JP2997520B2 - 血栓及び凝固亢進状態の診断及び検査のための生物学的試料からのd―ダイマーの直接化学結合的方法 - Google Patents
血栓及び凝固亢進状態の診断及び検査のための生物学的試料からのd―ダイマーの直接化学結合的方法Info
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Description
フィブリンの破壊生産物である、D−ダイマーを検出す
る方法に関し、より詳細には本発明は生物学的試料中で
直性化学的にD−ダイマーに結合する、新規なフラグメ
ントE試薬、及び該方法を実施するためのキットに関す
る。
のD−ダイマーの直接的な化学的結合を用いた、固体相
に付着したヒト フィブリノーゲンの精製したフラグメ
ントEを利用する、フィブリン分解生成物であるD−ダ
イマーの簡単な検出アッセイを実施する方法及び試験キ
ットが提供され、本発明のD−ダイマーをアッセイする
ためのこの直接結合法は多数の方式で実施することがで
き、本発明の一つの具体化においては、フラグメントE
はラテックス担体粒子にコンジュゲート(conju−gat
e)され、凝集アッセイが実施されることである。
血管中で形成された時に血流を制限し、重大な心臓の病
気を招く血栓、血餅の形成である。更に血栓又はその一
部の循環器系内での移動は突然に血流を妨げることによ
り、血栓塞栓症をもたらすことがある。凝固亢進状態に
よりフィブリン溶解治療を受けている患者は、血塊の破
壊を注意深く検査することが必要である。そのためフィ
ブリン溶解、血栓の破壊を検出する鋭敏且つ特異的な手
段を有することが重要である。
有する接着性の性質の分枝状繊維のウェブから成る。フ
ィブリン溶解は凝集過程に対して補完的な系であり、通
常はフィブリンの沈着を防いで、それと平衡状態にあ
る。酵素プラスミンによるフィブリンの消化はD−ダイ
マーを含む分解生産物を生じる。
及びフィブリンのプラスミン分解生産物の血漿濃度が増
大している。それ故ヒトの血液又は尿中におけるフィブ
リノーゲン分解生成物(FDP)の存在は血栓的障害の指
標である。FDPは伝統的に凝集アッセイにより測定され
てきた。例えば:葡萄球菌凝集により;血球凝集免疫ア
ッセイにより;抗血清が付着しているラテックス粒子の
使用による等である。
inogen and Fibrin Degradation Products in Serum by
Staphylococcal Clumping Test"、J.Lab.Clin.Med.75:
93−108(1970)は、葡萄球菌の特異菌株は単量体的フ
ィブリン又はより高分子量のFDPの存在において凝集す
るという事実に基づいた試験法を開示している。この方
法においては、血清又は尿試料の逐次的希釈物を葡萄球
菌細胞の懸濁液と混合して凝集の存在又は不存在に留意
している。
for Measuring Fibrinolytic Split Products in Huma
n Serum"、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.131:871−875(196
9)、は二段法血液凝集−抑制試験法を開示している。
第一段階において、試験血清試料の希釈物をヒト フィ
ブリノーゲンに対する抗体の希釈溶液でインキュベート
する。第二段階において,ヒトの血漿で被覆された褐色
(tanned)の赤血球を添加することにより未反応の抗体
が検出される。凝集が起こらないならば、試料は抗体を
中和するのに充分なFDPを含んでいたということであ
る。
Assay for Fibrin(ogen)Fragment E"、Clinical Chim
ica Acta 147:173−177(1985)、はラテックス粒子が
直接血清中のFDPと反応する抗体で被覆されたラテック
ス凝集試験を開示している。D−ダイマーに対しモノク
ローン性抗体DD−3B6/22を使用することにより、フィブ
リンとフィブリノーゲン分解生産物の間の差異を認める
ことを必要とする特異性を導入した。D−ダイマー、フ
ィブリン分解生成物の検出は、凝集の存在に対し一層特
異的であるから、従来他の技術で可能であったよりも、
血栓症又は凝固亢進状態の検出を一層大きい感度及び特
異性を以て可能とするこの方法は重要な改善であった。
エルムズ(Elms)等、“Rapid Detection of Cross−Li
nked Fibrin Degra−dation Products in Plasma Using
Monoclonal Antibody Coated Latex Particles"、A.J.
C.P.85(3)360−364(3月1986)により記載されてい
るように、フィブリノーゲンのフィブリンへの転化、及
びその凝集形成の過程におけるXIII a因子による架橋の
際の形態的及び構造的変化の検出は、プラスミン溶解性
開裂生産物の間の区別を可能とする新抗原決定基の開発
をもたらした。特に、D−ダイマー形態を含む架橋フィ
ブリン誘導体に特異的である、モノクローン性抗体(DD
−3B6/22)は、血漿又は血清のいずれかにおけるフィブ
リン分解生成物を検出できるラテックス凝集手法の開発
に使用された。このアッセイの感度はD−ダイマー約25
0ng/mlであるように思われる。
nt of Plasma Fibrin D−dimer Levels with the Use o
f a Monoclonal Antibody Coupled to Latex Beads"、
A.J.C.P.87(1)94−100(1月1987)、において、フ
ィブリン分解に対する特異的試験(ダイマー試験)を提
供するために、ラテックス ビーズにカップリングされ
たフィブリンD−ダイマー対モノクローン性抗体(DD−
3B6)を開示している。ダイマーアッセイはフィブリノ
ーゲン欠乏血に添加された2μg/mlの精製フィブリンD
−ダイマー又はフィブリンD−ダイマー/フラグメント
−E複合体を検出した。
開発されたが、これらの技術の安定性及び感度はまだ最
適化されていない。
ある、血漿、尿、又は他の組織又は体液のような生物学
的試料からのD−ダイマーの直接結合のために、固体相
に付着したフラグメント−Eを用いるD−ダイマー用の
簡単な検出アッセイである。従って新規フラグメント−
E試薬を用いる血栓崩壊及び凝固亢進状態を診断し、検
査するために生物学的試料中のD−ダイマーを検出する
直接的方法を提供することが本発明の目的である。
発明の他の目的である。
から明らかになるであろう。
される。フィブリンはXIII a因子により架橋され、安定
した塊を形成する。ヒトの架橋したフィブリンは酵素プ
ラスミンにより分解される。D−ダイマー/フラグメン
トE複合体、(DD)Eは架橋したフィブリンから放出さ
れる主要な可溶性プラスミン分解生成物である。この複
合体はプラスミンによって更に分解されることができ
る。初期の(DD)E複合体はフラグメントD−ダイマー
及びE1を含んでいる。更に酵素により分解される際に、
フラグメントE1はD−ダイマーフラグメントに結合する
能力を失うことなくフラグメントE2に開裂する。フラグ
メントE2からE3への分解は、結果としてフィブリンの末
端分解生産物がフラグメントDD及びE3であるという複合
体の解離をもたらす。フラグメントE1及びE2は架橋した
フィブリンからのフラグメント−DDに結合する能力を有
するが、DD−E複合体、フィブリノーゲン、又はフィブ
リノーゲン又は非架橋フィブリンのプラスミン分解生成
物のいずれとも結合しない。
を結合するために、固体相に付着した精製されたフラグ
メントEを用いてフィブリンのプラスミン分解を検出す
る方法を提供する。
ブジンスキー(Budzynski)により、Biochemistry 19、
991(1979)及びJ.Biol.Chem.254、4925(1979)に記載
された方法により製造できる。これらの報告に記載され
た基礎的方法は、XIII因子の多いフィブリノーゲンから
フィブリン塊の形成を以て開始する。塊をプラスミンで
加水分解し、得られる分解物を遠心して大きい塊粒子を
除去する。(DD)E複合体を含む可溶性分解生産物を含
有する上澄液を次いでアガロース ゲル カラム上で分
離する。分離した(DD)E複合体を次いで濃厚な塩溶液
中でインキュベートし、D−ダイマー及びE1又はE2フラ
グメントを解離する。フラグメントを次いでアガロース
ゲル カラム上で分離し、フラグメントE1又はE2を精
製する。
法は多数の方法で実施することができる。本発明の一つ
の具体化において、精製されたフラグメントEをラテッ
クス担体粒子にコンジュゲートし、凝集するアッセイが
実施される。本発明の説明の中で使用されるように、ラ
テックス担体粒子は水に不溶性であり、約0.2ないし1.0
μmの範囲の粒径(直径)を有し、免疫学的反応に関し
て不活性であるラテックス重合体を含む。典型的な適当
なラテックス担体粒子は、通常約1ないし20%の固体濃
度の水性ラテックス分散物として商業的に供給されてい
るものである。それらが上記に示す判断基準に合致する
限り、多くの種類のラテックスが本発明で使用するのに
適当である。一般に適当なラテックス担体重合体はカル
ボキシル化ポリスチレン、アクリル酸重合体、メタクリ
ル酸重合体、アクリロニトリル ブタジエン スチレ
ン、ポリ酢酸ビニル アクリレート、ポリビニルピリジ
ン及び塩化ビニルアクリレートである。フラグメントE
−ラテックス試薬のラテックス濃度は0.5ないし2%の
範囲にある。
ントEは、等量部のアミジン改質ラテックス ビーズ
(インターフェーシャル・ダイナミックス[Interfacia
l Dynamics]社;2.4%固体)と、精製されたフラグメン
トEとを0.1ないし10mg/ml、及び最も好適には2mg/mlの
最終濃度まで混合することによって、アミジン改質ラテ
ックス ビーズ(AML)にコンジュゲートされる。混合
物を4℃で一夜インキュベートし、次いで燐酸塩緩衝溶
液(PBS)中で洗浄する。得られるフラグメントE−ア
ミジン改質ラテックス試薬を次いでPBSのような適当な
生理学的緩衝液中で牛血清アルブミン(BSA)と共に又
はグリシンとBSAと共に再分散する。
E−AML試薬を約10μのD−ダイマーを含む可能性の
ある、血漿、尿又は他の組織と共にスライド グラス上
で一緒にすることにより、この試薬を用いて実施するこ
とができる。スライドを約2分間回転した後、凝集の観
察を行うことができる。凝集が起こるならば、試料中に
D−ダイマーが存在する。凝集は又例えばマイクロタイ
ター(microtiter)ウェル(well)、フロー(flow)血
球計算法(cytometry)を用いる血球凝集技術のような
当業界周知の技術を用いて検出することもできる。
にはフラグメントE1、ただしE2/又はE3を含んでいるE1
にコンジュゲートを結合することにより非抗体アッセイ
が実施される。コンジュゲート−フラグメントE試薬を
次いで血漿、尿、血清のような生物学的試料と共にイン
キュベートし、洗浄して試料に結合していない過剰のフ
ラグメントEを除去し、結合したフラグメントE−D−
ダイマー生産を測定するためにコンジュゲートを定量す
る。この方法はD−ダイマーの検出のための濾過装置系
上で実施でき、又は結合したD−ダイマー対未結合のD
−ダイマーを分子排除(molecular exclusion)技術又
はイオン−共有結合技術により分離することができ、次
いで液体状態で検出することができる。適当なコンジュ
ゲートはペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、ベータ−グル
コシダーゼを含む。
(capture)分子として使用された、フラグメントE1/E2
の濃度を定量するために、変形ELISA技術を使用するこ
とができる。この方法においては、フラグメントE1/E2
は固体支持体に吸着される。D−ダイマーを含む血漿、
尿又は他の体液のような生物学的試料を次いでフラグメ
ントE1/E2への結合のために添加する。D−ダイマーに
対し特異的なモノクローン性又はポリクローン性抗体が
次いでペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、ベータ−グルコ
シダーゼのような酵素にコンジュゲートされる。コンジ
ュゲート(抗−D−ダイマー/酵素)は次いでフラグメ
ントE1/E2に直接結合しているD−ダイマーに結合す
る。使用された酵素に対する特異的な基質の添加はD−
ダイマーの定量を可能とする。
することにより一層完全な理解を得ることができる。下
記の実施例は説明の目的のためにのみ本文に記載された
もので、本発明を限定するものではない。
ト3×500mlに対し6時間、即ち各3×2時間透析し
た。ジルフォード(Gilford)分光光度計を用いて吸光
度A280を測定した。透析された試料容積1mlに対する始
めの読みは3.333吸光度単位であった。1ml(0.489μ)
のアミジン改質ラテックスビーズ(AML)(ロット番号1
0−43−57A、インターフェーシャル・ダイナミックス
社)をポリプロピレンの1×75mmのチューブに入れ、3,
000rpmで遠心してビーズをペレットとした。ペレットと
したAMLビーズから上澄液を傾斜法で捨て、1mlの透析さ
れたフラグメントE1を添加した。チューブを穏やかに回
転し、ビーズを再分散させた。フラグメントE1/AMLビー
ズ混合物を4℃で12時間インキュベートをした。次いで
チューブを遠心し、AMLビーズをペレットとした。上澄
液は捨てた。2.920吸光度単位で吸光度が測定(吸光度2
80)された。218μgのフラグメントE1がAML1ml当たり
結合した、即ち10.9%が結合したことである。
を10μの試料(血漿)、標準物(精製D−ダイマー)
又は対照(緩衝液又は食塩水)のいずれかとスライドグ
ラス上で混合した。スライドグラスを2分間回転し、凝
集を観察した。下記の結果が得られた: 実施例 3 フラグメントE1/AML試薬の感度の評価: 本発明を充分説明したからには、本文に開示したよう
な本発明の精神又は範囲から逸脱することなく本発明を
変更又は変形することができることは、当業者には明白
であろう。
Claims (22)
- 【請求項1】D−ダイマーを含む可能性のある生物学的
物質の試料を、固体支持体に化学的に結合したヒトフィ
ブリノーゲンの精製されたフラグメントEを含む試薬と
混合することを含んで成る、血栓及び凝固亢進状態の診
断及び検査のための、D−ダイマーを含む可能性のある
生物学的試料中のフィブリン分解生産物であるD−ダイ
マーを直接検出する非−抗体アッセイ方法。 - 【請求項2】該固体支持体がラテックス担体粒子を含ん
で成る、特許請求の範囲第1項に記載の方法。 - 【請求項3】ラテックス試薬を製造する方法が: 該フラグメントEを透析すること; 該ラテックス担体粒子を濃縮すること; 該透析されたフラグメントEを該ラテックス担体粒子と
混合すること; 該混合物をインキュベートすること; ラテックス担体粒子に結合したフラグメントEを含む得
られるラテックス試薬を分離すること、 を含んで成る、特許請求の範囲第2項に記載の方法。 - 【請求項4】該ラテックス担体粒子がアミジン改質ラテ
ックスビーズから成る、特許請求の範囲第2項に記載の
方法。 - 【請求項5】該試薬中の該フラグメントEの最終濃度が
0.1mg/mlないし10mg/mlである、特許請求の範囲第1項
に記載の方法。 - 【請求項6】該試薬中の該フラグメントEの最終濃度が
2mg/mlである、特許請求の範囲第5項に記載の方法。 - 【請求項7】該フラグメントEがフラグメントE1を含ん
で成る、特許請求の範囲第5項に記載の方法。 - 【請求項8】該フラグメントEがフラグメントE1を含ん
で成る、特許請求の範囲第6項に記載の方法。 - 【請求項9】ラテックス担体粒子に結合した精製された
フラグメントEを含むラテックス試薬; ヒトの生物学的試料中にD−ダイマーが存在する時に生
起する凝集を観察するのに適合した、該ラテックス試薬
を該試料と一緒にするための表面、 を含んで成るヒトの生物学的試料中のD−ダイマーを検
出するためのキット。 - 【請求項10】該フラグメントEがフラグメントE1を含
んで成る、特許請求の範囲第9項に記載のキット。 - 【請求項11】精製されたフラグメントEとコンジュゲ
ートしたアミジン改質ラテックス ビーズを含んで成
る、血栓及び凝固亢進状態の診断及び検査のための、D
−ダイマーを含む可能性のある生物学的試料中のフィブ
リンの分解生産物であるD−ダイマーを直接結合するこ
とができるラテックス試薬。 - 【請求項12】該フラグメントEがフラグメントE1であ
る、特許請求の範囲第11項に記載の試薬。 - 【請求項13】該固体支持体が蛋白質コンジュゲートを
含んで成る、特許請求の範囲第1項に記載の方法。 - 【請求項14】該蛋白質コンジュゲートがペルオキシダ
ーゼを含んで成る、特許請求の範囲第13項に記載の方
法。 - 【請求項15】フラグメントEを固体支持体に吸着する
こと; D−ダイマーを含む可能性のある生物学的試料を該固体
支持体に添加すること; D−ダイマーに特異的な抗体を、該固体支持体に結合し
た該フラグメントEに直接付着しうる該試料中のD−ダ
イマーと結合可能な酵素にコンジュゲートすること;及
び 該生物学的試料中のD−ダイマーが定量できるように該
抗体にコンジュゲートした該酵素に特異的な基質を添加
すること、 を含んで成る、血栓及び凝固亢進状態の診断及び検査の
ための、D−ダイマーを含む可能性のある生物学的試料
中のフィブリンの分解生成物であるD−ダイマーを直接
検出する方法。 - 【請求項16】該フラグメントEがフラグメントE1を含
んで成る、特許請求の範囲第15項に記載の方法。 - 【請求項17】精製されたフラグメントEとコンジュゲ
ートされたラテックスビーズ; 該試料中にD−ダイマーが存在する時に生起する凝集を
観察するのに適合した、該コンジュゲートされたラテッ
クス ビーズを該試料と一緒にするための表面、 を含んで成るヒトの生物学的試料中のD−ダイマーを検
出するためのキット。 - 【請求項18】精製されたフラグメントEとコンジュゲ
ートされた酵素; 該試料中にD−ダイマーが存在する時に生起する凝集を
観察するのに適合した、該コンジュゲートされた酵素を
該試料と一緒にするための表面、 を含んで成るヒトの生物学的試料中のD−ダイマーを検
出するためのキット。 - 【請求項19】該酵素がペルオキシダーゼである、特許
請求の範囲第18項に記載のキット。 - 【請求項20】該フラグメントEがフラグメントE1を含
んで成る、特許請求の範囲第17項に記載のキット。 - 【請求項21】該フラグメントEがフラグメントE1を含
んで成る、特許請求の範囲第18項に記載のキット。 - 【請求項22】該フラグメントEがフラグメントE1を含
んで成る、特許請求の範囲第19項に記載のキット。
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