JP2004189817A - 制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板 - Google Patents

制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板 Download PDF

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Abstract

【課題】常温から80℃程度の高温までの広い温度範囲において、高い制振性能と接着性能を有する制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が10〜75℃であるポリエステル樹脂(A)およびガラス転移温度が−40〜10℃であるポリエステル樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対するポリエステル樹脂(A)の配合割合が10〜60質量%であり、このポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分の20〜70モル%が下式(1)
【化1】
Figure 2004189817

(上式(1)において、Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、m及びnは各々2≦n+m≦10を満足する1以上の整数である。)で示されるビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物であることを特徴とする制振板用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振板用樹脂組成物およびこれを用いる制振板に関し、例えば、自動車業界、土木建築業界、電気電子業界等において制振性を必要とする部品・部材等に適用することができる制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板に関するものである。
【0002】
具体的には、自動車のオイルパン、ボディー回りのダッシュパネル、フロアーパネル、ルーフパネル等の自動車部品、また、階段・ドア・床材などの建材、鉄道車両用窓きせ・腰きせ・天井板等の内装材等の土木建築部材、さらに、小型モ−ターや各種ユニットのカバー、コンピューター電子部品のハードディスクカバー、シャーシ、筐体等の電気電子部品に適用できるものである。
【0003】
【従来の技術】
制振板は、通常2枚の金属板の間に粘弾性樹脂からなる中間樹脂層を介在させた制振金属板である。この制振金属板は、金属板に加えられる振動を中間樹脂層が熱エネルギ−に変換して制振作用を発現するものであり、騒音、振動防止板として注目されている。
【0004】
制振金属板に要求される主な性能は、使用温度において高い制振性能と、成形加工時に加わる外力に耐える高い接着性能および脱脂工程で中間樹脂層が膨潤したり溶解したりしない為の耐溶剤性能を有することであるが、一般に、制振性能と接着性能は相反する関係にあり、これらの性能を共に高い水準とすることは容易なことではない。制振性能は、ある温度域で最大となり、それより低温域或いは高温域では制振性能が低下する。制振性能を発揮できる温度範囲が狭い制振金属板は、使用される温度が変化すると性能が低下したり、使用される温度毎に制振金属板を揃える必要がある。
【0005】
従来、このような制振金属板の第1の例が以下の公開特許公報に開示されている。すなわち、制振金属板の中間樹脂層の粘弾性樹脂として、ポリウレタン(特許文献1参照)、ポリエステル単体(特許文献2参照)あるいはポリエステルに可塑剤を添加したもの(特許文献3参照)、複数のポリエステルを組み合わせたもの(特許文献4、5参照)、ポリアミド単体(特許文献6参照)、ポリイソブチレン(特許文献7参照)、エチレン−酢酸ビニル共重合体単体(特許文献8参照)、ポリビニルアセタール(特許文献9参照)等が開示されている。
【0006】
一方、第2の例として、制振温度域を拡大するためには,制振性能を発揮する温度が異なる複数の樹脂を使用することが検討されており、例えば、ポリエステル/ポリオレフィン/ポリエステルの3層構造(特許文献10参照)、フィルム成形能樹脂/粘弾性樹脂/フィルム成形能樹脂の多層構造(特許文献11参照)などでは、粘弾性特性の異なる複数の樹脂を積層して多層フィルムとし、これを中間樹脂層とした複合型制振金属板が開示されている。
【0007】
また、第3の例として、粘弾性特性の温度依存性が異なり、互いに相溶しない樹脂を混合して得た樹脂を中間樹脂層とした複合型制振金属板が開示されている(特許文献12、13、14参照)。
【0008】
また、第4の例として、ガラス転移温度が−10℃以下のポリエステル樹脂と、ガラス転移温度が0℃以上のポリエステル樹脂およびポリイソシアネートの混合からなる制振鋼板用樹脂組成物が開示されている(特許文献15参照)。
【0009】
また、第5の例として、ガラス転移温度が−60℃〜0℃のダイマー酸を共重合したポリエステル樹脂と、ガラス転移温度が0℃〜80℃の非晶質ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、分子量1000以上のエポキシ樹脂から選ばれる樹脂からなる貼付け型制振金属板用粘弾性樹脂組成物が開示されている(特許文献16参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開昭47−19277号公報
【特許文献2】
特開昭50−143880号公報
【特許文献3】
特開昭51−93770号公報
【特許文献4】
特開昭62−295949号公報
【特許文献5】
特開昭63−202446号公報
【特許文献6】
特開昭51−79146号公報
【特許文献7】
特開昭54−43251号公報
【特許文献8】
特開昭57−34949号公報
【特許文献9】
特開昭60−38149号公報
【特許文献10】
特開昭61−89841号公報
【特許文献11】
特開昭63−56446号公報
【特許文献12】
特開昭60−258262号公報
【特許文献13】
特開昭61−28551号公報
【特許文献14】
特開昭61−28553号公報
【特許文献15】
特開平4−202316号公報
【特許文献16】
特開平6−16913号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の第1の例では、開示された粘弾性樹脂の制振性能を発揮する温度域が狭く、また、ポリイソブチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタールは、常温での凝集力や金属への密着力が弱いため接着強度が低くなってしまう。
【0012】
また、第2の例では、フィルム同士のブロッキングが無くなり、取り扱いが容易になる。また、これらの制振金属板の制振性能は、低ガラス転移温度の樹脂層が制振性能を発現する温度域を中心に比較的広い温度範囲において良好ではある。しかしながら、多層構造であるため、高温域では、最も低いガラス転移温度の樹脂層部分が軟化し、高ガラス転移温度の樹脂が拘束されないため、十分な制振性能が得られない。
【0013】
また、第3の例に記載されている中間樹脂層は、60℃〜100℃の比較的高温度域での制振性を向上させることが目的であって、常温から高温までの広い温度範囲において制振性能を発揮できない。
【0014】
また、第4の例の樹脂組成物は、相分離現象の再現性が乏しく、相分離した分離相の大きさが不揃いであり、比較的小さな分離相が多いという特徴がある。このことは制振性能を安定に発揮しにくいことにつながり、改善の余地がある。
【0015】
また、第5の例のように貼付け型にする場合には、必然的に常温において軟質な粘弾性樹脂を中間樹脂層に用いる必要があるが、その場合には、接着性能が低いものとなり、複合型制振金属板の用途が限定されてしまう。
【0016】
そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたものであり、その目的とするところは、常温から80℃程度の高温までの広い温度範囲において、高い制振性能と接着性能を有する制振板用樹脂組成物およびこれを用いた制振板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガラス転移温度が10〜75℃であるポリエステル樹脂(A)およびガラス転移温度が−40〜10℃であるポリエステル樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対するポリエステル樹脂(A)の配合割合が10〜60質量%であり、このポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分の20〜70モル%が下式(1)
【0018】
【化2】
Figure 2004189817
【0019】
(上式(1)において、Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、mおよびnは各々2≦n+m≦10を満足する1以上の整数である。)で示されるビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物である制振板用樹脂組成物として構成したものである。
【0020】
また、前記ポリエステル樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)値(以下、SP値と称す)と、ポリエステル樹脂(B)のSP値との差が0.6〜2.5である制振板用樹脂組成物として構成したものである。
【0021】
前記構成により、ガラス転移温度の高いポリエステル樹脂(A)とガラス転移温度の低いポリエステル樹脂(B)とが縞状または海島状に相分離し、各々のポリエステル樹脂が持つ高い制振特性が、各々のガラス転移温度に応じた温度領域で発揮される。また、ポリエステル樹脂(A)が樹脂組成物において均一に分散し、樹脂組成物全体の凝集力が高まる。また、ポリエステル樹脂(A)の構成単量体として前記の化学式(1)の特定のモノマーを用いることで樹脂組成物が再現性よく相分離する。さらに、ポリエステル樹脂(A)および(B)のSP値の差を特定範囲にすることで、安定した相分離構造が形成される。
【0022】
また、本発明は、前記樹脂組成物が前記ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)と反応する少なくとも1種以上の2官能以上のポリイソシアネートからなる硬化剤を含有し、この硬化剤の全NCO基の30当量%以上が3官能以上のポリイソシアネートに由来する制振板用樹脂組成物として構成したものである。また、前記ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)に由来する水酸基価の合計と、前記ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基価の当量比([NCO]/[OH])が1〜7である制振板用樹脂組成物として構成したものである。
【0023】
前記構成において、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)と反応する硬化剤を含有することにより、ポリエステルとポリイソシアネートとの架橋構造が形成され、樹脂組成物が高温に加熱されても熱劣化が生じず、後記する制振材との結合が強固になる。
【0024】
さらに、本発明は、少なくとも2枚の制振材の間に、前記の制振板用樹脂組成物からなる中間樹脂層を介在させ、前記制振材と中間樹脂層が積層してなる制振板として構成したものである。また、前記中間樹脂層における厚み方向の断面において、相分離した分離相の厚み方向の平均長が中間樹脂層の厚さに対する比率として0.1〜1である制振板として構成したものである。
【0025】
前記構成において、中間樹脂層を介して制振材が積層されることにより、制振材に加えられる振動が中間樹脂層で熱エネルギーに変換されて制振作用が発現する。また、中間樹脂層における相分離した分離層の厚み方向の平均長が特定されることにより、比較的大きな分離相が中間樹脂層内で均一に分散する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の第1の発明の制振板用樹脂組成物は、ガラス転移温度が高いポリエステル樹脂(A)およびガラス転移温度が低いポリエステル樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、このポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分にビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を含有している。また、前記樹脂組成物が、前記ポリエステル樹脂(A)またはポリエステル樹脂(B)と反応する硬化剤を含有する。
【0027】
(1−1)ポリエステル樹脂(A)
本発明におけるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は10〜75℃の範囲にあり、より好ましくは、20〜65℃の範囲にある。10℃未満や75℃を超えると、実用上必要な40℃〜80℃下での制振性能が低下する。
【0028】
質量平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は、5,000以上100,000以下が好ましく、より好ましくは、10,000以上80,000以下である。質量平均分子量が5,000より小さいときは、凝集力に欠け、接着強度、特に、高温での接着強度が低下したり、また、質量平均分子量が100,000より大きいときは、塗工時の溶液粘度が高くなり、塗工できなかったり、生産速度が著しく低下したりするなどの恐れがある。
【0029】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分の20〜70モル%が下式(1)
【0030】
【化3】
Figure 2004189817
【0031】
(上式(1)において、Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、mおよびnは各々2≦n+m≦10を満足する1以上の整数である。)で示されるビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物である。20モル%未満や70モル%を超えると、ポリエステル樹脂(A)と後記するポリエステル樹脂(B)との相分離の再現性が悪くなる。
【0032】
好ましいビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシブチレンビスフェノールAエーテルが例示される。
【0033】
ポリエステル樹脂(A)のカルボン酸成分に特に制限はなく、好ましい例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、α−ナフタレンジカルボン酸、β−ナフタレンジカルボン酸、および、そのエステル形成体等の芳香族二塩基性酸、また、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ウンデシレン酸、ドデカン二酸、および、そのエステル形成体等の脂肪族二塩基性酸、また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式二塩基性酸である。
【0034】
また、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸も後記する硬化剤との反応性を高めるため、ポリエステル合成時のゲル化や接着強度を損なわない範囲内で併用することが可能であり、全カルボン酸成分に対して5モル%以下の範囲で使用することができる。
【0035】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)を構成するビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物以外のポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルプロパンジオール,ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2エチル−1,3プロパンジオール,3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、また、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式グリコールが挙げられる。また、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールも全ポリオール成分に対し、5モル%以下の範囲で使用することができる。
【0036】
そして、上記ポリオールの中で、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2エチル−1,3プロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチルペンタンジオールが特に好ましい。
【0037】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、高い制振性能を発揮させるためには、非晶質であるものが好ましい。ポリエステル樹脂(A)の結晶性は、示差走査型熱量計により測定される主たる吸熱ピークの融解熱量で容易に判断でき、融解熱が5mJ/mg以下の場合に非晶質性と判断する。
【0038】
(1−2)ポリエステル樹脂(B)
本発明におけるポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は、−40〜10℃の範囲であり、より好ましくは、−30〜0℃の範囲である。−40℃未満では、樹脂の弾性率が低下し、接着強度が得られない。また、10℃を超えると、制振性能が低下する。
【0039】
質量平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は、5,000以上100,000以下が好ましく、より好ましくは、10,000以上80,000以下である。質量平均分子量が5,000より小さいときは、凝集力に欠け、接着強度が低下したり、また、質量平均分子量が100,000より大きいときは、塗工時の溶液粘度が高くなり、塗工できなかったり、生産速度が著しく低下したりするなどの恐れがある。
【0040】
ポリエステル樹脂(B)のカルボン酸成分に特に制限はなく、好ましい例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、α−ナフタレンジカルボン酸、β−ナフタレンジカルボン酸、および、そのエステル形成体等の芳香族二塩基性酸、また、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ウンデシレン酸、ドデカン二酸、および、そのエステル形成体等の脂肪族二塩基性酸、また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式二塩基性酸である。
【0041】
また、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸も後記する硬化剤との反応性を高めるため、ポリエステル合成時のゲル化や接着強度を損なわない範囲内で併用することが可能であり、全カルボン酸成分に対して5モル%以下の範囲で使用することができる。
【0042】
本発明におけるポリエステル樹脂(B)を構成する好ましいポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、また、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式グリコールがある。また、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールも全ポリオール成分に対し、5モル%以下の範囲で使用することができる。
【0043】
上記のポリオールの中で、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチルペンタンジオールがより好ましい。
【0044】
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、高い制振性能を発揮させるためには、非晶質であるものが好ましい。ポリエステル樹脂(B)の結晶性は、示差走査型熱量計により測定される主たる吸熱ピークの融解熱量で容易に判断でき、融解熱が5mJ/mg以下の場合に非晶質性と判断する。
【0045】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)および(B)は、通常の方法により製造される。例えば、原料および触媒を仕込み、生成物の融点以上の温度で加熱する溶融重合法、生成物の融点以下で重合する固相重合法、溶媒を使用する溶液重合法などがあり、本発明の目的に沿う適度な重合度のポリエステル樹脂を得るため、および経済性の面から、溶融重合法が好ましく、エステル交換法や直接エステル化法により製造できる。
【0046】
(1―3)樹脂組成物(後記する制振板の中間樹脂層に相当する)
本発明の樹脂組成物において、ポリエステル樹脂(A)の配合割合は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜40質量%である。上記の配合割合とすることにより、常温を含めた広い温度範囲で優れた制振性能を発揮させることができる。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、相分離しており、この相分離の構造は、通常、縞状および/または海島状である。縞状は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)が線状あるいは帯状に、交互に配されている状態であり、海島状は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)のいずれか一方の樹脂が連続相をなし、この連続相の中に島状に他方の樹脂が存在している状態である。縞状および/または海島状に配されているポリエステル樹脂が均一に分散されていることが好ましい。この相分離により、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)が持つ高い制振特性が各々のガラス転移温度に応じた温度範囲で発揮され、常温を含めた広い温度範囲で優れた制振性能が発揮される。また、ガラス転移温度の高いポリエステル樹脂(A)が樹脂組成物中で均一に分散することにより、樹脂組成物全体の凝集力が高まり、良好な接着性能が発揮される。
【0048】
本発明の樹脂組成物であれば、安定して相分離するが、より良好な相分離構造を得るためには、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を各々異なるSP値を有する樹脂となるように設計し、そのSP値の差が0.6〜2.5となる組み合わせで混合すると安定した海島状の相分離構造を形成させることができる。
【0049】
SP値は、モノマー組成から計算で得られる値でもよく、例えば、奴間らの提唱した以下の数式(1)にFedorsらが算出したei(繰り返し単位当たりの蒸発エネルギー)およびυI(繰り返し単位当たりの容積)を用いることでSP値を計算で求めることができる(色材協会年次大会講演要旨集1987年)。
【0050】
【数1】
Figure 2004189817
【0051】
δ :SP値
ei:繰り返し単位当たりの蒸発エネルギー
υI:繰り返し単位当たりの容積
【0052】
(添加剤)
本発明の樹脂組成物には、接着性を高める目的で、添加剤を配合してもよい。好ましい添加剤としては、本発明で用いる樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ロジン樹脂,変性ロジン、ガムロジン、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂,テルペン樹脂等がある。
【0053】
また、必要に応じて各種のカップリング剤、安定剤、充填剤、可塑剤を性能を損なわない範囲で使用できる。これらの添加剤は本発明の特徴をさらに向上させる場合があり、用途に応じて適宜使用することが可能である。
【0054】
好ましいカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル−トリ(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。この中で好ましいものは、エポキシ基含有有機アルコキシシランである。好ましい配合量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部である。0.1質量部未満であると、接着耐久性、特に、耐水性が低下する恐れがあり、逆に、5質量部を越えるときは、混合後の安定性に問題が生じる場合がある。
【0055】
好ましい安定剤としては、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤や加水分解防止剤等がある。また、好ましい充填剤(材)としては、無機充填剤(材)が好適であり、具体的には、炭酸カルシウム,マイカ,タルク,各種の無機質ウィスカやファイバ等がある。そして、金属フィラ−などの導電性充填材を配合することにより、後記する制振板において、制振板用樹脂組成物からなる中間樹脂層を介して積層される制振材にスポット溶接性を付与することができる。また、好ましい可塑剤としては、フタル酸、混合フタル酸、脂肪族二塩基酸、グリコール、脂肪酸、リン酸およびステアリン酸エステルを含むエステル類で構成される可塑剤、エポキシ可塑剤、その他のプラスチック用可塑剤等がある。
【0056】
(溶剤)
本発明の樹脂組成物は、通常、溶剤に溶解して使用される。
ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を溶解する溶剤の溶解性パラメータ(SP)値(以下、SP値とする)が8〜11の範囲にあることが好ましい。SP値が8未満または11より大きいと、本発明におけるポリエステル樹脂を溶解することができない。より望ましいSP値は、8.5〜10である。
【0057】
好ましい溶剤は、MIBK(SP値8.4)、ソルベッソ100(SP値8.5)、セロソルブアセテート(SP値8.7)、キシレン(SP値8.8)、トルエン(SP値8.9)、酢酸エチル(SP値9.1)、メチルエチルケトン(SP値9.3)、テトラヒドロフラン(SP値9.8)、シクロヘキサノン(SP値9.9)、アセトン(SP値10.0)等である。また、2種類以上の溶剤を混合して使用しても良い。溶剤個々のSP値が8未満または11より大きい溶剤を複数組み合わせることで、SP値が8〜11となるようにした混合溶剤を使用しても良い。
【0058】
(硬化剤)
本発明の樹脂組成物において、前記のポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)からなる混合物に、更にこれらのポリエステル樹脂と反応するポリイソシアネートを1種以上配合することが好ましい。
【0059】
ポリイソシアネートを配合することにより、本発明の組成物の接着性、耐熱性、耐久性、耐溶剤性および耐加水分解性を向上させることができる。これは、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの架橋構造が形成されることから、高温に加熱した後でも熱劣化、被着体(後記する制振板における制振材)との剥離もなく、耐熱性が向上するからである。
【0060】
好ましいポリイソシアネ−トとしては、脂肪族系、脂環族系あるいは芳香族系の1分子当たり2官能以上のポリイソシアネ−トであり、耐溶剤性,接着性および耐熱性を向上させる目的には、全NCO基の30当量%以上が3官能以上のポリイソシアネートに由来するものである。
【0061】
ポリエステル樹脂と反応する硬化剤の好ましい配合量は、制振性、耐熱性、接着性等のバランスを考慮すると、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)に由来する水酸基価の合計とポリイソシアネートに由来するイソシアネート基価の当量比([NCO]/[OH])が1〜7であるように制御することが好ましい。1未満では、架橋構造が得られず、耐熱性、耐溶剤性、耐久性、接着性やプレス加工性が低下する恐れがあり、7を超えると、架橋密度が高くなり過ぎ、制振性が低下する恐れがある。
【0062】
次に、本発明の第2の発明の制振板は、少なくとも2枚の制振材の間に、前記制振板用樹脂組成物からなる中間樹脂層を介在させ、前記制振材と中間樹脂層が積層してなる。また、前記中間樹脂層における厚み方向の断面において、相分離した分離相の厚み方向の平均長が中間樹脂層の厚さに対する比率として0.1〜1である。
【0063】
(2−1)制振材
本発明の制振板を構成する板状の制振材は金属板が好ましい。金属板としては、冷間圧延鋼板やクロメート処理鋼板、亜鉛系めっき鋼板、リン酸塩処理鋼板等の表面処理鋼板、さらに銅板、アルミ板、ステンレス板、チタン板であっても良い。また、形状もコイル状、切り板状のいずれでも良い。金属板の板厚は、成形加工性能や保形性を考慮すれば、通常0.2〜2mm程度が好ましい。また、金属板以外の材料、例えば、プラスッチク板も使用できる。
【0064】
(2−2)中間樹脂層(前記する樹脂組成物に相当する)
本発明における中間樹脂層は、前記制振材に塗布等して形成された際に安定した相分離構造を形成する。その好ましい厚さは、通常、塗布等される1枚の制振材の厚さの1/50〜1/5であり、より好ましくは、20〜150μmとなる厚さである。20μm未満の場合、制振性能や接着性能が低下し、また150μmを越える場合、成形加工時の金属板のずれや割れの原因となることがある。
【0065】
中間樹脂層の相分離は、比較的大きな分離相が均一に分散した構造を有することが特徴であり、それは中間樹脂層における厚み方向の断面構造から明らかとなる。即ち、中間樹脂層における厚み方向の断面において、相分離した分離相の厚み方向の平均長が中間樹脂層の厚さに対する比率として0.1〜1であり、好ましくは0.5〜1である。上記の比率が0.1未満の場合、本発明の組成物が広範囲の温度領域で制振性能を十分に発揮できない恐れがある。そして、平面方向(制振材への塗布方向)においても、その全域において分離相が均一に分散されている。
【0066】
(2―3)制振板の製造方法
本発明における中間樹脂層を制振材と積層する方法は、常法でよく、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)、または両樹脂と硬化剤を含有する液またはフイルムを用いることができる。
【0067】
上記の液を調製する方法に制限はなく、例えば、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を各々別々の溶媒に溶解して樹脂溶液を調製し混合する方法、また、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を1つの溶剤に溶解して樹脂溶液を調製する方法、また、ポリエステル樹脂(B)を予め溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、粉末状にしたポリエステル樹脂(A)を前記樹脂溶液に分散する方法等がある。また、硬化剤を配合する際には、ポリエステル樹脂(A)および(B)が含有された樹脂溶液に配合する。
【0068】
中間樹脂層を制振材に積層する好ましい方法として、本発明の樹脂組成物を含有する樹脂溶液を制振材に塗布して中間樹脂層とし、溶媒乾燥後に中間樹脂層を介して制振材を積層接着する方法、また、本発明の樹脂組成物から調製した粘弾性樹脂を加熱溶融して制振材に塗布して中間樹脂層とし、中間樹脂層を介して制振材を積層接着する方法、また、本発明の樹脂組成物から調製した粘弾性樹脂を予め成形してフィルム化し、これを制振材で挟持する方法等がある。
【0069】
また、中間樹脂層は安定した相分離構造を形成するため、前記した長時間溶融状態に保持しながら制振材に塗布する操作を連続的に続けた場合であっても、制振材に塗布された中間樹脂層における相分離構造はほぼ一定であり、その結果制振板において所望の制振性能を安定して発揮させることができる。
【0070】
【実施例】
以下本発明を実施例と比較例に基づいて更に具体的に説明する。
なお、実施例等の説明に先立ち、以下の記載における物性値の測定方法および評価方法について述べる。
【0071】
[ポリエステル樹脂の物性]
(1)分子量:GPCにより測定し、ポリスチレン換算値で表した。
(2)ガラス転移温度:示差走査型熱量計により、階段状変化部分の低温側の変曲点の温度をガラス転移温度とした。
(3)水酸基価:JIS−K−0070に準じて溶剤にベンジルアルコールを使用して測定した。
(4)SP値:実施例にあるポリエステル樹脂のSP値は、モノマーの組成より、奴間らの提唱した以下の数式(1)にFedorsらが算出した表1のei(繰り返し単位当たりの蒸発エネルギー)およびυI(繰り返し単位当たりの容積)を用いて算出した。
【0072】
【数2】
Figure 2004189817
【0073】
δ :SP値
ei:繰り返し単位当たりの蒸発エネルギー
υI:繰り返し単位当たりの容積
【0074】
【表1】
Figure 2004189817
【0075】
[制振板の評価]
(1)損失係数
制振板を幅20mm×長さ200mmに切断してテストピースを作製した。そのテストピースについて、Brueel & Kjaer社製複素弾性係数測定装置を用い共振法により測定温度20℃,40℃,60℃,80℃での1500Hz付近の共振ピークでの損失係数を測定した。表4、5に示した数値は、数値が大きいほど制振性能が良いことを表している。
【0076】
(2)接着性能
・剥離接着強さ
制振板を幅25mm、長さ100mmに切断してテストピースを作製した。そのテストピースについて、温度23℃、引張り速度100mm/分での剥離接着強さを測定した。なお、測定した制振板は、40℃加熱放置2日間の状態に置いたものを使用した。
【0077】
・剪断接着強さ
制振板を25mm×25mmに切断してテストピースを作製した。そのテストピースについて、温度23℃、引張り速度5mm/minでの剪断断強さを測定した。なお、測定した制振板は、40℃加熱放置2日間の状態に置いたものを使用した。
【0078】
(3)相分離構造の観察
損失係数を測定後のテストピースについて、その厚み方向の断面を実体顕微鏡(倍率×100)で観察し、中間樹脂層における分離相の厚み方向の平均長を、中間樹脂層の厚みを1としたときの比率で算出した。
【0079】
(4)耐溶剤性試験
損失係数を測定後のテストピースを40℃のメチルエチルケトン溶液に浸漬し、60分加熱後に取り出しエッジ部分を観察し、膨潤による中間樹脂層のはみ出しの有無を目視で観察した。表4、5において、はみ出しがない場合を「○」と表示し、はみ出しが有る場合を「×」と表示した。
【0080】
次に、実施例等で使用するポリエステル樹脂の合成例について述べる。
(1)ポリエステル樹脂(A)の合成
撹拌装置、窒素導入管、留出管、温度計を備えた反応容器に、テレフタル酸ジメチル0.55モル、エチレングリコール0.89モル、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール0.4モル、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物0.2モルおよび触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.2×10−2モルを仕込み、窒素を導入しながら昇温し、150〜180℃でメタノールを留出させた後、イソフタル酸0.45モルを加えて、180〜240℃で水を留出させた後、引き続き、徐々に減圧しながら、250℃で1.33×10Pa(1mmHg)の減圧下で4時間反応を続けた。得られたポリエステル樹脂は、質量平均分子量55,000、ガラス転移点42℃であった。
【0081】
NMR分析によるモノマー組成は、モル比でテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/2,4−ジエチル−1,5ペンタンジール/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物=55/45/40/40/20であった。これをポリエステル樹脂(A)A1とする。同様な方法で表2記載のポリエステル樹脂(A)A2〜A4を得た。
【0082】
(2)ポリエステル樹脂(B)の合成
前記ポリエステル樹脂(A)A1と同様な方法で表2記載のポリエステル樹脂(B)B1、B2を得た。すなわち、全ての原料を仕込み、180〜240℃で水を留出させた後、引き続き、徐々に減圧しながら、250℃で1.33×10Pa(1mmHg)の減圧下で4時間反応を続けポリエステル樹脂(B)を得た。
【0083】
(3)ポリエステル樹脂(C)の合成(ポリエステル樹脂(A)の比較対象例)
ポリエステル樹脂(A)の比較対象例としてポリエステル樹脂(C)C1〜C3を前記A1と同様に合成し、表3に記載した。
【0084】
【表2】
Figure 2004189817
【0085】
【表3】
Figure 2004189817
【0086】
(実施例1)
前記ポリエステル樹脂(A)A1、ポリエステル樹脂(B)B1を各々キシレン/シクロヘキサノン=7/3に固形分濃度が40%となるように溶解した。A1溶液50質量部とB1溶液50質量部および硬化剤としてコロネート(登録商標)L(日本ポリウレタン工業社製ポリイソシアネート)を[NCO]/[OH]=3となる様に4.5質量部配合し、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液をバーコーターを使用し、2枚のアルミニウム板(肉厚0.5mm)の片面に所定の樹脂膜厚(例えば、50μm)になるように塗布し、塗付後150℃×3分で溶剤を留去した。その後、2枚のアルミニウム板の樹脂溶液の塗布面同士を重ね、熱プレスで200℃×90秒×20kg/cmで加熱接着を行なった。その後40℃加熱放置5日間の状態に置いたものを室温に冷却して、2枚のアルミニウム板と中間樹脂層が積層した制振板(テストピース)を作製した。その制振板(テストピース)の損失係数、接着性能を測定し、また、損失係数測定後の制振板(テストピース)を用いて、中間樹脂層の相分離構造、耐溶剤性について評価した。その結果を中間樹脂層の硬化物組成、物性値と共に表4に示した。
【0087】
(実施例2〜6)
実施例1と同様の方法で表4に記載した配合組成で各種樹脂溶液を調製して制振板(テストピース)を作製し、同様に測定、評価を行なった。その結果を表4に示した。
【0088】
【表4】
Figure 2004189817
【0089】
実施例1〜6は、どれも幅広い温度域で高い制振性能を示し、また、接着性能、相分離構造、耐溶剤性も良好であった。
【0090】
(比較例1〜6)
実施例1と同様に表3に記載したポリエステル樹脂(C)C1〜C3をキシレン/シクロヘキサノン=7/3に溶解し、表5に記載した配合組成で樹脂溶液を調製して制振板(テストピース)を作製し、実施例と同様の評価を行なった。その結果を表5に示した。
【0091】
【表5】
Figure 2004189817
【0092】
比較例1は、実施例1の組成でポリエステル樹脂(A)の配合比を本発明の範囲から外した場合の例であり、20℃〜60℃の温度域での制振性能が低く、剥離接着強さが低い。
【0093】
比較例2は、実施例1で使用したポリエステル樹脂(A)A1の共重合成分であるビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をエチレングリコールに変更したポリエステル樹脂(C)C1を使用した場合の例であり、制振温度域が狭い。中間樹脂層における相分離の分離相は極めて微細であり、中間樹脂層は白濁していた。
【0094】
比較例3は、実施例4に記載のポリエステル樹脂(A)A2の共重合成分であるビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をネオペンチルグリコールに変更したポリエステル樹脂(C)C2を使用し、更に硬化剤に2.2官能イソシアネート(2官能型と3官能型の混合物であり、1分子当たりのイソシアネート基の割合が2.2となるもの)を使用した場合の例であり(但し、エチレングリコールとネオペンチルグルコールの組成値は、A2とC2において、5%異なっている。)、制振温度域が狭く、剥離接着強さが低く、耐溶剤性が劣る。中間樹脂層において相分離は起こらなかった。
【0095】
比較例4は、ポリエステル樹脂(A)A4の共重合成分であるビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物をビスフェノールAに変更したポリエステル樹脂(C)C3を使用した場合の例であり(但し、A4とC3において、イソフタル酸と無水フタル酸の組成比、ネオペンチルグリコールと2−エチル−2−ブチルプロパンジオールの組成比が異なっている。)、制振性能が低く、接着性能が低い。中間樹脂層は相分離するが不均一であった。
【0096】
比較例5は、ポリエステル樹脂(A)をブレンドしない、ポリエステル樹脂(B)のみを使用した場合の例であり、20℃、60℃,80℃での損失係数が低い。中間樹脂層において相分離は起こらなかった。
【0097】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の制振板用樹脂組成物が、ガラス転移温度が10〜75℃であるポリエステル樹脂(A)およびガラス転移温度が−40〜10℃であるポリエステル樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、このポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分の20〜70モル%がビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物である、また、前記ポリエステル樹脂(A)またはポリエステル樹脂(B)と反応する硬化剤を含有することにより、常温から80℃程度の高温までの広い温度範囲において、高い制振性能と接着性能を有することができ、さらに、耐熱性、耐久性、耐溶剤性および耐加水分解性を向上することができた。
【0098】
また、本発明の制振板が、前記樹脂組成物から得られる中間樹脂層を介して制振材を積層したことにより、常温から80℃程度の高温までの広い温度範囲において、高い制振性能と接着性能を有することができた。

Claims (6)

  1. ガラス転移温度が10〜75℃であるポリエステル樹脂(A)およびガラス転移温度が−40〜10℃であるポリエステル樹脂(B)を含有する樹脂組成物であって、
    前記ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量に対するポリエステル樹脂(A)の配合割合が10〜60質量%であり、このポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分の20〜70モル%が下式(1)
    Figure 2004189817
    (上式(1)において、Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、mおよびnは各々2≦n+m≦10を満足する1以上の整数である。)で示されるビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物であることを特徴とする制振板用樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)値と、ポリエステル樹脂(B)の溶解性パラメータ(SP)値との差が0.6〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載の制振板用樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物が前記ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)と反応する少なくとも1種以上の2官能以上のポリイソシアネートからなる硬化剤を含有し、この硬化剤の全NCO基の30当量%以上が3官能以上のポリイソシアネートに由来することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振板用樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)に由来する水酸基価の合計と、前記ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基価の当量比([NCO]/[OH])が1〜7であることを特徴とする請求項3に記載の制振板用樹脂組成物。
  5. 少なくとも2枚の制振材の間に、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の制振板用樹脂組成物からなる中間樹脂層を介在させ、前記制振材と中間樹脂層が積層してなることを特徴とする制振板。
  6. 前記中間樹脂層における厚み方向の断面において、相分離した分離相の厚み方向の平均長が中間樹脂層の厚さに対する比率として0.1〜1であることを特徴とする請求項5に記載の制振板。
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