溶融スラグ
排出口10側へ向って流動することが困難となり、溶融
スラグBの流動量が多くなる領域が出来たり、逆に溶融
スラグが殆んど流動せずに滞留状態となる領域が生ずる
ことになり、溶融処理能力の一層の向上を防げることに
なる。
【0013】しかも、被溶融物Aは、通常、5〜70μ
m(飛灰の場合)若しくは30〜50mm以下(焼却残
渣の場合)の外径寸法を有する細粉或いは細粒として炉
1内へ供給されるが、個々の細粉,細粒の寸法,組成,
空隙率等にはバラツキがある。例えば、溶融スラグBに
対して受熱性の良いものと悪いものとがあったり、或い
は沈降性のものと浮上性のものとがあったりする。した
がって、受熱性が悪くしかも浮上性の被溶融物Aについ
ては、溶融スラグBと一緒に垂直方向に対流をせず、ス
ラグ表層上若しくはその内部に浮上したままの状態とな
り、更にその上に被溶融物が供給され、不完全溶融物層
が形成されて、溶融スラグ排出口10から流出するまで
に完全溶融せず、溶融スラグBに不完全溶融物が混入す
ることになる。
【0014】このように、従来のアーク放電黒鉛電極式
プラズマ溶融炉1は、比較的安定して被溶融物Aを溶融
処理することができるものの、未だ解決すべき多くの問
題を抱えており、その中でも特に重要な問題は、溶融ス
ラグBの均一性と溶融処理能力の問題である。
【0015】すなわち、前述したように、炉1自体の構
造に起因する複雑な溶融スラグBの流れと熱伝導のため
に、被溶融物Aの一部が不完全な溶融状態のまま溶融ス
ラグBと一緒に溶融スラグ排出口10から溢流すること
が不可避な状態にあり、現実に溶融スラグ排出口10か
ら溢流する溶融スラグB内には被溶融物の性状(灰の性
状)によっては相当量の不完全溶融物が存在する上、そ
の不完全溶融物の混入率自体も大幅に変動する。その結
果、溶融スラグBの品質が均一性を欠くことになり、必
然的に水砕スラグB´の品質が悪化して、その有効利用
が図り難くなると云う結果を招来する。また、溶融スラ
グ排出口10から溢流する溶融スラグBにおける不完全
溶融物の混入率を下げるために、炉1内における溶融ス
ラグBの滞留時間を長くすると、被溶融物Aの処理量が
少なくなって溶融炉1の溶融処理能力低下を招くことに
なる。
【0016】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、溶融処理能力を低下させることなく、溶融スラ
グ排出口から溢流する溶融スラグへの不完全溶融物の混
入を防止して、均一且つ高品質の水砕スラグを得ること
ができるプラズマ溶融炉及びその運転方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、炉の運転開始時においては炉頂部から垂下させた主
電極とスタート電極との間で、また運転開始後において
は主電極と炉底部に設けた炉底電極との間で、夫々プラ
ズマアーク放電させることにより、被溶融物供給口から
炉内に連続して供給された被溶融物を溶融処理させると
共に、溶融スラグを溶融スラグ排出口から炉外に連続し
て溢流排出させるようにし、且つ主電極及びスタート電
極の先端部から不活性ガスを噴出させることにより、炉
内を還元性雰囲気に保持させるように構成されたプラズ
マ溶融炉において、被溶融物供給口付近において、スタ
ート電極をその先端部が炉内の溶融スラグ中へ下降可能
なものとして、このスタート電極の先端部を溶融スラグ
中に下降させることにより、溶融スラグ表面に浮遊する
不完全溶融物を溶融スラグ中に強制的に潜り込ませるよ
うにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0018】また、本願の請求項2の発明は、炉の運転
開始時においては炉頂部から垂下させた主電極とスター
ト電極との間で、また運転開始後においては主電極と炉
底部に設けた炉底電極との間で、夫々プラズマアーク放
電させることにより、被溶融物供給口から炉内に連続し
て供給された被溶融物を溶融処理させると共に、溶融ス
ラグを溶融スラグ排出口から炉外に連続して溢流排出さ
せるようにし、且つ主電極及びスタート電極の先端部か
ら不活性ガスを噴出させることにより、炉内を還元性雰
囲気に保持させるように構成されたプラズマ溶融炉にお
いて、被溶融物供給口付近において、スタート電極をそ
の先端部が炉内の溶融スラグ中へ下降可能なものとし
て、電極として使用しない状態のスタート電極の先端部
を溶融スラグ中へと繰り返し下降させることにより、溶
融スラグ表面に浮遊する不完全溶融物を溶融スラグ中に
強制的に潜り込ませるようにすることを発明の基本構成
とするものである。
【0019】本願の請求項3の発明は、請求項2の発明
に於いて、溶融スラグ中に潜り込ませたスタート電極の
先端から不活性ガスを溶融スラグ中へ噴出させるように
したものである。
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図3に基づいて具体的に説明する。
【0022】この実施の形態における本発明に係るプラ
ズマ溶融炉1は、図1〜図3に示す如く、炉壁を円筒状
の周壁1aと天井壁たる炉頂部1bと炉底電極6を設け
た炉底部1cとで構成した耐火壁構造物である。周壁部
1aには、焼却残渣,飛灰等の被溶融物Aを供給するた
めの被溶融物供給口2aと、炉1の直径方向において被
溶融物供給口2aと直対向する位置に位置する溶融スラ
グ排出口10と、被溶融物供給口2aの直下位であって
炉底部1cの上面近傍位に位置するタップホール11と
が設けられている。被溶融物供給口2aにはスクリュー
フィーダ等の適宜の供給装置2が連設されていて、ホッ
パ3に貯溜された被溶融物Aを炉1内に定量的に連続供
給させるようになっている。溶融スラグ排出口10は、
溶融スラグBを溢流排出させると共に排ガスDを排出さ
せるためのもので、図4に示す従来のプラズマ溶融炉と
同様に、溶融スラグBは溶融スラグ排出口10から連続
的に溢出し、水を満したスラグ水冷槽20内に落下して
水砕スラグB´となり、排ガスDは溶融スラグ排出口1
0から燃焼室12に排出されて、燃焼室12において燃
焼空気ファン13による燃焼用空気の供給により完全燃
焼された上、冷却されると共に溶融飛灰を除去されて煙
突から排出される(図4参照)。なお、炉壁1a,1
b,1cは、1600℃程度の高温にも充分耐え得る耐
火材で構成されており、その外周部には必要に応じて水
冷ジャケットが配置される。また、炉底電極は、図1に
示す如く、主電極4との間で所定のプラズマPを発生さ
せものであり、導電材と耐火材で任意に構成した炉底部
1cを集電板6上に形成してなる。また、溶融炉1の炉
底部周辺領域は、炉底冷却ファン7からの冷風により空
冷されるようになっている。
【0023】主電極4は、炉1の中心線上に配して炉頂
部1bに貫通支持されており、炉1内の液位(溶融スラ
グBの液面位置)に応じて昇降操作されるようになって
いる。また、スタート電極5は、炉頂部1bに垂直或い
は傾斜状に挿通支持されていて、下端部たる先端部を炉
1内に突出させない待機位置(図1位置)と先端部を主
電極4の先端部と略同一高さ位置に位置する放電作用位
置(図2位置)とに亘って昇降されるようになってい
る。両電極4,5は、共に、軸線方向に貫通する中空孔
を有する黒鉛製円筒体であり、基端部をPSA窒素製造
装置等の不活性ガス供給装置9に接続して、不活性ガス
(窒素ガス等)Cを先端部から連続して噴出させるよう
になっている。スタート電極5の放電作用位置は、本実
施例では、図2に示す如く、両電極4,5間に運転開始
時における被溶融物Aの溶融に必要なプラズマPを発生
させるに最適な位置関係となるように設定されている。
【0024】以上の構成は、図4に示す従来のプラズマ
溶融炉と同様であるが、本発明に係るプラズマ溶融炉1
にあっては、被溶融物供給口付近において、先端部を炉
1内の溶融スラグB中へと下降可能な棒状昇降体を設け
て、この棒状昇降体の先端部を溶融スラグB中に下降さ
せることにより、溶融スラグ表面に沈降することなく浮
遊する不完全溶融物A´を溶融スラグB中に強制的に潜
り込ませるように構成されているが、この例では、スタ
ート電極5を前記放電作用位置より更に下方へと下降で
きるようにして、スタート電極5を上記した棒状昇降体
として利用するように工夫している。
【0025】すなわち、スタート電極5を、前記待機位
置から放電作用位置を経て先端部が被溶融物供給口付近
における溶融スラグB中に没入する没入位置(図3位
置)へと下降できるように構成してある。なお、スター
ト電極5は、従来のプラズマ溶融炉と同様に、運転開始
時において放電作用位置に位置されたときのみ電極とし
て機能すべく直流電源装置8から給電されるものであ
り、これ以外には、つまり放電作用位置以外の待機位置
及び没入位置に位置されたときには、直流電源装置8か
らの給電を断たれて電極として機能せず、電気的に絶縁
された状態に保持されるようになっている。また、スタ
ート電極5の没入位置への下降は、後述するように炉1
の運転中において定期的に行なわれるが、その定期的な
下降動作は図示しない昇降装置により自動的に行なわれ
るようになっている。
【0026】このように構成されたプラズマ溶融炉1
は、本発明に従って、次のように運転される。
【0027】すなわち、溶融処理を行なうに当たって、
まず、運転開始時においては、図2に示す如く、スター
ト電極5を待機位置から放電作用位置に下降させて、こ
のスタート電極5と主電極4との間に電圧印加によりプ
ラズマPを発生させ、これにより炉1内の被溶融物Aを
溶融させる。これは、主電極4と炉底電極6との間に導
電性の溶融スラグBが介在せず、非導電性の被溶融物A
が介在するにすぎない運転開始時においては、両電極
4,6間にプラズマPを発生させ得ないからである。
【0028】両電極4,5間に発生させたプラズマPに
より炉1内に溶融スラグBが生じる状態となった運転開
始後においては、図1に示す如く、スタート電極5を待
機位置に上昇させて該位置に保持させると共に、主電極
4と炉底電極6との間に電圧印加によりプラズマPを発
生させた状態で、被溶融物Aを供給装置2により炉1内
に連続供給させつつ、被溶融物Aの溶融処理を行なう。
主電極4と炉底電極6との間に発生するプラズマPによ
る加熱により被溶融物Aが溶融されるに従って、溶融ス
ラグBが溶融スラグ排出口10からスラグ水冷槽20に
連続的に落下供給されて、水砕スラグB´が生成され
る。また、排ガスDは溶融スラグ排出口10から燃焼室
12に排出される。
【0029】ところで、被溶融物供給口2aから供給さ
れた被溶融物Aは、直ちに溶融スラグB中へと沈降する
訳ではなく、溶融スラグ表面に浮遊することになる。し
たがって、被溶融物Aが被溶融物供給口2aから連続的
に供給されることとも相俟って、特に、被溶融物供給口
付近においては、溶融スラグ表面に上記した如く不完全
溶融物A´が浮遊することになり、その一部が溶融スラ
グ排出口10から溢流排出される溶融スラグBと共に炉
1外に排出されてしまう虞れがある。そこで、本発明に
係る運転方法にあっては、炉1の運転中において、運転
開始時以外には電極として機能させないスタート電極5
を定期的に溶融スラグB中へと下降させることにより、
被溶融物供給口付近において溶融スラグBの表面に浮遊
する不完全溶融物(スラグ表層の上面ないしその近傍に
浮遊している未溶融物ないし不完全溶融物)A´を強制
的に溶融スラグB中に潜り込ませるようにする。すなわ
ち、スタート電極5を、図3に示す如く、没入位置への
下降(スタート電極先端部の溶融スラグB中への没入)
と没入位置からの上昇(スタート電極先端部の溶融スラ
グB中からの引上げ)とを定期的につまり所定時間毎に
繰り返して行い、没入位置へと下降するときのスタート
電極5の先端部により、被溶融物供給口2aから連続的
に供給されてくる被溶融物Aを、溶融スラグ表面への供
給後における可及的に早い段階で溶融スラグB中に強制
的に押し込むようにして、不完全溶融物A´が溶融スラ
グB中に沈降せずその表面に滞留するような事態の発生
を可及的に防止し、炉1から溢流せしめた溶融スラグB
に不完全溶融物A´が含まれるといった事態をほぼ完全
に排除するようにしているのである。
【0030】また、このような不完全溶融物A´の溶融
スラグB中への押し込みを行なうと共に、スタート電極
5の先端部から不活性ガスCを溶融スラグB中に吹き込
むようにすることも可能である。このような不活性ガス
Cの溶融スラグB中への吹き込みを行なうことによっ
て、炉1内の溶融スラグBの自然発生的な水平渦流(図
5参照)や垂直方向の対流が強制的に攪乱されることに
なる。つまり、溶融スラグBの混合がより積極的にな
り、炉1内の温度分布がより均一化され、溶融スラグB
がほぼ均等に加熱溶融されることになり、炉1内の各部
分から溶融スラグBが均等に溶融スラグ排出口10に向
かって流動する。したがって、炉1から排出された溶融
スラグBをスラグ水冷槽20に投入させることによっ
て、不完全溶融物A´を含まない高品質で且つ均一な品
質の水砕スラグB´を得ることができ、その有効利用を
促進させることができる。しかも、不完全溶融物A´の
混入を減じるために炉1内におけるスラグ滞留時間を長
くするといった必要がないから、スラグ滞留時間の増加
に伴う炉1の溶融処理能力の低下やランニングコストの
上昇を可及的に防止することができ、被溶融物Aの溶融
処理を効果的に行なうことができる。なお、没入位置に
位置するスタート電極5は電源を切られた完全な電気絶
縁状態にあるから、主電極4とスタート電極5との間で
通電するといった不都合は生じない。
【0031】また、不活性ガスCの溶融スラグB中への
吹き込み手段が、炉1の運転中においては電極として使
用されないスタート電極5及び炉1内の還元性雰囲気を
保持するための不活性ガス供給装置9をそのまま利用し
たものであるから、格別の吹き込み手段を新たに設ける
場合のような問題(例えば、炉構造の複雑化やイニシャ
ルコスト,ランニングコストの高騰といった問題)は全
く生じない。しかも、還元性雰囲気を維持するための不
活性ガス(窒素ガス等)を溶融スラグBに吹き込むた
め、その吹き込みによっては炉1内の還元性雰囲気に何
らの悪影響を及ぼすことがない。
【0032】なお、本発明は上記した実施の形態に限定
されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範
囲において、適宜に改良,変更することができる。例え
ば、上記した例では、棒状のスタート電極5を昇降させ
ることにより不完全溶融物A´を溶融スラグB中に潜り
込ませるようにしたが、被溶融物供給口付近において先
端部を溶融スラグB中へと下降させうる棒状昇降体つま
り不完全溶融物押し込み専用の棒状昇降体を別途設け
て、この棒状昇降体により不完全溶融物A´を溶融スラ
グB中に強制的に押し込むようにしてもよい。しかし、
スタート電極5を溶融スラグB中への不活性ガス吹き込
み手段として使用する場合等、その先端部を溶融スラグ
B中に没入させる必然性がある場合にあっては、このス
タート電極5を不完全溶融物押し込み用の棒状昇降体と
しても使用することが炉構造上及び経済上からも有利で
ある。すなわち、不完全溶融物押し込み用の棒状昇降体
を設けることによっては、炉構造が徒に複雑化したりイ
ニシャルコスト・ランニングコストの加重負担といった
問題は生じない。
【0033】また、不完全溶融物A´を溶融スラグB中
に押し込むべく、棒状昇降体(スタート電極5で兼用さ
れる場合も含む)をその先端部が溶融スラグB中に下降
するように昇降させる時期は、任意に設定することがで
きる。つまり、不完全溶融物A´を溶融スラグB中に押
し込むための棒状昇降体の昇降は、必要に応じて行なう
こができ、予め設定した一定サイクルで間欠的に行なう
ようにしてもよいし、炉1内の溶融状況を検知して、そ
の検知結果に応じて行なうようにしてもよい。勿論、棒
状昇降体の溶融スラグB中への昇降は、自動的に行なう
ようにしても、手動により行なうようにしても、何れで
もよい。
【0034】また、本発明は、主電極及びスタート電極
の先端部から不活性ガスを噴出させることにより、炉内
を還元性雰囲気に保持させるように構成されたプラズマ
溶融炉に適用される他、棒状のスタート電極を具備しな
いもの等、任意の構成のプラズマ溶融炉に適用すること
が可能である。さらに、上記した如き焼却残渣や飛灰等
を溶融する場合の他、種々の被溶融物(例えば、灰分を
含有する産業廃棄物そのもの等)をプラズマ溶融炉で溶
融処理する場合にも適用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、請求項1又は請求項3に記載する発明によれば、溶
融スラグ表面に浮遊する不完全溶融物を溶融スラグ中に
強制的に押し込むようにしたから、プラズマ溶融炉によ
る溶融処理能力を低下させることなく、溶融スラグ排出
口から溢流する溶融スラグへの不完全溶融物の混入をほ
ぼ完璧に防止することができるのであり、高品質で且つ
均一な品質の水砕スラグを得て、その有効利用を図るこ
とができる。
【0036】また、請求項2又は請求項4に記載する発
明によれば、炉の運転開始後においては使用しないスタ
ート電極を利用して、溶融スラグ表面に浮遊する不完全
溶融物を溶融スラグ中に強制的に押し込むようにしたか
ら、上記した効果に加えて、炉構造が徒に複雑化したり
イニシャルコスト・ランニングコストの加重負担といっ
た問題を生じないといった効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ溶融炉の一例を示す縦断
正面図である。
【図2】図1と異なる運転状態を示す図1相当の縦断正
面図である。
【図3】図1及び図2と異なる運転状態を示す図1相当
の縦断正面図である。
【図4】従来のプラズマ溶融炉を示す縦断側面図であ
る。
【図5】図4のV−V線に沿う横断平面図である。
【符号の簡単な説明】
1…プラズマ溶融炉、1a…周壁部、1b…炉頂部、1
c…炉底部、2a…被溶融物供給口、4…主電極、5…
スタート電極、6…集電板、10…溶融スラグ排出口、
24…ガス冷却塔、A…被溶融物、A´…不完全溶融
物、B…溶融スラグ、B´…水砕スラグ、C…不活性ガ
ス(窒素ガス)、D…排ガス、P…プラズマ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/50 F23G 5/00 F23J 1/00 F27D 11/08 H05B 7/144 H05B 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉の運転開始時においては炉頂部から垂下
    させた主電極とスタート電極との間で、また運転開始後
    においては主電極と炉底部に設けた炉底電極との間で、
    夫々プラズマアーク放電させることにより、被溶融物供
    給口から炉内に連続して供給された被溶融物を溶融処理
    させると共に、溶融スラグを溶融スラグ排出口から炉外
    に連続して溢流排出させるようにし、且つ主電極及びス
    タート電極の先端部から不活性ガスを噴出させることに
    より、炉内を還元性雰囲気に保持させるように構成され
    たプラズマ溶融炉において、 被溶融物供給口付近において、スタート電極をその先端
    部が炉内の溶融スラグ中へ下降可能なものとして、この
    スタート電極の先端部を溶融スラグ中に下降させること
    により、溶融スラグ表面に浮遊する不完全溶融物を溶融
    スラグ中に強制的に潜り込ませるように構成したことを
    特徴とするプラズマ溶融炉。
  2. 【請求項2】炉の運転開始時においては炉頂部から垂下
    させた主電極とスタート電極との間で、また運転開始後
    においては主電極と炉底部に設けた炉底電極との間で、
    夫々プラズマアーク放電させることにより、被溶融物供
    給口から炉内に連続して供給された被溶融物を溶融処理
    させると共に、溶融スラグを溶融スラグ排出口から炉外
    に連続して溢流排出させるようにし、且つ主電極及びス
    タート電極の先端部から不活性ガスを噴出させることに
    より、炉内を還元性雰囲気に保持させるように構成され
    たプラズマ溶融炉において、 被溶融物供給口付近において、スタート電極をその先端
    部が炉内の溶融スラグ中へと下降可能なものとして、電
    極として使用しない状態のスタート電極の先端部を溶融
    スラグ中へ繰り返し下降させることにより、溶融スラグ
    表面に浮遊する不完全溶融物を溶融スラグ中に強制的に
    潜り込ませるようにすることを特徴とするプラズマ溶融
    炉の運転方法。
  3. 【請求項3】溶融スラグ中に潜り込ませたスタート電極
    の先端から不活性ガスを溶融スラグ中へ噴出させるよう
    にした請求項2に記載のプラズマ溶融炉の運転方法。
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