JP2017128673A - フィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物 - Google Patents

フィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、フィルムラミネート缶の生産においてホログラム視認性、母型フィルム剥離性、耐熱性を兼ね備えたフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を提供することにある。【解決手段】数平均分子量5,000〜30,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度40〜90℃のポリエステル樹脂(A)を20〜50質量部、数平均分子量8,000〜50,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度−30〜20℃のポリエステル樹脂(B)を20〜50質量部、ポリイソシアネート樹脂(C)を5〜30質量部、及びシリコン変性アクリル樹脂(D)を1〜10質量部含有するフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、飲料缶などのフィルムラミネート缶に使用する積層フィルム内にホログラム
パターンを施すことを目的としたフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成
物に関する。
従来、印刷物には意匠性の付与を目的にホログラムパターンを施されたものが多数存在するが、飲料缶などの金属容器にこれが使用されている例は稀である。これは、ホログラムの視認性を確保させるために凹凸パターンを最表層に形成させる必要があるが、傷付き性に代表される高速生産性などの塗膜性能とホログラム視認性を持続的に確保することが困難な為である。
この対応としてフィルムラミネート缶に使用する積層フィルムにホログラムパターンを施す方法が検討されている。この手法としてはフィルム自体にホログラムパターンを形成させる場合があるが、コストが非常に高いことから、市販のフィルムに熱硬化型や紫外線硬化型の塗料(以下、ホログラム形成剤)を塗布し、ホログラムパターンが形成された母型フィルムと貼着して剥離することによりホログラムパターンを形成させ、母型フィルムを再利用する手法が検討されている。
このホログラム形成剤に要求される性能として、1)母型フィルムと貼着した際に速やかに硬化し、凹凸形状を保つこと(ホログラム視認性)、2)母型フィルムと容易に剥離すること(母型フィルム剥離性)、3)金属缶の製造工程に含まれる高温加熱処理、加圧熱水処理においてホログラム視認性が保たれること(耐熱性)が求められる。
この様なホログラム形成剤としてはアクリル樹脂に代表される光硬化型系の塗剤を使用する発明(特許文献1)や熱硬化型系の塗剤を使用する発明(特許文献2)などがあり、特許文献1にあたっては上述した視認性や剥離性をある程度満たし得るものである。しかし、光硬化型系の塗剤を使用する場合には既存の生産ラインに紫外線や電子線照射装置といった設備の増設が必要になることから、ユーザーからは熱硬化型の塗剤が求められている。一方、熱硬化型の塗剤では上述した視認性や剥離性などの性能を十分に満たすものは未だ発明されていない。
特開2008−156659号公報 特開2009−226682号公報
本発明の課題は、フィルムラミネート缶の生産においてホログラム視認性、母型フィルム剥離性、耐熱性を兼ね備えたフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を提供することにある。
本出願は一定範囲の特性値を持つポリエステル樹脂とポリイソシアネート樹脂を一定の比率で混合してホログラム視認性と耐熱性を保持させると共に、母型フィルムの剥離性としてシリコン変性アクリル樹脂を一定の添加量で使用することにより上述の必須性能を確保できるフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物である。
すなわち本発明は数平均分子量5,000〜30,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度40〜90℃のポリエステル樹脂(A)を20〜50質量部、数平均分子量8,000〜50,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度−30〜20℃のポリエステル樹脂(B)を20〜50質量部、ポリイソシアネート樹脂(C)を5〜30質量部、及びシリコン変性アクリル樹脂(D)を1〜10質量部含有することを特徴とするフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を提供する。
本発明は更に、前記ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、平均粒子径が2〜6μm、吸油量が100(ml/100g)以上である二酸化ケイ素(E)を0.1〜10質量部含有する請求項1に記載のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に関する。
本発明は更に上述したフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を、プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布し、塗布面を乾燥してなることを特徴とする積層フィルムに関する。
フィルムラミネート缶の生産において従来生産ラインを変更することなくホログラム視認性、母型フィルム剥離性、耐熱性を兼ね備えたフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を提供することができる。
本発明は、数平均分子量5,000〜30,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度40〜90℃のポリエステル樹脂(A)を20〜50質量部、数平均分子量8,000〜50,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度−30〜20℃のポリエステル樹脂(B)を20〜50質量部、ポリイソシアネート樹脂(C)を5〜30質量部、及びシリコン変性アクリル樹脂(D)を1〜10質量部含有することを特徴とするフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を提供することで目的とする本発明の効果を奏するものである。
まず、本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物で使用するポリエステル樹脂(A)としては、数平均分子量5,000〜30,000、重量平均分子量10,000〜100,000の両平均分子量条件を満たすものであり、且つガラス転移温度(Tg)40〜90℃の範囲のものが好ましく、数平均分子量10,000〜20,000、重量平均分子量40,000〜80,000、且つガラス転移温度(Tg)50〜80℃であればより好ましい。両平均分子量を下回ると製缶時の加工性が低下する傾向が見られ、反対に両平均分子量を上回ると塗工時の粘度が高すぎ、塗工適性が低下する傾向がある。またガラス転移温度(Tg)が40℃を下回ると耐熱性が低下する傾向が見られ、反対に90℃を上回ると母型フィルムとラミネートする時に塗剤が溶融軟化し難くなり、貼着性が低下する傾向がある。
一方のポリエステル樹脂(B)としては、数平均分子量8,000〜50,000、重量平均分子量10,000〜100,000の両平均分子量条件を満たすものであり、且つガラス転移温度(Tg)−30〜20℃の範囲のものが好ましく、数平均分子量15,000〜30,000、重量平均分子量30,000〜700,000、且つガラス転移温度(Tg)−20〜0℃であればより好ましい。両平均分子量を下回ると上述と同様に柔軟性の低下による加工性の低下傾向が見られ、反対に両平均分子量を上回ると塗工適性が低下する傾向となる。またガラス転移温度(Tg)が−30℃を下回るとフィルム巻取り時にブロッキングする傾向が見られ、反対に20℃を上回るとラミネート性が低下する傾向がある。
ポリエステル樹脂(A)、(B)共に、多塩基酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応させたものであればよい。
多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、などの1種以上の二塩基酸及び、これらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのニ価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することが出来る。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に用いるポリエステル樹脂(A)の市販品としては、例えば、東洋紡(株)社製のバイロン(VYLON)103、同200、同220、同226、同240、同245、同270、同280、同290、同296、同600、同660、同885、バイロン(VYLON)GK250、同360、同640、同780、同810、ユニチカ(株)社製エリーテル(ELITEL)UE−3500、同3200、同9200、同3201、同3203、同3600、同9600、同3660、同3210、同3215、同3216、同3620、同3240、同3250、同3370、同3380、同3350、同3300、東亞合成(株)社製アロンメルト(Aronmelt)PES−360、同316、SKケミカル社製スカイボン(SKYBON)ES−100、同110、同120、同160、同250、同403、同410、同420、同450、同460M、同600、同660、同710、同750、同850、同900M、同901、同910、同955などが挙げられる。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に用いるポリエステル樹脂(B)の市販品としては、例えば、東洋紡(株)社製のバイロン(VYLON)300、同500、同516、同550、同560、同630、同650、同670、バイロン(VYLON)GK130、同140、同150、同180、同190、同330、同590、同680、同890、バイロン(VYLON)BX−1001、ユニチカ(株)社製エリーテル(ELITEL)UE−3220、同3223、同3230、同3231、同3400、東亞合成(株)社製アロンメルト(Aronmelt)PES−310、同320、同340、同345、同380、同390、SKケミカル社製スカイボン(SKYBON)ES−215、同220、同300、同320、同350、同360、同360M、同365、同500、同510、同601、同906などが挙げられる。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に用いるポリイソシアネート樹脂(C)としては、一般的なものでよく、1モルのトリメチロールプロパンに3モルの有機ジイソシアネートを付加して得られるアダクト、3モルの有機ジイソシアネートに1モルの水を反応させて得られるビュレット、または3モルの有機ジイソシアネートの重合で得られるイソシアヌレート等の結合形態を有する多官能の有機ポリイソシアネートを使用し、又、ポリイソシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールまたは必要によりこれらと低分子ポリオールを反応させて得られるポリウレタンポリイソシアネート化合物を使用する。これらの例として、芳香族ポリイソシアネートとしては、2,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート若しくはその化合物)、4,4‘−トルイジンジイソシアネート、4,4’ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4−または2,4,4−)、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,3−または1,4−)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(−2,4−または−2,6−)、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
この市販品としては、住化バイエルウレタン社製、デスモジュール N75 MPA/X、同デスモジュール N3200、同スミジュール N3300、同スミジュール N3390、同デスモジュール N3400、同デスモジュール N3600、同デスモジュール N3790、同デスモジュール N3800、同デスモジュール N3900、同デスモジュール XP2580、同デスモジュール XP2840、同スミジュール HT、同デスモジュール Z4470BA、同デスモジュール Z4470MPA/X、同デスモジュール Z4470SN、デスモジュール XP2565、同デスモジュール XP2838、同デスモジュール L75(C)、同デスモジュール UL 75XP、同デスモジュール IL 1351BA、同デスモジュール IL 1451BA、同デスモジュール HL BA TDI/ HDI、同デスモジュール E 14、同デスモジュール E 15、同デスモジュール E XP 2605、同スミジュール E 21−1、同スミジュール E 21−2、同SBUイソシアネート 0620、同SBUイソシアネート M 393、同デスモジュール E 22、同デスモジュール E 23、同デスモジュール E 29、同デスモジュール RE、同デスモジュール RFE、旭化成ケミカルズ社製デュラネート24A−100、同デュラネート22A−75PX、同デュラネートTPA−100、同デュラネートTHA−100、同デュラネートP−301−75E、同デュラネート21S−75E、同デュラネート18H−70B、同デュラネートMFA−75X、同デュラネートE402−90T、同デュラネートE405−80T、同デュラネートTSE−100、同デュラネートTSA−100、同デュラネートTSS−100、同デュラネートTSE−100、同デュラネートD−101、同デュラネートD−201、三井化学社製タケネートD−101A、同タケネートD−102、同タケネートD−103、同タケネートD−103H、同タケネート103M2、同タケネートD−104、同MT−オレスターP−20、同MT−オレスターP49−75S、同MT−オレスターP51−70、同MT−オレスターP53−70S、同MT−オレスターP56−70SS、同タケネートD−204、同タケネートD−204EA、同タケネートD−212、同タケネートD−212L、同タケネートD−212M6、同タケネートD−215、同タケネートD−217、同タケネートD−218、同タケネートD−219、同タケネートD−262、同タケネートD−268、同タケネートD−251A、同MT−オレスターP3300、同・タケネートD−110N、同タケネートD−120N、同タケネートD−127N、同タケネートD−140N、同タケネートD−160N、同タケネートD−165N、同タケネートD−170N、同タケネートD−170HN、同タケネートD−172N、同タケネートD−177N、同タケネートD−178N、同MT−オレスターNP1200、同タケネートWD−220、同タケネートWD−240、同タケネートWD−250、同タケネートWD−720、同タケネートWD−723、同タケネートWD−725、同タケネートWD−726、同タケネートWD−730などが挙げられる。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に用いるシリコン変性アクリル樹脂(D)はシリコーンモノマーとアクリル系モノマーとの共重合により合成されたグラフトポリマーであって、公知の技術で製造されたものを使用することができる。この成分はホログラムの凹凸を形成させた母型フィルムとの離型性を発現させることが目的であるが、一般的に離型剤として使用されるポリシロキサン構造を有するシリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどを用いた場合、樹脂との反応性が低いために塗膜から脱離し易い。このため母型フィルムに付着し、再利用した際にラミネート不良が発生することや、ホログラム形成剤層に金属蒸着を施す工程において蒸着不良を引き起こす危険がある。更には金属缶体にラミネートした後の焼付け処理、または内容物充填後の高温高圧殺菌において塗膜からブリード現象が発生し、他層との密着阻害を発生し易くなる。このため、ベース樹脂成分との相溶性・反応性に優れるシリコン変性アクリル樹脂を使用することが必須である。このシリコン変性アクリル樹脂(D)はシリコン樹脂成分の割合が1〜40重量部、アクリル樹脂成分の割合が60〜99重量部であることが好ましく、より好ましくはシリコン樹脂成分の割合が5〜30重量部、アクリル樹脂成分の割合が70〜95重量部の範囲である。シリコン樹脂成分の割合が1重量部を下回るとホログラム母型フィルムとの離型性が劣り、反対に40重量部を超えると他樹脂との相溶性が劣るため、ブリード現象が発生する危険性が高くなる。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物に用いる二酸化ケイ素(E)はホログラム形成剤をフィルムに塗工し、巻き取った際のブロッキング防止及び母型フィルムとの離型性の両面に効果を発揮する。この二酸化ケイ素(E)の平均粒子径は2〜6μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜5μmの範囲である。平均粒子径が2μmを下回るとブロッキング性、離型性共に効果が薄れ、6μmを超えると分散不良が発生し易く、接着阻害を引き起こす可能性が高くなる。また、二酸化ケイ素(E)の吸油量は100ml/100g以上であることが好ましく、より好ましくは200ml/100g以上、350g以下である。吸油量が350ml/100gを越えた場合、組成物の構造粘性であるチキソ性が高くなる傾向にあり、組成物塗工時の塗工ムラを引き起こす懸念が生じ易い。吸油量が100ml/100gを下回ると接着剤のベース樹脂との馴染みが悪くなり、接着剤膜から容易に欠落し易くなることから、生産ラインなどの汚染を引き起こす可能性が高くなる。また、二酸化ケイ素(E)の割合は0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部の範囲である。割合が0.1質量部を下回るとブロッキング性、離型性共に効果が薄れる一方、10質量部を超えると母型フィルムと貼着し難くなり、ラミネート時にトンネリングなどの問題を引き起こす可能性が高くなる。
使用できる希釈溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらのうち通常はメチルエチルケトン、酢酸エチルや、これらの混合物を使用するのが好ましい。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物には、適宜必要に応じ滑剤、消泡剤、レベリング剤、顔料等を添加することが可能である。また、硬化補助剤として、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂等の他の硬化剤を併用しても良く、これらは塗料の焼付け条件やフィルム塗工の場合は、その乾燥条件、ラミネート条件により適切なものを併用することが可能である。
本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物は、エアースプレー、エアレススプレーまたは静電スプレーの如き、各種のスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコーター塗装、グラビアコーターならびに電着塗装等公知の手段により、PETペットフィルム等のプラスチックフィルムに塗装することが出来る。乾燥塗布量は0.1〜20μmの範囲内が好ましい。0.1〜20μmの範囲内であれば、連続均一塗布性に優れ、意匠性の問題もなく、耐レトルト性、接着性が保持でき、フィルム巻き取り時のブロッキング性も解消される。0.1μm未満になった場合は連続均一塗布性に難点が生じ易く、物性と意匠性の発現がやや困難である。また、加圧熱水処理における水蒸気のバリヤー性がやや劣り、接着剤/プラスチィックフィルム界面に水分が滞留し易く、レトルト白化を引き起こす可能性がある。一方、20μmを超えると、塗布後における溶剤離脱性が低下し、作業性が著しく低下する上に残留溶剤の問題が生じ易くなることによりフィルム巻き取り時のブロッキング性が著しく低下する場合がある。
また、本発明のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物は、PET、PP等のプラスチックフィルム基材に塗装される場合には、80〜180℃、1〜30秒の範囲で乾燥し、その後、金属板に150〜300℃での範囲内の温度でラミネートされれば、プライマーとして優れた性能を発揮することができる。
プラスチックフィルムとしては特に限定するものでは無いが、ペットフィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム並びにアクリルフィルムに対して用いることができる。また、ラミネートする鋼板としては、シート状又はコイル状の鋼板、鋼箔、鉄箔、該鋼板に表面処理を施したものが挙げられる。鋼板以外にもアルミ板を用いることもできる。特に、上層がクロム水和酸化物、下層が金属クロムの二層構造をもつ電解クロム酸処理鋼板、極薄スズめっき、ニッケルめっき鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロム水和酸化物被覆鋼板或いはリン酸塩処理クロム酸塩処理した鋼板等が挙げられる。
次にフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を塗布したフィルムを鋼板にラミネートする方法の一例をあげる。PETフィルムにホログラム形成剤を均一にドライ膜厚1.5μm程度になるように塗布し、溶剤を蒸発させる。使用するプラスチックフィルムは予め印刷処理を施したものを使用しても良い。次にホログラム形成剤を塗布した面にホログラム母型フィルムを80℃、150m/minのスピードでラミネートし、40℃72時間養生させて硬化させる。その後、ホログラム母型フィルムを100m/minの速度で剥離し、凹凸パターンが形成されたホログラム形成剤被膜上にアルミ蒸着処理をする。このアル蒸着面にポリエステル系ラミネート接着剤をドライ膜厚4.0μm程度になるように塗布し、120℃、100m/minの速度で乾燥させる。その後、このフィルムと鋼板を、接着剤を介して板温又は加熱ロールを180〜250℃の任意の温度になるように設定し熱圧着する。このようにして得られたプラスチックフィルムラミネート鋼板は、意匠性、耐レトルト性、加工密着性に優れ、多種の用途に使用できる。
以下、本発明を実施例にて具体的に説明する。例中「部」及び「%」は、「質量部」、「質量%」を各々表わす。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量、及び数平均分子量(いずれもポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
また、ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲−80〜450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を実施した。
平均粒子径については、日立製作所製操作型電子顕微鏡S−3400Nを用いて測定した。
表1、2に示した割合(表中の数字は固形分質量比率を示す)で下記の原料を配合、攪拌し、実施例1〜8、比較例1〜8のフィルム用接着剤を作製した。
(1)ポリエステル樹脂(A−1)=バイロンGK−360、東洋紡績(株)社製
数平均分子量16,000、重量平均分子量30,000、酸価5(mgKOH/g)、ガラス転移温度56℃、30%溶液(メチルエチルケトン/酢酸エチル=50/50の混合溶液で溶解)
(2)ポリエステル樹脂(A−2)=バイロンGK−600、東洋紡績(株)製
数平均分子量16,000、重量平均分子量28,000、酸価<2(mgKOH/g)、ガラス転移温度47℃、40%溶液(メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶液で溶解)
(3)ポリエステル樹脂(B)=バイロンGK180、東洋紡(株)製、数平均分子量10,000、重量平均分子量40,000、ガラス転移温度0℃、30%溶液(メチルエチルケトン/酢酸エチル=50/50の混合溶液で溶解)
(4)ポリイソシアネート樹脂(C)=バーノックDN980(HDIイソシアヌレート
型)、DIC(株)社製
(5)シリコン変性アクリル樹脂(D)=サイマックUS−270 0H価26mgKOH/g、東亞合成(株)社製
(6)二酸化ケイ素(E)=サイリシア420 平均粒子径3.1μm、pH7.5、吸油量220(ml/100g)富士シリシア(株)社製
〔テストピースの作製〕
(1)実施例1〜8、比較例1〜7のホログラム形成剤を厚さ12μmのPETフィルムに乾燥膜厚1.5μmになるようにバーコーターにて塗布し、80℃4秒間乾燥処理した。
(2)(1)で作成したフィルムのホログラム形成剤塗工面にホログラム母型フィルムを80℃3MPa、2m/minの速度でラミネートし、25℃/72時間のエージング処理をした。
(3)エージング処理後にホログラム母型フィルムを剥離し、剥離面にAL蒸着処理をした。
(4)AL蒸着面にポリエステル/イソシアネート系金属材料用接着剤を塗工し、115℃/8秒の乾燥を行った後、25℃72時間のエージング処理をした。
(5)このフィルムを金属板(ティンニッケルスチール)に190℃−100m/minでラミネートし、215℃/85秒の加熱処理し、テストピースを得た。次いで以下に示す評価試験方法に従って測定した。
〔評価試験方法〕
1.ホログラム視認性
ホログラム母型フィルムを剥離した直後の視認性を標準とし、215℃/85秒加熱処理後(1次処理)、及び125℃30分の加圧熱水処理後(2次処理)下記評価基準で評価した。1次、2次ともに○以上を合格とした。
◎・・・標準品と差なし
○・・・標準品と比較して僅かに視認性が劣る
△・・・標準品と比較して明らかに視認性が劣る
×・・・ホログラム視認性が全く無くなる
2.ホログラム母型フィルム剥離性
ホログラム母型フィルムを剥離する際のピール強度を測定し、剥離性の評価とした。サンプル幅1.5mm180°剥離、剥離スピード5mm/min。剥離強度値(N/15mm)0.20N以下を合格とした。
3.ブロッキング性
8cm×8cmにカットしたサンプルフィルムのホログラム形成剤塗工面(母型フィルム剥離後)と未塗工PETフィルムを張り合わせ、0.3MPaの圧力で40℃の雰囲気に72時間保持した後に、張り合わせたフィルム同士を剥離速度1000mm/minで180°の角度でピールした際の剥離強度を測定した。
剥離強度値(N/8cm)0.30以下を合格とした。
4.加工性:エリクセン加工試験
高さ10mmのキャップに成形し、125℃30分レトルト処理後のフィルムの剥離を目視により4段階で評価した。 ○以上を合格とした。
◎・・・全く剥離無し
○・・・剥離面積が10%以下
△・・・剥離面積が11〜50%
×・・・剥離面積が51%以上
評価結果を表1、2に示す。表中の数字は固形分重量比率を示す。
Figure 2017128673
Figure 2017128673
実施例に述べるフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤は、ホログラム視認性、母型フィルム剥離性、ブロッキング性、加工性共にバランスのよい合格品(○以上)が得られた。比較例の接着剤組成物においては、何れかの性能が欠如した結果となった。
本発明の接着剤組成物は、母型フィルム剥離性、ブロッキング性、加工性が良好な状態を保持しつつ優れたホログラム視認性を兼備することで、ビール炭酸飲料などの缶容器やコーヒーなどのレトルト缶容器、家電製品、建材向け金属外装材などの広範な用途に幅広く展開され得る。

Claims (3)

  1. 数平均分子量5,000〜30,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度40〜90℃のポリエステル樹脂(A)を20〜50質量部、数平均分子量8,000〜50,000、重量平均分子量10,000〜100,000、ガラス転移温度−30〜20℃のポリエステル樹脂(B)を20〜50質量部、ポリイソシアネート樹脂(C)を5〜30質量部、及びシリコン変性アクリル樹脂(D)を1〜10質量部含有することを特徴とするフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物。
    但し、各々の樹脂の質量部は固形分換算を示す。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、平均粒子径が2〜6μm、吸油量が100(ml/100g)以上である二酸化ケイ素(E)を0.1〜10質量部含有する請求項1に記載のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物。
  3. 請求項1又は2記載のフィルムラミネート缶用熱硬化型ホログラム形成剤組成物を、プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布し、塗布面を乾燥してなることを特徴とする積層フィルム。
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