JPH07216154A - 接着性樹脂組成物及び多層積層体 - Google Patents

接着性樹脂組成物及び多層積層体

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JPH07216154A
JPH07216154A JP1120794A JP1120794A JPH07216154A JP H07216154 A JPH07216154 A JP H07216154A JP 1120794 A JP1120794 A JP 1120794A JP 1120794 A JP1120794 A JP 1120794A JP H07216154 A JPH07216154 A JP H07216154A
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JP
Japan
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weight
adhesive
resin composition
ethylene
resin
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Application number
JP1120794A
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English (en)
Inventor
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
Yasuhiro Mikawa
泰広 三河
Koji Nagaoka
孝司 長岡
Katsuaki Tsutsumi
克明 堤
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低温接着性に優れ、且つ広範な基材に対して
優れた接着性を示す、接着性樹脂組成物を提供する。ま
た、自動車、車両、船舶、住居、その他の建築物等の内
装材料として好適な、基板材層、接着性樹脂組成物層、
表皮材層からなる多層積層体を提供する。 【構成】 (1)エチレンとラジカル重合性酸無水物及
びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多元共
重合体であり、共重合体中のラジカル重合性酸無水物に
由来する単位の割合が0.1重量%以上で10重量%以
下、他のラジカル重合性コモノマーに由来する単位の割
合が5重量%以上で50重量%以下であるエチレン系共
重合体99〜80重量部及び (2)フェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂1〜20重量
部からなる接着性樹脂組成物。及び表皮材層、該接着性
樹脂組成物を用いた接着層、基板材層からなる多層積層
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種の基材に対して良好
な接着性を示す接着性樹脂組成物、及び該接着性樹脂組
成物を使用した自動車、車両、船舶、住居、その他の建
築物等の内装材料として好適に使用される多層積層体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種の多層積層体の接着層と
して、感熱型接着剤が使用されている。これらの接着剤
は溶剤型の接着剤と異なり、接着時に塗装,乾燥,エー
ジング等の作業が不要で作業工程が簡単なこと、また、
有機溶剤の使用に伴う労働衛生上の悪影響や火災の危険
性等の問題を生じないことから広範に使用されている。
その反面感熱型接着剤は、一般に溶剤型接着剤に比べて
接着強度が不十分であり、積層体の用途によっては接着
性が充分でないという問題がしばしば指摘されていた。
例えば、自動車、車両、船舶、住居、その他の建築物等
の内装材料として、室内の居住性や美観を高めるための
表皮材と、機能性を保持し高めるための基板材を積層し
た多層積層体が使用されているが、この多層積層体の接
着層として従来から使用されているエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化
物、エチレン−(メタ)アクリ酸エステル共重合体や共
重合ナイロン等の感熱型接着剤は、接着に際して加熱温
度を比較的高温とすれば接着性を高めることができる
が、この場合には表皮材の損傷を招きやすいという欠点
を有する。この欠点を有しない感熱型接着剤もあるが、
価格が高価であり、コスト面からその使用が制限される
欠点を有する。
【0003】また、感熱型接着剤は、基材(表皮材及び
基板材を含む)の種類によっては充分な接着性が得られ
ないという問題もある。例えば、基材の表面にウレタン
塗料が塗布されている場合、基材が発泡ウレタン系の場
合または基材が射出成形されたポリプロピレンであって
表面が平滑な場合等では、充分な接着性が得られず、基
材層の剥離を生じやすい。このような場合には、あらか
じめ基材の表面に特殊な処理を施すか、または感熱型接
着剤に代えて溶剤型接着剤を使用する等の処置が必要と
なるが、前者は作業工程が複雑になり製造コストの上昇
を招くという欠点を有し、後者は有機溶剤の使用により
環境、衛生上の悪影響を生じるという欠点を有するた
め、結局感熱型接着剤を使用する利益を得ることができ
ない。更に、従来積層体の接着製造方法としては熱プレ
スや熱ロールを用いる方法の他、真空圧着による方法も
用いられている。熱プレスや熱ロール方法では、十分な
圧力を得ることができるため従来の感熱型接着剤の使用
も可能であったが、真空圧着方法では最大でも760m
mHg/cm2 の圧力しか得られないために従来のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体の部分鹸化物、エチレン−(メタ)アクリ酸エステ
ル共重合体や共重合ナイロン等の感熱型接着剤では極め
て弱い接着力しか得られず、溶剤系の接着剤を用いるほ
かなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、充分な
接着強度を有し、あらゆる用途の積層体の接着層として
使用でき、自動車、車両、船舶、住居、その他の建築物
等の内装材料の接着層として使用した場合に、表皮材の
損傷を防止できる低温での接着性を有する接着剤は、未
だ開発されていなかった。また、いかなる基材に対して
も高い接着力を有し、更に、作業性,環境への悪影響等
の使用上の問題を有さず、コスト面でも満足できる接着
剤は、未だ開発されていないのが実情であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記の実情に鑑み、従来技術の欠点を解消した接着剤を開
発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定のエチレン
系多元共重合体とフェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂か
らなる樹脂組成物が、広範な基材に対して高い接着力を
有することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて
完成したものである。
【0006】すなわち、本発明は、(1)エチレンとラ
ジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コ
モノマーからなる多元共重合体であり、共重合体中のラ
ジカル重合性酸無水物に由来する単位の割合が0.1重
量%以上で10重量%以下、他のラジカル重合性コモノ
マーに由来する単位の割合が5重量%以上で50重量%
以下であるエチレン系共重合体99〜80重量部及び
(2)フェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂1〜20重量
部からなる接着性樹脂組成物、また、上記の組成物10
0重量部に対して50重量部以下の(3)ポリオレフィ
ン系樹脂を含む接着性樹脂組成物、さらには上記(1)
〜(3)の樹脂組成物100重量部に対して、(4)有
機カルボン酸の金属塩0.05〜20重量部を加えて成
る接着性樹脂組成物、及び該接着性樹脂組成物を用いて
なる多層積層体を提供するものである。
【0007】以下本発明を具体的に説明する。本発明の
接着性樹脂組成物の(1)成分を構成するエチレン系共
重合体は、エチレン,ラジカル重合性酸無水物及び前記
のラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重合性コモノ
マーからなる多元共重合体である。ここで、ラジカル重
合性酸無水物とは、分子中にラジカル重合可能な不飽和
結合と酸無水物基を各々1個以上有し、重合によって酸
無水物基を分子中に導入できるような化合物を意味す
る。このような化合物としては、例えば、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水エンディ
ック酸、ドデセニル無水コハク酸,1−ブテン−3,4
−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも18である末
端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸等が
挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を組
み合わせて用いても差し支えない。これらのなかでは、
無水マレイン酸、無水イタコン酸が特に好ましい。
(1)成分中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位
の割合は、0.1〜10重量%の範囲であることが必要
である。ラジカル重合性酸無水物の割合が0.1重量%
未満では、接着性能が不足して良好な接着強度が得られ
ない。また、10重量%を超えると、接着強度の向上効
果はもはや殆ど無く経済的でなくなり、むしろ後に記載
するポリオレフィン系樹脂と混合する場合に相溶性の低
下を招く場合がある。
【0008】ラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重
合性コモノマーとしては、様々な化合物があり、例え
ば、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽
和アミド化合物、エチレン系不飽和酸化合物、エチレン
系不飽和エーテル化合物、エチレン系不飽和炭化水素化
合物、その他の化合物等が挙げられる。これらを具体的
に記すと、エチレン系不飽和エステル化合物としては、
例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フマル酸メチ
ル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
プロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレ
イン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチ
ル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイ
ン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
エチレン系不飽和アミド化合物としては、例えば、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル
(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリル
アミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オ
クチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミド等が挙げられる。エチレン系不飽和酸化合物と
しては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸等が挙げられる。エチレン系不飽和エーテル化合物
としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエ
ーテル、オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニル
エーテル等が挙げられる。エチレン系不飽和炭化水素化
合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ノルボルネン、ブタジエン等が挙げられる。その他
の化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリ
ル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トリメトキシ
ビニルシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニ
ルアセトアミド等が挙げられる。これらの中では、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチルが、特に好ましい化合物とし
て挙げられる。そして、これらのモノマーは、単独で、
あるいは2種類以上を併用しても差し支えない。(1)
成分中のラジカル重合性コモノマーに由来する単位の割
合は、5〜50重量%の範囲であり、好ましくは10〜
40重量%の範囲である。ここで、ラジカル重合性コモ
ノマーの割合が5重量%未満では、エチレン系多元共重
合体の結晶融点が充分に低くならず、低温接着性を充分
に発揮することができない。また、50重量%を超える
と、樹脂の取扱いが困難になるとともに、製品の耐熱性
が著しく低下する。
【0009】上記の(1)成分であるエチレン系多元共
重合体を製造するにあたっては、基本的には通常の高圧
法低密度ポリエチレンの製造設備及びその技術を利用す
ることができる。一般的には、塊状重合法により、70
0〜3000気圧、好ましくは1000〜2500気圧
の重合圧力で、また100〜300℃、好ましくは14
0〜290℃、更に好ましくは150〜270℃の重合
温度で、ラジカル重合にて製造される。重合圧力が70
0気圧未満では、重合体の分子量が低くなり、樹脂組成
物の樹脂物性が悪化する。一方、3000気圧を超える
と、製造コストを高めるだけで、実質的に無意味であ
る。また、重合温度が100℃未満では、重合反応が安
定せず、共重合体への転化率が低下し、経済的に問題が
ある。一方、300℃を超えると、共重合体の分子量が
低下すると同時に暴走反応の危険が生じる。重合装置と
しては、ベッセル型の反応器を用いるのが好ましい。特
にラジカル重合性酸無水物は重合安定性が乏しいため、
高度の反応器内の均一化が必要である。また、必要に応
じて、複数個の反応器を直列又は並列に接続し、多段重
合を行うこともできる。さらに、反応器の内部を複数の
ゾーンに仕切ることによって、よりち密な温度コントロ
ールを行うこともできる。エチレン系多元共重合体の製
造は、前記の反応条件にて少なくとも1種のフリーラジ
カル開始剤の存在下で行なわれる。ここで、フリーラジ
カル開始剤としては一般に市販されているパーオキシド
類やアゾ化合物類を使用することができる。また重合に
あたっては、分子量調節剤として一般に使用される種々
の連鎖移動剤を使用することができる。
【0010】本発明に関わるエチレン系共重合体の使用
量は、99〜80重量部の範囲であり、より好ましくは
95〜85重量部の範囲である。エチレン系共重合体の
使用量が99重量部以上では、後に述べる成分(2)の
フェノール樹脂或いはケトン樹脂の添加量が少なくな
り、本発明の特徴である低圧,低温での接着条件で十分
な接着強度が得られなくなる。逆に80重量部より少な
い量では、種々の基材に対する十分な接着強度が得られ
なくなるため、好ましくない。このようにして製造され
るエチレン系共重合体は、比較的低温で融解し、各種基
材との物理化学的相互作用或いは反応性に富んでいるた
めに、本発明の樹脂組成物が、低温成形の際においても
高い接着力を発揮するのに大きな役割を果たす。
【0011】本発明の接着性樹脂組成物の成分(2)で
あるフェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂は、それぞれ単
独で用いるか、あるいは両者を混合して用いても良い。
本発明において利用できるフェノ−ル樹脂あるいはケト
ン樹脂は、軟化点が250℃以下のものが好ましい。特
に好ましくは40〜200℃の範囲である。ここで言う
軟化点とは、環球法で測定される温度を意味する。フェ
ノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂をエチレン系共重合体に
混合するのは基材板との接着力を向上させるのが目的で
ある。軟化点が250℃より高いと低温接着条件での接
着強度を向上させる効果が得られなくなるため、好まし
くない。上記成分(2)のフェノール樹脂或いはケトン
樹脂を前記成分(1)であるエチレン系共重合体に加え
ることにより、得られる本発明の接着性樹脂組成物の接
着性が向上する。特に、接着圧力が760mmHg/c
2 以下と低く且つ圧着時間が極めて短時間とならざる
を得ない真空接着法においては、本発明の樹脂組成物は
従来の接着性樹脂に比べて高い初期接着強度が得られ
る。本発明に関わるフェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂
の使用量は、1〜20重量部の範囲であり、好ましくは
5〜15重量部の範囲である。この使用量が1重量部よ
り少ないと低圧,低温接着条件での接着強度の向上効果
が不十分となり、逆に20重量部を超えて使用すると得
られる接着性樹脂組成物の成形性が低下し、接着性樹脂
組成物自体の樹脂強度が低下し結果的に基材接着後の積
層体の剥離強度が低下するために好ましくない。
【0012】上記の2成分からなる組成物に、ポリオレ
フィン系樹脂を加えて使用することができる。ここで言
うポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
イソプレン、ポリブテン、ポリ3−メチルブテン−1、
ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、及び前
記樹脂の構成単位の共重合体例えば、エチレン−プロピ
レンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム
共重合体、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキ
セン−1、オクテン−1等のα−オレフィンをコモノマ
ーとした直鎖状低密度ポリエチレン、スチレン−ブタジ
エン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリ
マーまたはこれら樹脂の混合物、グラフト重合体、ブロ
ック共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸或いはその
誘導体との共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重
合体及びその完全或いは部分鹸化物のアセタール誘導
体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
等)等を挙げることができる。これらの中で好適に用い
られるのは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体である。ここで用いら
れるポリオレフィン系樹脂は、前記(1)及び(2)の
2成分樹脂の希釈用樹脂としての目的の他に、本発明に
よる接着性樹脂の接着後において比較的高温(80℃前
後)での接着強度を求められる用途においては、先に例
示したポリオレフィン系樹脂の中から100℃以上の結
晶融点を有するものを選ぶことによりその目的を達成す
る助けとすることができる。これは、成分(1)及び成
分(2)よりなる樹脂組成物が、本来的に80℃以上で
は樹脂の機械的強度が著しく低下せざるを得ないもので
あるのに対し、高い結晶融点を有するポリオレフィン樹
脂の添加によって高温での機械的強度を向上させる効果
があるためと考えられる。即ち、成分(3)のポリオレ
フィン系樹脂を添加することにより、低温接着性を有す
ると共に接着後に比較的高温下においてもある程度の接
着強度を保つことができるという相反する性能を発揮さ
せることが可能となる。ポリオレフィン系樹脂の使用量
は、成分(1)及び成分(2)よりなる組成物100重
量部に対して50重量部以下である。ポリオレフィン系
樹脂の使用量が50重量部を超えると、本来他基材との
接着性を発揮し得る成分(1)及び成分(2)の接着樹
脂組成物中に含まれる量が少なくなり過ぎ、従って、得
られる接着性樹脂組成物の接着性が著しく低下するため
に好ましくない。
【0013】さらに、接着後高温下(85℃前後)にお
ける接着強度が強く求められる用途に対しては、成分
(4)である有機カルボン酸金属塩を加えることによっ
てその目的に応えることができる。ここで言う有機カル
ボン酸金属塩の例としては、炭素数1〜30の脂肪酸で
ある酢酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、ベヘン酸等のカルボン酸と、周期表のIA属、IIA
属、IIB属、 IIIB属の金属(例えば、Li、Na、
K、Mg、Ca、Zn、Al等)との金属塩が挙げられ
る。それらの金属塩を更に具体的に例示すれば、酢酸リ
チウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アル
ミニウム、酪酸カリウム、酪酸カルシウム、酪酸亜鉛、
オクタン酸ナトリウム、オクタン酸カルシウム、デカン
酸カリウム、デカン酸マグネシウム、デカン酸亜鉛、ラ
ウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸
カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸カ
リウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸アルミ
ニウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸亜鉛、
パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリ
ウム等を挙げることができる。好適にはラウリン酸リチ
ウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カルシウム、
ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸カリウム、ミリ
スチン酸ナトリウム、ミリスチン酸アルミニウム、パル
ミチン酸ナトリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸
マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、オレイン酸ナトリウム等が用いられる。
【0014】有機カルボン酸の金属塩の他の例として
は、カルボン酸の金属塩構造を有する樹脂がある。この
ような樹脂としては、エチレンとラジカル重合性不飽和
カルボン酸のIA属、IIA属、IIB属、 IIIB属の金属
(例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Al
等)塩とを共重合した構造を持つもの、あるいはエチレ
ンと該ラジカル重合性カルボン酸の金属塩と他のラジカ
ル重合性不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体とを
多元共重合した構造を持つものが挙げられる。更に、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、遊離エチレン−プロピレ
ン共重合体等のポリオレフィン系樹脂に、該ラジカル重
合性不飽和カルボン酸の金属塩(遊離の不飽和カルボン
酸を重合し、後で中和しても良い。)をグラフト重合さ
せた構造を持つもの、ポリオレフィン系樹脂に該ラジカ
ル重合性カルボン酸の金属塩と他のラジカル重合性不飽
和カルボン酸及び/またはその誘導体を同時に共グラフ
ト重合した構造を持つものが挙げられる。ここで用いら
れるラジカル重合性不飽和カルボン酸及びその誘導体の
例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、マレ
イン酸モノエチル、フマル酸モノエチル、マレイン酸ジ
メチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマ
ル酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル
等を挙げる事ができる。これらの有機カルボン酸の金属
塩は単独で用いても、混合して用いてもどちらでもかま
わない。
【0015】これらの成分(4)の有機カルボン酸金属
塩を添加することによる、高温での接着性保持の作用機
構は必ずしも明確ではないが、成分(1)のエチレン系
共重合体の構成単位である酸無水物基との間にイオン的
な相互作用が働くことによってこのような効果が得られ
ているものと考えられる。成分(4)の有機カルボン酸
の金属塩の使用量は、本発明による成分(1)〜(3)
からなる樹脂組成物の合計100重量部に対して0.0
5〜20重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜10
重量部の範囲である。有機カルボン酸の金属塩の使用量
が0.05重量部より少ない場合には高温時の接着強度
を保持するという効果を得ることができない。逆に、2
0重量部を超えて使用しても最早高温における接着強度
の向上効果はそれ以上期待できず、また経済的にも好ま
しくない。
【0016】以上の成分を混合することにより本発明に
関わる接着性樹脂組成物が製造されるが、混合にあたっ
ては通常知られている種々の方法を用いることができ
る。その具体的方法を例示すれば、各々の成分をトルエ
ンのような良溶媒に溶解、再沈させる方法、各成分を溶
融状態で混合する方法、すなわち一般に用いられている
加圧ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、スタティ
ックミキサー、スクリュー式押出機等を用いる方法を挙
げることができる。また、場合によっては樹脂組成物の
各成分をドライブレンドし、成形時に混合することも可
能である。すなわち、各成分をペレット、粉体の状態で
混合し、フィルム等の製造段階を利用して溶融混合する
ことが可能である。本発明に関わる接着性樹脂組成物に
は、該組成物の特徴を損なわない範囲で各種の添加剤、
配合剤、充填剤を使用することが可能である。これらを
具体的に示せば、酸化防止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸
収剤(光安定剤)、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、滑剤
(スリップ剤、アンチブロッキング剤)、ガラスフィラ
ー等の無機充填剤、有機充填剤、補強剤、着色剤(染
料、顔料)、香料等が挙げられる。
【0017】上記の接着性樹脂組成物を用いれば、比較
的低い処理温度で種々の基材を接着させて多層積層体を
得ることが可能である。そのような接着可能な基材とし
ては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、和
紙、ダンボール原紙、合成紙、アート紙、コート紙等の
各種紙類;木綿、麻、ポリエステル、ナイロン等による
各種織布又は不織布;木板;鉄、アルミニウム、銅、ブ
リキ等の各種金属板又は箔;ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリカ
ーボネート、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレ
タン等の各種プラスチックにより成形された板、成形
品、フィルム又は発泡体;ガラス繊維、セラミックス等
の各種無機物等を挙げることができる。また、これらの
基材は必要に応じて、表面処理、印刷、コーティング等
が施されていても差し支えない。本発明の接着性樹脂組
成物は、特に、基材として表皮材及び基板材を使用す
る、自動車等の内装材料(例えば、自動車内装用天井部
材,自動車内装用ドア部材,自動車内装用ダッシュボー
ド部材,自動車内装インスツルーメントパネル部材等)
または住居等の内装用材料に用いられる多層積層体の接
着層として好適に使用することができる。
【0018】本発明に関わる表皮材、基板材については
特に制限はなく、一般に自動車、車両、船舶、住居等の
内装用材料等として使用されている種々の材料が使用で
きる。このような表皮材の具体例としては、ポリエステ
ル不織布、起毛ニット、ファブリック、スウェード調合
成皮革、塩化ビニル(塩ビ)レザー、ポリウレタンレザ
ー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、スチレン
系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラ
ストマーあるいはこれらの材料に発泡ウレタン、発泡ポ
リエチレン、発泡ポリプロピレン等のクッション材を貼
り合わせたもの等が挙げられる。一方、基板材の具体例
としては、レジンフェルト、レジンウッド、ガラス繊維
入りフェノール樹脂板、段ボール、ポリプロピレンハニ
カム、ポリスチレンフォーム、ポリプロピレンボード、
ガラス繊維強化ポリプロピレンボード、ABS、ASG
あるいはこれらに不織布を貼り合わせたもの等が挙げら
れる。
【0019】本発明に関わる多層積層体の製造にあたっ
ては、種々の成形方法を採用することが可能である。例
えば、基板材を所定の温度に加熱し、真空成形機にセッ
トし、この上にインフレーション成形またはTダイ成形
によってフィルム化した本発明の接着性樹脂組成物を置
き、次いで予め所定の温度に加熱した表皮材を重ねて真
空圧着する方法;表皮材及び基板材の間に上記のフィル
ムを挟み、熱プレスする方法;表皮材に本発明の接着性
樹脂組成物を押出しラミネート成形によってコーティン
グした積層材を、基板材に熱プレスまたは熱ロールで加
熱圧着する方法;本発明の接着性樹脂組成物を粉砕して
粉末にし、熱プレス上に置いた基板材に振りかけ、その
上に表皮材を熱プレスする方法;さらには、表皮材の接
着側に上記のフィルムを予め熱ロールラミネートしてか
ら、熱プレスまたは熱ロールで加熱圧着する方法等が挙
げられる。
【0020】本発明の多層積層体を製造する上述のごと
き方法において、加熱温度は、使用する表皮材、基板材
の種類、成形条件、接着性樹脂組成物の組成により異な
るので一概に規定できないが、少なくとも接着性樹脂組
成物の軟化点以上であって、表皮材及び基板材に影響を
及ぼさない温度以下で適宜選択される。接着層として機
能する本発明の樹脂組成物層は60〜130℃程度の比
較的低い融点を有しており、また圧着においては0.1
〜2.0kg/cm2 程度の比較的低い圧力において、
強力な接着が可能であり、表皮材及び基板材の素材の風
合い、感触等を損なうこと無く製造できる。
【0021】本発明の多層積層体の各層の厚さは、その
素材、用途、要求される物性等により異なり、特に制限
はないが、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層は
10〜200μm、好ましくは20〜100μmであ
る。ここで、接着層が10μm未満であると、接着強度
が不充分なものとなり好ましくなく、200μmを超え
ると熱伝導性が低下して充分な接着強度が得られず実用
的でない。本発明の積層体は、少なくとも上記の三層か
らなるものであるが、必要により、さらに本発明の接着
性樹脂組成物からなる接着層を介して、他の接着剤層を
介して或いは接着剤層を介さずに、他の材料を積層した
積層体であってもよい。
【0022】
【実施例】以下、参考例、実施例、及び比較例に依って
本発明を説明する。 <参考例1>高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備
を利用し、重合温度190℃、重合圧力1900Kg/
cm2 の条件で、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン
酸三元共重合体であるエチレン系共重合体(A)を製造
した。このエチレン系共重合体のMFR(JIS−K7
210,表1,条件4)は30、酢酸ビニルに由来する
単位の含量は15重量%、無水マレイン酸に由来する単
位の含量は3.2重量%であった。なおコモノマーの組
成は赤外吸収スペクトルにより決定した。
【0023】<参考例2>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度190℃、重合圧力1
9元0Kg/cm2 の条件で、エチレン−メタクリル酸
メチル−無水マレイン酸三元共重合体であるエチレン系
共重合体(B)を製造した。このエチレン系共重合体の
MFR(JIS−K7210,表1,条件4)は12、
メタクリル酸メチルに由来する単位の含量は25重量
%、無水マレイン酸に由来する単位の含量は1.8重量
%であった。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクト
ルにより決定した。
【0024】<参考例3>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度200℃、重合圧力1
900Kg/cm2 の条件で、エチレン−アクリル酸メ
チル−無水マレイン酸三元共重合体であるエチレン系共
重合体(C)を製造した。このエチレン系共重合体のM
FR(JIS−K7210,表1,条件4)は80、ア
クリル酸メチルに由来する単位の含量は6重量%、無水
マレイン酸に由来する単位の含量は2.5重量%であっ
た。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクトルにより
決定した。
【0025】<参考例4>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度200℃、重合圧力1
800Kg/cm2 の条件で、エチレン−アクリル酸エ
チル−無水マレイン酸三元共重合体であるエチレン系共
重合体(D)を製造した。このエチレン系共重合体のM
FR(JIS−K7210,表1,条件4)は30、ア
クリル酸エチルに由来する単位の含量は35重量%、無
水マレイン酸に由来する単位の含量は1.0重量%であ
った。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクトルによ
り決定した。
【0026】次の実施例A1〜A6、比較例A1〜A
2、実施例B1〜B10及び比較例B1〜B4は、成分
(1),成分(2)及び成分(3)からなる接着性樹脂
組成物及び多層積層体に関するものである。 (実施例A1)参考例1のエチレン系共重合体(A)9
0重量部、ポリオレフィン系樹脂として昭和電工(株)
製高圧法低密度ポリエチレンL211(MFR=10g
/10分、密度=0.916/cc)10重量部、フェ
ノール樹脂として昭和高分子(株)製BRG558(環
球法軟化点=96℃)5重量部をヘンシェルミキサーで
ドライブレンドした後、37mmφ同方向二軸押出機を
用い190℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得
た。この配合内容は表1に示した。
【0027】(実施例A2〜A6)成分(1)、成分
(2)及び成分(3)を使用して実施例A1と同様に操
作し、樹脂組成物のペレットを得た。その配合内容は表
1に示した。
【0028】(比較例A1)成分(2)を配合しなかっ
たこと以外は実施例A1と同様に操作し、樹脂組成物の
ペレットを得た。その配合内容は表1に示した。
【0029】(比較例A2)成分(1)成分としてエチ
レン−メタクリル酸メチル二元共重合体(メタクリル酸
メチル含有量=15重量%、MFR=6)を用いたこと
以外は、実施例A1と同様に操作し、樹脂組成物のペレ
ットを得た。その配合内容は表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】(実施例B1)実施例A1で得られたペレ
ットを、25mmφの押出機を有するT型ダイスつきフ
ィルム成形機で70μmの厚みで製膜し20cm幅のフ
ィルムを得た。このフィルムを接着層として用い、実際
に自動車用内装材料に使用されている基材(表皮材料及
び基板材)を接着して、その接着性を試験した。表皮材
はポリエチレンテレフタレート(PET)系不織布、基
板材はレジンフェルト(RF)を用いた。接着は上板1
20℃,下板70℃に設定した熱プレスに、上から表皮
材、上記のフィルム、基板材の順番に挟み、実質面圧
2.5Kg/cm2 ,10秒の条件で圧着した。基板材
のプレスのサイズは、10cm×20cmとした。接着
後、23℃、相対湿度50%で24時間状態調節した
後、25mm幅の試験片に切断し、引張試験機を用いて
常温(23℃)における180゜剥離試験(剥離速度3
00mm/分)を実施した。原則として剥離時の接着強
度(g/25mm)を測定したが、剥離前に表皮材また
は基板材が材料破壊した場合には、破壊時の強度を測定
した。なお、接着強度の値は、試験片5個の平均値(最
大、最小2点カット)である。結果を表2に示す。
【0032】(実施例B2〜B6)表2に示したよう
に、接着層用接着性樹脂組成物、表皮材及び基板材の種
類を変えた以外は実施例B1と同様に操作した。結果を
表2に示す。
【0033】(実施例B7)実施例B1で得られたフィ
ルムを用い、表皮材として0.2mmの塩化ビニルレザ
ー(塩ビレザー)を貼った厚さ2mmの発泡ポリプロピ
レン(塩ビ/発泡PP)、基板材としてガラス繊維強化
ポリプロピレンボードを用い接着性を試験した。接着
は、先ず130℃で加熱したテフロンコートロールで表
皮とフィルムを挟み、5m/分のスピードで熱ロールラ
ミネート処理して、これらを貼り合わせた。次に基板材
を70℃に5分間加熱し、表皮は120℃に加熱し、真
空接着法で接着した。結果を表2に示す。
【0034】(実施例B8〜B10)表2に示したよう
に、接着層用接着性樹脂組成物,表皮材及び基板材の種
類を変えた以外は実施例B7と同様に操作した。結果を
表2に示す。
【0035】(比較例B1及びB2)比較例A1或いは
A2で得られたペレットから、実施例B1と同様の方法
でフィルムを製造した。このフィルムを接着層として用
い、表2に示したように、表皮材及び基板材の種類を変
え、実施例B1と同様に操作した。結果を表2に示す。
【0036】(比較例B3及びB4)比較例A1或いは
A2で得られたペレットから、実施例B1と同様の方法
でフィルムを製造した。このフィルムを接着層として用
い、表2に示したように、表皮材及び基板材の種類を変
え、実施例B7と同様に操作した。結果を表2に示す。
【0037】上記試験の結果を見ると、実施例B1〜B
6では、基材温度が低くまた面圧も低い条件での熱プレ
ス法においても、本発明による接着性樹脂組成物を用い
た多層積層体は、優れた接着強度を示すことが判る。ま
た、実施例B7〜B10では、熱プレス法よりも更に接
着圧力が低く接着時間も短い真空接着法においても、本
発明による接着性樹脂組成物を用いた多層積層体は、実
用に耐え得る接着強度を得られることが判る。
【0038】
【表2】
【0039】次の実施例A7〜A12、比較例A3〜A
4、実施例B11〜B20及び比較例B5〜B8は、成
分(1),成分(2),成分(3)及び成分(4)から
なる接着性樹脂組成物及び多層積層体に関するものであ
る。
【0040】(実施例A7)参考例1のエチレン系共重
合体(A)90重量部、ポリオレフィン系樹脂として昭
和電工(株)製高圧法低密度ポリエチレンL211(M
FR=10g/10分、密度=0.916/cc)10
重量部、フェノール樹脂として昭和高分子(株)製BR
G558(環球法軟化点=96℃)5重量部、有機カル
ボン酸の金属塩としてステアリン酸ナトリウム0.5重
量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、3
7mmφ同方向二軸押出機を用い190℃で溶融混練
し、樹脂組成物のペレットを得た。この配合内容は表3
に示した。
【0041】(実施例A8〜A12)成分(1)、成分
(2)、成分(3)及び成分(4)を使用して実施例A
1と同様に操作し、樹脂組成物のペレットを得た。その
配合内容は表3に示した。
【0042】(比較例A3)成分(2)を配合しなかっ
たこと以外は実施例A7と同様に操作し、樹脂組成物の
ペレットを得た。その配合内容は表3に示した。
【0043】(比較例A4)成分(1)としてエチレン
−アクリル酸エチル二元共重合体(アクリル酸エチル含
有量=10重量%、MFR=12)を用いたこと以外
は、実施例A7と同様に操作し、樹脂組成物のペレット
を得た。その配合内容は表3に示した。
【0044】
【表3】
【0045】(実施例B11)実施例A7で得られたペ
レットを、25mmφの押出機を有するT型ダイスつき
フィルム成形機で70μmの厚みで製膜し20cm幅の
フィルムを得た。このフィルムを接着層として用い、実
際に自動車用内装材料に使用されている基材(表皮材料
及び基板材)を接着して、その接着性を試験した。表皮
材はポリエチレンテレフタレート(PET)系不織布、
基板材はレジンフェルト(RF)を用いた。接着は上板
120℃,下板70℃に設定した熱プレスに、上から表
皮材、上記のフィルム、基板材の順番に挟み、実質面圧
2.5Kg/cm2 ,10秒の条件で圧着した。基板材
のプレスのサイズは、10cm×20cmとした。接着
後、23℃、相対湿度50%で24時間状態調節した
後、25mm幅の試験片に切断し、引張試験機を用いて
常温(23℃)における180゜剥離試験(剥離速度3
00mm/分)を実施した。原則として剥離時の接着強
度(g/25mm)を測定したが、剥離前に表皮材また
は基板材が材料破壊した場合には、破壊時の強度を測定
した。更に、耐熱クリープ試験として途中まで剥離した
試験片に100gの荷重を釣り下げ、80℃雰囲気に2
4時間放置した場合の180゜剥離試験における剥離距
離(mm)を測定し、耐熱性の目安とした。なお、接着
強度の値は、試験片5個の平均値(最大、最小2点カッ
ト)、また耐熱性は試験片3個の平均値である。結果を
表4に示す。
【0046】(実施例B12〜B16)表4に示したよ
うに、接着層用接着性樹脂組成物、表皮材及び基板材の
種類を変えた以外は実施例B11と同様に操作した。結
果を表4に示す。
【0047】(実施例B17)実施例B11で得られた
フィルムを用い、表皮材として0.2mmの塩化ビニル
レザー(塩ビレザー)を貼った厚さ2mmの発泡ポリプ
ロピレン(塩ビ/発泡PP)、基板材としてガラス繊維
強化ポリプロピレンボードを用い接着性を試験した。接
着は、先ず130℃で加熱したテフロンコートロールで
表皮とフィルムを挟み、5m/分のスピードで熱ロール
ラミネート処理して、これらを貼り合わせた。次に基板
材を70℃に5分間加熱し、表皮は120℃に加熱し、
真空接着法で接着した。結果を表4に示す。
【0048】(実施例B18〜B20)表4に示したよ
うに、接着層用接着性樹脂組成物,表皮材及び基板材の
種類を変えた以外は実施例B17と同様に操作した。結
果を表4に示す。
【0049】(比較例B5〜B7)比較例A1、A3或
いはA4で得られたペレットから、実施例B11と同様
の方法でフィルムを製造した。このフィルムを接着層と
して用い、表4に示したように、表皮材及び基板材の種
類を変え、実施例B11と同様に操作した。結果を表4
に示す。
【0050】(比較例B8及びB9)比較例A3或いは
A4で得られたペレットから、実施例B11と同様の方
法でフィルムを製造した。このフィルムを接着層として
用い、表4に示したように、表皮材及び基板材の種類を
変え、実施例B17と同様に操作した。結果を表4に示
す。上記の試験結果を見ると、成分(4)を加えること
により耐熱性が向上していることが判る。
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明による接着
性樹脂組成物は各種の基材、特に自動車等の内装材料と
して使用される表皮材及び基板材を比較的低温度、低圧
力下の条件で積層することが可能であり、しかも高い接
着強度を示す。従って該接着性樹脂組成物を接着層に用
いた多層積層体は、接着加工性,作業性に優れ、低温度
で処理できるため表皮材の風合いが損われず、審美性が
高いものであるため、自動車、車両、船舶、住居、その
他の建築物等の内装材料として好適に使用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 123/08 JCB //(C08L 23/08 61:06) (C09J 123/08 161:06) (72)発明者 堤 克明 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工 株式会社大分工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)エチレンとラジカル重合性酸無水
    物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多
    元共重合体であり、共重合体中のラジカル重合性酸無水
    物に由来する単位の割合が0.1重量%以上で10重量
    %以下、他のラジカル重合性コモノマーに由来する単位
    の割合が5重量%以上で50重量%以下であるエチレン
    系共重合体99〜80重量部及び (2)フェノ−ル樹脂あるいはケトン樹脂1〜20重量
    部からなることを特徴とする接着性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂組成物100重量部
    に対して、 (3)50重量部以下のポリオレフィン系樹脂を含む請
    求項1記載の接着性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の樹脂組成物100
    重量部に対して、 (4)有機カルボン酸の金属塩0.05〜20重量部を
    加えて成る請求項1又は請求項2のいずれかに記載の接
    着性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 表皮材料、熱可塑性樹脂、基板材からな
    る多層構造物において、該熱可塑性樹脂が請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の接着性樹脂組成物である
    ことを特徴とする多層積層体。
JP1120794A 1994-02-02 1994-02-02 接着性樹脂組成物及び多層積層体 Pending JPH07216154A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009090520A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Pilot Corporation 金属蒸着熱転写リボン

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