JP3263698B2 - 制振材料用粘弾性樹脂及び組成物 - Google Patents

制振材料用粘弾性樹脂及び組成物

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JP3263698B2 JP14284993A JP14284993A JP3263698B2 JP 3263698 B2 JP3263698 B2 JP 3263698B2 JP 14284993 A JP14284993 A JP 14284993A JP 14284993 A JP14284993 A JP 14284993A JP 3263698 B2 JP3263698 B2 JP 3263698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制振材料用粘弾性樹脂及
び組成物に関し、更に詳しくは機械、建築物、乗り物等
の各種構造物の構造部材、またはその一部として使用さ
れる複層構造の制振材料にその中間層として用いられる
制振材料用粘弾性樹脂及び組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、交通機関の発達や住居の工場等へ
の接近に伴って騒音や振動の問題が公害として社会問題
化するようになり、また、職場においても作業環境の改
善を目的として騒音や振動を規制する傾向にある。この
ような傾向に対応して、騒音源や振動源である金属材料
に対して制振性能、すなわち騒音を発生する部材自体の
振動エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換し、振動
速度あるいは振動振幅を減衰させて音響放射を少なくす
る機能を付与し、さらにその機能の向上を図ることが要
請されている。このような要請に基づいて、かかる性能
を発揮する制振材料の一つとして、従来より金属層間に
粘弾性を有する中間層を挟み込んだ複層構造の複合型制
振材料が提案されている。そして、この複合型制振材料
は、自動車のオイルパン、エンジンカバー、ホッパーの
シュート部、搬送設備のストッパー、家電機器、その他
金属加工機器の振動低減部材や振動防止が望まれる精密
機器の構造部材等において検討され、採用されている。
一般に、このような複合型制振材料の制振性能は、その
中間層を構成する粘弾性中間層の性能に依存している。
この制振性能を損失係数(外部からの振動エネルギーが
内部摩擦により熱エネルギーに変換する尺度を示し、振
動による力学的ヒステリシス損失に関する量)で表す
と、この制振性能はある一定温度でピーク特性を示し、
このピーク特性温度の近傍で使用するのが最も効果的で
あることが知られている。従来、このような複合型制振
材料の粘弾性中間層としては、ポリエステル単体(特開
昭50−143880号)あるいはポリエステルに可塑
剤を添加したもの(特開昭51−93770号)、ポリ
エステルに有機過酸化物を配合したもの(特開昭51−
41080号、特開昭51−83640号)、複数のポ
リエステルを組み合わせたもの(特開昭62−2959
49号、特開昭63−202446号)、ポリウレタン
フォーム単体(特開昭51−91981号)、ポリアミ
ド単体(特開昭56−159160号)、エチレン−酢
酸ビニル共重合体単体(特開昭57−34949号)、
ポリビニルブチラールあるいはポリビニルブチラールと
ポリ酢酸ビニルとの組成物に可塑剤、粘着付与剤を配合
したもの(特開昭55−27975号)、イソシアネー
トプレポリマーとビニルモノマーの共重合体(特公昭5
5−27975号)、または特開昭60−258262
号、特公昭39−12451号、特公昭45−3470
3号に示される共重合体等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、複合型制振
材料は、先ず第一に上記損失係数の値が高いことと、粘
弾性中間層と金属層との間の接着強度が高いことが要求
されるが、上記従来の粘弾性中間層で製造される複合型
制振材料ではそのいずれの性能についても問題があり、
充分満足し得るものではなかった。たとえば、ポリエス
テルを粘弾性中間層の樹脂成分とする場合、特開昭50
−143880号、特開昭51−93770号、特開昭
51−41080号、特開昭51−83640号では常
温での制振特性と接着強度の両立は困難である。また、
上記の要求特性と合わせてプレスおよび曲げ等の加工に
耐え得る必要があるが、上記従来の粘弾性中間層で製造
される複合型制振材料においては、しわ、割れ等が発生
し易く満足し得るものではなかった。さらに、上記従来
の粘弾性中間層で製造される複合型制振材料において
は、プレスおよび曲げ等の加工後、焼付け塗装等の熱処
理を行うと粘弾性中間層と金属層との間で剥離を生じる
ことがあり、複合型制振材料の耐久性や制振性等におい
て重大な問題を持っているものもある。本発明はかかる
問題点を解決するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、制振性能
の向上、接着性の向上、耐熱性の向上、耐久性の向上を
目的とする制振材料用粘弾性樹脂組成物に係わるもので
ある。本発明者等は本発明の目的を達成すべく、ポリエ
ステル樹脂を鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち
本発明は、(A)ジカルボン酸成分の90〜30モル
%が芳香族ジカルボン酸であり、10〜70モル%がダ
イマー酸あるいは水添ダイマー酸であり、(B)グリコ
ール成分の30モル%以上が側鎖にアルキル基を有する
炭素数3以上のグリコールであり、(C)ガラス転移温
度が−60℃〜40℃である事を特徴とする非晶性ポリ
エステル樹脂、(A)グリコール成分としてダイマー
酸の還元物を用い、(B)ジカルボン酸成分の30モル
%以上が芳香族ジカルボン酸であり、(C)ガラス転移
温度が−60℃〜40℃である非晶性ポリエステル樹
脂、及び上記またはを架橋して用いる事を特徴と
する制振材料用粘弾性樹脂組成物である。本発明はまた
架橋剤として、好ましくは高度な耐熱性、耐久性をもた
せるために、エポキシ化合物、酸無水物化合物、メラミ
ン化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリレー
ト化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を配合
することを特徴とする制振材料用粘弾性樹脂組成物に関
するものでもある。
【0005】本発明の目的を達成するためには、非晶性
ポリエステルの酸成分としてダイマー酸あるいは水添ダ
イマー酸を用いること、かつ/またはグリコール成分と
してダイマー酸の還元物を用いることが必要である。酸
成分としてダイマー酸あるいは水添ダイマー酸を用いる
場合これらの量はジカルボン酸成分の10モル%以上7
0モル%以下であることが重要である。また、ダイマー
酸あるいは水添ダイマー酸以外のジカルボン酸成分とし
て芳香族ジカルボン酸を用いることが重要である。また
グリコール成分としては側鎖にアルキル基を持ち炭素数
3以上のものがグリコール成分の30モル%以上である
ことが必要である。本発明においてグリコール成分とし
てダイマー酸の還元物を用いる場合には、ジカルボン酸
成分の30モル%以上が芳香族ジカルボン酸であること
が重要である。ダイマー酸あるいは水添ダイマー酸、ダ
イマー酸の還元物を用いることにより、高制振性を発現
でき、更に耐久性の向上が計られる。一方、芳香族ジカ
ルボン酸を用いることにより、接着強度の向上が計ら
れ、かつ耐熱性、耐久性の向上が可能となる。側鎖にア
ルキル基を持つグリコール成分は、制振性の向上に効果
がある。さらにこのポリエステルを架橋することによ
り、高制振性を維持したまま飛躍的な耐熱性、耐久性の
向上が計られる。
【0006】本発明におけるポリエステル樹脂は、一般
的に知られているエステル交換法、直接重合法により容
易に得ることができる。上記方法により得られたポリエ
ステル樹脂は、ガラス転移温度が−60℃未満では、熱
硬化させても凝集力が弱く接着強度が低下する。またガ
ラス転移温度が40℃を越えると、常温での良好な制振
性を得られない。好ましいのは、ガラス転移温度−60
℃〜40℃の範囲であり、特に好ましいのは、ガラス転
移温度−40℃〜10℃の範囲である。分子量について
は、5000未満では硬化した状態でも凝集力が弱く、
凝集力が充分なレベル迄硬化剤量をふやすと制振性が低
下する。また、分子量が50000を越えると一般的な
重合法では得られにくい。好ましいのは、分子量500
0〜50000の範囲であり、特に好ましいのは、分子
量8000〜30000の範囲である。本発明に用いる
非晶性ポリエステル樹脂組成としては、芳香族ジカルボ
ン酸成分を全ジカルボン酸成分の30モル%未満では接
着強度、及び耐熱性が低下する傾向にあるため30モル
%以上であることが好ましく、特に好ましいのは50モ
ル%以上である。ダイマー酸あるいは水添ダイマー酸の
量は、10モル%未満では制振性への効果が少ないため
10モル%以上であることが好ましく、接着性とのバラ
ンスから10〜70モル%であることが好ましい。特に
好ましいのは、20〜50モル%である。ポリオール成
分に関しては側鎖にアルキル基を有するポリオール成分
が全ポリオール成分の30モル%以上であることが好ま
しく、30モル%未満では制振性が低下する傾向にあ
る。特に好ましいのは側鎖にアルキル基を有するポリオ
ール成分が50モル%以上の場合である。ダイマー酸の
還元物をポリオール成分として用いる場合には、制振
性、接着性のバランスから全ポリオール成分の10〜8
0モル%であることが望ましい。特に好ましいのは20
〜70モル%である。
【0007】以下、かかる非晶性ポリエステル樹脂組成
について詳細に説明する。酸成分としてダイマー酸ある
いは水添ダイマー酸を用いる場合、ポリエステル樹脂の
構成成分であるジカルボン酸は10〜70モル%がダイ
マー酸あるいは水添ダイマー酸であり、90〜30モル
%が芳香族ジカルボン酸である。ポリオール成分として
ダイマー酸の還元物を用いる場合ジカルボン酸成分の3
0モル%以上が芳香族ジカルボン酸である。かかる芳香
族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン
酸、フェニルインデンジカルボン酸等が例示される。ま
た、硬化剤との反応性を向上させ、樹脂の凝集力と接着
力のバランスをとるうえで3官能以上の多価カルボン酸
を用いることが好ましく、特に好ましいのは0.5〜5
モル%の範囲である。多価カルボン酸としては、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸等が例示される。こ
れら酸成分のうち、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイ
マー酸、無水トリメリット酸が好ましい。ダイマー酸あ
るいは水添ダイマー酸を用いる場合、ポリエステル樹脂
の構成成分としてのポリオールとしては炭素数3以上で
あり、側鎖にアルキル基を有するポリオールを30モル
%以上用いる必要がある。かかるポリオールとしては、
プロピレングリコール、2−メチルプロパンジオール、
ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−
1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−
1,3−プロパンジオール、3−メチルペンタンジオー
ル、3−メチルオクタンジオール、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバレート、2,2−ジメチロールペン
タン、トリメチルペンタンジオール、8,13−メチル
エイコサンジオール、ダイマー酸の還元物、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシメトキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパ
ン、1,3−ブタンジオール、4,4′−(1−α−メ
チルベンジリデン)ビスフェノール、及びそのエチレン
オキサイド付加物等が例示される。また、所望により側
鎖にアルキル基を有さないポリオールを70モル%まで
用いることができる。かかるポリオールとしては、エチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエト
キシフェニル)メタン、ジエチレングリコール、トリシ
クロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、1,9−ノナンジオール、エイコサンジオー
ル等が例示される。また、ポリエチレングルコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル等のグリコールを共重合することもできる。また、性
能を損なわない範囲でグリセリン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のポリオー
ルも使用できる。これらポリオールのうち、ネオペンチ
ルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、3−メチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エ
チル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバレート、エチレングリコールが好ま
しい。これら組合せは数多くあり、希望する樹脂の凝集
力、接着力等により適宜選定して使用される。また、必
ずしも1種のみからなる必要はなく、2種以上の混合系
からなるものでもよい。また、前述の様に前記ジカルボ
ン酸とポリオールを共重合させて得たポリエステル樹脂
のガラス転移温度、接着性さらには硬化剤との反応性の
面から、その分子鎖末端にラクトン類を開環付加重合さ
せることもできる。かかるラクトン類としては、β−プ
ロピオラクトン、β−2,2−ジメチルプロピオラクト
ン、δ−バレロラクトン、δ−3−メチルバレロラクト
ン、ε−カプロラクトン等が挙げられ、特に好ましいの
はε−カプロラクトンである。また、硬化剤との反応性
を向上させるために、酸を付加させることもできる。か
かる酸として、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無
水ピロメリット酸等をあげることができる。上記の原料
等により共重合されたポリエステル樹脂は2種以上を組
み合わせて使用することもできる。上記の原料により得
られたポリエステル樹脂は、単独にて充分な耐熱性、接
着性を有しているがさらに耐熱性を向上するためにはポ
リエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、酸無水
物化合物、メラミン化合物、(メタ)アクリレート化合
物等のポリエスエル樹脂と反応する化合物を少なくとも
1種以上配合することが必要である。これらポリエステ
ル樹脂と反応する化合物を配合することにより、ポリエ
ステル樹脂の耐加水分解性、基材との密着性の向上がみ
られ、架橋構造が形成されることから、高温に加熱した
後でも熱劣化、基材との剥離もなく耐熱性がさらに向上
する。ポリエポキシ化合物としては、1分子中にグリシ
ジル基を2個以上有するものであり、エピ・ビスタイプ
エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエ
ステル系樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ
る。ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族系、脂
環族系あるいは芳香族系の二官能以上のポリイソシアネ
ート化合物が挙げられるが密着性、耐熱性の面から三官
能以上のものが望ましい。酸無水物化合物としては、脂
肪族系酸無水物、脂環族系酸無水物、芳香族系酸無水物
が挙げられ、酸無水物基を1分子中に1個以上、より好
ましくは2個以上有するものが好ましい。メラミン化合
物としてはメトキシ化メチロールメラミンやブトキシ化
メチロールメラミンがあげられる。アクリレート化合物
やメタアクリレート化合物としては、ヒドロキシエチル
アクリレートや、ヒドロキシエチルメタクリレート、グ
リセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート
等があげられるが、接着強度の関係から多官能アクリレ
ートが好ましい。これらポリエステル樹脂と反応する化
合物の配合は非晶性ポリエステル樹脂にポリイソシアネ
ート化合物、メラミン化合物、エポキシ樹脂化合物、
(メタ)アクリレート化合物、ポリイソシアネート化合
物とエポキシ樹脂化合物、エポキシ樹脂化合物と酸無水
物化合物、エポキシ樹脂化合物と酸無水物化合物とポリ
イソシアネート化合物の組合せが挙げられる。ポリエス
テル樹脂に配合する量としては、耐熱性、耐久性、接着
強度、制振性のバランスからポリエステル100重量部
に対して30重量部以下である。さらに制振性能のピー
ク温度調整や接着強度向上の面から、高Tg成分をブレ
ンドして使用することも可能である。高Tg成分として
は、比較的高分子量のポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、フェノキシ樹脂が好ましい。高Tg成分のブレンド
比率としては、重量比で70%未満であることが好まし
く、特に好ましいのは50%未満である。この他樹脂の
制振性を高める目的で変性ロジン、ガムロジン、クマロ
ンインデン樹脂、キシレン樹脂の粘着付与剤を適宜選択
して使用し得ることはいうまでもない。また、必要に応
じて、各種の充填剤、可塑剤、酸化防止剤、カップリン
グ剤や紫外線吸収剤を制振性、接着性を損なわない範囲
で使用できる。この他、樹脂強度を高める目的でガラス
繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維等の各種繊維、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種粒子、また、点
接触溶接性を付与する目的で鉄、ステンレス、ニッケ
ル、アルミニウム等の各種金属粉および金属繊維、カー
ボンブラック、グラファイト等の導電性粒子、その他混
入無機物と樹脂との接着性を高める目的で各種カップリ
ング剤、また塗布性を上げる目的で各種レベリング剤、
また耐熱性を高める目的でフェノール系、ヒンダードア
ミン系等の酸化防止剤等の1種以上を適宜選択して使用
し得ることはいうまでもない。
【0008】
【作用】複合型制振材料の接着剤として本発明の粘弾性
樹脂及び組成物を用いることにより、制振性能の向上、
接着性の向上、成型加工性の向上、成型加工後の耐熱性
の向上が得られる。これは本発明の粘弾性組成物がダイ
マー酸を主原料とするポリエステル樹脂と硬化剤の組合
せからなり、その結果、ダイマー酸の側鎖のために分子
間の拘束が小さくなるために比重が下がり、外部からの
振動エネルギーを分子の熱運動エネルギーに変換し易く
なるために制振性が向上するためと考えられる。
【0009】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中、単に部とあるのは重量部を示す。また以
下の表及び説明において「実」は実施例、「比」は比較
例を略記したものである。実施例および比較例で用いた
ポリエステル樹脂の組成と特性を表1、表2に示す。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】各ポリエステル樹脂はテトラブチルチタネ
ートを触媒として、エステル化反応と260℃、0.1
mmHgの真空下での重縮合反応による常法により得
た。なお、ポリエステル樹脂 実4,比1〜4は重縮合
反応後、窒素ガスにより常圧にもどした後210℃でε
−カプロラクトンを更に付加させて得た。また、ポリエ
ステル樹脂 比5は重縮合反応後、窒素ガスにより常圧
にもどした後220℃で無水トリメリット酸により末端
基にカルボン酸を付加した。得られた複合型制振材料の
評価方法は以下の方法により行った。 (1)接着性 25mm×10mmの重ね合わせ部の剪断接着力と25
mm幅のT型剥離強度を引っ張り速度50mm/分、測
定温度20℃で測定した。測定した試料は200℃で3
0分間熱処理前後のものを使用した。なおこの熱処理は
塗装工程を想定したものである。 (2)制振性 30mm×300mmの複合鋼板を試験片として機械イ
ンピーダンス法により種々の温度における500Hz加
振時のダンピングファクター(η)を測定した。ηが大
きい程制振性が優れている。 (3)加工性 300mm×300mmの複合鋼板を試験片としてプレ
ス加工機により直径100mm、深さ150mmの円筒
状に深絞り成型した。200℃で30分間熱処理前後の
側面部の剥離状態を超音波試験により測定した。加工性
の判定は剥離部の面積比率で行った。 ○;剥離面積10%未満 △;剥離面積10〜50% ×;剥離面積50%以上
【0013】実施例 1〜7 表1に記載したポリエステル樹脂(実1〜実7)100
部をシクロヘキサノン/キシレン=1/1溶液に溶解
し、固形分濃度40wt%にして、さらに酸無水物とし
てベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTD
A)を4部、エポキシ樹脂として東都化成社製エピビス
型エポキシ樹脂(エポトート YD8125)を20
部、エポキシ環の開環反応触媒としてトリフェニルホス
フィン0.4部を配合した。この溶液を0.5mm厚の
燐酸塩処理鋼板に乾燥後の厚みで20μmになるように
塗布し180℃で2分間熱風乾燥後、塗布面同士を重ね
合わせ180℃で30秒間圧着した。得られた積層物の
評価結果を表3に示す。
【0014】実施例 8,9 表1に記載したポリエステル樹脂(実1、実5)100
部をシクロヘキサノン/キシレン=1/1溶液に溶解
し、固形分濃度40wt%にして、さらにポリイソシア
ネート化合物として日本ポリウレタン社製芳香族型ポリ
イソシアネート化合物(コロネートL)を10部配合し
た。これを元にして得られた積層物の評価結果を表3に
示す。
【0015】実施例 10,11 表1に記載したポリエステル樹脂(実1、実5)100
部をシクロヘキサノン/キシレン=1/1溶液に溶解
し、固形分濃度40wt%にして、さらにメラミン化合
物として三井サイアナミッド社製メチル化メラミン化合
物(サイメル303)を10部、触媒としてパラトルエ
ンスルホン酸を0.05部を加えた。これを元にして得
られた積層物の評価結果を表3に示す。
【0016】実施例 12,13 表1に記載したポリエステル樹脂(実1、実5)100
部をシクロヘキサノン/キシレン=1/1溶液に溶解
し、固形分濃度40wt%にして、さらにアクリレート
化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート
(TMPA)を10部、触媒としてベンゾイルパーオキ
サイド(BPO)を1部加えた。これを元にして得られ
た積層物の評価結果を表3に示す。
【0017】比較例 表2に記載したポリエステル樹脂(比1〜比5)はいず
れもダイマー酸を用いないポリエステル樹脂である。こ
れらを用いて同様に試作した積層物の評価結果を表4に
示す。
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】
【発明の効果】実施例、比較例から明らかなように本発
明の制振材料用粘弾性樹脂及び組成物を用いた複層構造
の制振材料は制振性のピーク値が高く、かつ広い温度範
囲での制振性能が優れるだけでなく接着力、加工性、耐
熱性にも優れている。これらの効果はダイマー酸をポリ
エステル樹脂の原料として使用することにより得られる
比重の低さ(バルキーさ)に起因すると考えられる。
フロントページの続き (72)発明者 中村 匡徳 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 八塚 剛志 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 門脇 伸生 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 遠藤 紘 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平4−103657(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分の90〜30モル%が
    芳香族ジカルボン酸、10〜70モル%がダイマー酸あ
    るいは水添ダイマー酸であり、グリコール成分の30モ
    ル%以上が側鎖にアルキル基を有する炭素数3以上のグ
    リコールであり、ガラス転移温度が−60℃〜40℃で
    ある非晶性ポリエステル樹脂である制振材料用粘弾性樹
    脂。
  2. 【請求項2】 グリコール成分としてダイマー酸の還元
    物を用い、ジカルボン酸成分の30モル%以上が芳香族
    ジカルボン酸であり、ガラス転移温度が−60℃〜40
    ℃である非晶性ポリエステル樹脂である制振材料用粘弾
    性樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2の非晶性ポリエ
    ステルに架橋剤を配合することを特徴とする制振材料用
    粘弾性樹脂組成物。
JP14284993A 1993-05-21 1993-05-21 制振材料用粘弾性樹脂及び組成物 Expired - Lifetime JP3263698B2 (ja)

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