JP3903707B2 - 液晶セルの封止方法およびセルギャップ調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶セルの封止方法およびセルギャップ調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より広く普及している液晶装置は、対向する一対の基板を、開口部を有する枠状のシール材を介して貼り合わせてセル化した後、このセルの内部(すなわち、一対の基板とシール材とによって囲まれた領域)に、上記開口部を介して液晶を注入し、当該開口部を封止材によって封止することによって製造されるのが一般的である。ここで、上記セル内に液晶を注入する方法としては、いわゆる真空注入法が広く用いられている。すなわち、セルが配置されたチャンバ内を真空状態にし、当該セルのシール材の開口部を液晶に浸した状態でチャンバ内を大気圧に戻すと、セル内とチャンバ内との間に気圧差が生じ、この結果セル内に液晶が注入されるのである。
【0003】
しかしながら、上記方法を用いた場合、液晶がセル内に過剰に注入されてしまい、この結果、液晶セルの一対の基板間の厚さ(以下、「セルギャップ」という。)が、所望の厚さ(以下、「目標値」という。)よりも厚くなってしまう。すなわち、一対の基板が、外側(液晶とは反対側)に膨らんだ形状となってしまうのである。そして、このようにセルギャップが目標値よりも厚くなってしまった場合、この液晶セルを用いた液晶装置において所期の表示特性が得られない。かかる問題を解決すべく、上記液晶注入工程の後、開口部を封止する前の段階で、液晶セルの両基板に対して圧力を加えることによって過剰な液晶を液晶セル内から排出し、セルギャップを目標値に調整する、いわゆる加圧工程を行うのが一般的である。
【0004】
ここで、図7(a)は、従来の加圧工程において両基板に加えられる圧力の様子を例示するグラフであり、(b)はこの加圧に伴うセルギャップの変化の様子を例示するグラフである。これらの図に示すように、従来の加圧工程においては、両基板に対して終始一定の圧力Pを加えてセルギャップを徐々に目標値に近づけていき、当該目標値に十分近づいた時点でシール材の開口部を封止するのが通常であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、正確かつ迅速にセルギャップを所望のセルギャップに調整するのが困難であるという問題があった。すなわち、両基板に対して比較的高い圧力を加えるようにすれば、所望のセルギャップに近づくまでの時間を短縮することはできるものの、セルギャップの変化が急激となる結果、正確に目標値に調整するのが困難となる。一方、両基板に対して比較的低い圧力を加えるようにすれば、セルギャップの変化を緩やかにすることができるから、正確に目標値となるように調整することができる。しかしながら、この場合、セルギャップが目標値に至るまでに長時間を要することとなり、生産効率が低下してしまうという問題が生じ得る。
【0006】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、液晶セルのセルギャップを正確かつ迅速に調整することができる液晶セルの封止方法およびセルギャップ調整装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願に係る液晶セルの封止方法は、開口部を有する枠状のシール材により貼り合わされた一対の基板間に液晶が注入された液晶セルにおいて、前記一対の基板面に対してセルギャップを狭め得る第1の圧力を加え、当該セルギャップを目標値よりも薄くする第1工程と、前記一対の基板面に対してセルギャップを広げ得る第2の圧力を加え、当該セルギャップを前記目標値よりも厚くする第2工程と、前記一対の基板面に対して、前記第1の圧力よりも低く、かつセルギャップを狭め得る第3の圧力を加える第3工程と、前記開口部を封止する第4工程と、をこの順番で有することを特徴としている。
【0008】
かかる封止方法によれば、まず比較的高い第1の圧力を基板に作用させることによって短時間でセルギャップを目標値に近づけることができる一方、その後にこれよりも低い第3の圧力を基板に作用させることによってセルギャップを正確に目標値に調整することができるという利点がある。つまり、本発明によれば、従来の技術と比較して迅速かつ正確にセルギャップの調整を行うことができるのである。
【0009】
ここで、第1工程において目標値よりも狭くなったセルギャップを、一旦目標値よりも厚くすることなく(すなわち、上記第2期間に相当する期間を設けることなく)セルギャップの調整を行うこととした場合、セルギャップは徐々に増加しながら目標値に近づく。ここで、セルギャップが目標値を含む所定の範囲(以下、「目標値範囲」という)内の値に達した時点で開口部が封止されるが、かかる封止を行うためには、それまでの両基板の押圧に伴って液晶セルから吐き出された液晶を拭き取る必要がある。しかしながら、上述したようにセルギャップが徐々に増加しつつ目標値に近づいている期間において液晶の拭き取りを実行すると、外部の空気が液晶セル内に吸い込まれる結果、液晶セル内に気泡が混入してしまい、当該液晶セルを用いた液晶装置の表示特性を劣化させる原因となる。
【0010】
これに対し、本発明に係る封止方法においては、第1の圧力の付与によって目標値に近づいたセルギャップを、第2工程において目標値よりも広くなるようにしているので、第1工程においてセルギャップが目標値よりも狭くなっても、第3の圧力による押圧を行う第3工程においては、セルギャップを減少させつつ目標値範囲内の値に近づけることができる。すなわち、液晶セルから過剰な液晶が吐き出されながら目標値範囲内の値に至るので、この期間において液晶セルから吐き出された液晶を拭き取った場合であっても、液晶セル内に気泡が混入するのを回避することができるという利点がある。
【0011】
ここで第1工程の終了時点において、セルギャップを目標値よりも厚くなるようにした場合、第2工程においてさらにセルギャップが厚くなる結果、第3工程においてセルギャップが目標値となるまでの時間が長くなる。これに対し、本発明に係る封止方法においては、前記第1工程において、セルギャップを目標値よりも薄くするようにしているため、第2工程においてセルギャップを目標値と比較してわずかに厚くすることが可能となるため、上記の場合と比べて、第3工程においてセルギャップが目標値に至るまでの時間を短くすることができる。
【0012】
また、上記第2の圧力を大気圧としてもよい。かかる圧力は、第2工程において基板に加えられる圧力を開放する(リーク)することによって発生させることができるから、第2工程において大気圧とは異なる所定の圧力を基板に加える場合と比較して、圧力制御のための処理が容易となる。
【0013】
さらに、上記封止方法においては、前記第3の圧力を、セルギャップが前記目標値と略同一となった状態で当該基板に生じる反力とつり合う圧力とすることが望ましい。こうすれば、目標値に達した後は、セルギャップがそれ以上に狭くなってしまうことはないから、第3の圧力により基板を押圧する期間を比較的長時間確保することができ、セルギャップを確実に目標値に至らせることができるという利点がある。
【0014】
さらに、上記封止方法の第4工程を、前記第3工程においてセルギャップが前記目標値と略同一となった段階で前記開口部近傍に封止材を塗布する工程と、前記一対の基板面に対して前記第3の圧力よりも低い圧力を加える工程と、前記封止材を硬化させる工程とを含むようにしてもよい。こうすれば、セルギャップを目標値に保ちつつ液晶を液晶セル内に封止することができる。さらに、封止材の塗布後に、基板に加えられる圧力を第3の圧力よりも低い圧力とすることにより、当該封止材を基板間に引き込んだ状態で硬化させることができるから、封止の確実性を高めることができるという利点がある。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本願に係るセルギャップ調整装置は、開口部を有する複数の枠状のシール材により貼り合わされた一対の基板間であって、前記複数の枠状のシール材に各々囲まれた領域に液晶が注入された液晶セルにおいて、前記一対の基板面に対して所定の圧力を加える加圧手段を具備するセルギャップ調整装置であって、前記加圧手段は、第1期間において、前記一対の基板面に対して両基板のセルギャップを目標値よりも狭め得る第1の圧力を加え、前記第1期間の後、少なくともセルギャップが前記目標値よりも厚くなるまでの第2期間において、前記一対の基板面に対してセルギャップを広げ得る第2の圧力を加え、前記第2期間の後の第3期間において、前記一対の基板面に対し、前記第1の圧力よりも低く、かつセルギャップを狭め得る第3の圧力を加え、前記第3期間の後、前記一対の基板面に対して前記第3の圧力よりも低い第4の圧力を加えることを特徴としている。かかるセルギャップ調整装置によれば、上記液晶セルの封止方法について説明したのと同様の理由により、迅速かつ正確にセルギャップを調整することができ、かつ基板間に気泡が流入するのを回避することができる。
【0016】
ここで、このセルギャップ調整装置においても、上記液晶セルの封止方法において説明したのと同様、前記第2の圧力を大気圧としたり、または前記第3の圧力を、セルギャップが前記目標値と略同一となった段階で当該基板に生じる反力とつりあう圧力とすることが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0018】
A;実施形態の構成
(1)液晶セル群の構成
まず、本発明に係る液晶セルの封止方法の説明に先立ち、この方法による加工の対象となる液晶セル群の構成について説明する。図1(a)は、この液晶セル群の構成を例示する平面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A’線視断面図である。同図に示すように、本実施形態においては、4つの液晶セル1aを連ねた構成を有する液晶セル群1に対して、本発明に係る封止方法による加工を施す場合を想定する。すなわち、まず、図1(a)および(b)に示すように、相互に対向する基板11および12を、各液晶セル1aに対応する領域に形成された枠状のシール材13を介して貼り合わせて4つのセルを形成する。そして、各セルの内部、すなわち一対の基板11および12とシール材13とによって囲まれた領域に液晶14を注入し、これにより4つの液晶セル1aが連なった構成の液晶セル群1が形成される。また、各液晶セル1aの内部には、セルギャップを均一に保つための多数の粒状のスペーサ(図示略)が散布されている。かかる構成の液晶セル群1が、本発明に係る封止方法による加工の後に、図1(a)に示す破線に沿って分断されて個々の液晶セル1aとなるのである。なお、実際には、基板11および12の内側(液晶14側)表面に、各液晶セル1aごとに画素電極や配線、および配向膜等が適宜形成されているが、本発明とは直接関係がないため、その図示および説明を省略する。
【0019】
ここで、上述した真空注入法を用いた場合、各セル内に液晶14が過剰に注入されるため、図1(b)に示すように、各液晶セル1aの両基板11および12は外側(すなわち、液晶14とは反対側)に向けて凸に膨らんだ形状となり、セルギャップは目標値よりも厚くなってしまう。本発明に係る封止方法は、こうして過剰に流入した液晶14を液晶セル1aから流出させてセルギャップを目標値に調整するとともにシール材13の開口部13aを封止材によって封止する、いわゆる加圧封止工程に関する方法である。従って、本方法による加工の対象となるのは、各セルに液晶14が注入された後の段階であって、シール材13の開口部13aが未だ封止材によって封止されていない段階の液晶セル群1となる。
【0020】
(2)セルギャップ調整装置の構成
次に、図2を参照して、本発明に係る液晶セルの封止方法を実施するためのセルギャップ調整装置2の構成を説明する。同図に示すように、このセルギャップ調整装置2は、一対の支持治具21と、流体供給用管22と、加圧装置23とを含んで構成される。なお、一対の支持治具21の各々は、同様の構造となっているため、以下では一方の支持治具21についてのみ説明し、他方の支持治具21についての説明を兼ねるものとする。
【0021】
支持治具21は、概ね板状の形状を有する部材であり、他方の支持治具21と対向する部分(以下、「平面部」という。)211を有している。また、支持治具21の平面部211には密閉用シール212が配設されている。この密閉用シール212は、ゴム等の弾性材料からなる環状の部材であり、その一部が支持治具21の平面部211表面から突出した構成となっている。
【0022】
図2に示すように、このセルギャップ調整装置2の加工対象たる液晶セル群1は、両基板11および12の表面が各支持治具21に設けられた密閉用シール212に当接した状態で、一対の支持治具21の間に挟持される。ここで、図3は、液晶セル群1がセルギャップ調整装置2に支持された状態を図2における上から見た場合の、当該液晶セル群1と密閉用シール212との位置関係を示す図である。同図に示すように、密閉用シール212は、一列に連なって液晶セル群1を構成する4つの液晶セル1aの大部分を囲むように、液晶セル群1の両基板11および12と当接することとなる。液晶セル群1がこのような態様で支持される結果、液晶セル群1の基板11または12と、密閉用シール212と、支持治具21の平面部211とによって囲まれた領域は、流体供給用管22に繋がる穴を除いて密閉された領域(以下、「加圧領域」という。)となる。
【0023】
再び図2において、流体供給用管22は、上述した加圧領域と加圧装置23とを連結するように延在する管である。詳述すると、この流体供給用管22は、加圧装置23から支持治具21に向かって延びるとともに、支持治具21のうち密閉用シール212によって囲まれた領域の外側から当該支持治具21の内部を通って密閉用シール212に囲まれた領域の内側(加圧領域)に至る形状となっている。
【0024】
加圧装置23は、上述した加圧領域に流体供給用管22を介して流体(本実施形態においては空気)を供給するための装置である。かかる構成の下、加圧装置23から加圧領域に空気が供給され、これにより当該空気の圧力が液晶セル群1の基板面に加えられるようになっている(図2においては矢印で示されている)。さらに、この加圧装置23は、液晶セル群1の両基板面を含む加圧領域に加えられる圧力を、任意に調整できるようになっている。
【0025】
B;液晶セル群加工の具体的手順
次に、本発明に係る封止方法による液晶セル群1の加工の具体的な手順について説明する。
まず、加工対象となる液晶セル群1を、その両基板が支持治具21の密閉用シール212と当接した状態となるようにセルギャップ調整装置2にセットする。そして、以後、加圧領域に加えられる圧力を調整することにより、液晶セル群1の両基板に対して以下に示す態様により圧力を加え、最終的に各液晶セルのセルギャップが目標値となるように調整する。ここで、図4(a)は、本実施形態において液晶セル群1の両基板に作用させる圧力の変化の様子を表すグラフであり、図4(b)は、この圧力の変化に伴うセルギャップの変化の様子を表すグラフである。これらの図に示すように、本実施形態においては、加圧封止工程を4つの期間に分け、各々の期間において基板に対して異なる圧力を加えるようになっている。詳述すると、以下の通りである。
【0026】
まず、第1期間においては、液晶セル群1の両基板に対して1次圧力P1を加える。この1次圧力P1は、液晶セル群1の基板に加えられた場合に当該基板の反力(すなわち、液晶14と液晶セル1a内に散布されたスペーサとによって基板に加えられる外側方向の力)に抗してセルギャップを狭め得る大きさであって、かつセルギャップを比較的短時間で目標値に近い値まで狭め得る大きさ(例えば1.5kg/cm2程度)に設定されている。また、第1期間は、当該第1期間が終了した時点でセルギャップが目標値を含む所定範囲内の厚さ(すなわち、図4(a)に「d」で示す範囲内の厚さ)となる時間長に設定されている。ただし、本実施形態においては、第1期間が終了した時点でセルギャップが目標値よりも薄くなる時間長に設定されているものとする。
【0027】
上記第1期間の後、続く第2期間においては基板に加えられる圧力を2次圧力P2とする。この2次圧力P2は、液晶セル群1の基板に加えられた場合にセルギャップを厚くし得る大きさとなっている。換言すれば、2次圧力P2は、当該圧力によって基板に加えられる力が、基板の反力よりも小さくなるような圧力となっている。なお、本実施形態においては、第2期間において上記加圧領域内の圧力を開放(リーク)する場合を想定する。従って、2次圧力P2は大気圧と等しい。また、この第2期間の時間長は、上記1次圧力P1による押圧で目標値よりも薄くなったセルギャップが、目標値よりも厚くなるのに必要な時間長に設定されている。
【0028】
第2期間の後、続く第3期間においては基板に対して3次圧力P3を加える。この3次圧力P3は、上記1次圧力P1よりも小さく、かつセルギャップを狭め得る大きさの圧力となっている。さらに、本実施形態における3次圧力P3は、セルギャップが目標値に達した時点における基板の反力とつり合う圧力(例えば0.5kg/cm2程度)となっている。かかる3次圧力P3を基板に作用させることにより、上記第2期間において目標値よりも広くなったセルギャップを、徐々に狭めつつ目標値に近づけるのである。ここで、本実施形態における3次圧力P3はセルギャップが目標値に達した時点における基板の反力とつり合う圧力であるから、セルギャップが目標値に達すると、それ以上セルギャップが薄くなることはない。この結果、上記1次圧力P1を作用させた場合とは異なり、この3次圧力P3を作用させる時間を長時間とした場合であっても基板間に散布されたスペーサが破損するといった不都合は生じない。従って、第3期間の時間長として、セルギャップが目標値に達するのに十分な時間長を確保することができる。なお、この第3期間においては、後に行う封止材の塗布に備え、両基板の押圧により液晶セル群1内から吐き出された液晶の拭き取りが適宜行われる。
【0029】
次に、第3期間においてセルギャップが目標値に十分近づいた後、より詳細にはセルギャップが目標値範囲(目標値を含む所定範囲であって、上述した範囲dよりも狭い範囲。)内の値となった後、上記3次圧力P3を作用させたまま、各液晶セル1のシール材13の開口部13aを塞ぐように封止材を塗布する(図4(a)における時刻T1)。本実施形態においては、この封止材として紫外線硬化性を有する樹脂材料を用いる。
【0030】
続いて、封止材塗布後の第4期間の開始時点において上記3次圧力P3をわずかに弱める。これにより、開口部13aに塗布された封止材は、開口部13aの内側に流入することとなる。こうするのは、単に封止材を開口部13aに塗布した状態で硬化させた場合よりも、封止材をわずかに基板間に流入させた状態で硬化させた方が、封止の確実性を高めることができるからである。
【0031】
次に、封止材が適度に基板間に流入したところで、当該封止材に対して紫外線を照射してこれを硬化させ(図4(a)における時刻T2)、各液晶セル1a内に液晶14を封止する。ここで、3次圧力P3を弱めた時点から紫外線を照射するまでの時間長(すなわち時刻T1の直後からT2までの時間長)を長くし過ぎると、封止材がセル内部に入り込んで液晶装置の表示特性に影響を与え得る。従って、この期間の時間長は、封止材が表示特性に影響を与え得るほど基板間に流入しないように設定されることが望ましい。
【0032】
以上が加圧封止工程の具体的な内容である。こうして液晶セル群1を構成する各液晶セル1aに液晶14が封止された後、当該液晶セル群1をセルギャップ調整装置2から取り外し、各液晶セル1aに分断する。この後、両基板の表面に偏光板や位相差板等を貼着するとともに、液晶を駆動するための駆動回路等を実装して液晶装置が完成する。
【0033】
このように、本実施形態においては、セルギャップを狭め得る圧力を1次圧力P1とそれよりも低い3次圧力P3とに切り換えるようになっているため、正確かつ迅速にセルギャップを調整することができるという利点がある。すなわち、加圧封止工程において基板に終始高圧力(例えば本実施形態における1次圧力P1)を加えつつセルギャップを調整した場合には、セルギャップが急激に変化する。従って、短時間にセルギャップを変化させることはできるものの、セルギャップを目標値に正確に調整するのは極めて困難となる。一方、基板に対して終始低圧力(例えば本実施形態における3次圧力P3)を加えつつセルギャップを調整した場合には、正確にセルギャップを調整することはできるものの、押圧に伴うセルギャップの変化が緩やかであるため、セルギャップが目標値に到達するまでに相当の時間を要することとなる。これに対し、本実施形態によれば、第1期間において比較的高い1次圧力P1を作用させることにより短時間でセルギャップを目標値に近づけることができる一方、第3期間において3次圧力P3を作用させることによりセルギャップを正確に目標値に調整することができるという利点がある。つまり、本実施形態によれば、従来の技術と比較して正確かつ迅速にセルギャップの調整を行うことができるのである。
【0034】
さらに、本実施形態においては、第1期間と第3期間との間に、基板に加えられる圧力を2次圧力P2(大気圧)とする第2期間を設け、第1期間において目標値よりも薄くなったセルギャップが一旦目標値よりも厚くなるようにしている。この結果、第3期間においては、セルギャップを減少させつつ目標値に近づけることができるので、各液晶セル内に気泡が流入するのを防ぐことができるという効果が得られる。以下、この効果について詳述する。
【0035】
ここで、図5は、基板に2次圧力P2を加える第2期間を設けることなく、第1期間の経過直後から3次圧力P3を基板に加えた場合のセルギャップの変化の様子を例示するグラフである。この場合、第1期間においてセルギャップが目標値よりも薄くなるが、セルギャップを目標値よりも広くする第2期間がないため、3次圧力P3を加える期間のうち図5中に「T」で示す期間においては、セルギャップが徐々に増加しつつ目標値に近づくこととなる。ここで、開口部13aを封止するためには、液晶セル群から流出した液晶を拭き取る必要があるが、上記のようにセルギャップが増加する期間において液晶の拭き取りを行うと、空気が吸い込まれ、この結果液晶セル内に気泡が混入してしまうのである。そして、このように気泡が混入された状態でセルギャップが目標値範囲内の値に達して封止されるため、液晶セル内には気泡が混入したままとなり、液晶装置の表示特性を劣化させる原因となる。
【0036】
これに対し、本実施形態によれば、3次圧力P3を加える期間においては、セルギャップが減少しつつ目標値範囲に近づくこととなる。つまり、液晶セル群1内から過剰な液晶が吐き出されながら、セルギャップが目標値に近づくのである。従って、この期間において液晶の拭き取りを行ったとしても、気泡が混入するのを回避することができるという利点がある。
【0037】
C;変形例
以上この発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0038】
<変形例1>
上記実施形態においては、セルギャップ調整装置2の加圧領域に流体(空気)を流入させることによって液晶セル群1の両基板に圧力を作用させる構成としたが、両基板に対して圧力を加えるための手段はこれに限られるものではない。例えば、図6に示すように、加工対象となる液晶セル群1を剛性を有する一対の板状部材3,3によって挟持し、この板状部材3,3に対して力Fを加えることによって液晶セル群1の両基板に圧力を加えるようにしてもよい。すなわち、特許請求の範囲における「加圧手段」としては、液晶セルの基板に対して圧力を作用させることができ、かつその圧力を変化させることができる手段であればいかなる手段を用いることもできる。
【0039】
<変形例2>
上記実施形態においては、基板に対して1次圧力P1を加える第1期間の終了時点で、セルギャップが目標値よりも狭くなるようにしたが、必ずしもこうする必要はなく、第1期間の終了時点でセルギャップが目標値よりも広くなるようにしてもよい。要は、第1期間において、セルギャップが比較的短時間で目標値に近づくようになっていればよい。換言すれば、第1期間の終了時点において、セルギャップが目標値を含む所定範囲内の厚さとなっていればよいのである。
【0040】
また、上記実施形態では、第2期間において加圧領域内の圧力を開放し、基板に加えられる圧力を大気圧と等しい2次圧力としたが、必ずしもこうする必要はなく、基板の反力よりも小さい力で液晶セル群を押圧し得る圧力を継続して基板に加えるようにしてもよい。要は、第2期間において液晶セルのセルギャップが増加し、当該期間の終了時点において液晶セルのセルギャップが目標値よりも厚くなっていればよい。
【0041】
<変形例3>
上記実施形態および各変形例においては、複数の液晶セルが連なった液晶セル群を加工の対象としたが、本発明は、例えばかかる液晶セル群を分断した後、複数の液晶セルの各々について加圧封止を行う場合にも適用可能である。すなわち、特許請求の範囲における「液晶セル」とは、「個々の液晶セル1a」および「複数の液晶セル1aにより構成される液晶セル群1の各々」の双方を含む概念である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液晶が注入された液晶セルのセルギャップを、正確かつ迅速に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明に係る液晶装置の封止方法による加工対象たる液晶セル群のの構成を模式的に例示する断面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線視断面図である。
【図2】 同封止方法を実施するためのセルギャップ調整装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図3】 液晶セル群を同セルギャップ調整装置に取り付けた状態における当該液晶セル群と密閉用シールとの位置関係を示す平面図である。
【図4】 (a)は同セルギャップ調整装置において液晶セル群の基板に印加される圧力の様子を例示するグラフであり、(b)はかかる圧力の印加に伴う液晶セル群のセルギャップの変化の様子を例示するグラフである。
【図5】 本発明の効果を説明するための図である。
【図6】 液晶セル群の加圧のための手段の他の例を示す断面図である。
【図7】 (a)は従来の加圧封止工程において液晶セルの基板に印加される圧力の様子を例示するグラフであり、(b)はこの押圧に伴うセルギャップの変化の様子を例示するグラフである。
【符号の説明】
1……液晶セル群(液晶セル)
1a……液晶セル
11,12……基板
13……シール材
13a……開口部
14……液晶
2……セルギャップ調整装置
21……支持治具
211……平面部
212……密閉用シール
22……流体供給用管
23……加圧装置(加圧手段)
3……板状部材(加圧手段)
Claims (7)
- 開口部を有する枠状のシール材により貼り合わされた一対の基板間に液晶が注入された液晶セルにおいて、前記一対の基板面に対してセルギャップを狭め得る第1の圧力を加え、当該セルギャップを目標値よりも薄くする第1工程と、
前記一対の基板面に対してセルギャップを広げ得る第2の圧力を加え、当該セルギャップを前記目標値よりも厚くする第2工程と、
前記一対の基板面に対して、前記第1の圧力よりも低く、かつセルギャップを狭め得る第3の圧力を加える第3工程と、
前記開口部を封止する第4工程と、
をこの順番で有することを特徴とする液晶セルの封止方法。 - 前記第2の圧力は大気圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶セルの封止方法。
- 前記第3の圧力は、セルギャップが前記目標値と略同一となった状態で当該基板に生じる反力とつり合う圧力であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶セルの封止方法。
- 前記第4工程は、
前記開口部近傍に封止材を塗布する工程と、
前記一対の基板面に対して前記第3の圧力よりも低い圧力を加える工程と、
前記封止材を硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液晶セルの封止方法。 - 開口部を有する複数の枠状のシール材により貼り合わされた一対の基板間であって、前記複数の枠状のシール材に各々囲まれた領域に液晶が注入された液晶セルにおいて、前記一対の基板面に対して所定の圧力を加える加圧手段を具備するセルギャップ調整装置であって、
前記加圧手段は、
第1期間において、前記一対の基板面に対して両基板のセルギャップを目標値よりも狭め得る第1の圧力を加え、
前記第1期間の後、少なくともセルギャップが前記目標値よりも厚くなるまでの第2期間において、前記一対の基板面に対してセルギャップを広げ得る第2の圧力を加え、
前記第2期間の後の第3期間において、前記一対の基板面に対し、前記第1の圧力よりも低く、かつセルギャップを狭め得る第3の圧力を加え、
前記第3期間の後、前記一対の基板面に対して前記第3の圧力よりも低い第4の圧力を加えることを特徴とするセルギャップ調整装置。 - 前記第2の圧力は大気圧であることを特徴とする請求項5に記載のセルギャップ調整装置。
- 前記第3の圧力は、セルギャップが前記目標値と略同一となった状態で当該基板に生じる反力とつり合う圧力であることを特徴とする請求項5または6に記載のセルギャップ調整装置。
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