JP7074150B2 - 金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物及び金属積層体 - Google Patents
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Description
近年、製缶メーカーではコストダウンを目的にサイズコート塗装を省略し、トップコート膜を単層で塗装する仕様を確立している。この際、トップコートニスにはネジ口部の複雑な成型に耐えうる加工密着性と缶胴部の印刷層を保護する高度な傷付き性(硬度)との相反する性能が要求される。これらの性能を両立させることは非常に困難であり、現状、市場化されたサイズ層のないボトル缶は特に高温・高圧で処理されるレトルト殺菌を必要とする用途においてキャップの開栓性がレトルト処理後に悪くなる問題を抱えている。この現象はネジ口加工された塗膜がレトルト処理によりダメージを受け、キャップ内面塗膜との接触抵抗が高くなることや、容器ごと加温するホットパック販売の際にトップコート膜が軟化し、キャップ内面塗膜とブロッキングが生じることが原因と判明している。上記したサイズ層を伴わないボトル缶のトップコートニスとして、これまでに一定の分子量範囲のポリエステル樹脂を主体とし、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を使用した組成物(特許文献1)やエポキシ樹脂を主体とし、硬化度を制御した組成物(特許文献2)が提案されている。また、キャップの開栓性を確保する目的にシリコーン化合物を使用した組成物(特許文献3、5)やポリエステル樹脂とアミノ樹脂からなる水性樹脂組成物(特許文献4)、一定のガラス転移点を持つポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂からなる組成物(特許文献6)が提案されている。
しかしながらこれらの組成物は何れもレトルト殺菌を伴う用途において、特にホット
パック販売の際にも十分なキャップ開栓性を確保できるものでは無かった。
本発明において、分子量とは、GPCによる数平均分子量及び重量平均分子量(何れもポリスチレン換算)の測定は、東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で測定した値とする。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)とは、示差雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲-80~450℃、昇温温度10℃/分の条件下、DMA法で測定した値とする。
本発明において、水酸基価とは、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウム(KOH)のmg数をいう。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物で使用するポリエステル樹脂(A)としては、数平均分子量2000~8000、ガラス転移温度(Tg)が20~70℃であり、且つ水酸基価が10~30KOHmg/gの範囲のものが好ましく、数平均分子量3000~6000、ガラス転移温度(Tg)が30~50℃、水酸基価が15~25KOHmg/gであればより好ましい。数平均分子量が2000を下回ると製缶時の加工性が低下する傾向が見られ、8000を上回ると塗工時の粘度が高すぎ、塗工適性が低下する傾向がある。またガラス転移温度(Tg)が20℃を下回ると塗膜の軟化点が低くなり、ブロッキング性が劣り、反対に70℃を上回ると塗膜の柔軟性が低下し、加工成型性が低下する問題が生じる。また、水酸基価が10KOHmg/gを下回ると硬化剤との反応性が低下し、ライン搬送などに耐えうる塗膜硬度が得られない。反対に30KOHmg/gを上回ると硬化剤と過度に反応してしまい、塗膜の柔軟性が損なわれることから、加工成型性に難を生じる。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量が2000を下回ると加工性が低下する傾向が見られ、6000を上回ると塗工時の粘度が高すぎ、塗工適性が低下する傾向がある。
また、水酸基価が35KOHmg/gを下回ると硬化剤との反応性が低下し、ライン搬送などに耐えうる塗膜硬度が得られない。反対に55KOHmg/gを上回ると硬化剤と過度に反応してしまい、塗膜の柔軟性が損なわれることから、加工成型性に難を生じる。
前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリエステル樹脂(B)の2種類を使用する理由としては、複雑に成型される加工に耐え得る塗膜の柔軟性と、生産時の高速搬送などで金属容器同士が強く接触した際の傷つきに耐え得る塗膜に求められる高い硬度を両立させることを目的としている。ポリエステル樹脂(A)は比較的に分子量が高く、ガラス転移温度(Tg)が低いことで骨格に柔軟性を有し、水酸基価も低めであることから、硬化剤とも適度に反応し、塗膜の柔軟性が保持できる。一方、ポリエステル樹脂(B)は比較的に分子量が低く、水酸基価が高いことから硬化剤との反応性に優れ、塗膜が十分に架橋し高い硬度が得られる。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物に用いるアミノ樹脂(C)は、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等であり、これらを単独又は混合しても良い。また、アミノ樹脂(C)は、塗膜の加工性、耐水性、光沢などの点からベンゾグアナミン樹脂であることが好ましく、数平均分子量は300~1000の範囲がより好ましい。数平均分子量がこの範囲より低いと塗膜の加工性が下がり、大きいと主剤であるポリエステル樹脂との反応性が低くなり、硬度が低くなる。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物に用いるエポキシ樹脂(D)としては、一般的に市販されているエピ-ビス型、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。この中でも金属下地との密着性が良好なことから、エピ-ビス型のエポキシ樹脂が好適に使用される。
また変性ノボラック型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂(C-1)の例として、DIC(株)社製のEPICLON N-730、EPICLON N-740、EPICLON N-770等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON N-690、EPICLON N-695、旭化成エポキシ(株)社製のAER ECN-1273、同社製AER ECN-1299等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
更にビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂であれば、特に衛生面や食品用途で、未反応ビスフェノールAが溶出しないことから好ましい。なお、前記ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂とは、ビスフェノールA骨格由来の構造を含まないエポキシ樹脂を意味する。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物には解離温度範囲が110~150℃であるブロックイソシアネート(E)を用いる。尚、解離温度とは、ブロック剤がイソシアネート基から脱離する温度のことをいう。これを用いる理由としては、主剤であるポリエステル樹脂の水酸基とブロックイソシアネートのイソシアネート基がウレタン化反応を示すことで分子量が増大化し、塗膜の耐水性と柔軟性が飛躍的に向上する。しかし、イソシアネートは反応性が良い故、塗料化した溶液中でも容易に反応する。これにより溶液の粘度は極端に高くなり、塗工性に悪影響を及ぼす。これを防止するためにブロック剤によりイソシアネート基を保護することで溶液中の反応を抑制し、インキ及び塗料の焼き付け処理によってブロック剤が解離し、主剤の水酸基と反応させることを目的にブロック型イソシアネートを使用する。このブロック剤の解離温度は110~150℃であることが好ましく、これよりも低いと塗料を加熱して塗工する際に一部のブロック剤が解離・反応してしまうことが有り、溶液粘度上昇による塗工不良を引き起こす恐れがある。一方、150℃より高いとインキや塗料の加熱工程でブロック剤が解離せず、目的とする主剤の水酸基との反応が発現しない恐れがある。
脂環族ポリイソシアネートとしては、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,3-または1,4-)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(-2,4-または-2,6-)、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物には更にリン酸系触媒(F)を使用することでポリエステル樹脂とアミノ樹脂の反応を緩やかに促進することができる。ポリエステル樹脂とアミノ樹脂の反応を促進させるためには、一般的に溶液を酸性にすることが有効とされるが、スルホン酸などの強酸を使用した場合、反応速度が急激に加速し、塗膜中の内部応力を増大化させる。これにより基材との密着性が著しく損なわれる場合が多いため、リン酸などの弱酸を使用し、緩やかに反応させることでこの問題を回避することが可能である。このリン酸系触媒としてはリン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノオクチル、リン酸モノデシル、リン酸ジデシル、メタリン酸、オルトリン酸、オルトリン酸エステルなどを好適に使用することができる。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物には更に平均粒子径が2~8μmである微粉末四フッ化エチレンワックス(G)を使用することで塗膜に適度な滑性と傷付き性を付与することができる。一般的に金属容器用トップコートニスに使用されるワックスとしては例えば、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアマイドワックス、シリコンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、等を挙げることができるが、融点、硬度、更には塗膜の脱離性やライン汚染性の観点から四フッ化エチレンワックスが好適に使用される。粒状ワックスの平均粒子径が2μm未満、塗膜表面に浮上する四フッ化エチレンワックスの面積が少なくなり、十分な傷つき性・滑性を得ることができない。一方、8μmを超えると、塗膜面の凹凸が際立ち、外観不良を引き起こす恐れがある。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物は、前記ポリエステル樹脂(A)100重量部(固形分換算)に対して、前記ポリエステル樹脂(B)20~80重量部であることが好ましく、より好ましくは30~60重量部である。ポリエステル樹脂(B)が20重量部より低いと反応性が低くなり、塗膜化した際の耐水性と硬度が低下する。また、80重量部を超えると反応性が高すぎることから、塗膜が脆くなり加工性が低下する。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物に使用できる希釈溶剤としては特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらのうち通常はメチルエチルケトン、酢酸エチルや、これらの混合物を使用するのが好ましい。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物には、適宜必要に応じ滑剤、消泡剤、レベリング剤、顔料等を添加することが可能である。また、硬化補助剤として、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂等の他の硬化剤を併用しても良く、これらは塗料の焼付け条件やフィルム塗工の場合は、その乾燥条件、ラミネート条件により適切なものを併用することが可能である。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物は、エアースプレー、エアレススプレーまたは静電スプレーの如き、各種のスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコーター塗装、グラビアコーターならびに電着塗装等公知の手段により、鋼板、アルミニウム板等の金属基材へ塗装することが出来る。塗布量は、乾燥塗膜厚では、1~20μm程度が好ましい。本組成物の塗布量としては、固形分で1.5~10g/m2、好ましくは、2~6g/m2の塗工条件で使用される。
本発明の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物は100~280℃、1秒~30分間なる範囲内で焼付けされることが好ましい。より好ましくは150~250℃、10秒~10分の範囲内で焼き付けされればトップコートニスとして優れた性能を発揮することができる。
(調製例)
表1に示した調整例a-1~a-7及び表2に示した調製例b-1~b-13の割合(表中の数字は固形分質量比率を示す)で下記の原料を電子天秤にて計量・混合後、分散攪拌機を用いて25℃の温度下、3000rpmの回転数で1分間攪拌し、透明プライマーニス組成物を作製した。
撹拌機、精留塔および温度計を具備した反応釜に、グリコール成分としてネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)を155重量部、ブチルエチルプロパンジオール(KHネオケム社製)を193重量部、酸成分としてイソフタル酸(三菱ガス化学社製)を425重量部仕込み、240℃まで昇温後に、固形分酸価が7mgKOH/gになるまで脱水縮合反応を行った。反応終了後、MPAとソルベッソ150にて不揮発分70%に調整。数平均分子量が3000、ガラス転移点:45℃、水酸基価21mgKOH/g、不揮発分70%のポリエステル樹脂溶液(A-1)を得た。
(2)ポリエステル樹脂(A-2):
撹拌機、精留塔および温度計を具備した反応釜に、グリコール成分としてネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)を184重量部、ブチルエチルプロパンジオール(KHネオケム社製)を229重量部、酸成分としてイソフタル酸(三菱ガス化学社製)を425重量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)79重量部仕込み240℃まで昇温後に、固形分酸価が7mgKOH/gになるまで脱水縮合反応を行った。反応終了後、MPAとソルベッソ150にて不揮発分60%に調整。数平均分子量が3500、ガラス転移点42℃、水酸基価19mgKOH/g、不揮発分60%のポリエステル樹脂溶液(A-2)を得た。
(3)ポリエステル樹脂(A-3):「バイロンGK660」東洋紡株式会社製 数平均分子量8000、水酸基価14mgKOH/g、ガラス転移点55℃
(4)ポリエステル樹脂(A-4):「バイロン600」東洋紡株式会社製 数平均分子量16000、水酸基価7mgKOH/g、ガラス転移点46℃
(5)ポリエステル樹脂(A-5):「バイロンGK680」東洋紡株式会社製 数平均分子量6000、水酸基価21mgKOH/g、ガラス転移点6℃
(6)ポリエステル樹脂(A-6):「エリーテルUE-3320」ユニチカ社製
数平均分子量:1800、ガラス転移点:40℃、水酸基価:60mgKOH/g
(7)ポリエステル樹脂(A-7):「バイロン885」東洋紡社製 数平均分子量:
8000、ガラス転移点:79℃、水酸基価:16mgKOH/g
(8)ポリエステル樹脂(B):「バイロン220」東洋紡株式会社製
数平均分子量3000、水酸基価50mgKOH/g、ガラス転移点53℃
(9)アミノ樹脂(C) :「アミディア TD-126-60S」DIC製
ベンゾグアナミン樹脂
(10)エポキシ樹脂(D) :「EPICLON 1055-60S」DIC製
(11)ブロックイソシアネート(E-1):「VESTANAT B1370」ダイ
セルヒュルス社製 ブロック剤の解離温度140℃
(12)ブロックイソシアネート(E-2):「デスモジュールBL3475BA/SN
」住化コベストロウレタン社製 ブロック剤の解離温度100℃
(13)ブロックイソシアネート(E-3):「デスモジュールVPLS2078/2」
住化コベストロウレタン社製 ブロック剤の解離温度160℃
(14)リン酸系触媒(F) :「KAYAMER PM-2」日本化薬社製
(15)四フッ化エチレンワックス(G):「SST-3H」SHAMROCK社製
(16)四フッ化エチレン・ポリエチレン共重合ワックス:「ハイディスパーQT57」
岐阜セラック社製(H)
(17)ラノリンワックス(I):「SUPER LANOLIN」クローダ社製
(18)シリコーン系消泡剤(J):「シリコントーレSH-28P.A.」東レ・ダウ
コーニングシリコーン社製
(19)アクリル系消泡剤(K):「BYK-392」BYK社製
・評価パネル1(缶胴部を想定した構成:金属下地+インキ+トップコートニス)
厚さ0.21mmのアルミニウム板状にポリエステル樹脂を主成分とした熱硬化型汎用金属用墨インキをウェット膜厚2μmで印刷後、トップコートニスを乾燥後膜厚が5μmで塗工し、180℃雰囲気下のガスオーブンで30秒間の焼き付け処理を行った。更に内面塗料の焼き付け処理を想定し、210℃雰囲気下のガスオーブンで70秒間の焼き付け処理を行い、評価パネル1を得た。
・評価パネル2(ネジ口部を想定した構成:金属下地+トップコートニス)
厚さ0.21mmのアルミニウム板状にトップコートニスを乾燥後膜厚が3μmで塗工し、180℃雰囲気下のガスオーブンで30秒間の焼き付け処理を行った。更に内面塗料の焼き付け処理を想定し、210℃雰囲気下のガスオーブンで70秒間の焼き付け処理を行い、評価パネル2を得た。
1.鉛筆硬度試験(傷付き性代用試験)
評価パネル1をJIS-S-6006に規定された高級鉛筆を用いJIS-K-5600に準じて鉛筆硬度を測定した。評価はレトルト殺菌処理を想定した125℃30分のスチーム処理前後にて評価を行った。2H以上が実用レベルであると判断した。
評価パネル1を125℃30分のスチーム処理後、85℃の湯中に浸漬し、湯中につけたまま1分経過した後、JIS-S-6006に規定された高級鉛筆を用いJIS-K-5600に準じて鉛筆硬度を測定した。B以上が実用レベルであると判断した。
評価パネル2を直径約25mm×高さ約17mmのキャップ形状に打抜き加工してからネジ加工したものを、125℃30分の水浸漬レトルト処理を行い、塗膜の割れと剥離の程度を下記基準により目視で判定した。○以上が実用レベルで合格と判断した。
◎:割れ、剥離が全く無い。
○:若干割れ、剥離部の面積が全体の30%未満である。
△:割れ、剥離部の面積が全体の30%以上50%未満である。
×:割れ、剥離部の面積が全体の50%以上である。
試験パネル1を125℃30分のスチーム処理した後、塗膜の白化の程度を目視で判定した。○以上が実用レベルで合格と判断した。
◎:白化が全くない。
○:僅かに白化が認められる
△:白化がやや多い。
×:白化が著しい。
(1)缶胴部想定
試験パネル1をASTMD1894-90に準拠し、オリエンテック社RTA-100を用い3点鋼球法で動摩擦係数を測定した。荷重は9.8N、引っ張り速度は1200mm/minの条件とした。試験パネルは50℃3分のシャワー処理前後で測定を実施した。合格基準は処理無しパネルの動摩擦係数が0.08未満、シャワー処理後のパネルは0.12未満が実用レベルで合格と判断した。
(2)ネジ口部想定(開栓性代用試験)
試験パネル2をASTMD1894-90に準拠し、オリエンテック社RTA-100を用いキャップ内面塗膜(エポキシ/フェノール系)との面/面法で動摩擦係数を測定した。荷重は1.96N、引っ張り速度は1200mm/minの条件とした。試験パネルは125℃30分のスチーム処理前後で測定を実施した。また、測定温度は25℃の他、ホットパック時を想定した80℃でも評価した。試験温度80℃の測定は試験パネルを80℃に加熱したホットプレート上に設置し、測定を行った。
スチーム処理無しのパネルの動摩擦係数が0.10未満、スチーム処理後のパネルは0.12未満が実用レベルで合格と判断した。
(1)缶胴部想定
試験パネル1を内面塗料を想定した焼き付け処理を実施する前の状態で丸めてニス面同士が接触した状態でクリップで留め、内面焼き付け処理を想定した条件で焼き付け処理を実施、放冷後、接触部分の跡を下記の基準で評価した。
◎:接触跡が全くない。
○:僅かに接触跡が認められる
△:接触跡がやや多い。
×:接触跡が著しい。
(2)ネジ口部想定
試験パネル2を丸めてキャップ内面塗膜(エポキシ/フェノール系)と接触した状態でクリップで留め、125℃30分のスチーム処理前後のサンプルを80℃/72時間エージング処理、放冷後、接触部分の跡を下記の基準で評価した。
◎:接触跡が全くない。
○:僅かに接触跡が認められる
△:接触跡がやや多い。
×:接触跡が著しい。
更に、ネジ口部を想定した80℃における滑性試験の結果、25℃の測定と比較して動摩擦係数値の上昇が小さいことから、ホットパックを想定した販売においてもキャップの開栓トルク性が良好な状態を維持できる可能性が高いと予想される。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂及び有機溶剤を含有する金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物であって、
数平均分子量2000~8000、ガラス転移温度20~70℃、水酸基価10~30KOHmg/gのポリエステル樹脂(A)100重量部(固形分換算)に対して、
数平均分子量2000~6000、水酸基価35~55KOHmg/gのポリエステル樹脂(B)20~80重量部、
アミノ樹脂(C)を60~120重量部、
エポキシ樹脂(D)5~30重量部、
解離温度が110~150℃であるブロック型イソシアネート(E)を5~30重量部
含有することを特徴とする金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、リン酸系触媒(F)を0.01~1重量部含有する請求項1に記載金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、平均粒子径が2~8μmである微粉末四フッ化エチレンワックス(G)を0.1~1重量部含有する請求項1または2に記載の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物。
- 金属薄板にダイレクトにインキが印刷され、その上に請求項1~3のいずれか1つに記載の金属容器用熱硬化型トップコートニス組成物が塗布された金属積層体。
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