JP3542345B2 - 診断用キット - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は疾病の診断に用いられる抗原−抗体反応を利用した免疫学的凝集反応試薬粒子、特にC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子から構成される診断用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
抗原と抗体の特異的な反応を利用した免疫学的測定方法は特異性が高く、測定感度が高いことから臨床検査の分野で広く用いられている。
【0003】
臨床検査で用いられている免疫学的測定方法には放射性物質を用いたラジオイムノアッセイ、酵素標識抗体を用いた酵素免疫測定法、抗原抗体反応による濁度の変化を利用した免疫比濁法、ラテックス粒子を利用したラテックス凝集法、あるいは赤血球等に抗原あるいは抗体を吸着し抗原抗体反応によりマイクロタイタープレート上で管底凝集像を形成させるマイクロタイター法等がある。これらのうち、ラテックス凝集法及びマイクロタイター法等の担体粒子を用いた免疫学的凝集反応試薬粒子は簡便、迅速且つ正確に判定を行うことができるので臨床検査で広く利用されている。該免疫学的凝集反応試薬粒子は担体粒子に固定化した抗原あるいは抗体(以下、担体粒子上に固定化する抗原あるいは抗体を感作物質ともいう)が、被検体に含まれる被測定抗体あるいは被測定抗原(以下、検出しようとする抗原あるいは抗体を測定目的物質ともいう)と抗原抗体反応をすることにより患者の疾病の診断を行う診断薬である。
【0004】
免疫学的凝集試薬粒子においては他の免疫診断薬と同様に正確な早期診断を行うことが必須条件である。すなわち、1)抗原抗体反応によらない凝集反応(以下、非特異的凝集反応ともいう)がないこと、2)被検体中の測定目的物質の微量検出が可能(以下、高感度化ともいう)なこと、の2点を満足することが必須である。
【0005】
免疫学的凝集反応試薬粒子における非特異的凝集反応の原因は以下のことが考えられる。すなわち、被検体中の夾雑成分が担体粒子自体と抗原抗体反応によらない非特異的な結合をすることが一因である。このような非特異的凝集反応は担体粒子上に感作物質を担持したのちに該担体粒子上の間隙を免疫学的に不活性なブロッキング剤で担持する(以下、このような操作をブロッキングともいう)ことにより低減できる。もう一つの非特異的凝集反応の原因として、被検体中に測定目的物質以外の夾雑物質が感作物質と非特異的な結合を起こすことが考えれる。そこで該夾雑物質を吸収除去する物質(以下、吸収剤ともいう)を検体の希釈液として用いられる分散媒中に添加することで非特異的凝集反応を低減することができる。ブロッキング剤と検体希釈液中に添加する吸収剤の検討が免疫学的凝集反応試薬粒子の非特異的凝集反応の防止の要因であると言える。
【0006】
非特異的凝集反応を回避できる免疫学的凝集反応試薬粒子を調製するための公知の手法として、感作物質を担持した担体粒子(以下、感作物質を担持した担体粒子を感作粒子ともいう)を牛血清アルブミン(以下、BSAとも略記する)でブロッキングし、検体希釈液に吸収剤として正常ウサギ血清を用いることが有効と考えられ、実際に使用されているが、未だ非特異的凝集反応の回避の点で十分ではなかった。
【0007】
他方、免疫学的凝集反応試薬粒子では疾病の早期発見が重要であり、そのためには微量な測定目的物質を検出できること、すなわち、高感度化が必要不可欠である。例えばウイルス感染症のような疾病では感染初期に測定目的物質の量が少なく、感染初期に診断を行うには高感度であることが重要である。免疫学的凝集反応試薬粒子を高感度化する方法として、できるだけ多くの感作物質を担体粒子に担持させることが唯一の方法である。しかしながら、感作物質を過剰に担体粒子に担持させると感度が向上する一方、感作物質同士が相互的結合を起こして該感作物質のうち測定目的物質との抗原抗体反応に有効な領域(以下、活性部位ともいう)が潰れて測定目的物質の測定ができなくなるといった現象が生じる。従って、免疫学的凝集反応試薬粒子を調製するために不溶性担体粒子に担持できる感作物質の量には上限があり、ある一定量以上の感作物質を担持して高感度化を図ることは不可能であり、未だ高感度化の具体的方法は見い出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景にあって、本発明は、非特異的凝集反応の少ない且つ測定目的物の微量検出の可能な免疫学的凝集反応試薬粒子から構成される診断用キットを調製するために適切な方法の開発することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記技術課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、ブロッキング剤と同一の物質を試薬粒子の分散液に添加することで、更に又、抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いる場合にはブロッキング剤としてカゼインを使用して上記を実施すれば、1)非特異的凝集反応の防止、2)測定目標物質の微量検出可能という2つの要件を満足する免疫学的凝集反応試薬粒子を用いた診断用キットとなることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、A)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子に抗原又は抗体と免疫的に不活性なタンパクからなるブロッキング剤を担持してなる免疫学的凝集反応試薬粒子、
B)該免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と同一の物質及び緩衝液を含んでなる、該免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
C)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、A)免疫学的凝集反応試薬粒子をB)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をC)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用される診断用キットである。
【0011】
他の発明は、a)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子にC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパク及びカゼインを担持してなるC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子、
b)カゼイン及び緩衝液を含んでなる、該C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
c)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、a)C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子をb)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をc)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用されるC型肝炎診断用キットである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明における不溶性担体粒子としては公知の免疫学的凝集反応法の診断試薬に用いることができる担体粒子が制限なく使用できる。例えば、核部となる無機質化合物に染料を被覆させた高比重複合粒子(特開昭62ー115366参照、以下、HDPとも略記する)、羊赤血球、ポリスチレン粒子、ゼラチン粒子等が挙げられる。中でもHDP及び赤血球は抗原あるいは抗体の吸着量が多く好適に用いられる。特に人工担体であるところのHDPは表面官能基を人工的に付加することができ、抗原あるいは抗体の種類に応じて表面状態を変化させることができるので免疫学的凝集反応試薬粒子の担体粒子としてはさらに好適に用いることができる。
【0014】
また、不溶性担体粒子の粒子径は、担体粒子重量当りの比表面積が上げることにより感作物質の吸着量を向上させることができるので、0.01μmから3μmまでのものが用いられる。
【0015】
不溶性担体粒子の比重は1.0以上であればよいが、特に沈降反応を利用したマイクロタイター試薬用担体粒子は比重が大きい程、沈降速度が速く判定時間が短縮化できるので1.5以上のものが好適に用いられる。
【0016】
本発明で用いる抗原とは、被検体中の抗体に対して抗原活性を有して抗原抗体反応による結合するものならば特に限定されない。例えば、ポリペプチド、多糖類、脂質等である。中でもポリペプチドが該抗原としては好適に用いられる。該ポリペプチドの鎖長は抗体が抗原抗体反応で認識できる長さであればよく、一般に抗原抗体反応で抗体が抗原部位として認識できるとされている3アミノ酸残基以上であればよい。さらに該ポリペプチドは不溶性担体粒子に担持するので吸着効率を考慮して3000アミノ酸残基以下が好適に用いられる。該抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いた場合、本発明の効果は顕著に現れる。
【0017】
本発明でいうC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパク(以下、HCV抗原とも略記する)とはC型肝炎ウイルス遺伝子によりコードされるタンパクのことである。該C型肝炎ウイルス(以下、HCVとも略記する)遺伝子とは特開平4−144686及び特開平4ー179482に記載されている塩基配列を有する全長約10kb(約1万ヌクレオチド)のRNAである。HCVはRNAウイルスであるが、HCV由来のRNAより逆転写酵素により作り出されたcDNAも該C型肝炎ウイルス遺伝子に該当する。
【0018】
該C型肝炎ウイルス遺伝子は、輸血後非A非B肝炎患者の血清からウイルス遺伝子を分離して作製したcDNAライブラリーから得ることが出来る。例えば、まず患者血清から超遠心によりC型肝炎ウイルスを分離し、次いでウイルスから遺伝子RNAを調製し、該RNAに対して逆転写酵素を使用してcDNAを合成し、しかるのちに該cDNA断片をプラスミドベクターあるいはファージベクターに挿入して、cDNAライブラリーを調製する。次いで、該cDNAライブラリーを、輸血後非A非B肝炎患者の血清(抗HCV抗体を含有する血清)を用いイムノスクリーニングすることにより、目的の遺伝子を得ることが出来る。また公知のHCV遺伝子の塩基配列をもとにDNAプローブを合成して、cDNAライブラリーをDNA/DNAハイブリダイゼーションによりスクリーニングしてもよい。また別の方法としては Proceedings of the Japan Academy, Vol.65, Ser.B, No.9, pp.219〜223(1989).に示される方法、即ち逆転写酵素とPCR法とを組み合わせたRT−PCR法により狙った領域を遺伝子増幅させて、その増幅させた遺伝子断片をクローニングする方法も有効である。
【0019】
該HCV抗原は、通常知られている遺伝子発現系、即ち、大腸菌のホスト・ベクター系、枯草菌のホスト・ベクター系、酵母のホスト・ベクター系、昆虫細胞あるいは昆虫のホスト・ベクター系、動物細胞のホスト・ベクター系等を利用して発現が可能である。このうち、大腸菌は好適に利用出来る。大腸菌を用いて該抗原タンパクを発現するには、まず大腸菌で発現可能なベクターにHCVの遺伝子を挿入し組換えベクターを作製する。ベクターは特に限定されず、大腸菌のベクターとして通常用いられるベクターならば如何なるベクターでも利用できるが、特に遺伝子発現が高頻度で起こるベクターは好適に利用される。例えば、一連のpUCベクター(宝酒造(株)製品)、一連のpTVベクター(宝酒造(株)製品)、一連のpTZベクター(東洋紡績(株)製品)、一連のpET(Methods in enzymology,Vol.185に示される)などが利用できる。また、一連のpUEXベクター(アマシャム・ジャパン(株)製品)、一連のpEXベクター(ベーリンガー・マンハイム山之内(株)製品)を利用すれば、抗原タンパクをβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして発現させることができる。大腸菌で発現可能なベクターには、通常は大腸菌内で働く遺伝子発現のためのプロモーターや、それをコントロールするオペレーターが附属している。このようなベクターのプロモーターの下流にある適当な制限酵素部位を利用してHCV遺伝子を挿入することにより、組換えベクターが作製される。このようにして作製される組換えベクターの中でも、特にpUEXベクターを用いて作製される組換えベクターは、遺伝子発現によって得られるポリペプチドの収率がよく、精製が容易であることなどから好適に選択される。組換えベクターにより大腸菌を形質転換し、該形質転換大腸菌を培養し挿入された遺伝子を発現させることにより抗原タンパクが生産される。
【0020】
組換えベクターで遺伝子発現を行う場合は、ポリペプチドのN末端あるいはC末端にランダムな配列のアミノ酸が複数個付加する場合がある。しかしながら、このようなN末端、あるいはC末端に付加された複数個のアミノ酸はランダムなアミノ酸であるから、抗原抗体反応には無関係であり、抗原抗体反応を用いた測定には影響はない。
【0021】
該HCV抗原は、上記形質転換大腸菌を培養し得られた菌体を超音波処理などの方法で破砕し、この菌体破砕物より公知の方法により分離される。該HCV抗原の精製方法は公知の方法ならばいずれでもよく塩析、イオン交換樹脂吸着、ゲル濾過等々である。好ましくは上記方法の組合せが有効である。また、精製された該HCV抗原はどのような溶液に分散されていてもよいが、好ましくは0.87%塩化ナトリウム水溶液(以下、生理食塩水とも略記する)あるいは0.87%塩化ナトリウム含有、20mM燐酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSとも略記する)に分散されていることが望ましい。試薬感度は不溶性担体粒子の単位表面積当りに担持される該HCV抗原のエピトープ数に依存するため、不溶性担体粒子の単位表面積当りに担持される該HCV抗原のエピトープ数を増加させるために精製純度は高いほど望ましい。
【0022】
該HCV抗原は抗C型肝炎ウイルス抗体(以下、抗HCV抗体とも略記する)に対する免疫学的反応性を有するポリペプチドである。すなわち、被検体中の抗体に対するエピトープ部位を有し、抗原抗体反応により患者血清及び血漿中の抗体と特異的に結合する特性を有する。
【0023】
該HCV抗原のポリペプチド鎖の長さは抗HCV抗体が抗原抗体反応で認識できる長さであればよく、一般に抗原抗体反応で抗体が抗原部位として認識できるとされている3アミノ酸残基以上であればよい。さらに該HCV抗原は不溶性担体粒子に担持するので担体粒子への吸着効率を考慮すると3000アミノ酸残基以下が好適に用いられる。
【0024】
本発明で用いる抗体とは、被検体中の抗原と抗原抗体反応による結合能を有する免疫グロブリンである。該抗体は抗原分子の1箇所の抗原認識部位を有するモノクローナル抗体でも抗血清より得られるポリクローナル抗体でも好適に用いることができる。多種類の抗原認識部位を検知することができるので数種のモノクローナル抗体の混合液かポリクローナル抗体がさらに好適に用いられる。
【0025】
本発明で用いるブロッキング剤は、感作粒子上の感作物質の間隙を覆う為に用いる免疫的に不活性な物質であり、BSA、カゼイン等の上記性状のタンパクが用いられる。感作粒子を該ブロッキング剤で覆う目的は1)夾雑物質の影響の回避、2)感作物質同士の相互吸着の防止の2点にある。
【0026】
感作物質としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いる場合は該ブロッキング剤としてカゼインが極めて有効である。ブロッキング剤としてカゼインを用いた場合、感作物質同士の非特異的な結合が防止でき、より多くの感作物質を不溶性担体粒子に担持することができる。したがって高感度化を可能とするほか、他のブロッキング剤を用いたときと比較して被検体中の夾雑物質の影響による非特異的凝集反応を防止できる。ブロッキング剤としてカゼイン以外の、例えばBSAを用いた場合、不溶性担体粒子のHCV抗原同士が相互吸着を起こして健常者検体、C型肝炎患者検体ともに非特異的凝集反応を起こしてしまう。またブロッキング剤として正常ウサギ血清を用いた場合は被検体中の夾雑物質の影響を受けやすく健常者検体に於ける測定で非特異的な感度上昇を生じてしまうため適当でない。
【0027】
本発明におけるカゼインは公知のものならば特に限定なく用いられる。該カゼインとしては乳タンパク質の主体をなすもので乳に酸を加えてpH4.6にする等電点沈澱することにより調製される酸性カゼインが好適に用いられる。該酸性カゼインは一般に電気泳動的にα、β、γの3成分に分離できるがα、β、γのいずれでもよくまた2種類以上の混合物として用いることも可能である。さらに加熱、加圧等の物理的分解、酸・アルカリ等での化学的分解、タンパク質分解酵素での酵素的分解により低分子化したものも同様に用いることができる。
【0028】
本発明でいう担持とは、不溶性担体粒子に感作物質としての抗原及び抗体、ブロッキングのためのブロッキング剤等(以下、不溶性担体粒子に担持する物質を吸着物質ともいう)を吸着させることである。
【0029】
感作物質及びブロッキング剤を不溶性担体粒子に担持する順序は特に制限なく以下の方法の何れかが採用される。
【0030】
1)不溶性担体粒子に感作物質を担持したのちブロッキング剤を担持する方法、2)不溶性担体粒子にブロッキング剤を担持したのちに感作物質を担持する方法、3)不溶性担体粒子に感作物質とブロッキング剤を同時に担持する方法である。いずれの方法でも本発明の効果は十分に発揮されるが、感作物質を優先的に担持するために1)の不溶性担体粒子に感作物質を担持したのちブロッキング剤を担持する方法が好適に用いられる。
【0031】
上記1)の担持工程を概説すれば、感作物質を溶解した緩衝溶液中に不溶性担体粒子を分散、混合して感作物質を不溶性担体粒子に担持した後余剰の感作物質を遠心洗浄で除去し、次いでブロッキング剤を同様にして担持する方法が挙げられる。
【0032】
不溶性担体粒子に感作物質を担持する方法としては疎水吸着法等の物理的吸着法、塩化クロム法等の化学的吸着法等の公知の方法が採用されるが、感作物質は不溶性担体粒子に担持されたのち被検体中の測定目的物質と抗原抗体反応により結合をするため該感作物質はできるだけ穏やかな条件で担持することが必要であり、そのため疎水的吸着法が特に好適に用いられる。
【0033】
上記疎水的吸着法による担持は、緩衝作用のある緩衝液中に不溶性担体粒子と吸着物質を分散させた状態で行う。該緩衝液は燐酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等など緩衝作用のあるものならば制限なく用いることができる。緩衝液のpHについては担持させる吸着物質によりそれぞれ最適な範囲を選択して採用するが、一般に中性領域pH6.0〜pH8.0が望ましい。不溶性担体粒子に吸着物質を担持させる時間は吸着物質が均一的に不溶性担体粒子表面に担持されるのに十分な時間であればよいが、例えば該HCV抗原をHDPの疎水吸着法で行う場合は30分間以上で十分である。さらに温度に関しても担持する吸着物質が熱変性を受けない範囲即ち1℃以上80℃以下が採用される。
【0034】
続いての不溶性担体粒子へのブロッキング剤の担持も上述の感作物質の担持と同様の方法を採用することができる。
【0035】
例えば、C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子においては、HCV抗原を担持した不溶性担体粒子(以下、HCV抗原感作担体粒子ともいう)を遠心洗浄で余剰のHCV抗原を除去した後、該HCV抗原感作担体粒子をブロッキング剤であるカゼインを0.1〜5(w/vol)%となるように中性付近のpH6.0〜pH8.0で緩衝作用のある緩衝液に溶解した溶液中に感作粒子濃度0.0001〜30(w/w)%となるように分散してブロッキング剤の担持を行う。
【0036】
本発明の免疫学的凝集反応試薬粒子とは、上記したとおりの被検体(血清、血漿、尿、便等)中に存在する抗原あるいは抗体を免疫学的凝集反応で検出するために不溶性担体粒子に感作物質及び免疫学的に不活性なブロッキング剤を担持した診断用試薬である。
【0037】
該免疫学的凝集反応試薬粒子は通常診断に利用される凝集反応法が何ら制限なく適用される。例えば、定性診断の平板法、半定量診断のマイクロタイター法及び定量診断のラテックス凝集法、粒子数計測法等である。そのうち、特にマイクロタイタ−法に適用する場合、本発明の効果が特に顕著である。
【0038】
上記免疫学的凝集反応試薬粒子は試薬粒子分散液に懸濁して使用されるが、長期に保存する場合はこれを凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥方法は限定的ではなく通常の方法で行えばよい。例えば感作赤血球の凍結乾燥法に採用される方法及び条件が用いられる。好ましくは上記該免疫学的凝集反応試薬粒子を水性溶媒に懸濁状態でバイアル瓶等に入れ、液体窒素等に浸漬して急速予備凍結し次いで真空凍結乾燥する方法が採用される。
【0039】
真空凍結乾燥方法の条件は特に限定されるものではないが、上記感作粒子の浮遊液の入ったバイアル等を急速予備凍結したのち、予め−40〜−60℃に冷却した凍結乾燥機のチャンバ−内に置き24〜72時間かけて徐々に昇温し真空凍結乾燥する方法が好適である。この時のチャンバー内の圧力50〜200μmHg、最終乾燥温度は20〜50℃が適当である。ついで真空状態、または不活化ガスを充填して封栓して凍結乾燥免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、凍結乾燥試薬粒子ともいう)とする。
【0040】
該凍結乾燥試薬粒子は、免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と同一の物質を含む緩衝液からなる試薬粒子分散液に懸濁、分散した後測定に供される。このように試薬粒子分散液中に、試薬粒子のブロッキング剤と同一の物質を添加することにより、不溶性担体粒子に担持されたブロッキング剤の脱離を防止することができる。仮に、試薬粒子分散液中に不溶性担体粒子に担持された該ブロッキング剤と異なる物質を添加すると該不溶性担体粒子に担持したブロッキング剤は交換反応で脱離してしまう可能性がある。このような不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離は被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面とが非特異的結合を起こして新たな非特異的凝集反応の原因となってしまう。
【0041】
試薬粒子分散液中に懸濁、分散された凍結乾燥試薬粒子は、凍結乾燥を施す前の免疫学的凝集反応試薬粒子と何ら変わりない性能を示す。なお、凍結乾燥を行わない場合にも試薬粒子分散液に免疫学的凝集反応試薬粒子を懸濁、分散して測定に供する。
【0042】
試薬粒子分散液に用いる緩衝液は、公知の緩衝液が特に限定されず用いられる。例えば、燐酸緩衝液、トリス緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン緩衝液等である。該緩衝液のpHは特に限定されないが、不溶性担体粒子自身が凝集を起こさないように中性から弱アルカリ性域のpH7〜pH10が好適に用いられる。従って中性から弱アルカリ性で緩衝作用のある燐酸緩衝液、トリス緩衝液等が好適に用いられる。また、該緩衝液の濃度も緩衝作用のある領域であれば任意のものを用いることができ、5mM〜500mMが好適に用いられる。
【0043】
さらに該試薬粒子分散液には塩が存在してもよい。塩の種類、濃度については特に限定はされないが、抗原抗体反応が好適に進行する条件、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等で濃度は1mMから1M程度が好適に用いられる。また、腐敗を防止するために0.1(w/vol)%程度のアジ化ナトリウム等を添加してもよい。
【0044】
さらに、試薬粒子分散液には、他に管底凝集像の安定化のために多糖類等を添加してもよい。
【0045】
調製された試薬粒子分散液は15℃以下の冷蔵保存で通常2年間程度の保存が可能である。
【0046】
該試薬粒子分散液の代表的な調製方法は、緩衝液に免疫学的凝集反応試薬粒子の調製に使用したブロッキング剤と同一の物質を0.0001〜30(w/vol)%となるように添加、溶解したのち、必要に応じて酸、またはアルカリを加えて緩衝液のpHを微調整して試薬粒子分散液とする。さらに必要に応じて塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等を添加、溶解する。
【0047】
本発明の診断用キットを用いて実際に被検体中の測定目的物質を検出するには、免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液の他に、被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈する検体希釈液が必要である。該検体希釈液は吸収剤を含む緩衝液から構成される。
【0048】
該検体希釈液は吸収剤および緩衝液を主成分とするものであるが、含有されている吸収剤として上記免疫学的凝集反応試薬粒子のブロッキング剤として不溶性担体粒子に担持されている物質と同一のものを使用することが好ましい。
【0049】
免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤は、一般に感作物質同士の相互吸着の防止、被検体中の夾雑物質の不溶性担体粒子表面への吸着防止のために用いられるが、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と被検体中の夾雑物質が非特異的吸着を起こすと新たな非特異的凝集反応の原因となる。
【0050】
そこで検体希釈液にブロッキング剤と同一の物質を吸収剤として添加することにより、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と非特異的吸着を起こす被検体中の夾雑物質を予め吸着除去する。免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されているブロッキング剤と異なる物質を検体希釈液の中に添加した場合、被検体中に含まれる免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と非特異的吸着を起こす夾雑物質は吸収除去されず、非特異的凝集反応を起こし易い。
【0051】
上記検体希釈液において、緩衝液の種類、塩の含有、保存方法、調整方法等は、前記試薬粒子分散液の場合と同様に実施すればよい。
【0052】
本発明の診断用キットをマイクロタイター試薬として使用するときは通常、マイクロタイタープレート上で反応を行う。定性試験を行うときは、被検体を規定希釈倍率まで検体希釈液で希釈したのち、試薬粒子分散液に懸濁した上記免疫学的凝集反応試薬粒子を滴下することによって測定を行う。
【0053】
【作用】
不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持させることで被検体中の夾雑物質の不溶性担体粒子表面への吸着防止が可能となる。そして、試薬粒子分散液中にもブロッキング剤と同一の物質を添加することにより、不溶性担体粒子に担持されたブロッキング剤の脱離を防止することができ、不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離による被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面の非特異的結合による新たな非特異的凝集反応も阻止することができる。
【0054】
他方、不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持することにより感作物質同士の相互的結合を起こさず、過剰の感作物質を不溶性担体粒子に担持できる。従って、感作物質同士の相互作用を防止でき、より多くの活性部位を効率的に担体粒子表面に露出させることで高感度化が可能となる。
【0055】
さらに、検体希釈液にブロッキング剤と同一の物質を添加した場合には、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と非特異的吸着を起こす被検体中の夾雑物質を吸着除去し、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と被検体中の夾雑物質が非特異的吸着を起こすと新たな非特異的凝集反応も防止することができる。したがって、感作物質と測定目的物質との真の免疫学的凝集反応のみが起こり、結局免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能となる。
【0056】
【発明の効果】
不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持し、さらに試薬粒子分散液にブロッキング剤と同一の物質を用いることで、不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離による被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面の非特異的結合による非特異的凝集反応も阻止することができ、非特異的凝集反応を回避し且つ被検体中の測定目的物質の微量検出、即ち高感度化が可能となった。
【0057】
特に、抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いた時は、ブロッキング剤としてカゼインを用いた場合に非特異的凝集反応を回避して且つ被検体中の測定目的物質の微量検出が可能な免疫学的凝集反応試薬粒子を調製することが可能となった。さらに、試薬粒子分散液に上記カゼインを含有した場合に非特異的凝集反応を回避し且つ被検体中の測定目的物質の微量検出、高感度化を一層向上させることができた。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
参考例 C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクの調製
C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクとしてはCore抗原、NS−3抗原、NS−4抗原、NS−5抗原の4種類を用いた。以下のようにして4種類の抗原タンパクを調製した。遺伝子操作実験の手法は、サムブロックらの方法[Sambrook, J., Fritsch, E. F., Maniatis, T., Molecular Cloning, 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989).]に従って行った。なお、制限酵素は宝酒造(株)製品を使用した。
(Core抗原の調製)
HCVのCore領域遺伝子(N末端から1番目から168番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)をpUEX2(Amersham社製)に挿入したpHCX01を持つ組換え大腸菌HB101[pHCX01](特願平4-198806、微工研菌寄第13056号)をLB+Amp培地[Bacto tryptone 1.0%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.5%, アンピシリン(Amp)50μg/ml]で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0059】
組換え大腸菌HB101[pHCX01]を培養し遺伝子発現を行うことにより、Core抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。組換え大腸菌HB101[pHCX01]の凍結保存菌体1mlを、1リットルのLB+Amp培地に接種し30℃にて一晩培養した。続いてこの培養物を、20リットルのLB+Amp培地に植菌し30℃でOD540が1.5となるまで培養し、培養温度を42℃に上昇させて引き続き3時間培養した。培養後、遠心分離により集菌し57gの湿菌体を得た。菌体を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液(50mM Tris・HCl(pH8.3),100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸濁し、超音波処理により破砕した。この菌体破砕物を10,000g、20分間の遠心分離により、Core抗原を含む不溶性顆粒を沈澱画分に回収した。この沈澱を、再び2リットルの0.6M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁して不溶性顆粒を洗浄し、遠心分離することにより沈澱を回収した。更にこの沈澱を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁し、室温で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒を十分洗浄した後、遠心分離することにより不溶性顆粒を沈澱画分に回収した。この不溶性顆粒の沈澱に、200mlの8M尿素を含むTNE緩衝液を加え沈澱を可溶化した。これを16,000g、20分間の遠心分離により上清を分取し、TNE緩衝液に対して透析した。透析後、16,000g、20分間の遠心分離により上清を分取しCore抗原を得た。20リットルの培養液からCore抗原を980mg得た。
(NS−3抗原の調製)
NS−3領域遺伝子(N末端から1323番目から1533番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV07を持つ組換え大腸菌E. coli HCV7(特開平4-179482、微工研菌寄第11831号)からpHCV07を単離してEcoRIとStuIで消化し、cDNAの5'側の338bp断片を得た。この338bp断片はさらにHinfIで部分消化後、DNAポリメラーゼI Klenow fragmentにより末端を平滑化し、263bp断片を得た。またpHCV7をStuIで消化し、CIP処理した後、PstI消化し、cDNAの3'側の400bp断片を得た。一方pUEX1をSmaIとPstIで消化し、CIP処理した。このpUEX1とcDNAの5'側の263bp断片、cDNAの3'側の400bp断片のライゲーション反応を行い、組換えベクターpCI07を得た。この組換えベクターpCI07には、HCVのN末端から数えて、1323番目から1533番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI07で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI07]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI07]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0060】
組換え大腸菌HB101[pCI07]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−3抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI07]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−3抗原を1,000mg得た。
(NS−4抗原の調製)
NS−4領域遺伝子(N末端から1605番目から1798番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV10を持つ組換え大腸菌E. coli HCV10(特開平4-179482、微工研菌寄第11834号)からpHCV10を単離してAvaIIで消化後、DNAポリメラーゼI Klenow fragmentにより末端を平滑化し、さらにBamHIで消化して583bp断片を単離した。一方pUEX3をSmaIで消化し、CIP処理し、さらにBamHIで消化した。その後、電気泳動を行い目的の断片を分離した。これらをライゲーションし、組換えベクターpCI10を作製した。この組換えベクターpCI10には、HCVのN末端から数えて、1605番目から1798番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI10で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI10]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI10]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0061】
組換え大腸菌HB101[pCI10]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−4抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI10]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−4抗原を720mg得た。
(NS−5抗原の調製)
NS−5領域遺伝子(N末端から2111番目から2270番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV14を持つ組換え大腸菌E. coli HCV14(特願平4-179482、微工研菌寄第11838号)からpHCV14を単離してPstI及びXbaIで消化後、blunting kitにより末端を平滑化し、484bpを含む断片を単離した。一方pUEX2をSmaIで消化し、CIP処理した。その後、電気泳動を行い目的の断片を分離した。これらをライゲーションし、組換えベクターpCI14を作製した。この組換えベクターpCI14には、HCVのN末端から数えて、2111番目から2270番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI14で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI14]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI14]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0062】
組換え大腸菌HB101[pCI14]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−5抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI14]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−5抗原を750mg得た。
比較例1 カゼインをブロッキング剤として用いたC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子の調製
(感作)
直径1.8μmのHDP(徳山曹達(株)製品)をPBSで5(w/w)%になるように懸濁し、HDP懸濁液とした。上記参考例で調製した4種類のHCV抗原タンパクを各50、100、200μg/mlで混合して混合抗原溶液とした。上記HDP懸濁液1mlと混合抗原溶液1mlを試験管内で混合して室温で1時間放置してHDP表面に疎水的に担持させた(以下、この吸着操作を感作ともいう)。
【0063】
(洗浄操作)
その後、余剰のHCV抗原タンパクを除去するために、上記混合液に2,500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。その遠心沈澱物に洗浄のため、PBS2mlを添加、懸濁後2,500rpm、5分間遠心後上清を除去した。上記HCV抗原タンパクを吸着させたHDPをHCV抗原感作粒子とした。
【0064】
(ブロッキング操作)
該HCV抗原感作粒子(50mg)に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、C型肝炎診断試薬粒子ともいう)を調製した。このC型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBS(以下、A液とも略記する)に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0065】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記でC型肝炎診断試薬粒子懸濁液をを各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0066】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表1に示した。健常者検体はいずれも8倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型肝炎患者検体ではいずれも感作濃度200μg/mlで32,768倍希釈以上でも陽性像が検出できた。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例1 カゼインをブロッキング剤として用いたC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例1と同様である。
【0069】
(洗浄操作)
比較例1と同様である。
【0070】
(ブロッキング操作)
該HCV抗原感作粒子に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、C型肝炎診断試薬粒子を調製した。1(vol/vol)%カゼイン含有PBS(以下、B液とも略記する)に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0071】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0072】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表2に示した。健常者検体はいずれも4倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型肝炎患者検体では感作濃度200μg/mlで32,768倍希釈以上でも陽性像が検出できた。健常者検体を比較例1と比較するとさらに非特異的凝集反応を低減できることがわかり試薬粒子分散液への添加成分としてのカゼインの効果が確認された。
【0073】
【表2】
【0074】
比較例2 カゼインによるブロッキングを行わないC型肝炎診断試薬粒子
(感作)
比較例1と同様に行った。
【0075】
(洗浄操作)
比較例1と同様に行った。
【0076】
(ブロッキング操作)
比較例1で行ったブロッキング操作は比較例2では省略した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬粒子を3%正常ウサギ血清を含有するA液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0077】
(測定操作)
検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0078】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を比較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表3に示した。カゼインブロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μg/ml感作で非特異的凝集反応を起こしてしまった。このことよりカゼインブロッキングを行うことでより多くの抗原を感作することができ、免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能であるが証明された。また、健常者検体ではブロッキングを行うことにより非特異的感度上昇の防止が可能となる。
【0079】
【表3】
【0080】
比較例3 カゼインによるブロッキングを行わないC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例2と同様に行った。
【0081】
(洗浄操作)
比較例2と同様に行った。
【0082】
(ブロッキング操作)
比較例3でも比較例1で行ったブロッキング操作は省略した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬粒子を1%カゼインを含有するB液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0083】
(測定操作)
検査に用いる検体を1%カゼイン含有したB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0084】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を比較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表4に示した。カゼインブロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μg/ml感作で非特異的凝集反応を生じてしまった。このことより試薬粒子分散液の添加成分としてのカゼインはブロッキング剤としてカゼインと使用することによってはじめて効果を発揮すること判明した。
【0085】
【表4】
【0086】
比較例4〜6 カゼイン以外のブロッキング剤(BSA、正常ウサギ血清、グリシン)を用いたC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例1と同様である。ただし、感作するHCV抗原濃度は200μg/mlのみで行った。
【0087】
(洗浄操作)
比較例1と同様である。
【0088】
(ブロッキング操作)
該C型肝炎診断用感作粒子(50mg)に1%BSA、1%正常ウサギ血清又は1%グリシンをそれぞれ5ml添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、3種類のC型肝炎診断試薬粒子を調製した。各々のC型肝炎診断試薬粒子を1(vol/vol)%カゼイン含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁し、それぞれのC型肝炎診断試薬粒子を調製して以下の測定操作に供した。
【0089】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、3種類の上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0090】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表5に示した。ブロッキング剤としてBSA又はグリシンを用いた場合はすべて非特異的凝集反応を示し、正常ウサギ血清については健常者検体が非特異的な感度上昇が見られた。従って、C型肝炎診断試薬粒子のブロッキング剤としてのカゼインの有効性が確認された。
【0091】
【表5】
【0092】
実施例2 ブロッキング剤として正常ウサギ血清を用いたB型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子と正常ウサギ血清を含有する試薬粒子分散液とからなるB型肝炎診断用キット
(感作)
直径1.8μmのHDP(徳山曹達(株)製品)をPBSで5(w/w)%になるように懸濁し、HDP懸濁液とした。B型肝炎ウイルス表面抗原に対するモノクローナル抗体を250μg/mlにPBS懸濁して抗体溶液とした。上記HDP懸濁液1mlと抗体溶液1mlを試験管内で混合して37℃で1時間放置してHDP表面に感作した。
【0093】
(洗浄操作)
その後、余剰の該B型肝炎ウイルス表面抗原に対するモノクローナル抗体を除去するために、上記混合液に2,500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。その遠心沈澱物に洗浄のため、PBS2mlを添加、懸濁後2,500rpm、5分間遠心後上清を除去した。上記、HCV抗原タンパクを吸着させてHBV抗体感作粒子とした。
【0094】
(ブロッキング操作)
該HBV抗体感作粒子に10%正常ウサギ血清、5mlを添加して37℃で1時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了しであるB型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、B型肝炎診断試薬粒子とも略記する)を調製した。上記B型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0095】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0096】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体は4倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してB型肝炎患者検体では128倍希釈まで陽性像が検出できた。
比較例7 正常ウサギ血清でのブロッキングを行わないB型肝炎診断試薬粒子の調製
(感作)
実施例2と同様に行った。
【0097】
(洗浄操作)
実施例2と同様に行った。
【0098】
(ブロッキング操作)
実施例2で行ったブロッキング操作は比較例7では省略した。感作、洗浄操作で調製したB型肝炎診断試薬粒子をそのまま3(vol/vol)%正常ウサギ血清を含有するA液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0099】
(測定操作)
実施例2と同様の方法で、調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能を評価した。
【0100】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を実施例2と同様に健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。正常ウサギ血清ブロッキングを行った場合は健常者検体、B型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった250μg/ml感作で、非特異的凝集反応を起こしてしまった。このことより正常ウサギ血清ブロッキングを行うことでより非特異的凝集反応を起こすことなく多くの抗体を感作することができ、免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能である。また、健常者検体ではブロッキングを行うことにより非特異的感度上昇の防止が可能となる。
比較例8 正常ウサギ血清をブロッキング剤として使用したB型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるB型肝炎診断用キット
(感作)
実施例2と同様である。
【0101】
(洗浄操作)
実施例2と同様である。
【0102】
(ブロッキング操作)
実施例2と同様にHBV抗体感作粒子に10%正常ウサギ血清、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、B型肝炎診断試薬粒子とした。上記B型肝炎診断試薬粒子を1(vol/vol)%カゼイン含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0103】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0104】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を実施例2と同様に健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体で非特異的に感度が上昇していた。試薬粒子分散液に添加するのと同一のタンパク成分をブロッキング剤に用いることが有効であることが分かる。
比較例9 ブロッキング剤としてカゼインを用いたB型肝炎診断試薬粒子と正常ウサギ血清を添加した試薬粒子分散液からなるB型肝炎診断用キット
(感作)
実施例2と同様に行った。
【0105】
(洗浄操作)
実施例2と同様に行った。
【0106】
(ブロッキング操作)
HBV抗体感作粒子に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で1時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、B型肝炎診断試薬粒子を調製した。上記B型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0107】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0108】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を、健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体は8倍希釈まで陽性像が検出されたのに対してB型肝炎患者検体では128倍希釈まで陽性像が検出できた。実施例2と比較すると健常者検体に非特異的に感度の上昇が見られた。従ってブロッキング剤と同一の物質を試薬粒子分散液に添加することで非特異的凝集反応が抑制されることが分かる。
【0109】
【表6】
【0110】
【産業上の利用分野】
本発明は疾病の診断に用いられる抗原−抗体反応を利用した免疫学的凝集反応試薬粒子、特にC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子から構成される診断用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
抗原と抗体の特異的な反応を利用した免疫学的測定方法は特異性が高く、測定感度が高いことから臨床検査の分野で広く用いられている。
【0003】
臨床検査で用いられている免疫学的測定方法には放射性物質を用いたラジオイムノアッセイ、酵素標識抗体を用いた酵素免疫測定法、抗原抗体反応による濁度の変化を利用した免疫比濁法、ラテックス粒子を利用したラテックス凝集法、あるいは赤血球等に抗原あるいは抗体を吸着し抗原抗体反応によりマイクロタイタープレート上で管底凝集像を形成させるマイクロタイター法等がある。これらのうち、ラテックス凝集法及びマイクロタイター法等の担体粒子を用いた免疫学的凝集反応試薬粒子は簡便、迅速且つ正確に判定を行うことができるので臨床検査で広く利用されている。該免疫学的凝集反応試薬粒子は担体粒子に固定化した抗原あるいは抗体(以下、担体粒子上に固定化する抗原あるいは抗体を感作物質ともいう)が、被検体に含まれる被測定抗体あるいは被測定抗原(以下、検出しようとする抗原あるいは抗体を測定目的物質ともいう)と抗原抗体反応をすることにより患者の疾病の診断を行う診断薬である。
【0004】
免疫学的凝集試薬粒子においては他の免疫診断薬と同様に正確な早期診断を行うことが必須条件である。すなわち、1)抗原抗体反応によらない凝集反応(以下、非特異的凝集反応ともいう)がないこと、2)被検体中の測定目的物質の微量検出が可能(以下、高感度化ともいう)なこと、の2点を満足することが必須である。
【0005】
免疫学的凝集反応試薬粒子における非特異的凝集反応の原因は以下のことが考えられる。すなわち、被検体中の夾雑成分が担体粒子自体と抗原抗体反応によらない非特異的な結合をすることが一因である。このような非特異的凝集反応は担体粒子上に感作物質を担持したのちに該担体粒子上の間隙を免疫学的に不活性なブロッキング剤で担持する(以下、このような操作をブロッキングともいう)ことにより低減できる。もう一つの非特異的凝集反応の原因として、被検体中に測定目的物質以外の夾雑物質が感作物質と非特異的な結合を起こすことが考えれる。そこで該夾雑物質を吸収除去する物質(以下、吸収剤ともいう)を検体の希釈液として用いられる分散媒中に添加することで非特異的凝集反応を低減することができる。ブロッキング剤と検体希釈液中に添加する吸収剤の検討が免疫学的凝集反応試薬粒子の非特異的凝集反応の防止の要因であると言える。
【0006】
非特異的凝集反応を回避できる免疫学的凝集反応試薬粒子を調製するための公知の手法として、感作物質を担持した担体粒子(以下、感作物質を担持した担体粒子を感作粒子ともいう)を牛血清アルブミン(以下、BSAとも略記する)でブロッキングし、検体希釈液に吸収剤として正常ウサギ血清を用いることが有効と考えられ、実際に使用されているが、未だ非特異的凝集反応の回避の点で十分ではなかった。
【0007】
他方、免疫学的凝集反応試薬粒子では疾病の早期発見が重要であり、そのためには微量な測定目的物質を検出できること、すなわち、高感度化が必要不可欠である。例えばウイルス感染症のような疾病では感染初期に測定目的物質の量が少なく、感染初期に診断を行うには高感度であることが重要である。免疫学的凝集反応試薬粒子を高感度化する方法として、できるだけ多くの感作物質を担体粒子に担持させることが唯一の方法である。しかしながら、感作物質を過剰に担体粒子に担持させると感度が向上する一方、感作物質同士が相互的結合を起こして該感作物質のうち測定目的物質との抗原抗体反応に有効な領域(以下、活性部位ともいう)が潰れて測定目的物質の測定ができなくなるといった現象が生じる。従って、免疫学的凝集反応試薬粒子を調製するために不溶性担体粒子に担持できる感作物質の量には上限があり、ある一定量以上の感作物質を担持して高感度化を図ることは不可能であり、未だ高感度化の具体的方法は見い出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景にあって、本発明は、非特異的凝集反応の少ない且つ測定目的物の微量検出の可能な免疫学的凝集反応試薬粒子から構成される診断用キットを調製するために適切な方法の開発することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記技術課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、ブロッキング剤と同一の物質を試薬粒子の分散液に添加することで、更に又、抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いる場合にはブロッキング剤としてカゼインを使用して上記を実施すれば、1)非特異的凝集反応の防止、2)測定目標物質の微量検出可能という2つの要件を満足する免疫学的凝集反応試薬粒子を用いた診断用キットとなることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、A)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子に抗原又は抗体と免疫的に不活性なタンパクからなるブロッキング剤を担持してなる免疫学的凝集反応試薬粒子、
B)該免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と同一の物質及び緩衝液を含んでなる、該免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
C)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、A)免疫学的凝集反応試薬粒子をB)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をC)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用される診断用キットである。
【0011】
他の発明は、a)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子にC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパク及びカゼインを担持してなるC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子、
b)カゼイン及び緩衝液を含んでなる、該C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
c)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、a)C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子をb)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をc)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用されるC型肝炎診断用キットである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明における不溶性担体粒子としては公知の免疫学的凝集反応法の診断試薬に用いることができる担体粒子が制限なく使用できる。例えば、核部となる無機質化合物に染料を被覆させた高比重複合粒子(特開昭62ー115366参照、以下、HDPとも略記する)、羊赤血球、ポリスチレン粒子、ゼラチン粒子等が挙げられる。中でもHDP及び赤血球は抗原あるいは抗体の吸着量が多く好適に用いられる。特に人工担体であるところのHDPは表面官能基を人工的に付加することができ、抗原あるいは抗体の種類に応じて表面状態を変化させることができるので免疫学的凝集反応試薬粒子の担体粒子としてはさらに好適に用いることができる。
【0014】
また、不溶性担体粒子の粒子径は、担体粒子重量当りの比表面積が上げることにより感作物質の吸着量を向上させることができるので、0.01μmから3μmまでのものが用いられる。
【0015】
不溶性担体粒子の比重は1.0以上であればよいが、特に沈降反応を利用したマイクロタイター試薬用担体粒子は比重が大きい程、沈降速度が速く判定時間が短縮化できるので1.5以上のものが好適に用いられる。
【0016】
本発明で用いる抗原とは、被検体中の抗体に対して抗原活性を有して抗原抗体反応による結合するものならば特に限定されない。例えば、ポリペプチド、多糖類、脂質等である。中でもポリペプチドが該抗原としては好適に用いられる。該ポリペプチドの鎖長は抗体が抗原抗体反応で認識できる長さであればよく、一般に抗原抗体反応で抗体が抗原部位として認識できるとされている3アミノ酸残基以上であればよい。さらに該ポリペプチドは不溶性担体粒子に担持するので吸着効率を考慮して3000アミノ酸残基以下が好適に用いられる。該抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いた場合、本発明の効果は顕著に現れる。
【0017】
本発明でいうC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパク(以下、HCV抗原とも略記する)とはC型肝炎ウイルス遺伝子によりコードされるタンパクのことである。該C型肝炎ウイルス(以下、HCVとも略記する)遺伝子とは特開平4−144686及び特開平4ー179482に記載されている塩基配列を有する全長約10kb(約1万ヌクレオチド)のRNAである。HCVはRNAウイルスであるが、HCV由来のRNAより逆転写酵素により作り出されたcDNAも該C型肝炎ウイルス遺伝子に該当する。
【0018】
該C型肝炎ウイルス遺伝子は、輸血後非A非B肝炎患者の血清からウイルス遺伝子を分離して作製したcDNAライブラリーから得ることが出来る。例えば、まず患者血清から超遠心によりC型肝炎ウイルスを分離し、次いでウイルスから遺伝子RNAを調製し、該RNAに対して逆転写酵素を使用してcDNAを合成し、しかるのちに該cDNA断片をプラスミドベクターあるいはファージベクターに挿入して、cDNAライブラリーを調製する。次いで、該cDNAライブラリーを、輸血後非A非B肝炎患者の血清(抗HCV抗体を含有する血清)を用いイムノスクリーニングすることにより、目的の遺伝子を得ることが出来る。また公知のHCV遺伝子の塩基配列をもとにDNAプローブを合成して、cDNAライブラリーをDNA/DNAハイブリダイゼーションによりスクリーニングしてもよい。また別の方法としては Proceedings of the Japan Academy, Vol.65, Ser.B, No.9, pp.219〜223(1989).に示される方法、即ち逆転写酵素とPCR法とを組み合わせたRT−PCR法により狙った領域を遺伝子増幅させて、その増幅させた遺伝子断片をクローニングする方法も有効である。
【0019】
該HCV抗原は、通常知られている遺伝子発現系、即ち、大腸菌のホスト・ベクター系、枯草菌のホスト・ベクター系、酵母のホスト・ベクター系、昆虫細胞あるいは昆虫のホスト・ベクター系、動物細胞のホスト・ベクター系等を利用して発現が可能である。このうち、大腸菌は好適に利用出来る。大腸菌を用いて該抗原タンパクを発現するには、まず大腸菌で発現可能なベクターにHCVの遺伝子を挿入し組換えベクターを作製する。ベクターは特に限定されず、大腸菌のベクターとして通常用いられるベクターならば如何なるベクターでも利用できるが、特に遺伝子発現が高頻度で起こるベクターは好適に利用される。例えば、一連のpUCベクター(宝酒造(株)製品)、一連のpTVベクター(宝酒造(株)製品)、一連のpTZベクター(東洋紡績(株)製品)、一連のpET(Methods in enzymology,Vol.185に示される)などが利用できる。また、一連のpUEXベクター(アマシャム・ジャパン(株)製品)、一連のpEXベクター(ベーリンガー・マンハイム山之内(株)製品)を利用すれば、抗原タンパクをβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして発現させることができる。大腸菌で発現可能なベクターには、通常は大腸菌内で働く遺伝子発現のためのプロモーターや、それをコントロールするオペレーターが附属している。このようなベクターのプロモーターの下流にある適当な制限酵素部位を利用してHCV遺伝子を挿入することにより、組換えベクターが作製される。このようにして作製される組換えベクターの中でも、特にpUEXベクターを用いて作製される組換えベクターは、遺伝子発現によって得られるポリペプチドの収率がよく、精製が容易であることなどから好適に選択される。組換えベクターにより大腸菌を形質転換し、該形質転換大腸菌を培養し挿入された遺伝子を発現させることにより抗原タンパクが生産される。
【0020】
組換えベクターで遺伝子発現を行う場合は、ポリペプチドのN末端あるいはC末端にランダムな配列のアミノ酸が複数個付加する場合がある。しかしながら、このようなN末端、あるいはC末端に付加された複数個のアミノ酸はランダムなアミノ酸であるから、抗原抗体反応には無関係であり、抗原抗体反応を用いた測定には影響はない。
【0021】
該HCV抗原は、上記形質転換大腸菌を培養し得られた菌体を超音波処理などの方法で破砕し、この菌体破砕物より公知の方法により分離される。該HCV抗原の精製方法は公知の方法ならばいずれでもよく塩析、イオン交換樹脂吸着、ゲル濾過等々である。好ましくは上記方法の組合せが有効である。また、精製された該HCV抗原はどのような溶液に分散されていてもよいが、好ましくは0.87%塩化ナトリウム水溶液(以下、生理食塩水とも略記する)あるいは0.87%塩化ナトリウム含有、20mM燐酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSとも略記する)に分散されていることが望ましい。試薬感度は不溶性担体粒子の単位表面積当りに担持される該HCV抗原のエピトープ数に依存するため、不溶性担体粒子の単位表面積当りに担持される該HCV抗原のエピトープ数を増加させるために精製純度は高いほど望ましい。
【0022】
該HCV抗原は抗C型肝炎ウイルス抗体(以下、抗HCV抗体とも略記する)に対する免疫学的反応性を有するポリペプチドである。すなわち、被検体中の抗体に対するエピトープ部位を有し、抗原抗体反応により患者血清及び血漿中の抗体と特異的に結合する特性を有する。
【0023】
該HCV抗原のポリペプチド鎖の長さは抗HCV抗体が抗原抗体反応で認識できる長さであればよく、一般に抗原抗体反応で抗体が抗原部位として認識できるとされている3アミノ酸残基以上であればよい。さらに該HCV抗原は不溶性担体粒子に担持するので担体粒子への吸着効率を考慮すると3000アミノ酸残基以下が好適に用いられる。
【0024】
本発明で用いる抗体とは、被検体中の抗原と抗原抗体反応による結合能を有する免疫グロブリンである。該抗体は抗原分子の1箇所の抗原認識部位を有するモノクローナル抗体でも抗血清より得られるポリクローナル抗体でも好適に用いることができる。多種類の抗原認識部位を検知することができるので数種のモノクローナル抗体の混合液かポリクローナル抗体がさらに好適に用いられる。
【0025】
本発明で用いるブロッキング剤は、感作粒子上の感作物質の間隙を覆う為に用いる免疫的に不活性な物質であり、BSA、カゼイン等の上記性状のタンパクが用いられる。感作粒子を該ブロッキング剤で覆う目的は1)夾雑物質の影響の回避、2)感作物質同士の相互吸着の防止の2点にある。
【0026】
感作物質としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いる場合は該ブロッキング剤としてカゼインが極めて有効である。ブロッキング剤としてカゼインを用いた場合、感作物質同士の非特異的な結合が防止でき、より多くの感作物質を不溶性担体粒子に担持することができる。したがって高感度化を可能とするほか、他のブロッキング剤を用いたときと比較して被検体中の夾雑物質の影響による非特異的凝集反応を防止できる。ブロッキング剤としてカゼイン以外の、例えばBSAを用いた場合、不溶性担体粒子のHCV抗原同士が相互吸着を起こして健常者検体、C型肝炎患者検体ともに非特異的凝集反応を起こしてしまう。またブロッキング剤として正常ウサギ血清を用いた場合は被検体中の夾雑物質の影響を受けやすく健常者検体に於ける測定で非特異的な感度上昇を生じてしまうため適当でない。
【0027】
本発明におけるカゼインは公知のものならば特に限定なく用いられる。該カゼインとしては乳タンパク質の主体をなすもので乳に酸を加えてpH4.6にする等電点沈澱することにより調製される酸性カゼインが好適に用いられる。該酸性カゼインは一般に電気泳動的にα、β、γの3成分に分離できるがα、β、γのいずれでもよくまた2種類以上の混合物として用いることも可能である。さらに加熱、加圧等の物理的分解、酸・アルカリ等での化学的分解、タンパク質分解酵素での酵素的分解により低分子化したものも同様に用いることができる。
【0028】
本発明でいう担持とは、不溶性担体粒子に感作物質としての抗原及び抗体、ブロッキングのためのブロッキング剤等(以下、不溶性担体粒子に担持する物質を吸着物質ともいう)を吸着させることである。
【0029】
感作物質及びブロッキング剤を不溶性担体粒子に担持する順序は特に制限なく以下の方法の何れかが採用される。
【0030】
1)不溶性担体粒子に感作物質を担持したのちブロッキング剤を担持する方法、2)不溶性担体粒子にブロッキング剤を担持したのちに感作物質を担持する方法、3)不溶性担体粒子に感作物質とブロッキング剤を同時に担持する方法である。いずれの方法でも本発明の効果は十分に発揮されるが、感作物質を優先的に担持するために1)の不溶性担体粒子に感作物質を担持したのちブロッキング剤を担持する方法が好適に用いられる。
【0031】
上記1)の担持工程を概説すれば、感作物質を溶解した緩衝溶液中に不溶性担体粒子を分散、混合して感作物質を不溶性担体粒子に担持した後余剰の感作物質を遠心洗浄で除去し、次いでブロッキング剤を同様にして担持する方法が挙げられる。
【0032】
不溶性担体粒子に感作物質を担持する方法としては疎水吸着法等の物理的吸着法、塩化クロム法等の化学的吸着法等の公知の方法が採用されるが、感作物質は不溶性担体粒子に担持されたのち被検体中の測定目的物質と抗原抗体反応により結合をするため該感作物質はできるだけ穏やかな条件で担持することが必要であり、そのため疎水的吸着法が特に好適に用いられる。
【0033】
上記疎水的吸着法による担持は、緩衝作用のある緩衝液中に不溶性担体粒子と吸着物質を分散させた状態で行う。該緩衝液は燐酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等など緩衝作用のあるものならば制限なく用いることができる。緩衝液のpHについては担持させる吸着物質によりそれぞれ最適な範囲を選択して採用するが、一般に中性領域pH6.0〜pH8.0が望ましい。不溶性担体粒子に吸着物質を担持させる時間は吸着物質が均一的に不溶性担体粒子表面に担持されるのに十分な時間であればよいが、例えば該HCV抗原をHDPの疎水吸着法で行う場合は30分間以上で十分である。さらに温度に関しても担持する吸着物質が熱変性を受けない範囲即ち1℃以上80℃以下が採用される。
【0034】
続いての不溶性担体粒子へのブロッキング剤の担持も上述の感作物質の担持と同様の方法を採用することができる。
【0035】
例えば、C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子においては、HCV抗原を担持した不溶性担体粒子(以下、HCV抗原感作担体粒子ともいう)を遠心洗浄で余剰のHCV抗原を除去した後、該HCV抗原感作担体粒子をブロッキング剤であるカゼインを0.1〜5(w/vol)%となるように中性付近のpH6.0〜pH8.0で緩衝作用のある緩衝液に溶解した溶液中に感作粒子濃度0.0001〜30(w/w)%となるように分散してブロッキング剤の担持を行う。
【0036】
本発明の免疫学的凝集反応試薬粒子とは、上記したとおりの被検体(血清、血漿、尿、便等)中に存在する抗原あるいは抗体を免疫学的凝集反応で検出するために不溶性担体粒子に感作物質及び免疫学的に不活性なブロッキング剤を担持した診断用試薬である。
【0037】
該免疫学的凝集反応試薬粒子は通常診断に利用される凝集反応法が何ら制限なく適用される。例えば、定性診断の平板法、半定量診断のマイクロタイター法及び定量診断のラテックス凝集法、粒子数計測法等である。そのうち、特にマイクロタイタ−法に適用する場合、本発明の効果が特に顕著である。
【0038】
上記免疫学的凝集反応試薬粒子は試薬粒子分散液に懸濁して使用されるが、長期に保存する場合はこれを凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥方法は限定的ではなく通常の方法で行えばよい。例えば感作赤血球の凍結乾燥法に採用される方法及び条件が用いられる。好ましくは上記該免疫学的凝集反応試薬粒子を水性溶媒に懸濁状態でバイアル瓶等に入れ、液体窒素等に浸漬して急速予備凍結し次いで真空凍結乾燥する方法が採用される。
【0039】
真空凍結乾燥方法の条件は特に限定されるものではないが、上記感作粒子の浮遊液の入ったバイアル等を急速予備凍結したのち、予め−40〜−60℃に冷却した凍結乾燥機のチャンバ−内に置き24〜72時間かけて徐々に昇温し真空凍結乾燥する方法が好適である。この時のチャンバー内の圧力50〜200μmHg、最終乾燥温度は20〜50℃が適当である。ついで真空状態、または不活化ガスを充填して封栓して凍結乾燥免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、凍結乾燥試薬粒子ともいう)とする。
【0040】
該凍結乾燥試薬粒子は、免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と同一の物質を含む緩衝液からなる試薬粒子分散液に懸濁、分散した後測定に供される。このように試薬粒子分散液中に、試薬粒子のブロッキング剤と同一の物質を添加することにより、不溶性担体粒子に担持されたブロッキング剤の脱離を防止することができる。仮に、試薬粒子分散液中に不溶性担体粒子に担持された該ブロッキング剤と異なる物質を添加すると該不溶性担体粒子に担持したブロッキング剤は交換反応で脱離してしまう可能性がある。このような不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離は被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面とが非特異的結合を起こして新たな非特異的凝集反応の原因となってしまう。
【0041】
試薬粒子分散液中に懸濁、分散された凍結乾燥試薬粒子は、凍結乾燥を施す前の免疫学的凝集反応試薬粒子と何ら変わりない性能を示す。なお、凍結乾燥を行わない場合にも試薬粒子分散液に免疫学的凝集反応試薬粒子を懸濁、分散して測定に供する。
【0042】
試薬粒子分散液に用いる緩衝液は、公知の緩衝液が特に限定されず用いられる。例えば、燐酸緩衝液、トリス緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン緩衝液等である。該緩衝液のpHは特に限定されないが、不溶性担体粒子自身が凝集を起こさないように中性から弱アルカリ性域のpH7〜pH10が好適に用いられる。従って中性から弱アルカリ性で緩衝作用のある燐酸緩衝液、トリス緩衝液等が好適に用いられる。また、該緩衝液の濃度も緩衝作用のある領域であれば任意のものを用いることができ、5mM〜500mMが好適に用いられる。
【0043】
さらに該試薬粒子分散液には塩が存在してもよい。塩の種類、濃度については特に限定はされないが、抗原抗体反応が好適に進行する条件、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等で濃度は1mMから1M程度が好適に用いられる。また、腐敗を防止するために0.1(w/vol)%程度のアジ化ナトリウム等を添加してもよい。
【0044】
さらに、試薬粒子分散液には、他に管底凝集像の安定化のために多糖類等を添加してもよい。
【0045】
調製された試薬粒子分散液は15℃以下の冷蔵保存で通常2年間程度の保存が可能である。
【0046】
該試薬粒子分散液の代表的な調製方法は、緩衝液に免疫学的凝集反応試薬粒子の調製に使用したブロッキング剤と同一の物質を0.0001〜30(w/vol)%となるように添加、溶解したのち、必要に応じて酸、またはアルカリを加えて緩衝液のpHを微調整して試薬粒子分散液とする。さらに必要に応じて塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等を添加、溶解する。
【0047】
本発明の診断用キットを用いて実際に被検体中の測定目的物質を検出するには、免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液の他に、被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈する検体希釈液が必要である。該検体希釈液は吸収剤を含む緩衝液から構成される。
【0048】
該検体希釈液は吸収剤および緩衝液を主成分とするものであるが、含有されている吸収剤として上記免疫学的凝集反応試薬粒子のブロッキング剤として不溶性担体粒子に担持されている物質と同一のものを使用することが好ましい。
【0049】
免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤は、一般に感作物質同士の相互吸着の防止、被検体中の夾雑物質の不溶性担体粒子表面への吸着防止のために用いられるが、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と被検体中の夾雑物質が非特異的吸着を起こすと新たな非特異的凝集反応の原因となる。
【0050】
そこで検体希釈液にブロッキング剤と同一の物質を吸収剤として添加することにより、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と非特異的吸着を起こす被検体中の夾雑物質を予め吸着除去する。免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されているブロッキング剤と異なる物質を検体希釈液の中に添加した場合、被検体中に含まれる免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と非特異的吸着を起こす夾雑物質は吸収除去されず、非特異的凝集反応を起こし易い。
【0051】
上記検体希釈液において、緩衝液の種類、塩の含有、保存方法、調整方法等は、前記試薬粒子分散液の場合と同様に実施すればよい。
【0052】
本発明の診断用キットをマイクロタイター試薬として使用するときは通常、マイクロタイタープレート上で反応を行う。定性試験を行うときは、被検体を規定希釈倍率まで検体希釈液で希釈したのち、試薬粒子分散液に懸濁した上記免疫学的凝集反応試薬粒子を滴下することによって測定を行う。
【0053】
【作用】
不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持させることで被検体中の夾雑物質の不溶性担体粒子表面への吸着防止が可能となる。そして、試薬粒子分散液中にもブロッキング剤と同一の物質を添加することにより、不溶性担体粒子に担持されたブロッキング剤の脱離を防止することができ、不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離による被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面の非特異的結合による新たな非特異的凝集反応も阻止することができる。
【0054】
他方、不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持することにより感作物質同士の相互的結合を起こさず、過剰の感作物質を不溶性担体粒子に担持できる。従って、感作物質同士の相互作用を防止でき、より多くの活性部位を効率的に担体粒子表面に露出させることで高感度化が可能となる。
【0055】
さらに、検体希釈液にブロッキング剤と同一の物質を添加した場合には、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と非特異的吸着を起こす被検体中の夾雑物質を吸着除去し、不溶性担体粒子に担持した該ブロッキング剤と被検体中の夾雑物質が非特異的吸着を起こすと新たな非特異的凝集反応も防止することができる。したがって、感作物質と測定目的物質との真の免疫学的凝集反応のみが起こり、結局免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能となる。
【0056】
【発明の効果】
不溶性担体粒子に感作物質及びブロッキング剤を担持し、さらに試薬粒子分散液にブロッキング剤と同一の物質を用いることで、不溶性担体粒子のブロッキング剤の脱離による被検体中の夾雑物質と不溶性担体粒子表面の非特異的結合による非特異的凝集反応も阻止することができ、非特異的凝集反応を回避し且つ被検体中の測定目的物質の微量検出、即ち高感度化が可能となった。
【0057】
特に、抗原としてC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクを用いた時は、ブロッキング剤としてカゼインを用いた場合に非特異的凝集反応を回避して且つ被検体中の測定目的物質の微量検出が可能な免疫学的凝集反応試薬粒子を調製することが可能となった。さらに、試薬粒子分散液に上記カゼインを含有した場合に非特異的凝集反応を回避し且つ被検体中の測定目的物質の微量検出、高感度化を一層向上させることができた。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
参考例 C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクの調製
C型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパクとしてはCore抗原、NS−3抗原、NS−4抗原、NS−5抗原の4種類を用いた。以下のようにして4種類の抗原タンパクを調製した。遺伝子操作実験の手法は、サムブロックらの方法[Sambrook, J., Fritsch, E. F., Maniatis, T., Molecular Cloning, 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989).]に従って行った。なお、制限酵素は宝酒造(株)製品を使用した。
(Core抗原の調製)
HCVのCore領域遺伝子(N末端から1番目から168番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)をpUEX2(Amersham社製)に挿入したpHCX01を持つ組換え大腸菌HB101[pHCX01](特願平4-198806、微工研菌寄第13056号)をLB+Amp培地[Bacto tryptone 1.0%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.5%, アンピシリン(Amp)50μg/ml]で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0059】
組換え大腸菌HB101[pHCX01]を培養し遺伝子発現を行うことにより、Core抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。組換え大腸菌HB101[pHCX01]の凍結保存菌体1mlを、1リットルのLB+Amp培地に接種し30℃にて一晩培養した。続いてこの培養物を、20リットルのLB+Amp培地に植菌し30℃でOD540が1.5となるまで培養し、培養温度を42℃に上昇させて引き続き3時間培養した。培養後、遠心分離により集菌し57gの湿菌体を得た。菌体を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液(50mM Tris・HCl(pH8.3),100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸濁し、超音波処理により破砕した。この菌体破砕物を10,000g、20分間の遠心分離により、Core抗原を含む不溶性顆粒を沈澱画分に回収した。この沈澱を、再び2リットルの0.6M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁して不溶性顆粒を洗浄し、遠心分離することにより沈澱を回収した。更にこの沈澱を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁し、室温で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒を十分洗浄した後、遠心分離することにより不溶性顆粒を沈澱画分に回収した。この不溶性顆粒の沈澱に、200mlの8M尿素を含むTNE緩衝液を加え沈澱を可溶化した。これを16,000g、20分間の遠心分離により上清を分取し、TNE緩衝液に対して透析した。透析後、16,000g、20分間の遠心分離により上清を分取しCore抗原を得た。20リットルの培養液からCore抗原を980mg得た。
(NS−3抗原の調製)
NS−3領域遺伝子(N末端から1323番目から1533番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV07を持つ組換え大腸菌E. coli HCV7(特開平4-179482、微工研菌寄第11831号)からpHCV07を単離してEcoRIとStuIで消化し、cDNAの5'側の338bp断片を得た。この338bp断片はさらにHinfIで部分消化後、DNAポリメラーゼI Klenow fragmentにより末端を平滑化し、263bp断片を得た。またpHCV7をStuIで消化し、CIP処理した後、PstI消化し、cDNAの3'側の400bp断片を得た。一方pUEX1をSmaIとPstIで消化し、CIP処理した。このpUEX1とcDNAの5'側の263bp断片、cDNAの3'側の400bp断片のライゲーション反応を行い、組換えベクターpCI07を得た。この組換えベクターpCI07には、HCVのN末端から数えて、1323番目から1533番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI07で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI07]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI07]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0060】
組換え大腸菌HB101[pCI07]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−3抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI07]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−3抗原を1,000mg得た。
(NS−4抗原の調製)
NS−4領域遺伝子(N末端から1605番目から1798番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV10を持つ組換え大腸菌E. coli HCV10(特開平4-179482、微工研菌寄第11834号)からpHCV10を単離してAvaIIで消化後、DNAポリメラーゼI Klenow fragmentにより末端を平滑化し、さらにBamHIで消化して583bp断片を単離した。一方pUEX3をSmaIで消化し、CIP処理し、さらにBamHIで消化した。その後、電気泳動を行い目的の断片を分離した。これらをライゲーションし、組換えベクターpCI10を作製した。この組換えベクターpCI10には、HCVのN末端から数えて、1605番目から1798番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI10で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI10]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI10]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0061】
組換え大腸菌HB101[pCI10]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−4抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI10]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−4抗原を720mg得た。
(NS−5抗原の調製)
NS−5領域遺伝子(N末端から2111番目から2270番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列)を含むプラスミドpHCV14を持つ組換え大腸菌E. coli HCV14(特願平4-179482、微工研菌寄第11838号)からpHCV14を単離してPstI及びXbaIで消化後、blunting kitにより末端を平滑化し、484bpを含む断片を単離した。一方pUEX2をSmaIで消化し、CIP処理した。その後、電気泳動を行い目的の断片を分離した。これらをライゲーションし、組換えベクターpCI14を作製した。この組換えベクターpCI14には、HCVのN末端から数えて、2111番目から2270番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる。次に、組換えベクターpCI14で宿主大腸菌HB101を形質転換し、組換え大腸菌HB101[pCI14]を得た。組換え大腸菌HB101[pCI14]をLB+Amp培地で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%となるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存した。
【0062】
組換え大腸菌HB101[pCI14]を培養し遺伝子発現を行うことにより、NS−5抗原はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして生産される。Core抗原の製造と同様にして、組換え大腸菌HB101[pCI14]の培養、菌体の破砕、融合ポリペプチドの分離精製を行った。20リットルのLB+Amp培地にて培養し、NS−5抗原を750mg得た。
比較例1 カゼインをブロッキング剤として用いたC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子の調製
(感作)
直径1.8μmのHDP(徳山曹達(株)製品)をPBSで5(w/w)%になるように懸濁し、HDP懸濁液とした。上記参考例で調製した4種類のHCV抗原タンパクを各50、100、200μg/mlで混合して混合抗原溶液とした。上記HDP懸濁液1mlと混合抗原溶液1mlを試験管内で混合して室温で1時間放置してHDP表面に疎水的に担持させた(以下、この吸着操作を感作ともいう)。
【0063】
(洗浄操作)
その後、余剰のHCV抗原タンパクを除去するために、上記混合液に2,500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。その遠心沈澱物に洗浄のため、PBS2mlを添加、懸濁後2,500rpm、5分間遠心後上清を除去した。上記HCV抗原タンパクを吸着させたHDPをHCV抗原感作粒子とした。
【0064】
(ブロッキング操作)
該HCV抗原感作粒子(50mg)に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、C型肝炎診断試薬粒子ともいう)を調製した。このC型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBS(以下、A液とも略記する)に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0065】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記でC型肝炎診断試薬粒子懸濁液をを各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0066】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表1に示した。健常者検体はいずれも8倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型肝炎患者検体ではいずれも感作濃度200μg/mlで32,768倍希釈以上でも陽性像が検出できた。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例1 カゼインをブロッキング剤として用いたC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例1と同様である。
【0069】
(洗浄操作)
比較例1と同様である。
【0070】
(ブロッキング操作)
該HCV抗原感作粒子に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、C型肝炎診断試薬粒子を調製した。1(vol/vol)%カゼイン含有PBS(以下、B液とも略記する)に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0071】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0072】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表2に示した。健常者検体はいずれも4倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してC型肝炎患者検体では感作濃度200μg/mlで32,768倍希釈以上でも陽性像が検出できた。健常者検体を比較例1と比較するとさらに非特異的凝集反応を低減できることがわかり試薬粒子分散液への添加成分としてのカゼインの効果が確認された。
【0073】
【表2】
【0074】
比較例2 カゼインによるブロッキングを行わないC型肝炎診断試薬粒子
(感作)
比較例1と同様に行った。
【0075】
(洗浄操作)
比較例1と同様に行った。
【0076】
(ブロッキング操作)
比較例1で行ったブロッキング操作は比較例2では省略した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬粒子を3%正常ウサギ血清を含有するA液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0077】
(測定操作)
検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0078】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を比較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表3に示した。カゼインブロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μg/ml感作で非特異的凝集反応を起こしてしまった。このことよりカゼインブロッキングを行うことでより多くの抗原を感作することができ、免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能であるが証明された。また、健常者検体ではブロッキングを行うことにより非特異的感度上昇の防止が可能となる。
【0079】
【表3】
【0080】
比較例3 カゼインによるブロッキングを行わないC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例2と同様に行った。
【0081】
(洗浄操作)
比較例2と同様に行った。
【0082】
(ブロッキング操作)
比較例3でも比較例1で行ったブロッキング操作は省略した。感作、洗浄操作で調製したC型肝炎診断試薬粒子を1%カゼインを含有するB液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0083】
(測定操作)
検査に用いる検体を1%カゼイン含有したB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0084】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を比較例1と同様に健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表4に示した。カゼインブロッキングを行った場合は健常者検体、C型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった200μg/ml感作で非特異的凝集反応を生じてしまった。このことより試薬粒子分散液の添加成分としてのカゼインはブロッキング剤としてカゼインと使用することによってはじめて効果を発揮すること判明した。
【0085】
【表4】
【0086】
比較例4〜6 カゼイン以外のブロッキング剤(BSA、正常ウサギ血清、グリシン)を用いたC型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるC型肝炎診断用キット
(感作)
比較例1と同様である。ただし、感作するHCV抗原濃度は200μg/mlのみで行った。
【0087】
(洗浄操作)
比較例1と同様である。
【0088】
(ブロッキング操作)
該C型肝炎診断用感作粒子(50mg)に1%BSA、1%正常ウサギ血清又は1%グリシンをそれぞれ5ml添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、3種類のC型肝炎診断試薬粒子を調製した。各々のC型肝炎診断試薬粒子を1(vol/vol)%カゼイン含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁し、それぞれのC型肝炎診断試薬粒子を調製して以下の測定操作に供した。
【0089】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、3種類の上記C型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。試薬感度は力価で表示する。
【0090】
(結果)
上記のように調製したC型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体5検体、C型肝炎患者検体5検体を用いて行った。結果を表5に示した。ブロッキング剤としてBSA又はグリシンを用いた場合はすべて非特異的凝集反応を示し、正常ウサギ血清については健常者検体が非特異的な感度上昇が見られた。従って、C型肝炎診断試薬粒子のブロッキング剤としてのカゼインの有効性が確認された。
【0091】
【表5】
【0092】
実施例2 ブロッキング剤として正常ウサギ血清を用いたB型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子と正常ウサギ血清を含有する試薬粒子分散液とからなるB型肝炎診断用キット
(感作)
直径1.8μmのHDP(徳山曹達(株)製品)をPBSで5(w/w)%になるように懸濁し、HDP懸濁液とした。B型肝炎ウイルス表面抗原に対するモノクローナル抗体を250μg/mlにPBS懸濁して抗体溶液とした。上記HDP懸濁液1mlと抗体溶液1mlを試験管内で混合して37℃で1時間放置してHDP表面に感作した。
【0093】
(洗浄操作)
その後、余剰の該B型肝炎ウイルス表面抗原に対するモノクローナル抗体を除去するために、上記混合液に2,500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。その遠心沈澱物に洗浄のため、PBS2mlを添加、懸濁後2,500rpm、5分間遠心後上清を除去した。上記、HCV抗原タンパクを吸着させてHBV抗体感作粒子とした。
【0094】
(ブロッキング操作)
該HBV抗体感作粒子に10%正常ウサギ血清、5mlを添加して37℃で1時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了しであるB型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子(以下、B型肝炎診断試薬粒子とも略記する)を調製した。上記B型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定操作に供した。
【0095】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0096】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体は4倍希釈までしか、陽性像が検出されなかったのに対してB型肝炎患者検体では128倍希釈まで陽性像が検出できた。
比較例7 正常ウサギ血清でのブロッキングを行わないB型肝炎診断試薬粒子の調製
(感作)
実施例2と同様に行った。
【0097】
(洗浄操作)
実施例2と同様に行った。
【0098】
(ブロッキング操作)
実施例2で行ったブロッキング操作は比較例7では省略した。感作、洗浄操作で調製したB型肝炎診断試薬粒子をそのまま3(vol/vol)%正常ウサギ血清を含有するA液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0099】
(測定操作)
実施例2と同様の方法で、調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能を評価した。
【0100】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を実施例2と同様に健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。正常ウサギ血清ブロッキングを行った場合は健常者検体、B型肝炎患者検体いずれも非特異的凝集反応が起こらなかった250μg/ml感作で、非特異的凝集反応を起こしてしまった。このことより正常ウサギ血清ブロッキングを行うことでより非特異的凝集反応を起こすことなく多くの抗体を感作することができ、免疫学的凝集反応試薬粒子の高感度化が可能である。また、健常者検体ではブロッキングを行うことにより非特異的感度上昇の防止が可能となる。
比較例8 正常ウサギ血清をブロッキング剤として使用したB型肝炎診断試薬粒子とカゼインを添加した試薬粒子分散液からなるB型肝炎診断用キット
(感作)
実施例2と同様である。
【0101】
(洗浄操作)
実施例2と同様である。
【0102】
(ブロッキング操作)
実施例2と同様にHBV抗体感作粒子に10%正常ウサギ血清、5mlを添加して37℃で3時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、B型肝炎診断試薬粒子とした。上記B型肝炎診断試薬粒子を1(vol/vol)%カゼイン含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0103】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をB液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0104】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を実施例2と同様に健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体で非特異的に感度が上昇していた。試薬粒子分散液に添加するのと同一のタンパク成分をブロッキング剤に用いることが有効であることが分かる。
比較例9 ブロッキング剤としてカゼインを用いたB型肝炎診断試薬粒子と正常ウサギ血清を添加した試薬粒子分散液からなるB型肝炎診断用キット
(感作)
実施例2と同様に行った。
【0105】
(洗浄操作)
実施例2と同様に行った。
【0106】
(ブロッキング操作)
HBV抗体感作粒子に1%カゼイン、5mlを添加して37℃で1時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、上記懸濁液に2、500rpm、5分間遠心分離を施し、遠心上清を除去した。上記操作でブロッキング操作を完了し、B型肝炎診断試薬粒子を調製した。上記B型肝炎診断試薬粒子を3(vol/vol)%正常ウサギ血清含有PBSである液に0.5(w/vol)%になるように懸濁して以下の測定に供した。
【0107】
(測定操作)
一方、検査に用いる検体をA液で2倍より順次倍数希釈した。次に、検体の希釈液を96穴マイクロタイタープレートに各々25μlずつ1穴から18穴まで滴下した。ついで、上記B型肝炎診断試薬粒子懸濁液を各穴25μlを滴下した。滴下後、プレートミキサーで振とうして30分間静置したのち、管底凝集像を観察した。
【0108】
(結果)
上記のように調製したB型肝炎診断試薬粒子の性能評価を、健常者検体1検体、B型肝炎患者検体1検体を用いて行った。結果を表6に示した。健常者検体は8倍希釈まで陽性像が検出されたのに対してB型肝炎患者検体では128倍希釈まで陽性像が検出できた。実施例2と比較すると健常者検体に非特異的に感度の上昇が見られた。従ってブロッキング剤と同一の物質を試薬粒子分散液に添加することで非特異的凝集反応が抑制されることが分かる。
【0109】
【表6】
【0110】
Claims (2)
- A)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子に抗原又は抗体と免疫的に不活性なタンパクからなるブロッキング剤を担持してなる免疫学的凝集反応試薬粒子、
B)該免疫学的凝集反応試薬粒子に担持されたブロッキング剤と同一の物質及び緩衝液を含んでなる、該免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
C)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、A)免疫学的凝集反応試薬粒子をB)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をC)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用される診断用キット。 - a)粒子径が0.01μmから3μmまでの不溶性担体粒子にC型肝炎ウイルス遺伝子由来の抗原タンパク及びカゼインを担持してなるC型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子、
b)カゼイン及び緩衝液を含んでなる、該C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子を分散させるための試薬粒子分散液、並びに
c)被検体を測定レンジ内の適当濃度まで希釈するための検体希釈液
から構成されてなり、
測定時において、予め、a)C型肝炎診断用免疫学的凝集反応試薬粒子をb)試薬粒子分散液に分散させ、他方、被検体をc)検体希釈液により希釈し、得られたこれら両液を混合することにより使用されるC型肝炎診断用キット。
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