JP3274813B2 - 液晶注入装置 - Google Patents

液晶注入装置

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JP3274813B2
JP3274813B2 JP31840596A JP31840596A JP3274813B2 JP 3274813 B2 JP3274813 B2 JP 3274813B2 JP 31840596 A JP31840596 A JP 31840596A JP 31840596 A JP31840596 A JP 31840596A JP 3274813 B2 JP3274813 B2 JP 3274813B2
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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置の液
晶パネルに液晶液を注入する方法、及び、液晶注入装
、並びに液晶パネルに関し、詳しくは、液晶パネル内
への液晶注入効率を高め、注入速度を速めるとともに気
泡の発生やスペースビーズのずれがみられない液晶液の
注入方法及びそれに有用な液晶注入装置並びに液晶パネ
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示装置は、図20に示す
ように、2枚の1対のガラス板8をその周縁部に沿って
塗布された接着剤層9によって貼り合わせた構成を有し
ている。また、ここに示すようにガラス板8の間には、
微少ビーズ(図示せず)が均一に塗布されており、この
微小ビーズ及び接着剤層9により、それらの厚さ分の幅
(1μm〜5μm程度)を有する液晶注入空間11が形
成されている。そして、接着剤層9に形成された液晶注
入孔10から、上記液晶注入空間11に液晶液が注入さ
れる。
【0003】以下、この液晶液の注入方法の従来例を説
明する。尚、以下の説明においては、液晶注入空間に液
晶液が注入されていないもの、すなわち、図20におい
てはガラス板8の間に液晶液が充填されていないものを
“液晶パネル”と称する。
【0004】(従来例1)液晶パネル13に液晶液を注
入する場合には、液晶注入装置が用いらる。図21,図
22はこの液晶注入装置の一例を示す図である。液晶注
入装置15は、液晶パネル13及び液晶液14が共に収
納される密閉容器1と、密閉容器1内の圧力を調整する
圧力調整手段2とを備えている。圧力調整手段2は、密
閉容器1の内部と外部とを接続する2本の管路3,4
と、管路3,4の途中にそれぞれ設けられた開閉弁5,
6と、一方の管路3の終端に設けられた真空ホンプ7と
から構成されている。また、液晶パネル13は、図示し
ない支持機構により、上下方向移動自在に支持されてお
り、液晶液14は、密閉容器1の底部に植設されたトレ
イ12内に貯留されている。
【0005】以上のように構成された液晶注入装置15
では、以下のように、液晶パネル13に液晶液14を注
入する(実公昭51−2982号公報,特開昭58−4
9853号公報,特開昭60−230636号公報,特
開昭63−26620号公報,「液晶デバイスハンドブ
ック」日刊工業新聞社1989年9月29日発行)。
【0006】まず、最初、図21に示すように液晶パ
ネル13は液晶液14に接触しないように配置されてい
る。
【0007】ここで、開閉弁5を開き、開閉弁6を閉
じる。そして、真空ポンプ7を作動して密閉容器1内を
真空にする。
【0008】所定の真空状態になったら、図22に示
すように、支持機構(図示せず)により液晶パネル13
を降下させ、液晶パネル13の下方に設けられた液晶注
入孔10を液晶液14内に浸す。
【0009】次に、開閉弁5を閉じ、開閉弁6を開
く。これにより、密閉容器1内に外気が導入される。す
ると、液晶液14の液面に外気圧力がかかり、液晶液1
4が矢印で示すように液晶注入孔10から注入空間11
に押し上げらて充填される。また、もちろん毛細管現象
も充填力となる。
【0010】(従来例2)図23は、液晶パネルに液晶
液を注入する方法の他の従来例(特開平5−29738
6号公報)を説明する図である。ここでは、液晶パネル
13’に注入孔81と排気孔82が形成されている。こ
のような液晶パネル13’への液晶液14の注入は以下
のようにして行われる。
【0011】まず、注入孔81にパイプ83を接続
し、このパイプ83の先端を弾性に優れた封止栓84に
より一時的に封止する。
【0012】次に、この状態で排気孔82に接続され
たパイプ85を介して液晶パネル13’の内部を真空排
気する。
【0013】続いて、封止栓84上のパイプ83の周
辺に液晶液を供給する。
【0014】そして、この状態から静かにパイプ83
の先端を僅かに離間させ且つパイプ83の先端における
気密状態が破れないように保持する。
【0015】この状態で、排気孔82から引き続き真
空引きを行うことで、注入表示装置13’内に液晶液1
4が充填される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
従来例1,2の液晶注入方法では以下に示すような問題
がある。
【0017】(従来例1の問題)従来例1の液晶注入方
法では、密閉容器1内を減圧した際に、トレイ12内の
液晶液14が多量に蒸発して、密閉容器1内の空気と共
に外部に排出されてしまう。また、液晶液14を注入す
る際、液晶パネル13の液晶注入孔10が形成された側
部全体を液晶液14に浸すようにしているので、液晶パ
ネル13には、余分な液晶液14が付着する。さらに、
トレイ12には注入空間11に実際に充填される量より
も何倍もの液晶液14を入れておく必要があるにも係わ
らず、余分な液晶液14は、液晶パネル13を浸漬した
ことによる気泡発生や異物混入のため、廃棄しなければ
ないのが現状である。以上のように、従来の液晶注入方
法では、大量の液晶液14を無駄にしてしまい、液晶液
14の消費量が過大であるという問題がある。また、液
晶パネル13の側部全体に付着した液晶液14を拭う必
要があり、拭い取り作業に多大な手間を要するという問
題もある。
【0018】さらに、トレイ中の減圧雰囲気に触れる液
晶の表面積が大きく長時間のため、蒸発の高い液晶液を
使用する場合は、成分の蒸発による液晶劣化が問題とな
る。
【0019】また、液晶液14の注入原理が、液晶パネ
ル13の内外に形成された圧力差による準自然な方法で
あるので、表示面積の大型化や強誘電性液晶のような液
晶注入空間11の幅(ギャップ長)が小さい液晶パネル
の実用化に伴い、注入時間に長時間を要するという生産
性を阻害する問題がクローズアップされる。また、密閉
容器1内を真空状態にするのに長時間を有するという問
題もある。
【0020】しかも、液晶注入空間11内に気泡が残留
する、液晶液14注入不完全という表示性能に致命的な
影響を及ぼす可能性もある。
【0021】(従来例2の問題点)従来例2の液晶注入
方法では、液晶液14の注入を排気孔82からの真空排
気のみにより行っているため、注入時間に長時間を要す
るという問題がある。
【0022】また、表示面積の大型化や強誘電性液晶の
ような液晶注入空間の幅(ギャップ長)が小さい液晶パ
ネルに液晶液を注入する場合には、液晶液14が液晶パ
ネル13’内部に注入されなかったり、液晶液14が均
一にならなかったりするという問題がある。
【0023】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、液晶液の消費量を必要最小限に抑えること
ができ、しかも液晶パネルの生産性,品質を向上させる
ことができる液晶パネルの液晶注入方法及び液晶注入装
、液晶パネルを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、以下のような構成を採用している。すなわ
ち、 (1)本発明の液晶注入方法は、液晶注入孔と排気孔の
形成された液晶パネル内に液晶液を注入する液晶注入方
法において、液晶パネル内を真空引きする工程と、その
工程の後、排気孔から液晶パネル内を排気しながら、液
晶注入孔から液晶液を加圧して注入する工程と、を含む
ものである。
【0025】(2)また、本発明の液晶注入方法は、上
記(1)に記載の液晶注入方法において、液晶注入孔
が、液晶パネルの一短辺の略中央に形成されており、排
気孔が、その一短辺に対向する短辺の略両端に形成され
ているものである。
【0026】(3)本発明の液晶注入装置は、液晶注入
孔と排気孔の形成された液晶パネル内に液晶液を注入す
る液晶注入装置において、液晶パネルを排気孔から真空
引きする第1排気手段と、液晶液を加圧して液晶注入孔
から注入する加圧注入手段と、を有するものである。
【0027】(4)また、上記(3)に記載の液晶注入
装置において、加圧注入手段が、液晶液を貯溜する貯溜
手段と、貯溜手段を収縮して液晶液を加圧する収縮手段
を有するものである。
【0028】(5)本発明の液晶注入装置は、液晶注入
孔と排気孔の形成された液晶パネル内に液晶液を注入す
る液晶注入装置において、液晶液を貯溜し、真空引用パ
イプと注入用パイプが挿入された2つ以上の貯溜手段
と、各貯溜手段に貯溜された液晶液を液晶パネル内に注
入する状態と脱泡する状態とに切換えるため、各真空引
用パイプ及び注入用パイプに設けられた切換手段と
溜手段のいずれか1つを液晶パネル内に注入する状態に
すると共に他の貯溜手段を脱泡する状態にするよう切換
手段を制御する切換制御手段とを有し、いずれか1つの
貯留手段から液晶液を注入すると同時に他の貯溜手段を
脱泡するものである。
【0029】(6)また、(3)〜(5)のいずれかに
記載の液晶注入装置において、液晶パネルの内部におい
て、注入された液晶液が均一に広がるように、排気手段
の排気圧力と加圧注入手段の加圧力の少なくとも一方を
調整する制御手段を有するものである。
【0030】(7)更に、(6)に記載の液晶注入装置
において、制御手段が液晶液の注入速度を一定にするよ
うに排気手段の排気圧力と加圧注入手段の加圧力の少な
くとも一方を調整するものである。
【0031】(8)また、(3)〜(7)のいずれかに
記載の液晶注入装置において、加圧注入手段が、液晶注
入孔との接触部分に、液晶注入孔の径よりも大きい液晶
液供給通路を有し、かつ、前記排気孔との接触部分に、
前記排気孔の径よりも径の大きい排気通路を有するもの
である。
【0032】(9)また、(3)〜(8)のいずれかに
記載の液晶注入装置において、液晶液を液晶パネルに注
入している間、少なくとも液晶パネルを加熱保持する加
熱手段を有してなるものである。
【0033】(10)また、(3)〜(9)のいずれか
に記載の液晶注入装置において、液晶液を液晶パネルに
注入している間、液晶パネルをその厚み方向に押圧する
押圧手段を有してなるものである。
【0034】(11)更に、(10)に記載の液晶注入
装置において、押圧手段が、内部に圧縮気体が導入され
ることにより膨張して液晶パネルを押圧する弾性部材か
らなるものである。
【0035】(12)また、(10)または(11)に
記載の液晶注入装置において、押圧手段が、液晶パネル
を加熱する加熱手段を有するものである。
【0036】(13)また、(3)〜(12)のいずれ
かに記載の液晶注入装置において、少なくとも1箇所に
おいて液晶パネルの厚みを測定する厚み測定手段と、厚
みの測定結果に基づき、第1排気手段の排気圧力と加圧
注入手段の加圧力の少なくとも一方を調整して液晶パネ
ルに導入する液晶液量を変化させる液晶充填量調整手段
と、を有してなるものである。
【0037】(14)本発明の液晶パネルは、一対のガラス板が、該
ガラス板の周辺部に沿って塗布された接着剤層により、
貼り付けられており、前記接着剤層は、前記ガラス板の
一短辺の略中央で途切れており、且つ、前記一短辺に対
向する辺の両端で途切れているものである。 (15)また、(14)に記載の液晶パネルにおいて、
前記接着剤層の途切れた部分において、前記接着剤層が
2重または幅広に設けられているものである 。以下に、
本発明の作用を説明する。尚、下記の(a)〜(o)
上記した解決手段の(1)〜(15)に対応している。
【0038】(a)排気孔から排気を行いながら、液晶
注入孔から液晶液を加圧して注入するため、液晶パネル
への液晶液の充填を必要な量の液晶液の注入のみで行う
ことができ、効率的である。
【0039】また、必要以上の液晶液を長時間真空暴露
しないため、液晶液に性能劣化がなく、品質が向上す
る。
【0040】さらに、かなり大型の液晶パネルに液晶液
を注入する場合にも、加圧注入により、十分な注入圧力
を得るため、注入の注入時間の短縮を図ることができ
る。
【0041】また、排気孔からの真空引きの力に加え
て、液晶注入孔からの加圧の力を利用するため、その両
方の力を調整することにより、液晶パネル内の全体に、
内部気泡を発生させず、且つ、均一に液晶液を注入する
ことができる。
【0042】(b)排気孔と液晶注入孔を上記(2)の
ように設定することにより、液晶パネル内に均一に液晶
液を充填することができる。
【0043】(c)本発明の液晶注入装置によれば、排
気孔から排気を行いながら、液晶注入孔から液晶液を加
圧して注入するため、液晶パネルへの液晶液の充填を必
要な量の液晶液の注入のみで行うことができ、効率的で
ある。
【0044】また、必要以上の液晶液を長時間真空暴露
しないため、液晶液に性能劣化がなく、品質が向上す
る。
【0045】さらに、かなり大型の液晶パネルに液晶液
を注入する場合にも、加圧注入により、十分な注入圧力
を得るため、注入の注入時間の短縮を図ることができ
る。
【0046】(d)上記(4)の構成によれば、液晶注
入孔からの液晶液の加圧注入を容易に行うことができ
る。
【0047】(e)上記(5)の構成によれば、注入す
る液晶液を予め脱泡しておくことができる。また、貯溜
手段を2つ以上有しているため、いずれか1つの貯溜手
段から液晶液を液晶パネル内に注入している間に、他の
貯溜手段内の液晶液を脱泡しておき、次の液晶パネルへ
の液晶液の注入に備えることができる。従って、生産性
を向上させることができる。
【0048】(f)また、第1排気手段の排気力と加圧
注入手段の加圧力を調整することにより、液晶液を液晶
パネル内に均一に注入することができる。
【0049】(g)また、第1排気手段の排気力と加圧
注入手段の加圧力を調整することにより、液晶液の注入
速度を一定として、液晶液を液晶パネル内に均一に注入
することができる。
【0050】(h)また、加圧注入手段の液晶注入孔及
び排気孔との接触部分を、上記(8)の構成とすること
により、その接触部分における圧力の集中が緩和され、
液晶パネル内への液晶液の注入を均一に行うことができ
る。
【0051】(i)更に、液晶液の注入中、少なくとも
液晶パネルを加熱保持しておくことにより、液晶液の粘
度が低下して、液晶液の注入を更に高速に行うことがで
きる。
【0052】(j)また、液晶液の注入中、少なくとも
液晶パネルをその厚み方向に押圧する押圧手段を設けて
おくことにより、液晶液の加圧注入にともなう液晶パネ
ルの歪みやスペーサビーズの位置ずれを抑制でき、液晶
液充填後の液晶パネルの品質を向上させることができ
る。
【0053】(k)また、押圧手段を内部に気体が導入
されることにより膨張するものとすることで、液晶パネ
ルを傷つけることなく、液晶パネル全体を均一に押圧す
ることが可能となる。
【0054】(l)更に、押圧手段に液晶パネルを加熱
する機構を持たせておくことで、注入する液晶液の粘度
を低下させて、液晶液の注入を更に高速に行うことが可
能となる。
【0055】 (m)また、液晶パネルの厚みを測定する厚み測定手段
を設け、その測定結果に基づき液晶液の注入量,注入時
間を変化させるようにすれば、各製造プロセス、各構成
部品のばらつきに応じた液晶注入が行えるため、液晶液
重点後の液晶パネルの信頼性を向上させることができ
る。(n)また、本発明の液晶パネルによれば、上述の液晶
注入方法で均一に液晶液を注入できる。 (o)さらに、液晶パネルにおける接着剤層の途切れ部
分を2重にしたり、幅広にしておくことで、リークを防
止できる。
【0056】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明の液晶注入方法の一
実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0057】まず、本実施の形態で使用する液晶パネル
について説明する。図1は、その液晶パネルの構成を示
す図である。図1(a)はその正面図であり、図1
(b)は、注入側側面図,図1(c)は排気側側面図で
ある。この液晶パネル21は、同じ大きさの一対のガラ
ス板を周辺部に沿って塗布された接着剤層43によって
貼り付けたものであって、その一対のガラス板の間に
は、微小幅の注入空間が形成されている。接着剤層43
は、長手方向一側部の中央(一短辺の中央)で途切れて
おり、これが液晶注入孔25である。また、対辺側の両
端(上記一短辺に対向する辺の両端)でそれぞれ途切れ
ており、これが排気孔26,27である。図1における
22,23,24は液晶液の注入に使用する部材であ
り、22は注入コネクタ、23,24は排気コネクタで
ある、これらについては後述する。
【0058】次に、図1に示した液晶パネル21に液晶
液を注入する液晶注入装置について説明する。図2は、
この液晶注入装置の一例を示す概略構成図である。
【0059】この装置は、液晶パネル21を挟持するよ
うにして供給側、排気側に分かれている。供給側は、真
空ポンプ28、フィルター29、開閉弁30,31,3
4,35、液晶脱泡加圧タンク32,33、真空計4
8、注入コネクタ22から構成されている。排気側は、
真空ポンプ42、フィルター41、開閉弁40、真空計
49、排気コネクタ23,24から構成されている。
【0060】液晶パネル21の液晶注入孔25付近に
は、液晶が注入されると、検知できる光学センサー37
が設置されており、注入開始時の実際の注入状態を確認
し、トラブル時の早期発見を可能とする。また、排気孔
26,27のほぼ中央には、上記の光学センサー37と
同様の機能を有する光学センサー38が設置されてお
り、注入孔25から注入された液晶がこの位置まで充填
到達したことを検知し、注入動作を完了する適切なタイ
ミングを与える。
【0061】尚、真空ポンプ28、フィルター29、開
閉弁30,31,34,35、液晶脱泡加圧タンク3
2,33、真空計48は供給制御部(図示せず)に、真
空ポンプ42、フィルタ41、開閉弁40、真空計49
は排気側制御部(図示せず)に、接続され、上記供給制
御部及び排気制御部と光学センサー37,38は、本注
入システムのホストコンピュータに接続され、後述の注
入動作を満足に達成せしめる。
【0062】次に、液晶脱泡加圧タンク32,33につ
いて詳しく説明する。液晶脱泡加圧タンク32,33
は、図3に示すように、ジャバラ容器71内に真空引用
パイプ72,注入用パイプ36が挿入されたものであ
る。真空引用パイプ72は開閉弁30,31及びフィル
ター29を介して真空ポンプ28に接続されている。一
方、注入用パイプ36は、開閉弁3,35を介して、注
入コネクタ22に接続されている。図3の(a),
(b)に示すように、ジャバラ容器71は、伸縮自在に
構成されており、加圧パイプ74からエアーが注入され
ると図3(b)のように縮んだ状態となり液晶液14を
加圧する、エアーが解放されると図3(a)のように伸
びた状態となる。
【0063】次に、液晶注入コネクタ22,排気コネク
タ23,24について詳しく説明する。図4(a)は注
入コネクタ22と液晶パネル21との接続の様子を説明
する拡大図である。注入コネクタ本体44は、シリコン
ゴムでできており、液晶パネル21の所定位置に装着さ
れると弾性変形し、密着性を確保する。注入コネクタ本
体44内部には、装着した時、押圧接触した状態で所定
空間の液晶留りができる凹部47が先端面に開口された
供給孔45が構成されている。この供給孔45と連通す
る注入ノズル46の内壁は撥水性のよいテフロンからな
っている。なお、液晶液はこの注入ノズル46を通っ
て、液晶パネル21内へ導入される。図4(b)は、注
入コネクタ22の開口方向からみた図である。供給孔4
7は注入孔25よりかなり広く形成されており、図1
(a)に示す注入コネクタ22の注入孔25に対する位
置決めの精度が比較的要求されないようになっている。
また、図4には図示していないが、排気コネクタ23,
24についても注入コネクタ22と同様の構造であり、
同様に図1(a)のように排気孔26,27に位置決め
装着可能となっている。
【0064】このように注入コネクタ22及び排気コネ
クタ23,24の供給孔47の径が注入孔25,排気孔
26,27の径よりも大きく形成されていると、コネク
タ部分から液晶液のリークが生じる虞れがある。このた
め、液晶パネル21の注入コネクタ22及び排気コネク
タ23,24との接触部分近傍にリークを防止するため
のシール部を設けておくことが望ましい。例えば、図1
3に示すように、注入コネクタ22及び排気コネクタ2
3,24の装着部分において接着剤層43を2重にし
て、シール部61を設けておいたり、注入コネクタ22
及び排気コネクタ23,24の装着部分における接着剤
層43を幅広にしておくことが望ましい。
【0065】次に、本発明の液晶注入方法について、そ
の一例を図1乃至図4に基づいて、手順毎に説明する。
【0066】(1)液晶注入装置15の注入コネクタ2
2を液晶パネル13の注入孔25に、排気コネクタ2
3,24を排気孔26,27に装着する。このとき、液
晶脱泡加圧タンク32,33は図3(a)に示すよう
に、ジャバラ容器71が伸びた状態となっている。
【0067】(2)次に、開閉弁30,31,35,4
0を開ける。このとき、開閉弁34が閉まっているた
め、液晶脱泡加圧タンク32の内部の液晶液14の脱泡
が行われる。また、開閉弁31,35,40が開放され
ているため、液晶パネル21は、注入側及び排気側の双
方からそれぞれ真空ポンプ28,42により真空引きさ
れる。なお、注入側では、液晶脱泡加圧タンク33の上
部を通して、真空引きがなされる。
【0068】(3)続いて、真空計48または49で計
測した液晶パネル21内の真空度が設定値になったら、
開閉弁35,30を閉め、開閉弁34を開放する。これ
により、液晶脱泡加圧タンク32から液晶パネル21へ
の液晶液14の注入が開始される。このとき、排気側は
真空ポンプ42により真空引きをしている。一方、注入
側は液晶脱泡加圧タンク32へ加圧パイプ74へエアー
を注入して、液晶液14を加圧している(図3(b)参
照)。この液晶脱泡加圧タンクの加圧制御については後
述する。
【0069】なお、この液晶液14の注入中、液晶脱泡
加圧タンク33は真空ポンプ28により脱泡されてい
る。
【0070】(4)そして、排気側に設置している光学
センサー38が液晶の充填を検知したら、開閉弁31,
40を閉め、液晶液14の注入を終了する。
【0071】(5)液晶パネル21が徐々に大気圧とな
るように、リーク動作を開始する。
【0072】(6)液晶パネル21が大気圧に達した
ら、注入コネクタ22、排気コネクタ23,24を液晶
パネル21から解除する。
【0073】(7)(1)〜(6)の動作を繰り返して
他の液晶パネルへの液晶液の注入を行う。
【0074】本実施の形態では、以上のようにして液晶
液の注入を行う。この方法では、液晶液の注入時に、注
入側から液晶液を加圧して液晶パネル内部に送り込むた
め、注入を高速に行うことができ、液晶注入に要する時
間を、例えば従来例1の方法の1/20〜1/10まで
短縮することができる。従って、液晶表示装置の生産性
を向上させることができる。
【0075】また、液晶液を必要な量のみ送り込めばよ
いため、効率がよい。さらに、脱泡した液晶液を注入す
るため、液晶パネルの信頼性を向上できる。
【0076】また、注入コネクタの液晶パネルとの接続
部分に、注入孔よりも径の大きな液晶貯めが形成されて
いるため、注入時にその部分に圧力が集中しなくなり、
液晶液を液晶パネル内部に均一に注入することができ
る。
【0077】更に、注入コネクタを液晶パネルの一辺の
中央部に、排気コネクタをそれと対向する辺の両端付近
に設ければ、液晶パネル内部に注入される液晶液の流れ
が均一となり、液晶パネル内部に発生する気泡を抑制で
きる、また、液晶パネル内を完全に液晶液で満たすこと
が可能となる。
【0078】また、液晶脱泡加圧タンクを2つ有してい
るため、どちらか一方の液晶脱泡加圧タンクから液晶液
を液晶パネル内に注入している間に、他方の液晶脱泡加
圧タンク内の液晶液を脱泡しておき、次の液晶パネルへ
の液晶液の注入に備えることができる。従って、生産性
を向上させることができる。
【0079】次に、液晶脱泡加圧タンクの加圧制御につ
いて説明する。図5(a)は液晶液注入時における液晶
液注入圧力プロファイルの一例を示す図である。この圧
力プロファイルは、排気側の真空引き圧力を一定とした
ときに、液晶液14の注入速度が、注入開始から注入終
了まで一定となるように、液晶脱泡加圧タンクの圧力を
制御した場合のプロファイルである。図5(b)は、図
5(a)の圧力プロファイルで液晶液14を注入したと
きの液晶注入状態を示す図(室温)である。図中、矢印
は注入方向を示している。この図に示すように、上記プ
ロファイルで液晶液14を注入すれば、液晶パネルの端
部(排気側)付近では、液晶液は液晶パネルの長手方向
にほぼ沿うように注入されており、液晶パネル内部に気
泡が発生したり。注入不完全が生じたりすることがなく
なる。なお、図中のt1〜t10はその時刻が経過した
時点における液晶液14の先端位置を示しており、t
5,t10はそれぞれt1時刻の5倍,10倍の時間が
経過した時点であることを示している。
【0080】液晶液14の注入に要する時間は、液晶液
14を高温に保ち粘度を低下させることで、更に短い時
間とすることができる。図6は高温環境下(40℃)で
注入した場合の液晶注入常態を示す図である。この図に
示すように高温環境下では、液晶注入に要する時間を約
半分に低減させることができる。
【0081】尚、ここでは、液晶液14の注入速度が一
定となるように液晶脱泡加圧タンク32,33の加圧制
御を行っているが、液晶液14が液晶パネル21内全体
に均一に広がるのであれば、どのように制御しても良
い。もちろん、真空ポンプ42の排気力を使用して注入
速度あるいは注入圧力を制御しても良い。また、注入側
の真空計48及び排気側の真空計49の値に基づいて、
液晶脱泡加圧タンク32,33の加圧力及び真空ポンプ
42の排気力を制御しても良い。
【0082】また、以上の説明では、液晶液14の加圧
を図3におけるジャバラ容器71の収縮動作により行っ
ているが、液晶液14を加圧して注入孔へと導くことが
できるものであれば、他のものでも使用することが可能
である。
【0083】(第2の実施の形態)続いて、図7〜図1
2に基づき本発明の液晶注入方法の第2の実施の形態を
説明する。
【0084】本実施の形態では、複数の液晶パネルに対
して同時に液晶液の注入を行うが、一つ一つの液晶パネ
ルに対する液晶液の注入動作は第1の実施の形態と同様
であるため、説明を省略する。また、第1の実施の形態
と同一部分には同一符号を付す。
【0085】図7は本実施の形態の液晶注入方法を説明
する図であり、図8は図7を排気コネクタ23,24側
から(紙面左手から)見た図であり、図9は図7を注入
コネクタ22側から(紙面右手から)見た図である。こ
れらの図に示すように、複数(ここでは5枚)の液晶パ
ネル21がパネル収納ラック51にガイドされている。
このパネル収納ラック51は、各々の液晶パネルの静電
気破壊を防止するため、帯電しない材質、例えば、カー
ボンフィラ入りの液晶ポリマーなどから形成される。
【0086】各液晶パネル21には、注入コネクタ2
2、排気コネクタ23,24が装着される。53,54
は、直動ガイド付きエアーテーブルであり、54の先端
側で注入コネクタ22との間には、複動機構が設けられ
ている。
【0087】このようにセッティングされた液晶パネル
21には、各注入コネクタ22から、第1の実施の形態
と同様の手順で液晶液が注入される。
【0088】ここで、注入・排気コネクタ22,23,
24の装着手順を図10(a)〜(d),図11,図1
2に基づき説明する。
【0089】(1)まず、パネル収納ラック51をセッ
ティングする(図10(a)参照)。パネル収納ラック
51は、図11,図12の側面図に示すような構成とな
っており、これにより正確な位置決めが行える。つま
り、図11のボールベアリング55と56でパネル収納
ラック51に形成しているV溝を介して挟み込み、複動
機構付きエアーシリンダ57でボールベアリング55側
に押圧することにより、図11の矢印方向にパネル収納
ラック51を規制することができる。また、図12に示
すように装置基台58とパネル収納ラック51との間に
フラットガイド59が構成されているため、これによ
り、図12の矢印方向にパネル収納ラック51を規制す
ることができる。
【0090】(2)次に、エアーテーブル54を用い
て、注入コネクタ22を液晶パネル21に複動付勢して
装着させる(図10(b)参照)。
【0091】(3)次に、エアーテーブル53を用い
て、排気コネクタ23,24を液晶パネルに装着する
(図10(c)参照)。52は、排気コネクタ23,2
4の液晶パネルに対する押し付け量を規制する凸部であ
る。
【0092】(4)さらに、排気コネクタ23,24を
所定押圧力まで付勢し、各コネクタと液晶パネルの密着
性を確保し、全くリークのない状態する。
【0093】以上のように、複数の液晶パネルに注入コ
ネクタ,排気コネクタを装着することにより、複数の液
晶パネルに一括して液晶液を注入することができ、生産
性を向上させることができる。
【0094】(第3の実施の形態)上記した第1の実施
の形態や第2の実施の形態で示した液晶液の注入方法に
より、液晶注入に要する時間を大幅に短縮することが
できる、液晶液を無駄に費やすことがなくなり生産効
率が向上する、脱泡した液晶液を注入するため、液晶
パネルの信頼性を向上できる、等の優れた効果を得るこ
とができる。しかしながら、注入圧力(加圧力)をさら
に大きくして液晶注入時間のさらなる短縮を図ると注入
後の液晶表示装置の表示品質が低下する。これについて
以下に説明する。
【0095】液晶パネルでは、通常約0.7mmの厚さ
のガラス板が用いられている。この場合、液晶液の注入
圧力(加圧力)を大きくすると、液晶注入過程で注入孔
付近が膨らみ、液晶パネルの液晶注入空間厚みを維持し
ているスペーサビーズが加圧された液晶液の流れに押し
流されて、位置ずれをおこしてしまう。
【0096】図14は、13.8インチの液晶パネル
に、第1の実施の形態(図2)で示した液晶注入装置を
用いて液晶液を注入した場合のシミュレーション結果を
示す図である。以下、図2を参照しながら図14のシミ
ュレーション結果について説明する。
【0097】図14(a)は注入圧力プロファイルを示
す図である、すなわち、注入孔25から注入する液晶液
の注入圧力(加圧力)の時間変化を示す図である。この
図に示すように時間経過とともに徐々に注入圧力(加圧
力)を大きくしており、最大で0.175Mpaとして
いる(このとき排気圧力は0.5Torrである)。図
14(b)は、上記(a)の注入圧力プロファイルで液
晶液を注入したときに、液晶注入孔25から注入された
液晶が排気孔26,27に向かって流れて行く様子を示
す図である(このとき、液晶パネル21は大気圧下にあ
るものとする)。図14(c)は、図14(a),
(b)に示した状態における、液晶注入開始から注入完
了に至るまでの液晶パネル21を構成する2枚の1対の
ガラス板の一方の様子を示す斜視図である。この図で
は、右側が注入孔25側となっており左側が排気孔2
6,27側となっている。また、この図において下側に
液晶表示空間があり、それを対称線とするようにもう一
方のガラス板がある。この図14(c)に示すように、
ガラス板は歪んでおり、特に注入孔25付近では大きく
膨らんでいる(当然であるが、もう一方のガラス板も同
様に歪んでいる)。この歪み量は液晶表示空間を規定す
る(1対のガラス板の間隔を規定する)スペーサビーズ
径の1/100〜1/50に達しており、これにより、
スペーサビーズのずれや注入孔25付近での液晶パネル
21の厚みの増大が生じ、表示品質異常が発生する。
【0098】本実施の形態では、以上のような液晶液の
注入速度の高速化に伴う液晶パネル21の品質の劣化を
抑制できる液晶注入方法について説明する。但し、ここ
では図7〜図12に示した第2の実施の形態と同様に、
複数の液晶パネルに対して同時に液晶液の注入を行う場
合について説明する。また、第1の実施の形態及び第2
の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
【0099】まず、第2の実施の形態と同様に、パネル
ラック51(図7参照)内に液晶パネル21を装填す
る。ここで、パネルラック51は熱膨張率、収縮率、成
形性、静電気対策を考慮して樹脂材料のPPS,LCP
にカーボンフィラを含有した材料からなっているものと
している。
【0100】そして、第1の実施の形態,第2の実施の
形態で説明した方法で液晶液の充填を行うが、この間、
図15に示すように、各液晶パネル21をその厚さ方向
に両側から挟むように治具70を配置しておく。治具7
0は液晶パネル21を押圧自在に形成されており、例え
ばゴム性の風船のような弾性材料からなっている。
【0101】この治具70は、液晶注入中において液晶
パネル21を所定の圧力で両側から厚さ方向に挟みつけ
るためのものであり、これにより前述したような液晶パ
ネル21の歪みの発生を抑制する。
【0102】図16は、治具70の一例を示す構成図で
ある。治具70には、圧縮空気が充填される圧空パイプ
71が取り付けられており、また、この圧空パイプ71
を通って治具70に出し入れする圧縮空気を制御するた
めの圧力検出センサー72,開閉弁73及び圧力制御部
(図示せず)が設けられている。このような構成により
液晶注入中に液晶パネル21をその厚さ方向に両側から
所望の圧力で押圧することができる。また、治具70を
風船のように薄肉なゴム製のものとしておけば、液晶パ
ネル21を傷つけることなく、液晶パネル21の表面全
体を均一に押圧できる。しかも、熱容量が小さいため、
治具70を膨らませる(液晶パネル21を押圧する)と
きに圧縮空気として温風を使用することで、液晶パネル
21を加熱した状態での液晶注入を容易に実現でき、上
述したように更に高速での液晶注入が可能となる。
【0103】図17は、13.8インチの液晶パネルへ
の液晶注入において、上述した手法、つまり、治具によ
り液晶パネルを両側から挟みつける手法を用いた場合
の、液晶注入の様子をシミュレーションした結果を示す
図である。以下、図2の液晶注入装置の概略構成図を参
照しながら図14のシミュレーション結果について説明
する。
【0104】図17(a)は注入圧力プロファイルであ
る、すなわち、注入孔25から注入する液晶液の圧力の
時間変化を示す図である。この図に示すように徐々に注
入圧力(加圧力)を大きくしており、最大で0.275
Mpaとしている(このときの排気圧力は0.5Tor
rである)。図17(b)は注入時に液晶注入孔25か
ら注入された液晶液が排気孔26,27に向かって流動
していく様子を示す図である。図17(c)は液晶注入
開始から注入完了に至るまでの液晶パネル21を構成す
る1対のガラス板の一方の変形状態を示す図である。こ
の図では、右側が注入孔25側となっており左側が排気
孔26,27側となっている。また、この図において下
側に液晶表示空間があり、それを対称線とするようにも
う一方のガラス板がある。
【0105】なお、図17におけるシミュレーション結
果は、図14のシミュレーション結果に比べて、最大の
注入圧力(図(a)において注入圧力が一定となる後半
部分での注入圧力(加圧力))を約1.5倍大きくして
おり、また、治具70により大気圧に0.1Mpa加算
した圧力で液晶パネル21を押圧した場合の結果であ
る。
【0106】図14(c)と図17(c)を比較すれば
分かるように、本実施の形態の場合(図17)には注入
孔25付近における膨らみが大きく抑えられている。本
実施の形態における歪み量は、スペーサビーズ径の1/
5000程度であり、液晶パネル21の品質にほとんど
影響を与えないレベルである。また、注入圧力を1.5
倍にしているため、図14(b)と図17(b)とを比
較すれば分かるように、本実施の形態の場合には液晶注
入速度が更に速くなっている。このため、液晶注入に要
する時間を第1の実施の形態や第2の実施の形態の70
%にすることができる。
【0107】図18は、液晶パネルへの液晶注入におい
て、図16に示す治具70に加熱した圧縮空気(温風)
を治具内に導入して液晶パネルを両側から押圧する手法
を適用した場合の、液晶注入の様子をシミュレーション
した結果を示す図である。図18(a)は室温(20
℃)での液晶液の流れを示す図(すなわち、温風を導入
していない場合の結果を示す図)であり、図18(b)
は治具70により液晶パネル21及び液晶液の温度を4
0℃まで上昇させた場合の液晶液の流れを示す図であ
る。図18(a)では液晶液の注入完了までに約29分
要していたのが、図18(b)では約13分となってお
り、治具70の加熱により更に大幅に注入時間を短縮す
ることができる。これは、液晶液の加熱によりその粘度
が低下して流動性が向上したことによる。
【0108】以上示したように、本実施の形態の手法に
より、液晶パネルの歪みを抑制した状態で液晶液の注入
を行うことが可能となる。このため、液晶の注入圧力を
増大させることができ、これにより、更に液晶注入時間
を短縮できる。
【0109】なお、本実施の形態では、治具による液晶
パネルの押圧力を液晶注入中常に一定としているが、そ
の押圧力を時間の経過とともに変化させても良い。この
ようにすれば、液晶注入中に時間の経過とともに変化す
る液晶パネルの歪みに適確に対処することができる。
【0110】(第4の実施の形態)以下に、本実施の形
態の液晶注入装置について説明する。但し、ここでは第
1〜第3の実施の形態と同一部分については説明を省略
する。
【0111】図19は、本実施の形態の液晶注入装置の
構成を示す概略図である。図2に示した液晶注入装置と
異なる点は、液晶パネル21の複数箇所(ここでは9カ
所)にその厚さを測定する透過型光学センサー60を備
えている点である。
【0112】透過型光学センサー60は、上記したよう
に液晶パネル21の厚みを測定する。液晶パネル21の
厚みは液晶液の充填量に関係するため、この厚みにより
液晶液の充填量を判断することができる。以下に本実施
の形態の液晶液の注入方法について説明する。
【0113】まず、第1〜第3の実施の形態に示した方
法により、液晶パネル21内部に液晶液を充填する。そ
の後、透過型光学センサー60により液晶パネル21の
厚みを測定し、図示さない判定手段によりその厚みの良
否を判定する。この判定手段は、例えば透過型光学セン
サー60の測定結果と記憶している所定の厚さとを比較
する。判定の結果、厚みが薄い場合にはさらに継続して
液晶液の注入を行う。厚みが厚い場合には次の液晶パネ
ル21への液晶液の注入量を減少させる。なお、上記の
ように液晶液が不足している場合に更に継続して注入す
ることができるのは、液晶液を加圧しながら注入してい
るためであり、本発明特有のものである。
【0114】ここで、液晶液の注入量あるいは注入時間
を可変することのできる制御手段を設けておけば、透過
型光学センサー60の測定結果に基づき、次の液晶パネ
ル21への液晶液の注入量を自動的に増減でき、液晶表
示装置の生産性を向上させることができる。
【0115】また、液晶液を液晶パネル21内に注入し
ながら液晶パネル21の厚みを測定し、その測定結果に
基づき液晶注入量あるいは液晶注入時間を増減するよう
にすれば、個々の液晶パネル21の注入孔25形状等の
ばらつきに適確に対応して、適切な量の液晶液を充填す
ることが可能となる。
【0116】以上のように、本実施の形態の液晶注入装
置によれば、量産時の各プロセス、各構成部品のばらつ
きに応じた液晶注入が行えるため、液晶液充填後の液晶
パネルの信頼性を向上させることができる。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、液晶液
を貯溜し、真空引用パイプと注入用パイプが挿入された
2つ以上の貯溜手段と、各貯溜手段に貯溜された液晶液
を液晶パネル内に注入する状態と脱泡する状態とに切換
えるため、各真空引用パイプ及び注入用パイプに設けら
れた切換手段と、貯溜手段のいずれか1つを液晶パネル
内に注入する状態にすると共に他の貯溜手段を脱泡する
状態にするよう切換手段を制御する切換制御手段とを有
し、いずれか1つの貯留手段から液晶液を注入すると同
時に他の貯溜手段を脱泡するので、いずれか1つの貯溜
手段から液晶液を液晶パネル内に注入している間に、他
の貯溜手段の液晶液を脱泡しておき、次の液晶パネルへ
の液晶液の注入に備えることができる。従って、生産性
を向上させることができる。
【0118】また、液晶パネルへの液晶液の充填を必要
な量の液晶液の注入のみで行うことができ、効率的であ
る。
【0119】更に、必要以上の液晶液を長時間真空暴露
しないため、液晶液に性能劣化がなく、品質が向上す
る。
【0120】また、かなり大型の液晶パネルに液晶液を
注入する場合にも、加圧注入により、十分な注入圧力を
得るため、注入に要する時間を短縮することができる。
【0121】更に、液晶パネル自体を真空チャンバ内に
収納することなく、大気圧下において注入孔及び排気孔
を介して液晶パネル内の脱気及び液晶液注入を行うこと
ができ、減圧による液晶セルの破損防止、量産性向上が
容易に可能となる。
【0122】また、液晶注入中に液晶パネルをその厚さ
方向に押圧しておくことにより、液晶パネルの歪みやス
ペーサビーズの位置ずれを抑制することができ、液晶液
充填後の液晶パネルの品質を高めることができる。さら
に、このため、液晶液の注入圧力(加圧力)を高くする
ことができ、液晶液の注入に要する時間を更に短縮する
ことができる。
【0123】また、液晶パネルの厚みを測定する手段を
設け、その測定結果に基づき液晶液の注入量,注入時間
を変化させるようにすれば、各プロセス、各構成部品の
ばらつきに応じた液晶注入が行えるため、液晶液重点後
の液晶パネルの信頼性を向上させることができる。
た、本発明の液晶パネルによれば、上述の液晶注入方法
で均一に液晶液を注入できる。さらに、液晶パネルにお
ける接着剤層の途切れ部分を2重にしたり、幅広にして
おくことで、リークを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態で使用する液晶パネルの構成
を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の液晶注入装置の一例を示す
構成図である。
【図3】液晶脱泡加圧タンクの構成を示す図である。
【図4】注入コネクタと注入孔との接続を説明する図で
ある。
【図5】液晶脱泡加圧タンクによる加圧制御の一例を説
明する図である。
【図6】液晶液の注入時に加熱を行った場合における液
晶液注入の様子を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の液晶注入装置の一例を示す
構成図である。
【図8】図7の液晶注入装置を排気孔側から見た図であ
る。
【図9】図7の液晶注入装置を注入孔側から見た図であ
る。
【図10】第2の実施の形態における注入コネクタ及び
排気コネクタの接続工程を説明する図である。
【図11】第2の実施の形態のパネル収納ラックの構成
を示す図である。
【図12】図11に示したパネル収納ラックを他の角度
から見た図である。
【図13】液晶パネルの注入コネクタ,排気コネクタと
の接続部分の望ましい構成を示す図である。
【図14】注入圧力(加圧力)が大きい場合の問題点を
説明するシミュレーション結果を示す図である。
【図15】第3の実施の形態の液晶注入方法を説明する
図である。
【図16】図15における治具の構成を示す図である。
【図17】第3の実施の形態の液晶注入方法による液晶
注入の様子をシミュレーションした結果を示す図であ
る。
【図18】図16の治具に温風を導入した場合の液晶注
入の様子をシミュレーションした結果を示す図である。
【図19】第4の実施の形態の液晶注入装置の構成を示
す概略図である。
【図20】従来の液晶パネルの構成を示す図である。
【図21】従来例1の液晶注入装置の動作を説明する図
である。
【図22】従来例1の液晶注入装置の動作を説明する他
の図である。
【図23】従来例2の液晶注入装置の動作を説明する図
である。
【符号の説明】
30,31,34,35,40 開閉弁 28,42 真空ポンプ 43 接着剤層 21 液晶パネル 14 液晶液 22 注入コネクタ 23,24 排気コネクタ 25 注入孔 26,27 排気孔 29,41 フィルター 32,33 液晶注入加圧タンク 48,49 真空計 51 パネル収納ラック 60 透過型光学センサー 70 治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 勝 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−14362(JP,A) 特開 平5−45662(JP,A) 特開 平7−281200(JP,A) 特開 平2−193113(JP,A) 特開 平8−160434(JP,A) 特開 平7−168194(JP,A) 特開 平8−160441(JP,A) 特開 平5−2172(JP,A) 特開 平4−172322(JP,A) 特開 平3−73930(JP,A) 特開 平6−194618(JP,A) 特開 平8−201822(JP,A) 実開 昭63−135327(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1341

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶注入孔と排気孔の形成された液晶パネ
    ル内に液晶液を注入する液晶注入装置において、 前記液晶液を貯溜し、真空引用パイプと注入用パイプが
    挿入された2つ以上の貯溜手段と、 前記各貯溜手段に貯溜された液晶液を前記液晶パネル内
    に注入する状態と脱泡する状態とに切換えるため、前記
    各真空引用パイプ及び注入用パイプに設けられた切換手
    段と 前記貯溜手段のいずれか1つを前記液晶パネル内に注入
    する状態にすると共に他の貯溜手段を脱泡する状態にす
    るよう前記切換手段を制御する切換制御手段とを有し、 前記いずれか1つの貯留手段から前記液晶液を注入する
    と同時に他の貯溜手段を脱泡 することを特徴とする液晶
    注入装置。
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