JP3280093B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP3280093B2
JP3280093B2 JP29558292A JP29558292A JP3280093B2 JP 3280093 B2 JP3280093 B2 JP 3280093B2 JP 29558292 A JP29558292 A JP 29558292A JP 29558292 A JP29558292 A JP 29558292A JP 3280093 B2 JP3280093 B2 JP 3280093B2
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ethylene
copolymer
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武夫 寺沢
克明 堤
義則 池永
宏孝 田越
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昭和電工株式会社
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】本発明は樹脂組成物に関し、更に詳しくは
接着性及び耐熱性に優れ、特に、低温での接着性及び高
温下での耐熱クリープ性が要求される自動車内装用材料
等の接着層として好適に使用できる、エチレン系多元共
重合体の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動
車、車両、船舶等の内装用材料として、また、住居等の
建築物の室内の居住性や美観を高めるための内装用材料
としては、その表皮材と、機能性を保持し高めるための
基板材を接着した多層積層構造物が使用されている。こ
の多層積層構造物は、上記の表皮材と基板材を溶剤型接
着剤を用いて接着することにより製造できるが、溶剤型
接着剤は、塗装,乾燥,エージング等の作業工程で手間
がかかるうえ、近年環境問題が重視されつつある中で、
有機溶剤による労働衛生及び火災等の危険性の問題があ
り、適切な製造方法とは言い難い。このため溶剤型接着
剤に代えて、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレ
イン酸三元共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,
エチレン−アクリル酸エステル共重合体又は低融点の共
重合ナイロン等の感熱接着性樹脂が使用されているが、
未だ充分に満足できるものではない。即ち感熱接着性樹
脂は、一般に、溶剤型接着剤に比べて接着強度が不充分
であり、耐熱クリープ性に欠ける場合が多く、炎天下の
車内温度のような高温(80℃)に長時間置かれると、
タレや剥がれを生じやすいという欠点を有する。また、
接着に際して加熱温度を比較的高温とすれば接着性を高
めることができるが、この場合には表皮剤の損傷を招き
やすいという欠点を有する。一方、これらの欠点を有し
ない感熱接着性樹脂もあるが、価格が高価であり、コス
ト面からその使用が制限されるという欠点を有する。上
述したように、自動車,家屋等の内装用材料の接着層と
して使用でき、作業性,環境問題等の使用上の問題を有
さず、広範な表皮材,基板材に対して良好な耐熱クリー
プ性を示し、また表皮剤の損傷を防止できる低温での接
着性を有し、更に、コスト面でも満足できる接着剤は、
未だ開発されていないのが実情である。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記の実情に鑑み、従来の欠点を解消した接着剤を開発す
べく鋭意研究を重ねた。その結果、特定のエチレン系多
元共重合体及び有機カルボン酸と特定の金属との塩を主
成分とする樹脂組成物が、幅広い種類の基材(表皮材,
基板材)に対して良好な接着性及び耐熱性を有すること
を見出した。本発明はかかる知見に基いて完成したもの
である。すなわち、本発明は、(A)エチレンとラジカ
ル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コモノ
マーからなる多元共重合体であって、該エチレン系多元
共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位の
割合が0.1〜5重量%で、これ以外のラジカル重合性コ
モノマーに由来する単位の割合が3〜20重量%である
エチレン系多元共重合体及び(B)有機カルボン酸及び
/又は高分子カルボン酸と周期表IA族,IIA族又はII
B族に属する金属との塩を含有し、かつ、(B)成分中
の金属原子のモル数と(A)成分中のラジカル重合性酸
無水物に由来する単位のモル数の比率が2/10〜10
/2の範囲であることを特徴とする自動車等の内装用材
料として使用される樹脂組成物を提供するものである。
【0004】本発明の樹脂組成物の(A)成分を構成す
るエチレン系多元共重合体は、エチレン,ラジカル重合
性酸無水物及び前記のラジカル重合性酸無水物以外のラ
ジカル重合性コモノマーからなる多元共重合体である。
ここで、ラジカル重合性酸無水物とは、分子中にラジカ
ル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各々1個以上有
し、重合によって酸無水物基を分子中に導入できるよう
な化合物を意味する。酸無水物基は環状のものが好まし
い。このような化合物としては、例えば、無水マレイン
酸,無水イタコン酸,無水エンディック酸,無水シトラ
コン酸,ドデセニル無水コハク酸,1−ブテン−3,4
−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも18である末
端に二重結合を有するアルケニル無水コハク酸,炭素数
が多くとも18である末端に二重結合を有するアルカジ
エニル無水コハク酸等が挙げられる。これらは単独で、
あるいは2種類以上を組み合わせて用いても差し支えな
い。これらの中では、無水マレイン酸、無水イタコン酸
が特に好ましい。(A)成分中のラジカル重合性酸無水
物に由来する単位の割合は、0.1〜5重量%の範囲であ
り、好ましくは0.5〜4.5重量%の範囲、更に好ましく
は1.0〜4.0重量%の範囲である。ここで、ラジカル重
合性酸無水物の割合が0.1重量%未満では、接着性が不
足して良好な接着強度が得られない。また、5重量%を
超えると、エチレン系共重合体の製造が困難となり、実
用的でない。
【0005】ラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重
合性コモノマーとしては、様々な化合物があり、例え
ば、エチレン系不飽和エステル化合物,エチレン系不飽
和アミド化合物,エチレン系不飽和酸化合物,エチレン
系不飽和エーテル化合物,エチレン系不飽和炭化水素化
合物,その他の化合物等が挙げられる。これらを具体的
に記すと、エチレン系不飽和エステル化合物としては、
例えば、酢酸ビニル,(メタ)アクリル酸メチル,(メ
タ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,
(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸
ラウリル,(メタ)アクリル酸ベンジル,フマル酸メチ
ル,フマル酸エチル,フマル酸プロピル,フマル酸ブチ
ル,フマル酸ジメチル,フマル酸ジエチル,フマル酸ジ
プロピル,フマル酸ジブチル,マレイン酸メチル,マレ
イン酸エチル,マレイン酸プロピル,マレイン酸ブチ
ル,マレイン酸ジメチル,マレイン酸ジエチル,マレイ
ン酸ジプロピル,マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
エチレン系不飽和アミド化合物としては、例えば、(メ
タ)アクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミ
ド,N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−プロピル
(メタ)アクリルアミド,N−ブチル(メタ)アクリル
アミド,N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド,N−オ
クチル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド;N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミド等が挙げられる。エチレン系不飽和酸化合物と
しては、例えば、(メタ)アクリル酸,フマル酸,マレ
イン酸等が挙げられる。エチレン系不飽和エーテル化合
物としては、例えば、メチルビニルエーテル,エチルビ
ニルエーテル,プロピルビニルエーテル,ブチルビニル
エーテル,オクタデシルビニルエーテル,フェニルビニ
ルエーテル等が挙げられる。エチレン系不飽和炭化水素
化合物としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレ
ン,(メタ)アクリロニトリル,アクロレイン,クロト
ンアルデヒド,トリメトキシビニルシラン,トリエトキ
シビニルシラン,塩化ビニル,塩化ビニリデン,ノルボ
ルネン,ブタジエン等が挙げられる。これらの中では、
(メタ)アクリル酸エステル類,(メタ)アクリル酸
が、特に好ましい化合物として挙げられる。そして、こ
れらのコモノマーは、単独で、あるいは2種以上を併用
しても差し支えない。 (A)成分中のラジカル重合性コモノマーに由来する単
位の割合は、3〜20重量%の範囲である。ここで、ラ
ジカル重合性コモノマーの割合が3重量%未満では、エ
チレン系多元共重合体の結晶融点が充分に低くならず、
本発明の特徴である低温接着性を充分に発揮することが
できない。また、20重量%を超えると、樹脂の取扱い
が困難になるとともに、製品の耐熱性が低下する。
【0006】上記の(A)成分であるエチレン系多元共
重合体を製造するにあたっては、基本的には通常の高圧
法低密度ポリエチレンの製造設備及びその技術を利用す
ることができる。一般的には、塊状重合法により、70
0〜3,000気圧、好ましくは1,000〜2,500気圧
の重合圧力で、また100〜300℃、好ましくは15
0〜270℃の重合温度で、ラジカル重合にて製造され
る。重合圧力が700気圧未満では、重合体の分子量が
低くなり、成形性、樹脂組成物の樹脂物性が悪化する。
一方、3,000気圧を超えると、製造コストを高めるだ
けで、実質的には無意味である。また、重合温度が10
0℃未満では重合反応が安定せず、共重合体への転化率
が低下し、経済的に問題がある。一方、300℃を超え
ると、共重合体の分子量が低下すると同時に暴走反応の
危険性が生じる。重合装置としては、ベッセル型の反応
器を用いるのが好ましい。特に、ラジカル重合性酸無水
物は重合安定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化
が必要である。また、必要に応じて、複数個の反応器を
直列又は並列に接続し、多段重合を行うこともできる。
更に、反応器の内部を複数のゾーンに仕切ることによっ
て、より緻密な温度コントロールを行うこともできる。
【0007】エチレン系多元共重合体の製造は、前記の
反応条件にて少なくとも1種のフリーラジカル開始剤の
存在下で行われる。ここで、フリーラジカル開始剤とし
ては、具体的には例えば、酸素;ジ−t−ブチルパーオ
キシド,t−ブチルクミルパーオキシド,ジクミルパー
オキシド等のジアルキルパーオキシド;アセチルパーオ
キシド,i−ブタノイルパーオキシド,オクタノイルパ
ーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジ−i−プロピ
ルパーオキシ−ジカーボネート,ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシ−ジカーボネート等のパーオキシ−ジカー
ボネート;t−ブチルパーオキシピバレート,t−ブチ
ルパーオキシラウレート等のパーオキシエステル;メチ
ルエチルケトンパーオキシド,シクロヘキサノンパーオ
キシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス−t−ブ
チルパーオキシシクロヘキサン,2,2−ビス−t−ブ
チルパーオキシオクタン等のパーオキシケタール;t−
ブチルヒドロパーオキシド,クメンヒドロパーオキシド
等のヒドロパーオキシド;2,2−アゾ−i−ブチロニ
トリル等のアゾ化合物等が挙げられる。また、重合にあ
たっては、分子量調節剤として、種々の連鎖移動剤を用
いることができる。その連鎖移動剤としては、例えば、
プロピレン,ブテン,ヘキセン等のオレフィン類;エタ
ン,プロパン,ブタン等のパラフィン類;アセトン,メ
チルエチルケトン,酢酸メチル等のカルボニル化合物;
トルエン,キシレン,エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素等が挙げられる。
【0008】このようにして製造されるエチレン系多元
共重合体は、比較的に低温で融解し、各種基材(表皮
材,基板材)との物理化学的相互作用、反応性に富んで
いるために、本発明の樹脂組成物が、低温成形の際にお
いても高い接着力を発揮するのに大きな役割を果たす。
【0009】次に、本発明の樹脂組成物の(B)成分を
構成する有機カルボン酸及び/又は高分子カルボン酸
周期表IA族,IIA族又はIIB族に属する金属との塩と
は、有機カルボン酸及び/又は高分子カルボン酸を周期
表IA族,IIA族又はIIB族に属する金属で、完全に又
は部分的に中和した形の化合物をいう。上記の有機カル
ボン酸としては様々なものを用いることができるが、例
えば、ラウリン酸,ミリスチル酸,ステアリン酸,パル
ミチン酸,デカノイックアシッド,ペンタデカノイック
アシッド,エイコサノイックアシッド,ドコサノイック
アシッド,トリコサノイックアシッド,トリアコンタノ
イックアシッド,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン
酸,ヘキサデカンジオイックアシッド等の炭素数10以
上(通常は10〜40)の飽和脂肪酸;オレイン酸,エ
ルカ酸,リノレイン酸,リノレニン酸,アラキドン酸等
の炭素数10以上(通常は10〜40の不飽和脂肪酸)
を挙げることができる。また、高分子カルボン酸として
は、エチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体等を挙げ
ることができる。一方、有機カルボン酸及び/又は高分
子カルボン酸と共に塩を形成する金属は、周期表IA
族,IIA族又はIIB族に属する金属である。(B)成分
は、本発明の樹脂組成物の接着力、特に耐熱クリープ性
を向上させるのに大きな役割を果たすが、上記以外の金
属では接着力を充分に向上させることができない。 (B)成分の中で好ましいものとしては、ステアリン酸
ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,一般にアイオノマ
ーと称される高分子カルボン酸の金属塩(例えば、エチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体のナトリウム化合物
又は亜鉛化合物による部分的中和物)等を挙げることが
できる。なお(B)成分は、1種のみを単独で用いるだ
けでなく、2種以上を併用することもできる。
【0010】(A)成分及び(B)成分の配合比率は、
(B)成分中の金属原子のモル数と(A)成分中のラジ
カル重合性酸無水物に由来する単位のモル数の比率が2
/10〜10/2の範囲、好ましくは3/10〜10/
3の範囲であることが必要である。この配合比率で調製
した本発明の樹脂組成物は、良好な接着性を示し、自動
車等の内装用材料として使用される多層積層構造物の製
造に際して、表皮材と基板材を低温で強力に接着するこ
とができ、しかも耐熱クリープ性に優れている。また、
特殊な用途の場合、例えば、非常に低温(90℃程度)
での接着が要求されるような場合には、上記の範囲外の
配合比率とすることができる。
【0011】本発明の樹脂組成物には、前記の(A)成
分及び(B)成分以外にも、本発明の樹脂組成物の特徴
を損なわない範囲で、各種の添加剤,配合剤,充填剤等
を配合することができる。具体的には例えば、酸化防止
剤(耐熱安定剤),紫外線吸収剤(光安定剤),帯電防
止剤,防曇剤,難燃剤,滑剤(スリップ剤,アンチブロ
ッキング剤),ガラスフィラー等の無機充填剤,有機充
填剤,補強剤,着色剤(染料,顔料),発泡剤,架橋
剤,香料等が挙げられる。これらの添加剤等は、本発明
の樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、(A)
成分又は(B)成分に初めから添加されていてもよい。
【0012】本発明の樹脂組成物は、(A)成分及び
(B)成分、更に必要に応じてその他の成分を混合する
ことによって調製される。各成分の混合にあたっては、
通常知られている種々の方法を用いることができる。具
体的には例えば、各成分を高温のトルエンのような溶媒
に溶解、再沈させる方法、各成分を溶融状態で混合する
方法、即ち、一般的に用いられている加圧ニーダー,ロ
ール,バンバリーミキサー,スタティックミキサー,ス
クリュー式押出機等を用いる方法等が挙げられる。ま
た、場合によっては、各成分をドライブレンドし成形時
に組成物化することもできる。即ち、各成分をペレット
又は粉体の状態で混合し、フィルム等の製造段階を利用
して溶融混合することができる。
【0013】本発明の樹脂組成物は、多層積層構造物の
接着層として種々の用途、成形方法に適用できる。その
成形方法としては、従来から知られている様々な方法、
例えば、インフレーション成形又はTダイ成形等によっ
てフィルム化した上記の樹脂組成物を基材間に挟み熱接
着させる方法、上記の樹脂組成物を押出しラミネート成
形によって基材上にコーティングした後、他の基材に熱
接着させる方法、上記の樹脂組成物を粉体接着剤として
基材上に振りかけて使用する方法等が挙げられるが、本
発明の樹脂組成物は、広範囲の基材に対して良好な接着
性を示し、この点が本発明の特徴の一つとなっている。
そのような接着可能な基材としては、例えば、上質紙,
クラフト紙,グラシン紙,和紙,ダンボール原紙,合成
紙,アート紙,コート紙等の各種紙類;木綿,麻,ポリ
エステル,ナイロン等による各種織布又は不織布;木
板;鉄,アルミニウム,銅,ブリキ等の各種金属板又は
箔;ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレン,ポ
リエステル,ナイロン,ポリカーボネート,アクリル樹
脂,フェノール樹脂,ポリウレタン等の各種プラスチッ
クにより形成された板,成形品,フィルム又は発泡体;
ガラス繊維,セラミックス等の各種無機物等を挙げるこ
とができる。また、これらの基材は必要に応じて、表面
処理、コーティング、印刷等が施されていても差し支え
ない。
【0014】本発明の樹脂組成物は、特に、低温での接
着性及び高温下での耐熱クリープ性が要求される自動車
等の内装用材料の接着層として、好適に使用することが
できる。ここで、接着可能な表皮材及び基板材に特に制
限はなく、現在一般に自動車、車両、船舶等の内装用材
料に用いられている種々の材料に適用することができ
る。例えば、表皮材としては、ポリエステル不織布,起
毛ニット,ファブリック,スウェード調合成皮革,塩化
ビニル(塩ビ)レザー,ポリウレタンレザー,ポリプロ
ピレン系熱可塑性エラストマーあるいはクッション性を
与えるためにこれらの材料に発泡ウレタン,発泡ポリプ
ロピレン,発泡ポリエチレン,発泡ポリビニリデン等を
貼り合わせたもの等が挙げられる。一方、基板材として
は、レジンフェルト,ガラス繊維入りフェノール樹脂
板,段ボール,ポリプロピレンハニカム,ポリスチレン
フォームあるいはこれらの材料に不織布を貼り合わせた
もの等が挙げられる。
【0015】本発明の樹脂組成物を使用して自動車等の
内装用材料を製造する場合には、種々の成形方法を採用
することができる。例えば、基板材を所定の温度に加熱
し、真空成形機にセットし、この上にインフレーション
成形又はTダイ成形等によってフィルム化した上記の樹
脂組成物を置き、次いで予め所定の温度に加熱した表皮
材を重ねて真空圧着する方法;表皮材と基板材の間に上
記のフィルムを挟み、熱プレスする方法;表皮材に本発
明の樹脂組成物を押出しラミネート成形によってコーテ
ィングした積層材を、基板材に熱プレス又は熱ロールで
加熱圧着する方法;本発明の樹脂組成物を粉末にし、熱
プレス上に置いた基板材に振りかけ、その上に表皮材を
熱プレスする方法;更には、表皮材の接着側に上記のフ
ィルムを予め熱ロールラミネートしてから、熱プレス又
は熱ロールで加熱圧着する方法等が挙げられる。
【0016】
【実施例】更に、本発明を実施例,比較例及び応用例に
よって、具体的に説明する。 実施例1 エチレン系多元共重合体(A)として、エチレン−無水
マレイン酸−メタクリル酸メチル三元共重合体を用い
た。この三元共重合体は高圧法低密度ポリエチレンプラ
ントの設備を利用し、重合温度240℃,重合圧力1,9
00kg/cm2の条件で製造した。この三元共重合体
のMFR(JIS−K7210,190℃,以下、MF
Rは全てこの条件を使用。)は15g/10分、無水マ
レイン酸に由来する単位の割合は2.2重量%、メタクリ
ル酸メチルに由来する単位の割合は16重量%であっ
た。なお、コモノマーの組成は赤外吸収スペクトルによ
り決定した。一方、(B)成分としては、アイオノマー
(a)を用いた。このアイオノマー(a)は、エチレン
とメタクリル酸の共重合体(メタクリル酸の含有量20
重量%)を水/メタノール=1/1の溶媒中で50℃,
2時間、酢酸ナトリウムによって処理し、共重合体中の
メタクリル酸に由来する単位の55モル%を中和して得
られた部分中和物である。上記2成分の重量比( (A)/
(B) )を85/15とし、この(A)成分及び(B)の
合計量に対し、添加剤として珪酸マグネシウム0.2重
量%、エルカ酸アミド0.2重量%をタンブラーでドラ
イブレンドした後、37mmφ同方向二軸押出機を用い
180℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
この配合内容は第1表に示した。
【0017】比較例1 アイオノマーを配合しなかったこと以外は、実施例1と
同様に操作し、樹脂組成物のペレットを得た。この配合
内容は第1表に示した。
【0018】比較例2 (A)成分としてエチレン−アクリル酸メチル二元共重
合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作し、樹
脂組成物のペレットを得た。この配合内容は第1表に示
した。
【0019】実施例2〜6、比較例3 実施例1に準じて各種エチレン系多元共重合体(A)を
製造し、一方、(B)成分としても各種準備し、実施例
1に準じて実施例2〜6、及び比較例3として示した各
種樹脂組成物を作成した。その配合内容は第1表に示し
た。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】応用例1 実施例1で得られたペレットを、45mmφの押出機を
有するインフレーションフィルム成形機で75μmの厚
みで製膜し円筒状のフィルムを切開することにより、4
0cm幅のフィルムを得た。このフィルムを接着層とし
て用い、実際に自動車用内装材料に用いられている表皮
材及び基板材を接着して、その接着性を試験した。表皮
材はポリエチレンテレフタレート(PET)系不織布、
基板材はレジンフェルト(RF)を用いた。接着は上板
110℃,下板140℃に設定した熱プレスに、上から
表皮材、上記のフィルム、基板材の順に挟み、実質面圧
2kg/cm2 ,30秒の条件で圧着した。基板材のプ
レスのサイズは、JIS−K6829に準じて150m
m×175mmとした。接着後、23℃,相対湿度50
%で24時間状態調節した後、25mm幅の試験片に切
断し、引張試験機を用いて常温(23℃)及び高温(8
5℃)における180°剥離試験を実施した。原則とし
て剥離時の接着強度(g/25mm)を測定したが、剥離前
に表皮材又は基板材が材料破壊した場合には、破壊時の
強度を測定した。更に、途中まで剥離した試験片に10
0gの荷重をつり下げ、80℃雰囲気に24時間放置し
た場合の剥離距離(mm)を測定し、耐熱クリープ性の目
安とした。なお、接着強度の値は試験片5個の平均値
(最大、最小2点カット)、また耐熱クリープ性は試験
片3個の平均値である。結果を第2表に示す。
【0023】応用例2〜3、参考例9 第2表に示したように、接着層用樹脂組成物,表皮材及
び基板材の種類を変えた以外は応用例1と同様に操作し
た。結果を第2表に示す。
【0024】応用例 応用例1で得られたフィルムを用い、表皮材として0.2
mmの塩ビレザーを貼った2mmの発泡ポリプロピレン
(PP)、基板材としてレジンフェルト(RFを用い接
着性を試験した。接着は、先ず130℃に加熱したテフ
ロンコートロールで表皮とフィルムを挟み、5m/分の
スピードで熱ロールラミネート処理して、これらを貼り
合わせた。次に、基板材を80℃に3分間加熱し、表皮
は120℃に加熱し、真空接着法で接着した。結果を第
2表に示す。
【0025】応用例 第2表に示したように、接着層用樹脂組成物,表皮材及
び基板材の種類を変えた以外は応用例と同様に操作し
た。結果を第2表に示す。
【0026】参考例1〜4 比較例1で得られたペレットから、応用例1と同様の方
法でフィルムを製造した。このフィルムを接着層として
用い、第2表に示したように、表皮材及び基板材の種類
を変え、応用例1と同様に操作した。結果を第2表に示
す。
【0027】参考例5〜8 比較例2で得られたペレットから、応用例1と同様の方
法でフィルムを製造した。このフィルムを接着層として
用い、第2表に示したように、表皮材及び基板材の種類
を変え、応用例1と同様に操作した。結果を第2表に示
す。
【0028】上記試験の結果を第2表に示す。実施例1
の樹脂組成物の場合(応用例1〜)、常温及び高
温の接着強度、耐熱クリープ性のいずれも良好であっ
た。また、接着作業も非常に容易かつ衛生的であり作業
性の点でも良好であった。即ち、本発明の樹脂組成物
は、各種の多層積層構造物の接着層、特に自動車等の内
装用材料として使用される多層積層構造物の接着層とし
て幅広く使用することができる。更に、本発明の樹脂組
成物は、塩ビレザー(塩化ビニル樹脂のレザー)を貼っ
た表皮材を接着する場合(応用例)においても塩
ビレザー特有の模様をおかすことなく保て、表皮材の損
傷を招くことなく、幅広く使用することができる。一
方、比較例1の樹脂組成物の場合(参考例1〜4)、接
着強度は比較的良好であったが、耐熱クリープ性が大幅
に劣っており、自動車等の内装用材料として使用するに
は問題が大きい。また、比較例2の樹脂組成物の場合
(参考例5〜8)には、耐熱クリープ性の測定以前に、
接着強度が全く不充分であり、実用に耐える多層積層構
造物を得ることができなかった。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明の樹脂組成物は、
常温及び高温での接着性に優れ、各種の多層積層構造物
の接着層として好適に使用することができる。特に表皮
材を損傷させることなく低温で接着することができ、耐
熱クリープ性に優れていることから、自動車等の内装用
材料として好適に使用することができるものである。し
かも、接着時に有機溶剤を使用する必要がなく、また作
業工程が簡単なことから、使用上の問題も生じない。更
に従来の接着性樹脂と同様の方法、設備を用いて製造で
きることから、比較的安価かつ容易に製造することがで
きる。従って、本発明の樹脂組成物は、多層積層構造物
の接着層として有効に利用される。
フロントページの続き (72)発明者 田越 宏孝 大分県大分市大字中ノ洲2番地 昭和電 工株式会社大分研究所内 (56)参考文献 特開 平4−246446(JP,A) 特開 昭62−129331(JP,A) 特開 昭61−163946(JP,A) 特開 昭56−92980(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 5/00 - 5/59

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレンとラジカル重合性酸無水
    物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多
    元共重合体であって、該エチレン系多元共重合体中のラ
    ジカル重合性酸無水物に由来する単位の割合が0.1〜
    5重量%、これ以外のラジカル重合性コモノマーに由来
    する単位の割合が3〜20重量%であるエチレン系多元
    共重合体及び(B)有機カルボン酸及び/又は高分子カ
    ルボン酸と周期表IA族,IIA族又はIIB族に属する金
    属との塩を含有し、かつ、(B)成分中の金属原子のモ
    ル数と(A)成分中のラジカル重合性酸無水物に由来す
    る単位のモル数の比率が2/10〜10/2の範囲であ
    ることを特徴とする内装用材料として使用される樹脂組
    成物。
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