JP3274743B2 - 診断用キット - Google Patents

診断用キット

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JP3274743B2
JP3274743B2 JP16369893A JP16369893A JP3274743B2 JP 3274743 B2 JP3274743 B2 JP 3274743B2 JP 16369893 A JP16369893 A JP 16369893A JP 16369893 A JP16369893 A JP 16369893A JP 3274743 B2 JP3274743 B2 JP 3274743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原−抗体反応を利用
したC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬から構成され
る診断用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】抗原と抗体の特異的な反応を利用した免
疫学的測定方法は特異性が高く、測定感度が高いことか
ら臨床検査の分野で広く用いられている。
【0003】臨床検査で用いられている免疫学的測定方
法には放射性物質を用いたラジオイムノアッセイ、酵素
標識抗体を用いた酵素免疫測定法、抗原抗体反応による
濁度の変化を利用した免疫比濁法、ラテックス粒子を利
用したラテックス凝集法、あるいは赤血球等に抗原ある
いは抗体を吸着し抗原抗体反応によりマイクロタイター
プレート上で管底凝集像を形成させるマイクロタイター
法等がある。これらのうち、ラテックス凝集法及びマイ
クロタイター法等の担体を用いた免疫学的凝集反応試薬
は簡便、迅速且つ正確に判定を行うことができるので臨
床検査で広く利用されている。該免疫学的凝集反応試薬
は担体粒子に固定化した抗原あるいは抗体(以下、担体
粒子上に固定化する抗原あるいは抗体を感作物質ともい
う)が、被検体に含まれる被測定抗体あるいは被測定抗
原(以下、検出しようとする抗原あるいは抗体を測定目
的物質ともいう)と抗原抗体反応をすることにより患者
の疾病の診断を行う診断薬である。
【0004】免疫学的凝集試薬においては他の免疫診断
薬と同様に正確な早期診断を行うことが必須条件であ
る。すなわち、1)抗原抗体反応によらない凝集反応
(以下、非特異的凝集反応ともいう)がないこと、2)
被検体中の測定目的物質の微量検出が可能(以下、高感
度化ともいう)なこと、の2点を満足することが必須で
ある。
【0005】免疫学的凝集反応試薬における非特異的凝
集反応の原因は以下のことが考えられる。すなわち、被
検体中の夾雑成分が担体粒子自体と抗原抗体反応によら
ない非特異的な結合をすることが一因である。このよう
な非特異的凝集反応は担体粒子上に感作物質を担持した
のちに該担体粒子上の間隙を免疫学的に不活性なブロッ
キング剤で担持する(以下、このような操作をブロッキ
ングともいう)ことにより低減できる。もう一つの非特
異的凝集反応の原因として、被検体中に測定目的物質以
外の夾雑物質が感作物質と非特異的な結合を起こすこと
が考えれる。そこで該夾雑物質を吸収除去する物質(以
下、吸収剤ともいう)を検体希釈液中に添加することで
非特異的凝集反応を低減することができる。ブロッキン
グ剤と検体希釈液中に添加する吸収剤の検討が免疫学的
凝集反応試薬の非特異的凝集反応の防止の要因であると
言える。
【0006】非特異的凝集反応を回避できる免疫学的凝
集反応試薬を調製するための公知の手法として、感作物
質を担持した担体粒子(以下、感作物質を担持した担体
粒子を感作粒子ともいう)を牛血清アルブミン(以下、
BSAとも略記する)でブロッキングし、検体希釈液
吸収剤として正常ウサギ血清を用いることが有効と考え
られ、実際に使用されているが、未だ非特異的凝集反応
の回避の点で十分ではなかった。
【0007】他方、免疫学的凝集反応試薬では疾病の早
期発見が重要であり、そのためには微量な測定目的物質
を検出できること、すなわち、高感度化が必要不可欠で
ある。例えばウイルス感染症のような疾病では感染初期
に測定目的物質の量が少なく、感染初期に診断を行うに
は高感度であることが重要である。免疫学的凝集反応試
薬を高感度化する方法として、できるだけ多くの感作物
質を担体粒子に担持させることが唯一の方法である。し
かしながら、感作物質を過剰に担体粒子に担持させると
感度が向上する一方、感作物質同士が相互的結合を起こ
して該感作物質のうち測定目的物質との抗原抗体反応に
有効な領域(以下、活性部位ともいう)が潰れて測定目
的物質の測定ができなくなるといった現象が生じる。従
って、免疫学的凝集反応試薬の調製するために不溶性担
体に担持できる感作物質の量には上限があり、ある一定
量以上の感作物質を担持して高感度化を図ることは不可
能であり、未だ高感度化の具体的方法は見い出されてい
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】非特異的凝集反応を防
止するために、ブロッキング剤や検体希釈液に添加する
吸収剤として多種多様な物質が検討されてきたが、未だ
適切なブロッキング剤、吸収剤は見い出されていない。
さらに高感度化を行う具体的な方法を検討してきたが、
未だ適切な方法は見い出されていない。そこで非特異的
凝集反応の少ない且つ測定目的物の微量検出の可能な免
疫学的凝集反応試薬から構成される診断用キットを調製
するために適切な方法の開発が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記技術課
題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、抗原
としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用
いる場合には、ブロッキング剤としてカゼインを使用
し、且つ検体希釈液にもカゼインを添加すれば、1)非
特異的凝集反応の防止、2)測定目標物質の微量検出可
能という2つの要件を満足するC型肝炎診断用免疫学的
凝集反応試薬を用いたC型肝炎診断用キットとなること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、不溶性担体にC型肝炎ウ
イルス遺伝子由来の抗原タンパク及びカゼインを担持し
てなるC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬と、カゼイ
ン及び緩衝液を含んでなる検体希釈液とから構成される
C型肝炎診断用キットである。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明における不溶性担体粒子としては公
知の免疫学的凝集反応法の診断試薬に用いることができ
る担体が制限なく使用できる。例えば、核部となる無機
質化合物に染料を被覆させた高比重複合粒子(特開昭6
2ー115366参照、以下、HDPとも略記する)、
羊赤血球、ポリスチレン粒子、ゼラチン粒子等が挙げら
れる。中でもHDP及び赤血球は抗原あるいは抗体の吸
着量が多く好適に用いられる。特に人工担体であるとこ
ろのHDPは表面官能基を人工的に付加することがで
き、抗原あるいは抗体の種類に応じて表面状態を変化さ
せることができるので免疫学的凝集反応試薬の担体粒子
としてはさらに好適に用いることができる。
【0013】また、不溶性担体の粒子径も、免疫学的凝
集反応法診断試薬として用いうる公知の範囲から特に制
限されなく採用されるが、担体粒子重量当りの比表面積
が上げることにより感作物質の吸着量を向上させること
ができるので、通常、粒子径0.01μmから3μmま
でのものが好適に用いられる。
【0014】不溶性担体の比重は1.0以上であればよ
いが、特に沈降反応を利用したマイクロタイター試薬用
担体粒子は比重が大きい程、沈降速度が速く判定時間が
短縮化できるので1.5以上のものが好適に用いられ
る。
【0015】本発明では抗原として、C型肝炎ウイルス
遺伝子由来の抗原タンパクを用いる。
【0016】本発明でいうC型肝炎ウイルス遺伝子由来
の抗原タンパク(以下、HCV抗原とも略記する)とは
C型肝炎ウイルス遺伝子によりコードされるタンパクの
ことである。該C型肝炎ウイルス(以下、HCVとも略
記する)遺伝子とは特開平4−144686及び特開平
4ー179482に記載されている塩基配列を有する全
長約10kb(約1万ヌクレオチド)のRNAである。
HCVはRNAウイルスであるが、HCV由来のRNA
より逆転写酵素により作り出されたcDNAも該C型肝
炎ウイルス遺伝子に該当する。
【0017】該C型肝炎ウイルス遺伝子は、輸血後非A
非B肝炎患者の血清からウイルス遺伝子を分離して作製
したcDNAライブラリーから得ることが出来る。例え
ば、まず患者血清から超遠心によりC型肝炎ウイルスを
分離し、次いでウイルスから遺伝子RNAを調製し、該
RNAに対して逆転写酵素を使用してcDNAを合成
し、しかるのちに該cDNA断片をプラスミドベクター
あるいはファージベクターに挿入して、cDNAライブ
ラリーを調製する。次いで、該cDNAライブラリー
を、輸血後非A非B肝炎患者の血清(抗HCV抗体を含
有する血清)を用いイムノスクリーニングすることによ
り、目的の遺伝子を得ることが出来る。また公知のHC
V遺伝子の塩基配列をもとにDNAプローブを合成し
て、cDNAライブラリーをDNA/DNAハイブリダ
イゼーションによりスクリーニングしてもよい。また別
の方法としては Proceedings of the Japan Academy, V
ol.65, Ser.B, No.9, pp.219〜223(1989).に示される方
法、即ち逆転写酵素とPCR法とを組み合わせたRT−
PCR法により狙った領域を遺伝子増幅させて、その増
幅させた遺伝子断片をクローニングする方法も有効であ
る。
【0018】該HCV抗原は、通常知られている遺伝子
発現系、即ち、大腸菌のホスト・ベクター系、枯草菌の
ホスト・ベクター系、酵母のホスト・ベクター系、昆虫
細胞あるいは昆虫のホスト・ベクター系、動物細胞のホ
スト・ベクター系等を利用して発現が可能である。この
うち、大腸菌は好適に利用出来る。大腸菌を用いて該抗
原タンパクを発現するには、まず大腸菌で発現可能なベ
クターにHCVの遺伝子を挿入し組換えベクターを作製
する。ベクターは特に限定されず、大腸菌のベクターと
して通常用いられるベクターならば如何なるベクターで
も利用できるが、特に遺伝子発現が高頻度で起こるベク
ターは好適に利用される。例えば、一連のpUCベクタ
ー(宝酒造(株)製品)、一連のpTVベクター(宝酒造
(株)製品)、一連のpTZベクター(東洋紡績(株)製
品)、一連のpET(Methods in enzymology,Vol.185
に示される)などが利用できる。また、一連のpUEX
ベクター(アマシャム・ジャパン(株)製品)、一連のp
EXベクター(ベーリンガー・マンハイム山之内(株)製
品)を利用すれば、抗原タンパクをβ−ガラクトシダー
ゼとの融合ポリペプチドとして発現させることができ
る。大腸菌で発現可能なベクターには、通常は大腸菌内
で働く遺伝子発現のためのプロモーターや、それをコン
トロールするオペレーターが附属している。このような
ベクターのプロモーターの下流にある適当な制限酵素部
位を利用してHCV遺伝子を挿入することにより、組換
えベクターが作製される。このようにして作製される組
換えベクターの中でも、特にpUEXベクターを用いて
作製される組換えベクターは、遺伝子発現によって得ら
れるポリペプチドの収率がよく、精製が容易であること
などから好適に選択される。組換えベクターにより大腸
菌を形質転換し、該形質転換大腸菌を培養し挿入された
遺伝子を発現させることにより抗原タンパクが生産され
る。
【0019】組換えベクターで遺伝子発現を行う場合
は、ポリペプチドのN末端あるいはC末端にランダムな
配列のアミノ酸が複数個付加する場合がある。しかしな
がら、このようなN末端、あるいはC末端に付加された
複数個のアミノ酸はランダムなアミノ酸であるから、抗
原抗体反応には無関係であり、抗原抗体反応を用いた測
定には影響はない。
【0020】該HCV抗原は、上記形質転換大腸菌を培
養し得られた菌体を超音波処理などの方法で破砕し、こ
の菌体破砕物より公知の方法により分離される。該HC
V抗原の精製方法は公知の方法ならばいずれでもよく塩
析、イオン交換樹脂吸着、ゲル濾過等々である。好まし
くは上記方法の組合せが有効である。また、精製された
該HCV抗原はどのような溶液に分散されていてもよい
が、好ましくは0.87%塩化ナトリウム水溶液(以
下、生理食塩水とも略記する)あるいは0.87%塩化
ナトリウム含有、20mM燐酸緩衝液、pH7.2(以
下、PBSとも略記する)に分散されていることが望ま
しい。試薬感度は不溶性担体の単位表面積当りに担持さ
れる該HCV抗原のエピトープ数に依存するため、不溶
性担体の単位表面積当りに担持される該HCV抗原のエ
ピトープ数を増加させるために精製純度は高いほど望ま
しい。
【0021】該HCV抗原は抗C型肝炎ウイルス抗体
(以下、抗HCV抗体とも略記する)に対する免疫学的
反応性を有するポリペプチドである。すなわち、被検体
中の抗体に対するエピトープ部位を有し、抗原抗体反応
により患者血清及び血漿中の抗体と特異的に結合する特
性を有する。
【0022】該HCV抗原のポリペプチド鎖の長さは抗
HCV抗体が抗原抗体反応で認識できる長さであればよ
く、一般に抗原抗体反応で抗体が抗原部位として認識で
きるとされている3アミノ酸残基以上であればよい。さ
らに該HCV抗原は不溶性担体粒子に担持するので担体
粒子への吸着効率を考慮すると3000アミノ酸残基以
下が好適に用いられる。
【0023】本発明で用いるブロッキング剤とは、感作
粒子上の感作物質の間隙を覆う為に用いる免疫的に不活
性な物質のことを言う。感作粒子を該ブロッキング剤で
覆う目的は1)夾雑物質の影響の回避、2)感作物質同
士の相互吸着の防止の2点にある。 本発明では、該ブ
ロッキング剤として、カゼインを用いる。
【0024】ロッキング剤としてカゼインを用いた場
合、感作物質同士の非特異的な結合が防止でき、より多
くの感作物質を不溶性担体に担持することができる。し
たがって高感度化を可能とするほか、他のブロッキング
剤を用いたときと比較して被検体中の夾雑物質の影響に
よる非特異的凝集反応を防止できる。ブロッキング剤と
してカゼイン以外の、例えばBSAを用いた場合、不溶
性担体のHCV抗原同士が相互吸着を起こして健常者検
体、C型肝炎患者検体ともに非特異的凝集反応を起こし
てしまう。またブロッキング剤として正常ウサギ血清を
用いた場合は被検体中の夾雑物質の影響を受けやすく健
常者検体に於ける測定で非特異的な感度上昇を生じてし
まうため適当でない。
【0025】本発明におけるカゼインは公知のものなら
ば特に限定なく用いられる。該カゼインとしては乳タン
パク質の主体をなすもので乳に酸を加えてpH4.6に
する等電点沈澱することにより調製される酸性カゼイン
が好適に用いられる。該酸性カゼインは一般に電気泳動
的にα、β、γの3成分に分離できるがα、β、γのい
ずれでもよくまた2種類以上の混合物として用いること
も可能である。さらに加熱、加圧等の物理的分解、酸・
アルカリ等での化学的分解、タンパク質分解酵素での酵
素的分解により低分子化したものも同様に用いることが
できる。
【0026】本発明でいう担持とは、不溶性担体に感作
物質としてのHCV抗原、ブロッキングのためのカゼイ
等(以下、これらの不溶性担体に担持する物質を吸着
物質ともいう)を吸着させることである。
【0027】HCV抗原及びカゼインを不溶性担体粒子
に担持する順序は特に制限なく以下の方法の何れかが採
用される。
【0028】1)不溶性担体にHCV抗原を担持したの
カゼインを担持する方法、2)不溶性担体にカゼイン
を担持したのちにHCV抗原を担持する方法、3)不溶
性担体にHCV抗原カゼインを同時に担持する方法で
ある。いずれの方法でも本発明の効果は十分に発揮され
るが、HCV抗原を優先的に担持するために1)の不溶
性担体にHCV抗原を担持したのちカゼインを担持する
方法が好適に用いられる。
【0029】上記1)の担持工程を概説すれば、HCV
抗原を溶解した緩衝溶液中に不溶性担体を分散、混合し
HCV抗原を不溶性担体に担持した後余剰のHCV抗
を遠心洗浄で除去し、次いでカゼインを同様にして担
持する方法が挙げられる。
【0030】不溶性担体にHCV抗原を担持する方法と
しては疎水吸着法等の物理的吸着法、塩化クロム法等の
化学的吸着法等の公知の方法が採用されるが、HCV抗
原は不溶性担体に担持されたのち被検体中の抗HCV抗
と抗原抗体反応により結合をするため該HCV抗原
できるだけ穏やかな条件で担持することが必要であり、
そのため疎水的吸着法が特に好適に用いられる。
【0031】上記疎水的吸着法による担持は、緩衝作用
のある緩衝液中に不溶性担体と吸着物質を分散させた状
態で行う。該緩衝液は燐酸緩衝液、グリシン緩衝液、ト
リス緩衝液、酢酸緩衝液等など緩衝作用のあるものなら
ば制限なく用いることができる。緩衝液のpHについて
、一般に中性領域pH6.0〜pH8.0が望まし
い。不溶性担体に吸着物質を担持させる時間は吸着物質
が均一的に不溶性担体表面に担持されるのに十分な時間
であればよいが、例えば該HCV抗原をHDPの疎水吸
着法で行う場合は30分間以上で十分である。さらに温
度に関しても担持する吸着物質が熱変性を受けない範囲
即ち1℃以上80℃以下が採用される。
【0032】続いての不溶性担体へのカゼインの担持も
上述の感作物質の担持と同様の方法を採用することがで
きる。
【0033】例えば、本発明のC型肝炎診断用免疫学的
凝集反応試薬においては、HCV抗原を担持した不溶性
担体(以下、HCV抗原感作担体ともいう)を遠心洗浄
で余剰のHCV抗原を除去した後、該HCV抗原感作担
体をブロッキング剤であるカゼインを0.1〜5(w/
vol)%となるように中性付近のpH6.0〜pH
8.0で緩衝作用のある緩衝液に溶解した溶液中に感作
粒子濃度0.0001〜30(w/w)%となるように
分散してブロッキング剤の担持を行う。
【0034】本発明のC型肝炎診断用免疫学的凝集反応
試薬とは、上記したとおりの被検体(血清、血漿、尿、
便等)中に存在する抗HCV抗体を免疫学的凝集反応で
検出するために不溶性担体にHCV抗原及び免疫学的に
不活性なブロッキング剤としてカゼインを担持した診断
用試薬である。
【0035】該免疫学的凝集反応試薬は通常診断に利用
される凝集反応法が何ら制限なく適用される。例えば、
定性診断の平板法、半定量診断のマイクロタイター法及
び定量診断のラテックス凝集法、粒子数計測法等であ
る。そのうち、特にマイクロタイタ−法に適用する場
合、本発明の効果が特に顕著である。
【0036】上記C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬
は水性溶媒に懸濁して使用されるが、長期に保存する場
合はこれを凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥方法
は限定的ではなく通常の方法で行えばよい。例えば感作
赤血球の凍結乾燥法に採用される方法及び条件が用いら
れる。好ましくは上記該免疫学的凝集反応試薬を水性溶
媒に懸濁状態でバイアル瓶等に入れ、液体窒素等に浸漬
して急速予備凍結し次いで真空凍結乾燥する方法が採用
される。
【0037】真空凍結乾燥方法の条件は特に限定される
ものではないが、上記感作粒子の浮遊液の入ったバイア
ル等を急速予備凍結したのち、予め−40〜−60℃に
冷却した凍結乾燥機のチャンバ−内に置き24〜72時
間かけて徐々に昇温し真空凍結乾燥する方法が好適であ
る。この時のチャンバー内の圧力50〜200μmH
g、最終乾燥温度は20〜50℃が適当である。ついで
真空状態、または不活化ガスを充填して封栓して凍結乾
燥免疫学的凝集反応試薬(以下、凍結乾燥試薬ともい
う)とする。
【0038】該凍結乾燥試薬は、吸収剤を含む緩衝液
(以下、粒子溶解液ともいう)に懸濁、分散した後測定
に供される。粒子溶解液中に懸濁、分散された凍結乾燥
試薬は凍結乾燥を施す前の免疫学的凝集反応試薬と何ら
変わりない性能を示す。なお、凍結乾燥を行わない場合
にも粒子溶解液に免疫学的凝集反応試薬を懸濁、分散し
て測定に供する。
【0039】本発明のC型肝炎診断用免疫学的凝集反応
試薬を用いて実際に被検体中の抗HCV抗体を検出する
は、被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈する検
体希釈液が必要である。該検体希釈液は吸収剤を含む緩
衝液から構成される。
【0040】検体希釈液は吸収剤および緩衝液を主成分
とするものであるが、検体希釈液に含有されている吸収
剤として上記免疫学的凝集反応試薬のブロッキング剤と
して不溶性担体に担持されている物質と同じくカゼイン
を使用することが必須である。
【0041】免疫学的凝集反応試薬に担持されたカゼイ
は、ブロッキング剤として、一般に感作したHCV抗
同士の相互吸着の防止、被検体中の夾雑物質の不溶性
担体表面への吸着防止のために用いられるが、不溶性担
体に担持した該カゼインと被検体中の夾雑物質が非特異
的吸着を起こすと新たな非特異的凝集反応の原因とな
る。
【0042】そこで検体希釈液に、上記ブロッキング剤
同じくカゼインを吸収剤として添加することにより、
不溶性担体に担持した該カゼインと非特異的吸着を起こ
す被検体中の夾雑物質を予め吸着除去する。免疫学的凝
集反応試薬に担持されているカゼインと異なる物質を検
体希釈液の中に添加した場合、被検体中に含まれる免疫
学的凝集反応試薬担持されたカゼインと非特異的吸着
を起こす夾雑物質は吸収除去されず、非特異的凝集反応
を起こし易い。
【0043】検体希釈液及び粒子溶解液に用いる緩衝液
は、公知の緩衝液が特に限定されず用いられる。例え
ば、燐酸緩衝液、トリス緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩
衝液、グリシン緩衝液等である。該緩衝液のpHは特に
限定されないが、不溶性担体自身が凝集を起こさないよ
うに中性から弱アルカリ性域のpH7〜pH10が好適
に用いられる。従って中性から弱アルカリ性で緩衝作用
のある燐酸緩衝液、トリス緩衝液等が好適に用いられ
る。また、該緩衝液の濃度も緩衝作用のある領域であれ
ば任意のものを用いることができ、5mM〜500mM
が好適に用いられる。
【0044】さらに検体希釈液及び粒子溶解液には塩が
存在してもよい。塩の種類、濃度については特に限定は
されないが、抗原抗体反応が好適に進行する条件、例え
ば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウ
ム等で濃度は1mMから1M程度が好適に用いられる。
また、腐敗を防止するために0.1(w/vol)%程
度のアジ化ナトリウム等を添加してもよい。
【0045】調製された検体希釈液や粒子溶解液は15
℃以下の冷蔵保存で通常2年間程度の保存が可能であ
る。
【0046】本発明において検体希釈液の代表的な調製
方法は、緩衝液にカゼインを0.0001〜30(w/
vol)%となるように添加、溶解したのち、必要に応
じて酸、またはアルカリを加えて緩衝液のpHを微調整
して検体希釈液とする。さらに必要に応じて塩化ナトリ
ウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等を添加、溶解
する。
【0047】粒子溶解液には、管底凝集像の安定化のた
めに多糖類等を添加する場合がある。
【0048】上記C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬
と検体希釈液からなる診断用キットをマイクロタイター
試薬として使用するときは通常、マイクロタイタープレ
ート上で反応を行う。定性試験を行うときは、被検体を
規定希釈倍率まで検体希釈液で希釈したのち、粒子溶解
液に懸濁した上記免疫学的凝集反応試薬を滴下すること
によって測定を行う。
【0049】
【作用】不溶性担体にHCV抗原及びカゼインを担持さ
せることで被検体中の夾雑物質の不溶性担体表面への吸
着防止が可能となる。しかしながら、不溶性担体に担持
した該カゼインと被検体中の夾雑物質が非特異的吸着を
起こすと新たな非特異的凝集反応が生じる可能性があ
る。そこで検体希釈液にもカゼインを添加することによ
り、不溶性担体に担持した該カゼインと非特異的吸着を
起こす被検体中の夾雑物質を吸着除去し、上記非特異的
凝集反応を防止する。
【0050】他方、不溶性担体にHCV抗原及びカゼイ
を担持することによりHCV抗原同士の相互的結合を
起こさず、過剰のHCV抗原を不溶性担体に担持でき
る。従って、HCV抗原同士の相互作用を防止でき、よ
り多くの活性部位を効率的に担体粒子表面に露出させる
ことで高感度化が可能となるが、さらに、検体希釈液中
に上記カゼインを添加することにより被検体に含まれる
夾雑物質を予め吸着除去することで夾雑物質とHCV抗
による非特異的凝集反応の防止ができるため、HCV
抗原と測定目的物質との真の免疫学的凝集反応のみが起
こり、結局免疫学的凝集反応試薬の高感度化が可能とな
る。
【0051】
【発明の効果】不溶性担体にHCV抗原及びカゼイン
担持し、さらに検体希釈液にもカゼインを用いること
で、HCV抗原と非特異的凝集反応を起こす夾雑物質、
及びカゼインと非特異的凝集反応を起こす夾雑物質を共
に吸収除去できた。その結果、非特異的凝集反応を回避
し且つ被検体中の測定目的物質の微量検出、即ち高感度
を高度に実現することが可能となった。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、これらの実施例により本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。
【0053】参考例 C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗
原タンパクの調製 C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクとしてはC
ore抗原、NS−3抗原、NS−4抗原、NS−5抗
原の4種類を用いた。以下のようにして4種類の抗原タ
ンパクを調製した。遺伝子操作実験の手法は、サムブロ
ックらの方法[Sambrook, J., Fritsch, E. F., Maniat
is, T., Molecular Cloning, 2nd ed.,Cold Spring Har
bor Laboratory Press, New York (1989).]に従って行
った。なお、制限酵素は宝酒造(株)製品を使用した。 (Core抗原の調製) HCVのCore領域遺伝子(N末端から1番目から168
番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)をpUEX2(A
mersham社製)に挿入したpHCX01を持つ組換え大腸菌HB1
01[pHCX01](特願平4-198806、微工研菌寄第13056
号)をLB+Amp培地[Bacto tryptone 1.0%, Yeast
extract 0.5%, NaCl 0.5%, アンヒ゜シリン(Amp)50μg
/ml]で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるよう
にグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0054】組換え大腸菌HB101[pHCX01]を培養し遺
伝子発現を行うことにより、Core抗原はβ−ガラク
トシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。組
換え大腸菌HB101[pHCX01]の凍結保存菌体1mlを、1
リットルのLB+Amp培地に接種し30℃にて一晩培養
した。続いてこの培養物を、20リットルのLB+Amp
培地に植菌し30℃でOD540が1.5となるまで培養し、培
養温度を42℃に上昇させて引き続き3時間培養した。培
養後、遠心分離により集菌し57gの湿菌体を得た。菌体
を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液(50mM Tris
・HCl(pH8.3),100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸濁し、超音
波処理により破砕した。この菌体破砕物を10,000g、20
分間の遠心分離により、Core抗原を含む不溶性顆粒
を沈澱画分に回収した。この沈澱を、再び2リットルの
0.6M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁して不溶性顆粒を洗浄
し、遠心分離することにより沈澱を回収した。更にこの
沈澱を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁
し、室温で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒を十
分洗浄した後、遠心分離することにより不溶性顆粒を沈
澱画分に回収した。この不溶性顆粒の沈澱に、200mlの8
M尿素を含むTNE緩衝液を加え沈澱を可溶化した。これを
16,000g、20分間の遠心分離により上清を分取し、TNE緩
衝液に対して透析した。透析後、16,000g、20分間の遠
心分離により上清を分取しCore抗原を得た。20リッ
トルの培養液からCore抗原を980mg得た。
【0055】(NS−3抗原の調製) NS−3領域遺伝子(N末端から1323番目から1533番目
のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミ
ドpHCV07を持つ組換え大腸菌E. coli HCV7(特開平4-17
9482、微工研菌寄第11831号)からpHCV07を単離してEco
RIとStuIで消化し、cDNAの5’側の338bp断片を得
た。この338bp断片はさらにHinfIで部分消化後、DNA
ポリメラーゼI Klenow fragmentにより末端を平滑化
し、263bp断片を得た。またpHCV7をStuIで消化し、CIP
処理した後、PstI消化し、cDNAの3’側の400bp断
片を得た。一方pUEX1をSmaIとPstIで消化し、CIP処理し
た。このpUEX1とcDNAの5’側の263bp断片、cDN
Aの3’側の400bp断片のライゲーション反応を行い、
組換えベクターpCI07を得た。この組換えベクターpCI07
には、HCVのN末端から数えて、1323番目から1533番
目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次
に、組換えベクターpCI07で宿主大腸菌HB101を形質転換
し、組換え大腸菌HB101[pCI07]を得た。組換え大腸菌
HB101[pCI07]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養
し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して
−80℃で凍結保存した。
【0056】組換え大腸菌HB101[pCI07]を培養し遺伝
子発現を行うことにより、NS−3抗原はβ−ガラクト
シダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Co
re抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI
07]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製
を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、
NS−3抗原を1,000mg得た。
【0057】(NS−4抗原の調製) NS−4領域遺伝子(N末端から1605番目から1798番目
のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミ
ドpHCV10を持つ組換え大腸菌E. coli HCV10(特開平4-1
79482、微工研菌寄第11834号)からpHCV10を単離してAv
aIIで消化後、DNAポリメラーゼI Klenow fragment
により末端を平滑化し、さらにBamHIで消化して583bp断
片を単離した。一方pUEX3をSmaIで消化し、CIP処理し、
さらにBamHIで消化した。その後、電気泳動を行い目的
の断片を分離した。これらをライゲーションし、組換え
ベクターpCI10を作製した。この組換えベクターpCI10に
は、HCVのN末端から数えて、1605番目から1798番目
のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次
に、組換えベクターpCI10で宿主大腸菌HB101を形質転換
し、組換え大腸菌HB101[pCI10]を得た。組換え大腸菌
HB101[pCI10]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養
し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して
−80℃で凍結保存した。
【0058】組換え大腸菌HB101[pCI10]を培養し遺伝
子発現を行うことにより、NS−4抗原はβ−ガラクト
シダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Co
re抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI
10]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製
を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、
NS−4抗原を720mg得た。
【0059】(NS−5抗原の調製) NS−5領域遺伝子(N末端から2111番目から2270番目
のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミ
ドpHCV14を持つ組換え大腸菌E. coli HCV14(特願平4-1
79482、微工研菌寄第11838号)からpHCV14を単離してPs
tI及びXbaIで消化後、blunting kitにより末端を平滑化
し、484bpを含む断片を単離した。一方pUEX2をSmaIで消
化し、CIP処理した。その後、電気泳動を行い目的の断
片を分離した。これらをライゲーションし、組換えベク
ターpCI14を作製した。この組換えベクターpCI14には、
HCVのN末端から数えて、2111番目から2270番目のア
ミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組
換えベクターpCI14で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組
換え大腸菌HB101[pCI14]を得た。組換え大腸菌HB101
[pCI14]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最
終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃
で凍結保存した。
【0060】組換え大腸菌HB101[pCI14]を培養し遺伝
子発現を行うことにより、NS−5抗原はβ−ガラクト
シダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Co
re抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI
14]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製
を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、
NS−5抗原を750mg得た。
【0061】比較例1 カゼインをブロッキング剤とし
て用いたC型肝炎診断用免疫学的凝集 反応試薬の調製 (感作) 直径1.8μmのHDP(徳山曹達(株)製品)をPBS
で5(w/w)%になるように懸濁し、HDP懸濁液と
した。上記参考例で調製した4種類のHCV抗原タンパ
クを各50、100、200μg/mlで混合して混合
抗原溶液とした。上記HDP懸濁液1mlと混合抗原溶
液1mlを試験管内で混合して室温で1時間放置してH
DP表面に疎水的に担持させた(以下、この吸着操作を
感作ともいう)。
【0062】(洗浄操作) その後、余剰のHCV抗原タンパクを除去するために、
上記混合液に2,500rpm、5分間遠心分離を施
し、遠心上清を除去した。その遠心沈澱物に洗浄のた
め、PBS2mlを添加、懸濁後2,500rpm、5
分間遠心後上清を除去した。上記HCV抗原タンパクを
吸着させたHDPをHCV抗原感作粒子とした。
【0063】(ブロッキング操作) 該HCV抗原感作粒子(50mg)に1%カゼイン、5
mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。
ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分
間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブ
ロッキング操作を完了し、C型肝炎診断用免疫学的凝集
反応試薬(以下、C型肝炎診断試薬ともいう)を調製し
た。このC型肝炎診断試薬を3(vol/vol)%正
常ウサギ血清含有PBS(以下、A液とも略記する)に
0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測
定操作に供した。
【0064】(測定操作) 一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈
した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープ
レートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下し
た。ついで、上記でC型肝炎診断試薬懸濁液をを各穴2
5μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とう
して30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0065】(結果) 上記のように調製したC型肝炎診断試薬の性能評価を健
常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行っ
た。結果を表1に示した。健常者検体はいずれも8倍希
釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型
肝炎患者検体ではいずれも感作濃度200μg/mlで
32,768倍希釈以上でも陽性像が検出できた。
【0066】
【表1】
【0067】実施例1 カゼインをブロッキング剤とし
て用いたC型肝炎診断試薬とカゼインを添加した検体希
釈液からなるC型肝炎診断用キット (感作) 比較例1と同様である。
【0068】(洗浄操作) 比較例1と同様である。
【0069】(ブロッキング操作) 該HCV抗原感作粒子に1%カゼイン、5mlを添加し
て37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング
後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を
施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操
作を完了し、C型肝炎診断試薬を調製した。1(vol
/vol)%カゼイン含有PBS(以下、B液とも略記
する)に0.5(w/vol)%になるように懸濁して
以下の測定操作に供した。
【0070】(測定操作) 一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈
した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープ
レートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下し
た。ついで、上記C型肝炎診断試薬懸濁液を各穴25μ
lを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして
30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感
度は力価で表示する。 (結果) 上記のように調製したC型肝炎診断試薬の性能評価を健
常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行っ
た。結果を表2に示した。健常者検体はいずれも4倍希
釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型
肝炎患者検体では感作濃度200μg/mlで32,7
68倍希釈以上でも陽性像が検出できた。健常者検体を
比較例1と比較するとさらに非特異的凝集反応を低減で
きることがわかり検体希釈液への添加成分としてのカゼ
インの効果が確認された。
【0071】
【表2】
【0072】比較例2 カゼインによるブロッキングを
行わないC型肝炎診断試薬 (感作) 比較例1と同様に行った。
【0073】(洗浄操作) 比較例1と同様に行った。
【0074】(ブロッキング操作) 比較例1で行ったブロッキング操作は比較例2では省略
した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬を3
%正常ウサギ血清を含有するA液に0.5(w/vo
l)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0075】(測定操作) 検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。
次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレート
に各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。つい
で、上記C型肝炎診断試薬懸濁液を各穴25μlを滴下
した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間
静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価
で表示する。 (結果) 上記のように調製したC型肝炎診断試薬の性能評価を比
較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5
検体を用いて行った。結果を表3に示した。カゼインブ
ロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検
体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μ
g/ml感作で非特異的凝集反応を起こしてしまった。
このことよりカゼインブロッキングを行うことでより多
くの抗原を感作することができ、免疫学的凝集反応試薬
の高感度化が可能であるが証明された。また、健常者検
体ではブロッキングを行うことにより非特異的感度上昇
の防止が可能となる。
【0076】
【表3】
【0077】比較例3 カゼインによるブロッキングを
行わないC型肝炎診断試薬とカゼインを添加した検体希
釈液からなるC型肝炎診断用キット (感作) 比較例2と同様に行った。
【0078】(洗浄操作) 比較例2と同様に行った。
【0079】(ブロッキング操作) 比較例3でも比較例1で行ったブロッキング操作は省略
した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬を1
%カゼインを含有するB液に0.5(w/vol)%に
なるように懸濁して以下の測定に供した。
【0080】(測定操作) 検査に用いる検体を1%カゼイン含有したB液で2倍よ
り順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイ
クロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18
穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬懸濁液
を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサー
で振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察
した。試薬感度は力価で表示する。 (結果) 上記のように調製したC型肝炎診断試薬の性能評価を比
較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5
検体を用いて行った。結果を表4に示した。カゼインブ
ロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検
体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μ
g/ml感作で非特異的凝集反応を生じてしまった。こ
のことより検体希釈液の添加成分としてのカゼインはブ
ロッキング剤としてカゼインと使用することによっては
じめて効果を発揮すること判明した。
【0081】
【表4】
【0082】比較例4〜6 カゼイン以外のブロッキン
グ剤(BSA、正常ウサギ血清、グリシン)を用いたC
型肝炎診断試薬とカゼインを添加した検体希釈液からな
るC型肝炎診断用キット (感作) 比較例1と同様である。ただし、感作するHCV抗原濃
度は200μg/mlのみで行った。
【0083】(洗浄操作) 比較例1と同様である。
【0084】(ブロッキング操作) 該C型肝炎診断用感作粒子(50mg)に1%BSA、
1%正常ウサギ血清又は1%グリシンをそれぞれ5ml
添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッ
キング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心
分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキ
ング操作を完了し、3種類のC型肝炎診断試薬を調製し
た。各々のC型肝炎診断試薬を1(vol/vol)%
カゼイン含有PBSである液に0.5(w/vol)%
になるように懸濁し、それぞれのC型肝炎診断試薬を調
製して以下の測定操作に供した。
【0085】(測定操作) 一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈
した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープ
レートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下し
た。ついで、3種類の上記C型肝炎診断試薬懸濁液を各
穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振
とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察し
た。試薬感度は力価で表示する。 (結果) 上記のように調製したC型肝炎診断試薬の性能評価を健
常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行っ
た。結果を表5に示した。ブロッキング剤としてBSA
又はグリシンを用いた場合はすべて非特異的凝集反応を
示し、正常ウサギ血清については健常者検体が非特異的
な感度上昇が見られた。従って、C型肝炎診断試薬のブ
ロッキング剤としてのカゼインの有効性が確認された。
【0086】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/576 C12R 1:19) //(C12N 15/09 C12N 15/00 A C12R 1:19) C12R 1:19) (56)参考文献 特開 平4−354500(JP,A) 特開 平5−142230(JP,A) 特開 平5−142231(JP,A) 特開 平5−68563(JP,A) 特開 平4−19562(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/531 A61K 39/29 C12N 15/09 G01N 33/543 581 G01N 33/576 C12N 15/09 C12R 1:19

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不溶性担体にC型肝炎ウイルス遺伝子由
    来の抗原タンパク及びカゼインを担持してなるC型肝炎
    診断用免疫学的凝集反応試薬と、カゼイン及び緩衝液を
    含んでなる検体希釈液とから構成されるC型肝炎診断用
    キット。
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