JP3086327B2 - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

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JP3086327B2
JP3086327B2 JP04140205A JP14020592A JP3086327B2 JP 3086327 B2 JP3086327 B2 JP 3086327B2 JP 04140205 A JP04140205 A JP 04140205A JP 14020592 A JP14020592 A JP 14020592A JP 3086327 B2 JP3086327 B2 JP 3086327B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的低温での接着が
可能な2層積層体,該積層体を用いた多層積層体及びそ
れらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両内装材,自動車内装材,建築
用内装材,ディスプレー用パネル材料,家具用材料,家
電用ハウジング材料,かばん用材料,スポーツ用品用材
料,事務用品用材料などの用途には、耐傷つき性,耐候
性,風合い等の観点から軟質又は半硬質のポリ塩化ビニ
ル樹脂を表皮材料として各種の基材に接着接合した多層
積層体が広範に使用されている。しかし、最近では環境
問題や可塑剤の滲み出し、かびの発生等の問題から、ポ
リ塩化ビニルの代わりに軽量性,柔軟性,表面の傷つき
性及び耐熱性に優れた材料である熱可塑性エラストマー
が各種の基材との多層積層体として広く使用されてきて
いる。
【0003】このような多層積層体を製造するにあたっ
ては、熱可塑性エラストマー自体は他基材との接着性に
乏しいため、多くの場合溶液系接着剤での接合が行われ
ている。しかし、このような接着方法では、作業に手間
がかかるうえ、近年環境問題が重視されつつある中で、
有機溶剤による労働衛生及び危険性(火災等)の問題が
あり、必ずしも適当な方法とは言えない。一方、基材が
ポリオレフィン系の材料からなるもの、例えば、架橋ポ
リエチレンフォーム,架橋ポリプロピレンフォームなど
では、用途によってはロール圧着等の熱接着法が用いら
れる場合もあるが(特開昭57−20344号公報)、
場合に依っては、ロール圧着時の基材の圧着変形が問題
となる他、ウレタンフォームや不織布等の基材に対して
は接着性が不足して応用できない等、その応用範囲は限
られたものであった。
【0004】そこで、熱可塑性エラストマーの構成成分
にカルボキシル基や酸無水物基を有するポリオレフィン
系樹脂を用いて接着性を発現させる方法(特開昭59−
1561号公報)やカルボキシル基や酸無水物基を有す
るエチレン−α−オレフィン共重合ゴムを用いて接着性
が発現させる方法(特開昭59−27935号公報)が
提案されている。しかし、これらの方法を用いてもその
接着性は充分とは言えず、また、加工方法も限られた用
途にしか適用できず、広範に応用できる技術ではなかっ
た。
【0005】これらの問題を解消するため、エチレンに
24重量%以上の不飽和エステルを共重合させた樹脂或
いはその変性樹脂を接着樹脂として使用することが提案
されている(特開昭60−201940号公報)。具体
的には、該接着樹脂の成形フィルムを熱圧着する方法,
共押出成形によって接着させる方法,サンドイッチラミ
ネーション法で二種の基材を接着させる方法,ホットメ
ルトガン等を用いて塗布接着させる方法等が挙げられて
いる。しかし、このような接着樹脂を用いても、場合に
よっては接着強度が不充分なために長時間使用時に剥が
れが生じたり、接着に高温で長時間の熱プレスが必要な
ため表皮材料を傷めたりする等の問題がある。また、熱
可塑性エラストマーには、流動性の低下を改善する手段
として、鉱物油系軟化剤を添加することがしばしば行わ
れるが、この鉱物油系軟化剤のブリードが原因となって
接着強度の著しい低下を招く。
【0006】以上のような種々の困難があるために、従
来、熱可塑性エラストマーを他の基材、例えば、発泡ポ
リプロピレン樹脂,ポリプロピレン製ボード,ガラス繊
維入りポリプロピレンボード,レジンフェルト,ガラス
繊維入りフェノールボード,パーティクルボード,紙等
の基材に接着させることは困難であり、特殊な溶剤系接
着剤を使用する等、基材毎に特殊な接着方法を選択せざ
るを得なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、前
記従来技術の問題点を解消し、溶剤系接着剤を使用せず
に、層間接着強度が高く、かつ比較的低温で他の基材へ
の熱接着が可能な2層積層体及びその製造方法を提供す
ると共に、該2層積層体と他の基材との多層積層体及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、エチレンと
ラジカル重合性酸無水物とこれ以外のラジカル重合性コ
モノマーとの多元共重合体を接着樹脂として用いること
により、熱可塑性エラストマーと層間接着強度の極めて
高い2層積層体を形成でき、かつ比較的低温で他の基材
への熱接着が可能であることを見出した。本発明は、か
かる知見に基づいて完成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、(1)エチレン,ラ
ジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コ
モノマーからなる多元共重合体であるエチレン系共重合
体10〜100重量%及びポリオレフィン系樹脂90〜
0重量%からなる接着性樹脂組成物及び(2)熱可塑性
エラストマーからなる2層積層体並びに上記(1)成分
と(2)成分とを共押出成形することを特徴とする2層
積層体の製造方法を提供するものである。
【0010】本発明は、さらに、本発明の2層積層体の
接着性樹脂組成物層の上に他の基材を積層してなる多層
積層体及び本発明の2層積層体の接着性樹脂組成物層の
上に他の基材を熱接着させることを特徴とする多層積層
体の製造方法を提供するものである。
【0011】本発明における(1)成分の接着性樹脂組
成物は、1成分又は2成分よりなり、必須成分としてエ
チレン,ラジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカ
ル重合性コモノマーからなる多元共重合体であるエチレ
ン系共重合体を含む。ここで、ラジカル重合性酸無水物
とは、分子中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水
物基を各々1個以上有し、重合により酸無水物基を分子
中に導入できるような化合物である。このような化合物
の具体的な例としては、無水マレイン酸,無水イタコン
酸,無水エンディック酸,無水シトラコン酸,1−ブテ
ン−3,4−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも1
8である末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク
酸,炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有す
るアルカジエニル無水コハク酸等を挙げることができ
る。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えな
い。これらのうち無水マレイン酸,無水イタコン酸が特
に好ましい。
【0012】ラジカル重合性コモノマーとしては、多く
の化合物が使用でき、具体的にはエチレン系不飽和エス
テル化合物,エチレン系不飽和アミド化合物,エチレン
系不飽和酸化合物,エチレン系不飽和エーテル化合物,
エチレン系不飽和炭化水素化合物などを挙げることがで
きる。これらをさらに具体的に記せば、エチレン系不飽
和エステル化合物としては、酢酸ビニル,(メタ)アク
リル酸メチル〔(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び
メタクリル酸を意味する。以下同様。〕(メタ)アクリ
ル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)ア
クリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メ
タ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリ
ル,(メタ)アクリル酸ベンジルなどを例示することが
できる。エチレン系不飽和アミド化合物としては、(メ
タ)アクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミ
ド,N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−プロピル
(メタ)アクリルアミド,N−ブチル(メタ)アクリル
アミド,N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド,N−オ
クチル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド;N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミドなどが挙げられる。エチレン系不飽和酸化合物
としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。エチレン
系不飽和エーテル化合物としては、メチルビニルエーテ
ル,エチルビニルエーテル,プロピルビニルエーテル,
ブチルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテル,
フェニルビニルエーテルなどが挙げられる。また、エチ
レン系不飽和炭化水素化合物及びその他の化合物として
は、スチレン,α−メチルスチレン,アクリロニトリ
ル,メタクリロニトリル,アクロレイン,トリメトキシ
ビニルシラン,トリエトキシビニルシラン,塩化ビニ
ル,塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらのうち好
ましい化合物としては、酢酸ビニル(メタ)アクリル酸
エステル類,(メタ)アクリル酸などが挙げられ、なか
でも酢酸ビニルが好適である。必要に応じて、これらの
コモノマーを2種類以上同時に併用しても差し支えな
い。
【0013】上記のようなエチレン系共重合体の製造に
当たっては、基本的には通常の低密度ポリエチレンの製
造設備及び技術を利用することができる。一般的には塊
状重合であり、700〜3000気圧の圧力下で100
〜300℃の温度範囲でラジカル重合で製造される。好
ましい重合圧力、重合温度の範囲としては1000〜2
500気圧、反応器内の平均温度150〜270℃とす
ることができる。
【0014】700気圧以下では重合体の分子量が低く
なり、成形性や組成物の樹脂物性が悪化する。また、3
000気圧以上の圧力は、実質的に無意味であり、製造
コストを高めるだけである。平均重合温度が100℃以
下では重合反応が安定せず、共重合体への転化率が低下
し、経済的に問題がある。300℃を超えると、共重合
体の分子量が低下すると同時に暴走反応の危険性が生じ
る。
【0015】製造装置としては、ベッセル型の反応器を
使用することが好ましい。特に、ラジカル重合性酸無水
物は、重合安定性が乏しいため、反応器内の高度の均一
化が必要である。また、必要に応じて、複数個の反応器
を直列又は並列に接続し、多段重合を行うこともでき
る。さらに、反応器の内部を複数のゾーンに仕切ること
により、より緻密な温度制御を行うこともできる。
【0016】本発明に用いるエチレン系共重合体の製造
は、上記の反応条件で少なくとも1種のフリーラジカル
開始剤の存在下で行われる。該フリーラジカル開始剤と
しては、例えば、酸素;ジ−t−ブチルパーオキシド,
t−ブチルクミルパーオキシド,ジクミルパーオキシド
等のジアルキルパーオキシド;アセチルパーオキシド,
i−ブチリルパーオキシド,オクタノイルパーオキシド
等のジアシルパーオキシド;ジ−i−プロピルパーオキ
シカーボネート,ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカ
ーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパ
ーオキシピバレート,t−ブチルパーオキシラウレート
等のパーオキシエステル;メチルエチルケトンパーオキ
シド,シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオ
キシド;1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘ
キサン,2,2−ビス−t−ブチルパーオキシオクタン
等のパーオキシケタール;t−ブチルヒドロパーオキシ
ド,クメンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシ
ド;2,2−アゾ−i−ブチロニトリル等のアゾ化合物
などが挙げられる。
【0017】また、重合に当たって、分子量調節剤とし
て、種々の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移
動剤としては、例えば、プロピレン,ブテン,ヘキセン
等のオレフィン類;エタン,プロパン,ブタン等のパラ
フィン類;アセトン,メチルエチルケトン,酢酸メチル
等のカルボニル化合物;トルエン,キシレン,エチルベ
ンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0018】このようにして製造された、上記条件を満
たすエチレン系共重合体は、比較的低温で融解し、各種
基材との物理的化学的相互作用,反応性に富んでいるた
め、熱可塑性エラストマーと低温で共押出成形する場合
でも高い接着力を発揮する。
【0019】本発明における(1)成分の接着性樹脂組
成物には、第2成分としてポリオレフィン系樹脂を含ん
でいてもよい。ここで、ポリオレフィン樹脂としては、
高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,ポリプロピ
レン,ポリブテン,ポリイソプレン,ポリ−3−メチル
ブテン−1,ポリ−4−メチルペンテン−1,ポリブタ
ジエン,前記樹脂の構成単位の共重合体,さらに具体的
には、プロピレン,ブテン−1,4−メチルペンテン−
1,ヘキセン−1,オクテン−1から選ばれるコモノマ
ーを用いた直鎖状低密度ポリエチレン系共重合体及びエ
チレン,ブテン−1,4−メチルペンテン−1,ヘキセ
ン−1,オクテン−1から選ばれるコモノマーを用いた
プロピレン系共重合体(ブロック共重合体をも含む)又
はこれらの樹脂の混合物などが挙げられる。
【0020】以上の2成分を混合することにより本発明
における接着性樹脂組成物が得られるが、混合に当たっ
ては、通常知られている種々の方法を用いることができ
る。その具体的な方法を例示すれば、各々の成分を高温
のトルエンのような良溶媒に溶解、再沈させる方法、各
成分を溶融状態で混合する方法、即ち、一般に用いられ
ている加圧ニーダー,ロール,バンバリーミキサー,ス
タティックミキサー,スクリュー式押出機などを用いる
方法を挙げることができる。
【0021】また、場合によっては樹脂組成物の成形時
に各成分をドライブレンドすることもできる。すなわ
ち、各成分をペレット又は粉体の状態で混合し、溶融混
合することもできる。
【0022】本発明に用いる接着性樹脂組成物には、該
組成物の特徴を損なわない範囲で各種の添加剤,配合
剤,充填剤などを配合することができる。これらを具体
的に示せば、酸化防止剤(耐熱安定剤),紫外線吸収剤
(光安定剤),帯電防止剤,防曇剤,難燃剤,滑剤(ス
リップ剤,アンチブロッキング剤),ガラス,フィラー
等の無機充填剤,有機充填剤,補強剤,着色剤(染料,
顔料),発泡剤,香料などが挙げられる。
【0023】本発明に用いる接着性樹脂組成物の製造に
当たって、エチレン系共重合体及びポリオレフィン系樹
脂の配合割合は、最終的に必要とされる要求に応じて変
動するので、一概には規定できないが、エチレン系共重
合体10〜100重量%及びポリオレフィン樹脂0〜9
0重量%の範囲とするのが好ましい。ポリオレフィン系
樹脂の割合が90重量%を超えると、エチレン系共重合
体の性能を発揮することができなくなり、好ましくな
い。
【0024】また、上記のようにして製造された接着性
樹脂組成物は、接着性樹脂組成物の必須構成成分である
エチレン系共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来
する単位の割合が、接着性樹脂組成物全体に対して0.
1〜5重量%の範囲であるのが好ましく、0.5〜4重
量%の範囲であるのがより好ましい。ラジカル重合性酸
無水物の割合が接着性樹脂組成物全体に対して0.1重
量%未満では接着性能が不足して良好な2層積層体を製
造できない。逆に、5重量%を超えてラジカル重合性酸
無水物に由来する単位が含まれていても、本発明の特長
である接着性の向上にはもはや影響を与えず、経済的に
も無意味となるため好ましくない。
【0025】さらに、接着性樹脂組成物の必須構成成分
であるエチレン系共重合体中のラジカル重合性コモノマ
ーに由来する単位の割合が、接着性樹脂組成物全体に対
して3〜50重量%の範囲であるのが好ましく、5〜3
0重量%の範囲であるのがより好ましい。この割合が3
重量%未満であると、エチレン系共重合体の柔軟性が失
われ、好ましくない。逆に、この単位の含有量が50重
量%を超えると、樹脂の取り扱いが困難になるとともに
製品の耐熱性が低下し、好ましくない。
【0026】次に、本発明における(2)成分である熱
可塑性エラストマーとしては、少なくとも部分的に架橋
されたエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
オレフィン系樹脂とのブレンド体を用いるのが好まし
い。このようなブレンド体としては、下記のものが挙げ
られる。
【0027】 エチレン又はプロピレンの単独重合体
又は少量の他のコモノマーとの共重合体で代表される各
種のポリオレフィン系樹脂及びエチレンと炭素数3〜1
4のα−オレフィンとの2元共重合体ゴム又はこれに各
種ポリエン化合物をさらに共重合させた3元共重合体ゴ
ムであるエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの部分
架橋物及び/又は完全架橋物の混合物からなる熱可塑性
組成物。
【0028】 ポリオレフィン系樹脂とエチレン・α
−オレフィン系共重合体ゴムとの組成物を動的に熱処理
して得られた熱可塑性組成物。
【0029】 ポリオレフィン系樹脂とエチレン・α
−オレフィン系共重合体ゴムとの組成物を動的に熱処理
して得られたものに、さらにポリオレフィンをブレンド
して得られた熱可塑性組成物。
【0030】 エチレン又はプロピレンの単独重合体
又はこれらと少量のコモノマーとの共重合体で代表され
る各種ペルオキシド架橋型ポリオレフィン系樹脂とエチ
レン・α−オレフィン系共重合体ゴムとの組成物を動的
に熱処理して得られる熱可塑性組成物。
【0031】また、本発明に用いる熱可塑性エラストマ
ーは、必要に応じて鉱物油系軟化剤を含んでいてよい。
鉱物油系軟化剤は、通常、ゴムをロール加工する際にゴ
ムの分子間力を弱め、加工を容易にすると共に、カーボ
ンブラック,ホワイトカーボン等の分散を促進し、或い
は加硫ゴムの硬さを低下させて柔軟性やゴム弾性を増す
目的で使用されている石油留分であり、パラフィン系,
ナフテン系,芳香族系等に区別されている。これらのう
ちパラフィン系のプロセスオイルが好適である。
【0032】鉱物油系軟化剤は、熱可塑性エラストマー
中に0〜60重量%の範囲で使用することができる。す
なわち、(a)少なくとも部分的に架橋されたエチレン
−α−オレフィン共重合ゴム及びポリオレフィン系樹脂
のブレンド体100〜40重量%及び(b)鉱物油系軟
化剤0〜60重量%からなる熱可塑性エラストマーを用
いることができる。鉱物油系軟化剤を60重量%を超え
る量で使用すると、熱可塑性エラストマーの強度が低下
したり、鉱物油系軟化剤が滲み出して外観を損なう等の
問題が生じ、好ましくない。
【0033】本発明に用いる熱可塑性エラストマーに
は、該組成物の特長を損なわない範囲で他の添加剤,配
合剤,充填剤などを使用することができる。これらを具
体的に示せば、ガラス,カーボンブラック,酸化亜鉛,
クレー,タルク,重質炭酸カルシウム,カオリン,珪藻
土,シリカ,アルミナ,アスベスト,グラファイト等の
無機充填剤の他、有機充填剤,酸化防止剤(耐熱安定
剤),紫外線吸収剤(光安定剤),帯電防止剤,防曇
剤,難燃剤,滑剤(スリップ剤,アンチブロッキング
剤),補強剤,着色剤(染料,顔料),発泡剤,香料な
どが挙げられる。
【0034】本発明により接着性樹脂組成物と熱可塑性
エラストマーとの積層体を製造するには、通常、共押出
成形法と呼ばれる方法が用いられる。具体的には、二層
構造を有するTダイと、これに直結した2台の押出成形
機を用いて、接着性樹脂組成物と熱可塑性エラストマー
を同時に多層押出成形する方法である。この方法によれ
ば、接着性樹脂組成物層と熱可塑性エラストマー層との
間の接着強度の極めて高い二層積層体を製造することが
できる。
【0035】また、接着性樹脂組成物と熱可塑性エラス
トマーとを同時に多層射出成形する方法や、金型内に接
着性樹脂組成物又は熱可塑性エラストマーをインサート
し、その表面に熱可塑性エラストマー又は接着性樹脂組
成物を射出成形する方法によっても製造することができ
る。
【0036】一方、他の成形方法として、接着性樹脂組
成物及び熱可塑性エラストマーをインフレ成形又はTダ
イ成形によってフィルム又はシート化した後、ポリオレ
フィン系樹脂組成物と熱可塑性エラストマーを熱プレス
又は熱ロールで加熱圧着成形する方法や、接着性樹脂組
成物又は熱可塑性エラストマーのフィルム又はシート
に、熱可塑性エラストマー又は接着性樹脂組成物をラミ
ネート成形する方法も考えられるが、これらの方法で
は、特に、鉱物油系軟化剤を含む熱可塑性エラストマー
との接着強度が、前記共押出成形によって製造された積
層体に比べて低下するので好ましくない。
【0037】本発明の2層積層体は、感熱接着性に極め
て乏しい熱可塑性エラストマーに、エチレンとラジカル
重合性酸無水物との共重合体によって各種基材との接着
性を付与した材料である。したがって、該2層積層体を
用いて、例えば、熱ロール,熱プレス,熱真空プレスな
どの感熱接着方法によって、容易に各種基材との多層積
層体を製造することができる。しかも、本発明に用いた
接着性樹脂組成物の融点が60〜100℃の範囲と比較
的低いために、80〜120℃の比較的低いオンでの熱
接着が可能となる。
【0038】前記のごとく本発明の2層積層体の接着性
樹脂組成物層上に各種基材を感熱接着させることがで
き、これらの基材と熱接着させた多層積層体は、種々の
用途に適用できるが、特に車両或いは自動車内装材料と
して好適に用いることができる。車両或いは自動車の表
皮材料には、現在軟質塩化ビニル樹脂が主として用いら
れているが、環境問題から軟質塩化ビニルに代わる表皮
材料としてポリオレフィン系熱可塑性エラストマーへの
期待が高まっている。したがって、熱可塑性エラストマ
ーと現在内装用材料に使用されている先に挙げたごとき
各種基材との多層積層体は、車両或いは自動車内装用材
料として好適な材料である基材の具体例としては、発泡
ポリプロピレン樹脂,ポリプロピレン製ボード,ガラス
繊維入りポリプロピレンボード,レジンフェルト,ガラ
ス繊維入りフェノールボード,パーティクルボードなど
が挙げられる。
【0039】なかでも、上記発泡ポリプロピレン樹脂や
ポリプロピレン製ボードを基材として用いた多層積層体
は、車両或いは自動車内装用材料として用いた場合にリ
サイクルが可能な材料であるという利点も有している。
【0040】本発明による接着性樹脂組成物と熱可塑性
エラストマーとの二層積層体と感熱接着の可能なさらに
他の基材としては、前記車両或いは自動車内装用材料以
外に主として用いられるポリエチレンフォーム,PVC
フォーム,ポリスチレンフォーム,ポリウレタンフォー
ム等の発泡樹脂の他、樹脂を含浸させて硬化したダンボ
ール紙ボードなどが挙げられる。また、ポリアミド,ポ
リエステル,ポリエチレン,ポリメチルメタクリレー
ト,ポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリイミド,
セロファン,フェノール樹脂,不飽和ポリエステル硬化
樹脂,ABS,AES,HIPS等の合成樹脂からなる
ボード或いはシートも挙げられる。さらには、ナイロ
ン,ポリエステル,ウール,木綿,シルク或いはそれら
の混紡等の布地;ナイロン不織布,PET不織布,ガラ
ス繊維不織布,ポリオレフィン不織布,再生セルロース
不織布等の不織布;和紙,パルプ紙,上質紙,ユポ,化
粧紙,クラフト紙等の紙を挙げることができる。また、
合板や、アルミニウム,鉄,銅,真ちゅう,トタン,ブ
リキ等の金属板,金属箔等の他、ポリエチレン,ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン樹脂で製造されたクロスな
ども挙げることができる。
【0041】以上に例示した基材を用いることによって
得られた多層積層体は、自動車用材料,車両用材料,船
舶用材料,建築用材料,ディスプレー用パネル材料,家
具用材料,家電用ハウジング材料,かばん用材料,スポ
ーツ用品用材料,事務用品用材料などの広範な分野に好
適に使用することができる。
【0042】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらによって制限されるもので
はない。
【0043】参考例1(エチレン−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸3元共重合体の製造) 高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を利用し、重
合温度240℃、重合圧力1900Kg/cm2 の条件
で、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸3元共重合
体を製造した。この3元共重合体(以下、エチレン系共
重合体(A)と称する)のMFR(JIS−K721
0,表1,条件4)は30、酢酸ビニルに由来する単位
の含有量は19重量%、無水マレイン酸に由来する単位
の含有量は2.7重量%であった。なお、コモノマーの
組成は赤外線吸収スペクトルによって決定した。
【0044】参考例2(エチレン−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸3元共重合体の製造) 高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を利用し、重
合温度200℃、重合圧力1900Kg/cm2 の条件
で、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸3元共重合
体を製造した。この3元共重合体(以下、エチレン系共
重合体(B)と称する)のMFR(JIS−K721
0,表1,条件4)は12、酢酸ビニルに由来する単位
の含有量は13重量%、無水マレイン酸に由来する単位
の含有量は0.8重量%であった。なお、コモノマーの
組成は赤外線吸収スペクトルによって決定した。
【0045】参考例3(エチレン−アクリル酸エチル−
無水マレイン酸3元共重合体の製造) 高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を利用し、重
合温度190℃、重合圧力1900Kg/cm2 の条件
で、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸3元
共重合体を製造した。この3元共重合体(以下、エチレ
ン系共重合体(C)と称する)のMFR(JIS−K7
210,表1,条件4)は80、アクリル酸エチルに由
来する単位の含有量は35重量%、無水マレイン酸に由
来する単位の含有量は3.8重量%であった。なお、コ
モノマーの組成は赤外線吸収スペクトルによって決定し
た。
【0046】参考例4(エチレン−酢酸ビニル−無水マ
レイン酸3元共重合体の製造) 高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を利用し、重
合温度220℃、重合圧力1800Kg/cm2 の条件
で、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸3元共重合
体を製造した。この3元共重合体(以下、エチレン系共
重合体(D)と称する)のMFR(JIS−K721
0,表1,条件4)は8、酢酸ビニルに由来する単位の
含有量は8重量%、無水マレイン酸に由来する単位の含
有量は1.8重量%であった。なお、コモノマーの組成
は赤外線吸収スペクトルによって決定した。
【0047】参考例5(熱可塑性エラストマーの調製) エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン3元共
重合体〔エチレン/プロピレンのモル比70/30、沃
素価14、ムーニー粘度(ML1+4,121℃)59〕4
9重量%,ポリプロピレン〔MFR(JIS−K721
0,表1,条件14)15g/10分〕20重量%,ナ
フテン系プロセスオイル30重量%及び1,3−ビス
(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン/トリ
メチロールプロパントリアクリレート/パラフィン系鉱
物油が重量比で2/3/5である混合物1重量%を、ヘ
ンシェルミキサーで混合し、その後、この混合物を12
0〜140℃に予熱されたバンバリーミキサーに投入
し、180〜190℃で10分間混練し、架橋反応を行
った。この生成物を以下、熱可塑性エラストマー(1)
と称する。
【0048】参考例6(熱可塑性エラストマーの調製) エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン3元共
重合体〔エチレン/プロピレンのモル比70/30、沃
素価14、ムーニー粘度(ML1+4,121℃)59〕6
9重量%,ポリプロピレン〔MFR(JIS−K721
0,表1,条件14)15g/10分〕30重量%及び
1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベ
ンゼン/トリメチロールプロパントリアクリレート/パ
ラフィン系鉱物油が重量比で2/3/5である混合物1
重量%を、ヘンシェルミキサーで混合し、その後この混
合物を120〜140℃に予熱されたバンバリーミキサ
ーに投入し、180〜190℃で10分間混練し、架橋
反応を行った。この生成物を以下、熱可塑性エラストマ
ー(2)と称する。
【0049】実施例1 参考例1で製造したエチレン系共重合体(A)からなる
接着性樹脂と参考例5で調製した熱可塑性エラストマー
(1)を、直径35mmのスクリューを装着した押出機
2台と2層Tダイを有するシート成形機を用い、Tダイ
部温度190℃で、厚さ400μm(このうち、エチレ
ン系共重合体(A)の厚さは80μm)の2層シートを
得た。得られたシートの接着性樹脂層と熱可塑性エラス
トマー層の界面の剥離強度は、剥離不能で測定できなか
った。作業性は良好であり、接着も良好であった。
【0050】実施例2 参考例2で製造したエチレン系共重合体(B)からなる
接着性樹脂と参考例5で調製した熱可塑性エラストマー
(1)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ40
0μm(このうち、エチレン系共重合体(B)の厚さは
80μm)の2層シートを得た。得られたシートの接着
性樹脂層と熱可塑性エラストマー層の界面の剥離強度
は、剥離不能で測定できなかった。作業性は良好であ
り、接着も良好であった。
【0051】実施例3 参考例3で製造したエチレン系共重合体(C)からなる
接着性樹脂と参考例6で調製した熱可塑性エラストマー
(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ40
0μm(このうち、エチレン系共重合体(C)の厚さは
80μm)の2層シートを得た。得られたシートの接着
性樹脂層と熱可塑性エラストマー層の界面の剥離強度
は、剥離不能で測定できなかった。作業性は良好であ
り、接着も良好であった。
【0052】実施例4 参考例4で製造したエチレン系共重合体(D)からなる
接着性樹脂と参考例5で調製した熱可塑性エラストマー
(1)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ40
0μm(このうち、エチレン系共重合体(D)の厚さは
80μm)の2層シートを得た。得られたシートの接着
性樹脂層と熱可塑性エラストマー層の界面の剥離強度
は、剥離不能で測定できなかった。作業性は良好であ
り、接着も良好であった。
【0053】実施例5 参考例1で製造したエチレン系共重合体(A)70重量
%及び低密度ポリエチレンであるショウレックス(登録
商標)L182〔MFR(JIS−K7210,表1,
条件4)8,密度0.917〕30重量%の2成分をド
ライブレンドした後、37mm同方向2軸押出機で18
0℃で溶融混練してペレットとした接着性樹脂組成物
と、参考例6で調製した熱可塑性エラストマー(2)を
用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ400μm
(このうち、接着性樹脂組成物層の厚さは80μm)の
2層シートを得た。得られたシートの接着性樹脂層と熱
可塑性エラストマー層の界面の剥離強度は、剥離不能で
測定できなかった。作業性は良好であり、接着も良好で
あった。
【0054】実施例6 参考例3で製造したエチレン系共重合体(C)20重量
%及び低密度ポリエチレンであるショウレックス(登録
商標)L182〔MFR(JIS−K7210,表1,
条件4)8,密度0.917〕80重量%の2成分をド
ライブレンドした後、37mm同方向2軸押出機で18
0℃で溶融混練してペレットとした接着性樹脂組成物
と、参考例5で調製した熱可塑性エラストマー(1)を
用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ400μm
(このうち、接着性樹脂組成物層の厚さは80μm)の
2層シートを得た。得られたシートの接着性樹脂層と熱
可塑性エラストマー層の界面の剥離強度は、剥離不能で
測定できなかった。作業性は良好であり、接着も良好で
あった。
【0055】実施例7 参考例4で製造したエチレン系共重合体(D)90重量
%及びプロピレン−エチレンランダム共重合体であるシ
ョウアロマー(登録商標)FD432〔MFR(JIS
−K7210,表1,条件14)9,エチレン単位8重
量%〕10重量%の2成分をドライブレンドした後、3
7mm同方向2軸押出機で200℃で溶融混練してペレ
ットとした接着性樹脂組成物と、参考例5で調製した熱
可塑性エラストマー(1)を用いた以外は、実施例1と
同様にして厚さ400μm(このうち、接着性樹脂組成
物層の厚さは80μm)の2層シートを得た。得られた
シートの接着性樹脂層と熱可塑性エラストマー層の界面
の剥離強度は、剥離不能で測定できなかった。作業性は
良好であり、接着も良好であった。
【0056】比較例1 実施例1においてエチレン系共重合体(A)の代わり
に、エチレン−酢酸ビニル2元共重合体〔MFR(JI
S−K7210,表1,条件14)12、酢酸ビニルに
由来する単位12重量%〕を用いた以外は、実施例1と
同様にして厚さ400μm(このうち、エチレン系共重
合体(A)の厚さは80μm)の2層シートを得た。
【0057】恒温室中温度23℃、湿度60%で24時
間状態調節後、接着した試料を15mm幅に切断し、引
張試験機を用いて剥離速度300mm/分で、180°
剥離による接着強度を測定した。その結果、接着性樹脂
層と熱可塑性エラストマー層の界面の剥離強度は、72
0g/mmであり、不充分であった。
【0058】比較例2 実施例1においてエチレン系共重合体(A)の代わり
に、エチレン−アクリル酸エチル2元共重合体〔MFR
(JIS−K7210,表1,条件14)8、アクリル
酸エチルに由来する単位5重量%〕を用いた以外は、実
施例1と同様にして厚さ400μm(このうち、エチレ
ン−アクリル酸エチル2元共重合体の厚さは80μm)
の2層シートを得た。
【0059】比較例1と同様の方法で層間接着強度を測
定したところ、接着性樹脂層と熱可塑性エラストマー層
の界面の接着強度は、610g/15mmであり、不充
分であった。
【0060】比較例3 参考例2で製造したエチレン系共重合体(B)5重量%
及び低密度ポリエチレンであるショウレックス(登録商
標)L182〔MFR(JIS−K7210,表1,条
件4)8,密度0.917〕95重量%の2成分をドラ
イブレンドした後、37mm同方向2軸押出機で180
℃で溶融混練してペレットとした接着性樹脂組成物と、
参考例6で調製した熱可塑性エラストマー(2)を用い
た以外は、実施例1と同様にして厚さ400μm(この
うち、接着性樹脂組成物層の厚さは80μm)の2層シ
ートを得た。
【0061】比較例1と同様の方法で層間接着強度を測
定したところ、接着性樹脂層と熱可塑性エラストマー層
の界面の接着強度は、550g/15mmであり、不充
分であった。
【0062】比較例4 参考例2で製造したエチレン系共重合体(B)からなる
接着性樹脂と、参考例5においてエチレン・プロピレン
・エチリデンノルボルネン3元共重合体29重量%,ポ
リプロピレン5重量%,ナフテン系プロセスオイシル6
5重量%を用い、その他は参考例5と同様の方法で製造
した熱可塑性エラストマーを、直径35mmのスクリュ
ーを装着した押出機2台と2層Tダイを有するシート成
形機を用い、Tダイ部温度190℃で、厚さ400μm
(このうち、エチレン系共重合体(B)の厚さは80μ
m)の2層シートを得た。
【0063】比較例1と同様の方法で層間接着強度を測
定したところ、接着性樹脂層と熱可塑性エラストマー層
の界面の接着強度は、480g/15mmであり、不充
分であった。
【0064】比較例5 参考例1で製造したエチレン系共重合体(A)を、直径
35mmのスクリュー及びTダイを装着した押出成形機
を用い、Tダイ部温度180℃で80μmのフィルムを
得た。また、参考例5で調製した熱可塑性エラストマー
(1)を、同様の製造条件で押出成形し、厚さ300μ
mのシートを得た。
【0065】得られたエチレン系共重合体(A)のフィ
ルム及び熱可塑性エラストマー(1)のシートをそれぞ
れ10cm×10cmの大きさに裁断した後、テスター
産業(株)製ヒートシーラーを用い、エチレン系共重合
体(A)側のシールバー温度150℃、熱可塑性エラス
トマー(1)側のシールバー温度40℃、ゲージ圧2K
g/cm2 、加熱時間1秒のヒートシール条件で接着し
た。
【0066】比較例1と同様の方法で層間接着強度を測
定したところ、接着強度は490g/15mmであり、
不充分であった。
【0067】比較例6 参考例3で製造したエチレン系共重合体(C)及び参考
例6で調製した熱可塑性エラストマー(2)を用いた以
外は、比較例5と同様の方法で成形及び接着を行った。
比較例1と同様の方法で層間接着強度を測定したとこ
ろ、接着強度は、130g/15mmであり、不充分で
あった。
【0068】実施例8 実施例1で得られた2層シートを用い、その2層シート
の接着性樹脂面側に基材として発泡ポリプロピレン(架
橋型)を接着して、多層積層体を得た。接着には、熱プ
レスを用い、プレス下面に基材を置き、その上に接着性
樹脂面側を下向きにして実施例1で得られた2層シート
を重ね、プレス上面温度(2層シート側プレス温度)を
150℃、プレス下面温度(基材側プレス温度)を常
温、プレスゲージ圧力0.2Kg/cm2 で3秒間圧着
した。
【0069】得られた10cm×10cmの多層積層体
を恒温室中温度23℃、湿度60%で24時間状態調節
した後、1.5cm幅に切断し、東洋ボールドウイン製
引張試験機で300mm/分の引張速度で接着性樹脂と
基材間の接着強度の評価を行った。結果を表1に示す。
作業性は良好であり、接着も良好であった。
【0070】実施例9〜15 基材として表1に挙げた種々の材料を用い、実施例8と
同様の方法で接着して多層積層体を得た。得られた多層
積層体の、接着性樹脂と基材間の接着強度の評価結果を
表1に示す。いずれの場合も作業性は良好であり、接着
も良好であった。
【0071】
【表1】
【0072】なお、表1に挙げた基材の略称は、下記の
ものを意味する。 PPボード: ポリプロピレン製ボード GF入りPPボード:ガラス繊維入りポリプロピレン製
ボード GF入りPHボード:ガラス繊維入りフェノールボード
【0073】実施例16〜21 実施例2で得られた2層シートを用い、基材として表2
に挙げた種々の材料を用いた以外は、実施例8と同様の
方法で接着を行い、多層積層体を得た。得られた多層積
層体の、接着性樹脂と基材間の接着強度の評価結果を表
2に示す。いずれの場合も作業性は良好であり、接着も
良好であった。
【0074】
【表2】
【0075】なお、表2に挙げた基材の略称は、下記の
ものを意味する。 PPボード: ポリプロピレン製ボード PCボード: ポリカーボネートボード
【0076】実施例22〜27 実施例5で得られた2層シートを用い、基材として表3
に挙げた種々の材料を用いた以外は、実施例8と同様の
方法で接着を行い、多層積層体を得た。得られた多層積
層体の、接着性樹脂と基材間の接着強度の評価結果を表
3に示す。いずれの場合も作業性は良好であり、接着も
良好であった。
【0077】
【表3】
【0078】なお、表3に挙げた基材の略称は、下記の
ものを意味する。 GF入りPHボード:ガラス繊維入りフェノールボード
【0079】実施例28〜33 実施例6で得られた2層シートを用い、基材として表4
に挙げた種々の材料を用いた以外は、実施例8と同様の
方法で接着を行い、多層積層体を得た。得られた多層積
層体の、接着性樹脂と基材間の接着強度の評価結果を表
4に示す。いずれの場合も作業性は良好であり、接着も
良好であった。
【0080】
【表4】
【0081】
【発明の効果】本発明の2層積層体は、高い層間接着強
度を有し、かつ他の様々な基材に対して比較的低温で良
好な熱接着性を示し、多様な多層積層体の製造に有用で
ある。本発明による多層積層体は、車両内装材,自動車
内装材,建築用内装材,ディスプレー用パネル材料,家
具用材料,家電用ハウジング材料,かばん用材料,スポ
ーツ用品用材料,事務用品用材料等の広範な用途に利用
が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 克明 大分県大分市大字中ノ洲2番地 昭和電 工株式会社大分工場内 (72)発明者 稲沢 伸太郎 大分県大分市大字中ノ洲2番地 昭和電 工株式会社大分研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−201940(JP,A) 特開 昭59−78850(JP,A) 特開 昭51−143039(JP,A) 特開 昭60−252674(JP,A) 特開 昭59−188433(JP,A) 特開 平2−74340(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)エチレン,ラジカル重合性酸無水
    物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多
    元共重合体であるエチレン系共重合体10〜100重量
    %及びポリオレフィン系樹脂90〜0重量%からなる接
    着性樹脂組成物及び(2)熱可塑性エラストマーからな
    る2層積層体。
  2. 【請求項2】 エチレン系共重合体のラジカル重合性酸
    無水物に由来する単位が、接着性樹脂組成物に対して
    0.1〜5重量%の範囲で含まれ、かつ他のラジカル重
    合性コモノマーに由来する単位が接着性樹脂組成物に対
    して3〜50重量%の範囲で含まれている請求項1記載
    の2層積層体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーが、 (a)少なくとも部分的に架橋されたエチレン−α−オレフィン共重合ゴム及び ポリオレフィン系樹脂のブレンド体 100〜40重量% 及び (b)鉱物油系軟化剤 0〜60重量% からなるものである請求項1記載の2層積層体。
  4. 【請求項4】 (1)エチレン,ラジカル重合性酸無水
    物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多
    元共重合体であるエチレン系共重合体10〜100重量
    %及びポリオレフィン系樹脂90〜0重量%からなる接
    着性樹脂組成物及び(2)熱可塑性エラストマーを共押
    出成形することを特徴とする2層積層体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の2層積層体の接着性樹脂
    組成物層上に他の基材層を積層してなる多層積層体。
  6. 【請求項6】 他の基材が発泡ポリプロピレン樹脂,ポ
    リプロピレン製ボード,ガラス繊維入りポリプロピレン
    ボード,レジンフェルト,ガラス繊維入りフェノールボ
    ード又はパーティクルボードである請求項5記載の多層
    積層体。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の2層積層体の接着性樹脂
    組成物層上に他の基材層を熱接着させることを特徴とす
    る多層積層体の製造方法。
  8. 【請求項8】 ラジカル重合性コモノマーが酢酸ビニル
    である請求項1記載の2層積層体。
  9. 【請求項9】 ラジカル重合性コモノマーが酢酸ビニル
    である請求項4記載の2層積層体の製造方法。
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